説明

空気圧縮機

【課題】吸込み絞り弁の大型化を抑制しつつ、無負荷運転時の吸込み絞り弁の操作圧力を低減することができ、ひいては無負荷運転時の圧縮機本体の吐出側圧力を低減することができ、省エネ効果を高めることができる空気圧縮機を提供する。
【解決手段】制御経路21A及び21Bのうちのいずれか一方を選択して制御経路21Cと連通する三方弁22を設ける。制御装置5は、負荷運転を行う場合に、制御経路21Aと制御経路21Cとを連通させるように三方弁22を制御して、吸込み絞り弁3のバネ室16を一次室11と連通させる。一方、負荷運転から無負荷運転へ切替える場合に、制御経路21Bと制御経路21Cとを連通させるように三方弁22を制御して、吸込み絞り弁3のバネ室16を二次室12と連通させる。これにより、吸込み絞り弁3のバネ室16内の圧力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁を備えた空気圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧縮機は、例えば、空気を圧縮する圧縮機本体と、この圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
吸込み絞り弁は、弁座と、この弁座を開閉する弁体と、弁座の上流側である一次室と、弁座の下流側である二次室と、シリンダ内に摺動可能に設けられたピストンと、このピストンに接続されて、先端側の小径部に弁体がスライド可能に挿通された軸とを有している。シリンダ内はピストンで区画されて、シリンダ内のピストンの摺動方向一方側にバネ室が形成され、シリンダ内のピストンの摺動方向他方側に操作室が形成されている。バネ室内にはバネが収納されており、このバネの力が弁体の開き方向の付勢力としてピストンに作用している。また、操作室内の圧力が弁体の閉じ方向の付勢力としてピストンに作用している。
【0004】
圧縮機本体の吐出経路には第1の放気経路が分岐接続され、この第1の放気経路が吸込み絞り弁の操作室に接続されている。第1の放気経路には放気弁が設けられている。また、吸込み絞り弁の操作室と一次室との間には第2の放気経路が接続されている。
【0005】
そして、例えば全負荷運転を行う場合は、放気弁を閉じ状態とすることにより、圧縮機本体の吐出側の圧縮空気が吸込み絞り弁の操作室及び一次室に導出されず、また操作室と一次室とが連通しているので、操作室内の圧力がほぼ大気圧となる。これにより、バネの力による弁体の開き方向の付勢力が操作室内の圧力による弁体の閉じ方向の付勢力よりも勝り、ピストンが弁体の開き方向に摺動し、さらに一次室と二次室との圧力差によって弁体が開き方向にスライドし、弁座が全開する。その結果、圧縮機本体は、吸込み絞り弁を介し空気を吸込み、圧縮するようになっている。
【0006】
一方、例えば無負荷運転を行う場合は、放気弁を開き状態とすることにより、圧縮機本体の吐出側の圧縮空気が吸込み絞り弁の操作室及び一次室に導出されて、圧縮機本体の吐出側圧力が低減するとともに、操作室内の圧力が高くなる。これにより、操作室内の圧力による弁体の閉じ方向の付勢力がバネの力による弁体の開き方向の付勢力より勝り、ピストンとともに弁体が閉じ方向に動作し、弁座が全閉する。その結果、圧縮機本体の吸入側が遮断され、かつ圧縮機本体の吐出側圧力が低減した状態で、圧縮機本体が運転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−175152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術では、無負荷運転を行う場合に、操作室内の圧力による弁体の閉じ方向の付勢力を、バネの力による弁体の開き方向の付勢力より大きくして、弁体を閉じ方向に動作させるようになっている。そのため、無負荷運転時の吸込み絞り弁の操作室内の圧力は、バネの力に勝るように高める必要があり、その圧力源である圧縮機本体の吐出側圧力の低減を妨げる要因となっていた。無負荷運転時の吐出側圧力が大きくなれば、圧縮機本体の動力も大きくなり、省エネ効果が低下する。特に、近年、ロータの改良などによって、圧縮機本体の吸入側圧力と吐出側圧力との圧力差が小さくなってもロータを安定して運転することが可能となり、騒音を低減することが可能となったことから、無負荷運転時の吐出側圧力の低減が望まれていた。
【0009】
