磁気検出装置
【課題】誤検出することなく磁性移動体の移動方向を検出することができる磁気検出装置を得る。
【解決手段】被検出対象の正方向への移動に基づく、第1磁電変化出力回路の出力と第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第1信号を出力し、ハイレベル1とローレベル1のパルスを発生し、被検出対象の逆方向への移動に基づく、第1磁電変化出力回路の出力と第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第2信号を出力し、ハイレベル2とローレベル2のパルスを発生する出力信号処理回路を備え、ハイレベル1とローレベル1のパルスが他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、ハイレベル2とローレベル2のパルスが一方の比較レベルと交差しないようにする。
【解決手段】被検出対象の正方向への移動に基づく、第1磁電変化出力回路の出力と第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第1信号を出力し、ハイレベル1とローレベル1のパルスを発生し、被検出対象の逆方向への移動に基づく、第1磁電変化出力回路の出力と第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第2信号を出力し、ハイレベル2とローレベル2のパルスを発生する出力信号処理回路を備え、ハイレベル1とローレベル1のパルスが他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、ハイレベル2とローレベル2のパルスが一方の比較レベルと交差しないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯状磁性移動体の移動方向を検知する磁気検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図18は磁気検出素子を用いた従来の磁気検出装置の磁気回路構成図である。図18(a)は斜視図、図18(b)は正面図である。図19は従来の磁気検出装置の電気回路図、図20は図19の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。これらは特許文献1に開示されている。磁気検出装置は、バイアス磁界を発生する直方体形状の磁石1と、この磁石1の上面に設けられ、磁気検出素子(磁電変換素子)である磁気抵抗効果素子を3個一体的に構成したICチップ2を有している。磁石1近傍の矢印は磁石1の着磁方向を表す。ICチップ2が有する3個の第1,第2,第3の磁気抵抗効果素子(MR素子という)21a,21b,22を歯車状磁性回転体(歯状磁性移動体)4に対向して接近させ、その回転方向に第1,第3,第2のMR素子21a,22,21bを順に並べて配置する。5は歯車状磁性回転体4の回転軸で、歯車状磁性回転体4の矢印3は回転方向を表す。第1,第2MR素子21a,21b及び抵抗8,9でブリッジ回路23を構成し、第3MR素子22と抵抗6及び抵抗12,13でブリッジ回路30を構成している。
【0003】
磁気検出装置の第1,第2,第3のMR素子21a,21b,22には、歯車状磁性回転体4の回転により、歯車状磁性回転体4の凹部と凸部とが交互に接近する。そのため磁石1から第1,第2,第3のMR素子21a,21b,22に印加される磁界が変化する。この磁界の変化は第1,第2,第3のMR素子21a,21b,22の抵抗変化となり、それぞれの電圧の変化として、2系統のブリッジ回路出力を得ることが可能となる。
【0004】
ブリッジ回路23の第1MR素子21aは、望ましくは定電圧、定電流の電源Vccに接続され、第2MR素子21bは接地され、第1MR素子21aと第2MR素子21bの接続点7は第1比較回路29の反転入力端子に接続される。抵抗8,9の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗8,9の接続点10は基準電圧として、第1比較回路29の非反転入力端子に接続される。ブリッジ回路30の第3MR素子22は望ましくは定電圧、定電流の電源Vccに接続され、抵抗6は接地され、第3MR素子22と抵抗6の接続点11は第2比較回路36の反転入力端子に接続される。抵抗12,13の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗12,13の接続点14は基準電圧として、第2比較回路36の非反転入力端子に接続される。
【0005】
なお、第1MR素子21aと第2MR素子21bで第1磁電変換素子体を構成し、第3MR素子22と抵抗6で第2磁電変換素子体を構成する。一般的に、磁気検出素子には磁気抵抗効果素子(MR素子)が用いられる。MR素子は、磁化方向と電流方向のなす角度によって、抵抗値が変化する素子である。このMR素子は、電流方向と磁化方向が直角に交わるときに、抵抗値が最小になり、0度すなわち電流方向と磁化方向が同一あるいは全く逆方向になるとき、抵抗値が最大になる。
【0006】
前述した2系統のブリッジ回路出力をそれぞれ第1,第2比較回路(第1,第2磁電変換出力回路)29,36で矩形波に変換して、一方(第1比較回路29)の出力信号eを、オープンコレクタ式出力トランジスタ371のベースとDフリップフロップ回路(D−FF)38のD端子に接続し、他方(第2比較回路36)の出力信号fをD−FF38のCL端子に接続する。D−FF38の出力端子をコレクタが抵抗391を介して電源端子Vccに接続された出力トランジスタ401のベースに接続し、この出力トランジスタ401のエミッタを出力トランジスタ371のエミッタに接続し、抵抗411を介して接地している。なお、D−FF38は周知のもので、CL入力がL(ローレベル)のとき、D端子のレベルに関係なく、出力は前の状態を保ち、CL入力がH(ハイレベル)の立上りエッジトリガでD端子がHならば出力をHにし、D端子がLならば出力をLにするものである。
【0007】
出力トランジスタ371の出力信号hはコンピュータユニット42に伝達された後、コンピュータユニット42内で抵抗15を介して電源端子Vccに接続され、さらに2個の第3,第4比較回路44,45の反転入力端子に接続される。抵抗16,17の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗16,17の接続点18は比較レベル1(基準電圧)として、第3比較回路44の非反転入力端子に接続される。同様に、抵抗19,20の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗19,20の接続点24は比較レベル2(基準電圧)として、第4比較回路45の非反転入力端子に接続される。これらの第3,第4比較回路44,45の比較レベル1,2は異なった値で、比較レベル1>比較レベル2に設定されているため、第3,第4比較回路44,45の出力信号は異なったものとなる。
【0008】
次に動作について説明する。図20は図19の電気回路図の各部c―jの波形c―jを示し、その(a)は歯車状磁性回転体4が正転した時、その(b)は逆転した時のものである。正転時(a)はMR素子21a→MR素子22→MR素子21bの順で歯車状磁性回転体4が近づき、その抵抗が低下するため、MR素子21a側ブリッジ回路23の信号cによる第1比較回路29の出力(矩形波信号)eの方が、MR素子22側ブリッジ回路30の信号dによる第2比較回路36の出力(矩形波信号)fより、位相(発生時期)が早くなる。
【0009】
そのため、立上りエッジトリガタイプのD−FF38を用いた場合、D−FF38の出力gは常に(ハイレベル)H(第1信号)となる。D−FF38の出力に接続された出力トランジスタ401はオン状態となり、出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411に電流を供給する。出力トランジスタ371がオフの時は正転時、逆転時にかかわらず、出力hレベルはコンピュータユニット42内の電源端子Vccの電圧で決定されるハイレベルとなるが、オン状態では出力トランジスタ371が供給する電流とD−FF38の出力に接続された出力トランジスタ401から供給される電流の和と出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411の積で決定されるローレベル1 となる。
【0010】
これに対し、逆転時(b)はMR素子21b→MR素子22→MR素子21aの順で歯車状磁性回転体4が近づき、その抵抗が低下するため、MR素子22側ブリッジ回路30の信号dによる第2比較回路36の出力fの方が、MR素子21a側ブリッジ回路23の信号cによる第1比較回路29の出力eより、位相(発生時期)が早くなる。このため、D−FF38の出力gは常にローレベルL(第2信号)となり、D―FF38の出力に接続された出力トランジスタ401はオフ状態となり、出力トランジスタ401を通して出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411に電流を供給できない。よって、出力hレベルは、出力トランジスタ371がオン状態の時は出力トランジスタ371が供給する電流と出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411の積で決定されるローレベル2となる。このときの出力hレベルは3値をとり、この大小関係はハイレベル>ローレベル1>ローレベル2となる。なお、MR素子21bは磁気抵抗効果素子であるが、単なる抵抗であっても実現できる。
【0011】
以上により、D−FF38の出力gは、正転時はハイレベルH(第1信号)となり、逆転時はローレベルL(第2信号)となる。したがって、D−FF38の出力gの値により、回転方向検知が可能となる。また、出力トランジスタ371の出力hレベルは、正転時はハイレベルとローレベル1の2値信号パルス、逆転時はハイレベルとローレベル2の2値信号パルスとなるので、ローレベル1,2の値により、回転方向検知が可能となる。また、2値信号パルスにより、歯車状磁性回転体4の回転位置や回転スピードが検知可能となる。
【0012】
さらに、出力トランジスタ371の出力hをコンピュータユニット42に加え、コンピュータユニット42の第3比較回路44の比較レベル1をハイレベルとローレベル1の間に設定し、第4比較回路45の比較レベル2をローレベル1 とローレベル2の間に設定することにより、回転方向検知が可能となる。すなわち、第4比較回路45の出力jに信号が現れない場合が正転時で、現れる場合が逆転時である。なお、第3比較回路44の出力iには、正転時と逆転時にともに信号が現れる。
【0013】
また、図20の波形図から分かるように、歯車状磁性回転体4の歯の位置に対応したMR素子21a側ブリッジ回路23の信号c(パルス)は、回転方向にかかわらず出力トランジスタ371の出力hのパルスと同期しているので、出力hのパルスから歯車状磁性回転体4の対向状態(突起部が対向しているか、非突起部が対向しているか)を認識することが可能となり、このような機能が要求される制御システムにおいては有益である。なお、特許文献1に示された従来の磁気検出装置は、前記のように1つの矩形波信号の立上りエッジを用いて歯状磁性移動体の移動方向を認識しているため、歯状磁性移動体の移動方向の検出タイミングが遅れるものである。
