説明

移植機

【課題】苗載せ台や縦送り機構や植付爪等によって構成される植付作業機側への動力伝動を断続させる植付クラッチ以外に、ワンウェイクラッチ等の特別な部材を別途設けることなく、縦送り機構への逆転動力の伝動を効率的に且つ低コストで防止できる移植機を提供する。
【解決手段】分岐機構と植付作業機との動力伝動経路の途中に、植付作業機側への動力を断続する植付クラッチ66を備え、該植付クラッチ66を構成する回転体73が所定位相範囲である切断範囲L以外に位置する場合には該植付クラッチ66の切断作動を規制することにより植付爪を所定姿勢で停止させる規制手段78を設け、分岐機構に逆転動力が伝動されることにより縦送りアームが縦送りレバーに上側から当接して該縦送りレバーを下方揺動させることを防止すべく該切断範囲Lを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行機体と、該走行機体に連結された植付作業機とを備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体に連結された植付作業機が、苗載せ台と、苗載せ台の下方に姿勢変更可能に支持されて該姿勢変更によって苗載せ台上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪と、苗載せ台を植付爪に対して左右スライド移動させる横送り機構と、苗載せ台上に載置された苗を下方に送る縦送り機構とを備え、上方揺動によって縦送り機構を縦送り駆動させる縦送りレバーを縦送り機構側に設けるとともに、上下回転作動する縦送りアームを横送り機構側に設け、苗載せ台の左右の各スライド端において回転する前記縦送りアームが待機姿勢の縦送りレバーに下側から当接して該縦送りレバーを押上げて上方揺動させるように縦送りレバー及び縦送りアームを配置構成し、走行系の動力を植付作業機側に分岐する分岐機構を設け、分岐機構により分岐された動力を植付作業機側に伝動することによって、植付爪を姿勢変更駆動させるとともに横送り機構を介して苗載せ台を左右スライド駆動させ且つ縦送りアームを上下回転駆動させる移植機が従来公知である。
【0003】
該構成の移植機においては、後進走行時等、走行系の逆転動力が分岐機構に伝動されることがあり、この逆転動力がそのまま縦送りアームに伝動されると、待機姿勢の縦送りレバーに上側から当接して該縦送りレバーを押下げて下方揺動させる場合があり、この場合には前記縦送り機構が逆転駆動されることになるが、縦送り機構や待機姿勢の縦送りレバー等は、苗載せ台上の苗を下方搬送する正転駆動のみで十分であって逆転駆動させる必要が無いため、通常、逆転駆動状態を許容するようには構成されていない。
【0004】
このため、縦送りアームに逆転動力が伝動されると、縦送り機構が破損するおそれがあり、これを防止するため、逆転動力が分岐機構に伝動される際には、植付作業機側への動力伝動を断続する植付クラッチを切断作動させる移植機が公知になっている。ところで、上記植付爪は、非作業走行等の際に邪魔にならないように収容姿勢等、所定姿勢で停止させる必要がある。従って上記植付クラッチが切断操作されても、植付爪が上記所定姿勢に切換えられるまで切断作動が完了しないように植付クラッチを構成する場合が多く、この場合、この切断作動を完了するまでの間に縦送りアームに逆転動力が伝動される可能性がある。
【0005】
このような事情から、上記植付クラッチとは別に、縦送りアームに正転動力のみを伝動するワンウェアイクラッチ(一方向クラッチ)を設けた移植機や、縦送りレバーの下方揺動を許容して該下方揺動時には縦送り機構を駆動させない許容機構を設けた特許文献1に示す移植機が公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−210994号公報(第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上方揺動によって縦送り機構を縦送り駆動させる縦送りレバーの下方揺動を許容する許容機構を設ける場合、又は縦送りアームの逆転駆動を防止するワンウェイクラッチを設ける場合の何れの場合でも、植付作業機側への動力伝動を断続させる植付クラッチの他に別途、特別な部材が必要であり、製造コストを低く抑えることが困難になるという課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、左右動する苗載せ台と、苗載せ台の左右のストロークエンドにおいて該苗載せ台上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪とを、走行系から分岐された動力によって駆動させるにあたり、苗載せ台や縦送り機構や植付爪等によって構成される植付作業機側への動力伝動を断続させる植付クラッチ以外に、ワンウェイクラッチ等の特別な部材を別途設けることなく、縦送り機構への逆転動力の伝動を効率的に且つ低コストで防止できる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の移植機は、第1に、走行機体3に連結された植付作業機6が、苗載せ台17と、苗載せ台17の下方に姿勢変更可能に支持されて該姿勢変更によって苗載せ台17上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪18と、苗載せ台17を植付爪18に対して左右スライド