そこで、無負荷運転時の圧縮機本体の吐出側圧力すなわち吸込み絞り弁の操作圧力の低減を図るための方法の一つとして、例えばピストンの径寸法(言い換えれば、断面積)を大きくする方法が考えられる。しかし、この場合には、吸込み絞り弁の大型化を招いてしまう。具体的に説明すると、例えば、無負荷運転時の圧縮機本体の吐出側圧力を0.2MPa、吸込み絞り弁のピストンの径寸法を100mm、バネ力を700Nとした条件から、吐出側圧力を0.1MPaまで低減するには、ピストンの径寸法を140mm程度(約1.4倍)まで大きくしなければならない。
【0010】
本発明の目的は、吸込み絞り弁の大型化を抑制しつつ、無負荷運転時の吸込み絞り弁の操作圧力を低減することができ、ひいては無負荷運転時の圧縮機本体の吐出側圧力を低減することができ、省エネ効果を高めることができる空気圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁とを備え、前記吸込み絞り弁は、弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記弁座の上流側の一次室と、前記弁座の下流側の二次室と、シリンダ内に摺動可能に設けられて前記弁体に接続されたピストンと、前記シリンダ内に前記ピストンで区画形成されて前記ピストンの摺動方向一方側に位置するバネ室と、前記バネ室に収納され、前記弁体の開き方向の付勢力を前記ピストンに作用させるバネと、前記シリンダ内に前記ピストンで区画形成されて前記ピストンの摺動方向他方側に位置し、内部圧力が前記弁体の閉じ方向の付勢力として前記ピストンに作用する操作室とを有し、負荷運転を行う場合は、前記圧縮機本体の吐出側の圧縮空気を前記操作室に導出しないで前記操作室内の圧力を低くし、これによって前記ピストンとともに前記弁体を開き方向に動作させて前記弁座を開き、負荷運転から無負荷運転に切替える場合は、前記圧縮機本体の吐出側の圧縮空気を前記操作室に導出して前記操作室内の圧力を高め、これによって前記ピストンとともに前記弁体を閉じ方向に動作させて前記弁座を閉じる空気圧縮機において、負荷運転を行う場合に前記バネ室を前記一次室又はほぼ大気圧下の領域と連通し、負荷運転から無負荷運転に切替える場合に前記バネ室を前記二次室と連通して、前記バネ室内の圧力を制御するバネ室圧力制御手段を備える。
【0012】
本発明においては、負荷運転を行う場合に、吸込み絞り弁のバネ室を一次室(又はほぼ大気圧下の領域)と連通して、バネ室内の圧力がほぼ大気圧となるように制御する。一方、負荷運転から無負荷運転に切替える場合は、吸込み絞り弁のバネ室を二次室と連通して、バネ室内の圧力がほぼ真空圧となるように制御する。このバネ室内の負圧は、操作室内の圧力(正圧)による弁体の閉じ方向の付勢力を補助するように働く。そのため、例えば吸込み絞り弁のピストンの断面積を大きくしなくとも、操作室内の圧力を低減することができる。したがって、吸込み絞り弁の大型化を抑制しつつ、無負荷運転時の吸込み絞り弁の操作圧力を低減することができ、ひいては無負荷運転時の圧縮機本体の吐出側圧力を低減することができる。その結果、無負荷運転時の圧縮機本体の動力を低減することができ、省エネ効果を高めることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記バネ室圧力制御手段は、負荷運転を行う場合は、前記バネ室を前記一次室又はほぼ大気圧下の領域と連通して、前記バネ室内の圧力がほぼ大気圧となるように制御し、負荷運転から無負荷運転に切替える場合は、前記バネ室を前記二次室と連通して、前記バネ室内の圧力がほぼ真空圧となるように制御する。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記バネ室圧力制御手段は、前記一次室又はほぼ大気圧下の領域に連通する第1の制御経路と、前記二次室に連通する第2の制御経路と、前記バネ室に連通する第3の制御経路と、前記第1の制御経路及び前記第2の制御経路のうちのいずれか一方を選択して前記第3の制御経路と連通する三方弁と、負荷運転を行う場合に前記第1の制御経路と前記第3の制御経路とを連通させるように前記三方弁を制御し、負荷運転から無負荷運転に切替える場合に前記第2の制御経路と前記第3の制御経路とを連通させるように前記三方弁を制御する制御装置とを有する。
【0015】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記バネ室圧力制御手段は、前記第2の制御経路に設けられ、前記二次室から前記バネ室への逆流を防止する逆止弁を有する。
【0016】
