説明

磁気ヘッドスライダ用焼結体、磁気ヘッドスライダ、及び磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法

【課題】エアベアリング面の段差の低減を図れかつ表面平滑性の高い磁気ヘッドスライダ用焼結体、これを用いた磁気ヘッドスライダ、及び磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物と、Alと、遊離炭素とを有し、100体積部のAlに対して、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物を25〜160体積部含み、Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を1〜15体積部含む磁気ヘッドスライダ用焼結体(但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドスライダ用焼結体、磁気ヘッドスライダ、及び磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜磁気ヘッドを含む磁気ヘッドスライダは、1979年に初めてハードディスク装置に使用されたが、このときの磁気ヘッドスライダは一般にミニスライダ(100%スライダ)と呼ばれている。その後、磁気ヘッドスライダは、ミニスライダの約70%の大きさのマイクロスライダ(70%スライダ)を経て、ミニスライダの約50%の大きさのナノスライダ(50%スライダ)へと小型化が進められてきている。
【0003】
この磁気ヘッドスライダは、一般に、基板上に薄膜磁気ヘッドを含む積層体を有してなる。このような磁気ヘッドスライダは、基板上に薄膜磁気ヘッドを含む積層体を積層して積層構造体とした後、この積層構造体を積層方向に平行に切断して薄膜磁気ヘッドの露出面を形成し、この露出面をラッピング(研磨)してエアベアリング面とすることにより得られる。
【0004】
そして、従来の磁気ヘッドスライダを製造する際においては、例えば下記特許文献1に記載されているように、アルミナと炭化チタンとを主成分とする高強度の焼結体、いわゆる、アルティック焼結体を磁気ヘッドスライダの基板として用いている。
【特許文献1】特開昭57−82172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在では、ミニスライダの約30%程の大きさのピコスライダ(30%スライダ)と呼ばれる磁気ヘッドスライダが主流となっており、今後、ハードディスク装置の小型化、低コスト化に伴い磁気ヘッドスライダは更に小型化され、将来的にはミニスライダの約20%程の大きさのフェムトスライダ(20%スライダ)へと移行することが予想されている。
【0006】
このような磁気ヘッドスライダの小型化に伴い、エアベアリング面を形成する際のラッピング工程において、基板と、基板上に積層した積層体との研磨量の違いにより生じるエアベアリング面の段差を低減することが求められている。さらに、研磨されたエアベアリング面における基板の表面平滑性を十分に向上することも求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エアベアリング面の段差の低減を図ることができかつ研磨面が十分な表面平滑性を有する磁気ヘッドスライダ用焼結体、これを用いた磁気ヘッドスライダ、及び磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、従来の磁気ヘッドスライダの基板として用いられるアルティック焼結体の研磨速度は、薄膜磁気ヘッドを含む積層体の研磨速度に比べて極めて低く、これによって、ラッピング時に積層体の研磨量が基板の研磨量にくらべて大きくなりすぎて大きな段差が生じることを見出した。さらに、本発明者らは、TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物と、Alと、遊離炭素とを含み、所定の組成の焼結体(但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)の研磨速度が、従来のアルティック焼結体の研磨速度よりも十分に高くなり、かつ、研磨面が十分に平滑になることを見出して本発明に想到した。
【0009】
本発明の磁気ヘッドスライダ用焼結体は、TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物と、Alと、遊離炭素とを有し、100体積部のAlに対して、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物を25〜160体積部含み、Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を1〜15体積部含む(但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)。
【0010】
