説明

積層緩衝材

【課題】空気の流路となる空隙を好適に形成できるので通気性に優れ、かつ、クッション性能も良好な積層緩衝材を、簡易な構成で提供すること。
【解決手段】本発明の積層緩衝材1は、貫通孔21,31を規則的に複数形成したクッション性を備えたシート2,3を少なくとも2枚積層し、断面視で隣接する一方のシート2に形成された貫通孔21が、隣接する他方のシート3に形成された隣り合う2つ以上の貫通孔31に重なるように配置される構成を採用する。かかる構成により、荷重に対してクッション性が良好となるとともに、積層されるシート2,3に形成されている貫通孔21,31が空気的に連通されて連続した隙間となり、両シート2,3間を蛇行する流体の流路5が形成され、かかる流路5により通気が行われ、加えて、1つの貫通孔21,31から入った空気が繋がる複数の貫通孔31,21に適度に分散されるため、空気の流れがスムースとなり、通気性に優れる積層緩衝材1となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層緩衝材に関する。さらに詳しくは、寝具、椅子、履物の中敷等として使用される通気性を備えた積層緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
寝具、椅子、履物の中敷等、人体に接して使用される緩衝材には通気性を有する素材及び構成が望まれている。しかし、これらの緩衝材が設置されている面は、多くの場合人体の荷重を支える為に平滑な面状であることが多く、従って排気が困難な面でもある。このため内部に連続気泡を有する素材や、立体捲縮を有する繊維と熱接着性繊維を部分的に接着固定した繊維構造体の緩衝材を使用するなど、緩衝材内部を自由に空気の流通がなされるようにし、前記の面以外の部分から空気の排出及び流入を行えるようにしていることは周知の通りである。一方、これらの緩衝材は通気性と快適なクッション性の両立が難しい為、緩衝材の成形時に意図した方向へ通気し易い構造となるように設計されたものが種々提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−510700号公報
【特許文献2】特開平9−191981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、空気の流路となる空隙を好適に形成できるので通気性に優れ、かつ、クッション性能も良好な積層緩衝材を、簡易な構成で提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る積層緩衝材は、貫通孔を規則的に複数形成したクッション性を備えたシートを少なくとも2枚積層してなり、断面視で隣接する一方のシートに形成された貫通孔が、隣接する他方のシートに形成された隣り合う2つ以上の貫通孔に重なるように配置していることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る積層緩衝材は、前記した請求項1において、一方の最外層に表れた前記シートに形成された前記貫通孔が表面側から塞がれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に係る積層緩衝材は、複数個の貫通孔が規則的に形成されたクッション性を備えたシートを少なくとも2層積層し、互いに接する2枚のシートにおける一方のシートに形成された貫通孔が、他方のシートに形成された2つ以上の貫通孔と重なるように積層されている構成を採用している。従って、孔明け加工されていない部分の重なりが緩衝材全体にわたって均一に配置されることにより、荷重に対してクッション性が良好となる構造となる。また、積層されるシートに形成されている孔が空気的に連通されて連続した隙間となり、両シート間を蛇行する流体(空気等)の流路が形成され、かかる流路により通気が行われ、加えて、1つの貫通孔から入った空気が繋がる複数の貫通孔に適度に分散されるため、空気の流れがスムースとなり、通気性に優れる積層緩衝材となる。なお、かかる空隙は、積層緩衝材を構成するシートの板厚と枚数、貫通孔の形状、配置、大きさを調整することにより、使用目的に応じて高い自由度で設定することができる。
【0008】
本発明の請求項2に係る積層緩衝材は、積層緩衝材を構成するシートについて、一方の最外層に表れたシートに形成された貫通孔が表面側から塞がれている構成を採用しているので、前記した効果を享受することに加えて、一方からの水等の流体の侵入を制限することができるので、防水性等を必要とする用途に最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の積層緩衝材の一態様について、図面を用いて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1ないし図4を用いて、本発明の第1実施形態の積層緩衝材を説明する。なお、以下の説明においては、本発明の積層緩衝材の主要部分のみを図示及び説明するものとし、それ以外の部分については図示及び説明を省略する。