【0014】
【特許文献1】特開2002−90181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この発明は、誤検出することなく正確に歯状磁性移動体の移動方向を検出することができる磁気検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係わる磁気検出装置は、バイアス磁界中に、被検出対象である歯状磁性移動体に対向しその移動方向に並べて配置され、前記被検出対象の移動に応じるバイアス磁界の状態変化により電気量変化を生じる第1,第2磁電変換素子体、前記第1磁電変換素子体の電気量変化を出力する第1磁電変化出力回路、前記第2磁気変換素子体の電気量変化を出力する第2磁電変化出力回路、前記被検出対象の正方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第1信号を出力し、この第1信号出力と前記磁電変化出力回路の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを発生し、前記被検出対象の逆方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第2信号を出力し、この第2信号出力と前記磁電変化出力回路の出力により、前記ハイレベル1と前記ローレベル1の少なくともいずれかを異にするハイレベル2とローレベル2のパルスを発生する出力信号処理回路、前記出力信号処理回路の出力するパルスを一方の比較レベルと比較し出力する一方の比較回路、及び、前記出力信号処理回路の出力するパルスを前記一方の比較レベルと異なる他方の比較レベルと比較し出力する他方の比較回路を備えるものにおいて、
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1とローレベル1のパルスが前記他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、前記ハイレベル2とローレベル2のパルスが前記一方の比較レベルと交差しないように構成されたものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明の磁気検出装置によれば、誤検出することなく正確に歯状磁性移動体の移動方向を検出することができる。特に、歯状磁性移動体の振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の基礎となる技術
先ず、この発明の基礎となる磁気検出装置について説明する。この発明の基礎となる磁気検出装置は、2つの矩形波信号の夫々の立上りエッジ及び立下りエッジを用いて歯状磁性移動体(磁性移動体)の移動方向を検出するようにし、前記従来の磁気検出装置に比べて約4倍の速さで磁性移動体の移動方向を検出するものである。
【0019】
図1は、この発明の基礎技術における磁気検出装置の電気回路図である。図2は図1の第1論理回路の詳細な電気回路図である。図3,図4は磁性移動体の反転位置による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図5−図8は磁性移動体の反転位置による図2の電気回路図の各部の波形図である。図9は磁性移動体の反転位置による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。なお、従来の磁気検出装置の図面を含めて、各図の同一符号は同一又は相当部分を示し、その説明を援用する。
【0020】
図1の電気回路図は、図19のそれと比較して、図19のD−FF38を、図1の第1論理回路25に変更した以外は同じである。第1論理回路25は図2にその詳細を示すように、Dフリップフロップ回路(D−FF)数を4倍にして、(矩形波)信号eとfの立上りエッジ、立下りエッジの両方で磁性移動体の移動方向を検知するようにしている。
【0021】
図3と図4を合わせて、図は、磁性移動体が反転位置で正転から逆転する反転パターン(a),(b),(c),(d)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図3の上部の図で、MR素子と対向する磁性移動体4は、反転位置で正回転から逆回転に反転する。このときの各反転パターン(a),(b),(c),(d)における図1の電気回路図の各部の波形を図3(a),(b),と図4(c),(d)で示す。図3(a),(b),と図4(c),(d)の信号gが示すように、いずれの場合においても逆転後の最初のエッジ(信号eと信号fのうちで最初のエッジ)において、信号gがローレベルLになり、磁性移動体の逆転を検知するようにしている。図3の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号e,fの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号e,fのハイレベルH,ローレベルLの値により、信号gのハイレベルH(正回転),ローレベルL(逆回転)が出力されることを示している。
【0022】
図3(a),(b)の反転パターン(a),(b)による場合は、コンピュータユニット42の信号jにおいても、逆転後の最初のエッジにおいて、逆転を検知している。図4(c),(d)の反転パターン(c),(d)による場合は、信号jにおいて、信号hの逆転後の最初のローレベル時に、逆転を検知している。
【0023】
図2は図1の第1論理回路25の詳細な電気回路図で、出力がd1,d2,d3,d4である4つのD−FF38−1,38−2,38−3,38−4を有している。D−FFは前述した回路で、CL入力がL(ローレベル)のとき、D端子のレベルに関係なく、出力は前の状態を保ち、CL入力がH(ハイレベル)の立上りエッジトリガでD端子がHならば出力をHにし、D端子がLならば出力をLにするものである。そのため、D−FFを立上りエッジDフリップフロップ回路と呼ぶことができる。CL端子にNOT回路を接続しておくことにより、NOT回路の入力が立下がりエッジトリガでCL入力が立上り、D端子がHならば出力をHにし、D端子がLならば出力をLにすることができる。そのため、NOT回路を含めてD−FFを立下りエッジDフロップフロップ回路と呼ぶことができる。
【0024】
出力a1−a7を有する回路は、AND回路又はそのAND回路にO印で示すNOT回路を付加したものである。OR4回路はOR回路にNOT回路を付加したものである。図5は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(a)による図2の電気回路図の各部の波形図である。なお、横線のusは単位時間を示す。図6は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(b)による図2の電気回路図の各部の波形図である。図7は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(c)による図2の電気回路図の各部の波形図である。図8は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(d)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【0025】
図2では、信号eと信号fが入力され、信号eと信号fの各立上りエッジと各立下りエッジで、正回転であれば信号gにハイレベルH信号が出力され、逆回転では信号gにローレベルL信号が出力される。即ち、図5−図8では磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(a),(b),(c),(d)による図2の電気回路図の各部の波形を示す。図5-図8で、信号eと信号fの相互の位相により、D−FF38−1の出力d1は信号eの立上りエッジにおける信号fの状態(H又はL)を保持する。D−FF38−2の出力d2は信号eの立下りエッジにおける信号fの状態を保持する。同様に、D−FF38−3の出力d3は信号fの立上りエッジにおける信号eの状態を保持する。D−FF38−4の出力d4は信号fの立下りエッジにおける信号eの状態を保持する。例えば、出力a1を有する回路は、出力d1と出力d2と信号eの反転信号よりa1が出力される。a2,a3,a4,a5,a6,a7を有する回路も、同様にして、a2,a3,a4,a5,a6,a7が出力される。出力a7,a2,a3,a6よりOR4とNOT回路の出力gが得られる。
【0026】
このようにして、図2では、信号eと信号fが入力され、信号eと信号fの各立上りエッジと各立下りエッジで、正回転であれば信号gにハイレベルH信号が出力され、逆回転では信号gにローレベルL信号が出力される。
【0027】
次に磁性移動体が任意の位置で正転と逆転を繰り返す場合について説明する。図9は磁性移動体が反転位置で正転と逆転を繰り返す繰返しパターン(a),(b)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図9の上部の図で、MR素子と対向する磁性移動体4は、反転位置で正転と逆転を繰返す。このときの各繰返しパターン(a),(b)における図1の電気回路図の各部の波形を図9(a),(b)で示す。図9の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号eの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号fのH,Lの値により、信号gのH(正回転),L(逆回転)が出力されることを示している。
【0028】
図9のように、信号gにおいては正転と逆転を繰り返し検出しているが、最終的に逆転と正転を判定するコンピュータユニット42の出力波形iとjにおいては、図9(a)の場合は、正回転と誤判定し、図9(b)の場合は、逆回転と誤判定する。それは、出力トランジスタ371がオフの時(信号eがLの時)は正転時、逆転時にかかわらず、出力hはコンピュータユニット42内の電源端子Vccの電圧で決定されるハイレベとなるが、出力トランジスタ371がオンの時(信号eがHの時)、図9(a)の場合は、信号gがHであり、出力hはローレベル1となる。しかし、図9(b)の場合は、信号gがLであり、出力hはローレベル2となる。
【0029】
このため、図9(a)の場合は、その正転と逆転の繰返し時の波形i,jが図20(a)の正転時の波形i,jと同じになり、正回転と誤判定される。また、図9(b)の場合は、その正転と逆転の繰返し時の波形i,jが図20(b)の逆転時の波形i,jと同じになり、逆回転と誤判定される。そこで、この発明では磁性移動体の検出エッジ付近での振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができるようにするものである。
【0030】
実施の形態1.