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1つにおいて、好ましくは、前記圧縮機本体の吐出経路に分岐接続されて、前記圧縮機本体の吐出側の圧縮空気を前記操作室に導出するとともに前記一次室又はほぼ大気圧下の領域に導出して放気するための放気経路と、前記放気経路に設けられ、負荷運転を行う場合に閉じ状態、無負荷運転を行う場合に開き状態に切替えられる放気弁とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吸込み絞り弁の大型化を抑制しつつ、無負荷運転時の吸込み絞り弁の操作圧力を低減することができ、ひいては無負荷運転時の圧縮機本体の吐出側圧力を低減することができ、省エネ効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における空気圧縮機の構成を表す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態における空気圧縮機の動作を説明するための概略図であり、負荷運転の状態を示す。
【図3】本発明の一実施形態における空気圧縮機の動作を説明するための概略図であり、無負荷運転の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本実施形態における空気圧縮機の構成を表す概略図である。図2及び図3は、本実施形態における空気圧縮機の動作を説明するための概略図であり、図2は負荷運転の状態を示し、図3は無負荷運転の状態を示している。なお、図2及び図3中の点線は空気の流れが遮断されている部分を示す。
【0021】
これら図1〜図3において、給油式の空気圧縮機は、電動機1と、この電動機1によって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体2と、この圧縮機本体2の吸入側に設けられた吸込み絞り弁3と、この吸込み絞り弁の上流側に設けられた吸込みフィルタ(図示せず)と、圧縮機本体2の吐出側に設けられたオイルセパレータ4と、制御装置5とを備えている。
【0022】
オイルセパレータ4は、圧縮機本体2から吐出された圧縮空気中の油を分離する。そして、オイルセパレータ4で分離された油は、オイルセパレータ4の内部に貯留された後、油供給経路(図示せず)を介して圧縮機本体2の作動室等へ供給されるようになっている。一方、オイルセパレータ4で分離された圧縮空気は、圧縮空気供給経路6を介して圧縮空気の使用先に供給されるようになっている。なお、圧縮空気供給路6には、調圧弁(逆止弁)7が設けられており、その下流側には、図示しない冷却器や除湿器などが設けられている。また、調圧弁7の下流側には圧力センサ8が設けられており、この圧力センサ8で検出された圧力(すなわち、調圧弁7の下流側の圧力であって、圧縮空気の使用量によって変動する圧力)が制御装置5に出力されるようになっている。
【0023】
吸込み絞り弁3は、弁座9と、この弁座9を開閉する弁体10と、弁座9の上流側である一次室11と、弁座9の下流側である二次室12と、シリンダ13内に摺動可能に設けられたピストン14と、このピストン14に接続されて、先端側の小径部に弁体10がスライド可能に挿通された軸15とを有している。シリンダ13内はピストン14で区画されて、シリンダ13内のピストン14の摺動方向一方側(図中左側)にバネ室16が形成され、シリンダ13内のピストン14の摺動方向他方側(図中右側)に操作室(加圧室)17が形成されている。バネ室16内にはバネ18が収納されており、このバネ18の力が弁体10の開き方向(図中右側)の付勢力としてピストン14に作用している。また、操作室17内の圧力が弁体10の閉じ方向(図中左側)の付勢力としてピストン14に作用している。
【0024】
オイルセパレータ4と吸込み絞り弁3の操作室17との間には放気経路19Aが接続されており、この放気経路19Aには放気弁(電磁弁)20が設けられている。また、放気経路19Aにおける放気弁20の下流側から放気経路19Bが分岐接続され、この放気経路19Bが吸込み絞り弁3の一次室10(若しくは、ほぼ大気圧下の領域として、例えば吸込み絞り弁3の一次室10の上流側で吸込みフィルタの下流側としてもよい。)に接続されている。
【0025】
また、本実施形態の大きな特徴として、吸込み絞り弁3の一次室11に連通する制御経路21Aと、吸込み絞り弁3の二次室12に連通する制御経路21Bと、吸込み絞り弁3のバネ室16に連通する制御経路21Cと、制御経路21A及び21Bのうちのいずれか一方を選択して制御経路21Cと連通する三方弁(電磁弁)22とが設けられている。また、制御経路21Bには、二次室12からバネ室16への逆流を防止するための逆止弁23が設けられている。これにより、圧縮機本体1の停止時に圧縮空気が吸込み絞り弁の二次室12に逆流した場合に、油を含む圧縮空気が制御経路21B、三方弁22、及び制御経路21Cを介してバネ室16に流入するのを防止するようになっている。
