真空処理装置および被処理体の搬送方法
【課題】複数台の搬送ロボットを備えた線形ツールにおいて、スループットを低下させない搬送効率の高い搬送制御を提供する。
【解決手段】真空処理装置の制御部を、処理室、搬送機構部、中間室、保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を実時間に更新して保持し、装置状態情報と、被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から搬送アルゴリズムを選択し、および選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出するように構成した。
【解決手段】真空処理装置の制御部を、処理室、搬送機構部、中間室、保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を実時間に更新して保持し、装置状態情報と、被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から搬送アルゴリズムを選択し、および選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウェハや液晶ディスプレイといった基板状のウェハを処理する際に使用され、複数のガスを用いて微細なパターン加工などの処理をする真空処理装置及び真空処理装置において処理の対象である試料の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空処理装置はプロセスユニットと呼ばれる真空処理室を内部に有した真空容器、排気装置及びプラズマ形成装置などを備えた処理ユニットを具備しており、このような真空処理装置においては、低コスト化、生産性向上が求められている。生産性指標の代表例として、スループット(単位時間当たりの基板処理枚数)を向上させて装置一台あたりの処理の効率を高くすることが重要な課題となっている。以下では、真空処理装置における処理対象となる試料をウェハと呼ぶように、半導体処理装置を例として、説明する箇所があるが、本発明は半導体処理装置に限定されない。また、スループットを生産性指標の代表例として説明するが、例えばターンアラウンドタイムのように、他の生産性指標においても同様であり、スループットだけに限定されない。
【0003】
真空処理装置の一用途である半導体処理装置の処理においては、被処理基板である半導体ウェハなどのウェハに真空下での処理、例えばエッチング処理等のプラズマ処理を施す工程があり、このような処理を高スループットで行うために、すなわち装置一台あたりの処理の効率を高くするために、複数の処理室が設置された半導体処理装置が用いられている。通常、半導体処理装置は、真空処理室と常圧の大気搬送室とを備えたものが知られている。
【0004】
上記のような半導体処理装置は、ウェハを所定の枚数、例えば25枚収納するカセット(FOUP:フープ)が装置の前面側に装着され、このカセット内から搬送用のロボットがウェハを1枚ずつ取り出し、大気と真空を切り替えるロック室に搬送した後、真空排気され減圧されたロック室から減圧された搬送用の経路を介して処理を行ういずれかの各真空処理室に搬入されて処理が行われる。処理が終わると、搬出されて搬入時と逆方向の経路を通りロック室を介して大気圧下に戻される。その後、搬送ロボットにより搬出された時と同じカセットの同じ位置に戻される。これが半導体処理装置のウェハを処理する際の一般的な動作の順序である。
【0005】
このような半導体処理装置は、搬送室の周囲に放射状に真空処理室が接続されたクラスタツールと呼ばれる構造の装置が広く普及している。しかし、このクラスタツールの装置は、大きな設置面積を必要とし、特に、近年のウェハの大口径化に伴い、ますます設置面積が大きくなる問題を抱えている。そこで、設置面積を小さくすると同時に、スループット向上を実現するため、線形ツールと呼ばれる構造の装置が登場した。線形ツールの特徴は、複数の搬送室を有し、それぞれの搬送室に真空処理室が接続され、且つ、搬送室同士も直接接続、若しくは、中間に受渡しのスペース(以下、「中間室」)を挟んで接続される構造である。
【0006】
この線形ツールは従来一台であった搬送ロボットを複数台備えることにより、複数の搬送ロボットが複数の真空処理室へ並行してウェハを搬送することができる機構とし、高スループットを実現している。
【0007】
このように設置面積を小さくしながら、スループットの向上を実現した線形ツールという構造が提案されているが、一方で、スループット向上には、処理時間の短縮や搬送の効率化といった技術も重要である。しかし、これまでのクラスタツールに適用されていた搬送制御は単一の搬送ロボットを対象としており、複数の搬送ロボットを備えた線形ツールにおいて、そのまま適用した場合、スループットを低下させることがあるという問題があった。
【0008】
クラスタツールにおける搬送制御の代表的な方法として、処理が終了した処理室へ順にウェハを搬送する制御の手法がある。この手法を線形ツールに適用した場合、ウェハを処理する処理時間が、各処理室において、ほぼ同じ時間であるときには、高いスループットを実現することが可能である。しかし、種類の異なる製品を各処理室で並行して処理するなどした場合、各処理室における処理時間はその製品に依存し、それぞれ処理が終了するタイミングがばらばらになることがしばしば起こり得る。
【0009】
このような状況において、複数ある処理室の内、ある処理室の処理が終了した場合に、単純に次のウェハをすぐに搬送する制御を考える。このとき、処理が終了した処理室へ次に搬送されるウェハの処理時間が長かった場合、半導体処理装置の処理室の数、配置にも影響されるが、本来先に搬送しておくべきであった、処理時間の短い処理室で処理される予定のウェハの搬送経路を塞いでしまうことがある。結果として、スループットを低下させてしまうということが起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−94530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
複数の処理室が設置された真空処理装置のスループットを向上させるためには、搬送ロボットの負荷を分散させることが有効な手段の一つである。このために、特許文献1では従来の装置では1台であった搬送ロボットを複数台備え、複数の真空処理室へ並行して搬送することにより従来の真空処理装置に比べ、高スループットを実現している。しかしながら、複数の搬送ロボットを制御する手段に関しては、複数の搬送ロボット間でウェハを受け渡すという点のみしか言及していない。実際の半導体処理装置の運用において、処理室における処理時間は、処理室内で処理するウェハに応じて異なる。また、このため、複数台の搬送ロボットを備えた線形ツールにおいて、単純に処理が終了した処理室へ順に搬送する搬送制御手法では、各処理室で処理するウェハの処理時間によっては、スループットを低下させることがあるといった課題がある。
【0012】
また、ウェハの処理工程によって効率的な搬送方法は異なることがある。処理室にて一回の処理を行って処理を完了する処理工程もあれば、複数回の処理を行って処理を完了する処理工程もある。更に、運用条件によっても異なることがある。ウェハの処理予定の処理室をいつでも自由に変える事が出来る運用条件もあれば、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件もある。ウェハの処理予定の処理室をいつでも自由に変えられる運用条件とは、処理に用いるガスの種類など処理条件が複数の処理室で同じであり、どの処理室で処理しても処理後のウェハの品質に違いが無い場合である。又、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件とは、処理に用いるガスの種類など処理条件が複数の処理室で同じだが、あるウェハに対して、一度処理予定の処理室が決定されたら、膜厚などそのウェハ特有の状態に応じて処理条件を微調整する運用が行われる場合や、処理に用いるガスの種類など処理条件が処理室によって異なる場合である。
【0013】
そこで、本発明の目的は、線形ツールにおいて、処理室にて一回の処理を行って処理を完了する処理工程で、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件の下で、種類の異なる製品を各処理室で並行して処理するなどした場合、あらゆる処理室の数、配置においても、搬送効率の高い搬送制御を提供する半導体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明では、大気側に置かれた被処理体を真空側に取り込むロードロックと、前記真空側に設けられた搬送室に接続された前記被処理体に所定の処理を施す複数の処理室と、前記被処理体の受け渡し・搬送を行う真空ロボットを具備してなる複数の搬送機構部と、前記搬送機構部間を連結して前記被処理体を中継載置する複数の中間室と、前記ロードロックと前記中間室に設けられた複数の前記被処理体を保持する保持機構部と、前記被処理体の受け渡しおよび搬送を制御する制御部とを備えた真空処理装置を、前記制御部は、前記処理室、前記搬送機構部、前記中間室、前記保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに前記被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を実時間に更新して保持し、前記装置状態情報と、前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から搬送アルゴリズムを選択する手段と、選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出する手段とを備えて構成した。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記制御部の前記搬送アルゴリズムを選択する手段を、前記装置状態情報から稼動状態の処理室情報を読み出し、および前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から、最大のスループット値が予測される搬送アルゴリズムを選択するように構成した。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムは、前記複数の搬送機構部を、前記ロードロックから前記処理室へ前記被処理体を直接受け渡し・搬送を行う第1の搬送機構部と、前記ロードロックから前記被処理体を前記第1の搬送機構部と前記中間室を介して受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第2の搬送機構部と、前記第2の搬送機構部から前記中間室を介して前記被処理体を受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第3の搬送機構部と、および第nの搬送機構部とに分類した場合に、前記ロードロックから搬送される前記被処理体の枚数を、前記第1の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第2の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第3の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、および前記第nの搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数とに分けて、それらの比率によって定義されるように構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、あらゆる処理室の数及び配置、処理室における処理時間を含めた処理条件において、搬送効率の高い搬送制御を提供する真空処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】半導体処理装置の全体構成の概略を説明した図である。
【図2】半導体処理装置の機械部の構成を説明した図である。
【図3】半導体処理装置の機械部のウェハ保持構造について説明した図である。
【図4】半導体処理装置の動作制御システムの全体フローを説明した図である。
【図5】動作指示計算の処理と入出力情報について説明した図である。
【図6】搬送先計算の処理と入出力情報について説明した図である。
【図7】搬送先変更判定の詳細な計算処理を説明した図である。
【図8】搬送先アルゴリズム計算の詳細な計算処理を説明した図である。
【図9】搬送先変更計算の詳細な計算処理を説明した図である。
【図10】コンソール端末の画面の例を示した図である。
【図11】装置状態情報の例を示した図である。
【図12】搬送先情報の例を示した図である。
【図13】動作指示ルール情報の例を示した図である。
【図14】動作指示情報の例を示した図である。
【図15】動作指示ルール情報の例を示した図である。
【図16】搬送先計算トリガーの例を示した図である。
【図17】処理対象情報の例を示した図である。
【図18】搬送アルゴリズムライブラリの例を示した図である。
