移植機
【課題】オペレータが予期しない状態での苗の植付作業の停止を防止するようにした移植機を提供する。
【解決手段】マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台と、該苗のせ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段と、前記苗のせ台の往復移動機構及び前記植付手段への動力伝達を断接する植付クラッチとを有し、前記苗のせ台の左右移動端において前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止するようにした移植機において、移植機の制御装置80は、植付自動停止手段と自動停止規制手段を兼ね、前記植付自動停止手段の作動を開始するモードスイッチ20と、前記苗のせ台上の苗が所定量以下であることを検出する苗切れセンサ81とを有し、前記モードスイッチ20に基づく前記植付自動停止手段の作動を、前記苗切れセンサ81が苗切れを検出した状態にのみ有効とする。
【解決手段】マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台と、該苗のせ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段と、前記苗のせ台の往復移動機構及び前記植付手段への動力伝達を断接する植付クラッチとを有し、前記苗のせ台の左右移動端において前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止するようにした移植機において、移植機の制御装置80は、植付自動停止手段と自動停止規制手段を兼ね、前記植付自動停止手段の作動を開始するモードスイッチ20と、前記苗のせ台上の苗が所定量以下であることを検出する苗切れセンサ81とを有し、前記モードスイッチ20に基づく前記植付自動停止手段の作動を、前記苗切れセンサ81が苗切れを検出した状態にのみ有効とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗の植付作業中に発生する誤操作や誤動作により、苗の植付作業が停止状態になるのを防止するようにした移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
移植機、例えば、マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台と、該苗のせ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段とを有し、苗の植付作業を行う作業機を連結した乗用田植機において、前記作業機に前記苗のせ台が横方向の終端位置に移動した場合に検知してオンとなる検出センサを配置し、前記作業機を操作する植付クラッチレバーには、前記検出センサのオンにより作動して前記植付クラッチレバーをクラッチオフに作動させることができるアクチュエータを連動させ、前記検出センサ及びアクチュエータをスイッチによりオンオフの状態に切替操作可能に構成し、前記苗のせ台の位置を自動的に正確にセッティングできるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、苗を載置して左右に往復移動する苗のせ台と、該苗のせ台の下方に配置され植付爪により苗を移植する植付ケースとを備えた乗用田植機において、前記植付ケースに対し前記苗のせ台が前記移動方向の所定の位置に移動したことを検知する検知手段を備え、苗のせ台の移動位置を検知し、その位置に自動的に停止させたり、ブザー等で報知することができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開平6−319325号公報(第2−3頁、図4)
【特許文献2】特開2002−125424号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各乗用田植機においては、植付作業中に苗のせ台の左右移動端において植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段の作動を開始する作動開始手段が誤って入操作され、あるいは各種の故障等により入状態になったとき、オペレータが予期しない状態で植付作業を継続しえなくなることがある。
【0006】
前記の事情に鑑み、本発明は、植付作業中に誤って作動開始手段を操作したり、また各種の故障等により作業開始手段が入状態となっても、苗切れセンサが苗切れを検出していない場合は、植付作業を継続し得るようにした移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台(52)と、
該苗のせ台(52)から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段(46)と、
前記苗のせ台(52)の往復移動機構(60)及び前記植付手段(46)への動力伝達を断接する植付クラッチと、
前記苗のせ台(52)の左右移動端において前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段(80)と、
を備えてなる移植機において、
前記植付自動停止手段(80)の作動を開始する作動開始手段(20)と、
前記苗のせ台(52)上の苗が所定量以下であることを検出する苗切れセンサ(81)と、
前記作動開始手段(20)に基づく前記植付自動停止手段(80)の作動を、前記苗切れセンサ(81)が苗切れを検出した状態にのみ有効とする自動停止規制手段(80)と、を備えた、
ことを特徴とする移植機にある。
【0008】
請求項2に係る本発明は、オペレータが座れる座席(17)を備え、
前記作動開始手段(20)を前記座席(17)の下に配置してなる、
請求項1記載の移植機にある。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記座席(17)を倒したとき、前記作動開始手段(20)を操作可能とした、
請求項2記載の移植機にある。