移動させる横送り機構19と、苗載せ台17上に載置された苗を下方に送る縦送り機構21とを備え、上方揺動によって縦送り機構21を縦送り駆動させる縦送りレバー33L,33Rを縦送り機構21側に設けるとともに、上下回転作動する縦送りアーム27を横送り機構19側に設け、苗載せ台17の左右の各スライド端において回転する前記縦送りアーム27が待機姿勢の縦送りレバー33L,33Rに下側から当接して該縦送りレバー33L,33Rを押上げて上方揺動させるように縦送りレバー33L,33R及び縦送りアーム27を配置構成し、走行系の動力を植付作業機6側に分岐する分岐機構58を設け、分岐機構58により分岐された動力によって、植付爪18を姿勢変更駆動させるとともに横送り機構19を介して苗載せ台17を左右スライド駆動させ且つ縦送りアーム27を上下回転駆動させる移植機において、分岐機構58と植付作業機6との動力伝動経路の途中に、植付作業機6側への動力を断続する植付クラッチ66を備え、該植付クラッチ66を構成する回転体73が所定位相範囲である切断範囲L以外に位置する場合には該植付クラッチ66の切断作動を規制することにより植付爪18を所定姿勢で停止させる規制手段78を設け、分岐機構58に逆転動力が伝動されることにより縦送りアーム27が縦送りレバー33L,33Rに上側から当接して該縦送りレバー33L,33Rを下方揺動させることを防止すべく該切断範囲Lを設定するにあたって、縦送りアーム27による縦送りレバー33L,33Rの上記押上げ完了時及びそれ以降に前記回転体73を上記切断範囲L内に位置させてなることを特徴としている。
【0009】
また、第2に、走行機体3に連結された植付作業機6が、苗載せ台17と、苗載せ台17の下方に姿勢変更可能に支持されて該姿勢変更によって苗載せ台17上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪18と、苗載せ台17を植付爪18に対して左右スライド移動させる横送り機構19と、苗載せ台17上に載置された苗を下方に送る縦送り機構21とを備え、上方揺動によって縦送り機構21を縦送り駆動させる縦送りレバー33L,33Rを縦送り機構21側に設けるとともに、上下回転作動する縦送りアーム27を横送り機構19側に設け、苗載せ台17の左右の各スライド端において回転する前記縦送りアーム27が待機姿勢の縦送りレバー33L,33Rに下側から当接して該縦送りレバー33L,33Rを押上げて上方揺動させるように縦送りレバー33L,33R及び縦送りアーム27を配置構成し、走行系の動力を植付作業機6側に分岐する分岐機構58を設け、分岐機構58により分岐された動力によって、植付爪18を姿勢変更駆動させるとともに横送り機構19を介して苗載せ台17を左右スライド駆動させ且つ縦送りアーム27を上下回転駆動させる移植機において、分岐機構58と植付作業機6との動力伝動経路の途中に、植付作業機6側への動力を断続する植付クラッチ66を備え、該植付クラッチ66を構成する回転体73が所定位相範囲である切断範囲L以外に位置する場合には該植付クラッチ66の切断作動を規制することにより植付爪18を所定姿勢で停止させる規制手段78を設け、分岐機構58に逆転動力が伝動されることにより縦送りアーム27が縦送りレバー33L,33Rに上側から当接して該縦送りレバー33L,33Rを下方揺動させることを防止すべく該切断範囲Lを設定するにあたって、待機姿勢の縦送りレバー33L,33Rの縦送りアーム27による上記押上げ開始時及びそれ以降に前記回転体73を上記切断範囲L内に位置させてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成される本発明の移植機によれば、上方揺動によって縦送り機構を縦送り駆動させる縦送りレバーの下方揺動を許容する許容機構や、回転によって縦送りレバーを押上げる縦送りアームの逆転駆動を防止するワンウェイクラッチ等の特別な部材を設けること無く、植付作業機側への動力を断続する植付クラッチを構成する回転体における植付爪が所定姿勢で停止されている際に位置する範囲である切断範囲を、適宜設定するのみで、縦送りアームが退避姿勢の縦送りレバーに上側から当接して該縦送りレバーを下方揺動させることを防ぎ、これによって製造コストを殆ど増加させること無く、縦送り機構の破損を効率的に防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の移植機を適用した乗用田植機の全体側面図である。
【図2】植付作業機の構成を示す要部正面図である。
【図3】植付作業機の構成を示す要部平面図である。
【図4】植付爪及び縦送りレバーの構成を示す植付作業機の要部側面図である。
【図5】本乗用田植機の動力伝動系統図である。
【図6】本乗用田植機の動力伝動構成の要部を示す展開図である。
【図7】(A)は植付クラッチの構成を示す背面図であり、(B)は植付クラッチの接続状態時の要部平面図であり、(C)は植付クラッチの切断状態時の要部平面図である。
【図8】切作動範囲の設定手段を示す伝動ケースの側断面図である。
【図9】(A),(B)は、植付操作レバーとシフタレバーとを連結するリンク機構の構成を示す側面図及び要部側面図である。
【図10】(A),(B)は、走行レバーと作動側アームを連結する連係機構の構成を示す背面図及び側面図である。
【図11】切作動範囲の設定の他例を示す植付作業機の要部側面図である。