図10は実施の形態1による磁気検出装置の電気回路図である。図11,図12は磁性移動体の回転による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図10において、磁性移動体(被検出対象)の移動により磁気検出素子21a,21b,22の抵抗が変化し、ブリッジ回路23,30により2系統の電圧変化c,dが得られる。c,dは第1比較回路(第1磁電変化出力回路)29,第2比較回路(第2磁電変化出力回路)36で矩形波に変換され、矩形波信号e,fが得られる。矩形波信号eと矩形波信号fは第1論理回路25(図2)に入力され、磁性移動体の正方向への移動に基づく、矩形波信号eと矩形波信号fの相互の位相により、信号gを得る。実施の形態1では、磁性移動体の正方向への移動に基づいて、第1の信号である(正転検知)ハイレベルH信号gを得る。磁性移動体の逆方向への移動に基づく、矩形波信号eと矩形波信号fの相互の位相により、信号gを得る。実施の形態1では、磁性移動体の逆方向への移動に基づいて、第2の信号である(逆転検知)ローレベルL信号gを得る。
【0031】
さらに一方の矩形波信号eと信号gは第2論理回路46に入力される。第2論理回路46の3出力はそれぞれ出力トランジスタ37,43,40のベース端子に入力される。出力トランジスタ37,43,40のエミッタ端子はそれぞれ接地される。出力トランジスタ37,43のコレクタ端子は、それぞれ抵抗39,41を介して、センサ出力信号hを発生する端子となる。同様に出力トランジスタ40のコレクタ端子もセンサ出力信号hを発生する端子となる。抵抗41は抵抗39より小さい抵抗値である。センサ出力信号hを発生する端子はコンピュータユニット42に伝達された後、抵抗15を介して電源Vccに接続される。センサ出力信号hは、第3比較回路44に入力され、比較レベル1と比較され信号iを得る。またセンサ出力信号hは第4比較回路45に入力され、比較レベル2と比較され信号jを得る。
【0032】
第1論理回路25と第2論理回路46と出力トランジスタ37,43,40で出力信号処理回路51を構成する。磁性移動体の正方向への移動に基づいて得られる第1の信号であるハイレベルH信号gと、第1比較回路(第1磁電変化出力回路)29の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを得る。つまり、ハイレベルH信号gと第1比較回路29のHによりAND回路463からHが発生して、出力トランジスタ40がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル1信号が発生する(図11(a)参照)。ハイレベルH信号gと第1比較回路29のLにより回路462からHが発生して出力トランジスタ43がオンしてセンサ出力信号hとしてハイレベル1信号が発生する(図11(a)参照)。
【0033】
磁性移動体の逆方向への移動に基づいて得られる第2の信号であるローレベルL信号gと、第1比較回路(第1磁電変化出力回路)29の出力によりハイレベル2とローレベル2のパルスを得る。つまり、ローレベルL信号gと第1比較回路29のHにより回路461からHが発生して、出力トランジスタ37がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル2信号が発生する(図11(b)参照)。ローレベルL信号gと第1比較回路29のLにより回路461,462,463がすべてオフしてセンサ出力信号hとしてハイレベル2信号が発生する(図11(b)参照)。
【0034】
出力信号処理回路51の出力するパルス(ハイレベル1とローレベル1のパルス及びハイレベル2とローレベル2のパルス)を一方の比較回路(第4比較回路45)で一方の比較レベル(比較レベル2)と比較しその大小を信号jとして出力する。同様に出力信号処理回路51の出力するパルス(ハイレベル1とローレベル1のパルス及びハイレベル2とローレベル2のパルス)を他方の比較回路(第3比較回路44)で他方の比較レベル(比較レベル1)と比較しその大小を信号iとして出力する。なお、出力信号処理回路51に対して、矩形波信号eと矩形波信号fを互いに入れ替えて入力することも可能である。
【0035】
出力信号処理回路51では、図11(a)(b)の波形hを参照して、ハイレベル1とローレベル1のパルスが他方の比較レベル(比較レベル1)と交差しないようにすると共に、ハイレベル2とローレベル2のパルスが一方の比較レベル(比較レベル2)と交差しないように、ハイレベル1とローレベル1のパルスに対して、ハイレベル2とローレベル2のパルスの電位を異ならせて構成している。図11(a)の波形hで説明すると、ハイレベル1の電位は比較レベル1と交差しなければ、ローレベル2の電位を超えて比較レベル1により接近させることもできる。同様に図11(b)の波形hで説明すると、ローレベル2の電位は比較レベル2と交差しなければ、ハイレベル1の電位より低くして比較レベル2に接近させることもできる。
【0036】
次に動作について説明する。図11,図12は図10の電気回路図の各部e,f,g,h,i,jの波形を示し、図11(a)は正回転、図10(b)は逆回転、図12(c)は正回転から逆回転に反転する場合を示している。図のように、信号eとfの組み合わせにより、図11(a)の正回転の場合では、信号iがハイレベルとなり、信号jは磁性移動体の凹凸に対応した信号(凹凸である正転信号)を出力する。図11(b)の逆回転の場合では、信号jはローレベルとなり、信号iは磁性移動体の凹凸に対応した信号(凹凸である逆転信号)を出力する。このように信号i、jによって、コンピュータユニットは磁性移動体の凹凸に対応した信号と回転方向を検出することができる。図12(c)は正回転から逆回転に反転する場合の波形を示し、センサ出力信号hは図のような動作となる。図12(c)の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号e,fの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号e,fのH,Lの値により、信号gのH(正回転),L(逆回転)が出力されることを示している。
【0037】
図13は磁性移動体が反転位置で正転と逆転を繰り返す繰返しパターン(a),(b)による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図13の上部の図で、MR素子と対向する磁性移動体4は、反転位置で正転と逆転を繰返す。このときの各繰返しパターン(a),(b)における図10の電気回路図の各部の波形を図13(a),(b)で示す。図13の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号eの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号fのH,Lの値により、信号gのH(正回転),L(逆回転)が出力されることを示している。
【0038】
図13(a),(b)で正回転の時間では、各部の波形は図11(a)の正回転の場合と同じとなる。図13(a)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の歯部で正転と逆転を繰り返しており、矩形波信号eは、その反転位置がローレベルLとハイレベルHの切替わり位置であるため、LとHを繰返す。一方矩形波信号fは、その反転位置がその前後でローレベルLであるため、Lを持続する。そのため、信号gは、図13の右上図に従って、矩形波信号eの立下りエッジと立上りエッジと矩形波信号fのローレベルにより、ローレベルL(逆回転)とハイレベルH(正回転)となる(波形g参照)。そのため、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ハイレベル2(逆転)とローレベル1(正転)となり、信号iに凹凸である逆転信号を発生し、信号jに凹凸である正転信号を発生する。従って磁性移動体4は、正回転でも逆回転でもない状態であり、逆転と正転を繰返していると判定できる。
【0039】
図13(b)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の凹部で正転と逆転を繰り返しており、矩形波信号eは、その反転位置がハイレベルHとローレベルLの切替わり位置であるため、HとLを繰返す。一方矩形波信号fは、その反転位置がその前後でハイレベルHであるため、Hを持続する。そのため、信号gは、図13の右上図に従って、矩形波信号eの立上りエッジと立下りエッジと矩形波信号fのハイレベルにより、ローレベルL(逆回転)とハイレベルH(正回転)となる(波形g参照)。そのため、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ローレベル2(逆転)とハイレベル1(正転)となり、信号iはハイレベルH信号に固定され、信号jはローレベルL信号に固定される。従って、両パルスとも出力されないので、磁性移動体4は回転していないと判定できる。
【0040】
このように両方の場合とも磁性移動体4の位置情報を誤認識することがなく良好な検出が可能となり、磁性移動体の検出エッジ付近での振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができる。なお、磁気検出素子(磁電変換素子)としては、MR素子の他に、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)、トンネル磁気抵抗効果素子やホール素子を用いることができる。
【0041】
また、MR素子としてGMR素子を用いることにより、ブリッジ回路出力を大きくすることができ、歯状磁性移動体と磁気検出装置間の距離が大きな場合でも検出可能になり、装置の特性が向上する。MR素子のMR変化率は2〜6%であるが、GMR素子のそれは約30%なので、ブリッジ回路出力は5〜15倍となる。また、デジタル信号の他アナログ信号を用いてもよい。以上のように実施の形態1によれば、被検出対象である磁性移動体の移動方向を検知できるとともに、磁性移動体の位置情報を誤認識することなく検出できる。磁性移動体の検出エッジ付近での振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができる。
【0042】
実施の形態2.
