説明

積層型二次電池

【課題】生産性の低下や電池性能の劣化を抑制しながら、電池内部での短絡の発生を抑制する積層型二次電池を提供する。
【解決手段】シート状の集電体11の両面に第1の電極活物質12が塗布された第1の電極10であって、第1の電極活物質12が塗布された第1の領域11aと、第1の電極活物質12が塗布されていない第2の領域11bとを有する第1の電極10と、シート状の集電体21の両面に、第1の電極活物質12とは異なる極性の第2の電極活物質22が塗布された第2の電極20と、多孔質セパレータ30と、を有する積層体2であって、第1および第2の電極10,20が、多孔質セパレータ30を介して積層された積層体2を備え、多孔質セパレータ30は、第1の電極10の第2の領域11bと第2の電極20の第2の電極活物質22が塗布された領域とに対向する部分31が、複数層に折り畳まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池は、高容量化、小型化の要求により、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器用の電源として用いられており、また、高エネルギー密度で、メモリー効果が生じないという理由から、電動アシスト自転車や電動工具の電源としても用いられている。さらには、軽量化、放熱性向上などの利点が得られることから、積層構造の電極を備え、電池の外装にアルミラミネートフィルムを使用した積層型リチウムイオン電池が商品化されており、これらを多直列または多並列に接続した電池パックや電池システムが鋭意検討されている。
【0003】
図4に、外装体としてアルミラミネートフィルムを備えた一般的な積層型二次電池の概略図を示す。図4(a)は概略平面図、図4(b)は、図4(a)のC−C’線に沿った(積層方向に平行な)概略断面図であり、従来の積層型二次電池の集電タブ付近の断面構造を示す図である。
【0004】
正極集電体111には、正極活物質112が塗布された活物質形成領域111aと、正極活物質112が塗布されていない領域である正極集電タブ111bとが形成されている。正極集電タブ111bは、活物質形成領域111aから引き出されるように、活物質形成領域111aの端部から突出して設けられている。負極120も同様に、負極活物質122が塗布された領域から引き出されるように設けられた負極集電タブを有している。
【0005】
リチウムイオン二次電池の場合、正極集電体111はアルミニウム箔から、正極活物質112は、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウム酸化物からそれぞれ構成されている。また、負極集電体121および負極活物質122は、銅箔およびカーボンからそれぞれ構成され、セパレータ130は多孔質プラスティックフィルムから構成されている。
【0006】
このようなリチウムイオン二次電池では、電池内部での電極間短絡が大きな問題となっている。それは、電極間短絡が、微小な場合には電池の自己放電を大きくしてしまい、過度な場合には発熱を引き起こし、最悪の場合、それが発煙、発火に至り、危険なためである。
【0007】
短絡によって電極間で最も電流が流れるのは、負極集電体(銅箔)121122と正極集電体(アルミニウム箔)111の金属同士が接触した場合であるが、この接触は、積層型二次電池においては、構造上・製造上、発生しないように設計されている。すなわち、正極集電体111と負極集電体121とは、セパレータ130によって空間的に隔てられ、内部短絡に至ることがないように構成されている。
【0008】
これに次いで電流が流れる可能性がある領域は、正極集電体111と負極活物質122との間、すなわち、正極集電体111が露出している領域111bが、セパレータ130を介して負極活物質に対向する領域である。これらの領域では、電池使用中に、充放電の繰り返しによる電極の膨張、振動、衝撃等の外的要因により、電極110,120から活物質112,122が脱粒しセパレータ130を通り抜けることによって、電極間短絡が発生する虞がある。同様のことは、負極集電体121と正極活物質112との間でも起こり得る。
【0009】
したがって、積層型二次電池においては、上述の活物質の脱粒による問題に対処するために、電極間の構造をより安全な構造に設計することが求められている。例えば、特許文献1では、電極素子が捲回構造を有する二次電池において、正極集電体が露出している領域であって、セパレータを介して負極活物質に対向する領域にテープを貼り付けることで、活物質の脱粒物がセパレータを通り抜けても、内部短絡を発生させない方法が提案されている。また、特許文献2では、捲回型二次電池において、電極間に設けられた多孔質セパレータを熱処理し非多孔質化することによって、活物質の脱粒に起因した内部短絡を防止する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−241737号公報
