説明

着色組成物およびその製造方法

【課題】明度の高いカラーフィルタを製造できる着色組成物およびその製造方法の提供。
【解決手段】透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、400〜575nmにおける吸光値が8.0〜14.0である赤色顔料、600〜700nmにおける吸光値が11.2〜13.0である緑色顔料、550〜650nmにおける吸光値が9.0〜12.0である青色顔料、または400〜500nmにおける吸光値が5.0〜10.0である黄色顔料とを含む着色組成物、および顔料を強アルカリで洗浄し、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体に分散することを特徴とする着色組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等を構成するカラーフィルタの製造に好適に使用される着色組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビモニタ用途、パソコンモニタ用途、モバイル用途などに、液晶表示装置が応用されており、そこに用いられるカラーフィルタに対しては、明度、色純度、さらには各色フィルタセグメントを形成する際の塗布均一性、感度、現像性、パターン形状など、各種特性に対する要求レベルが高まってきている。さらに、長期間使用することから、耐熱性や耐光性など品質面の要求も強い。中でも、液晶表示装置の普及に伴って、カラーフィルタの明度の向上については、省エネルギー、低製造コストの観点から特に要望が強い。
カラーフィルタの明度を向上させる方法としては、各色フィルタセグメントの色相を調整する方法と、カラーフィルタを構成する色材である顔料の明度を向上させる方法がある。
【0003】
各色フィルタセグメントの色相を調整する方法については、例えば、特許文献1に、緑色フィルタセグメントの明度アップについて記載されていて、ホワイトの色相がずれない程度の微妙の調整により明度アップを行っている。
しかし、さらに高い明度になるように各色フィルタセグメントの色相を調製すると、ホワイトとしての色相がずれてしまい、表示装置として白色表示の不具合となり、この不具合を解消するためには表示コントロール装置を調整しなくてはならず、カラーフィルタ以外への部材に問題が連鎖的に発生する。一方、特許文献1のようなホワイトの色相がずれない程度の色相調整では、明度向上は不充分であり、より高い明度のカラーフィルタが求められている。
【0004】
また、顔料の明度を向上させる方法については、顔料に含まれる明度低下成分を低減させる方法があるが、従来の顔料の製造工程、すなわち従来の顔料の合成工程または顔料の精製工程のみで顔料に含まれる明度低下成分を低減させ、明度が高い顔料を得ることは困難であった。顔料の合成工程においては、顔料を合成する反応は全てが均一に起こるものではなく、反応の過程で、未反応物や副生成物等の顔料の明度を低下させる不純物が発生してしまうからである。不純物の発生は、顔料の合成工程の生産技術を工夫することにより、ある程度までコントロール可能ではあるが、限界もある。また、特許文献2に開示されているように、顔料の精製工程において、顔料を有機溶剤で洗浄することにより、顔料中の液晶表示に悪影響を及ぼす不純物を低減させることは可能である。
【0005】
しかし、顔料を有機溶剤で洗浄しただけでは、液晶表示に悪影響を与えるイオン性の不純物は低減されるが、明度を低下させる有色または無色の非イオン性不純物を除去することはできない。
有色または無色の非イオン性不純物を含む顔料は、高純度の顔料が必要とされているエレクトロニクス用材料、なかでも特に高純度の顔料が求められるカラーフィルタに用いた場合には、致命的な明度低下の原因となってしまう。
【特許文献1】特開2005−173287号公報
【特許文献2】特開2000−66022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、明度の高いカラーフィルタを製造することができる着色組成物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、非イオン性不純物が除去された顔料は、明度が高く、本来顔料が持っている色相を示すこと、および非イオン性不純物を極力取り除いた場合に、顔料の吸光値に変化が見られ、より高明度な顔料は、特定波長における吸光値が一定範囲に集まることを見出し、本発明に至った。
本願の第一の発明の着色組成物は、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、400〜575nmにおける吸光値が8.0〜14.0である赤色顔料とを含むことを特徴とする。
【0008】
本願の第二の発明の着色組成物は、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、600〜700nmにおける吸光値が11.2〜13.0である緑色顔料とを含むことを特徴とする。
本願の第三の発明の着色組成物は、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、550〜650nmにおける吸光値が9.0〜12.0である青色顔料とを含むことを特徴とする。
本願の第四の発明の着色組成物は、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、400〜500nmにおける吸光値が5.0〜10.0である黄色顔料とを含むことを特徴とする。
本願の第五の発明の着色組成物の製造方法は、顔料を強アルカリで洗浄し、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体に分散することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の着色組成物は、特定の吸光値を持った顔料を用いているため分光特性が優れ、該着色組成物を用いてカラーフィルタを作成することにより、各色フィルタセグメントの明度が向上し、ホワイトの色相を変えずにホワイトの明度を上げることができる。
また、本発明の着色組成物の製造方法は、強アルカリで洗浄した顔料を顔料担体に分散するため、本発明の方法で製造された着色組成物を用いてカラーフィルタを作成することにより、各色フィルタセグメントの明度が向上し、ホワイトの色相を変えずにホワイトの明度を上げることができる。