【0010】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明によると、植付作業中に誤って作動開始手段を操作したり、また各種の故障等により作業開始手段が入状態となっても、苗切れセンサが苗切れを検出していない場合は、植付停止手段が作動状態となることはなく、オペレータが予期せず植付停止手段が作動状態となって、植付作業を継続し得なくなることを防止できる。
【0012】
請求項2に係る本発明によると、通常は操作することのない座席下に作動開始手段を設けたので、誤操作による予期せぬ植付停止を防止することができる。
【0013】
請求項3に係る本発明によると、植付作業を停止して、オペレータが座席を倒さないと、作業開始手段の操作ができないので、誤操作による植付停止を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1乃至図11は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、移植機の側面図、図2は、移植機の平面図、図3は、モードスイッチの配置を示す側面図、図4は、作業機の昇降操作を行う操作具の配置を示す側面図、図5は、作業機の操作を行う操作部の側面図、図6は、作業機の伝動系統を示す展開図、図7は、移植機における苗のせ台の位置検出部を示し、(a)は、斜視図、(b)は、側面図、(c)は、正面図、図8は、制御部を示すブロック線図、図9は、油圧昇降制御を示すプログラムフローチャート、図10は、油圧昇降制御における植付部端寄せ制御開始判断を示すプログラムフローチャート、図11は、油圧昇降制御における植付部端寄せ制御解除判断を示すプログラムフローチャートである。
【0016】
図1及び図2に示すように、この実施形態における移植機1は、走行車両10と、該走行車両10の後に接続され、苗の植付作業を行う作業機30とからなり、乗用田植機として構成されている。
【0017】
前記走行車両10は、各一対の前輪11、11及び後輪12、12により支えられた走行機体13を有し、該走行機体13の前部には、エンジン(図示せず)が搭載されボンネット15で覆われている。なお、前記走行機体13の前記エンジンの搭載部の下部後方には、前記エンジンの出力を変速するトランスミッション(図示せず)が配置され、該トランスミッションの内部に植付クラッチ(図示せず)が配置されている。
【0018】
前記走行機体13のボンネット15の後方には、運転席16が配置され、該運転席16には、オペレータが着座する座席17が配置されている。前記座席17は、図3に示すように、前記走行機体13に軸18を介して矢印A方向に回動可能に支持されている。
【0019】
前記座席17の下には、後述する苗のせ台の左右移動端において、前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段の作動を開始する作動開始手段を構成するモードスイッチ20が配置されている。そして、前記座席17を前方に倒したときモードスイッチ20の操作が可能となり、無意識に行われる誤操作を防止することができる。
【0020】
図1、図2に示すように、前記運転席16には、ステアリングハンドル21をはじめ、移植機1の運転操作に必要な各種レバー、スイッチ、ペダル類が配置されている。また、図4に示すように、前記ステアリングハンドル21の側面には、前記作業機30を昇降操作するためのクイックアップレバー22が配置され、該クイックアップレバー22の支持部近傍には、該クイックアップレバー22による上下操作を検出するクイックアップレバー上げスイッチ(図示せず)と、クイックアップレバー下げスイッチ(図示せず)が配置されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、前記走行機体13の後方には、その自由端が上下方向に搖動可能に配置されたアッパーリンク25及びロアリンク26で構成される昇降リンク機構27を介して前記作業機30が連結され、該作業機30は、図5に示す、コントロールバルブ31により制御される油圧シリンダ28の伸縮により昇降されるようになっている。
【0022】
図5に示すように、前記コントロールバルブ31は、前記走行機体13側に配置され、リフタカムモータ32の作動により駆動されるリフタカム33を介して回動させられる操作軸(図示せず)を有し、その回動角度に応じてコントロールバルブ31を複数のポジションに切り替え、それぞれのポジションに応じて前記油圧シリンダ28(図1参照)を制御して、前記作業機30の昇降を制御する。
【0023】
前記走行機体13にブラケット35を介して搖動可能に支持された操作アーム36の一端には、前記リフタカム33のカム面33aに当接するローラ36aが回転可能に支持されている。また、前記操作アーム36の他端に接続されたロッド37を介して前記植付クラッチの入り切りを操作する操作軸(図示せず)に接続されている。従って、前記リフタカム33の回動により前記操作アーム36が搖動して、前記植付クラッチの入り切り操作を行うことができる。
【0024】
前記操作軸には、リフタカムポテンショメータ38が配置され、前記リフタカム33の回動位置が検出できるようになっている。また、前記コントロールバルブ31には、バルブ固定操作具40が配置され、該バルブ固定操作具40により該コントロールバルブ31の油圧をロックすることができるようになっている。
【0025】
図1、図2及び図6に示すように、前記作業機30は、左右方向に向けて配置される横フレーム41と、該横フレーム41に上下方向に延設するように一体に固定された複数の縦フレーム42で構成される作業機フレーム43を備えている。前記横フレーム41には、後方に向けて突出する複数のプランタケース45が配置され、各プランタケース45の後端部側面には、それぞれ苗の掻取りと植付けを行う植付手段46が回転可能に配置されている。また、前記プランタケース45の下面には、フロート47が揺動可能に配置されている。
【0026】