図14は実施の形態2による磁気検出装置の電気回路図である。図15は図14の電気回路図の各部e,f,g,h,i,jの波形を示す図であり、正回転から逆回転への切り換わりのタイミングでの動作を示す。図10の磁気検出装置と比較して異なる内容を中心に説明する。図14では第2論理回路46の回路461と回路462の2出力が共に出力トランジスタ37のベース端子に接続され、回路463の出力が出力トランジスタ40のベース端子に接続される。出力トランジスタ37、40のエミッタ端子は接地される。
【0043】
出力トランジスタ37のコレクタ端子は、抵抗39を介して、センサ出力信号hを発生する端子となる。同様に出力トランジスタ40のコレクタ端子もセンサ出力信号hを発生する端子となる。センサ出力信号hを発生する端子はコンピュータユニット42に伝達された後、抵抗15を介して電源Vccに接続される。その後は、図10と同様に、センサ出力信号hは、第3比較回路44に入力され、比較レベル1と比較され信号iを得る。またセンサ出力信号hは第4比較回路45に入力され、比較レベル2と比較され信号jを得る。
【0044】
このようにすることにより、磁性移動体の正方向への移動に基づいて得られる第1の信号であるハイレベルH信号gと、第1比較回路29の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを得る。つまり、ハイレベルH信号gと第1比較回路29のHによりAND回路463からHが発生して、出力トランジスタ40がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル1信号が発生する(図15参照)。ハイレベルH信号gと第1比較回路29のLにより回路462からHが発生して出力トランジスタ37がオンしてセンサ出力信号hとしてハイレベル1信号が発生する(図15参照)。
【0045】
磁性移動体の逆方向への移動に基づいて得られる第2の信号であるローレベルL信号gと、第1比較回路29の出力によりハイレベル2とローレベル2のパルスを得る。つまり、ローレベルL信号gと第1比較回路29のHにより回路461からHが発生して、出力トランジスタ37がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル2信号が発生する(図15参照)。ローレベルL信号gと第1比較回路29のLにより回路461,462,463がすべてオフしてセンサ出力信号hとしてハイレベル2信号が発生する(図15参照)。
【0046】
このとき、磁性移動体の正方向への移動に基づくハイレベル1信号と、磁性移動体の逆方向への移動に基づくローレベル2信号は、同じ出力トランジスタ37がオンしたときの
センサ出力信号hであり、両信号は電位が同レベルになる。図14のその他の動作は実施の形態1と同じである。
【0047】
図16(a),(b)は磁性移動体が反転位置で正転と逆転を繰り返す繰返しパターン(a),(b)による図14の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図のように図16(a)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の歯部で正転と逆転を繰り返しており、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ハイレベル2(逆転)とローレベル1(正転)となり、信号iに凹凸である逆転信号を発生し、信号jに凹凸である正転信号を発生する。従って磁性移動体4は、正回転でも逆回転でもない状態であり、逆転と正転を繰返していると判定できる。
【0048】
図16(b)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の凹部で正転と逆転を繰り返しており、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ローレベル2(逆転)=ハイレベル1(正転)となり、信号iはハイレベル信号に固定され、信号jはローレベル信号に固定される。従って、両パルスとも出力されないので、磁性移動体4は回転していないと判定できる。このように両方の場合とも磁性移動体の位置情報を誤認識することがなく良好な検出が可能となる。このように実施の形態2では実施の形態1と同様の動作が得られるうえに、図14の電気回路図で示すとおり出力トランジスタと抵抗体を各々1個づつ削減しコスト低減が計れる。
【0049】
実施の形態3.
図17は実施の形態3における図14の電気回路図の各部e,f,g,h,i,jの波形を示す図であり、正回転から逆回転への切り換わりのタイミングでの動作を示す。実施の形態3は図14の実施の形態2の電気回路図の抵抗体39を、図17で示す信号hにおいて、正回転時のセンサ出力信号hのハイレベルをハイレベル1、ローレベルをローレベル1とし、逆回転時のセンサ出力信号hのハイレベルをハイレベル2、ローレベルをローレベル2とした場合、ハイレベル1≒ローレベル2≒1/2(ハイレベル2―ローレベル1)となるように最適値化したものであり、その他は実施の形態2と同じである。実施の形態3では、実施の形態2と同様の検出性能が得られることはもちろんであるが、さらに、図17の信号hからわかるように、コンピュータユニット側の比較レベル1と比較レベル2の設定余裕度がアップする。また、センサ出力信号hを受ける側のコンピュータユニットの比較レベル設定の余裕度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の基礎技術における磁気検出装置の電気回路図である。
【図2】図1の第1論理回路の詳細な電気回路図である。
【図3】磁性移動体の反転パターン(a)(b)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図4】磁性移動体の反転パターン(c)(d)による図1の電気回路図の各部の波形図である。
【図5】磁性移動体の反転パターン(a)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【図6】磁性移動体の反転パターン(b)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【図7】磁性移動体の反転パターン(c)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【0051】
【図8】磁性移動体の反転パターン(d)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【図9】磁性移動体の繰返しパターン(a)(b)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図10】実施の形態1による磁気検出装置の電気回路図である。
【図11】磁性移動体の回転による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図12】磁性移動体の反転による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図13】磁性移動体の繰返しパターン(a)(b)による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【0052】
【図14】実施の形態2による磁気検出装置の電気回路図である。
【図15】磁性移動体の反転による図14の電気回路図の各部の波形を示す図である。
【図16】磁性移動体の繰返しパターン(a)(b)による図14の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図17】実施の形態3における磁性移動体の反転による図14の電気回路図の各部の波形を示す図である。
【図18】従来の磁気検出装置の磁気回路構成図である。
【図19】従来の磁気検出装置の電気回路図である。
【図20】図19の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 磁石 2 Iチップ
4 歯状磁性移動体 5 回転軸
6,8,9、12,13,15,16,17,19,20,39,41 抵抗
7,10,11,14,18,24 接続点
21a,21b,22 磁気検出素子(磁電変換素子)
23,30 ブリッジ回路 25 第1論理回路
29 第1比較回路 36 第2比較回路
【0054】
37,40,43 出力トランジスタ 38 Dフリップフロップ回路
38−1,38−2,38−3,38−4 Dフリップフロップ回路
42 コンピュータユニット 44 第3比較回路
45 第4比較回路 46 第2論理回路
51 出力信号処理回路 411,391 抵抗
371,401 出力トランジスタ 461,462 回路
463 AND回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯状磁性移動体の移動方向を検知する磁気検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図18は磁気検出素子を用いた従来の磁気検出装置の磁気回路構成図である。図18(a)は斜視図、図18(b)は正面図である。図19は従来の磁気検出装置の電気回路図、図20は図19の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。これらは特許文献1に開示されている。磁気検出装置は、バイアス磁界を発生する直方体形状の磁石1と、この磁石1の上面に設けられ、磁気検出素子(磁電変換素子)である磁気抵抗効果素子を3個一体的に構成したICチップ2を有している。磁石1近傍の矢印は磁石1の着磁方向を表す。ICチップ2が有する3個の第1,第2,第3の磁気抵抗効果素子(MR素子という)21a,21b,22を歯車状磁性回転体(歯状磁性移動体)4に対向して接近させ、その回転方向に第1,第3,第2のMR素子21a,22,21bを順に並べて配置する。5は歯車状磁性回転体4の回転軸で、歯車状磁性回転体4の矢印3は回転方向を表す。第1,第2MR素子21a,21b及び抵抗8,9でブリッジ回路23を構成し、第3MR素子22と抵抗6及び抵抗12,13でブリッジ回路30を構成している。
【0003】
磁気検出装置の第1,第2,第3のMR素子21a,21b,22には、歯車状磁性回転体4の回転により、歯車状磁性回転体4の凹部と凸部とが交互に接近する。そのため磁石1から第1,第2,第3のMR素子21a,21b,22に印加される磁界が変化する。この磁界の変化は第1,第2,第3のMR素子21a,21b,22の抵抗変化となり、それぞれの電圧の変化として、2系統のブリッジ回路出力を得ることが可能となる。
【0004】