また、本発明の磁気ヘッドスライダは、焼結体から作られた基板と、前記基板上に形成された、薄膜磁気ヘッドを含む積層体と、を備え、焼結体は、TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物と、Alと、遊離炭素とを有し、100体積部のAlに対して、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物を25〜160体積部含み、Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を1〜15体積部含む(但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)。
【0011】
これらの発明によれば、この焼結体は、従来の磁気ヘッドスライダ用焼結体に用いられるアルティック焼結体に比して研磨速度が速く、したがって、この磁気ヘッドスライダ用焼結体を用いた基板の研磨速度と、薄膜磁気ヘッドを含む積層体の研磨速度と、の差が従来よりも十分に少なくなる。これにより、磁気ヘッドスライダの製造時に、詳しくは、この磁気ヘッドスライダ用焼結体から作られた基板上に薄膜磁気ヘッドを含む積層体を積層して積層構造体とし、この積層構造体における積層方向に平行な断面をラッピングして磁気ヘッドスライダを製造する時に、ラッピングにより形成されるエアベアリング面において積層体と基板との間に段差が生じにくくなる。また、この磁気ヘッドスライダ用焼結体は、研磨面が十分な表面平滑性を有する。
【0012】
焼結体が、Ti及びXを含む炭化物やXCを含まず、TiCのみ含む場合には表面平滑性が十分でなくなる傾向がある。また、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物の濃度が上述の下限未満である場合には研磨速度や表面平滑性が十分でなくなる傾向がある。また、総炭化物の濃度が上述の上限超である場合には焼結性が悪くなる傾向がある。また、遊離炭素の濃度が上述の下限未満である場合には研磨速度が十分でなく、遊離炭素の濃度が上述の上限超の場合には表面平滑性が十分でなくなる。
【0013】
このような傾向が得られる理由は明らかでないが、例えば以下のように考えることができる。Al及びTiCを含む焼結体に遊離炭素が添加されると、焼結時におけるAlやTiC等の粒成長が抑制され、これにより、焼結体の研磨速度が高くなるものと考えられる。また、この焼結体に元素X、すなわち、Ta,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される1又は複数の元素が添加されると、この元素の一部はTiCに固溶することができ、金属炭化物の固溶体ができるため、表面粗さの改善も図られるものと考えられる。すなわち、Xとは、TiCと固溶可能な元素である。
【0014】
ここで、磁気ヘッドスライダ用焼結体及び磁気ヘッドスライダにおいて、Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を3〜7体積部含むことが好ましい。こうすると、より十分な研磨速度及び研磨面の平滑性が得られる。
【0015】
また、総炭化物における、Xと、Tiとのモル比は、1:3〜3:1であることが好ましい。こうすると、表面平滑性を十分に向上できる。また、100体積部のAlに対して総炭化物を70〜160体積部含む場合には、総炭化物におけるXとTiとのモル比は1:10〜3:1であってもよい。こうすると、研磨速度が向上されやすい。
【0016】
本発明に係る磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法は、Al,TiC,XC、及び、炭素を含み、100体積部のAlに対して、TiC及びXCを合わせて25〜160体積部含み、Al、TiC及びXCの合計100体積部に対して炭素を1〜15体積部含む粉末の成形体を非酸化性雰囲気中で焼結させる工程を備える。ただし、Xは、Ta,W,Mo,Nb,Zr,V,Cr,Siからなる元素群から選択される1又は複数の元素である。
【0017】
これによれば、上述の磁気ヘッドスライダ用焼結体を好適に製造できる。
【0018】
ここで、成形体は、Al、TiC及びXCの合計100体積部に対して、炭素を3〜7体積部含むことが好ましい。また、成形体において、XCと、TiCとのモル比は、1:3〜3:1であることが好ましい。また、100体積部のAlに対して総炭化物を70〜160体積部含み、総炭化物におけるXとTiとのモル比は1:10〜3:1であることが好ましい。
【0019】
また、上述の製造方法においては、Al,TiC,XC及び炭素を含む混合粉末を成形して前記成形体を形成する工程をさらに備えることができる。
【0020】
また、Al,TiC,XC及び有機物を混合して混合物を得、前記混合物を非酸化性雰囲気中で熱処理することにより上記混合物中の有機物を炭化して混合粉末を得、前記混合粉末を成形して前記成形体を形成する工程をさらに備えることができる。
【0021】