【0011】
図1は第1実施形態に係る積層緩衝材1の概略図であり、図2は、図1の積層緩衝材1において、当該緩衝材1を構成するシート(第1のシート2と第2のシート3)を離して別々にした状態を示す概略図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の積層緩衝材1は、楕円形状の貫通孔21が等間隔で規則的に複数個形成されたクッション性を備えた第1のシート2と、同様に楕円形状の貫通孔31が等間隔で規則的に複数個形成されたクッション性を備えた第2のシート3とを積層している。
【0012】
また、本実施形態の積層緩衝材1は、断面視で隣接している第1のシート2と第2のシート3において、第1のシート2に形成された貫通孔21が、第2のシート3に形成された2つの貫通孔31と重なるように積層されている(同様に、第2のシート3に形成された貫通孔31も、第1のシート2に形成された2つの貫通孔21と重なるように積層されている。)。なお、本実施形態にあっては、第1のシート2及び第2のシート3には、同形状及び同サイズの楕円形状の貫通孔21,31が等間隔で規則的に形成された態様を示している。
【0013】
本実施形態の積層緩衝材1を構成するシート2,3は、クッション性に富む材料で構成されることが好ましく、構成材料としては、例えば、樹脂発泡体に用いる樹脂材料であるポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリルシリコン、天然ゴム、アクリロニトリル、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0014】
図3は、第1のシート2と第2のシート3を重ね合わせて、本実施形態に係る積層緩衝材1を構成する第1のシート2及び第2のシート3に形成する貫通孔21,31の配置の一例を示した平面図である。なお、図3中、第1のシート2に形成された貫通孔21を実線で、第2のシート3に形成された貫通孔31を点線で示している。図3に示すように、本実施形態の構成では、1つの貫通孔21から入った空気が繋がる2つの貫通孔31に適度に分散されるため空気の流れがスムースとなり、通気性に優れた積層緩衝材1となる。
【0015】
また、図4は図3の積層緩衝材1において、切断線X−Xで切断した断面を示す断面図である。本発明の積層緩衝材1にあっては、図4に示すように、第1のシート2と第2のシート3に形成されている貫通孔21,31が空気的に連通されて連続した空隙となり、両シート2,3間を蛇行する空気等の流体の流路5が形成される。そして、かかる流路5により通気が行われるため、空気の流れがスムースとなり、通気性に優れることになる。
【0016】
なお、積層緩衝材1を構成するシート2,3には、防臭剤・消臭剤、芳香剤、抗菌剤、防黴剤等を適用することにより、これらが有する効果(防臭・消臭効果、芳香効果、抗菌効果、防黴効果等)を兼ね備えた積層緩衝材1となる。かかる防臭剤・消臭剤、芳香剤、抗菌剤、防黴剤等は、使用される樹脂材料に添加した、樹脂材料と防臭剤・消臭剤等の混合体をシート2,3として成形するようにしてもよいし、また、適宜液状化して、成形されたシート2,3の表面に塗付するようにしてもよい。
【0017】
防臭剤・消臭剤としては、例えば、銅酸化物、鉄酸化物、マグネシウム酸化物、亜鉛酸化物、アルミナ、シリカ等の金属酸化物、ゼオライト等のケイ酸塩、フタロシアニン銅等の金属塩、脂肪族系及び芳香族系のカルボン酸等が挙げられる。
【0018】
芳香剤としては、例えば、テルペン類、エステル類、アルデヒド類、及び過酸化物等が挙げられる。
【0019】
抗菌剤としては、例えば、アリルイソチオシアネート、キチン、キトサン、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、ジチオカルバメート、有機錫、抗生物質が挙げられる。また、抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、または水銀等の抗菌性金属材料を、ゼオライト、活性炭、シリカ、活性白土、酸性白土、アルミナ、活性ボーキサイト、骨炭、モレキュラーシーブ、またはガラスビーズ等の担体に担持させたものを使用するようにしてもよい。
【0020】