ブリッジ回路23の第1MR素子21aは、望ましくは定電圧、定電流の電源Vccに接続され、第2MR素子21bは接地され、第1MR素子21aと第2MR素子21bの接続点7は第1比較回路29の反転入力端子に接続される。抵抗8,9の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗8,9の接続点10は基準電圧として、第1比較回路29の非反転入力端子に接続される。ブリッジ回路30の第3MR素子22は望ましくは定電圧、定電流の電源Vccに接続され、抵抗6は接地され、第3MR素子22と抵抗6の接続点11は第2比較回路36の反転入力端子に接続される。抵抗12,13の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗12,13の接続点14は基準電圧として、第2比較回路36の非反転入力端子に接続される。
【0005】
なお、第1MR素子21aと第2MR素子21bで第1磁電変換素子体を構成し、第3MR素子22と抵抗6で第2磁電変換素子体を構成する。一般的に、磁気検出素子には磁気抵抗効果素子(MR素子)が用いられる。MR素子は、磁化方向と電流方向のなす角度によって、抵抗値が変化する素子である。このMR素子は、電流方向と磁化方向が直角に交わるときに、抵抗値が最小になり、0度すなわち電流方向と磁化方向が同一あるいは全く逆方向になるとき、抵抗値が最大になる。
【0006】
前述した2系統のブリッジ回路出力をそれぞれ第1,第2比較回路(第1,第2磁電変換出力回路)29,36で矩形波に変換して、一方(第1比較回路29)の出力信号eを、オープンコレクタ式出力トランジスタ371のベースとDフリップフロップ回路(D−FF)38のD端子に接続し、他方(第2比較回路36)の出力信号fをD−FF38のCL端子に接続する。D−FF38の出力端子をコレクタが抵抗391を介して電源端子Vccに接続された出力トランジスタ401のベースに接続し、この出力トランジスタ401のエミッタを出力トランジスタ371のエミッタに接続し、抵抗411を介して接地している。なお、D−FF38は周知のもので、CL入力がL(ローレベル)のとき、D端子のレベルに関係なく、出力は前の状態を保ち、CL入力がH(ハイレベル)の立上りエッジトリガでD端子がHならば出力をHにし、D端子がLならば出力をLにするものである。
【0007】
出力トランジスタ371の出力信号hはコンピュータユニット42に伝達された後、コンピュータユニット42内で抵抗15を介して電源端子Vccに接続され、さらに2個の第3,第4比較回路44,45の反転入力端子に接続される。抵抗16,17の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗16,17の接続点18は比較レベル1(基準電圧)として、第3比較回路44の非反転入力端子に接続される。同様に、抵抗19,20の一端は電源Vccに接続され、他端は接地され、抵抗19,20の接続点24は比較レベル2(基準電圧)として、第4比較回路45の非反転入力端子に接続される。これらの第3,第4比較回路44,45の比較レベル1,2は異なった値で、比較レベル1>比較レベル2に設定されているため、第3,第4比較回路44,45の出力信号は異なったものとなる。
【0008】
次に動作について説明する。図20は図19の電気回路図の各部c―jの波形c―jを示し、その(a)は歯車状磁性回転体4が正転した時、その(b)は逆転した時のものである。正転時(a)はMR素子21a→MR素子22→MR素子21bの順で歯車状磁性回転体4が近づき、その抵抗が低下するため、MR素子21a側ブリッジ回路23の信号cによる第1比較回路29の出力(矩形波信号)eの方が、MR素子22側ブリッジ回路30の信号dによる第2比較回路36の出力(矩形波信号)fより、位相(発生時期)が早くなる。
【0009】
そのため、立上りエッジトリガタイプのD−FF38を用いた場合、D−FF38の出力gは常に(ハイレベル)H(第1信号)となる。D−FF38の出力に接続された出力トランジスタ401はオン状態となり、出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411に電流を供給する。出力トランジスタ371がオフの時は正転時、逆転時にかかわらず、出力hレベルはコンピュータユニット42内の電源端子Vccの電圧で決定されるハイレベルとなるが、オン状態では出力トランジスタ371が供給する電流とD−FF38の出力に接続された出力トランジスタ401から供給される電流の和と出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411の積で決定されるローレベル1 となる。
【0010】
これに対し、逆転時(b)はMR素子21b→MR素子22→MR素子21aの順で歯車状磁性回転体4が近づき、その抵抗が低下するため、MR素子22側ブリッジ回路30の信号dによる第2比較回路36の出力fの方が、MR素子21a側ブリッジ回路23の信号cによる第1比較回路29の出力eより、位相(発生時期)が早くなる。このため、D−FF38の出力gは常にローレベルL(第2信号)となり、D―FF38の出力に接続された出力トランジスタ401はオフ状態となり、出力トランジスタ401を通して出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411に電流を供給できない。よって、出力hレベルは、出力トランジスタ371がオン状態の時は出力トランジスタ371が供給する電流と出力トランジスタ371のエミッタとグランド間に接続された抵抗411の積で決定されるローレベル2となる。このときの出力hレベルは3値をとり、この大小関係はハイレベル>ローレベル1>ローレベル2となる。なお、MR素子21bは磁気抵抗効果素子であるが、単なる抵抗であっても実現できる。
【0011】
以上により、D−FF38の出力gは、正転時はハイレベルH(第1信号)となり、逆転時はローレベルL(第2信号)となる。したがって、D−FF38の出力gの値により、回転方向検知が可能となる。また、出力トランジスタ371の出力hレベルは、正転時はハイレベルとローレベル1の2値信号パルス、逆転時はハイレベルとローレベル2の2値信号パルスとなるので、ローレベル1,2の値により、回転方向検知が可能となる。また、2値信号パルスにより、歯車状磁性回転体4の回転位置や回転スピードが検知可能となる。
【0012】
さらに、出力トランジスタ371の出力hをコンピュータユニット42に加え、コンピュータユニット42の第3比較回路44の比較レベル1をハイレベルとローレベル1の間に設定し、第4比較回路45の比較レベル2をローレベル1 とローレベル2の間に設定することにより、回転方向検知が可能となる。すなわち、第4比較回路45の出力jに信号が現れない場合が正転時で、現れる場合が逆転時である。なお、第3比較回路44の出力iには、正転時と逆転時にともに信号が現れる。
【0013】
また、図20の波形図から分かるように、歯車状磁性回転体4の歯の位置に対応したMR素子21a側ブリッジ回路23の信号c(パルス)は、回転方向にかかわらず出力トランジスタ371の出力hのパルスと同期しているので、出力hのパルスから歯車状磁性回転体4の対向状態(突起部が対向しているか、非突起部が対向しているか)を認識することが可能となり、このような機能が要求される制御システムにおいては有益である。なお、特許文献1に示された従来の磁気検出装置は、前記のように1つの矩形波信号の立上りエッジを用いて歯状磁性移動体の移動方向を認識しているため、歯状磁性移動体の移動方向の検出タイミングが遅れるものである。
【0014】
【特許文献1】特開2002−90181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この発明は、誤検出することなく正確に歯状磁性移動体の移動方向を検出することができる磁気検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係わる磁気検出装置は、バイアス磁界中に、被検出対象である歯状磁性移動体に対向しその移動方向に並べて配置され、前記被検出対象の移動に応じるバイアス磁界の状態変化により電気量変化を生じる第1,第2磁電変換素子体、前記第1磁電変換素子体の電気量変化を出力する第1磁電変化出力回路、前記第2磁気変換素子体の電気量変化を出力する第2磁電変化出力回路、前記被検出対象の正方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第1信号を出力し、この第1信号出力と前記磁電変化出力回路の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを発生し、前記被検出対象の逆方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第2信号を出力し、この第2信号出力と前記磁電変化出力回路の出力により、前記ハイレベル1と前記ローレベル1の少なくともいずれかを異にするハイレベル2とローレベル2のパルスを発生する出力信号処理回路、前記出力信号処理回路の出力するパルスを一方の比較レベルと比較し出力する一方の比較回路、及び、前記出力信号処理回路の出力するパルスを前記一方の比較レベルと異なる他方の比較レベルと比較し出力する他方の比較回路を備えるものにおいて、
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1とローレベル1のパルスが前記他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、前記ハイレベル2とローレベル2のパルスが前記一方の比較レベルと交差しないように構成されたものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明の磁気検出装置によれば、誤検出することなく正確に歯状磁性移動体の移動方向を検出することができる。特に、歯状磁性移動体の振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の基礎となる技術
先ず、この発明の基礎となる磁気検出装置について説明する。この発明の基礎となる磁気検出装置は、2つの矩形波信号の夫々の立上りエッジ及び立下りエッジを用いて歯状磁性移動体(磁性移動体)の移動方向を検出するようにし、前記従来の磁気検出装置に比べて約4倍の速さで磁性移動体の移動方向を検出するものである。
【0019】
図1は、この発明の基礎技術における磁気検出装置の電気回路図である。図2は図1の第1論理回路の詳細な電気回路図である。図3,図4は磁性移動体の反転位置による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図5−図8は磁性移動体の反転位置による図2の電気回路図の各部の波形図である。図9は磁性移動体の反転位置による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。なお、従来の磁気検出装置の図面を含めて、各図の同一符号は同一又は相当部分を示し、その説明を援用する。