前記プランタケース45の後部上方に配置され、掻取り調節レバー48の操作により上下方向に移動可能な掻取り調節機構(図示せず)を介してエプロン50が上下移動可能に支持され、移動する。前記エプロン50には、前記植付手段46の先端部の回転軌跡が通過する複数の切欠き51が形成されている。
【0027】
前記作業機フレーム43に左右方向に移動可能に支持され、載置したマット状の苗を前記植付手段46に対して供給する苗のせ台52が配置されている。なお、前記苗のせ台52の下端部は、前記エプロン50に近接配置され、載置したマット状の苗が前記エプロン50上に接するように供給する。従って、前記エプロン50を上下方向に移動させることにより、前記植付手段46により掻取る苗の量を調節することができるようになっている。また、前記苗のせ台52の所定の位置には、苗のせ台52上の苗の残量が所定量以下になったことを検出する苗切れセンサ(図示せず)が配置されている。
【0028】
前記横フレーム41には、前記トランスミッションからPTO軸を介して動力が入力されるドライブケース56が固定されている。前記ドライブケース56から左右に突出する駆動軸57は、前記各プランタケース45に動力を伝達し、該プランタケース45の内部を通して前記各植付手段46に動力を伝達して、該植付手段46を回転駆動する。
【0029】
また、図6で右端に位置するプランタケース45の右側には、前記駆動軸57を入力軸とする横送りトランスミッション58が設けられている。該トランスミッション58を介して、前記苗のせ台52を左右方向に往復移動させる横送り装置60のスクリューシャフト61に動力が伝達され、該スクリューシャフト61の回転により前記苗のせ台52が往復移動する。
【0030】
図7に示すように、前記縦フレーム42には、前記エプロン50と共に上下方向にスライド可能にスライドピース63が配置されている。前記苗のせ台52の下面(走行車両10側の面)には、スライドレール65が固定され、前記スライドピース63と摺動可能に嵌合している。
【0031】
前記縦フレーム42には、支持ステー66が固定されている。該支持ステー66には、前記苗のせ台52の左右方向の移動端を設定するための設定プレート67が固定されている。該設定プレート67には、長手(横)方向に所定の間隔で長さの異なる2個の切欠き、即ち、長さが短く前記苗のせ台52の一方の移動端を設定するための切欠き67aと、長さが長く前記苗のせ台52の他方の移動端を設定するための切欠き67bとが形成されている。
【0032】
前記設定プレート67の切欠き67bに対応する位置には、調節プレート68が位置調整可能に固定されている。該調節プレート68には、前記切欠き67aと略同じ長さの切欠き68aが形成され、前記設定プレート67の切欠き67bの範囲内で前記調節プレート68の切欠き68aを移動させることにより、前記苗のせ台52の他方の移動端を適宜設定することができる。
【0033】
前記スライドレール65の所定の位置には、ブラケット70と、該ブラケット70に上下方向に移動可能に支持された支持ブロック71が配置され、該支持ブロック71には、前記苗のせ台52の左右の移動端を検出するための移動端検出センサ72が支持されている。
【0034】
前記移動端検出センサ72は、その側面に前記設定プレート67及び調節プレート68に摺動可能に嵌合する溝が形成され、該溝の一方に投光素子が、他方に受光素子が互いに対向するように配置されており、前記切欠き67a及び切欠き68aに対応する位置で投光素子からの光を受光素子で受光したとき、前記苗のせ台52がその移動端に達したことを検出するようになっている。
【0035】
図8に示すように、前記移植機1の制御装置80は、マイクロコンピュータで構成され、その入力側に、前記モードスイッチ20、前記リフタカムポテンショメータ38、移動端検出センサ72、苗切れセンサ81、クイックアップレバー上げスイッチ82、クイックアップレバー下げスイッチ83、植付スイッチ85、端寄せスイッチ86、エンジン回転センサ87等の他、制御に必要なスイッチ、センサ類が接続されている。また、前記制御装置80の出力側には、前記リフタカムモータ32、植付モニタ90、水平自動モニタ91、水平自動モータ92等の他、制御に必要な機器が接続されている。なお、前記制御装置80は、前記移動端検出センサ72からの検出信号に基づいて前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段と、該植付自動停止手段の作動を規制する自動停止規制手段と兼ねている。
【0036】
図9に示すように、前記制御装置80において前記作業機30の昇降制御が行われる。前記クイックアップレバー22の操作状態を検知し、クイックアップレバー22が操作されているときには、該操作に従った制御を行う(図9のステップS1、以下単にステップS○という)。なお、ステップS1における制御手順は、サブルーチンとして別途プログラムされるが、本提案ではその説明を省略する。
【0037】
植付部(苗のせ台52)端寄せ制御開始判断を行う(ステップS2)。前記ステップS2における植付部の端寄せ制御開始の判断は、図10に示すサブルーチンにより行われる。エンジン回転センサ87の出力に基づいてエンジンが回転しているか否かを判定する(図10のステップSA1、以下、単にステップSA○という)。前記ステップSA1で、エンジンが回転状態である場合には、植付スイッチ85のON、OFFを判定する(ステップSA2)。
【0038】
前記ステップSA2で、植付スイッチ85がONであった場合、苗切れセンサ81の出力に基づいて苗の残量を判定する(ステップSA3)。ステップSA3で、苗切れセンサ81の出力がONの場合は、苗のせ台52に載置された苗の残量が所定量(例えば、一方の畔際から他方の畔際まで苗の移植が継続できる量)より少なくなったことを示し、OFFの場合は、苗のせ台52に載置された苗の残量が所定量以上あることを示している。
【0039】
前記ステップSA3で、苗切れセンサ81がONであった場合、モードスイッチ20が操作された状態であるか否かを判定する(ステップSA4)。前記ステップSA4で、モードスイッチ20が操作された状態であった場合、端寄せ制御フラグをONとし、油圧系統は植付け状態を維持する(ステップSA5)。