さらに、Al,TiC,XC及び有機物を混合して混合物を得、前記混合物を成形し、成形された混合物を非酸化性雰囲気中で熱処理することにより上記混合物中の有機物を炭化して上記成形体を得る工程をさらに備えることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明よれば、エアベアリング面が十分な表面平滑度を有しつつエアベアリング面の段差が低減された磁気ヘッドスライダを実現することができる。これにより、より小さなサイズの磁気ヘッドスライダを製造でき、さらなる高密度化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
(磁気ヘッドスライダ用焼結体)
まず、本実施形態に係る磁気ヘッドスライダ用焼結体について説明する。
【0025】
本実施形態に係る磁気ヘッドスライダ用焼結体は、TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物、すなわち、(Ti,X)Cと、Al、及び、遊離炭素(C)を含む焼結体である。
【0026】
但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。この、XはTiCと固溶体を形成可能な元素群である。なお、Xの中で好ましい元素は、Ta,W,Mo,Nb,Zr,Vであり、より好ましい元素は、Ta,W,Mo,Nbであり、特に好ましいのはWである。
【0027】
ここで、焼結体において、Al、TiC、XC、(Ti,X)Cはそれぞれ結晶粒を形成している。なお、(Ti,X)Cとは、Ti及びXの炭化物であり固溶体である。
【0028】
また、焼結体において遊離炭素はAlや炭化物とは化学的に結合していない遊離成分であり、主として、Alや炭化物の結晶粒界に存在する。
【0029】
ここで、この磁気ヘッドスライダ用焼結体における総炭化物、すなわち、TiC及びXCの少なくとも一方と、(Ti,X)Cとを合わせたものの濃度は、100体積部のAlに対して、25〜160体積部である。TiC、XC、及び(Ti,X)Cの間における体積比率は特に限定されないが、(Ti,X)Cの割合が多いと表面平滑性が高くなるので好ましい。なお、TiC、XC、及び(Ti,X)Cの間における(Ti,X)Cの体積比率は、焼結温度が高くなるにつれて高くなる傾向がある。なお、焼結体において、TiC及びXCは、少なくともいずれか一方を含めばよいが、通常は両方が含まれる場合が多い。
【0030】
また、この磁気ヘッドスライダ用焼結体における遊離炭素の濃度は、Al及び総炭化物の合計100体積部に対して1〜15体積部である。なお、遊離炭素の濃度は、3〜7体積部であることが好ましい。
【0031】
なお、焼結体における各化合物や遊離炭素の体積比は、焼結体の断面写真における各成分の面積比から容易に取得できる。
【0032】
ここで、焼結体が、X及びTiを含む炭化物やXCを含まず、TiCのみを含む場合には表面平滑性が十分でなくなる傾向がある。また、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物の濃度が上述の下限未満である場合には研磨速度や表面平滑性が十分でなくなる傾向がある。また、総炭化物の濃度が上述の上限超である場合には焼結性が悪くなる傾向がある。また、Cの濃度が上述の下限未満である場合には研磨速度が十分でなく、炭素濃度が上述の上限超の場合には表面平滑性が十分でなくなる。
【0033】
また、総炭化物における、Xと、Tiとのモル比は、1:10〜3:1であることが好ましい。さらに、100体積部のAlに対して総炭化物を70〜160体積部含み、総炭化物におけるXとTiとのモル比は1:3〜3:1であることがより好ましい。
【0034】
さらに、この磁気ヘッドスライダ用焼結体は、さらにチタニア(TiO)を含むことができる。チタニアの好適な濃度は、Alを100体積部としたときに、0.5〜10体積部である。磁気ヘッドスライド用焼結体がチタニアを含むと、焼結性が高くなって高強度化が容易となる。
【0035】
なお、この磁気ヘッドスライダ用焼結体は、特性に影響を与えない程度に他の成分を含んでもよい。
【0036】
(磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法)
続いて、このような磁気ヘッドスライダ用焼結体の第一の製造方法について説明する。
【0037】
まず、Al粉末、TiC粉末、XC(金属Xの炭化物)粉末(ここで、Xは、Ta,W,Mo,Nb,Zr,V,Cr,Siからなる元素群から選択される1又は複数の元素)、炭素粉末、さらに、必要に応じて添加物としてのチタニア粉末を用意する。
【0038】
ここで、原料のAl粉末の平均粒子径は0.1〜1μmであることが好ましく、0.4〜0.6μmであることがより好ましい。
【0039】
また、TiC粉末及びXC粉末の平均粒子径は0.1〜3μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。TiC粉末及びXC粉末は、炭素を含んでいてもよい。