【0020】
図1の電気回路図は、図19のそれと比較して、図19のD−FF38を、図1の第1論理回路25に変更した以外は同じである。第1論理回路25は図2にその詳細を示すように、Dフリップフロップ回路(D−FF)数を4倍にして、(矩形波)信号eとfの立上りエッジ、立下りエッジの両方で磁性移動体の移動方向を検知するようにしている。
【0021】
図3と図4を合わせて、図は、磁性移動体が反転位置で正転から逆転する反転パターン(a),(b),(c),(d)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図3の上部の図で、MR素子と対向する磁性移動体4は、反転位置で正回転から逆回転に反転する。このときの各反転パターン(a),(b),(c),(d)における図1の電気回路図の各部の波形を図3(a),(b),と図4(c),(d)で示す。図3(a),(b),と図4(c),(d)の信号gが示すように、いずれの場合においても逆転後の最初のエッジ(信号eと信号fのうちで最初のエッジ)において、信号gがローレベルLになり、磁性移動体の逆転を検知するようにしている。図3の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号e,fの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号e,fのハイレベルH,ローレベルLの値により、信号gのハイレベルH(正回転),ローレベルL(逆回転)が出力されることを示している。
【0022】
図3(a),(b)の反転パターン(a),(b)による場合は、コンピュータユニット42の信号jにおいても、逆転後の最初のエッジにおいて、逆転を検知している。図4(c),(d)の反転パターン(c),(d)による場合は、信号jにおいて、信号hの逆転後の最初のローレベル時に、逆転を検知している。
【0023】
図2は図1の第1論理回路25の詳細な電気回路図で、出力がd1,d2,d3,d4である4つのD−FF38−1,38−2,38−3,38−4を有している。D−FFは前述した回路で、CL入力がL(ローレベル)のとき、D端子のレベルに関係なく、出力は前の状態を保ち、CL入力がH(ハイレベル)の立上りエッジトリガでD端子がHならば出力をHにし、D端子がLならば出力をLにするものである。そのため、D−FFを立上りエッジDフリップフロップ回路と呼ぶことができる。CL端子にNOT回路を接続しておくことにより、NOT回路の入力が立下がりエッジトリガでCL入力が立上り、D端子がHならば出力をHにし、D端子がLならば出力をLにすることができる。そのため、NOT回路を含めてD−FFを立下りエッジDフロップフロップ回路と呼ぶことができる。
【0024】
出力a1−a7を有する回路は、AND回路又はそのAND回路にO印で示すNOT回路を付加したものである。OR4回路はOR回路にNOT回路を付加したものである。図5は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(a)による図2の電気回路図の各部の波形図である。なお、横線のusは単位時間を示す。図6は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(b)による図2の電気回路図の各部の波形図である。図7は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(c)による図2の電気回路図の各部の波形図である。図8は磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(d)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【0025】
図2では、信号eと信号fが入力され、信号eと信号fの各立上りエッジと各立下りエッジで、正回転であれば信号gにハイレベルH信号が出力され、逆回転では信号gにローレベルL信号が出力される。即ち、図5−図8では磁性移動体が図3の反転位置で正転から逆転する反転パターン(a),(b),(c),(d)による図2の電気回路図の各部の波形を示す。図5-図8で、信号eと信号fの相互の位相により、D−FF38−1の出力d1は信号eの立上りエッジにおける信号fの状態(H又はL)を保持する。D−FF38−2の出力d2は信号eの立下りエッジにおける信号fの状態を保持する。同様に、D−FF38−3の出力d3は信号fの立上りエッジにおける信号eの状態を保持する。D−FF38−4の出力d4は信号fの立下りエッジにおける信号eの状態を保持する。例えば、出力a1を有する回路は、出力d1と出力d2と信号eの反転信号よりa1が出力される。a2,a3,a4,a5,a6,a7を有する回路も、同様にして、a2,a3,a4,a5,a6,a7が出力される。出力a7,a2,a3,a6よりOR4とNOT回路の出力gが得られる。
【0026】
このようにして、図2では、信号eと信号fが入力され、信号eと信号fの各立上りエッジと各立下りエッジで、正回転であれば信号gにハイレベルH信号が出力され、逆回転では信号gにローレベルL信号が出力される。
【0027】
次に磁性移動体が任意の位置で正転と逆転を繰り返す場合について説明する。図9は磁性移動体が反転位置で正転と逆転を繰り返す繰返しパターン(a),(b)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図9の上部の図で、MR素子と対向する磁性移動体4は、反転位置で正転と逆転を繰返す。このときの各繰返しパターン(a),(b)における図1の電気回路図の各部の波形を図9(a),(b)で示す。図9の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号eの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号fのH,Lの値により、信号gのH(正回転),L(逆回転)が出力されることを示している。
【0028】
図9のように、信号gにおいては正転と逆転を繰り返し検出しているが、最終的に逆転と正転を判定するコンピュータユニット42の出力波形iとjにおいては、図9(a)の場合は、正回転と誤判定し、図9(b)の場合は、逆回転と誤判定する。それは、出力トランジスタ371がオフの時(信号eがLの時)は正転時、逆転時にかかわらず、出力hはコンピュータユニット42内の電源端子Vccの電圧で決定されるハイレベとなるが、出力トランジスタ371がオンの時(信号eがHの時)、図9(a)の場合は、信号gがHであり、出力hはローレベル1となる。しかし、図9(b)の場合は、信号gがLであり、出力hはローレベル2となる。
【0029】
このため、図9(a)の場合は、その正転と逆転の繰返し時の波形i,jが図20(a)の正転時の波形i,jと同じになり、正回転と誤判定される。また、図9(b)の場合は、その正転と逆転の繰返し時の波形i,jが図20(b)の逆転時の波形i,jと同じになり、逆回転と誤判定される。そこで、この発明では磁性移動体の検出エッジ付近での振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができるようにするものである。
【0030】
実施の形態1.
図10は実施の形態1による磁気検出装置の電気回路図である。図11,図12は磁性移動体の回転による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図10において、磁性移動体(被検出対象)の移動により磁気検出素子21a,21b,22の抵抗が変化し、ブリッジ回路23,30により2系統の電圧変化c,dが得られる。c,dは第1比較回路(第1磁電変化出力回路)29,第2比較回路(第2磁電変化出力回路)36で矩形波に変換され、矩形波信号e,fが得られる。矩形波信号eと矩形波信号fは第1論理回路25(図2)に入力され、磁性移動体の正方向への移動に基づく、矩形波信号eと矩形波信号fの相互の位相により、信号gを得る。実施の形態1では、磁性移動体の正方向への移動に基づいて、第1の信号である(正転検知)ハイレベルH信号gを得る。磁性移動体の逆方向への移動に基づく、矩形波信号eと矩形波信号fの相互の位相により、信号gを得る。実施の形態1では、磁性移動体の逆方向への移動に基づいて、第2の信号である(逆転検知)ローレベルL信号gを得る。
【0031】
さらに一方の矩形波信号eと信号gは第2論理回路46に入力される。第2論理回路46の3出力はそれぞれ出力トランジスタ37,43,40のベース端子に入力される。出力トランジスタ37,43,40のエミッタ端子はそれぞれ接地される。出力トランジスタ37,43のコレクタ端子は、それぞれ抵抗39,41を介して、センサ出力信号hを発生する端子となる。同様に出力トランジスタ40のコレクタ端子もセンサ出力信号hを発生する端子となる。抵抗41は抵抗39より小さい抵抗値である。センサ出力信号hを発生する端子はコンピュータユニット42に伝達された後、抵抗15を介して電源Vccに接続される。センサ出力信号hは、第3比較回路44に入力され、比較レベル1と比較され信号iを得る。またセンサ出力信号hは第4比較回路45に入力され、比較レベル2と比較され信号jを得る。
【0032】
第1論理回路25と第2論理回路46と出力トランジスタ37,43,40で出力信号処理回路51を構成する。磁性移動体の正方向への移動に基づいて得られる第1の信号であるハイレベルH信号gと、第1比較回路(第1磁電変化出力回路)29の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを得る。つまり、ハイレベルH信号gと第1比較回路29のHによりAND回路463からHが発生して、出力トランジスタ40がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル1信号が発生する(図11(a)参照)。ハイレベルH信号gと第1比較回路29のLにより回路462からHが発生して出力トランジスタ43がオンしてセンサ出力信号hとしてハイレベル1信号が発生する(図11(a)参照)。
【0033】
磁性移動体の逆方向への移動に基づいて得られる第2の信号であるローレベルL信号gと、第1比較回路(第1磁電変化出力回路)29の出力によりハイレベル2とローレベル2のパルスを得る。つまり、ローレベルL信号gと第1比較回路29のHにより回路461からHが発生して、出力トランジスタ37がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル2信号が発生する(図11(b)参照)。ローレベルL信号gと第1比較回路29のLにより回路461,462,463がすべてオフしてセンサ出力信号hとしてハイレベル2信号が発生する(図11(b)参照)。