【図12】切作動範囲の設定の他例を示す植付作業機の要部側面図である。
【図13】本発明の別実施形態に関して伝動ケースの内部構成を示す要部背断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の移植機を適用した乗用田植機の全体側面図である。図示する乗用田植機は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2を有する走行機体3と、該走行機体3の後端部に昇降リンク4を介して昇降自在に連結された植付作業機6と、を備えている。
【0013】
上記走行機体3におけるエンジン7(図5参照)を収容したボンネット8の後方には、オペレータが乗込む操縦部9が設置されている。該操縦部9におけるオペレータが着座する座席11の前方には、操向操作を行うステアリングハンドル12が配置され、座席11の側方には前後揺動操作によって植付作業機6への動力を断続操作する操作具である植付操作レバー13が支持され、ステアリングハンドル12の一方側(図示する例では左側)側方には、走行操作具である走行レバー14が設置されている。
【0014】
走行レバー14は、ニュートラル位置からの左右揺動操作によって前後進切換操作を行うとともに、左右一方側に揺動された状態での前方揺動操作によって前進側への増速操作を行う一方で左右他方側に揺動された状態での後方揺動操作によって後進側への増速操作を行うように構成されている。
【0015】
次に、図1乃至4に基づいて、植付作業機の構成について説明する。
図2,3は、植付作業機の構成を示す要部正面図及び要部平面図である。図1乃至3に示すように植付作業機6は、上記昇降リンク4にローリング自在に支持されて左右方向に延びる中空角柱状の横フレーム16と、横フレーム16側から前方に向かって上方に急傾斜して背面側に苗を載置する苗載せ台17と、苗載せ台17の下方に姿勢変更可能に配置されて該姿勢変更によって苗載せ台17上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪18と、苗載せ台17を横フレーム16や植付爪18等に対して左右スライド移動させる横送り機構19と、苗載せ台17上に載置された苗を植付爪18側に下方搬送する縦送り機構21と、を備えている。
【0016】
上記横送り機構19は、横フレーム16の左右の一方側(図示する例では右側)端部から上方に突出形成された伝動ケース22と、伝動ケース22から横フレーム16上方に位置するように機体内側側方に突出して軸周りに前後回転自在に支持された左右方向の横送り軸23と、横送り軸23の外周面を覆う筒状部分を有して軸方向にスライド可能に横送り軸23に支持された移動体24と、移動体24と苗載せ台17とを一体的に連結する連結ブラケット26と、横送り軸23の突出側端部に取付けられて横送り軸23と一体で上下回動する縦送りアーム27と、を備えている。
【0017】
横送り軸23の外周には上記移動体24をスライド案内する螺旋状のガイド溝23aが形成されており、横送り軸23を軸周りに回転駆動すると、移動体24がガイド溝23aに沿って横送り軸23を左右往復作動し、これに伴って、苗載せ台17が左右往復スライド作動される。
【0018】
上記縦送り機構21は、苗載せ台17の正面下端側に配置された左右方向の縦送り軸28と、縦送り軸28の軸心上に配置されて軸回りに前後回転自在に支持された筒状の駆動ローラ29と、各駆動ローラ29の上方に配置されて軸回りに前後回転自在に支持された左右方向の筒状の従動ローラ31と、駆動ローラ29と従動ローラ31とに巻き回された縦送りベルト32A,32B,32C,32Dと、縦送り軸28に上下揺動自在に支持された左右一対の縦送りレバー33L,33Rと、左右の縦送りレバー33L,33Rを連結して両縦送りレバー33L,33Rを一体的に上下揺動させる連結杆34と、各縦送りレバー33L,33Rに設置されて該縦送りレバー33L,33Rの上方揺動時の動力のみを対応する駆動ローラ29側に伝動するワンウェイクラッチである縦送りクラッチ36と、を備えている。
【0019】
左右並列配置された一対の駆動ローラ29,29及び従動ローラ31,13を1組として、植付条数と同数組(図示する例では4組)の駆動ローラ29及び従動ローラ31が設けられており、この各組における左右の駆動ローラ29,29と左右の従動ローラ31,31との間に1つの縦送りベルト32A,32B,32C,32Dが掛け回されている。
【0020】
左右の縦送りレバー33L,33Rは、それぞれ苗載せ台17の左右のスライド端であるストロークエンドにおいて、正転回転する横送り機構19の縦送りアーム27による下側からの当接によって押上げられ、前方に向かって下方傾斜した待機姿勢から前方に向かって上方傾斜した作用姿勢に切換えられる。そして縦送りレバー33L,33Rが作用姿勢に切換えられた後、さらに縦送りアーム27を正転方向に回転させると、縦送りアーム27と縦送りレバー33L,33Rとの当接が解除され、縦送りレバー33L,33Rの基端部に設けられたつるまきバネ等の弾性部材37の弾性力によって縦送りレバー33L,33Rが作用姿勢から待機姿勢に戻される。
【0021】