【0040】
また、炭素粉末の平均粒子径は20〜100nmであることが好ましい。炭素粉末としては、例えば、カーボンブラック、エチレンブラック等の炭素からなる粉末を使用することができる。
【0041】
また、チタニア粉末の平均粒子径は0.1〜3μmであることが好ましく、0.5〜1μmであることがより好ましい。
【0042】
そして、これらの粉末を、例えば、エタノール、IPA、95%変性エタノール等の有機溶剤中で混合し、混合粉末を得る。なお、水を溶媒として使用すると、溶媒とTiCとが化学反応を起こしてTiC粉末が酸化してしまうため、水は使用できない。
【0043】
ここでは、混合粉末において、100体積部のAlに対して、TiC及びXCを合わせて25〜160体積部含み、かつ、Al、TiC及びXCの合計100体積部に対して炭素を1〜15体積部含むように、Al粉末、TiC粉末、XC粉末、炭素粉末を配合する。なお、ここでの体積とは嵩密度等の粉体の見かけの体積でなく、各物質の真体積である。各物質の重量と各物質の真密度とに基づいて各物質の真体積を計算により求めるのは容易である。
【0044】
なお、TiCやXC等の金属炭化物粉末には、通常遊離炭素が0.1〜0.5wt%程度含まれる。上述の炭素の量とは、この遊離炭素も含めた炭素の量である。
【0045】
ここで、Al、TiC、XCの合計100体積部に対して、炭素を3〜7体積部含むことが好ましい。また、TiC及びXCはいずれも必須成分である。ここで、XCとTiCとのモル比は、1:3〜3:1であることが好ましい。さらに、100体積部のAlに対してTiC及びXCを合わせて70〜160体積部含む場合には、XCとTiCとのモル比が1:10〜3:1であってもよい。加えて、必要に応じて、チタニア粉末との添加剤を添加してもよい。
【0046】
ここで、粉末の混合は、ボールミルやアトライター中で行うことが好ましい。また、粉末の混合は、10〜100時間程度行うことが好ましい。なお、ボールミルやアトライター中の混合メディアとしては、例えば、直径1〜20mm程度の、アルミナボール等を使用することが好ましい。
【0047】
次に、混合粉末をスプレー造粒する。ここでは、例えば、酸素をほとんど含まない窒素やアルゴン等の不活性ガスの、60〜200℃程度の温風中で噴霧乾燥すればよく、これによって、上記の組成の混合粉末の造粒物が得られる。ここで、例えば、造粒物の粒径は、50μm〜200μm程度が好ましい。
【0048】
次に、必要に応じて上述の有機溶剤を添加して造粒物の液体含有量の調節を行い、0.1〜10重量%程度、造粒物中に有機溶剤が含まれるようにする。液体含有量の調節に用いる有機溶剤としては、例えば、エタノール、IPA、95%変性エタノール等の有機溶剤が挙げられ、通常、粉末の混合の際に用いた有機溶剤が使用される。なおここでも、水
を溶媒として使用すると、溶媒と炭化チタンとが化学反応を起こして炭化チタン粉末が酸化してしまうため、水は使用できない。
【0049】
次に、この造粒物を所定の型内に充填し、冷間プレスにより一次成形を行って成形体を得る。ここでは、例えば、内径150mmの円板形成用の金属製あるいはカーボン製の型内に造粒物を充填し、例えば、5〜15MPa(約50〜150kgf/cm)程度の圧力で冷間プレスすればよい。
【0050】
続いて、得られた成形体をホットプレス(HIP)し焼結体を得る。ここで、例えば、焼成温度を1200〜1750℃、圧力を10〜50MPa(約100〜500kgf/cm)、雰囲気を真空、窒素、アルゴン等の非酸化雰囲気中とする。なお、非酸化性雰囲気とするのは、炭化チタンの酸化を抑制するためである。また、混合粉体の成形にはカーボン製の型を用いることが好ましい。また、成形体の焼結時間は1〜3時間程度とすることが好ましい。なお、焼結体において、(Ti,X)C成分、すなわち固溶体成分を増やすと、表面平滑性が上がる傾向があるので、焼結温度は1650〜1750℃とすることが好ましい。
【0051】
これにより、磁気ヘッドスライダ用焼結体が完成する。ここでは、磁気ヘッドスライダ用焼結体の形状は特に限定されず、例えば、直径6インチ、厚み2.5mmの円板状の基板や、矩形基板とすることができる。
【0052】
続いて、このような磁気ヘッドスライダ用焼結体の第二の製造方法について説明する。
【0053】
上述の第一の製造方法では炭素粉末を用いたが、第2の製造方法ではこれに代えて有機物を用いる。具体的には、まず、Al粉末、TiC粉末、XC粉末、及び、有機物を混合して混合物を得る。ここで、有機物は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等を例示できる。また、混合物には、必要に応じて、チタニア粉末等の添加物を添加してもよい。
【0054】
続いて、この混合物を、真空雰囲気、窒素雰囲気等の非酸化性雰囲気下で熱処理することにより、混合物中の有機物を炭化させる。ここで、炭化条件は、有機物の種類等によって任意好適に設定できるが、例えば、真空乾燥炉等において、600℃、5時間程度熱処理をすることにより、Al、TiC、XC、及び、炭素を含み、必要に応じてチタニア等を含む混合粉末を得ることができる。