【図19】搬送アルゴリズム判定ルールの例を示した図である。
【図20】シミュレーションの例を説明した図である。
【図21】処理室情報の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の半導体処理装置の全体構成の概略について、図1を用いて説明する。半導体処理装置は、大きく分けると、処理室や搬送機構を含む機械部101と動作制御部102とコンソール端末103から成っている。機械部101は、ウェハに対してエッチングや成膜などの処理を施すことができる処理室とウェハの搬送を行うロボットなどを備えた搬送機構で構成されている。動作制御部102は、処理室や搬送機構の動作を制御するコントローラであり、演算処理を行う演算部105と各種情報を記憶する記憶部106から成っている。
【0020】
演算部105には、利用者が指定した「手動」若しくは「自動」の制御モードによって、制御システムの内部処理を切り替える制御モード設定部107と、処理室や搬送機構を実際に動作させるための演算を行う動作指示計算部108と、複数のアルゴリズムの中から搬送アルゴリズム選択の計算を行う搬送アルゴリズム計算部109と、搬送先を計算するか否かを判定するための計算を行う搬送先変更判定計算部110と、選択された搬送アルゴリズムに基づいて、各ウェハが搬送される処理室を決定する計算を行う搬送先決定計算部111と、がある。
【0021】
記憶部106には、装置状態情報112、処理対象情報113、動作指示情報114、動作シーケンス情報115、搬送先情報116、動作指示ルール情報117、処理室情報118、搬送アルゴリズムライブラリ119、搬送アルゴリズム判定ルール120、搬送先計算トリガー121の情報が記憶されている。
【0022】
コンソール端末103は、利用者が制御方法を入力したり、装置の状態を確認したりするためのものであり、キーボードやマウスやタッチペンなどの入力機器と情報を出力する画面が備わっている。又、半導体処理装置は、ネットワーク122を介して、ホストコンピュータ104と接続されており、処理に利用するガスの種類や濃度等のレシピや処理に要する標準的な時間など、必要な情報を必要な時に、ホストコンピュータ104よりダウンロードすることができる。
【0023】
次に、処理室及び搬送機構を含む機械部の構成について、図2を用いて説明する。図2は、機械部を上面から俯瞰した図である。機械部は、大きく分けて、大気側機械部234と真空側機械部235に分けられる。大気側機械部234は、大気圧下で、ウェハが収納されているカセットから、ウェハを取り出したり収納したりといったウェハの搬送等を行う部分である。真空側機械部235は、大気圧から減圧された圧力下でウェハを搬送し、処理室内において処理を行う部分である。そして、大気側機械部234と真空側機械部235との間に、ウェハを内部に有した状態で圧力を大気圧と真空圧との間で上下させて、ウエハを相互の領域へ流通させる仲介を果たす部分であるロードロック211を備えている。
【0024】
大気側機械部234には、ロードポート201,202と、アライナー236と、処理済みのウェハをいったん退避させるための退避ステーション232,233と大気ロボット203と、大気ロボットの可動エリアを覆う筐体204がある。このロードポート201,202に処理対象のウェハを収納したカセット(FOUP:フープ)が置かれる。そして、ウェハを保持することのできるハンドを有する大気ロボット203が、カセットの中に収納されているウェハを取り出して、ロードロック211の中へ搬送したり、逆に、ロードロック211の中からウェハを取り出し、カセット(FOUP:フープ)の中に収納したりする。又、大気ロボット203は、ロードロック211から取り出したウェハを退避ステーション232,233へ収納したり、退避ステーション232,233から取り出したウェハをカセットの中に収納したりする。この大気ロボット203は、ロボットアームを伸縮させたり、上下移動したり、旋回することができ、更に、筐体204の内部を水平移動することもできる。又、アライナー236とは、ウェハの向きを合わせるための機械である。但し、大気側機械部234は、一例であり、本発明の装置が、二つのロードポートを有する装置に限定されるものではなく、ロードポートの数が二つより少なくても、多くてもよい。加えて、本発明の装置が、一つの大気ロボットを有する装置に限定されるものではなく、複数の大気ロボットを有していてもよい。加えて、本発明の装置が、一つのアライナーを有する装置に限定されるものではなく、複数のアライナーを有していても良いし、アライナーが無くても良い。加えて、本発明の装置が、ウェハをいったん退避させるための、退避ステーションをロードポートの数と一致させた二つ有する装置に限定されるものではなく、二つより多くても、少なくてもよく、退避ステーションが無くてもよい。
【0025】
真空側機械部235には、処理室205,206,207,208,209,210と搬送室214,215,216と中間室212,213がある。処理室205,206,207,208,209,210は、ウェハに対してエッチングや成膜などの処理を行う部位である。これらは、ゲートバルブ222,223,224,225,226,227を介して、それぞれ搬送室214,215,216と接続されている。ゲートバルブ222,223,224,225,226,227は、これらのバルブ開閉により、処理室内部の空間と搬送室内部の空間を区切ったり、空間を繋げたりすることができる。
【0026】
搬送室214,215,216には、真空ロボット217,218,219がそれぞれ備わっている。この真空ロボット217,218,219は、ウェハを保持することのできるハンドを備えており、ロボットアームが伸縮や旋回や上下移動することが出来、ウェハをロードロックに搬送したり、処理室に搬送したり、中間室に搬送したりする。
【0027】
中間室212,213は、搬送室214,215,216の間に接続されており、ウェハを保持する機構を備えている。真空ロボット217,218,219が、この中間室212,213にウェハを置いたり、取り出したりすることで、搬送室間でウェハを受渡しすることができる。この中間室212,213は、ゲートバルブ228,229,230,231を介して、それぞれ搬送室214,215,216と接続している。このゲートバルブ228,229,230,231は、開閉するバルブを有しており、搬送室内部の空間と中間室内部の空間を区切ったり、空間を繋げたりすることができる。但し、真空側機械部235は、一例であり、本発明の装置が、六つの処理室を有する装置に限定されるものではなく、処理室数が六つより少なくても、多くてもよい。又、本実施例では、一つの搬送室に二つの処理室が接続される装置として説明するが、本発明の装置が、一つの搬送室に二つの処理室が接続された装置に限定されるものではなく、一つの搬送室に一つの処理室や三つ以上の処理室が接続された装置であってもよい。加えて、本発明の装置が、三つの搬送室を有する装置に限定されるものではなく、搬送室が三つより少なくても、多くてもよい。又、本実施例では搬送室と中間室の間にゲートバルブを備えた装置として説明するが、このゲートバルブはなくてもよい。
【0028】
ロードロック211は、ゲートバルブ220,221を介して、それぞれ大気側機械部234と真空側機械部235に接続しており、ウェハを内部に有した状態で圧力を大気圧と真空圧との間で上下させることができる。
【0029】
次に、機械部を側面から俯瞰した図3を用いて、ウェハを保持する構造について説明する。ウェハは、ロードロック305や、中間室310,315に保持することができる。これらロードロック305や中間室310,315は、複数のウェハをそれぞれ別々の保持できる構造(以降、保持段と呼ぶ)に保持する。物理的には、任意のウェハをどの保持段に置くことも可能であるが、運用として、一部の保持段には未処理ウェハのみ、又、別の一部の保持段には処理済ウェハのみを置くという運用が一般的である。これは、処理済ウェハには、処理に利用した腐食性ガスなどが付着しており、保持段にガスを残すことがある。このガスに未処理ウェハが触れると、ウェハに変質が起き、ウェハの品質を落としてしまうことがあるためである。よって、例えば、図3に示すようにロードロックに4段の保持段があったとした場合、2段を未処理ウェハ用の保持段、残り2段を処理済ウェハ用の保持段とする、というような運用が行われる。
【0030】
なお、符号301はロードポートに置かれたカセット(FOUP:フープ)を、符号302は大気ロボットの可動エリアを覆う筐体を、符号303は大気ロボットを、符号307,312,318は搬送室を、符号308,313,317は真空ロボットを、符号304,306,309,311,314,316はゲートバルブを、符号319,320,321,322,323,324,325はウェハを、それぞれ意味する。
【0031】
次に、本発明の半導体処理装置の動作制御システムの全体フローについて、図4を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、本実施例では、線形ツールにおいて、ウエハの処理は指定された真空処理室にて一回の処理を行って処理を完了する一工程処理のみを扱うものとするが、図20のシミュレーションの事例では、異なる処理室で二回の処理を行なう二工程処理の例を示すように、複数工程処理にも拡張が可能である。また、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件の下で搬送を行うものとする。
【0032】
コンソール画面401から、利用者が制御モードの「手動」か「自動」を選択することができ、制御モード設定部107が選択を受付けて、各モードの制御に入る。ここで、選択された制御モードによって、実行される処理が変わる。例えば、制御モードで「手動」が指定されれば、手動搬送先設定404が実行される。一方、制御モードで「自動」が指定され、搬送先計算トリガーの条件が満たされた時、搬送先計算処理407が実行される。なお、制御モード「自動」が解除されない場合には、搬送先計算トリガーの条件が満たされた時に搬送先計算処理407が繰り返し実行される。
【0033】
この演算処理404,407のいずれも、これから投入するウェハの搬送先処理室を決める処理であり、出力として搬送先情報405を出力する。この搬送先情報405と装置状態情報408をもとにして、動作命令計算409にて、動作命令410が算出され、機械部411がその動作命令410に基づいて、動作を行う。そして、動作を行う事で、装置内の状態が変化し、装置状態情報408が更新される。そして、再び、搬送先情報405と装置状態情報408をもとに、装置状態情報408の更新によって起動された動作命令計算409にて、動作命令410が算出され、機械部411は次の動作を行うことになる。
【0034】
また、搬送先処理室を自動で決定する演算処理407は、新たな処理対象のウエハの搬送先を決定する時に、都度実行され、搬送先情報405を更新する。例えば、大気ロボット203があるウェハをロードポートへ載置するための搬送を終了し、新たなウェハに対する搬送動作を行える状態になった時にトリガーが掛かり、搬送先計算407を起動して、搬送アルゴリズムを更新し、その搬送アルゴリズムを実行することにより、新たなウェハの搬送先を計算する、といった具合である。
【0035】
本発明は、制御モード「自動」を選択した時の制御方法に関するものであるので、以降、制御モード「自動」を選択した時の制御方法について説明する。よって以降、搬送先決定計算とは、搬送先計算407を指すものとする。
まず、図4で示した動作命令計算409について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、動作指示計算部108が実行する動作命令計算409の処理と入出力情報の関係を詳細に示した図である。動作命令計算409は、動作指示計算505と動作命令生成507の二つの演算処理から構成される。
【0036】
動作指示計算505とは、装置状態情報501と搬送先情報502と動作指示ルール情報503を入力とし、動作指示情報506を出力するものである。
【0037】
装置状態情報501(112)は、図11に例示する情報であり、ウエハを載置する部位、ウエハを処理する部位、またはウエハを把持する部位を識別する「部位」欄、前記部位の処理または稼動の状態を識別する「状態」欄、前記部位において載置、処理、または把持されているウエハ、または空きを識別する「ウエハ番号」欄、「ウエハ番号」欄のウエハの状態を表わす「ウエハ状態」欄のデータ項目を有する。例えば、「部位:ロードロック211_段1、状態:真空、ウェハ番号:W11、ウェハ状態:未処理」というデータは、ロードロック211の保持段の1段目の状態を示しており、ロードロックの状態は真空状態、ウェハ番号W11のウェハが保持されており、そのウェハW11は未処理ウェハであるということを意味している。ここで、ウェハ状態は、処理がなされていないウェハを未処理、処理室で現在処理しているウェハを処理中、処理が既になされているウェハを処理済とする。本発明の半導体処理装置の機械部の前記各部位には、センサが取り付けられていて、前記各部位の状態の変化を検知し、または真空ロボットによるウエハの受け渡し時に、前記ウエハ状態の変化を確認して、各時点において装置状態情報501(408,112)は、各部位の状態、またはウエハ状態の更新が行なわれる。