【0034】
出力信号処理回路51の出力するパルス(ハイレベル1とローレベル1のパルス及びハイレベル2とローレベル2のパルス)を一方の比較回路(第4比較回路45)で一方の比較レベル(比較レベル2)と比較しその大小を信号jとして出力する。同様に出力信号処理回路51の出力するパルス(ハイレベル1とローレベル1のパルス及びハイレベル2とローレベル2のパルス)を他方の比較回路(第3比較回路44)で他方の比較レベル(比較レベル1)と比較しその大小を信号iとして出力する。なお、出力信号処理回路51に対して、矩形波信号eと矩形波信号fを互いに入れ替えて入力することも可能である。
【0035】
出力信号処理回路51では、図11(a)(b)の波形hを参照して、ハイレベル1とローレベル1のパルスが他方の比較レベル(比較レベル1)と交差しないようにすると共に、ハイレベル2とローレベル2のパルスが一方の比較レベル(比較レベル2)と交差しないように、ハイレベル1とローレベル1のパルスに対して、ハイレベル2とローレベル2のパルスの電位を異ならせて構成している。図11(a)の波形hで説明すると、ハイレベル1の電位は比較レベル1と交差しなければ、ローレベル2の電位を超えて比較レベル1により接近させることもできる。同様に図11(b)の波形hで説明すると、ローレベル2の電位は比較レベル2と交差しなければ、ハイレベル1の電位より低くして比較レベル2に接近させることもできる。
【0036】
次に動作について説明する。図11,図12は図10の電気回路図の各部e,f,g,h,i,jの波形を示し、図11(a)は正回転、図10(b)は逆回転、図12(c)は正回転から逆回転に反転する場合を示している。図のように、信号eとfの組み合わせにより、図11(a)の正回転の場合では、信号iがハイレベルとなり、信号jは磁性移動体の凹凸に対応した信号(凹凸である正転信号)を出力する。図11(b)の逆回転の場合では、信号jはローレベルとなり、信号iは磁性移動体の凹凸に対応した信号(凹凸である逆転信号)を出力する。このように信号i、jによって、コンピュータユニットは磁性移動体の凹凸に対応した信号と回転方向を検出することができる。図12(c)は正回転から逆回転に反転する場合の波形を示し、センサ出力信号hは図のような動作となる。図12(c)の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号e,fの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号e,fのH,Lの値により、信号gのH(正回転),L(逆回転)が出力されることを示している。
【0037】
図13は磁性移動体が反転位置で正転と逆転を繰り返す繰返しパターン(a),(b)による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図13の上部の図で、MR素子と対向する磁性移動体4は、反転位置で正転と逆転を繰返す。このときの各繰返しパターン(a),(b)における図10の電気回路図の各部の波形を図13(a),(b)で示す。図13の上右部の図は、第1論理回路25による論理判定の結果を示すもので、信号eの立上りエッジ,立下りエッジ時における信号fのH,Lの値により、信号gのH(正回転),L(逆回転)が出力されることを示している。
【0038】
図13(a),(b)で正回転の時間では、各部の波形は図11(a)の正回転の場合と同じとなる。図13(a)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の歯部で正転と逆転を繰り返しており、矩形波信号eは、その反転位置がローレベルLとハイレベルHの切替わり位置であるため、LとHを繰返す。一方矩形波信号fは、その反転位置がその前後でローレベルLであるため、Lを持続する。そのため、信号gは、図13の右上図に従って、矩形波信号eの立下りエッジと立上りエッジと矩形波信号fのローレベルにより、ローレベルL(逆回転)とハイレベルH(正回転)となる(波形g参照)。そのため、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ハイレベル2(逆転)とローレベル1(正転)となり、信号iに凹凸である逆転信号を発生し、信号jに凹凸である正転信号を発生する。従って磁性移動体4は、正回転でも逆回転でもない状態であり、逆転と正転を繰返していると判定できる。
【0039】
図13(b)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の凹部で正転と逆転を繰り返しており、矩形波信号eは、その反転位置がハイレベルHとローレベルLの切替わり位置であるため、HとLを繰返す。一方矩形波信号fは、その反転位置がその前後でハイレベルHであるため、Hを持続する。そのため、信号gは、図13の右上図に従って、矩形波信号eの立上りエッジと立下りエッジと矩形波信号fのハイレベルにより、ローレベルL(逆回転)とハイレベルH(正回転)となる(波形g参照)。そのため、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ローレベル2(逆転)とハイレベル1(正転)となり、信号iはハイレベルH信号に固定され、信号jはローレベルL信号に固定される。従って、両パルスとも出力されないので、磁性移動体4は回転していないと判定できる。
【0040】
このように両方の場合とも磁性移動体4の位置情報を誤認識することがなく良好な検出が可能となり、磁性移動体の検出エッジ付近での振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができる。なお、磁気検出素子(磁電変換素子)としては、MR素子の他に、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)、トンネル磁気抵抗効果素子やホール素子を用いることができる。
【0041】
また、MR素子としてGMR素子を用いることにより、ブリッジ回路出力を大きくすることができ、歯状磁性移動体と磁気検出装置間の距離が大きな場合でも検出可能になり、装置の特性が向上する。MR素子のMR変化率は2〜6%であるが、GMR素子のそれは約30%なので、ブリッジ回路出力は5〜15倍となる。また、デジタル信号の他アナログ信号を用いてもよい。以上のように実施の形態1によれば、被検出対象である磁性移動体の移動方向を検知できるとともに、磁性移動体の位置情報を誤認識することなく検出できる。磁性移動体の検出エッジ付近での振動等による正転と逆転の繰返し動作時においても誤認識せず良好な検出ができる。
【0042】
実施の形態2.
図14は実施の形態2による磁気検出装置の電気回路図である。図15は図14の電気回路図の各部e,f,g,h,i,jの波形を示す図であり、正回転から逆回転への切り換わりのタイミングでの動作を示す。図10の磁気検出装置と比較して異なる内容を中心に説明する。図14では第2論理回路46の回路461と回路462の2出力が共に出力トランジスタ37のベース端子に接続され、回路463の出力が出力トランジスタ40のベース端子に接続される。出力トランジスタ37、40のエミッタ端子は接地される。
【0043】
出力トランジスタ37のコレクタ端子は、抵抗39を介して、センサ出力信号hを発生する端子となる。同様に出力トランジスタ40のコレクタ端子もセンサ出力信号hを発生する端子となる。センサ出力信号hを発生する端子はコンピュータユニット42に伝達された後、抵抗15を介して電源Vccに接続される。その後は、図10と同様に、センサ出力信号hは、第3比較回路44に入力され、比較レベル1と比較され信号iを得る。またセンサ出力信号hは第4比較回路45に入力され、比較レベル2と比較され信号jを得る。
【0044】
このようにすることにより、磁性移動体の正方向への移動に基づいて得られる第1の信号であるハイレベルH信号gと、第1比較回路29の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを得る。つまり、ハイレベルH信号gと第1比較回路29のHによりAND回路463からHが発生して、出力トランジスタ40がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル1信号が発生する(図15参照)。ハイレベルH信号gと第1比較回路29のLにより回路462からHが発生して出力トランジスタ37がオンしてセンサ出力信号hとしてハイレベル1信号が発生する(図15参照)。
【0045】
磁性移動体の逆方向への移動に基づいて得られる第2の信号であるローレベルL信号gと、第1比較回路29の出力によりハイレベル2とローレベル2のパルスを得る。つまり、ローレベルL信号gと第1比較回路29のHにより回路461からHが発生して、出力トランジスタ37がオンしてセンサ出力信号hとしてローレベル2信号が発生する(図15参照)。ローレベルL信号gと第1比較回路29のLにより回路461,462,463がすべてオフしてセンサ出力信号hとしてハイレベル2信号が発生する(図15参照)。
【0046】
このとき、磁性移動体の正方向への移動に基づくハイレベル1信号と、磁性移動体の逆方向への移動に基づくローレベル2信号は、同じ出力トランジスタ37がオンしたときの
センサ出力信号hであり、両信号は電位が同レベルになる。図14のその他の動作は実施の形態1と同じである。
【0047】
図16(a),(b)は磁性移動体が反転位置で正転と逆転を繰り返す繰返しパターン(a),(b)による図14の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。図のように図16(a)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の歯部で正転と逆転を繰り返しており、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ハイレベル2(逆転)とローレベル1(正転)となり、信号iに凹凸である逆転信号を発生し、信号jに凹凸である正転信号を発生する。従って磁性移動体4は、正回転でも逆回転でもない状態であり、逆転と正転を繰返していると判定できる。
【0048】
図16(b)の正転と逆転を繰り返す時間では、、磁性移動体4の凹部で正転と逆転を繰り返しており、センサ出力信号hは、波形hで示すように、ローレベル2(逆転)=ハイレベル1(正転)となり、信号iはハイレベル信号に固定され、信号jはローレベル信号に固定される。従って、両パルスとも出力されないので、磁性移動体4は回転していないと判定できる。このように両方の場合とも磁性移動体の位置情報を誤認識することがなく良好な検出が可能となる。このように実施の形態2では実施の形態1と同様の動作が得られるうえに、図14の電気回路図で示すとおり出力トランジスタと抵抗体を各々1個づつ削減しコスト低減が計れる。
【0049】
実施の形態3.