【0040】
前記ステップSA1で、エンジンが停止状態であった場合、前記ステップSA2で、植付スイッチ85がOFFであった場合、前記ステップSA3で、前記苗切れセンサ81がOFFであった場合、前記ステップSA4で、モードスイッチ20が操作されていなかった場合、端寄せ制御フラグをOFFとする(ステップSA6)。
【0041】
即ち、エンジンが回転状態にあり、植付スイッチ85がON操作されており、苗切れセンサ81が苗の残量が所定量以下であることを検出し、モードスイッチ20が操作されていた場合にのみ、端寄せ制御フラグがONとなり端寄せ制御が可能になる。
【0042】
図9に示すように、前記ステップS2のサブルーチンが終了すると、植付部端寄せ制御解除判断を行う(ステップS3)。前記ステップS3における植付部の端寄せ制御解除の判断は、図11に示すサブルーチンにより行われる。端寄せ制御フラグのON、OFFを判定する(図11のステップSB1、以下、単にステップSB○という)。
【0043】
前記ステップSB1で、端寄せ制御フラグがONであった場合、油圧系統が植付け状態であるか否かを判定する(ステップSB2)。前記ステップSB2で、油圧系統が植付け状態であった場合、端寄せスイッチ86の現在(今回)のON、OFFの状態を判定する(ステップSB3)。前記ステップSB3で、端寄せスイッチ86の状態がONであった場合、端寄せスイッチ86の前回の判定結果を判定する(ステップSB4)。
【0044】
前記ステップSB4で、端寄せスイッチ86の前回の判定結果がOFFであった場合、端寄せ制御フラグをOFFに設定し、油圧系統は植付(下げ)状態を維持する(ステップSB5)。前記ステップSB1で、端寄せ制御フラグがOFFであった場合、前記ステップSB2で、油圧系統の状態が植付以外の状態であった場合、前記ステップSB3で、端寄せスイッチ86がOFFであった場合、前記ステップSB4で、端寄せスイッチ86の状態が前回の判定時にはONであった場合、端寄せ制御フラグを変えることなく次の制御に移行する。
【0045】
即ち、前記ステップS2で、端寄せ制御フラグがOFFに設定された場合には、そのままステップS3を通過して次の制御に移行する。前記ステップS2で、端寄せ制御フラグがONに設定された場合には、油圧系統が植付以外の状態にある場合、油圧系統が植付け状態であっても端寄せスイッチ86の今回の判定がOFFの場合、端寄せスイッチ86の今回の判定がONであって前回の判定もONであった場合、端寄せ制御フラグがONのまま次の制御に移行する。その他の場合には、端寄せ制御フラグがOFFに設定されて次の制御に移行する。
【0046】
前記のように端寄せ制御フラグが設定された後、図9に示すように、作業機30が上昇位置にあるのか下降位置にあるのかを油圧系統の上げ、下げ状態で判定する(ステップS4)。前記ステップS4で、作業機30が上昇位置にある場合、作業機30が最上昇位置にあるか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、作業機30が最上昇位置にある場合、油圧系統を現在の状態で固定する(ステップS6)。
【0047】
前記ステップS5で、作業機30が最上昇位置ではないが上昇位置にある場合、前記ステップS6で、油圧系統を固定した場合、植付モニタを消灯し(ステップS7)、作業機30が植付け状態にないことを表示する。
【0048】
前記ステップS4で、油圧系統が上げ以外の場合、作業機30が植付位置にあるのか否かを油圧の状態で判定する(ステップS8)。前記ステップS8で、作業機30が植付位置以外の位置にある場合には、前記ステップS7へ移行する。前記ステップS8で、作業機30が植付位置にある場合には、苗の植付と同時に圃場に施肥する施肥系統の詰まりの有無を判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、施肥系統に詰まりがない場合には、植付クラッチの入り待ち状態を解除(ステップS10)して、植付モニタ90を点灯(ステップS11)し植付状態に入ったことを表示する。なお、前記ステップS9で、施肥系統に詰まりが発生していた場合には、油圧を下げ(ステップS12)待機状態に移行させる。
【0049】
前述のように、制御装置80は、モードスイッチ20の操作に基づく植付自動停止手段の作動を、苗切れセンサ81が苗切れを検出したときのみ有効とする自動停止規制手段を兼ねているので、オペレータが予期しない状態での植付作業の停止を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】移植機の側面図である。
【図2】移植機の平面図である。
【図3】モードスイッチの配置を示す側面図である。
【図4】作業機の昇降操作を行う操作具の配置を示す側面図である。
【図5】作業機の操作を行う操作部の側面図である。
【図6】作業機の伝動系統を示す展開図である。
【図7】移植機における苗のせ台の位置検出部を示し、(a)は、斜視図、(b)は、側面図、(c)は、正面図である。
【図8】制御部を示すブロック線図である。
【図9】油圧昇降制御を示すプログラムフローチャートである。
【図10】油圧昇降制御における植付部端寄せ制御開始判断を示すプログラムフローチャートである。
【図11】油圧昇降制御における植付部端寄せ制御解除判断を示すプログラムフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
17 座席
20 作動開始手段(モードスイッチ)
46 植付手段
52 苗のせ台
60 往復移動機構(横送り装置)
80 植付自動停止手段、自動停止規制手段(制御装置)
81 苗切れセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗の植付作業中に発生する誤操作や誤動作により、苗の植付作業が停止状態になるのを防止するようにした移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