防黴剤としては、例えば、チアベンダゾール系、キチン、もしくはキトサン等が、抗菌防黴剤としては、ベンゾイミダゾール化合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾロン化合物、もしくはベンゾチアゾール化合物が挙げられる。
【0021】
本実施形態の積層緩衝材1の製造方法としては、特に制限はないが、前記した所定の樹脂材料を従来公知の成形方法を用いてシート化して、孔明け加工により貫通孔21,31を形成し、第1のシート2及び第2のシート3を常法により積層・貼り合わせて一体化すればよい。なお、本発明の積層緩衝材1にあっては、各層のシート2,3に形成された貫通孔21,31の位置関係により空気の流路が形成されるため、シート2,3間でのずれが生じないことが好ましく、従って、あらかじめ上下2層の貫通孔21,31の配置ができるように設定したローラー間にシート材料を通す等の方法で、複数の層を一体に成形することが好ましい。
【0022】
本実施形態の積層緩衝材1を構成するシート2,3の厚さ、及び積層緩衝材の厚さは、特に制限はなく、その用途、目的により適宜決定することができる。
【0023】
以上説明した第1実施形態の積層緩衝材1は、複数個の貫通孔21,31が規則的に形成されたクッション性を備えた第1のシート2及び第2のシート3を積層し、第1のシート2に形成された貫通孔21が、第2のシート3に形成された2つの貫通孔31と重なるように積層されている(第2のシート3に形成された貫通孔31も、第1のシート2に形成された2つの貫通孔21と重なるように積層されている)構成を採用しているので、孔明け加工されていない部分の重なりが緩衝材全体にわたって均一に配置され、荷重に対してクッション性が良好となる構造となる。また、積層されるシート2,3に形成されている貫通孔21,31が空気的に連通されて連続した隙間となり、両シート2,3間を蛇行する流体(空気等)の流路5が形成され、かかる流路5により通気が行われ、加えて、1つの貫通孔21、31から入った空気が繋がる2つの貫通孔31,21に適度に分散され、空気の流れがスムースとなり、通気性に優れる積層緩衝材1となる
【0024】
そして、かかる本実施形態の積層緩衝材1は、履物用中敷き、寝具等に用いられるマットレス、椅子のクッション、サポーターのほか、衣類、鞄等における人体に接触する箇所の各種クッション部等に使用することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図5ないし図7を用いて、本発明の第2実施形態の積層緩衝材1を説明する。なお、第1実施形態と同様、以下の説明においては、本発明の積層緩衝材の主要部分のみを図示及び説明するものとし、それ以外の部分については図示及び説明を省略する。また、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0026】
図5は第2実施形態に係る積層緩衝材1の断面図であり、図6は本実施形態に係る積層緩衝材1の概略図であり、図2と同様に、第1のシート2、第2のシート3及び障壁シート4を離して別々にした状態を示す概略図である。
【0027】
本実施形態の積層緩衝材1は、前記した第1実施形態の積層緩衝材1において、一方の最外層に表れたシート(第2のシート3)の表面に障壁シート4を配設・一体化して、第2のシート3に形成された貫通孔31が表面側から塞がれている構成を採用している。かかる構成により、平板状の障壁シート4が一方からの水等の流体の進入を制限することができる。本発明の積層緩衝材1をウェットスーツに代表される防水衣料の用途で使用する場合にあっては、積層緩衝材1の片面における流体の進入経路を制限し、水等の流体がかかる積層緩衝材1の内部に進入しないようにする必要があるので、本実施形態の構成は効果的である。
【0028】
本実施形態の積層緩衝材1において、障壁シート4と最外層に表れたシート(第2のシート3)を一体化するには、穴明け加工等によりあらかじめ貫通孔31を明けた第2のシート3の表面に障壁シート4を接着ないし溶着すればよい。なお、かかる接着等は、第1のシート2と第2のシート3を一体化させた後に実施してもよい。
【0029】
また、図7は、本実施形態に係る積層緩衝材1における他の構成例を示した断面図である。図7に示すように、本実施形態に係る積層緩衝材1としては、一方の最外層に表れるシートとなる第2のシート3及び障壁シート4となるシートとして、平面視が第1のシート2に形成された貫通孔21と同形状、同サイズの凹み31bを形成したシート(便宜上、もう1つのシート3bという。)を用いることにより、図5及び図6に示した積層緩衝材1と同様な効果を奏することができるとともに、部品点数の削減や接着面及び溶着面の削減を図ることができる。
