説明

立体プリント配線板とその製造方法

【課題】モバイル機器の小型、薄型、軽量、高精細、多機能化等を実現するために必要な薄型実装基板や、半導体の高機能・多ピン化に対応した小型、低背、三次元実装化を容易に実現するパッケージ基板を提供することを目的とする。
【解決手段】額縁状の枠形状をした上側基板1と、平面状の下側基板2と、これらの基板の間を接続する接続層3とから構成された立体プリント配線板15であって、前記下側基板2の厚さが前記上側基板1と前記接続層3の厚さの総和よりも薄く構成されたことを特徴とする立体プリント配線板15である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン、移動体通信用電話機、ビデオカメラ等の各種電子機器に広く用いられる立体プリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、更なる電子機器の小型化、軽量化に対応するために、薄型プリント配線基板に電子部品を実装することが多く、基板自体の強度が低く、反りやねじれが発生しやすくなるため、自動化が困難になっている。特に厚みが500μm以下になると、反りやねじれのために、電子部品の表面実装工程であるクリームはんだ印刷や電子部品自動搭載機での作業やリフロー工程での生産性を低下させている。
【0003】
そこで、上述の課題を解決するために、先行技術として、特許文献1に示すような薄型プリント配線板への表面実装工程における生産性を向上させることができる搬送用キャリアを用いた薄型プリント配線板の実装方法が提案されている。
【0004】
この搬送用キャリア21は、図11に示す通り、板体よりなるベース基材23の表面に、薄型プリント配線板25を剥離可能に貼着するための弱粘着性接着剤層22を形成してあり、搬送用キャリア21の表面に弱粘着性接着剤層22を介して薄型プリント配線板25を貼着すると、搬送用キャリア21が薄型プリント配線板25を補強し、弱粘着性接着剤層22が薄型プリント配線板25の反りやねじれを規制し、位置を固定する。
【0005】
この搬送用キャリアを用いた薄型プリント配線板の実装方法は、図12に示す通り、(a)弱粘着性接着剤層22を形成して成る搬送用キャリア21の表面に、弱粘着性接着剤層22を介して薄型プリント配線板25を貼着し、(b)必要個所に孔が穿設されたメタルマスク31を薄型プリント配線板25の表面に位置合わせして重合した後、クリームはんだ32をメタルマスク31の孔へ充填し、(c)次に、メタルマスクを除去してから、薄型プリント配線板25上に残ったクリームはんだ32の上に半導体チップ26等の電子部品を搭載して、リフロー炉等を用いて加熱し、(d)その後、搬送用キャリアを除去する。
【0006】
なお、弱粘着性接着剤層は、耐熱性に富み、常温やリフロー時にも樹脂の転写が起こらないか、若しくは転写量が極少の弱粘着性樹脂を素材としている。
【特許文献1】特開2001−144430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に総厚が薄いプリント配線板は剛性が不足しているために、リフロー工程等の高温中や半導体チップのような大型部品を実装する場合、上記の搬送用キャリアを使用しないと工程を通すことができなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みて成されたものであり、リフロー工程等の高温中や半導体チップのような大型部品を実装した後でも反りが小さく、搬送用キャリアが不要で薄型の実装体を構成することが可能な立体プリント配線板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は額縁状の枠形状をした上側基板と、平面状の下側基板と、これらの基板の間を接続する接続層とから構成された立体プリント配線板であって、前記下側基板の厚さが前記上側基板と前記接続層の厚さの総和よりも薄く構成されたことを特徴とする立体プリント配線板であり、このような構成にすることにより、上側基板が額縁状の枠形状をしているので、形成される凹部に部品実装が可能で、かつプリント配線板としての厚さを増すこともできるため、基板の剛性を確保することができ、リフロー工程等の高温中や半導体チップのような大型部品を実装した後でも反りが小さく、搬送用キャリアが不要で薄型の実装体を構成することが可能となり、薄型の立体プリント配線板を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、リフロー工程等の高温中や半導体チップのような大型部品を実装した後でも反りが小さく、かつ基板内での配線密度も高めることが可能となるため、モバイル機器の小型、薄型、軽量、高精細、多機能化等を実現するために必要な、半導体の高機能・多ピン化に対応した小型、低背、三次元実装化を容易に実現する実装形態を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態における立体プリント配線板の斜視図および断面図である。本実施の形態の立体プリント配線板は、額縁状の枠形状をした上側基板1と、少なくとも表面に配線が形成された平面状の下側基板2と、これらの基板の間を接続する接続層3で構成され、上側基板1と下側基板2とが異なる形状を有しているために、図1(A)に示すようにキャビティとなる凹部4が形成されることになる。本発明において、下側基板2の厚さは、上側基板1と接続層3の厚さの総和よりも薄く構成されている。