移植機、例えば、マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台と、該苗のせ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段とを有し、苗の植付作業を行う作業機を連結した乗用田植機において、前記作業機に前記苗のせ台が横方向の終端位置に移動した場合に検知してオンとなる検出センサを配置し、前記作業機を操作する植付クラッチレバーには、前記検出センサのオンにより作動して前記植付クラッチレバーをクラッチオフに作動させることができるアクチュエータを連動させ、前記検出センサ及びアクチュエータをスイッチによりオンオフの状態に切替操作可能に構成し、前記苗のせ台の位置を自動的に正確にセッティングできるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、苗を載置して左右に往復移動する苗のせ台と、該苗のせ台の下方に配置され植付爪により苗を移植する植付ケースとを備えた乗用田植機において、前記植付ケースに対し前記苗のせ台が前記移動方向の所定の位置に移動したことを検知する検知手段を備え、苗のせ台の移動位置を検知し、その位置に自動的に停止させたり、ブザー等で報知することができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開平6−319325号公報(第2−3頁、図4)
【特許文献2】特開2002−125424号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各乗用田植機においては、植付作業中に苗のせ台の左右移動端において植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段の作動を開始する作動開始手段が誤って入操作され、あるいは各種の故障等により入状態になったとき、オペレータが予期しない状態で植付作業を継続しえなくなることがある。
【0006】
前記の事情に鑑み、本発明は、植付作業中に誤って作動開始手段を操作したり、また各種の故障等により作業開始手段が入状態となっても、苗切れセンサが苗切れを検出していない場合は、植付作業を継続し得るようにした移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台(52)と、
該苗のせ台(52)から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段(46)と、
前記苗のせ台(52)の往復移動機構(60)及び前記植付手段(46)への動力伝達を断接する植付クラッチと、
前記苗のせ台(52)の左右移動端において前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段(80)と、
を備えてなる移植機において、
前記植付自動停止手段(80)の作動を開始する作動開始手段(20)と、
前記苗のせ台(52)上の苗が所定量以下であることを検出する苗切れセンサ(81)と、
前記作動開始手段(20)に基づく前記植付自動停止手段(80)の作動を、前記苗切れセンサ(81)が苗切れを検出した状態にのみ有効とする自動停止規制手段(80)と、を備えた、
ことを特徴とする移植機にある。
【0008】
請求項2に係る本発明は、オペレータが座れる座席(17)を備え、
前記作動開始手段(20)を前記座席(17)の下に配置してなる、
請求項1記載の移植機にある。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記座席(17)を倒したとき、前記作動開始手段(20)を操作可能とした、
請求項2記載の移植機にある。
【0010】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明によると、植付作業中に誤って作動開始手段を操作したり、また各種の故障等により作業開始手段が入状態となっても、苗切れセンサが苗切れを検出していない場合は、植付停止手段が作動状態となることはなく、オペレータが予期せず植付停止手段が作動状態となって、植付作業を継続し得なくなることを防止できる。
【0012】
請求項2に係る本発明によると、通常は操作することのない座席下に作動開始手段を設けたので、誤操作による予期せぬ植付停止を防止することができる。
【0013】
請求項3に係る本発明によると、植付作業を停止して、オペレータが座席を倒さないと、作業開始手段の操作ができないので、誤操作による植付停止を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1乃至図11は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、移植機の側面図、図2は、移植機の平面図、図3は、モードスイッチの配置を示す側面図、図4は、作業機の昇降操作を行う操作具の配置を示す側面図、図5は、作業機の操作を行う操作部の側面図、図6は、作業機の伝動系統を示す展開図、図7は、移植機における苗のせ台の位置検出部を示し、(a)は、斜視図、(b)は、側面図、(c)は、正面図、図8は、制御部を示すブロック線図、図9は、油圧昇降制御を示すプログラムフローチャート、図10は、油圧昇降制御における植付部端寄せ制御開始判断を示すプログラムフローチャート、図11は、油圧昇降制御における植付部端寄せ制御解除判断を示すプログラムフローチャートである。
【0016】
図1及び図2に示すように、この実施形態における移植機1は、走行車両10と、該走行車両10の後に接続され、苗の植付作業を行う作業機30とからなり、乗用田植機として構成されている。
【0017】
前記走行車両10は、各一対の前輪11、11及び後輪12、12により支えられた走行機体13を有し、該走行機体13の前部には、エンジン(図示せず)が搭載されボンネット15で覆われている。なお、前記走行機体13の前記エンジンの搭載部の下部後方には、前記エンジンの出力を変速するトランスミッション(図示せず)が配置され、該トランスミッションの内部に植付クラッチ(図示せず)が配置されている。