【特許文献2】特開2007−141482号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、テープを貼り付ける工程が必要となり、そのため、テープ貼り付け時に位置ズレが発生した場合には、テープの貼り直しを行わなければならない。その場合、粘着剤による電極の剥がれが懸念され、このことは不良品の発生につながってしまう。また、特許文献2に記載の方法では、セパレータが熱処理されることで、セパレータが収縮したり、セパレータにシワも発生したりする。セパレータの収縮は、空孔径を小さくすることでレート特性を低下させるとともに、電極への局所的な加圧力を発生させ、またシワの発生は、電極間距離を不均一にする。そのため、充放電サイクル特性などの電池の長期特性が低下することが問題となっていた。
【0012】
そこで本発明の目的は、生産性の低下や電池性能の劣化を抑制しながら、電池内部での短絡の発生を抑制する積層型二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明の積層型二次電池は、シート状の集電体の両面に第1の電極活物質が塗布された第1の電極であって、第1の電極活物質が塗布された第1の領域と、第1の電極活物質が塗布されていない第2の領域とを有する第1の電極と、シート状の集電体の両面に、第1の電極活物質とは異なる極性の第2の電極活物質が塗布された第2の電極と、多孔質セパレータとを有する積層体であって、第1および第2の電極が、多孔質セパレータを介して積層された積層体を備え、多孔質セパレータは、第1の電極の第2の領域と第2の電極の第2の電極活物質が塗布された領域とに対向する部分が、複数層に折り畳まれている。
【0014】
また、本発明の積層型二次電池の製造方法は、シート状の集電体の両面に第1の電極活物質を塗布し、第1の電極を形成する工程と、シート状の集電体の両面に、第1の電極活物質とは異なる極性の第2の電極活物質を塗布し、第2の電極を形成する工程と、第1および第2の電極を多孔質セパレータを介して積層し、積層体を形成する工程とを含み、第1の電極を形成する工程が、第1の電極活物質が塗布された第1の領域と第1の電極活物質が塗布されていない第2の領域とを形成することを含む積層型二次電池の製造方法であって、積層体を形成する工程の前に、多孔質セパレータの、第1の電極の第2の領域と第2の電極の第2の電極活物質が塗布された領域とに対向する部分を、複数層に折り畳む工程を含んでいる。
【0015】
このような積層型二次電池では、第1の電極の第1の電極活物質が塗布されていない領域、すなわち集電体が露出している領域と、第2の電極の第2の電極活物質が塗布された領域との間に、複数層に折り畳まれた多孔質セパレータが配置されることになる。したがって、第2の電極活物質が脱粒した場合でも、その第2の電極活物質は、複数層に折り畳まれた多孔質セパレータにより、第1の電極の集電体まで達することが防止される。そのため、生産性の低下や電池性能の劣化を引き起こすようなテープを貼り付ける工程や熱処理を行うことなく、負極活物質の脱粒による正極集電体と負極活物質との間での短絡の発生を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、生産性の低下や電池性能の劣化を抑制しながら、電池内部での短絡の発生を抑制する積層型二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態における積層型リチウムイオン二次電池を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における積層型リチウムイオン二次電池の積層体を概略的に示す平面図および断面図である。
【図3】図2(a)のB−B’線およびC−C’線に沿った概略断面図である。
【図4】従来の積層型リチウムイオン二次電池を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
本明細書では、本発明の積層型二次電池について、積層型リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。また、以下に示す実施形態では、第1の電極を正極とし、第2の電極を負極として本発明を説明する。本発明では、その逆の場合、すなわち第1の電極が負極であり、第2の電極が正極である場合も可能であるが、そのときには、負極活物質と対向しない正極活物質が存在しない構造とする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態における積層型リチウムイオン二次電池を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す積層型リチウムイオン二次電池の積層体の構造を概略的に示す図であり、図2(a)が概略平面図、図2(b)が、図2(a)のA−A’線に沿った概略断面図である。図3(a)および図3(b)はそれぞれ、図2(a)のB−B’線およびC−C’線に沿った概略断面図である。なお、簡単のために、図2および図3では、積層体の一部(図2(a)では、正極および多孔質セパレータ)のみが示されている。