ホワイトの明度向上により、省エネルギー、低製造コストの観点で、従来と比較して優れた液晶表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の着色組成物に含まれる顔料は、色相に応じた規定の波長範囲における吸光値が一定範囲にあり、該顔料を含む着色組成物を用いてカラーフィルタを作成することで、ホワイトの明度が向上することを特徴とする。
具体的に、赤色顔料については、400〜575nmの波長における吸光値が8.0〜14.0の場合に、顔料の明度が上がる。緑色顔料については、600〜700nmの波長における吸光値が11.2〜13.0の場合に、明度が上がる。青色顔料については、550〜650nmの波長における吸光値が9.0〜12.0の場合に、明度が上がる。黄色顔料については、400〜500nmの波長における吸光値が5.0〜10.0の場合に、明度が上がる。
【0011】
顔料の吸光値は、顔料パウダーを用いて顔料ペレットを作製し、得られた顔料ペレットの400〜700nmの波長範囲における反射吸光度をエリプソメーター(jasco社製「M-220」)用いて測定し、得られた反射吸光度データから、所定の波長範囲の反射吸光度を積分して算出する。
顔料ペレットは、顔料パウダーを直径16mm、高さ1.6mmのサイズになるように、円筒状の容器に入れて400kgの荷重をかけて圧縮して作製する。用いる顔料パウダーの重量は、顔料の比重により変化するので、上記サイズの顔料ペレットが得られる量を適宜調整して使用する。
【0012】
顔料ペレットの反射吸光度は、顔料ペレットの表面を発光に対して45度傾け、発光した光を90度反射させ、反射させた光を受光部で感知して測定する。発光する光の波長は400〜700nmの範囲で5nm刻みで変化させて、顔料ペレットの表面に照射し、5nmごとの反射吸光度を測定する。
上記波長範囲における顔料の吸光値が上記範囲を下回る顔料は、顔料の中に無色の非イオン性不純物が含まれているため、該顔料を用いて形成されたフィルタセグメントは明度が低い。また、該フィルタセグメントを備えるカラーフィルタは、ホワイトの明度が低くなる。
【0013】
また、上記波長範囲における顔料の吸光値が上記範囲を上回る顔料は、顔料の中に有色の非イオン性不純物が含まれているため、該顔料を用いて形成されたフィルタセグメントは明度が低い。また、該フィルタセグメントを備えるカラーフィルタは、ホワイトの明度が低くなる。
さらに、各色顔料の好ましい吸光度範囲を例示すると、赤色顔料の吸光値は、より好ましくは9.0〜13.0であり、さらに好ましくは10.0〜12.0である。
緑色顔料の吸光値は、より好ましくは11.5〜12.9であり、さらに好ましくは11.8〜12.8である。
青色顔料の吸光値は、より好ましくは9.1〜11.0であり、さらに好ましくは9.2〜10.0である。
黄色顔料の吸光値は、より好ましくは5.5〜9.0であり、さらに好ましくは6.0〜8.0である。
【0014】
上記波長範囲における吸光値が上記範囲内にある各色顔料は、例えば顔料を強アルカリで洗浄し、効率よく網羅的に顔料精製を行い、色相や明度に悪影響を及ぼす非イオン性不純物を取り除くことにより、得ることができる。強アルカリ洗浄には、必要に応じて、強酸洗浄や有機溶剤洗浄を組み合わせることができる。
顔料には、無色の不純物や有色の不純物が多く含まれており、有機溶剤で洗浄することにより、顔料に含まれるイオン性不純物を低減させる方法は知られている。有機溶剤による洗浄では、非イオン性不純物は多く残存してしまうが、強アルカリ洗浄を行うことにより、色相や明度に悪影響を及ぼす非イオン性不純物を取り除くことができる。
【0015】
強アルカリ洗浄および強酸洗浄する際には、顔料の形態を崩してしまわないよう留意しなければならない。顔料の形態を崩さないとは、例えば顔料の結晶構造や粒子の大きさ、顔料自体の構造を変化させないことをいう。顔料の形態を崩してしまうと、色相が変化し、明度が低下するため好ましくない。
強アルカリ洗浄は、pH12.0〜14.5の強アルカリを用いて行うことが好ましい。pHが14.5を超えるアルカリを用いて洗浄すると、顔料自体の構造が不安定となり壊れやすくなる。顔料自体が壊れると発色を失い、顔料の吸光値が狙いの範囲を外れ、高い明度が発揮されない。また、pHが12.0未満のアルカリを用いて洗浄すると、期待される洗浄効果が発揮されずに、顔料の吸光値が狙いの範囲に入らず、高い明度が発揮されない。強アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等を用いることができる。
【0016】
また、強酸洗浄は、強アルカリ洗浄の前または後に行うことができ、pH1.0〜3.5の強酸を用いて行うことが好ましい。pHが1.0未満の酸を用いて洗浄すると、顔料自体の構造が不安定となり壊れやすくなる。顔料自体が壊れると発色を失い、顔料の吸光値が狙いの範囲を外れ、高い明度が発揮されない。さらに、pHが3.5を超える酸を用いて洗浄すると、期待される洗浄効果が発揮されない。強酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等を用いることができる。
有機溶剤洗浄は、強アルカリ洗浄、強酸洗浄を行った後に行うことが好ましい。先に有機溶剤で洗浄してしまうと、顔料の特徴から溶剤中の凝集力が強まり、溶剤洗浄の後で強アルカリ洗浄、強酸洗浄を行うと、網羅的な洗浄ができなくなり、洗浄効率が極端に低下するためである。
【0017】
有機溶剤洗浄は、溶解度パラメータ(SP値)8.0〜11.0の有機溶剤を用いて行うことが好ましい。溶解度パラメータが上記範囲外にある有機溶剤を用いて洗浄すると、期待される洗浄効果が発揮されない。有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)とは、有機溶剤の物理量(蒸発熱など)から求められる値であり、種々の文献に記載された値を用いることができる。有機溶剤の溶解度パラメータと有色または無色の非イオン性不純物の溶解度パラメータとの値が近いと、非イオン性不純物の溶解性が上がり、高純度の顔料が得られる。非イオン性不純物の溶解度パラメータは不明であるが、様々な種類の有機溶剤を用いて洗浄した結果、溶解度パラメータ(SP値)が8.0〜11.0の有機溶剤を用いて洗浄すると、非イオン性不純物を効率よく除去でき、容易に特定の吸光値を持った顔料が得られることが確認できた。
【0018】