【0018】
前記走行機体13のボンネット15の後方には、運転席16が配置され、該運転席16には、オペレータが着座する座席17が配置されている。前記座席17は、図3に示すように、前記走行機体13に軸18を介して矢印A方向に回動可能に支持されている。
【0019】
前記座席17の下には、後述する苗のせ台の左右移動端において、前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段の作動を開始する作動開始手段を構成するモードスイッチ20が配置されている。そして、前記座席17を前方に倒したときモードスイッチ20の操作が可能となり、無意識に行われる誤操作を防止することができる。
【0020】
図1、図2に示すように、前記運転席16には、ステアリングハンドル21をはじめ、移植機1の運転操作に必要な各種レバー、スイッチ、ペダル類が配置されている。また、図4に示すように、前記ステアリングハンドル21の側面には、前記作業機30を昇降操作するためのクイックアップレバー22が配置され、該クイックアップレバー22の支持部近傍には、該クイックアップレバー22による上下操作を検出するクイックアップレバー上げスイッチ(図示せず)と、クイックアップレバー下げスイッチ(図示せず)が配置されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、前記走行機体13の後方には、その自由端が上下方向に搖動可能に配置されたアッパーリンク25及びロアリンク26で構成される昇降リンク機構27を介して前記作業機30が連結され、該作業機30は、図5に示す、コントロールバルブ31により制御される油圧シリンダ28の伸縮により昇降されるようになっている。
【0022】
図5に示すように、前記コントロールバルブ31は、前記走行機体13側に配置され、リフタカムモータ32の作動により駆動されるリフタカム33を介して回動させられる操作軸(図示せず)を有し、その回動角度に応じてコントロールバルブ31を複数のポジションに切り替え、それぞれのポジションに応じて前記油圧シリンダ28(図1参照)を制御して、前記作業機30の昇降を制御する。
【0023】
前記走行機体13にブラケット35を介して搖動可能に支持された操作アーム36の一端には、前記リフタカム33のカム面33aに当接するローラ36aが回転可能に支持されている。また、前記操作アーム36の他端に接続されたロッド37を介して前記植付クラッチの入り切りを操作する操作軸(図示せず)に接続されている。従って、前記リフタカム33の回動により前記操作アーム36が搖動して、前記植付クラッチの入り切り操作を行うことができる。
【0024】
前記操作軸には、リフタカムポテンショメータ38が配置され、前記リフタカム33の回動位置が検出できるようになっている。また、前記コントロールバルブ31には、バルブ固定操作具40が配置され、該バルブ固定操作具40により該コントロールバルブ31の油圧をロックすることができるようになっている。
【0025】
図1、図2及び図6に示すように、前記作業機30は、左右方向に向けて配置される横フレーム41と、該横フレーム41に上下方向に延設するように一体に固定された複数の縦フレーム42で構成される作業機フレーム43を備えている。前記横フレーム41には、後方に向けて突出する複数のプランタケース45が配置され、各プランタケース45の後端部側面には、それぞれ苗の掻取りと植付けを行う植付手段46が回転可能に配置されている。また、前記プランタケース45の下面には、フロート47が揺動可能に配置されている。
【0026】
前記プランタケース45の後部上方に配置され、掻取り調節レバー48の操作により上下方向に移動可能な掻取り調節機構(図示せず)を介してエプロン50が上下移動可能に支持され、移動する。前記エプロン50には、前記植付手段46の先端部の回転軌跡が通過する複数の切欠き51が形成されている。
【0027】
前記作業機フレーム43に左右方向に移動可能に支持され、載置したマット状の苗を前記植付手段46に対して供給する苗のせ台52が配置されている。なお、前記苗のせ台52の下端部は、前記エプロン50に近接配置され、載置したマット状の苗が前記エプロン50上に接するように供給する。従って、前記エプロン50を上下方向に移動させることにより、前記植付手段46により掻取る苗の量を調節することができるようになっている。また、前記苗のせ台52の所定の位置には、苗のせ台52上の苗の残量が所定量以下になったことを検出する苗切れセンサ(図示せず)が配置されている。
【0028】
前記横フレーム41には、前記トランスミッションからPTO軸を介して動力が入力されるドライブケース56が固定されている。前記ドライブケース56から左右に突出する駆動軸57は、前記各プランタケース45に動力を伝達し、該プランタケース45の内部を通して前記各植付手段46に動力を伝達して、該植付手段46を回転駆動する。
【0029】
また、図6で右端に位置するプランタケース45の右側には、前記駆動軸57を入力軸とする横送りトランスミッション58が設けられている。該トランスミッション58を介して、前記苗のせ台52を左右方向に往復移動させる横送り装置60のスクリューシャフト61に動力が伝達され、該スクリューシャフト61の回転により前記苗のせ台52が往復移動する。
【0030】
図7に示すように、前記縦フレーム42には、前記エプロン50と共に上下方向にスライド可能にスライドピース63が配置されている。前記苗のせ台52の下面(走行車両10側の面)には、スライドレール65が固定され、前記スライドピース63と摺動可能に嵌合している。
【0031】
前記縦フレーム42には、支持ステー66が固定されている。該支持ステー66には、前記苗のせ台52の左右方向の移動端を設定するための設定プレート67が固定されている。該設定プレート67には、長手(横)方向に所定の間隔で長さの異なる2個の切欠き、即ち、長さが短く前記苗のせ台52の一方の移動端を設定するための切欠き67aと、長さが長く前記苗のせ台52の他方の移動端を設定するための切欠き67bとが形成されている。