【0055】
その後、この混合粉末を第一の製造方法と同様にして成形し、焼結させればよい。
【0056】
このようにして有機物を用いて製造すると、炭素の均一分散が可能となり、炭素の分散に要する時間を短縮できる。ここで、炭化された有機物も上述の成形体中の炭素成分に含まれることとなる。
【0057】
緻密な磁気ヘッドスライダ用焼結体を得るためには、上述のように有機物を炭化した後に成形をすることが好ましいが、成形した後に有機物を炭化することもできる。
【0058】
具体的には、Al粉末、TiC粉末、XC粉末、及び、有機物等を含む混合物を得た後、炭化させる前にこの混合物を第一の製造方法と同様にして成形する。そして、この有機物を含む混合物の成形体に対して、上述のような熱処理を施して有機物を炭化し、Al、TiC、XC、及び、炭素等を含む成形体を得ることができる。
【0059】
ここで、第2の製造方法において、Al粉末、TiC粉末、XC粉末及び有機物、さらに、必要に応じてチタニア粉末等を混合して混合物とする際における各粉末の濃度は、これらの混合物を炭化した後の混合粉末又は成形体における、Al、TiC、XC、炭素、チタニアの量が、第一の製造方法に規定される濃度となるようにあらかじめ定めればよい。これによって、第一の製造方法と同様の組成の成形体が得られる。
【0060】
(磁気ヘッドスライダ)
次に、この磁気ヘッドスライダ用焼結体を用いた磁気ヘッドスライダについて図1を参照して説明する。
【0061】
本実施形態の磁気ヘッドスライダ11は薄膜磁気ヘッド10を有するものであり、ハードディスクを備えたハードディスク装置(不図示)に搭載されるものである。このハードディスク装置は、高速回転するハードディスクの記録面に、薄膜磁気ヘッド10によって磁気情報を記録及び再生するようになっている。
【0062】
本発明の実施形態に係る磁気ヘッドスライダ11は略直方体形状をなしている。図1において、磁気ヘッドスライダ11における手前側の面は、ハードディスクの記録面に対向配置される記録媒体対向面であり、エアベアリング面(ABS:Air Bearing Surface)
Sと称される。また、エアベアリング面には、トラック幅方向と直交する方向に11a溝が形成されている。
【0063】
ハードディスクが回転する際、この回転に伴う空気流によって磁気ヘッドスライダ11が浮上し、エアベアリング面Sはハードディスクの記録面から離隔する。エアベアリング面Sには、DLC(Diamond Like Carbon)等のコーティングを施してもよい。
【0064】
この磁気ヘッドスライダ11は、上述した磁気ヘッドスライド用材料から作られた基板13と、この基板13上に形成されると共に薄膜磁気ヘッド10を含む積層体14とを備えている。より詳しくは、本実施形態では、基板13は直方体形状を有し、基板13の側面上に積層体14が形成されている。
【0065】
積層体14の上面14aは、磁気ヘッドスライダ11の端面を形成しており、この積層体14の上面14aには薄膜磁気ヘッド10に接続された記録用パッド18a,18b及び再生用パッド19a,19bが取り付けられている。また、薄膜磁気ヘッド10は、積層体14内に設けられており、その一部がエアベアリング面Sから外部に露出している。なお、図1において、積層体14内に埋設されている薄膜磁気ヘッド10を、認識しやすさを考慮して実線で示している。
【0066】
このような磁気ヘッドスライダ11は、ジンバル12に搭載され、図示しないサスペンションアームに接続されることによりヘッドジンバルアセンブリを構成する。
【0067】
図2は、磁気ヘッドスライダ11におけるエアベアリング面Sに対して垂直かつトラック幅方向に垂直な方向の概略断面図(図1のII−II概略断面図)である。上述のように、磁気ヘッドスライダ11は、概略矩形板状の基板13と、この基板13の側面上に積層された積層体14とを有している。積層体14は、薄膜磁気ヘッド10と、この薄膜磁気ヘッド10を取り囲むコート層50と、を有している。
【0068】
薄膜磁気ヘッド10は、基板13に近い側から順に、ハードディスクの磁気情報を読取る読取素子としてのGMR(巨大磁気抵抗効果;Giant Magneto Resistive )素子40と、ハードディスクに磁気情報を書込む書込素子としての誘導型の電磁変換素子60と、を有しており、いわゆる、複合型薄膜磁気ヘッドとなっている。
【0069】
電磁変換素子60は、いわゆる面内記録方式を採用したものであり、基板13側から順に下部磁極61及び上部磁極64を備えると共に、さらに薄膜コイル70を備えている。
【0070】
下部磁極61及び上部磁極64のエアベアリング面S側の端部は、エアベアリング面Sに露出しており、下部磁極61及び上部磁極64の各露出部は所定距離離間されていて記録ギャップGを形成している。一方、上部磁極64におけるエアベアリング面Sとは離れた側の端部64Bは下部磁極61に向かって折り曲げられており、この端部64Bは下部磁極61におけるエアベアリング面Sとは離れた側の端部と磁気的に連結している。これにより、上部磁極64と下部磁極61とによってギャップGをはさむ磁気回路が形成される。