このように、左右の各ストロークエンドにおいて、正転回転作動する縦送りアーム27により、縦送りレバー33L,33Rは、待機姿勢→作用姿勢→待機姿勢の順に姿勢が変更され、待機姿勢から作用姿勢に上方揺動される際には縦送りクラッチ36によって駆動ローラ29側に正転動力が伝動される一方で、作用姿勢から待機姿勢に下方揺動される際には縦送りクラッチ36の作用により縦送りレバー33L,33Rから駆動ローラ29への逆転動力の伝動が遮断される。すなわち、縦送りレバー33L,33Rは、上方揺動によって縦送り機構21を駆動するように構成されている。
【0022】
さらに詳しくは、左側の縦送りレバー33Lが、苗載せ台17の右側のストロークエンドにおいて上記縦送りアーム27と当接可能なように配置され、この縦送りレバー33Lによって植付作業機6の左側半部に配置された縦送りベルト34C,34Dを縦送り駆動させる。一方、右側の縦送りレバー33Rが、苗載せ台17の左側のストロークエンドにおいて上記縦送りアーム27と当接可能なように配置され、この縦送りレバー33Rによって植付作業機6の右側半部に配置された縦送りベルト34A,34Bを縦送り駆動させる。ただし、上述したように、両縦送りレバー33L,33Rは、連結杆34によって、一体的に上下揺動するように構成されているため、全ての縦送りベルト34A,33B,33C,33Dは一斉に縦送り駆動され、苗載せ台17の全縦送りベルト34A,34B,34C,34D上の苗がまとめて下方搬送される。
【0023】
図4は、植付爪及び縦送りレバーの構成を示す植付作業機の要部側面図である。上記植付爪18は、一対1組として、植付条数と同数組設けられ、横フレーム16から後方に一体的に延設された植付ケース38の後端部側面側に姿勢変更可能に支持されている。具体的には、エンジン動力によって植付爪18の先端側が側面視縦長環状の移動軌跡Dを描くように移動駆動され、移動軌跡Dの上側に位置して苗載せ台17上に載置された苗を掻き取る掻き取姿勢と、移動軌跡Dの下側に延びて掻き取った苗を圃場に植付ける植付姿勢と、に切換可能に植付爪18が構成されている。
【0024】
これに加えて、植付爪18は、掻き取姿勢から植付姿勢への切換過程において移動軌跡Dの後部を下降して通過し、この際の途中の所定範囲は植付爪18が収納された状態となる下降側収納範囲Rとなる一方、植付爪18は、植付姿勢から掻き取姿勢への切換過程において移動軌跡Dの前部を上昇して通過し、この際の途中の所定範囲は植付爪18が収納された状態となる上昇側収納範囲Rとなる。
【0025】
図2及び3に示すように、植付ケース38は、横フレーム16の左右の端部にそれぞれ設けられ、植付爪18は、上記2つの各植付ケース38の各側面に、左右方向の植付軸39を介して、支持されている。ちなみに、上記左右方向の植付軸39は、植付ケース38から左右両側方に突出させた状態で、軸周りに回転自在に植付ケース38の後部に挿通支持されており、該植付軸39にエンジン動力を伝動することによって、植付爪39が上述の移動軌跡Dに沿って移動駆動される。
【0026】
上記横フレーム16内には左右方向の植付伝動軸41が軸周りに前後回転自在に支持されている他、横フレーム16の左右方向中央部にはエンジン動力が入力される前後方向の入力軸42の後端部が挿入されている。この入力軸42の動力は、一対のベベルギヤ43,44を介して、植付伝動軸41に伝動され、横送り軸23及び植付軸39を駆動し、これによって上述したように、横送り機構19、縦送り機構21及び植付爪18が駆動される。
【0027】
具体的には、伝動ケース22内に位置する植付伝動軸41の一方側(図示する例では右側)端部に取付けられて該植付伝動41軸と一体回転する主動スプロケット46と、伝動ケース22内に位置する横送り軸23の一方側(図示する例では右側)端部に取付けられて該横送り軸23と一体回転する従動スプロケット47と、この主動スプロケット46と従動スプロケット47に巻き回されて主動スプロケット46から従動スプロケット47に動力をチェーン伝動する横送りチェーン48とによって、植付伝動軸41から横送り軸23への動力伝動が行われる。
【0028】
また、各植付ケース38の植付軸39への動力伝動にあたっては、横フレーム16内の植付伝動軸41に取付けられて植付伝動軸41と一体回転する主動スプロケット49と、植付ケース38内における植付軸39の中途部に取付けられて植付軸39と一体回転する従動スプロケット51と、主動スプロケット49と従動スプロケット51に掛け回されて主動スプロケット49から従動スプロケット51に動力をチェーン伝動する植付チェーン52と、が用いられる。
【0029】
上記構成の植付作業機6では、横送り機構19によって苗載せ台17が左右のストロークエンドの一方から他方及び他方から一方にスライド移動する過程で、苗載せ台17上に載置された下端部の苗横一列分が掻き取られて圃場に植付けられ、ストロークエンドに苗載せ台17が達すると、掻き取られて空スペースとなった苗載せ台17の下端部に縦送り機構21によって横一列分の苗が供給される。そして、このストロークエンドでの苗の下方搬送と、左右のストロークエンド間のスライド移動とを交互に繰返すことによって、苗載せ台17上の苗が順次圃場に植付けられる。
【0030】
次に、図4乃至8に基づき本乗用田植機の動力伝動構成について説明する。
図5は、本乗用田植機の動力伝動系統図であり、図6は、本乗用田植機の動力伝動構成の要部を示す展開図である。エンジン7からの動力は、油圧式無段階変速装置であるHST53にベルト伝動され、無段階変速された後、ミッションケース54内の走行伝動軸56に出力される。
【0031】