有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(9.0)、プロピレンオキサイド(9.2)、イソプロピルクロライド(8.1)、エチルブロマイド(8.9)、アリールクロライド(8.8)、プロピルクロライド(8.4)、プロピルアミン(8.9)、シクロペンタン(8.1)、アセトン(9.6)、1,1-ジクロロエタン(8.9)、クロロホルム(9.1)、テトラヒドロフラン(9.0)、ブチルアミン(8.7)、ブチルクロライド(8.4)、メチルエチルケトン(9.0)、ベンゼン(9.1)、シクロヘキサン(8.2)、1,2-ジクロロエタン(9.9)、プロピオンニトリル(10.8)、プロピルアセテート(8.8)、3-ペンタノン(9.0)、ピペリジン(9.4)、ジプロピルアミン(8.0)、トルエン(8.9)、3-ペンタノール(10.2)、メチルイソブチルケトン(8.6)、プロピレンジアミン(11.0)、テトラクロロエチレン(9.3)、2-エチルブチルアミン(8.0)、ブチルアセテート(8.7)、2-ヘキサノン(8.7)、1-エトキシ-2-プロパノール(9.8)、N-ヘキシルクロライド(8.4)、1-ペンタノール(10.9)、パラ−キシレン(8.8)、メタ−キシレン(8.9)、4-ヘプタノン(8.7)、オルト−キシレン(9.0)、2-メトシキエチルアセテート(9.9)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(9.2)、2-エチル-1-ブタノール(10.4)、エチル-N-ブチルケトン(8.5)、2-ヘプタノン(9.0)、シクロヘキサノン(10.4)、3-ヘプタノン(9.9)、1-ヘキサノール(10.8)、ジブチルアミン(8.2)、2-ヘプタノール(9.8)、シクロヘキサノール(10.9)、ジイソブチルケトン(8.1)、メチル-N-ヘキシルケトン(8.8)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(9.4)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(8.7)、プロピレングリコールジアセテート(8.9)等を用いることができる。なお、カッコ内の数値は、溶解度パラメータ(SP値)である。
【0019】
また、洗浄する時間、温度、シェアなどのエネルギーは、顔料種ごとに最適な条件を選択することができる。時間については量産性を考えた時間、温度については現実的かつ安全に処理できる温度、シェアなどのエネルギーについては、現実的な装置を用いることを前提としている。
時間とシェアについては、トレードオフの関係にあるため、シェアがかからない装置を用いる場合には洗浄時間を長くし、シェアがかかる装置を用いる場合には洗浄時間を短くする。シェアがかかる装置を用いる場合には、洗浄時間を短くすることで、強アルカリ、強酸、有機溶剤で顔料自体が壊れることを防ぐことができる。温度については、安定して洗浄を管理し、顔料自体を変化させないようにするため、25〜85℃の範囲が好ましい。
【0020】
赤色顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、緑色顔料としては、ハロゲン化銅フタロシアニン系顔料、青色顔料としては、銅フタロシアニン系顔料、黄色顔料としては、金属錯体構造を有するアゾ系顔料を用いることが好ましい。
上記顔料は、顔料自体が高明度であり、強酸、強アルカリ、溶剤耐性が高いという特徴があり、顔料洗浄効果を最大限発揮できるため好ましい。
例えば、赤色顔料としては、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、ペリレン系顔料などがある。しかし、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料は、顔料構造由来で、ジケトピロロピロール系顔料より明度が低い。また、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料は、強酸や強アルカリ、有機溶剤に対する耐性がジケトピロロピロール系顔料より低く、洗浄効果を充分に発揮できない。
【0021】
本発明の着色組成物に含まれる特定の吸光値を有する顔料は、レーザ散乱法により測定される平均粒径が10〜300nmの微細顔料であることが好ましい。顔料の平均粒径が10nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、300nmを越える場合は、分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱が生じやすくなる。
顔料の微細化は、下記の方法で行うことができる。すなわち、顔料、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤の少なくとも3つの成分からなる混合物を粘土状の混合物とし、ニーダー等で強く練りこんで顔料を微細化したのち水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とする。次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を除去する。顔料の微細化工程において、樹脂、顔料分散剤等を添加してもよい。水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの無機塩は、顔料の3重量倍以上、好ましくは20重量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量が3重量倍よりも少ないと、所望の大きさの微細化顔料が得られない。また、20重量倍よりも多いと、後の工程における水溶性無機塩および水溶性溶剤の洗浄処理が多大であり、顔料の実質的な微細化処理量が少なくなる。
【0022】
本発明の着色組成物に含まれる顔料担体は、顔料を分散させるものであり、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。顔料担体は、顔料100重量部に対して、好ましくは50〜700重量部、より好ましくは100〜400重量部の量で用いることができる。
【0023】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0024】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0025】
顔料担体は、一般式(1)で表される化合物(a)と他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(b)とを共重合してなる透明樹脂を含有することが好ましい。該透明樹脂は、殆ど全ての顔料に優れた分散効果を発揮するため、着色組成物中において顔料の凝集を防ぎ、顔料が微細に分散した状態を維持する働きをする。そのため、上記透明樹脂を含む顔料担体に顔料を分散してなる本発明の着色組成物を用いてフィルタセグメントを形成した場合には、顔料凝集物の少ないフィルタセグメントを形成することができ、高透過率で明度が高いカラーフィルタを製造することができる。