【0071】
薄膜コイル70は、上部磁極64の端部64Bを取り囲むように配置されており、電磁誘導により記録ギャップG間に磁界を発生させ、これによりハードディスクの記録面に磁気情報を記録させる。
【0072】
GMR素子40は、図示は省略するが多層構造を有してエアベアリング面Sに露出しており、磁気抵抗効果を利用してハードディスクからの磁界の変化を検出し、磁気情報を読み出す。
【0073】
GMR素子40と電磁変換素子60との間、上部磁極64と下部磁極61との間はそれぞれ絶縁性のコート層50により離間されている。また、薄膜磁気ヘッド10自体もエアベアリング面Sを除いてコート層50に覆われている。コート層50は、主として、アルミナ等の絶縁材料により形成されている。具体的には、通常、スパッタリング等により形成されたアルミナ層が用いられる。このようなアルミナ層は、通常アモルファス構造を有する。
【0074】
なお、薄膜磁気ヘッド10を面内記録方式ではなく、垂直記録方式としてもよい。また、GMR素子40の代わりに、異方性磁気抵抗効果を利用するAMR(Anisotropy Magneto Resistive)素子、トンネル接合で生じる磁気抵抗効果を利用するTMR(Tunnel-type Magneto Resistive)素子等を利用してもよい。
【0075】
さらに、コート層50内には、さらに、GMR素子40と電磁変換素子60との間を磁気的に絶縁する磁性層等を含んでもよい。
【0076】
続いて、以上のような磁気ヘッドスライダ11の製造方法について説明する。
【0077】
まず、前述のようにして、図3に示すように、前述の磁気ヘッドスライダ用焼結体を円板ウェハ状に形成した基板13を用意する。次に、図4(a)に示すように、この基板13上に、薄膜磁気ヘッド10及びコート層50を含む積層体14を周知の手法によって積層する。ここでは、積層体14中に、薄膜磁気ヘッド10が行列状に多数並ぶように積層体14を形成する。
【0078】
続いて、積層体14が積層された基板13を所定の形状・大きさに切断する。ここでは、例えば、図4(a)中の点線で示したように切断することにより、図4(b)に示すように、複数の薄膜磁気ヘッド10が一列に並びかつこれらの薄膜磁気ヘッド10が側面100BSにそれぞれ露出するように配置されたバー100Bを形成する。
【0079】
そして、このバー100Bの側面100BSを研磨してエアベアリング面Sを形成する、いわゆる、ラッピング工程を行う。このラッピング工程では、基板13とその上に積層された積層体14とを、同時にかつ積層方向と交差する方向(図2の矢印Xの方向)に研磨する。
【0080】
ここで、本実施形態では、基板13が、前述の磁気ヘッドスライダ用焼結体から作られている。したがって、この基板13の研磨速度は、従来のアルティック焼結体からつくられた基板の研磨速度よりも十分に高くなり、この基板13の研磨速度は薄膜磁気ヘッド10を含む積層体14の研磨速度と同程度となる。
【0081】
したがって、ラッピングをした場合に、積層体14と、基板13との間での研磨量の差が極めて小さくなり、積層体14と基板13との間の段差D(図5参照)が、従来よりもよりも著しく小さくなる。これにより、例えば、エアベアリング面Sをほぼ平坦な状態にすることができる。具体的には、例えば、段差Dを1.2nm以下にすることができる。
【0082】
また、この焼結体は、研磨面の最大高さRmax(JIS B 0601−1982)も十分に小さく、表面の平滑性を極めて高くできる。
【0083】
したがって、フェムトスライダやそれ以下の大きさのスライダを好適に作成することができ、更なる高密度記録化が容易となる。さらに、本実施形態の基板13は、十分な強度も有するので信頼性も十分である。
【実施例】
【0084】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0085】
本実施例では、構成材料の異なる磁気ヘッドスライダ用焼結体の基板を複数製造し、それぞれについて研磨速度及び表面粗さを測定した。
【0086】
(実施例1〜9)
まず、Al粉末(平均粒径0.5μm)、TiC粉末(平均粒径0.3μm、炭素を0.1重量%含む)、WC粉末(平均粒径0.1μm、炭素を0.1重量%含む)、TiO粉末(平均粒径0.6μm)、炭素粉末(カーボンブラック、平均粒径35nm)を各々所定量秤量し、ボールミル中でIPA(イソプロピルアルコール;沸点82.4℃)と共に30分粉砕して混合し、その後窒素中で150℃でスプレー造粒し造粒物を得た。
【0087】
ここで、Al粉末、TiC粉末、WC粉末、炭素粉末及びTiO粉末は、造粒物中において図6の条件を満たすような濃度で混合された。なお、体積比及びモル比は、重量比から、真密度や分子量に基づいて換算したデータである。なお、Al、TiC,WC,TiO、炭素の真密度はそれぞれ、3990、4920、15770、4260、2000kg/mとした。