走行伝動軸56の動力は、ギヤの噛合いを変更することにより変速切換を行う走行変速装置57を介して、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2に伝動され、本乗用田植機を走行駆動させる走行系の動力であるが、この走行系動力は分岐機構58によって植付作業機6側に分岐される。
【0032】
分岐機構58は、走行伝動軸56と平行に並べられた状態で軸回りに回転自在に支持された分岐軸59と、ギヤの噛合いによって走行伝動軸56から分岐軸59に動力を伝動するギヤ機構61と、を備えている。このギヤ機構61は、ギヤの噛合いを変更することによって、分岐軸49に伝動する動力の変速比を変更するように構成されている。
【0033】
分岐軸59の動力は、分岐軸59に取付けられて分岐軸59と一体回転する主動ベベルギヤ62を介して、該主動ベベルギヤ62と常時噛合って前後方向の取出軸63に回転自在に(遊転状態で)支持された従動ベベルギヤ64にギヤ伝動される。この従動ベベルギヤ64の動力は、植付クラッチ66を介して、取出軸63に断続伝動される。
【0034】
取出軸63の後端部は、ミッションケース54から後方に突出しており、この後端部にカップリング67によって取出軸63の一体回転する中継軸68の前端部が連結されている。この中継軸68の後端部にはユニバーサルジョイント69を介して連結軸71の一方側端部が連結され、この連結軸71の他方側端部にはユニバーサルジョイント72を介して上述の入力軸42の前端部が連結されている。
【0035】
以上のように、分岐機構58によって分岐された動力が、該分岐機構58から取出軸63への動力伝動経路の途中に設けられた植付クラッチ66を介して、入力軸42に断続伝動され、この入力軸42の動力によって、上述したように植付作業機6の横送り機構19、縦送り機構21及び植付爪18が駆動される。
【0036】
図7(A)は植付クラッチの構成を示す背面図であり、(B)は植付クラッチの接続状態時の要部平面図であり、(C)は植付クラッチの切断状態時の要部平面図である。植付クラッチ66は、上述の従動ベベルギヤ64と一体的に形成されて該従動ベベルギヤ64と一体回転するように取出軸63に回転自在に外装された筒状の伝動体70と、軸方向にスライド可能に取出軸63に支持されて取付軸63と一体回転する筒状の切換体(回転体)73と、伝動体70及び切換体73の互いの対向端部側にそれぞれ形成されて相互に噛合うクラッチ爪70a,73aと、取付軸63に外装されて切換体73を伝動体70側に弾性的に付勢するコイル状の圧縮スプリング等からなる弾性部材74と、を備えている。
【0037】
そして、圧縮スプリング74の付勢力によって切換体73が伝動体70側にスライド移動すると、上記一対のクラッチ爪70a,73aが噛合い、植付クラッチ66が接続状態となって、取出軸63が伝動体70と一体回転する一方で、圧縮スプリング74の弾性力に抗して伝動体70から離間する側に切換体73をスライド移動させると、上記一対のクラッチ爪70a,73aが互いに離間して噛合いが解除され、植付クラッチ66が切断状態となって、伝動体70が取出軸63に対して遊転状態となる。
【0038】
ちなみに、植付クラッチ66の断続操作手段について説明すると、切換体73のクラッチ爪73a側端部に円形状のフランジ76を一体的に延設し、伝動体70に対して先端側が離間・近接する側に揺動可能となるように基端部がミッションケース54側に支持されたシフタレバー77を設け、該シフタレバー77を伝動体70から離間する側に揺動作動させることにより、切換体73がシフタレバー77の先端部によって切断側に押圧されて植付クラッチ66が切断操作される一方で、該シフタレバー77を伝動体70に近接する側に揺動作動させることによりシフタレバー77の先端部による切換体73の切断側への押圧が解除され、圧縮スプリング74の弾性力によって植付クラッチ66が接続操作される。
【0039】
なお、この植付クラッチ66には、切換体73の回転位置(位相)が所定範囲(切断範囲)L以外にある場合には植付クラッチ66の切断作動を規制する規制機構(規制手段)78が設けられている。この規制機構78は、植付爪18が移動軌跡Dの下降側収納範囲R又は上昇側収納範囲R以外の範囲に位置している場合には、植付クラッチ66の切断作動を規制するように構成されている。このため、植付クラッチ66が切断作動し、植付爪18が掻き取姿勢や植付姿勢の状態で駆動停止され、路上走行等、非作業走行の妨げになることが防止される。
【0040】
この規制機構78は、具体的には、切換体73のフランジ76の周縁部に切抜形成された切欠き76aと、ミッションケース54側から切換体73側に突設された規制ピン79とにより構成されている。切換体73のフランジ76側まで突出した係止ピン79が背面視でフランジ76の切欠き76a以外の箇所に位置している場合には、係止ピン79とフランジ76との当接によって、切換体73の伝動体70から離間する側へのスライド移動が規制され、植付クラッチ66の切断作動が規制される一方で、係止ピン79が背面視でフランジ76の切欠き76aに位置している場合(切換体73の切断範囲Lに位置している場合)には、フランジ76が切欠き76aを介して係止ピン79を擦抜け、植付クラッチ66の切断作動が許容される。
【0041】