【0026】
【化1】

式(1)において、R14は、水素原子またはメチル基を表す。R15はアルキレン基を表す。R16は、水素原子またはベンゼン環などの置換基を含んでも良い炭素数1〜20のアルキル基を表す。mは1〜15の整数を表す。
【0027】
上記透明樹脂の構成成分である一般式(1)で表される化合物(a)は、ベンゼン環のπ電子の効果により顔料表面への吸着/配向性が良好となる。特に(a)がパラクミルフェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートである場合には、その立体的な効果も加わり顔料に対しより良好な吸着/配向面を形成できるのでより効果が高い。また、R16のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、好ましくは1〜10である。炭素数が1〜10のときはアルキル基が障害となり樹脂同士の接近を抑制し顔料への吸着/配向を促進するが、炭素数が10を越えるとアルキル基の立体障害効果が高くなりベンゼン環の顔料表面への吸着/配向までをも妨げる。これは鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を越えるとベンゼン環の吸着/配向が極端に低下する。
【0028】
化合物(a)としては、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
化合物(b)としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)ペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、3クロロ2アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0030】
上記透明樹脂を構成する化合物中の化合物(a)の割合は、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは10〜35重量%である。化合物(a)の割合が0.1重量%より少ないと充分な顔料の分散効果を得ることができず、50重量%より多いと着色組成物中の他の構成成分との相溶性が低下し、モノマーや光重合開始剤の析出が起こることがある。
上記透明樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5000〜100000であり、さらに好ましくは10000〜50000である。
【0031】
顔料担体であるモノマー、オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0032】
本発明の着色組成物は、顔料、好ましくは強アルカリで洗浄した顔料を、必要に応じて下記光重合開始剤と共に、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体に分散することにより製造することができる。顔料担体中への顔料の分散は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて行うことができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、顔料を予め混合し、得られた顔料混合物を顔料担体中に微細に分散して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各々の顔料を別々に顔料担体中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
【0033】
顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、顔料誘導体や、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散助剤は、顔料100重量部に対して、0.1〜30重量部の量で用いることができる。
顔料誘導体は、下記一般式(2)で示される化合物であり、塩基性置換基を有するものと酸性置換基を有するものとがある。
【0034】
A−B 式(2)
A:有機顔料残基
B:塩基性置換基または酸性置換基
【0035】
式(2)中、Aの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0036】
式(2)中、Bの塩基性置換基としては、下記式(3)、式(4)、式(5)、および式(6)で示される置換基が挙げられ、酸性置換基としては、下記式(9)、式(10)、および式(11)で示される置換基が挙げられる。
【0037】
【化2】

【0038】
X:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−または直接結合を表す。
n:1〜10の整数を表す。
1、R2:それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基を表す。R1とR2とは、一体となって置換されていてもよい複素環を形成してもよい。また、R1とR2とは、一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む複素環を形成してもよい。
3:置換されていてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。
4、R5、R6、R7:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0039】
Y:−NR8−Z−NR9−または直接結合を表す。
8、R9:それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。
Z:炭置換されていてもよい素数1〜36のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニレン基、または置換されていてもよいフェニレン基を表す。
R:式(7)で示される置換基または式(8)で示される置換基を表す。
Q:水酸基、アルコキシル基、式(7)で示される置換基または式(8)で示される置換基を表す。式(7)および式(8)において、R1〜R7およびnは、上に定義した通りのものである。
【0040】
【化3】

【0041】
−SO3M/i 式(9)
−COOM/i 式(10)
【化4】

【0042】
M:水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子またはアルミニウム原子を表す。
i:Mの価数を表す。