【0038】
搬送先情報502(116)は、図12に例示する情報であり、各ウェハの搬送先処理室を識別する情報を表している。
動作指示ルール情報503(117)は、図13に例示する情報であり、搬送元にあるウエハを搬送先へ搬送する「動作指示」欄と、前記「動作指示」欄の搬送を行なうために満たすべき条件を記載した「動作指示条件」欄のデータ項目を有する。例えば、「ロードロック211から中間室212へ搬送」という動作指示は、「ロードロック211に搬送先が処理室205,206以外の未処理ウェハがあり、かつ、ロードロック211が真空状態である」「中間室212に空きの保持段がある」「真空ロボット217の少なくとも片方のハンドが待機状態である」という条件が揃ったときに指示が行われるということを意味する。
【0039】
動作指示情報506(114)は、図14に例示する情報であり、搬送担当部位、搬送対象、搬送元、および搬送先のデータ項目を有して、搬送の動作指示と搬送対象のウェハ番号を持つ情報である。
動作指示計算505では、装置状態情報501、搬送先情報502を参照し、動作指示ルール情報503の動作指示条件が全て満たされた動作指示を抽出し、その動作指示を動作指示情報506として出力する。
【0040】
動作命令生成507は、動作指示情報506と動作シーケンス情報504を入力とし、動作命令508を出力し、機械部へ動作命令を伝達するものである。
動作シーケンス情報504(115)は、図15に例示する情報である。これは、動作指示について、大気ロボットや真空ロボットの動作や、ロードロックや中間室や処理室のゲートバルブの開閉動作や、ロードロックの真空引きを行うポンプの動作等、各部位の具体的な動作内容を記述したものであり、動作順序に記された番号の若い順より動作を実行するという事を意味している。この動作シーケンス情報504は、各動作指示に対応付けられて各々定義されるものである。
【0041】
動作命令生成507では、動作指示情報506より読み出した動作指示について、動作シーケンス情報504から該当する動作指示の動作シーケンスデータを抽出し、動作順序の番号の若い順より、動作命令508(410)として機械部へ伝達する。
【0042】
次に、図4で示した搬送先計算407について、図6を用いて詳細に説明する。図6は、搬送先計算407の処理と入出力情報の関係を詳細に示した図である。搬送先計算407は、搬送先変更判定607と搬送アルゴリズム計算609と搬送先更新計算611の三つの演算処理から構成される。
【0043】
搬送先変更判定計算部110が実行する搬送先変更判定607は、装置状態情報601(112)、搬送先計算トリガー602を入力とし、搬送先計算命令608を出力する。図7に搬送先変更判定607のフローチャートを示す。まず、処理ステップ701において、装置状態情報601と搬送先計算トリガー602を取得する。
搬送先計算トリガー602(121)は図16に例示する情報であり、装置の部位とその部位におけるイベント情報からなっている。前記搬送先計算トリガー602に記載された該当装置部位が、該当イベントの状態に達した際に、該当装置よりイベント信号が発せられて、その結果は装置状態情報601(112)の更新に反映される。この装置状態情報601と搬送先計算トリガー602を比較して、搬送先計算トリガー602におけるレコード(部位とイベント)と一致する装置状態情報のレコード(部位と状態)が発見された場合、搬送先計算命令608を出力する。一致する条件が発見されなかった場合は、装置状態情報601が都度更新されているため、検証を繰り返す。
【0044】
搬送アルゴリズム計算部109が実行する搬送アルゴリズム計算609は、搬送先計算命令608を受け取り、装置状態情報601と処理対象情報603(113)と搬送アルゴリズムライブラリ604(119)と搬送アルゴリズム判定ルール605(120)を入力とし、搬送アルゴリズム610を出力するものである。
【0045】
処理対象情報603(113)とは、図17に例示する情報であり、処理対象のウェハのウェハ番号及び処理時間が記述された情報である。
搬送アルゴリズムライブラリ604(119)とは、図18に例示するような情報であり、搬送アルゴリズムと各搬送アルゴリズムによる搬送先の決定条件が記述された情報である。図18では、搬送アルゴリズムの例として、各真空ロボットが搬送する枚数の比を変更したアルゴリズムを示している。ここで、図2における真空ロボット217が処理室205,208に搬送するウェハの枚数(L1)、真空ロボット218が処理室206,209に搬送するウェハの枚数(L2)、真空ロボット219が処理室207,210に搬送するウェハの枚数(L3)を比較して、それぞれの枚数比を計算し、L1:L2:L3とした。枚数比が0の時は、該当する真空ロボットはウェハを1枚も搬送しない。例えばL3が0の時、真空ロボット219はウェハを搬送しない。さらに、同一の真空ロボットによってウェハが搬送される2つの処理室は、番号の若い処理室、処理室205,208ならば処理室205を優先し、その後は交互に搬送する。また、リンクの異なる処理室に関しては、真空ロボットの番号の若い順、例えば真空ロボット217,218であれば、217を優先し、217,218,219、と1枚ずつ搬送した後、枚数比の条件を満たす限り、同じ順序で搬送する。このとき、L1:L2:L3=2:1:1であれば、各真空ロボットが1枚ずつ搬送した後、真空ロボット217がさらに1枚のウェハを処理室に搬送し、同じ動作を繰り返す。図18では真空搬送ロボットが搬送する枚数比を用いた搬送アルゴリズムを説明しているが、処理が終了した処理室に順にウェハを搬送するといった搬送アルゴリズムもあり、図18に示した搬送アルゴリズムだけに限るものでは無い。搬送アルゴリズムライブラリ604(119)は、記憶部106に予め格納される場合と、ホストコンピュータ104にデータベースとして格納されているものを検索する場合が考えられる。
【0046】
搬送アルゴリズム判定ルール605(120)とは、図19に例示する情報であり、稼働している処理室の数・配置及び処理時間といった条件から高スループットの搬送アルゴリズムを選択するための条件が記述された情報である。図19に示すルールは、予めホストコンピュータ104において、想定される処理室の数・配置の組合せを決めて、ウエハの種類に対応した各処理室の処理時間を設定して、それぞれの設定条件において、搬送アルゴリズムライブラリに登録された各搬送アルゴリズムを使ってシミュレーションを実行して、スループットを評価し、各搬送アルゴリズムに基づくスループット値と共に、最もスループットが高かった搬送アルゴリズムを予め選択して、データテーブルに纏めたものである。
【0047】
ここで、シミュレーションとは、時刻を進めながら動作を並べていく計算手順である。シミュレーションの計算例として、ウェハ番号W1,W2,W3を搭載したロットが半導体処理装置に到着した時に、既に別ロットが処理されており、その別ロットのウェハ番号W0が処理室4で処理中で残り処理時間35という状態で、シミュレーションを行うものとする。又、W1,W2,W3の順で投入されるルールであるとする。なおこの一例の説明では説明を簡単にするため、外部搬送部位の動作やゲートバルブの動作は割愛し、搬送ロボットと処理モジュールの動作のみシミュレーションする。
【0048】
以下に図20を参照しながら、動作シミュレーションを説明する。
以下では、ロードロックをLL、処理室をPM、真空ロボットをVR、中間室をWSと略記する。まず、時刻0において、LLにはW1が格納、PM1,PM2にはウェハは格納されておらず、PM4にはW0が格納されており処理中という状態からスタートする。この場合、VR1がW1をLLから搬出し、PM1へ搬入する動作開始条件が満たされている。そこでその動作を図中に示すように並べる。次に、いずれかの動作が完了し、動作開始条件に変化のある可能性のある時刻まで時刻を進める。この例の場合、VR1によるLL→PM1(W1)の動作は所要時間10である。そこで、時刻を10まで進める。ここで、動作開始条件が満たされている動作の有無をチェックする。PM1にW1が搬送されたので、PM1の処理の動作開始条件が満たされる。そこで、PM1でのW1に対する処理の動作を、時刻10を始点として並べる。次に、PM1のW1に対する処理時間が20であるので、時刻を30まで進める。ここで、VR1によるPM1→PM2(W1)の動作が動作開始条件と、PM4でのW0に対する処理が完了し、VR2によるPM4→WS1(W0)の動作開始条件が満たされるので、時刻30を始点として並べる。次に、時刻35まで進めると、VR2によるPM4→WS1(W0)の動作が完了する。ここで、動作開始条件が揃う動作は無いが、VR1によるWS1→LL(W0)の動作開始条件の一つであるWS1に処理済みウェハがあるという状態となり、VR1がウェハを保持していないという状態になるのを待つことになる。ここで、時刻40において、外部搬送部位によって、W2がLLに格納されるとする。そこで、時刻40まで進めると、VR1がウェハを保持してない状態となり、VR1によるWS1→LL(W0)と、VR1によるLL→PM1(W2)と、PM2でW1の処理の動作開始条件がそれぞれ満たされる。ここで、VR1によるWS1→LL(W0)と、VR1によるLL→PM1(W2)は、ともにVR1の動作であり、同時に行えない。そこで、一番早く動作開始条件が揃った動作を優先するという優先ルールに従い、この例では、VR1によるWS1→LL(W0)が時刻35の時点からVR1がウェハを保持していない状態を待っていたので、この動作を優先する。又、PM2でW1の処理は平行して動作できるので、結局、VR1によるWS1→LL(W0)とPM2でW1の処理が、時刻40を始点として並べられる。 次に、時刻45まで進むと、VR1によるLL→PM1(W2)の動作開始条件が満たされるので、時刻45を始点として並べる。このように時刻を進めながら動作を並べる処理を、全ての処理対象ウェハに対して、処理を終えて、外部に搬出されるまでの全ての動作が並べ終わるまで繰り返す。この例では、VR1がウェハW3をPM2→LLへ搬送する動作までを並べることで、全ての動作が並べ終わる。
【0049】
このシミュレーションの結果から、全ての動作のうち、完了時刻が一番遅い動作の完了時刻を得ることが出来る。この時刻までが搬送及び処理に要した所要時間であるので、処理したウェハ枚数をこの所要時間で割ることで、単位時間当たりの処理ウェハ枚数であるスループットを算出できる。例えば、図20の例の場合、VR1によるPM2→LL(W3)が最後の動作となり、その時刻は165である。よって、搬送ルート候補番号1の場合のスループットは、3/165≒0.018となる。このようなシミュレーションとスループット算出の計算を、想定される全ての処理室の数・配置の組合せ、および処理時間の組合せに対して、適用できる搬送アルゴリズムライブラリの中の全ての搬送アルゴリズムを使用して行うことで図19に示すスループットの推定値が得られ、各搬送アルゴリズムのスループット値を比較することにより選択する搬送アルゴリズムが選ばれる。
【0050】
図19の搬送アルゴリズム判定ルール605(120)の第1のデータレコードは、例えば処理室205,206,207,208を使用して、処理室205,206の処理時間が25(s)で、処理室207,208の処理時間が10(s)となるウエハを所定枚数投入して、搬送アルゴリズムライブラリの中より搬送アルゴリズム1と搬送アルゴリズム2を選んで、それぞれシミュレーションを実行した結果、搬送アルゴリズム2のスループット値が0.018となって最大であるので、選択する搬送アルゴリズムは搬送アルゴリズム2と選ばれたデータレコードであることを意味している。同様に、各種のデータレコードを予め作成して、搬送アルゴリズム判定ルール605(120)として、半導体処理装置の動作制御部102の記憶部106に予め格納しておく。または動作制御部102の記憶部106には常駐せずに、作成元であるホストコンピュータ104に搬送アルゴリズム判定ルールを常駐させて、半導体処理装置が稼動時に、ホストコンピュータ104上の搬送アルゴリズム判定ルールを参照する運用も考えられる。
【0051】
また、図19の搬送アルゴリズム判定ルールにおいて、搬送アルゴリズムを選択する条件は高スループットの搬送アルゴリズムを選択するためのものとして記述しているが、搬送アルゴリズムを選択するための指標として、スループットのみに限るものではない。さらに、図19においては、スループットの推定値を求めておき、保持しているが、実際の運用時においては使用しないので、搬送アルゴリズム判定ルールのデータテーブルには記録しなくてよい。
【0052】
搬送アルゴリズム計算609は、装置状態情報601、および処理室情報606から稼動状態の処理室情報を、処理対象情報603から各ウエハの処理時間を読み出して、搬送アルゴリズム判定ルールの処理時間の条件に適合するデータレコードを検索する。例えば、今回のウエハの処理には、処理室205−208を使用することを決め、各ウエハの処理時間は40(s)であることより、搬送アルゴリズム判定ルールの2行目のデータレコードを検索すると、選択する搬送アルゴリズムは、「搬送アルゴリズム1」と読み出される。選択された「搬送アルゴリズム1」をキーワードとして、搬送アルゴリズムライブラリ604を検索して、搬送アルゴリズムによる搬送先の決定条件「L1:L2:L3=1:2:1」を読み出し、実行する搬送アルゴリズム610とする。