すなわち、切換体73のフランジ76における切欠き76aの形成位置及び形成範囲を適宜調整して上記切断範囲Lの設定を行うことにより、植付爪18が移動軌跡Dの下降側収納範囲R又は上昇側収納範囲R以外の範囲に位置している場合における植付クラッチ66の切断作動を規制し、これによって、植付クラッチ66の切操作時、先端側が下降側収納範囲R又は上昇側収納範囲Rに位置した所定姿勢で植付爪18を停止させる。
【0042】
なお、上記手段を適用するためには、切換体73が切断範囲Lに位置している際には植付爪18の先端側が常に下降側収納範囲R又は上昇側収納範囲Rに位置している必要があり、取出軸63と植付軸39の位相が時間経過とともに徐々にずれるようなことがあってはならず、この条件を満たすように、取出軸63に伝動される動力の変速比と、植付軸39に伝動される動力の変速比とが相互に関連付けて設定されている。
【0043】
これに加えて、苗載せ台17が左右のストロークエンドに達して、縦送り機構21が作動される際には、植付爪18の先端側の位置が常に一定になるように、横送り軸23に伝動される動力の変速比と、植付軸39に伝動される動力の変速比とが相互に関連付けて設定されており、これによって、植付爪18により苗載せ台18上の苗が確実に掻き取られた後に、苗載せ台17上の苗の下方への縦送りが縦送り機構21によって行われるようになっている。このため、切換体73が切断範囲L内を回転している際には、縦送りアーム27は、常に、予め定められた所定範囲である切作動範囲W内に位置している。
【0044】
図8は、切作動範囲の設定手段を示す伝動ケースの側断面図である。上記切作動範囲Wは、取出軸63に対する横送り軸23の相対的に回転位置を変更することにより、適宜変更でき、具体的には、伝動ケース22内の主動スプロケット46又は従動スプロケット47の位相を変更することにより切作動範囲Wの変更を行う。
【0045】
この位相の設定について詳述すると、同図に示すように、主動スプロケット46及び植付伝動軸41に印された合いマーク46a,41a同士が最も近接する回転位置で主動スプロケット46を植付伝動軸41に取付固定するとともに、従動スプロケット47及び横送り軸23に印された合いマーク47a,23a同士が最も近接する回転位置で従動スプロケット47を横送り軸23に取付固定した後、上記4つの合いマーク23a,41a,46a,47aが一直線上に位置するように主動スプロケット46及び従動スプロケット47を回転させた状態で、横送りチェーン48を主動スプロケット46と従動スプロケット47に巻き掛けることにより、予め定めた切作動範囲Wになるように、上記4つの合いマーク23a,41a,46a,47aの位置が定められている。
【0046】
なお、本乗用田植機では、主動スプロケット46又は従動スプロケット47を交換することによって、横送り軸23に伝動される動力の変速比を変化させ、植付爪18の駆動速度に対して、横送り軸23の駆動速度を変更する。
【0047】
次に、図9及び10に基づき、植付クラッチ66の操作手段について説明する。
図9(A),(B)は、植付操作レバーとシフタレバーとを連結するリンク機構の構成を示す側面図及び要部側面図である。操縦部9側の植付操作レバー13と、ミッションケース54側のシフタレバー77とはリンク機構81を介して連結されている。このリンク機構81は、シフタレバー77と一体で前後揺動する作動側アーム82と、植付操作レバー13と一体で前後揺動する操作側アーム83と、作業側アーム82と操作側アーム83とを連結して前後動する前後方向の連結ロッド84とを備え、植付操作レバー13の前後揺動によって、植付クラッチ66の断続操作を行う。
【0048】
図10(A),(B)は、走行レバーと作動側アームを連結する連係機構の構成を示す背面図及び側面図である。操縦部9側の走行レバー14は、HST53を介して、前後進切換操作及び走行変速操作を行うが、この走行レバー14による後進切換操作によって引張作動するワイヤー86からなる連係機構87によって、走行レバー14と作動側アーム82とが連結されており、走行レバー14による後進切換操作によって、植付クラッチ66が切断作動される。
【0049】
なお、走行レバー14による植付クラッチ66の切断操作時には、走行レバー14の揺動に伴い、リンク機構81を介して植付クラッチ66側の連結された上述の植付操作レバー13も揺動される一方で、植付操作レバー13による植付クラッチ66の断続操作時には、ワイヤー86等によって、作動側アーム82等の揺動作動が許容され、走行レバー14は揺動されない。
【0050】
次に、図4に基づき、上記切作動範囲Wについて詳述する。
正転動力が伝動されると、縦送りアーム27は後方側の縦送りレバー33L,33R側で上昇する側(図4における反時計回り)に回動作動されるが、この際に、後方斜め下方に傾斜して待機姿勢の縦送りレバー33L,33Rに下側から当接する縦送りアーム27の位置が、縦送りレバー33L,33Rの押上げを開始する押上げ開始位置Pになり、後方斜め上方に傾斜して作用姿勢の縦送りレバー33L,33Rから離間し始める縦送りアーム27の位置が縦送りレバー33L,33Rの押上げを完了する押上げ完了位置Pになる。
【0051】
そして、正転駆動時、縦送りアーム27の押上げ開始位置Pよりも事前の前方斜め下方に傾斜した姿勢になる位置(事前位置)Pから、押上げ開始位置P→押上げ完了位置Pと通過して、縦送りアーム27の押上げ完了位置Pよりも事後の前方斜め上方に傾斜した姿勢になる位置(事後位置)Pに至る範囲が、上記切作動範囲Wとして設定されている。