【0013】
接続層3は、厚みが30〜300μm、さらに好ましくは30〜250μmであることが望ましい。30μm未満ならば、配線の埋め込み性が悪くなり、300μmを超えるとビアのアスペクト比を維持するためビアの小径化が困難になったり接続信頼性が損なわれることがある。
【0014】
図1(B)に示すように、この凹部4に実装部品5を実装することによって、実装体としての総厚を薄くすることが可能となり、本発明においては下側基板2が400μm以下の極薄基板であっても剛性を確保することができる。また、本発明は、基板本体の剛性を持たせるため、上側基板1が額縁状の枠形状として設けられている。なお、本発明において、上側基板1は配線を有していても有していなくてもよく、また、ビアを有していても有していなくても枠として利用が可能となる。また、立体プリント配線板としての剛性を有する構成であれば、額縁状の枠形状をした上側基板1と接続層3の厚さの総和が、凹部4内に実装される実装部品5のうち最も高い部品の高さ以下の厚さで形成してもよい。
【0015】
本実施の形態における接続層3の拡大断面図を図1(C)に示す。接続層3は、無機フィラーが熱硬化性樹脂に分散されてなる絶縁性材料で構成されている。本発明において、図1(C)のようにこの接続層3の所定の位置に貫通孔を有し、この貫通孔に導電性ペースト6を充填してビア7を形成していてもよく、ビア7を有していなくてもよい。
【0016】
本発明において、接続層3における無機フィラーは、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウムの内少なくとも一種以上のもので構成されていることが好ましい。また、接続層3における無機フィラーの粒径は1〜15μm、無機フィラーの含有率は70〜90重量%であることが好ましい。無機フィラーの含有率が70%未満ならば、接続層3を形成する無機フィラー量が熱硬化性樹脂の量に対して少なく粗な状態となり、熱硬化性樹脂がプレス中に流動する際に、同時に無機フィラーも流動してしまい、90%を超えると、接続層3の樹脂量が少なくなり過ぎ、配線の埋込性や密着性が損なわれることがある。
【0017】
本発明の立体プリント配線板に使用される導電性ペースト6は、銅、銀、金、パラジウム、ビスマス、錫およびこれらの合金の内から構成され、粒径は1〜20μmであることが好ましい。
【0018】
次に、本実施の形態の立体プリント配線板の製造プロセスについて、図2〜5を用いて詳細に説明する。
【0019】
まず、図2(A)に示すように、接続層3の両面にPETフィルム8を貼り付ける。次に図2(B)に示すように、接続層3を上側基板1とほぼ同形状に切断し、上側基板1と下側基板2の配線とを接続させる位置に貫通孔9を形成する。その後図2(C)に示すように、貫通孔9内に銅または銅合金からなる導電性ペースト6を充填し、ビア7を形成する。次に図2(D)に示すように、接続層3を上側基板1または下側基板2のいずれか一方と接着させるために、一方の面のPETフィルム8を剥離する。ここでは、下側基板2と先に接着させるために下面のPETフィルムを剥離しているが、先に上側のPETフィルムを剥離してもよい。
【0020】
次に、図3(A)に示すように、接続層3を平面状の下側基板2の所望の位置に位置合わせしながら重ね合わせて配置し、図3(B)に示すように、接続層3を下側基板2に形成された配線10上に仮止めする。この積層時に配線10は接続層3に埋め込まれる。こうすることにより導電性ペースト6が圧縮されるので、配線10との接続性が向上する。その後、図3(C)に示すように、先に剥離しなかった面のPETフィルム8を剥離する。ここでは、接続層3がビア7を有する構成について説明したが、上述のように、接続層3はビア7を有していてもいなくても良い。
【0021】
次に図4(A)に示すように、額縁状の枠形状をした上側基板1を接続層3上に配置し、その後図4(B)に示すように、加熱加圧させながら積層させ、立体プリント配線板15を完成させる。この積層時に配線10は接続層3に埋め込まれる。こうすることにより導電性ペースト6がさらに圧縮されるので、配線10との接続性が大幅に向上する。
【0022】
本発明の立体プリント配線板は、上側基板1が額縁状の枠形状として設けられているので、下側基板2が400μm以下のような薄いプリント配線板であっても基板の剛性を確保することが可能となる。
【0023】
なお、本発明において、接続層3を配置する前に下側基板2とともに上側基板1の表面に予めソルダレジストを形成することが好ましく、さらにソルダレジスト形成後に上側基板1に形成された表層の配線において少なくとも接続層と接触する領域を粗化するとより好ましい。
【0024】
また本実施の形態においては、下側基板2と接続層3を重ね合わせた後上側基板1を重ね合わせたが、上側基板1と接続層3を先に重ね合わせ、その後下側基板2を重ね合わせて積層してもかまわない。
【0025】
なお、一般に、窪みすなわち凹部を有する構造の場合、凹部の隅部分にゴミや基材の粉末等がたまりやすくなる。凹部を有さない平滑なプリント配線板であれば、ゴミ取り用粘着ロールでゴミや粉末等を容易に除去していたが、凹部の隅部分は粘着ロールでの除去が困難であった。