10、R11、R12、R13:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0043】
式(3)〜式(8)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニペコチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
【0044】
式(11)のスルホン酸アミン塩を形成するために使用されるアミン成分は1級、2級、3級、4級のいずれのアミンでもよく、例えば、1級アミンとしては、側鎖を有していてもよいへキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エオコシルアミン等のアミン、もしくはそれぞれの炭素数に対応する不飽和アミンが挙げられる。
【0045】
2級、3級および4級アミンとしては、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルジドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルデシルアンモニウムクロリド、トリメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルドデシルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジメチルヘキサデシルオクタデシルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0046】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸モノエタノールアミン、ドデシル硫酸トリエタノールアミン、ドデシル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0048】
着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤は、顔料100重量部に対して、5〜150重量部の量で用いることができる。
【0049】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることができる。
【0050】
本発明の着色組成物には、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.5〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、顔料100重量部に対して、500〜4000重量部の量で用いることができる。
【0051】
また、本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、顔料100重量部に対して、0.1〜5重量部の量で用いることができる。
【0052】
本発明の着色組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材、グラビアオフセット印刷用インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インクジェットインキ等の形態で調製することができる。着色レジスト材は、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または活性エネルギー線硬化性樹脂と上記モノマー、上記光重合開始剤を含有する組成物中に、顔料を分散させたものである。
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0053】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタの製造に好適に用いられる。
カラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、赤色、緑色、青色、シアン色、イエロー色およびマゼンタ色から選ばれる2〜6色のフィルタセグメントを透明基板または反射基板上に形成することにより製造することができる
透明基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
反射基板としては、シリコンや、前記の透明基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。
【0054】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0055】
フォトリソグラフィー法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.5〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0056】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0057】
カラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物は、いずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0058】
透明基板または反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板または反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0059】
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などが形成される。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)などのカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
(アクリル樹脂溶液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0061】
(赤色顔料1の作製)
C.I. Pigment Red 254顔料:500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で8時間混練し、赤色ドウを得た。
得られた赤色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら10時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、400部の赤色顔料1を得た。