【0053】
処理室情報606(118)とは、図21に例示する情報であり、各処理室の稼働状況及び処理終了履歴を表す情報である。状態が「稼働」であれば、処理を行う事が出来る状態を意味し、状態が「停止」であれば、処理を行う事ができない状態を意味する。又、処理終了履歴として、処理が終了した順序を表す。ここで、処理が全く実施されていない場合には、処理室番号の若い順に、小さい番号を付ける。搬送アルゴリズム計算609の詳細な計算処理は後述する。
【0054】
搬送先決定計算部111が実行する搬送先更新計算611は、搬送アルゴリズム610を入力とし、搬送先情報612を更新し、更新した搬送先情報612を出力するものである。搬送先更新計算611の詳細の計算処理は後述する。
【0055】
次に、図6で示した搬送アルゴリズム計算609の詳細な計算処理を図8のフローチャートを用いて説明する。搬送アルゴリズム計算609は、ウェハの搬送先の決定アルゴリズムとして、搬送アルゴリズムを選択する処理である。まず、処理ステップ801で、装置状態情報601からカセット(FOUP:フープ)内にある未処理ウェハの情報を、処理室情報606から各処理室の稼働状況を、処理対象情報603からウェハごとの処理時間を抽出する。次に、処理ステップ802で、処理ステップ801で取得した各処理室の稼働状況及びカセット内に残っている未処理ウェハの処理時間と、搬送アルゴリズム判定ルール605における条件を比較する。処理時間と条件との比較は、各処理室の稼働状況から稼働している処理室の数だけ、カセット内に残っている未処理ウェハを番号が若い順に処理時間を抽出して実行する。たとえば、稼働している処理室が4処理室ある場合、カセットに残っている未処理ウェハを番号が若い順に4枚選び、それらの処理時間とアルゴリズム判定ルールの条件を比較して、搬送アルゴリズムを選択する。次に、処理ステップ803において、搬送アルゴリズム判定ルール605の条件との比較により、各処理室の稼働状況及びカセット内に残る未処理ウェハの処理時間が条件を満たした場合、対応する搬送アルゴリズムを搬送アルゴリズムライブラリ604より抽出する。
【0056】
次に図6で示した搬送先更新計算611の詳細な計算処理を図9のフローチャートを用いて説明する。まず、処理ステップ901において搬送アルゴリズム計算609の処理において、選択された搬送アルゴリズムの搬送条件を搬送アルゴリズムライブラリ604より抽出する。次に、処理ステップ902において抽出された搬送条件に従って、処理室情報606から処理終了履歴を抽出しながら、各ウェハの搬送先情報を更新する。以上の処理により、処理ステップ903において更新された搬送先情報612を出力する。
【0057】
ここで、図6で説明した装置状態情報601や処理室情報606は、機械部をモニターした情報であり、時々刻々と更新され、又、処理対象情報603は、処理対象のウェハが入ったカセットがロードポートに到着した時に、ホストコンピュータよりダウンロードされるものである。
【0058】
最後に、図1に示したコンソール端末103の画面について、図10を用いて説明する。コンソール端末103は、入力部と出力部があり、入力部としてキーボードやマウス、タッチペン等が備わっている。又、出力部として画面が備わっている。その画面には、制御方法を選択するエリア1001と装置状態の概要を表示するエリア1002と装置状態の詳細データを表示するエリア1003とがある。制御方法を選択するエリア1001には、制御モードとして「手動」「自動」を選択できるようになっている。更に、制御方法として「自動」を選択すると、処理室不確実対応の有無を選択出来るようになる。装置状態の概要を表示するエリア1002には、どのウェハがどこにあるのか、簡便に把握できるよう、装置とウェハの位置をビジュアルに表示する。ウェハが移動すると、ウェハの表示位置がそれに応じて、変更される。図中のエリア1003内の円形で記載したものがウェハ1004を表すものである。又、装置状態の詳細データを表示するエリア1003には、装置内にあるウェハの詳細な状態や処理室や搬送機構の詳細な状態を表示する。
【符号の説明】
【0059】
101:機械部、
102:動作制御部、
103:コンソール端末、
104:ホストコンピュータ
105:演算部、
106:記憶部、
107:制御モード設定部、
108:動作指示計算部、
109:搬送アルゴリズム計算部、
110:搬送先変更判定部
111:搬送先決定計算部
112:装置状態情報
113:処理対象情報、
114:動作指示情報
115:動作シーケンス情報
116:搬送先情報
117:動作指示ルール情報、
118:装置構造情報
119:搬送アルゴリズムライブラリ
120:搬送アルゴリズム情報
121:搬送先計算トリガー
122:ネットワーク
201,202:ロードポート、
203:大気ロボット、
204:筐体、
205,206,207,208,209,210:処理室、
211:ロードロック、
212,213:中間室、
214,215,216:搬送室、
217,218,219:真空ロボット、
220,221,223,224,225,226,227,228,229,230,231:ゲートバルブ
232,233:退避ステーション
234:大気側機械部、
235:真空側機械部、
236:アライナー、
301:カセット、
302:筐体、
303:大気ロボット、
307,312,318:搬送室、
308,313,317:真空ロボット、
304,306,309,311,314,316:ゲートバルブ、
319,320,321,322,323,324,325:ウェハ、
404:手動搬送先設定、
407:搬送先計算、
409:動作命令計算、
410:動作命令、
505:動作指示計算、
507:動作命令生成、
607:搬送先変更判定、
609:搬送アルゴリズム計算、
611:搬送先更新計算、
701,801,802,803,901,902,903:処理ステップ、
1001:制御方法選択エリア、
1002:装置状態概要表示エリア、
1003:装置状態詳細データ表示エリア、
1004:ウェハ、
1101:装置状態情報を示す表の一例、
1201:搬送先情報を示す表の一例、
1301:動作指示ルール情報を示す表の一例、
1401:動作指示情報を示す表の一例、
1501:動作指示ルール情報を示す表の一例、
1601:搬送先計算トリガーを示す表の一例、
1701:処理対象情報を示す表の一例、
1801:搬送アルゴリズムライブラリを示す表の一例、
1901:搬送アルゴリズム判定ルールを示す表の一例、
2101:処理室情報の例を示す表の一例。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウェハや液晶ディスプレイといった基板状のウェハを処理する際に使用され、複数のガスを用いて微細なパターン加工などの処理をする真空処理装置及び真空処理装置において処理の対象である試料の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空処理装置はプロセスユニットと呼ばれる真空処理室を内部に有した真空容器、排気装置及びプラズマ形成装置などを備えた処理ユニットを具備しており、このような真空処理装置においては、低コスト化、生産性向上が求められている。生産性指標の代表例として、スループット(単位時間当たりの基板処理枚数)を向上させて装置一台あたりの処理の効率を高くすることが重要な課題となっている。以下では、真空処理装置における処理対象となる試料をウェハと呼ぶように、半導体処理装置を例として、説明する箇所があるが、本発明は半導体処理装置に限定されない。また、スループットを生産性指標の代表例として説明するが、例えばターンアラウンドタイムのように、他の生産性指標においても同様であり、スループットだけに限定されない。
【0003】
真空処理装置の一用途である半導体処理装置の処理においては、被処理基板である半導体ウェハなどのウェハに真空下での処理、例えばエッチング処理等のプラズマ処理を施す工程があり、このような処理を高スループットで行うために、すなわち装置一台あたりの処理の効率を高くするために、複数の処理室が設置された半導体処理装置が用いられている。通常、半導体処理装置は、真空処理室と常圧の大気搬送室とを備えたものが知られている。
【0004】
上記のような半導体処理装置は、ウェハを所定の枚数、例えば25枚収納するカセット(FOUP:フープ)が装置の前面側に装着され、このカセット内から搬送用のロボットがウェハを1枚ずつ取り出し、大気と真空を切り替えるロック室に搬送した後、真空排気され減圧されたロック室から減圧された搬送用の経路を介して処理を行ういずれかの各真空処理室に搬入されて処理が行われる。処理が終わると、搬出されて搬入時と逆方向の経路を通りロック室を介して大気圧下に戻される。その後、搬送ロボットにより搬出された時と同じカセットの同じ位置に戻される。これが半導体処理装置のウェハを処理する際の一般的な動作の順序である。
【0005】
このような半導体処理装置は、搬送室の周囲に放射状に真空処理室が接続されたクラスタツールと呼ばれる構造の装置が広く普及している。しかし、このクラスタツールの装置は、大きな設置面積を必要とし、特に、近年のウェハの大口径化に伴い、ますます設置面積が大きくなる問題を抱えている。そこで、設置面積を小さくすると同時に、スループット向上を実現するため、線形ツールと呼ばれる構造の装置が登場した。線形ツールの特徴は、複数の搬送室を有し、それぞれの搬送室に真空処理室が接続され、且つ、搬送室同士も直接接続、若しくは、中間に受渡しのスペース(以下、「中間室」)を挟んで接続される構造である。
【0006】
この線形ツールは従来一台であった搬送ロボットを複数台備えることにより、複数の搬送ロボットが複数の真空処理室へ並行してウェハを搬送することができる機構とし、高スループットを実現している。
【0007】
このように設置面積を小さくしながら、スループットの向上を実現した線形ツールという構造が提案されているが、一方で、スループット向上には、処理時間の短縮や搬送の効率化といった技術も重要である。しかし、これまでのクラスタツールに適用されていた搬送制御は単一の搬送ロボットを対象としており、複数の搬送ロボットを備えた線形ツールにおいて、そのまま適用した場合、スループットを低下させることがあるという問題があった。
【0008】
クラスタツールにおける搬送制御の代表的な方法として、処理が終了した処理室へ順にウェハを搬送する制御の手法がある。この手法を線形ツールに適用した場合、ウェハを処理する処理時間が、各処理室において、ほぼ同じ時間であるときには、高いスループットを実現することが可能である。しかし、種類の異なる製品を各処理室で並行して処理するなどした場合、各処理室における処理時間はその製品に依存し、それぞれ処理が終了するタイミングがばらばらになることがしばしば起こり得る。
【0009】
このような状況において、複数ある処理室の内、ある処理室の処理が終了した場合に、単純に次のウェハをすぐに搬送する制御を考える。このとき、処理が終了した処理室へ次に搬送されるウェハの処理時間が長かった場合、半導体処理装置の処理室の数、配置にも影響されるが、本来先に搬送しておくべきであった、処理時間の短い処理室で処理される予定のウェハの搬送経路を塞いでしまうことがある。結果として、スループットを低下させてしまうということが起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−94530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
複数の処理室が設置された真空処理装置のスループットを向上させるためには、搬送ロボットの負荷を分散させることが有効な手段の一つである。このために、特許文献1では従来の装置では1台であった搬送ロボットを複数台備え、複数の真空処理室へ並行して搬送することにより従来の真空処理装置に比べ、高スループットを実現している。しかしながら、複数の搬送ロボットを制御する手段に関しては、複数の搬送ロボット間でウェハを受け渡すという点のみしか言及していない。実際の半導体処理装置の運用において、処理室における処理時間は、処理室内で処理するウェハに応じて異なる。また、このため、複数台の搬送ロボットを備えた線形ツールにおいて、単純に処理が終了した処理室へ順に搬送する搬送制御手法では、各処理室で処理するウェハの処理時間によっては、スループットを低下させることがあるといった課題がある。
【0012】
また、ウェハの処理工程によって効率的な搬送方法は異なることがある。処理室にて一回の処理を行って処理を完了する処理工程もあれば、複数回の処理を行って処理を完了する処理工程もある。更に、運用条件によっても異なることがある。ウェハの処理予定の処理室をいつでも自由に変える事が出来る運用条件もあれば、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件もある。ウェハの処理予定の処理室をいつでも自由に変えられる運用条件とは、処理に用いるガスの種類など処理条件が複数の処理室で同じであり、どの処理室で処理しても処理後のウェハの品質に違いが無い場合である。又、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件とは、処理に用いるガスの種類など処理条件が複数の処理室で同じだが、あるウェハに対して、一度処理予定の処理室が決定されたら、膜厚などそのウェハ特有の状態に応じて処理条件を微調整する運用が行われる場合や、処理に用いるガスの種類など処理条件が処理室によって異なる場合である。