【0021】
本実施形態の積層型リチウムイオン二次電池1は、図1に示すように、正極および負極が多孔質セパレータを介して積層された積層体2を有している。積層体2の各電極からは、正極集電タブ3および負極集電タブ4がそれぞれ引き出され、それらは、積層体の各電極を外部装置に電気的に接続するための引出端子5,6に溶接され、接続されている。積層体2は、電解液と共にラミネートケース7内に収容されている。
【0022】
積層体2は、図2および図3に示すように、シート状の正極集電体11の両面に正極活物質(第1の電極活物質)12が塗布された正極(第1の電極)10と、シート状の負極集電体21の両面に負極活物質(第2の電極活物質)22が塗布された負極(第2の電極)20と、を有している。
【0023】
本実施形態では、正極集電体11はアルミニウム箔からなり、このアルミニウム箔上に、リチウムイオンを吸蔵、放出するマンガン酸リチウム(LiMn24)などのリチウム酸化物からなる正極活物質12が塗布されて、正極10が構成されている。正極集電体11には、図2(a)に示すように、正極活物質12が塗布された活物質形成領域(第1の領域)11aと、正極活物質12が塗布されていない正極集電タブ(第2の領域)11bとが形成されている。正極集電タブ11bは、活物質形成領域11aから引き出されるように、すなわち活物質形成領域11aの端部から突出するように設けられている。一方、負極集電体21は銅箔からなり、この銅箔上に、リチウムイオンを吸蔵、放出するグラファイトなどの炭素材料からなる負極活物質22が塗布されて、負極20が構成されている。負極20も同様に、負極活物質22が塗布された領域から引き出されるように設けられた負極集電タブ(図2には図示せず)を有している。
【0024】
正極10と負極20との間には、正極10と負極20とを絶縁するために、例えばポリプロピレン単層、あるいはポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層構造の多孔質セパレータ30が挿入されている。
【0025】
本実施形態では、多孔質セパレータ30は、正極10の正極集電タブ11bと、負極20の負極活物質22が塗布された領域との間に、多孔質セパレータ30が複数層(本実施形態では2層)に折り畳まれた折畳部31を有している。言い換えれば、本実施形態の多孔質セパレータ30では、正極10の正極活物質12が塗布されていない領域11bと、負極20の負極活物質22が塗布された領域11aとに対向する部分が複数層に折り畳まれて、折畳部31が形成されている。したがって、本実施形態では、この折畳部31によって、負極20から負極活物質22が脱粒した場合でも、脱粒した負極活物質が正極集電体11に達することが防止される。すなわち、多孔質セパレータ30の折畳部31により、正極10(正極集電体11)と負極20(負極活物質22)との間の絶縁性が強化され、その結果、電極間短絡を抑制することが可能となる。なお、本実施形態では、折畳部31は、図2(a)に示すように、矩形状の多孔質セパレータ30の1つの辺に沿って形成されているが、多孔質セパレータ30の、正極集電タブ11bに対向する領域にだけ形成されていてもよい。
【0026】
また、多孔質セパレータ30は、図2(a)および図3に示すように、正極集電体11の活物質形成領域11aの外側で互いに対向する周縁部同士(折畳部31が形成された周縁部では、正極集電タブ11bに対向しない折畳部31同士)が熱溶着されている。この多孔質セパレータ30の周縁部に形成された溶着部32により、正極10に隣接する多孔質セパレータ30は、正極集電体11の活物質形成領域11aを収容するように、すなわち、実質的には正極10を収容するように袋状に形成されている。この構成により、外的または内的要因によって多孔質セパレータ30が収縮する場合でも、多孔質セパレータ30の形状が維持されやすくなるため、より効果的かつ安定的に電極間短絡の発生を抑制することが可能となる。
【0027】
なお、多孔質セパレータ30の折畳部31は、非多孔質であることが好ましく、すなわち、部分的に熱処理され非多孔質化されていることが好ましい。これは、熱処理によって、折畳部31の多孔質の穴が塞がることで、絶縁性がさらに強化されるためであり、これにより、電極間短絡をより確実に抑制することが可能となる。
【0028】
次に、引き続き図1から図3を参照して、本実施形態の積層型リチウムイオン二次電池の作製方法について説明する。
【0029】