【0062】
(赤色顔料2の作製)
赤色顔料1の作製と同様にして得られた赤色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の赤色顔料2を得た。
【0063】
(赤色顔料3の作製)
赤色顔料1の作製と同様にして得られた赤色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後、メチルエチルケトン(SP値:9.0)に投入し、25℃を保ちながら4時間攪拌した。その後、減圧乾燥にて水と溶剤を取り除き、390部の赤色顔料3を得た。
【0064】
(赤色顔料4の作製)
赤色顔料1の作製と同様にして得られた赤色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の赤色顔料4を得た。
【0065】
(赤色顔料5の作製)
赤色顔料1の作製と同様にして得られた赤色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが3.0になるように塩酸を投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが13.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の赤色顔料5を得た。
【0066】
(緑色顔料1の作製)
C.I. Pigment Green 36顔料:500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で8時間混練し、緑色ドウを得た。
得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら10時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、400部の緑色顔料1を得た。
【0067】
(緑色顔料2の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の緑色顔料2を得た。
【0068】
(緑色顔料3の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後、メチルエチルケトン(SP値:9.0)に投入し、25℃を保ちながら4時間攪拌した。その後、減圧乾燥にて水と溶剤を取り除き、390部の緑色顔料3を得た。
【0069】
(緑色顔料4の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入後、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の緑色顔料4を得た。
【0070】
(緑色顔料5の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが3.0になるように塩酸を投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが13.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の緑色顔料5を得た。
【0071】
(青色顔料1の作製)
C.I. Pigment Blue 15:6顔料:500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で8時間混練し、青色ドウを得た。
得られた青色ドウを100リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら10時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、400部の青色顔料1を得た。
【0072】
(青色顔料2の作製)
青色顔料1の作製と同様にして得られた青色ドウを10リットルの温水に投入し80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の青色顔料2を得た。
【0073】
(青色顔料3の作製)
青色顔料1の作製と同様にして得られた青色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後、メチルエチルケトン(SP値:9.0)に投入し、25℃を保ちながら4時間攪拌した。その後、減圧乾燥にて水と溶剤を取り除き、390部の青色顔料3を得た。
【0074】
(青色顔料4の作製)
青色顔料1の作製と同様にして得られた青色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の青色顔料4を得た。
【0075】
(青色顔料5の作製)
青色顔料1の作製と同様にして得られた青色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが3.0になるように塩酸を投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが13.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の青色顔料5を得た。
【0076】
(黄色顔料1の作製)
C.I. Pigment Yellow 150顔料:500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で8時間混練し、黄色ドウを得た。
得られた黄色ドウを100リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら10時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、400部の黄色顔料1を得た。
【0077】
(黄色顔料2の作製)
黄色顔料1の作製と同様にして得られた黄色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の黄色顔料2を得た。
【0078】
(黄色顔料3の作製)
黄色顔料1の作製と同様にして得られた黄色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後、メチルエチルケトン(SP値:9.0)に投入し、25℃を保ちながら4時間攪拌した。その後、減圧乾燥にて水と溶剤を取り除き、390部の黄色顔料3を得た。
【0079】
(黄色顔料4の作製)
黄色顔料1の作製と同様にして得られた黄色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら4時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の黄色顔料4を得た。