【0088】
続いて、得られた造粒物を各々約0.5MPa(50kgf/cm)で一次成形し、その後、ホットプレス法によって真空雰囲気で1時間、所定の焼結温度、プレス圧力約30MPa(約300kgf/cm2)で焼成し、磁気ヘッドスライダ用焼結体を各実施
例について得た。なお、焼結温度は、実施例1は、1720℃、実施例2〜8は1700℃とした。
【0089】
その後、これらを20×20×1.8mm程度の切片にそれぞれ切り出し、その切片の表面に対して2000#の樹脂定盤上で油を用いて10minのプレ研磨を行った後、0.1μm径のダイアモンド粒子を含むスラリーを用い片面研磨機を用いてこの切片を本研磨した。ここで、本研磨の研磨条件は、スズ皿の回転数37.5回/min、荷重2550g、オスカーモータ回転数55回/min、研磨時間40分とした。そして、研磨前後の厚みを測定し、厚みの変化を研磨時間で除することにより、各実施例毎の研磨速度を取得した。また、研磨後の焼結体表面の表面粗さRa,Rmax(JIS B 0601−1982)を表面粗度測定装置(AFM)により測定した。
【0090】
(比較例1〜10)
比較例1は、炭素粉末を添加しない以外は実施例3と同じにした。比較例2では、炭素粉末の添加量を、34.6体積部とする以外は実施例3と同じにした。
【0091】
比較例3、4では、WC及びTiCの合計量と、炭素量とを、図6のようにした以外は実施例3と同様とした。
【0092】
比較例5では、チタニアを添加せず、WC及びTiCの合計量と、炭素量とを、図6のようにした以外は実施例3と同様とした。
【0093】
比較例6、7では、WCに代えてSiCを用い、SiC、TiC、Cの量を図6のようにする以外は実施例3と同様とした。
【0094】
比較例8、9では、WCを添加せず、TiC,TiO,Cの量を図6のようにする以外は実施例3と同様とした。
【0095】
比較例10では、WC、炭素及びチタニアを添加せず、TiCの量を図6のようにする以外は実施例3と同様とした。
【0096】
これらの条件を図6に、作成した焼結体の特性を図7にそれぞれ表にして示す。なお、研磨速度は比較例10の研磨速度を100とし、各実施例及び比較例の研磨速度を比較例10の研磨速度に対する比として表した。ここで、比較例10の研磨速度は、1.7μm/10minであった。
【0097】
実施例1〜9に係る切片では十分に高い研磨速度(120以上)が得られ、また、表面平滑性も十分(Rmaxが20nm以下)であった。一方、組成が上述の条件を満たさない比較例1〜10では、研磨速度や表面平滑性が十分でなかった。
【0098】
なお、実施例1,2のXRDデータを、ホットプレス軸方向の面について図8の(a)に、ホットプレス軸方向に対して垂直な面について図8の(b)に示す。実施例2に比べて温度の高い実施例1では、WCのピークが減少しており、固溶体が増加していることを示している。固溶体の存在はTEMによっても確認された。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る磁気ヘッドスライダの斜視図である。
【図2】図2は、図1の磁気ヘッドスライダにおけるII−II矢視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る磁気ヘッドスライダの製造方法を説明するための斜視図である。
【図4】図4(a)、図4(b)は、本発明の実施形態に係る磁気ヘッドスライダの製造方法を説明するための図3に続く斜視図である。
【図5】図5は、図4(b)のバーを研磨した状態を示す断面概念図である。
【図6】図6は、実施例1〜9、及び比較例1〜10の磁気ヘッド用基板作成時の成形体の配合を示す表である。
【図7】図7は、実施例1〜9、及び比較例1〜10で作成した磁気ヘッド用基板の特性を示す表である。
【図8】図8は、実施例1,2の焼結体についてのXRDデータであり、(a)はホットプレス軸方向の面についてのXRDデータ、(b)はホットプレス軸方向に対して垂直な面についてのXRDデータである。
【符号の説明】
【0100】
10…薄膜磁気ヘッド、11…磁気ヘッドスライダ、13…基板、14…積層体、50…コート層、D…段差、S…エアベアリング面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物と、Alと、遊離炭素とを有し、
100体積部のAlに対して、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物を25〜160体積部含み、
Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を1〜15体積部含む磁気ヘッドスライダ用焼結体。
(但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)
【請求項2】
Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を3〜7体積部含む請求項1に記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体。
【請求項3】
総炭化物におけるXとTiとのモル比は1:3〜3:1である請求項1又は2に記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体。
【請求項4】
100体積部のAlに対して総炭化物を70〜160体積部含み、
総炭化物におけるXとTiとのモル比は1:10〜3:1である請求項1又は2に記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体。
【請求項5】
焼結体から作られた基板と、前記基板上に形成された、薄膜磁気ヘッドを含む積層体と、を備え、
前記焼結体は、TiC及びXCの少なくとも一方と、Ti及びXを含む炭化物と、Alと、遊離炭素とを有し、
100体積部のAlに対して、TiC及びXCの少なくとも一方、及び、Ti及びXを含む炭化物を合わせた総炭化物を25〜160体積部含み、
Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を1〜15体積部含む磁気ヘッドスライダ。
(但し、XはTa,W,Mo,Nb,Zr,V及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)
【請求項6】
前記焼結体は、Al及び総炭化物の合計100体積部に対して遊離炭素を3〜7体積部含む請求項5に記載の磁気ヘッドスライダ。
【請求項7】
前記焼結体において、総炭化物における、Xと、Tiとのモル比は、1:3〜3:1である請求項5又は6に記載の磁気ヘッドスライダ。
【請求項8】
100体積部のAlに対して総炭化物を70〜160体積部含み、
総炭化物におけるXとTiとのモル比は1:10〜3:1である請求項5又は6に記載の磁気ヘッドスライダ。
【請求項9】
Al,TiC,XC、及び、炭素を含み、
100体積部のAlに対して、TiC及びXCを合わせて25〜160体積部含み、
Al、TiC及びXCの合計100体積部に対して炭素を1〜15体積部含む粉末の成形体を非酸化性雰囲気中で焼結させる工程を備える磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
(但し、Xは、Ta,W,Mo,Nb,Zr,V,Cr,Siからなる元素群から選択される1又は複数の元素である。)
【請求項10】
前記成形体は、Al、TiC及びXCの合計100体積部に対して、炭素を3〜7体積部含む請求項9に記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
【請求項11】
前記成形体において、XCとTiCとのモル比は1:3〜3:1である請求項9又は10に記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
【請求項12】
前記成形体において、100体積部のAlに対してTiC及びXCを合わせて70〜160体積部含み、XCとTiCとのモル比は1:10〜3:1である請求項9又は10に記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
【請求項13】
Al,TiC,XC及び炭素を含む混合粉末を成形して前記成形体を形成する工程をさらに備える請求項9〜12のいずれかに記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
【請求項14】
Al,TiC,XC及び有機物を混合して混合物を得、前記混合物を非酸化性雰囲気中で熱処理することにより前記混合物中の有機物を炭化して混合粉末を得、前記混合粉末を成形して前記成形体を形成する工程をさらに備える請求項9〜12のいずれかに記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
【請求項15】
Al,TiC,XC及び有機物を混合して混合物を得、前記混合物を成形し、成形された混合物を非酸化性雰囲気中で熱処理することにより前記混合物中の有機物を炭化して前記成形体を得る工程をさらに備える請求項9〜12のいずれかに記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。
【請求項16】
前記焼結体を焼結させる工程では、HIP法により焼結を行う請求項9〜15のいずれかに記載の磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−153653(P2007−153653A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349547(P2005−349547)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】