【0052】
走行レバー14による後進切換操作に連動して連係機構87よる植付クラッチ66の切断操作を行うにあたり、上述の規制機構78の作用よって植付クラッチ66が遅れて切断作動されることに起因して、植付クラッチ66の切断操作から切断作動の完了までの間に縦送りアーム27に逆転動力が伝動されるケースが想定され、この逆転動力の伝動時に縦送りアーム27が縦送りレバー33L,33Rの押上げを完了した直後である場合には、縦送りアーム27が待機姿勢の縦送りレバー33L,33Rに上側から当接して該縦送りレバー33L,33Rが下方揺動し、縦送りレバー33L,33Rが破損する事態が考えられるが、上述のようにして切作動範囲Wを設定すれば、このような事態を効率的に防止することが可能になる。
【0053】
次に、図11に基づき本発明の別実施形態について前述の例と異なる箇所を説明する。
図11は、切作動範囲の設定の他例を示す植付作業機の要部側面図である。同図に示す例では、正転回転時、縦送りアーム27の押上げ完了位置Pの直前の位置である直前位置Pから、縦送りアーム27が押上げ完了位置Pを通過して先端側が移動軌跡中における前方斜め下方側に位置する斜め下方位置Pに至る範囲が、切作動範囲Wとして設定されている。
【0054】
このように切作動範囲Wを設定すれば、縦送りレバー33L,33Rの押上げが完了する前に植付クラッチ66が切作動が完了するため、縦送りアーム27が上側から縦送りレバー33L,33Rに当接して該縦送りレバー33L,33Rを下方揺動させることを効率的に防止できる。
【0055】
次に、図12に基づき本発明の別実施形態について前述の例と異なる箇所を説明する。
図12は、切作動範囲の設定の他例を示す植付作業機の要部側面図である。同図に示す例では、正転回転時、縦送りアーム27が押上げ完了位置Pを通過して、先端側が移動軌跡中、前方斜め上方側に移動した斜め上方位置Pから、縦送りアーム27が縦送りレバー33L,33Rを押上げている最中である押上げ途中位置Pに至る範囲が、切作動範囲Wとして設定されている。
【0056】
このように切作動範囲Wを設定すれば、縦送りアーム27による縦送りレバー33L,33Rの押上げが完了する前に植付クラッチ66の切作動が完了するため、縦送りアーム27が上側から縦送りレバー33L,33Rに当接して該縦送りレバー33L,33Rを下方揺動させることを効率的に防止できる。また、この切作動範囲Wによれば、縦送りアーム27が押上げ完了位置P付近に位置し、縦送りレバー33L,33Rが待機姿勢に切換えられた状態で、走行レバー14により車体の後進切換を行った場合、縦送りアーム27が逆転駆動されるが、押上げ途中位置Pに至った瞬間に植付クラッチ66の切作動が完了して縦送りアーム27が停止されるため、このようなケースでも、待機姿勢の縦送りレバー33L,33Rに縦送りアーム27が上側から当接して該縦送りレバー33L,33Rを下方揺動させることを効率的に防止できる。
【0057】
次に、図13に基づき本発明の別実施形態について前述の例と異なる箇所を説明する。
図13は、本発明の別実施形態に関して伝動ケースの内部構成を示す要部背断面図である。同図に示す例では、植付伝動軸41の伝動ケース22内箇所には、大径の高速入力ギヤ(入力ギヤ)88A、中径の中速入力ギヤ(入力ギヤ)88B及び小径の低速入力ギヤ(入力ギヤ)88Cが回転自在に支持される一方で、伝動ケース22内に軸回りに回転自在に支持されて植付伝動軸44と略平行な中間軸89には、高速入力ギヤ88Aと常時噛合う小径の高速出力ギヤ(出力ギヤ)91A、中速入力ギヤ88Bと常時噛合う中径の中速出力ギヤ(出力ギヤ)91B及び低速入力ギヤ(出力ギヤ)88Cと常時噛合う大径の低速出力ギヤ91Cが中間軸89と一体回転するように取付けられており、上記低速出力ギヤ91Cは横送り軸23と一体回転する伝動ケース22内の駆動ギヤ92とも常時噛合っている。
【0058】
植付伝動軸41にはキー溝93が軸方向に凹設されており、このキー溝93に変速キー94がスライド自在に支持されている。該スライド移動によって、変速キー94は、高速入力ギヤ88Aが植付伝動軸41と一体回転するように該高速入力ギヤ88Aと植付伝動軸41とを係合させて高速動力を横送り軸23に伝動する高速状態と、中速入力ギヤ88Bが植付伝動軸41と一体回転するように該中速入力ギヤ88Bと植付伝動軸41とを係合させて中速動力を横送り軸23に伝動する中速状態と、低速入力ギヤ88Cが植付伝動軸41と一体回転するように該低速入力ギヤ88Cと植付伝動軸41とを係合させて低速動力を横送り軸23に伝動する低速状態とを択一的に切換えるように構成されている。ちなみに、変速キー94のキー溝93内でのスライド移動は、変速キー94と連結部材96を介して連結された左右方向の変速ロッド97の軸方向へのスライド操作によって行う。
【0059】
上記のように変速キー94によって横送り軸23に伝動する動力を変速する構成では、キー溝93が植付伝動軸41の周面の一箇所にしか設けられていないため、該変速時には、3つの入力ギヤ88A,88B,88Cが同一位相となり、植付伝動軸41の回転位置(位相)がずれることは無い。これにくわえて、変速キー94のスライド移動により植付伝動軸41と一体回転させる入力ギヤ88A,88B,88Cを変更させる際には、苗載せ台17が左右のストロークエンドに位置するように本乗用田植機は構成されている。
【0060】