【0080】
(黄色顔料5の作製)
黄色顔料1の作製と同様にして得られた黄色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが3.0になるように塩酸を投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが13.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、70℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の黄色顔料5を得た。
【0081】
(緑色顔料8の作製)
先に得られた緑色顔料2を14.99部と、塩化ナトリウム0.01部を混合して、緑色顔料8を得た。
(緑色顔料9の作製)
先に得られた緑色顔料2を14.99部と、テトラブチルアンモニウムクロライド0.01部を混合して、緑色顔料9を得た。
【0082】
(緑色顔料10の作製)
C.I. Pigment Green 36顔料:5部を少量のメタノールで湿らせた後、5000部のイオン交換水に投入して1時間攪拌した。遠心分離機で濾過後、該顔料を5000部のアセトンに投入して1時間攪拌した。遠心分離機で濾過後、再び顔料を5000部のアセトンに投入して一時間攪拌した。遠心分離機で濾過後、乾燥して粉砕し、緑色顔料10を得た。
【0083】
(緑色顔料11の作製)
C.I. Pigment Green 36顔料:50部に、1500部の発煙硫酸を加えて常温で30分間攪拌して溶解させた。次に、溶液を80℃に昇温して4.5時間攪拌した。これを40000部のイオン交換水に静かに注入し、十分攪拌して析出・再結晶させた。得られた顔料を濾過し、イオン交換水で洗浄してから70℃で48時間真空乾燥して緑色顔料11を得た。
【0084】
(緑色顔料12の作製)
先に得られた緑色顔料2を14.99部と、沈降性バリウム0.01部を混合して、緑色顔料12を得た。
(緑色顔料13の作製)
先に得られた緑色顔料2を14.99部と、カーボンブラック0.01部を混合して、緑色顔料13を得た。
(緑色顔料14の作製)
先に得られた緑色顔料2を14.99部と、C.I. Pigment Black 32 顔料(BASF社製「Paliogen Black L 0086」)0.01部を混合して、緑色顔料14を得た。
【0085】
(緑色顔料15の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように硝酸を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の緑色顔料2を得た。
【0086】
(緑色顔料16の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが2.0になるように塩酸を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。次に、スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後に、スラリーのpHが14.0になるように水酸化カリウムを投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返し、80℃で一昼夜乾燥し、380部の緑色顔料2を得た。
【0087】
(緑色顔料17の作製)
緑色顔料1の作製と同様にして得られた緑色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、スラリーのpHが14.0になるように水酸化ナトリウム水溶液を投入し、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。スラリーのpHが7.0になるように水洗、濾過を繰り返した後、P-キシレン(SP値:8.8)に投入し、25℃を保ちながら4時間攪拌した。その後、減圧乾燥にて水と溶剤を取り除き、390部の緑色顔料3を得た。
得られた各色顔料について、発明を実施するための最良の形態に記載した方法で、顔料の吸光値を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
[実施例1〜26、および比較例1〜17]
表1に示す配合組成で、混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、picoミルで10時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、各色顔料分散体を作製した。
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、着色組成物を作製した。
顔料分散体 60.0部
光重合開始剤 1.2部 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)
ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックスM400」) 4.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
先に調製したアクリル樹脂溶液 11.0部
シクロヘキサノン 23.2部
【0089】
得られた着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で1時間加熱、放冷後、得られた塗膜のF10光源での色度Yを、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、各色着色組成物の塗布膜厚は、赤色着色組成物についてはF10光源でのxが0.582になるように、緑色着色組成物についてはF10光源でのyが0.505になるように、青色着色組成物においてはF10光源でのyが0.181になるように、黄色着色組成物についてはF10光源でのxが0.438になるように調整した。
【0090】
【表1】

【0091】
赤色顔料6:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
「イルガフォアレッド BT−CF」
赤色顔料7:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガフォアレッド B−CF」
緑色顔料6:東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6YK」
緑色顔料7:東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6Y501」