【0032】
前記設定プレート67の切欠き67bに対応する位置には、調節プレート68が位置調整可能に固定されている。該調節プレート68には、前記切欠き67aと略同じ長さの切欠き68aが形成され、前記設定プレート67の切欠き67bの範囲内で前記調節プレート68の切欠き68aを移動させることにより、前記苗のせ台52の他方の移動端を適宜設定することができる。
【0033】
前記スライドレール65の所定の位置には、ブラケット70と、該ブラケット70に上下方向に移動可能に支持された支持ブロック71が配置され、該支持ブロック71には、前記苗のせ台52の左右の移動端を検出するための移動端検出センサ72が支持されている。
【0034】
前記移動端検出センサ72は、その側面に前記設定プレート67及び調節プレート68に摺動可能に嵌合する溝が形成され、該溝の一方に投光素子が、他方に受光素子が互いに対向するように配置されており、前記切欠き67a及び切欠き68aに対応する位置で投光素子からの光を受光素子で受光したとき、前記苗のせ台52がその移動端に達したことを検出するようになっている。
【0035】
図8に示すように、前記移植機1の制御装置80は、マイクロコンピュータで構成され、その入力側に、前記モードスイッチ20、前記リフタカムポテンショメータ38、移動端検出センサ72、苗切れセンサ81、クイックアップレバー上げスイッチ82、クイックアップレバー下げスイッチ83、植付スイッチ85、端寄せスイッチ86、エンジン回転センサ87等の他、制御に必要なスイッチ、センサ類が接続されている。また、前記制御装置80の出力側には、前記リフタカムモータ32、植付モニタ90、水平自動モニタ91、水平自動モータ92等の他、制御に必要な機器が接続されている。なお、前記制御装置80は、前記移動端検出センサ72からの検出信号に基づいて前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段と、該植付自動停止手段の作動を規制する自動停止規制手段と兼ねている。
【0036】
図9に示すように、前記制御装置80において前記作業機30の昇降制御が行われる。前記クイックアップレバー22の操作状態を検知し、クイックアップレバー22が操作されているときには、該操作に従った制御を行う(図9のステップS1、以下単にステップS○という)。なお、ステップS1における制御手順は、サブルーチンとして別途プログラムされるが、本提案ではその説明を省略する。
【0037】
植付部(苗のせ台52)端寄せ制御開始判断を行う(ステップS2)。前記ステップS2における植付部の端寄せ制御開始の判断は、図10に示すサブルーチンにより行われる。エンジン回転センサ87の出力に基づいてエンジンが回転しているか否かを判定する(図10のステップSA1、以下、単にステップSA○という)。前記ステップSA1で、エンジンが回転状態である場合には、植付スイッチ85のON、OFFを判定する(ステップSA2)。
【0038】
前記ステップSA2で、植付スイッチ85がONであった場合、苗切れセンサ81の出力に基づいて苗の残量を判定する(ステップSA3)。ステップSA3で、苗切れセンサ81の出力がONの場合は、苗のせ台52に載置された苗の残量が所定量(例えば、一方の畔際から他方の畔際まで苗の移植が継続できる量)より少なくなったことを示し、OFFの場合は、苗のせ台52に載置された苗の残量が所定量以上あることを示している。
【0039】
前記ステップSA3で、苗切れセンサ81がONであった場合、モードスイッチ20が操作された状態であるか否かを判定する(ステップSA4)。前記ステップSA4で、モードスイッチ20が操作された状態であった場合、端寄せ制御フラグをONとし、油圧系統は植付け状態を維持する(ステップSA5)。
【0040】
前記ステップSA1で、エンジンが停止状態であった場合、前記ステップSA2で、植付スイッチ85がOFFであった場合、前記ステップSA3で、前記苗切れセンサ81がOFFであった場合、前記ステップSA4で、モードスイッチ20が操作されていなかった場合、端寄せ制御フラグをOFFとする(ステップSA6)。
【0041】
即ち、エンジンが回転状態にあり、植付スイッチ85がON操作されており、苗切れセンサ81が苗の残量が所定量以下であることを検出し、モードスイッチ20が操作されていた場合にのみ、端寄せ制御フラグがONとなり端寄せ制御が可能になる。
【0042】
図9に示すように、前記ステップS2のサブルーチンが終了すると、植付部端寄せ制御解除判断を行う(ステップS3)。前記ステップS3における植付部の端寄せ制御解除の判断は、図11に示すサブルーチンにより行われる。端寄せ制御フラグのON、OFFを判定する(図11のステップSB1、以下、単にステップSB○という)。
【0043】
前記ステップSB1で、端寄せ制御フラグがONであった場合、油圧系統が植付け状態であるか否かを判定する(ステップSB2)。前記ステップSB2で、油圧系統が植付け状態であった場合、端寄せスイッチ86の現在(今回)のON、OFFの状態を判定する(ステップSB3)。前記ステップSB3で、端寄せスイッチ86の状態がONであった場合、端寄せスイッチ86の前回の判定結果を判定する(ステップSB4)。
【0044】
前記ステップSB4で、端寄せスイッチ86の前回の判定結果がOFFであった場合、端寄せ制御フラグをOFFに設定し、油圧系統は植付(下げ)状態を維持する(ステップSB5)。前記ステップSB1で、端寄せ制御フラグがOFFであった場合、前記ステップSB2で、油圧系統の状態が植付以外の状態であった場合、前記ステップSB3で、端寄せスイッチ86がOFFであった場合、前記ステップSB4で、端寄せスイッチ86の状態が前回の判定時にはONであった場合、端寄せ制御フラグを変えることなく次の制御に移行する。
【0045】