また、高速状態と中速状態と低速状態とのそれぞれについて、横送り軸23に伝動される動力の変速比は、上述した例にならって設定されており、横送り軸23の位相が時間経過とともにずれることも防止される。
【符号の説明】
【0061】
3 走行機体
6 植付作業機
17 苗載せ台
18 植付爪
19 横送り機構
21 縦送り機構
27 縦送りアーム
33L,33R 縦送りレバー
58 分岐機構58
66 植付クラッチ
73 切換体(回転体)
78 規制機構(規制手段)
L 切断範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(3)に連結された植付作業機(6)が、苗載せ台(17)と、苗載せ台(17)の下方に姿勢変更可能に支持されて該姿勢変更によって苗載せ台(17)上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪(18)と、苗載せ台(17)を植付爪(18)に対して左右スライド移動させる横送り機構(19)と、苗載せ台(17)上に載置された苗を下方に送る縦送り機構(21)とを備え、上方揺動によって縦送り機構(21)を縦送り駆動させる縦送りレバー(33L),(33R)を縦送り機構(21)側に設けるとともに、上下回転作動する縦送りアーム(27)を横送り機構(19)側に設け、苗載せ台(17)の左右の各スライド端において回転する前記縦送りアーム(27)が待機姿勢の縦送りレバー(33L),(33R)に下側から当接して該縦送りレバー(33L),(33R)を押上げて上方揺動させるように縦送りレバー(33L),(33R)及び縦送りアーム(27)を配置構成し、走行系の動力を植付作業機(6)側に分岐する分岐機構(58)を設け、分岐機構(58)により分岐された動力によって、植付爪(18)を姿勢変更駆動させるとともに横送り機構(19)を介して苗載せ台(17)を左右スライド駆動させ且つ縦送りアーム(27)を上下回転駆動させる移植機において、分岐機構(58)と植付作業機(6)との動力伝動経路の途中に、植付作業機(6)側への動力を断続する植付クラッチ(66)を備え、該植付クラッチ(66)を構成する回転体(73)が所定位相範囲である切断範囲(L)以外に位置する場合には該植付クラッチ(66)の切断作動を規制することにより植付爪(18)を所定姿勢で停止させる規制手段(78)を設け、分岐機構(58)に逆転動力が伝動されることにより縦送りアーム(27)が縦送りレバー(33L),(33R)に上側から当接して該縦送りレバー(33L),(33R)を下方揺動させることを防止すべく該切断範囲(L)を設定するにあたって、縦送りアーム(27)による縦送りレバー(33L),(33R)の上記押上げ完了時及びそれ以降に前記回転体(73)を上記切断範囲(L)内に位置させてなる移植機。
【請求項2】
走行機体(3)に連結された植付作業機(6)が、苗載せ台(17)と、苗載せ台(17)の下方に姿勢変更可能に支持されて該姿勢変更によって苗載せ台(17)上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付爪(18)と、苗載せ台(17)を植付爪(18)に対して左右スライド移動させる横送り機構(19)と、苗載せ台(17)上に載置された苗を下方に送る縦送り機構(21)とを備え、上方揺動によって縦送り機構(21)を縦送り駆動させる縦送りレバー(33L),(33R)を縦送り機構(21)側に設けるとともに、上下回転作動する縦送りアーム(27)を横送り機構(19)側に設け、苗載せ台(17)の左右の各スライド端において回転する前記縦送りアーム(27)が待機姿勢の縦送りレバー(33L),(33R)に下側から当接して該縦送りレバー(33L),(33R)を押上げて上方揺動させるように縦送りレバー(33L),(33R)及び縦送りアーム(27)を配置構成し、走行系の動力を植付作業機(6)側に分岐する分岐機構(58)を設け、分岐機構(58)により分岐された動力によって、植付爪(18)を姿勢変更駆動させるとともに横送り機構(19)を介して苗載せ台(17)を左右スライド駆動させ且つ縦送りアーム(27)を上下回転駆動させる移植機において、分岐機構(58)と植付作業機(6)との動力伝動経路の途中に、植付作業機(6)側への動力を断続する植付クラッチ(66)を備え、該植付クラッチ(66)を構成する回転体(73)が所定位相範囲である切断範囲(L)以外に位置する場合には該植付クラッチ(66)の切断作動を規制することにより植付爪(18)を所定姿勢で停止させる規制手段(78)を設け、分岐機構(58)に逆転動力が伝動されることにより縦送りアーム(27)が縦送りレバー(33L),(33R)に上側から当接して該縦送りレバー(33L),(33R)を下方揺動させることを防止すべく該切断範囲(L)を設定するにあたって、待機姿勢の縦送りレバー(33L),(33R)の縦送りアーム(27)による上記押上げ開始時及びそれ以降に前記回転体(73)を上記切断範囲(L)内に位置させてなる移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−50310(P2011−50310A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202279(P2009−202279)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】