【0030】
このように、本実施形態の積層緩衝材1においては、凹み31bを形成したもう1つシート3bを、表面が塞がれた貫通孔を備えたシート(障壁シート4が一体化された第2のシート3)として用いてもよい。具体的には、貫通孔21を規則的に複数形成したクッション性を備えたシート(例えば第1のシート2)を少なくとも1枚と、凹み31bを規則的に複数個形成したクッション性を備えたもう1つのシート3bを、もう1つのシート3bに形成された凹み31bの開口部が、第1のシート2と重なり、もう1つのシート3bが一方の最外層に表れるように積層するとともに、断面視で隣接する第1のシート2に形成された貫通孔21が、断面視で隣接するもう1つのシート3bに形成された隣り合う2つ以上(本実施形態では2つ)の凹み31bに重なるように配置し、また、もう1つのシート3bに形成された凹み31bが、断面視で隣接する第1のシート2に形成された隣り合う2つ以上(本実施形態では2つ)の貫通孔21に重なるように配置して、連続した空隙を形成するようにすればよい。
【0031】
以上説明した第2実施形態に係る積層緩衝材1は、前記した第1実施形態の積層緩衝材1が奏する効果を享受するとともに、一方からの空気等の流体の侵入を制限することができるので、防水性等を必要とする用途に最適である。
【0032】
[実施形態の変形]
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0033】
前記した実施形態では、第1のシート2及び第2のシート3の2枚のシートからなる2層の積層緩衝材1を例に挙げて説明したが、積層緩衝材1を構成するシートの数は3層以上であっても問題ない。図8は、第1実施形態で示した第1のシート2及び第2のシート3に加え、さらに第2のシート3と同一の構成のシートを第1のシート2の表面に接するように配設した態様を示した断面図である。図8に示すように、本発明の積層緩衝材1は、構成するシートを3層以上重ねても空気の流路5は確保できるとともに、構成するシートを3層以上とすることにより、流れる空気の流量を増やすことができる。
【0034】
なお、このように本発明の積層緩衝材1が3枚以上のシートで構成させる場合において、互いに接する2枚のシートにおける一方のシートに形成された貫通孔が、他方のシートに形成された複数の貫通孔と重なり、連続した空隙を形成するように積層するためには、奇数段のシートが、前記した第1のシート2(または第2のシート3)で構成され、偶数段のシートが第2のシート3(奇数段のシートが第2のシート3で構成された場合には、第1のシート2)で構成されることが好ましい。
【0035】
また、図9及び図10は、本発明の積層緩衝材1を構成するシート2,3に形成される貫通孔21,31の形状及び配置の他の実施形態を示した平面図である。本実施形態に示した積層緩衝材1は、シート(例えば第1のシート2)に形成された貫通孔21を、隣接するシート(例えば第2のシート3)に形成された隣り合う3つの貫通孔31と重なるよう配置した一例である。なお、図9は、貫通孔21,31の形状として正三角形(角を丸くしたいわゆるおにぎり形状)を、図10は、貫通孔21,31の形状として円形状を採用している。
【0036】
本実施形態にあっては、第1のシート2に形成される複数個の貫通孔21は、隣接する貫通孔21の距離(貫通孔21の中心間の距離のこと。)と等しく、その中心を結ぶ直線がなす角度を60°として等間隔に規則的に配列されて形成されている(図9及び図10の構成のシート2,3において、貫通孔21(あるいは貫通孔31)の中心を結ぶ三角形は全て正三角形となり、その内角は全て60°である。)。
【0037】
また、図11及び図12は、本発明の積層緩衝材1を構成するシート2,3に形成される貫通孔21,31の形状及び配置のさらに他の実施形態を示した平面図である。本実施形態に示した積層緩衝材1は、シート(例えば第1のシート2)に形成された貫通孔21を、隣接するシート(例えば第2のシート3)に形成された隣り合う4つの貫通孔31と重なるよう配置した一例である。なお、図11は、貫通孔21,31の形状として正方形を、図12は、貫通孔21,31の形状として円形状を採用している。
【0038】
本実施形態にあっては、第1のシート2に形成される複数個の貫通孔21は、隣接する貫通孔の距離と等しく、その中心を結ぶ直線がなす角度を90°として等間隔に規則的に配列されて形成されている(図11及び図12の構成のシート2,3において、貫通孔21(あるいは貫通孔31)の中心を結ぶ四角形は全て正方形となり、その内角は全て90°である。)。
【0039】