即ち、前記ステップS2で、端寄せ制御フラグがOFFに設定された場合には、そのままステップS3を通過して次の制御に移行する。前記ステップS2で、端寄せ制御フラグがONに設定された場合には、油圧系統が植付以外の状態にある場合、油圧系統が植付け状態であっても端寄せスイッチ86の今回の判定がOFFの場合、端寄せスイッチ86の今回の判定がONであって前回の判定もONであった場合、端寄せ制御フラグがONのまま次の制御に移行する。その他の場合には、端寄せ制御フラグがOFFに設定されて次の制御に移行する。
【0046】
前記のように端寄せ制御フラグが設定された後、図9に示すように、作業機30が上昇位置にあるのか下降位置にあるのかを油圧系統の上げ、下げ状態で判定する(ステップS4)。前記ステップS4で、作業機30が上昇位置にある場合、作業機30が最上昇位置にあるか否かを判定する(ステップS5)。前記ステップS5で、作業機30が最上昇位置にある場合、油圧系統を現在の状態で固定する(ステップS6)。
【0047】
前記ステップS5で、作業機30が最上昇位置ではないが上昇位置にある場合、前記ステップS6で、油圧系統を固定した場合、植付モニタを消灯し(ステップS7)、作業機30が植付け状態にないことを表示する。
【0048】
前記ステップS4で、油圧系統が上げ以外の場合、作業機30が植付位置にあるのか否かを油圧の状態で判定する(ステップS8)。前記ステップS8で、作業機30が植付位置以外の位置にある場合には、前記ステップS7へ移行する。前記ステップS8で、作業機30が植付位置にある場合には、苗の植付と同時に圃場に施肥する施肥系統の詰まりの有無を判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、施肥系統に詰まりがない場合には、植付クラッチの入り待ち状態を解除(ステップS10)して、植付モニタ90を点灯(ステップS11)し植付状態に入ったことを表示する。なお、前記ステップS9で、施肥系統に詰まりが発生していた場合には、油圧を下げ(ステップS12)待機状態に移行させる。
【0049】
前述のように、制御装置80は、モードスイッチ20の操作に基づく植付自動停止手段の作動を、苗切れセンサ81が苗切れを検出したときのみ有効とする自動停止規制手段を兼ねているので、オペレータが予期しない状態での植付作業の停止を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】移植機の側面図である。
【図2】移植機の平面図である。
【図3】モードスイッチの配置を示す側面図である。
【図4】作業機の昇降操作を行う操作具の配置を示す側面図である。
【図5】作業機の操作を行う操作部の側面図である。
【図6】作業機の伝動系統を示す展開図である。
【図7】移植機における苗のせ台の位置検出部を示し、(a)は、斜視図、(b)は、側面図、(c)は、正面図である。
【図8】制御部を示すブロック線図である。
【図9】油圧昇降制御を示すプログラムフローチャートである。
【図10】油圧昇降制御における植付部端寄せ制御開始判断を示すプログラムフローチャートである。
【図11】油圧昇降制御における植付部端寄せ制御解除判断を示すプログラムフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
17 座席
20 作動開始手段(モードスイッチ)
46 植付手段
52 苗のせ台
60 往復移動機構(横送り装置)
80 植付自動停止手段、自動停止規制手段(制御装置)
81 苗切れセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台と、
該苗のせ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段と、
前記苗のせ台の往復移動機構及び前記植付手段への動力伝達を断接する植付クラッチと、
前記苗のせ台の左右移動端において前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段と、
を備えてなる移植機において、
前記植付自動停止手段の作動を開始する作動開始手段と、
前記苗のせ台上の苗が所定量以下であることを検出する苗切れセンサと、
前記作動開始手段に基づく前記植付自動停止手段の作動を、前記苗切れセンサが苗切れを検出した状態にのみ有効とする自動停止規制手段と、を備えた、
ことを特徴とする移植機。
【請求項2】
オペレータが座れる座席を備え、
前記作動開始手段を前記座席の下に配置してなる、
請求項1記載の移植機。
【請求項3】
前記座席を倒したとき、前記作動開始手段を操作可能とした、
請求項2記載の移植機。
【請求項1】
マット苗が載置され、左右に往復移動される苗のせ台と、
該苗のせ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付手段と、
前記苗のせ台の往復移動機構及び前記植付手段への動力伝達を断接する植付クラッチと、
前記苗のせ台の左右移動端において前記植付クラッチを自動的に切り作動する植付自動停止手段と、
を備えてなる移植機において、
前記植付自動停止手段の作動を開始する作動開始手段と、
前記苗のせ台上の苗が所定量以下であることを検出する苗切れセンサと、
前記作動開始手段に基づく前記植付自動停止手段の作動を、前記苗切れセンサが苗切れを検出した状態にのみ有効とする自動停止規制手段と、を備えた、
ことを特徴とする移植機。
【請求項2】
オペレータが座れる座席を備え、
前記作動開始手段を前記座席の下に配置してなる、
請求項1記載の移植機。
【請求項3】
前記座席を倒したとき、前記作動開始手段を操作可能とした、
請求項2記載の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−111006(P2007−111006A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307892(P2005−307892)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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