【0013】
そこで、本発明の目的は、線形ツールにおいて、処理室にて一回の処理を行って処理を完了する処理工程で、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件の下で、種類の異なる製品を各処理室で並行して処理するなどした場合、あらゆる処理室の数、配置においても、搬送効率の高い搬送制御を提供する半導体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明では、大気側に置かれた被処理体を真空側に取り込むロードロックと、前記真空側に設けられた搬送室に接続された前記被処理体に所定の処理を施す複数の処理室と、前記被処理体の受け渡し・搬送を行う真空ロボットを具備してなる複数の搬送機構部と、前記搬送機構部間を連結して前記被処理体を中継載置する複数の中間室と、前記ロードロックと前記中間室に設けられた複数の前記被処理体を保持する保持機構部と、前記被処理体の受け渡しおよび搬送を制御する制御部とを備えた真空処理装置を、前記制御部は、前記処理室、前記搬送機構部、前記中間室、前記保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに前記被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を実時間に更新して保持し、前記装置状態情報と、前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から搬送アルゴリズムを選択する手段と、選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出する手段とを備えて構成した。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記制御部の前記搬送アルゴリズムを選択する手段を、前記装置状態情報から稼動状態の処理室情報を読み出し、および前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から、最大のスループット値が予測される搬送アルゴリズムを選択するように構成した。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明では、前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムは、前記複数の搬送機構部を、前記ロードロックから前記処理室へ前記被処理体を直接受け渡し・搬送を行う第1の搬送機構部と、前記ロードロックから前記被処理体を前記第1の搬送機構部と前記中間室を介して受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第2の搬送機構部と、前記第2の搬送機構部から前記中間室を介して前記被処理体を受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第3の搬送機構部と、および第nの搬送機構部とに分類した場合に、前記ロードロックから搬送される前記被処理体の枚数を、前記第1の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第2の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第3の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、および前記第nの搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数とに分けて、それらの比率によって定義されるように構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、あらゆる処理室の数及び配置、処理室における処理時間を含めた処理条件において、搬送効率の高い搬送制御を提供する真空処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】半導体処理装置の全体構成の概略を説明した図である。
【図2】半導体処理装置の機械部の構成を説明した図である。
【図3】半導体処理装置の機械部のウェハ保持構造について説明した図である。
【図4】半導体処理装置の動作制御システムの全体フローを説明した図である。
【図5】動作指示計算の処理と入出力情報について説明した図である。
【図6】搬送先計算の処理と入出力情報について説明した図である。
【図7】搬送先変更判定の詳細な計算処理を説明した図である。
【図8】搬送先アルゴリズム計算の詳細な計算処理を説明した図である。
【図9】搬送先変更計算の詳細な計算処理を説明した図である。
【図10】コンソール端末の画面の例を示した図である。
【図11】装置状態情報の例を示した図である。
【図12】搬送先情報の例を示した図である。
【図13】動作指示ルール情報の例を示した図である。
【図14】動作指示情報の例を示した図である。
【図15】動作指示ルール情報の例を示した図である。
【図16】搬送先計算トリガーの例を示した図である。
【図17】処理対象情報の例を示した図である。
【図18】搬送アルゴリズムライブラリの例を示した図である。
【図19】搬送アルゴリズム判定ルールの例を示した図である。
【図20】シミュレーションの例を説明した図である。
【図21】処理室情報の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の半導体処理装置の全体構成の概略について、図1を用いて説明する。半導体処理装置は、大きく分けると、処理室や搬送機構を含む機械部101と動作制御部102とコンソール端末103から成っている。機械部101は、ウェハに対してエッチングや成膜などの処理を施すことができる処理室とウェハの搬送を行うロボットなどを備えた搬送機構で構成されている。動作制御部102は、処理室や搬送機構の動作を制御するコントローラであり、演算処理を行う演算部105と各種情報を記憶する記憶部106から成っている。
【0020】
演算部105には、利用者が指定した「手動」若しくは「自動」の制御モードによって、制御システムの内部処理を切り替える制御モード設定部107と、処理室や搬送機構を実際に動作させるための演算を行う動作指示計算部108と、複数のアルゴリズムの中から搬送アルゴリズム選択の計算を行う搬送アルゴリズム計算部109と、搬送先を計算するか否かを判定するための計算を行う搬送先変更判定計算部110と、選択された搬送アルゴリズムに基づいて、各ウェハが搬送される処理室を決定する計算を行う搬送先決定計算部111と、がある。
【0021】
記憶部106には、装置状態情報112、処理対象情報113、動作指示情報114、動作シーケンス情報115、搬送先情報116、動作指示ルール情報117、処理室情報118、搬送アルゴリズムライブラリ119、搬送アルゴリズム判定ルール120、搬送先計算トリガー121の情報が記憶されている。
【0022】
コンソール端末103は、利用者が制御方法を入力したり、装置の状態を確認したりするためのものであり、キーボードやマウスやタッチペンなどの入力機器と情報を出力する画面が備わっている。又、半導体処理装置は、ネットワーク122を介して、ホストコンピュータ104と接続されており、処理に利用するガスの種類や濃度等のレシピや処理に要する標準的な時間など、必要な情報を必要な時に、ホストコンピュータ104よりダウンロードすることができる。
【0023】
次に、処理室及び搬送機構を含む機械部の構成について、図2を用いて説明する。図2は、機械部を上面から俯瞰した図である。機械部は、大きく分けて、大気側機械部234と真空側機械部235に分けられる。大気側機械部234は、大気圧下で、ウェハが収納されているカセットから、ウェハを取り出したり収納したりといったウェハの搬送等を行う部分である。真空側機械部235は、大気圧から減圧された圧力下でウェハを搬送し、処理室内において処理を行う部分である。そして、大気側機械部234と真空側機械部235との間に、ウェハを内部に有した状態で圧力を大気圧と真空圧との間で上下させて、ウエハを相互の領域へ流通させる仲介を果たす部分であるロードロック211を備えている。
【0024】
大気側機械部234には、ロードポート201,202と、アライナー236と、処理済みのウェハをいったん退避させるための退避ステーション232,233と大気ロボット203と、大気ロボットの可動エリアを覆う筐体204がある。このロードポート201,202に処理対象のウェハを収納したカセット(FOUP:フープ)が置かれる。そして、ウェハを保持することのできるハンドを有する大気ロボット203が、カセットの中に収納されているウェハを取り出して、ロードロック211の中へ搬送したり、逆に、ロードロック211の中からウェハを取り出し、カセット(FOUP:フープ)の中に収納したりする。又、大気ロボット203は、ロードロック211から取り出したウェハを退避ステーション232,233へ収納したり、退避ステーション232,233から取り出したウェハをカセットの中に収納したりする。この大気ロボット203は、ロボットアームを伸縮させたり、上下移動したり、旋回することができ、更に、筐体204の内部を水平移動することもできる。又、アライナー236とは、ウェハの向きを合わせるための機械である。但し、大気側機械部234は、一例であり、本発明の装置が、二つのロードポートを有する装置に限定されるものではなく、ロードポートの数が二つより少なくても、多くてもよい。加えて、本発明の装置が、一つの大気ロボットを有する装置に限定されるものではなく、複数の大気ロボットを有していてもよい。加えて、本発明の装置が、一つのアライナーを有する装置に限定されるものではなく、複数のアライナーを有していても良いし、アライナーが無くても良い。加えて、本発明の装置が、ウェハをいったん退避させるための、退避ステーションをロードポートの数と一致させた二つ有する装置に限定されるものではなく、二つより多くても、少なくてもよく、退避ステーションが無くてもよい。
【0025】
真空側機械部235には、処理室205,206,207,208,209,210と搬送室214,215,216と中間室212,213がある。処理室205,206,207,208,209,210は、ウェハに対してエッチングや成膜などの処理を行う部位である。これらは、ゲートバルブ222,223,224,225,226,227を介して、それぞれ搬送室214,215,216と接続されている。ゲートバルブ222,223,224,225,226,227は、これらのバルブ開閉により、処理室内部の空間と搬送室内部の空間を区切ったり、空間を繋げたりすることができる。
【0026】
搬送室214,215,216には、真空ロボット217,218,219がそれぞれ備わっている。この真空ロボット217,218,219は、ウェハを保持することのできるハンドを備えており、ロボットアームが伸縮や旋回や上下移動することが出来、ウェハをロードロックに搬送したり、処理室に搬送したり、中間室に搬送したりする。
【0027】
中間室212,213は、搬送室214,215,216の間に接続されており、ウェハを保持する機構を備えている。真空ロボット217,218,219が、この中間室212,213にウェハを置いたり、取り出したりすることで、搬送室間でウェハを受渡しすることができる。この中間室212,213は、ゲートバルブ228,229,230,231を介して、それぞれ搬送室214,215,216と接続している。このゲートバルブ228,229,230,231は、開閉するバルブを有しており、搬送室内部の空間と中間室内部の空間を区切ったり、空間を繋げたりすることができる。但し、真空側機械部235は、一例であり、本発明の装置が、六つの処理室を有する装置に限定されるものではなく、処理室数が六つより少なくても、多くてもよい。又、本実施例では、一つの搬送室に二つの処理室が接続される装置として説明するが、本発明の装置が、一つの搬送室に二つの処理室が接続された装置に限定されるものではなく、一つの搬送室に一つの処理室や三つ以上の処理室が接続された装置であってもよい。加えて、本発明の装置が、三つの搬送室を有する装置に限定されるものではなく、搬送室が三つより少なくても、多くてもよい。又、本実施例では搬送室と中間室の間にゲートバルブを備えた装置として説明するが、このゲートバルブはなくてもよい。
【0028】
ロードロック211は、ゲートバルブ220,221を介して、それぞれ大気側機械部234と真空側機械部235に接続しており、ウェハを内部に有した状態で圧力を大気圧と真空圧との間で上下させることができる。
【0029】