【0026】
制御装置5は、図示しない操作スイッチからの運転信号又は停止信号に基づき、電動機1を介して圧縮機本体2を運転又は停止させるようになっている。また、制御装置5は、予め設定された圧力上限値及び圧力下限値を内部メモリ等に記憶しており、これら圧力上限値及び圧力下限値と圧力センサ8で検出された圧力とを比較し、その判定結果に基づいて負荷運転又は無負荷運転に切替えるようになっている。すなわち、例えば負荷運転時に圧力センサ8で検出された圧力が圧力上限値まで上昇したら、負荷運転から無負荷運転に切替える。また、例えば無負荷運転時に圧力センサ8で検出された圧力が圧力下限値まで下降したら、無負荷運転から負荷運転に切替えるようになっている。
【0027】
そして、負荷運転を行う場合(図2参照)、制御装置5は、放気弁20を閉じ状態に制御する。これにより、オイルセパレータ4内の圧縮空気が吸込み絞り弁3の操作室17及び一次室11に導出されず、また操作室17と一次室11とが連通しているので、操作室17内の圧力が一次室11の圧力(ほぼ大気圧)と同じになる。また、制御装置5は、三方弁22を制御して制御経路21Aと制御経路21Cとを連通させる。これにより、吸込み絞り弁3のバネ室16と一次室11とが連通して、バネ室16内の圧力が一次室11の圧力と同じになる。これにより、バネ18の力による弁体10の開き方向の付勢力が操作室17内の圧力(詳細には、操作室17とバネ室16との圧力差)による弁体10の閉じ方向の付勢力よりも勝り、ピストン14が弁体10の開き方向に摺動し、さらに一次室11と二次室12との圧力差によって弁体10が開き方向にスライドし、弁座9が開き状態となる。その結果、圧縮機本体2は、吸込みフィルタ及び吸込み絞り弁3を介し空気を吸込み、圧縮するようになっている。
【0028】
一方、負荷運転から無負荷運転に切替える場合(図3参照)、制御装置5は、放気弁20を開き状態に制御する。これにより、オイルセパレータ4内の圧縮空気が吸込み絞り弁3の操作室17及び一次室11に導出されて、オイルセパレータ4内の圧力(言い換えれば、圧縮機本体2の吐出側圧力)が低減するとともに、吸込み絞り弁3の操作室17内の圧力が高まる。また、制御装置5は、三方弁22を制御して制御経路21Bと制御経路21Cとを連通させる。これにより、吸込み絞り弁3のバネ室16と二次室12とが連通して、バネ室16内の圧力が一次室12の圧力(例えば−100kPa程度のほぼ真空圧)と同じになる。これにより、操作室17内の圧力(詳細には、操作室17とバネ室16との圧力差)による弁体10の閉じ方向の付勢力がバネ18の力による弁体10の開き方向の付勢力よりも勝り、ピストン14とともに弁体10が閉じ方向に動作し、弁座9が閉じ状態となる。その結果、圧縮機本体2の吸入側が遮断され、かつ圧縮機本体2の吐出側圧力が低減した状態で、圧縮機本体2が運転される。
【0029】
以上のように本実施形態においては、無負荷運転時に吸込み絞り弁3のバネ室16内の圧力がほぼ真空圧となるように制御する。このバネ室16内の負圧は、操作室17内の圧力(正圧)による弁体10の閉じ方向の付勢力を補助するように働く。これにより、例えばピストン14の断面積を大きくしなくとも、無負荷運転時の吸込み絞り弁3の操作圧力を低減することができる。したがって、吸込み絞り弁3の大型化を抑制しつつ、無負荷運転時の吸込み絞り弁3の操作圧力を低減することができ、ひいては無負荷運転時の圧縮機本体2の吐出側圧力を低減することができる。その結果、無負荷運転時の圧縮機本体2の動力を低減することができ、省エネ効果を高めることができる。具体的に説明すると、例えば無負荷運転時の圧縮機本体2の吐出側圧力を0.2MPaから0.1MPaまで低減することができ、この場合には動力を約40%低減することができ、省エネ効果を高めることができる。
【0030】
また、別の観点として、無負荷運転時の圧縮機本体2の吐出側圧力を同じとするならば、吸込み絞り弁3のピストン14の断面積を小さくすることができ、吸込み絞り弁3の小型化を図ることができる。その結果、材料費等の低減を図ることができる。
【0031】
なお、以上においては、本発明の適用対象として、圧縮機本体2の作動室に油を供給する給油式の空気圧縮機を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、圧縮機本体2の作動室に油を供給しない無給油式の空気圧縮機や、圧縮機本体2の作動室に水を供給する給水式の空気圧縮機などに適用してもよい。また、本発明の適用対象として、電動機1の回転数を固定して運転する空気圧縮機を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば電動機1の回転数をインバータによって可変制御して運転する空気圧縮機に適用してもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