まず、ロール状のアルミニウム箔にリチウム酸化物からなる正極活物質12を間欠塗布する。そして、このアルミニウム箔を、正極活物質12が塗布された部分が活物質形成領域11aとなり、塗布されていない部分が正極集電タブ11bとなるように、シート状に加工し、正極集電体11を作製する。こうして、1個または複数個(本実施形態では1個)の正極集電タブ11bが引き出された正極10を形成する。同様に、炭素材料からなる負極活物質22を間欠塗布したロール状の銅箔を、負極活物質22が塗布されていない部分が負極集電タブとなるようにシート状に加工して、負極集電タブ(図2には図示せず)が引き出された負極20を形成する。
【0030】
正極10および負極20をそれぞれ形成した後、正極10および負極20を、ポリプロピレン単層、あるいはポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層構造の多孔質セパレータ30を介して積層し、積層体2を作製する。
【0031】
具体的には、まず、多孔質セパレータ30の、正極集電体11のアルミニウム箔が露出した領域(すなわち正極集電タブ11b)と負極20の負極活物質22が塗布された領域とに対向する部分を、複数層に折り畳み、折畳部31を形成しておく。次に、この折畳部31を熱処理(熱溶着)し、非多孔質化する。その後、正極10に隣接する多孔質セパレータ30において、正極集電体11の活物質形成領域11aの外側で互いに対向する周縁部同士を熱溶着し、溶着部32を形成する。こうして、正極10に隣接する多孔質セパレータ30を袋状に形成し、その内部に正極集電体11の活物質形成領域11aを収容する。そして、袋状に形成された多孔質セパレータ30の内部に実質的に収容された正極10と、負極とを積層し、積層体2を完成させる。
【0032】
このようにして作製した積層体2に正極引出端子5および負極引出端子6を接続した後、この積層体2を、図1に示すように、アルミニウム箔などの金属薄膜の両面に合成樹脂製フィルムが積層されたラミネートフィルムによって形成されたラミネートケース7に収容する。具体的には、引出端子5,6の一部がラミネートケース7の外側に露出するように、積層体2、正極集電タブ3、負極集電タブ4,および引出端子5,6の一部を、矩形状の2枚のラミネートフィルムの間に挿入し、ラミネートフィルムの各辺を熱溶着する。このとき、引出端子5,6が配置された辺を含む3辺の熱溶着を行った後で袋状の状態になったラミネートフィルムの内部に電解液を注入し、最後に、残された辺の熱溶着を行うことで、積層型リチウムイオン二次電池1を完成させる。
【0033】
なお、多孔質セパレータの製法としては、湿式法と乾式法とに大別されるが、本実施形態では、乾式法で作製された多孔質セパレータを用いることが好ましい。これは、その製法上の理由により、乾式法で作製された多孔質セパレータの熱収縮が、湿式法で作製された場合と比べて小さく、製造工程中の熱処理などによる多孔質セパレータの収縮やシワの発生を抑えることができるためである。
【0034】
以上のように、本実施形態の積層型リチウムイオン二次電池では、正極と負極との間に挿入された多孔質セパレータに、多孔質セパレータが複数層に折り畳まれた折畳部が形成されている。この折畳部は、正極の正極活物質が塗布されていない領域、すなわち正極集電体が露出している領域と、負極の負極活物質が塗布された領域とが対向している部分に配置されている。これにより、負極から負極活物質が脱粒したとしても、負極活物質の脱粒物が正極集電体に達することを防止することができ、その結果、電極間の絶縁性が強化され、電池内部での短絡の発生を抑制することが可能となる。
【0035】
以上、本発明の積層型二次電池について、積層型リチウムイオン二次電池の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニッケル水素電池など他の二次電池や、電気二重層キャパシタに代表される電気化学キャパシタなどの、電荷を蓄積することができる電気化学デバイスにも適用可能である。
【0036】
なお、本発明は、無停電電源や蓄電池としての用途に有用であり、さらには電気自動車用電池やハイブリッド自動車用電池、電動アシスト自転車用電池としての用途にも有用である。
【0037】
(実施例)
上述の製造方法を用い、以下に示す条件で作製した積層型リチウムイオン二次電池において、多孔質セパレータの折畳部による内部短絡の抑制効果を検証した。
【0038】
正極と負極を絶縁するためのセパレータとして、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層構造の多孔質セパレータを使用した。多孔質セパレータの折畳部は、2層構造とし、160℃で熱溶着を行い、非多孔質化した。積層体には、正極10枚、セパレータ20枚、負極11枚を使用した。
【0039】
正極引出端子は、幅10mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製とし、正極集電タブは、幅10mm、厚さ0.02mmとして、それらを超音波溶接により接続した。負極引出端子は、幅10mm、厚さ0.2mmのニッケル製とし、負極集電タブは、幅10mm、厚さ0.01mmとして、それらを超音波溶接により接続した。引出端子とラミネートフィルムとの間に厚さ0.1mmの絶縁樹脂を挿入し、ラミネートフィルムの溶着位置が絶縁樹脂と重なるようにラミネートフィルムの熱溶着を行い、ラミネートケースを形成した。