次に、機械部を側面から俯瞰した図3を用いて、ウェハを保持する構造について説明する。ウェハは、ロードロック305や、中間室310,315に保持することができる。これらロードロック305や中間室310,315は、複数のウェハをそれぞれ別々の保持できる構造(以降、保持段と呼ぶ)に保持する。物理的には、任意のウェハをどの保持段に置くことも可能であるが、運用として、一部の保持段には未処理ウェハのみ、又、別の一部の保持段には処理済ウェハのみを置くという運用が一般的である。これは、処理済ウェハには、処理に利用した腐食性ガスなどが付着しており、保持段にガスを残すことがある。このガスに未処理ウェハが触れると、ウェハに変質が起き、ウェハの品質を落としてしまうことがあるためである。よって、例えば、図3に示すようにロードロックに4段の保持段があったとした場合、2段を未処理ウェハ用の保持段、残り2段を処理済ウェハ用の保持段とする、というような運用が行われる。
【0030】
なお、符号301はロードポートに置かれたカセット(FOUP:フープ)を、符号302は大気ロボットの可動エリアを覆う筐体を、符号303は大気ロボットを、符号307,312,318は搬送室を、符号308,313,317は真空ロボットを、符号304,306,309,311,314,316はゲートバルブを、符号319,320,321,322,323,324,325はウェハを、それぞれ意味する。
【0031】
次に、本発明の半導体処理装置の動作制御システムの全体フローについて、図4を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、本実施例では、線形ツールにおいて、ウエハの処理は指定された真空処理室にて一回の処理を行って処理を完了する一工程処理のみを扱うものとするが、図20のシミュレーションの事例では、異なる処理室で二回の処理を行なう二工程処理の例を示すように、複数工程処理にも拡張が可能である。また、初期位置からウェハの搬送が開始されたら、処理予定の処理室を変えられない運用条件の下で搬送を行うものとする。
【0032】
コンソール画面401から、利用者が制御モードの「手動」か「自動」を選択することができ、制御モード設定部107が選択を受付けて、各モードの制御に入る。ここで、選択された制御モードによって、実行される処理が変わる。例えば、制御モードで「手動」が指定されれば、手動搬送先設定404が実行される。一方、制御モードで「自動」が指定され、搬送先計算トリガーの条件が満たされた時、搬送先計算処理407が実行される。なお、制御モード「自動」が解除されない場合には、搬送先計算トリガーの条件が満たされた時に搬送先計算処理407が繰り返し実行される。
【0033】
この演算処理404,407のいずれも、これから投入するウェハの搬送先処理室を決める処理であり、出力として搬送先情報405を出力する。この搬送先情報405と装置状態情報408をもとにして、動作命令計算409にて、動作命令410が算出され、機械部411がその動作命令410に基づいて、動作を行う。そして、動作を行う事で、装置内の状態が変化し、装置状態情報408が更新される。そして、再び、搬送先情報405と装置状態情報408をもとに、装置状態情報408の更新によって起動された動作命令計算409にて、動作命令410が算出され、機械部411は次の動作を行うことになる。
【0034】
また、搬送先処理室を自動で決定する演算処理407は、新たな処理対象のウエハの搬送先を決定する時に、都度実行され、搬送先情報405を更新する。例えば、大気ロボット203があるウェハをロードポートへ載置するための搬送を終了し、新たなウェハに対する搬送動作を行える状態になった時にトリガーが掛かり、搬送先計算407を起動して、搬送アルゴリズムを更新し、その搬送アルゴリズムを実行することにより、新たなウェハの搬送先を計算する、といった具合である。
【0035】
本発明は、制御モード「自動」を選択した時の制御方法に関するものであるので、以降、制御モード「自動」を選択した時の制御方法について説明する。よって以降、搬送先決定計算とは、搬送先計算407を指すものとする。
まず、図4で示した動作命令計算409について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、動作指示計算部108が実行する動作命令計算409の処理と入出力情報の関係を詳細に示した図である。動作命令計算409は、動作指示計算505と動作命令生成507の二つの演算処理から構成される。
【0036】
動作指示計算505とは、装置状態情報501と搬送先情報502と動作指示ルール情報503を入力とし、動作指示情報506を出力するものである。
【0037】
装置状態情報501(112)は、図11に例示する情報であり、ウエハを載置する部位、ウエハを処理する部位、またはウエハを把持する部位を識別する「部位」欄、前記部位の処理または稼動の状態を識別する「状態」欄、前記部位において載置、処理、または把持されているウエハ、または空きを識別する「ウエハ番号」欄、「ウエハ番号」欄のウエハの状態を表わす「ウエハ状態」欄のデータ項目を有する。例えば、「部位:ロードロック211_段1、状態:真空、ウェハ番号:W11、ウェハ状態:未処理」というデータは、ロードロック211の保持段の1段目の状態を示しており、ロードロックの状態は真空状態、ウェハ番号W11のウェハが保持されており、そのウェハW11は未処理ウェハであるということを意味している。ここで、ウェハ状態は、処理がなされていないウェハを未処理、処理室で現在処理しているウェハを処理中、処理が既になされているウェハを処理済とする。本発明の半導体処理装置の機械部の前記各部位には、センサが取り付けられていて、前記各部位の状態の変化を検知し、または真空ロボットによるウエハの受け渡し時に、前記ウエハ状態の変化を確認して、各時点において装置状態情報501(408,112)は、各部位の状態、またはウエハ状態の更新が行なわれる。
【0038】
搬送先情報502(116)は、図12に例示する情報であり、各ウェハの搬送先処理室を識別する情報を表している。
動作指示ルール情報503(117)は、図13に例示する情報であり、搬送元にあるウエハを搬送先へ搬送する「動作指示」欄と、前記「動作指示」欄の搬送を行なうために満たすべき条件を記載した「動作指示条件」欄のデータ項目を有する。例えば、「ロードロック211から中間室212へ搬送」という動作指示は、「ロードロック211に搬送先が処理室205,206以外の未処理ウェハがあり、かつ、ロードロック211が真空状態である」「中間室212に空きの保持段がある」「真空ロボット217の少なくとも片方のハンドが待機状態である」という条件が揃ったときに指示が行われるということを意味する。
【0039】
動作指示情報506(114)は、図14に例示する情報であり、搬送担当部位、搬送対象、搬送元、および搬送先のデータ項目を有して、搬送の動作指示と搬送対象のウェハ番号を持つ情報である。
動作指示計算505では、装置状態情報501、搬送先情報502を参照し、動作指示ルール情報503の動作指示条件が全て満たされた動作指示を抽出し、その動作指示を動作指示情報506として出力する。
【0040】
動作命令生成507は、動作指示情報506と動作シーケンス情報504を入力とし、動作命令508を出力し、機械部へ動作命令を伝達するものである。
動作シーケンス情報504(115)は、図15に例示する情報である。これは、動作指示について、大気ロボットや真空ロボットの動作や、ロードロックや中間室や処理室のゲートバルブの開閉動作や、ロードロックの真空引きを行うポンプの動作等、各部位の具体的な動作内容を記述したものであり、動作順序に記された番号の若い順より動作を実行するという事を意味している。この動作シーケンス情報504は、各動作指示に対応付けられて各々定義されるものである。
【0041】
動作命令生成507では、動作指示情報506より読み出した動作指示について、動作シーケンス情報504から該当する動作指示の動作シーケンスデータを抽出し、動作順序の番号の若い順より、動作命令508(410)として機械部へ伝達する。
【0042】
次に、図4で示した搬送先計算407について、図6を用いて詳細に説明する。図6は、搬送先計算407の処理と入出力情報の関係を詳細に示した図である。搬送先計算407は、搬送先変更判定607と搬送アルゴリズム計算609と搬送先更新計算611の三つの演算処理から構成される。
【0043】
搬送先変更判定計算部110が実行する搬送先変更判定607は、装置状態情報601(112)、搬送先計算トリガー602を入力とし、搬送先計算命令608を出力する。図7に搬送先変更判定607のフローチャートを示す。まず、処理ステップ701において、装置状態情報601と搬送先計算トリガー602を取得する。
搬送先計算トリガー602(121)は図16に例示する情報であり、装置の部位とその部位におけるイベント情報からなっている。前記搬送先計算トリガー602に記載された該当装置部位が、該当イベントの状態に達した際に、該当装置よりイベント信号が発せられて、その結果は装置状態情報601(112)の更新に反映される。この装置状態情報601と搬送先計算トリガー602を比較して、搬送先計算トリガー602におけるレコード(部位とイベント)と一致する装置状態情報のレコード(部位と状態)が発見された場合、搬送先計算命令608を出力する。一致する条件が発見されなかった場合は、装置状態情報601が都度更新されているため、検証を繰り返す。
【0044】
搬送アルゴリズム計算部109が実行する搬送アルゴリズム計算609は、搬送先計算命令608を受け取り、装置状態情報601と処理対象情報603(113)と搬送アルゴリズムライブラリ604(119)と搬送アルゴリズム判定ルール605(120)を入力とし、搬送アルゴリズム610を出力するものである。
【0045】
処理対象情報603(113)とは、図17に例示する情報であり、処理対象のウェハのウェハ番号及び処理時間が記述された情報である。
搬送アルゴリズムライブラリ604(119)とは、図18に例示するような情報であり、搬送アルゴリズムと各搬送アルゴリズムによる搬送先の決定条件が記述された情報である。図18では、搬送アルゴリズムの例として、各真空ロボットが搬送する枚数の比を変更したアルゴリズムを示している。ここで、図2における真空ロボット217が処理室205,208に搬送するウェハの枚数(L1)、真空ロボット218が処理室206,209に搬送するウェハの枚数(L2)、真空ロボット219が処理室207,210に搬送するウェハの枚数(L3)を比較して、それぞれの枚数比を計算し、L1:L2:L3とした。枚数比が0の時は、該当する真空ロボットはウェハを1枚も搬送しない。例えばL3が0の時、真空ロボット219はウェハを搬送しない。さらに、同一の真空ロボットによってウェハが搬送される2つの処理室は、番号の若い処理室、処理室205,208ならば処理室205を優先し、その後は交互に搬送する。また、リンクの異なる処理室に関しては、真空ロボットの番号の若い順、例えば真空ロボット217,218であれば、217を優先し、217,218,219、と1枚ずつ搬送した後、枚数比の条件を満たす限り、同じ順序で搬送する。このとき、L1:L2:L3=2:1:1であれば、各真空ロボットが1枚ずつ搬送した後、真空ロボット217がさらに1枚のウェハを処理室に搬送し、同じ動作を繰り返す。図18では真空搬送ロボットが搬送する枚数比を用いた搬送アルゴリズムを説明しているが、処理が終了した処理室に順にウェハを搬送するといった搬送アルゴリズムもあり、図18に示した搬送アルゴリズムだけに限るものでは無い。搬送アルゴリズムライブラリ604(119)は、記憶部106に予め格納される場合と、ホストコンピュータ104にデータベースとして格納されているものを検索する場合が考えられる。
【0046】
搬送アルゴリズム判定ルール605(120)とは、図19に例示する情報であり、稼働している処理室の数・配置及び処理時間といった条件から高スループットの搬送アルゴリズムを選択するための条件が記述された情報である。図19に示すルールは、予めホストコンピュータ104において、想定される処理室の数・配置の組合せを決めて、ウエハの種類に対応した各処理室の処理時間を設定して、それぞれの設定条件において、搬送アルゴリズムライブラリに登録された各搬送アルゴリズムを使ってシミュレーションを実行して、スループットを評価し、各搬送アルゴリズムに基づくスループット値と共に、最もスループットが高かった搬送アルゴリズムを予め選択して、データテーブルに纏めたものである。
【0047】
ここで、シミュレーションとは、時刻を進めながら動作を並べていく計算手順である。シミュレーションの計算例として、ウェハ番号W1,W2,W3を搭載したロットが半導体処理装置に到着した時に、既に別ロットが処理されており、その別ロットのウェハ番号W0が処理室4で処理中で残り処理時間35という状態で、シミュレーションを行うものとする。又、W1,W2,W3の順で投入されるルールであるとする。なおこの一例の説明では説明を簡単にするため、外部搬送部位の動作やゲートバルブの動作は割愛し、搬送ロボットと処理モジュールの動作のみシミュレーションする。
【0048】
以下に図20を参照しながら、動作シミュレーションを説明する。