青色顔料6:東洋インキ製造社製「リオノールブルー ES」
青色顔料7:大日本インキ化学工業社製「ファストゲンブルー EP−7S」
黄色顔料6:ランクセス社製「BAYFAST yellow Y−5688」
黄色顔料7:ランクセス社製「BAYPLAST yellow 5GN」
分散剤 :味の素ファインテクノ社製「PB−821」
溶剤 :メトキシプロピルアセテート
【0092】
[実施例27]
実施例3で得られた赤色着色組成物45部と、実施例15で得られた黄色着色組成物5部を混合し、実施例27の赤色着色組成物を得た。得られた着色組成物を、F10光源で仕上がりxが0.602となるように膜厚を調整してコート、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ、照度30mWで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で1時間加熱、放冷後、得られた赤色フィルタセグメントをF10光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
【0093】
[比較例18]
実施例3で得られた赤色着色組成物を、比較例1で得られた赤色着色組成物に変え、実施例15で得られた黄色着色組成物を、比較例12で得られた黄色着色組成物に変えて比較例18の赤色着色組成物を得た以外は、実施例27と同様にして赤色フィルタセグメントを作成し、F10光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
[比較例20]
実施例3で得られた赤色着色組成物を、比較例2で得られた赤色着色組成物に変え、実施例15で得られた黄色着色組成物を、比較例11で得られた黄色着色組成物に変えて比較例20の赤色着色組成物を得た以外は、実施例27と同様にして赤色フィルタセグメントを作成し、F10光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
【0094】
[実施例28]
実施例5で得られた緑色着色組成物30部と、実施例15で得られた黄色着色組成物20部を混合し、実施例28の緑色着色組成物を得た。得られた着色組成物を、F10光源で仕上がりyが0.556となるように膜厚を調整してコート、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ、照度30mWで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で1時間加熱、放冷後、得られた緑色フィルタセグメントをF10光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
【0095】
[比較例19]
実施例5で得られた緑色着色組成物を、比較例4で得られた緑色着色組成物に変え、実施例15で得られた黄色着色組成物を、比較例11で得られた黄色着色組成物に変えて比較例19の緑色着色組成物を得た以外は、実施例28と同様にして緑色フィルタセグメントを作成し、F10光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
[比較例21]
実施例5で得られた緑色着色組成物を、比較例6で得られた赤色着色組成物に変え、実施例15で得られた黄色着色組成物を、比較例12で得られた黄色着色組成物に変えて比較例21の緑色着色組成物を得た以外は、実施例28と同様にして緑色フィルタセグメントを作成し、F10光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
【0096】
【表2】

【0097】
実施例27と比較例18、20、実施例28と比較例19、21の結果を比較すると、吸光値が特定の範囲内にある顔料を用いた実施例27、28の場合は、フィルタセグメントの明度が高く優れている。その反面、顔料吸光値が特定の範囲を上回る顔料を用いた比較例19、20の場合や、下回る顔料を用いた比較例18、21の場合は、明度アップの効果がない結果となっている。
【0098】
[実施例29および比較例22、23]
さらに、カラーフィルタとしてのホワイトの明度を比較する。
実施例12、27、28で測定した各色フィルタセグメントのF10光源での色度(Y,x,y)を用いて、計算によりカラーフィルタのホワイトの明度を求め、実施例29とした。同様にして、比較例7、18、20で測定した各色フィルタセグメントの色度から算出されたホワイトの明度を比較例22とし、比較例9、19、21で測定した各色フィルタセグメントの色度から算出されたホワイトの明度を比較例23とした。結果を表3に示す。
【0099】
【表3】

【0100】
表3に示すように、吸光値が特定の範囲内にある顔料を用いた各色着色組成物を用いて形成された赤色、緑色、青色のフィルタセグメントを具備する実施例29のカラーフィルタは、吸光値が特定の範囲外にある顔料を用いた各色着色組成物を用いて形成された赤色、緑色、青色のフィルタセグメントを具備する比較例22、23のカラーフィルタと比較して、非常に高いホワイトの明度Yを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、400〜575nmにおける吸光値が8.0〜14.0である赤色顔料とを含むことを特徴とする着色組成物。
【請求項2】
透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、600〜700nmにおける吸光値が11.2〜13.0である緑色顔料とを含むことを特徴とする着色組成物。
【請求項3】
透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、550〜650nmにおける吸光値が9.0〜12.0である青色顔料とを含むことを特徴とする着色組成物。
【請求項4】
透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体と、400〜500nmにおける吸光値が5.0〜10.0である黄色顔料とを含むことを特徴とする着色組成物。
【請求項5】
顔料を強アルカリで洗浄し、透明樹脂、その前駆体、または透明樹脂およびその前駆体の混合物からなる顔料担体に分散することを特徴とする着色組成物の製造方法。

【公開番号】特開2008−133375(P2008−133375A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321029(P2006−321029)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】