【0040】
なお、比較例として、折畳部が形成されていない点を除いては上述の実施例と同様の構成の積層型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0041】
実施例および比較例において、実施例では折畳部に、比較例ではそれに対応する位置に、中心で90度折り曲げた金属片(長さ2mm、幅0.2mm、厚さ0.1mm)を介して外部から圧力を加え、内部短絡の有無を調べた。
【0042】
比較例では、内部短絡が発生したが、実施例では、内部短絡は見られず、折畳部による短絡抑制効果が確認された。
【符号の説明】
【0043】
1 積層型リチウムイオン二次電池
2 積層体
10 正極
11 正極集電体
11a 活物質形成領域
11a 正極集電タブ
12 正極活物質
20 負極
21 負極集電体
22 負極活物質
30 多孔質セパレータ
31 折畳部
32 溶着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の集電体の両面に第1の電極活物質が塗布された第1の電極であって、該第1の電極活物質が塗布された第1の領域と、該第1の電極活物質が塗布されていない第2の領域とを有する第1の電極と、シート状の集電体の両面に、前記第1の電極活物質とは異なる極性の第2の電極活物質が塗布された第2の電極と、多孔質セパレータと、を有する積層体であって、前記第1および第2の電極が、前記多孔質セパレータを介して積層された積層体を備え、
前記多孔質セパレータは、前記第1の電極の前記第2の領域と前記第2の電極の前記第2の電極活物質が塗布された領域とに対向する部分が、複数層に折り畳まれている、積層型二次電池。
【請求項2】
前記多孔質セパレータは、複数層に折り畳まれた前記部分が非多孔質である、請求項1に記載の積層型二次電池。
【請求項3】
前記第1の電極の前記第2の領域は、前記第1の領域の端部から突出するように設けられ、
前記第1の電極に隣接する前記多孔質セパレータは、前記第1の電極の前記第1の領域の外側で互いに対向する周縁部同士が熱溶着され、前記第1の電極の前記第1の領域を収容するように袋状に形成されている、請求項1または2に記載の積層型二次電池。
【請求項4】
前記第1の電極が正極である、請求項3に記載の積層型二次電池。
【請求項5】
シート状の集電体の両面に第1の電極活物質を塗布し、第1の電極を形成する工程と、シート状の集電体の両面に、前記第1の電極活物質とは異なる極性の第2の電極活物質を塗布し、第2の電極を形成する工程と、前記第1および第2の電極を多孔質セパレータを介して積層し、積層体を形成する工程と、を含み、前記第1の電極を形成する工程が、前記第1の電極活物質が塗布された第1の領域と該第1の電極活物質が塗布されていない第2の領域とを形成することを含む積層型二次電池の製造方法であって、
前記積層体を形成する工程の前に、前記多孔質セパレータの、前記第1の電極の前記第2の領域と前記第2の電極の前記第2の電極活物質が塗布された領域とに対向する部分を、複数層に折り畳む工程を含む、積層型二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記複数層に折り畳む工程が、前記多孔質セパレータの、複数層に折り畳まれた前記部分を部分的に熱処理し、非多孔質化することを含む、請求項5に記載の積層型二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記第1の電極を形成する工程が、前記第1の電極の前記第2の領域を前記第1の領域の端部から突出するように設けることを含み、
前記複数層に折り畳む工程と前記積層体を形成する工程との間に、前記第1の電極の前記第1の領域を収容するように、前記第1の電極に隣接する前記多孔質セパレータを袋状に形成する工程を含み、
前記袋状に形成する工程が、前記第1の電極に隣接する前記多孔質セパレータの、前記第1の電極の前記第1の領域の外側で互いに対向する周縁部同士を熱溶着することを含む、請求項5または6に記載の積層型二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記多孔質セパレータが乾式法で作製されている、請求項5から7のいずれか1項に記載の積層型二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−64448(P2012−64448A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207924(P2010−207924)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(310010081)NECエナジーデバイス株式会社 (112)
【Fターム(参考)】