以下では、ロードロックをLL、処理室をPM、真空ロボットをVR、中間室をWSと略記する。まず、時刻0において、LLにはW1が格納、PM1,PM2にはウェハは格納されておらず、PM4にはW0が格納されており処理中という状態からスタートする。この場合、VR1がW1をLLから搬出し、PM1へ搬入する動作開始条件が満たされている。そこでその動作を図中に示すように並べる。次に、いずれかの動作が完了し、動作開始条件に変化のある可能性のある時刻まで時刻を進める。この例の場合、VR1によるLL→PM1(W1)の動作は所要時間10である。そこで、時刻を10まで進める。ここで、動作開始条件が満たされている動作の有無をチェックする。PM1にW1が搬送されたので、PM1の処理の動作開始条件が満たされる。そこで、PM1でのW1に対する処理の動作を、時刻10を始点として並べる。次に、PM1のW1に対する処理時間が20であるので、時刻を30まで進める。ここで、VR1によるPM1→PM2(W1)の動作が動作開始条件と、PM4でのW0に対する処理が完了し、VR2によるPM4→WS1(W0)の動作開始条件が満たされるので、時刻30を始点として並べる。次に、時刻35まで進めると、VR2によるPM4→WS1(W0)の動作が完了する。ここで、動作開始条件が揃う動作は無いが、VR1によるWS1→LL(W0)の動作開始条件の一つであるWS1に処理済みウェハがあるという状態となり、VR1がウェハを保持していないという状態になるのを待つことになる。ここで、時刻40において、外部搬送部位によって、W2がLLに格納されるとする。そこで、時刻40まで進めると、VR1がウェハを保持してない状態となり、VR1によるWS1→LL(W0)と、VR1によるLL→PM1(W2)と、PM2でW1の処理の動作開始条件がそれぞれ満たされる。ここで、VR1によるWS1→LL(W0)と、VR1によるLL→PM1(W2)は、ともにVR1の動作であり、同時に行えない。そこで、一番早く動作開始条件が揃った動作を優先するという優先ルールに従い、この例では、VR1によるWS1→LL(W0)が時刻35の時点からVR1がウェハを保持していない状態を待っていたので、この動作を優先する。又、PM2でW1の処理は平行して動作できるので、結局、VR1によるWS1→LL(W0)とPM2でW1の処理が、時刻40を始点として並べられる。 次に、時刻45まで進むと、VR1によるLL→PM1(W2)の動作開始条件が満たされるので、時刻45を始点として並べる。このように時刻を進めながら動作を並べる処理を、全ての処理対象ウェハに対して、処理を終えて、外部に搬出されるまでの全ての動作が並べ終わるまで繰り返す。この例では、VR1がウェハW3をPM2→LLへ搬送する動作までを並べることで、全ての動作が並べ終わる。
【0049】
このシミュレーションの結果から、全ての動作のうち、完了時刻が一番遅い動作の完了時刻を得ることが出来る。この時刻までが搬送及び処理に要した所要時間であるので、処理したウェハ枚数をこの所要時間で割ることで、単位時間当たりの処理ウェハ枚数であるスループットを算出できる。例えば、図20の例の場合、VR1によるPM2→LL(W3)が最後の動作となり、その時刻は165である。よって、搬送ルート候補番号1の場合のスループットは、3/165≒0.018となる。このようなシミュレーションとスループット算出の計算を、想定される全ての処理室の数・配置の組合せ、および処理時間の組合せに対して、適用できる搬送アルゴリズムライブラリの中の全ての搬送アルゴリズムを使用して行うことで図19に示すスループットの推定値が得られ、各搬送アルゴリズムのスループット値を比較することにより選択する搬送アルゴリズムが選ばれる。
【0050】
図19の搬送アルゴリズム判定ルール605(120)の第1のデータレコードは、例えば処理室205,206,207,208を使用して、処理室205,206の処理時間が25(s)で、処理室207,208の処理時間が10(s)となるウエハを所定枚数投入して、搬送アルゴリズムライブラリの中より搬送アルゴリズム1と搬送アルゴリズム2を選んで、それぞれシミュレーションを実行した結果、搬送アルゴリズム2のスループット値が0.018となって最大であるので、選択する搬送アルゴリズムは搬送アルゴリズム2と選ばれたデータレコードであることを意味している。同様に、各種のデータレコードを予め作成して、搬送アルゴリズム判定ルール605(120)として、半導体処理装置の動作制御部102の記憶部106に予め格納しておく。または動作制御部102の記憶部106には常駐せずに、作成元であるホストコンピュータ104に搬送アルゴリズム判定ルールを常駐させて、半導体処理装置が稼動時に、ホストコンピュータ104上の搬送アルゴリズム判定ルールを参照する運用も考えられる。
【0051】
また、図19の搬送アルゴリズム判定ルールにおいて、搬送アルゴリズムを選択する条件は高スループットの搬送アルゴリズムを選択するためのものとして記述しているが、搬送アルゴリズムを選択するための指標として、スループットのみに限るものではない。さらに、図19においては、スループットの推定値を求めておき、保持しているが、実際の運用時においては使用しないので、搬送アルゴリズム判定ルールのデータテーブルには記録しなくてよい。
【0052】
搬送アルゴリズム計算609は、装置状態情報601、および処理室情報606から稼動状態の処理室情報を、処理対象情報603から各ウエハの処理時間を読み出して、搬送アルゴリズム判定ルールの処理時間の条件に適合するデータレコードを検索する。例えば、今回のウエハの処理には、処理室205−208を使用することを決め、各ウエハの処理時間は40(s)であることより、搬送アルゴリズム判定ルールの2行目のデータレコードを検索すると、選択する搬送アルゴリズムは、「搬送アルゴリズム1」と読み出される。選択された「搬送アルゴリズム1」をキーワードとして、搬送アルゴリズムライブラリ604を検索して、搬送アルゴリズムによる搬送先の決定条件「L1:L2:L3=1:2:1」を読み出し、実行する搬送アルゴリズム610とする。
【0053】
処理室情報606(118)とは、図21に例示する情報であり、各処理室の稼働状況及び処理終了履歴を表す情報である。状態が「稼働」であれば、処理を行う事が出来る状態を意味し、状態が「停止」であれば、処理を行う事ができない状態を意味する。又、処理終了履歴として、処理が終了した順序を表す。ここで、処理が全く実施されていない場合には、処理室番号の若い順に、小さい番号を付ける。搬送アルゴリズム計算609の詳細な計算処理は後述する。
【0054】
搬送先決定計算部111が実行する搬送先更新計算611は、搬送アルゴリズム610を入力とし、搬送先情報612を更新し、更新した搬送先情報612を出力するものである。搬送先更新計算611の詳細の計算処理は後述する。
【0055】
次に、図6で示した搬送アルゴリズム計算609の詳細な計算処理を図8のフローチャートを用いて説明する。搬送アルゴリズム計算609は、ウェハの搬送先の決定アルゴリズムとして、搬送アルゴリズムを選択する処理である。まず、処理ステップ801で、装置状態情報601からカセット(FOUP:フープ)内にある未処理ウェハの情報を、処理室情報606から各処理室の稼働状況を、処理対象情報603からウェハごとの処理時間を抽出する。次に、処理ステップ802で、処理ステップ801で取得した各処理室の稼働状況及びカセット内に残っている未処理ウェハの処理時間と、搬送アルゴリズム判定ルール605における条件を比較する。処理時間と条件との比較は、各処理室の稼働状況から稼働している処理室の数だけ、カセット内に残っている未処理ウェハを番号が若い順に処理時間を抽出して実行する。たとえば、稼働している処理室が4処理室ある場合、カセットに残っている未処理ウェハを番号が若い順に4枚選び、それらの処理時間とアルゴリズム判定ルールの条件を比較して、搬送アルゴリズムを選択する。次に、処理ステップ803において、搬送アルゴリズム判定ルール605の条件との比較により、各処理室の稼働状況及びカセット内に残る未処理ウェハの処理時間が条件を満たした場合、対応する搬送アルゴリズムを搬送アルゴリズムライブラリ604より抽出する。
【0056】
次に図6で示した搬送先更新計算611の詳細な計算処理を図9のフローチャートを用いて説明する。まず、処理ステップ901において搬送アルゴリズム計算609の処理において、選択された搬送アルゴリズムの搬送条件を搬送アルゴリズムライブラリ604より抽出する。次に、処理ステップ902において抽出された搬送条件に従って、処理室情報606から処理終了履歴を抽出しながら、各ウェハの搬送先情報を更新する。以上の処理により、処理ステップ903において更新された搬送先情報612を出力する。
【0057】
ここで、図6で説明した装置状態情報601や処理室情報606は、機械部をモニターした情報であり、時々刻々と更新され、又、処理対象情報603は、処理対象のウェハが入ったカセットがロードポートに到着した時に、ホストコンピュータよりダウンロードされるものである。
【0058】
最後に、図1に示したコンソール端末103の画面について、図10を用いて説明する。コンソール端末103は、入力部と出力部があり、入力部としてキーボードやマウス、タッチペン等が備わっている。又、出力部として画面が備わっている。その画面には、制御方法を選択するエリア1001と装置状態の概要を表示するエリア1002と装置状態の詳細データを表示するエリア1003とがある。制御方法を選択するエリア1001には、制御モードとして「手動」「自動」を選択できるようになっている。更に、制御方法として「自動」を選択すると、処理室不確実対応の有無を選択出来るようになる。装置状態の概要を表示するエリア1002には、どのウェハがどこにあるのか、簡便に把握できるよう、装置とウェハの位置をビジュアルに表示する。ウェハが移動すると、ウェハの表示位置がそれに応じて、変更される。図中のエリア1003内の円形で記載したものがウェハ1004を表すものである。又、装置状態の詳細データを表示するエリア1003には、装置内にあるウェハの詳細な状態や処理室や搬送機構の詳細な状態を表示する。
【符号の説明】
【0059】
101:機械部、
102:動作制御部、
103:コンソール端末、
104:ホストコンピュータ
105:演算部、
106:記憶部、
107:制御モード設定部、
108:動作指示計算部、
109:搬送アルゴリズム計算部、
110:搬送先変更判定部
111:搬送先決定計算部
112:装置状態情報
113:処理対象情報、
114:動作指示情報
115:動作シーケンス情報
116:搬送先情報
117:動作指示ルール情報、
118:装置構造情報
119:搬送アルゴリズムライブラリ
120:搬送アルゴリズム情報
121:搬送先計算トリガー
122:ネットワーク
201,202:ロードポート、
203:大気ロボット、
204:筐体、
205,206,207,208,209,210:処理室、
211:ロードロック、
212,213:中間室、
214,215,216:搬送室、
217,218,219:真空ロボット、
220,221,223,224,225,226,227,228,229,230,231:ゲートバルブ
232,233:退避ステーション
234:大気側機械部、
235:真空側機械部、
236:アライナー、
301:カセット、
302:筐体、
303:大気ロボット、
307,312,318:搬送室、
308,313,317:真空ロボット、
304,306,309,311,314,316:ゲートバルブ、
319,320,321,322,323,324,325:ウェハ、
404:手動搬送先設定、
407:搬送先計算、
409:動作命令計算、
410:動作命令、
505:動作指示計算、
507:動作命令生成、
607:搬送先変更判定、
609:搬送アルゴリズム計算、
611:搬送先更新計算、
701,801,802,803,901,902,903:処理ステップ、
1001:制御方法選択エリア、
1002:装置状態概要表示エリア、
1003:装置状態詳細データ表示エリア、
1004:ウェハ、
1101:装置状態情報を示す表の一例、
1201:搬送先情報を示す表の一例、
1301:動作指示ルール情報を示す表の一例、
1401:動作指示情報を示す表の一例、
1501:動作指示ルール情報を示す表の一例、
1601:搬送先計算トリガーを示す表の一例、
1701:処理対象情報を示す表の一例、
1801:搬送アルゴリズムライブラリを示す表の一例、
1901:搬送アルゴリズム判定ルールを示す表の一例、
2101:処理室情報の例を示す表の一例。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気側に置かれた被処理体を真空側に取り込むロードロックと、
前記真空側に設けられた搬送室に接続された前記被処理体に所定の処理を施す複数の処理室と、
前記被処理体の受け渡し・搬送を行う真空ロボットを具備してなる複数の搬送機構部と、
前記搬送機構部間を連結して前記被処理体を中継載置する複数の中間室と、
前記ロードロックと前記中間室に設けられた複数の前記被処理体を保持する保持機構部と、
前記被処理体の受け渡しおよび搬送を制御する制御部と、を備えた真空処理装置であって、