図17は実施の形態3における図14の電気回路図の各部e,f,g,h,i,jの波形を示す図であり、正回転から逆回転への切り換わりのタイミングでの動作を示す。実施の形態3は図14の実施の形態2の電気回路図の抵抗体39を、図17で示す信号hにおいて、正回転時のセンサ出力信号hのハイレベルをハイレベル1、ローレベルをローレベル1とし、逆回転時のセンサ出力信号hのハイレベルをハイレベル2、ローレベルをローレベル2とした場合、ハイレベル1≒ローレベル2≒1/2(ハイレベル2―ローレベル1)となるように最適値化したものであり、その他は実施の形態2と同じである。実施の形態3では、実施の形態2と同様の検出性能が得られることはもちろんであるが、さらに、図17の信号hからわかるように、コンピュータユニット側の比較レベル1と比較レベル2の設定余裕度がアップする。また、センサ出力信号hを受ける側のコンピュータユニットの比較レベル設定の余裕度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の基礎技術における磁気検出装置の電気回路図である。
【図2】図1の第1論理回路の詳細な電気回路図である。
【図3】磁性移動体の反転パターン(a)(b)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図4】磁性移動体の反転パターン(c)(d)による図1の電気回路図の各部の波形図である。
【図5】磁性移動体の反転パターン(a)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【図6】磁性移動体の反転パターン(b)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【図7】磁性移動体の反転パターン(c)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【0051】
【図8】磁性移動体の反転パターン(d)による図2の電気回路図の各部の波形図である。
【図9】磁性移動体の繰返しパターン(a)(b)による図1の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図10】実施の形態1による磁気検出装置の電気回路図である。
【図11】磁性移動体の回転による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図12】磁性移動体の反転による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図13】磁性移動体の繰返しパターン(a)(b)による図10の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【0052】
【図14】実施の形態2による磁気検出装置の電気回路図である。
【図15】磁性移動体の反転による図14の電気回路図の各部の波形を示す図である。
【図16】磁性移動体の繰返しパターン(a)(b)による図14の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【図17】実施の形態3における磁性移動体の反転による図14の電気回路図の各部の波形を示す図である。
【図18】従来の磁気検出装置の磁気回路構成図である。
【図19】従来の磁気検出装置の電気回路図である。
【図20】図19の電気回路図の各部の波形とそれを説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 磁石 2 Iチップ
4 歯状磁性移動体 5 回転軸
6,8,9、12,13,15,16,17,19,20,39,41 抵抗
7,10,11,14,18,24 接続点
21a,21b,22 磁気検出素子(磁電変換素子)
23,30 ブリッジ回路 25 第1論理回路
29 第1比較回路 36 第2比較回路
【0054】
37,40,43 出力トランジスタ 38 Dフリップフロップ回路
38−1,38−2,38−3,38−4 Dフリップフロップ回路
42 コンピュータユニット 44 第3比較回路
45 第4比較回路 46 第2論理回路
51 出力信号処理回路 411,391 抵抗
371,401 出力トランジスタ 461,462 回路
463 AND回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス磁界中に、被検出対象である歯状磁性移動体に対向しその移動方向に並べて配置され、前記被検出対象の移動に応じるバイアス磁界の状態変化により電気量変化を生じる第1,第2磁電変換素子体、
前記第1磁電変換素子体の電気量変化を出力する第1磁電変化出力回路、
前記第2磁気変換素子体の電気量変化を出力する第2磁電変化出力回路、
前記被検出対象の正方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第1信号を出力し、この第1信号出力と前記磁電変化出力回路の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを発生し、
前記被検出対象の逆方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第2信号を出力し、この第2信号出力と前記磁電変化出力回路の出力により、前記ハイレベル1と前記ローレベル1の少なくともいずれかを異にするハイレベル2とローレベル2のパルスを発生する出力信号処理回路、
前記出力信号処理回路の出力するパルスを一方の比較レベルと比較し出力する一方の比較回路、
及び、前記出力信号処理回路の出力するパルスを前記一方の比較レベルと異なる他方の比較レベルと比較し出力する他方の比較回路を備えるものにおいて、
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1とローレベル1のパルスが前記他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、前記ハイレベル2とローレベル2のパルスが前記一方の比較レベルと交差しないように構成されたことを特徴とする磁気検出装置。
【請求項2】
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1とローレベル1のパルスが前記他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、前記ハイレベル2とローレベル2のパルスが前記一方の比較レベルと交差しないように、前記ハイレベル1とローレベル1のパルス又は前記ハイレベル2とローレベル2のパルスの電位を変化させるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の磁気検出装置。
【請求項3】
前記ハイレベル1とローレベル1のパルス又は前記ハイレベル2とローレベル2のパルスの電位を変化させるために、論理回路とトランジスタを用いたことを特徴とする請求項2記載の磁気検出装置。
【請求項4】
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1と前記ローレベル2を同じ電位となるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の磁気検出装置。
【請求項5】
前記出力信号処理回路は、各レベルの電位が、前記ハイレベル1≒前記ローレベル2≒1/2(前記ハイレベル2―前記ローレベル1)となるように構成されたことを特徴とする請求項4記載の磁気検出装置。
【請求項6】
前記出力信号処理回路は、前記第1磁電変化出力回路の出力信号の立上りエッジによりトリガされる第1の立上りエッジDフロップフロップ回路と、前記第2磁電変化出力回路の出力信号の立上りエッジによりトリガされる第2の立上りエッジDフリップフロップ回路と、前記第1磁電変化出力回路の出力信号の立下りエッジによりトリガされる第1の立下りエッジDフロップフロップ回路と、前記第2磁電変化出力回路の出力信号の立下りエッジによりトリガされる第2の立下りエッジDフリップフロップ回路とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気検出装置。
【請求項1】
バイアス磁界中に、被検出対象である歯状磁性移動体に対向しその移動方向に並べて配置され、前記被検出対象の移動に応じるバイアス磁界の状態変化により電気量変化を生じる第1,第2磁電変換素子体、
前記第1磁電変換素子体の電気量変化を出力する第1磁電変化出力回路、
前記第2磁気変換素子体の電気量変化を出力する第2磁電変化出力回路、
前記被検出対象の正方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第1信号を出力し、この第1信号出力と前記磁電変化出力回路の出力によりハイレベル1とローレベル1のパルスを発生し、
前記被検出対象の逆方向への移動に基づく、前記第1磁電変化出力回路の出力と前記第2磁電変化出力回路の出力の相互の位相により、第2信号を出力し、この第2信号出力と前記磁電変化出力回路の出力により、前記ハイレベル1と前記ローレベル1の少なくともいずれかを異にするハイレベル2とローレベル2のパルスを発生する出力信号処理回路、
前記出力信号処理回路の出力するパルスを一方の比較レベルと比較し出力する一方の比較回路、
及び、前記出力信号処理回路の出力するパルスを前記一方の比較レベルと異なる他方の比較レベルと比較し出力する他方の比較回路を備えるものにおいて、
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1とローレベル1のパルスが前記他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、前記ハイレベル2とローレベル2のパルスが前記一方の比較レベルと交差しないように構成されたことを特徴とする磁気検出装置。
【請求項2】
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1とローレベル1のパルスが前記他方の比較レベルと交差しないようにすると共に、前記ハイレベル2とローレベル2のパルスが前記一方の比較レベルと交差しないように、前記ハイレベル1とローレベル1のパルス又は前記ハイレベル2とローレベル2のパルスの電位を変化させるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の磁気検出装置。
【請求項3】
前記ハイレベル1とローレベル1のパルス又は前記ハイレベル2とローレベル2のパルスの電位を変化させるために、論理回路とトランジスタを用いたことを特徴とする請求項2記載の磁気検出装置。
【請求項4】
前記出力信号処理回路は、前記ハイレベル1と前記ローレベル2を同じ電位となるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の磁気検出装置。
【請求項5】
前記出力信号処理回路は、各レベルの電位が、前記ハイレベル1≒前記ローレベル2≒1/2(前記ハイレベル2―前記ローレベル1)となるように構成されたことを特徴とする請求項4記載の磁気検出装置。
【請求項6】
前記出力信号処理回路は、前記第1磁電変化出力回路の出力信号の立上りエッジによりトリガされる第1の立上りエッジDフロップフロップ回路と、前記第2磁電変化出力回路の出力信号の立上りエッジによりトリガされる第2の立上りエッジDフリップフロップ回路と、前記第1磁電変化出力回路の出力信号の立下りエッジによりトリガされる第1の立下りエッジDフロップフロップ回路と、前記第2磁電変化出力回路の出力信号の立下りエッジによりトリガされる第2の立下りエッジDフリップフロップ回路とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−31147(P2009−31147A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196061(P2007−196061)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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