このように、本発明の積層緩衝材1にあっては、互いに接する2枚のシート(第1のシート2、第2のシート3)における一方のシート(例えば第1のシート2)に形成された貫通孔21が、他方のシート(例えば第2のシート3)に形成された複数個の貫通孔31と重なるように積層されているという条件を満足する限り、貫通孔21,31の形状については特に限定されず、多角形状等の任意の形状を選択して適用することができる。また、第1のシート2及び第2のシート3に形成される貫通孔21,31は、前記した実施形態の如く全て同形状及び同サイズである必要はなく、前記の条件を満足するのであれば、第1のシート2と第2のシート3についてそれぞれ異なる形状ないしサイズの貫通孔21,31を形成されるようにしてもよい。加えて、前記の条件を満足するのであれば、1つのシート2,3に対して、異なる形状ないしサイズの貫通孔21,31を規則的に形成させるようにしても問題はない。
【0040】
なお、前記した図8ないし図12に示した実施態様において、一方の最外層に配設されるシートとして、シートに形成された貫通孔が障壁シート4により表面側から塞がれている第2のシート3、あるいは凹みが形成されたもう1つのシート3bを採用しても問題なく、これらのシート3,3bを採用することにより、第2実施形態の積層緩衝材1の奏する効果を好適に享受する。
【0041】
また、第1のシート2や第2のシート3の表面には、本発明の効果を妨げない範囲において、通気性のよい布帛を配設するようにしてもよい。第1のシート2や第2のシート3等の表面に通気性のよい布帛を配設することにより、積層緩衝材1の表面保護、摩擦による損傷防止、汚損防止等に繋がるため好ましい。また、本発明の積層緩衝材1全体を、通気性を有する素材で包むようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の積層緩衝材は、例えば、履物用中敷き、寝具等に用いられるマットレス、椅子のクッション、サポーターのほか、衣類、鞄等における人体に接触する箇所の各種クッション部等として有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に係る積層緩衝材の概略図である。
【図2】図1の積層緩衝材において、第1のシートと第2のシートを離して別々にした状態を示す概略図である。
【図3】第1実施形態に係る積層緩衝材を構成する第1のシート及び第2のシートに形成する貫通孔の配置の一例を示した平面図である。
【図4】図3の積層緩衝材において、切断線X−Xで切断した断面を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る積層緩衝材の断面図である。
【図6】図5の積層緩衝材において、第1のシート、第2のシート及び障壁シートを離して別々にした状態を示す概略図である。
【図7】第2実施形態に係る積層緩衝材における他の構成例を示した断面図である。
【図8】第1実施形態で示した積層緩衝材に、さらに第2のシートと同一の構成のシートを配設した態様を示した断面図である。
【図9】本発明の積層緩衝材を構成するシートに形成される貫通孔の形状及び配置の他の実施形態を示した平面図である。
【図10】本発明の積層緩衝材を構成するシートに形成される貫通孔の形状及び配置の他の実施形態を示した平面図である。
【図11】本発明の積層緩衝材を構成するシートに形成される貫通孔の形状及び配置のさらに他の実施形態を示した平面図である。
【図12】本発明の積層緩衝材を構成するシートに形成される貫通孔の形状及び配置のさらに他の実施形態を示した平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 積層緩衝材
2 第1のシート
21 貫通孔
3 第2のシート
31 貫通孔
3b もう1つのシート
31b 凹み
4 障壁シート
5 空気の流路
X−X 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を規則的に複数形成したクッション性を備えたシートを少なくとも2枚積層してなり、
断面視で隣接する一方のシートに形成された貫通孔が、隣接する他方のシートに形成された隣り合う2つ以上の貫通孔に重なるように配置していることを特徴とする積層緩衝材。
【請求項2】
一方の最外層に表れた前記シートに形成された前記貫通孔が表面側から塞がれていることを特徴とする請求項1に記載の積層緩衝材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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