前記制御部は、前記処理室、前記搬送機構部、前記中間室、前記保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに前記被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を実時間に更新して保持し、
前記装置状態情報と、前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から搬送アルゴリズムを選択する手段と、
選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出する手段と、を有することを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記制御部の前記搬送アルゴリズムを選択する手段は、
前記装置状態情報から稼動状態の処理室情報を読み出し、および前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から、最大のスループット値が予測される搬送アルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムは、前記複数の搬送機構部を、前記ロードロックから前記処理室へ前記被処理体を直接受け渡し・搬送を行う第1の搬送機構部と、前記ロードロックから前記被処理体を前記第1の搬送機構部と前記中間室を介して受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第2の搬送機構部と、前記第2の搬送機構部から前記中間室を介して前記被処理体を受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第3の搬送機構部と、および第nの搬送機構部とに分類した場合に、前記ロードロックから搬送される前記被処理体の枚数を、前記第1の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第2の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第3の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、および前記第nの搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数とに分けて、それらの比率によって定義されることを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記制御部の前記被処理体の搬送先を算出する手段は、
選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記ロードロックから搬送される前記被処理体は、前記搬送機構部の番号の若い順に、前記搬送アルゴリズムの枚数の比率を満たすように1枚ずつ搬送され、および各搬送機構部に複数の処理室が接続される場合には、番号の若い処理室から順に1枚ずつ受け渡し・搬送先を決定して、前記被処理体の搬送先を算出することを特徴とする請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項5】
大気側に置かれた被処理体を真空側に取り込むロードロックと、
前記真空側に設けられた搬送室に接続された前記被処理体に所定の処理を施す複数の処理室と、
前記被処理体の受け渡し・搬送を行う真空ロボットを具備してなる複数の搬送機構部と、
前記搬送機構部間を連結して前記被処理体を中継載置する複数の中間室と、
前記ロードロックと前記中間室に設けられた複数の前記被処理体を保持する保持機構部と、
前記被処理体の受け渡しおよび搬送を制御する制御部と、を備えた真空処理装置において、
前記制御部は、
前記処理室、前記搬送機構部、前記中間室、前記保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに前記被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を、各部位のセンサ情報、または前記保持機構部の制御情報に基づいて収集し、
前記装置状態情報と、前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールのスループット値を比較して搬送アルゴリズムを選択し、
選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出し、および
前記各被処理体の搬送先に従って、前記ロードロックから供給される前記被処理体を、各搬送先の処理室へ受け渡しおよび搬送を制御することを特徴とする真空処理装置の被処理体の搬送方法。
【請求項6】
前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムは、前記複数の搬送機構部を、前記ロードロックから前記処理室へ前記被処理体を直接受け渡し・搬送を行う第1の搬送機構部と、前記ロードロックから前記被処理体を前記第1の搬送機構部と前記中間室を介して受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第2の搬送機構部と、前記第2の搬送機構部から前記中間室を介して前記被処理体を受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第3の搬送機構部と、および第nの搬送機構部とに分類した場合に、前記ロードロックから搬送される前記被処理体の枚数を、前記第1の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第2の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第3の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、および前記第nの搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数とに分けて、それらの比率によって定義されることを特徴とする請求項5に記載の真空処理装置の被処理体の搬送方法。
【請求項1】
大気側に置かれた被処理体を真空側に取り込むロードロックと、
前記真空側に設けられた搬送室に接続された前記被処理体に所定の処理を施す複数の処理室と、
前記被処理体の受け渡し・搬送を行う真空ロボットを具備してなる複数の搬送機構部と、
前記搬送機構部間を連結して前記被処理体を中継載置する複数の中間室と、
前記ロードロックと前記中間室に設けられた複数の前記被処理体を保持する保持機構部と、
前記被処理体の受け渡しおよび搬送を制御する制御部と、を備えた真空処理装置であって、
前記制御部は、前記処理室、前記搬送機構部、前記中間室、前記保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに前記被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を実時間に更新して保持し、
前記装置状態情報と、前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から搬送アルゴリズムを選択する手段と、
選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出する手段と、を有することを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記制御部の前記搬送アルゴリズムを選択する手段は、
前記装置状態情報から稼動状態の処理室情報を読み出し、および前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から、最大のスループット値が予測される搬送アルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムは、前記複数の搬送機構部を、前記ロードロックから前記処理室へ前記被処理体を直接受け渡し・搬送を行う第1の搬送機構部と、前記ロードロックから前記被処理体を前記第1の搬送機構部と前記中間室を介して受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第2の搬送機構部と、前記第2の搬送機構部から前記中間室を介して前記被処理体を受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第3の搬送機構部と、および第nの搬送機構部とに分類した場合に、前記ロードロックから搬送される前記被処理体の枚数を、前記第1の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第2の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第3の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、および前記第nの搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数とに分けて、それらの比率によって定義されることを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記制御部の前記被処理体の搬送先を算出する手段は、
選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記ロードロックから搬送される前記被処理体は、前記搬送機構部の番号の若い順に、前記搬送アルゴリズムの枚数の比率を満たすように1枚ずつ搬送され、および各搬送機構部に複数の処理室が接続される場合には、番号の若い処理室から順に1枚ずつ受け渡し・搬送先を決定して、前記被処理体の搬送先を算出することを特徴とする請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項5】
大気側に置かれた被処理体を真空側に取り込むロードロックと、
前記真空側に設けられた搬送室に接続された前記被処理体に所定の処理を施す複数の処理室と、
前記被処理体の受け渡し・搬送を行う真空ロボットを具備してなる複数の搬送機構部と、
前記搬送機構部間を連結して前記被処理体を中継載置する複数の中間室と、
前記ロードロックと前記中間室に設けられた複数の前記被処理体を保持する保持機構部と、
前記被処理体の受け渡しおよび搬送を制御する制御部と、を備えた真空処理装置において、
前記制御部は、
前記処理室、前記搬送機構部、前記中間室、前記保持機構部のそれぞれにおける動作状態、並びに前記被処理体の有無およびその処理状態を表わす装置状態情報を、各部位のセンサ情報、または前記保持機構部の制御情報に基づいて収集し、
前記装置状態情報と、前記被処理体の処理時間とに基づいて、予め処理室の数・配置と被処理体の処理時間との組合せの条件毎に前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールのスループット値を比較して搬送アルゴリズムを選択し、
選択された前記搬送アルゴリズムに基づいて、前記被処理体の搬送先を算出し、および
前記各被処理体の搬送先に従って、前記ロードロックから供給される前記被処理体を、各搬送先の処理室へ受け渡しおよび搬送を制御することを特徴とする真空処理装置の被処理体の搬送方法。
【請求項6】
前記被処理体の搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムは、前記複数の搬送機構部を、前記ロードロックから前記処理室へ前記被処理体を直接受け渡し・搬送を行う第1の搬送機構部と、前記ロードロックから前記被処理体を前記第1の搬送機構部と前記中間室を介して受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第2の搬送機構部と、前記第2の搬送機構部から前記中間室を介して前記被処理体を受け取り、処理室へ前記被処理体を受け渡し・搬送する第3の搬送機構部と、および第nの搬送機構部とに分類した場合に、前記ロードロックから搬送される前記被処理体の枚数を、前記第1の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第2の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、前記第3の搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数と、および前記第nの搬送機構部が処理室へ受け渡し・搬送する前記被処理体の枚数とに分けて、それらの比率によって定義されることを特徴とする請求項5に記載の真空処理装置の被処理体の搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−98412(P2013−98412A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241068(P2011−241068)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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