2 圧縮機本体
3 吸込み絞り弁、
5 制御装置(バネ室圧力制御手段)
9 弁座
10 弁体
11 一次室
12 二次室
13 シリンダ
14 ピストン
16 バネ室
17 操作室
18 バネ
19A 放気経路
19B 放気経路
20 放気弁
21A 制御経路(バネ室圧力制御手段)
21B 制御経路(バネ室圧力制御手段)
21C 制御経路(バネ室圧力制御手段)
22 三方弁(バネ室圧力制御手段)
23 逆止弁(バネ室圧力制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体の吸入側に設けられた吸込み絞り弁とを備え、
前記吸込み絞り弁は、弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記弁座の上流側の一次室と、前記弁座の下流側の二次室と、シリンダ内に摺動可能に設けられて前記弁体に接続されたピストンと、前記シリンダ内に前記ピストンで区画形成されて前記ピストンの摺動方向一方側に位置するバネ室と、前記バネ室に収納され、前記弁体の開き方向の付勢力を前記ピストンに作用させるバネと、前記シリンダ内に前記ピストンで区画形成されて前記ピストンの摺動方向他方側に位置し、内部圧力が前記弁体の閉じ方向の付勢力として前記ピストンに作用する操作室とを有し、
負荷運転を行う場合は、前記圧縮機本体の吐出側の圧縮空気を前記操作室に導出しないで前記操作室内の圧力を低くし、これによって前記ピストンとともに前記弁体を開き方向に動作させて前記弁座を開き、負荷運転から無負荷運転に切替える場合は、前記圧縮機本体の吐出側の圧縮空気を前記操作室に導出して前記操作室内の圧力を高め、これによって前記ピストンとともに前記弁体を閉じ方向に動作させて前記弁座を閉じる空気圧縮機において、
負荷運転を行う場合に前記バネ室を前記一次室又はほぼ大気圧下の領域と連通し、負荷運転から無負荷運転に切替える場合に前記バネ室を前記二次室と連通して、前記バネ室内の圧力を制御するバネ室圧力制御手段を備えたことを特徴とする空気圧縮機。
【請求項2】
請求項1記載の空気圧縮機において、前記バネ室圧力制御手段は、負荷運転を行う場合は、前記バネ室を前記一次室又はほぼ大気圧下の領域と連通して、前記バネ室内の圧力がほぼ大気圧となるように制御し、負荷運転から無負荷運転に切替える場合は、前記バネ室を前記二次室と連通して、前記バネ室内の圧力がほぼ真空圧となるように制御することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の空気圧縮機において、前記バネ室圧力制御手段は、前記一次室又はほぼ大気圧下の領域に連通する第1の制御経路と、前記二次室に連通する第2の制御経路と、前記バネ室に連通する第3の制御経路と、前記第1の制御経路及び前記第2の制御経路のうちのいずれか一方を選択して前記第3の制御経路と連通する三方弁と、負荷運転を行う場合に前記第1の制御経路と前記第3の制御経路とを連通させるように前記三方弁を制御し、負荷運転から無負荷運転に切替える場合に前記第2の制御経路と前記第3の制御経路とを連通させるように前記三方弁を制御する制御装置とを有することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項4】
請求項3記載の空気圧縮機において、前記バネ室圧力制御手段は、前記第2の制御経路に設けられ、前記二次室から前記バネ室への逆流を防止する逆止弁を有することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の空気圧縮機において、前記圧縮機本体の吐出経路に分岐接続されて、前記圧縮機本体の吐出側の圧縮空気を前記操作室に導出するとともに前記一次室又はほぼ大気圧下の領域に導出して放気するための放気経路と、前記放気経路に設けられ、負荷運転を行う場合に閉じ状態、無負荷運転を行う場合に開き状態に切替えられる放気弁とを備えたことを特徴とする空気圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−99348(P2011−99348A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253240(P2009−253240)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】