【0026】
そこで、凹部4内へのゴミや粉末が入るのを防止するために、上側基板1、下側基板2、接続層3の凹部4への粉末の飛散、凹部4へのゴミ等の付着およびそれによる実装の不具合を防止するために、図5に示すように、5〜30μmの厚みのドライフィルム状の永久レジスト11を貼り付け、上側基板1、下側基板2、接続層3の壁面を被覆することが、本発明の立体プリント配線板としてより好ましい。これにより凹部4内の特に隅の部分への粉末やゴミの付着の防止をはかることができる。永久レジスト11の厚みが5μm未満の場合ピンホールが発生しやすくなるのでコーティングが不十分となり、30μmを超えると基板への追従性が悪くなることがある。
【0027】
本発明の接続層3の熱膨張係数は、上側基板1および下側基板2の熱膨張係数以下、すなわち65ppm/℃以下もしくはプリント配線板の熱膨張係数よりも低いということが望ましい。
【0028】
65ppm/℃を超える場合、または上側基板1および下側基板2の熱膨張係数よりも高い場合、接続層3の変形により立体プリント配線板の反りや変形が発生しやすくなることがある。
【0029】
また、接続層3のガラス転移点(DMA法Dynamic Mechanical Analysis 動的粘弾性測定法)は、185℃以上もしくは上側基板1および下側基板2と比較して10℃以上高いことが望ましい。185℃未満または差が10℃未満ならば、例えばリフローのような高温を要するような工程で基板の反りやうねりが複雑な形状になったり不可逆になることがある。
【0030】
また、接続層3は、織布、不織布、フィルムなどの芯材を含まない構成のものを用いる。芯材を含む場合、上述の通り上側および下側のプリント配線板表面に形成された配線パターンの埋め込みが困難となる。
【0031】
接続層3の最低溶融粘度は、図6の溶融粘度曲線に示すように、1000〜100000Pa・sが適切である。1000Pa・s未満の場合、樹脂流れが大きくなり、凹部4内への流れ込みが発生するおそれがあり、100000Pa・sを超える場合、プリント配線板との接着不良や配線10への埋め込み不良が発生するおそれがある。
【0032】
また、接続層3は、着色剤を含有していてもよい。この場合、実装性、光反射性が向上する。
【0033】
また、接続層3の樹脂フローを抑制するためすなわち凹部4内に樹脂が流れるのを防止する必要があるため、樹脂フローを抑制するためのエラストマーを含有している。
【0034】
なお、本実施の形態において、凹部4を覆うようにシールド層を設けてもよく、こうすることで立体プリント配線板15の強度をさらに向上させるとともに、シールド効果を向上させることもできる。
【0035】
なお、上側基板1および下側基板2は、スルーホール配線板や全層IVH構造のALIVH配線板など、樹脂基板であれば特に限定されるものではなく、両面基板であっても多層基板であってもよい。また、プリント配線板と接続層を交互に複数層積層してもよい。
【0036】
また、上側基板1および下側基板2に用いる絶縁材料は、ガラス織布とエポキシ系樹脂の複合材としたが、アラミド、全芳香族ポリエステルから選ばれる有機質繊維およびガラス繊維、アルミナ繊維より選ばれる無機質繊維のいずれかで構成される織布と熱硬化性樹脂の複合材からなる場合、p−アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾ−ル、全芳香族ポリエステル、PTFE、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミドから選ばれる有機質繊維およびガラス繊維、アルミナ繊維より選ばれる無機質繊維のいずれかで構成される不織布と熱硬化性樹脂の複合材からなる場合および、p−アラミド、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステルテレフタレート、ポリイミドおよびポリフェニレンサルファイドの少なくともいずれかの合成樹脂フィルムの両面に熱硬化性樹脂層を形成した複合材を用いて絶縁材料を形成してもよい。
【0037】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも一つの熱硬化性樹脂を利用することができる。
【0038】
(実施の形態2)
以下本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図7は本発明の実施の形態における立体プリント配線板の斜視図および断面図である。本実施の形態の立体プリント配線板は、実施の形態1の立体プリント配線板と同一の構成である。実施の形態2の特徴は、接続層3が、熱可塑性樹脂を含む絶縁性材料で構成されている。
【0040】
接続層3がペーストビアを有する場合、本発明の立体プリント配線板に使用される導電性ペースト6は、実施の形態1と同様、銅、銀、金、パラジウム、ビスマス、錫およびこれらの合金の内から構成され、粒径は1〜20μmであることが好ましい。接続層3はビアを有していても有していなくてもよい。
【0041】
図7(B)に示すように、この凹部4に実装部品5を実装することによって、実装体としての総厚を薄くすることが可能となり、本発明においては下側基板2が400μm以下の極薄基板であっても剛性を確保することができる。すなわち本発明は、基板本体の剛性を持たせるため、上側基板1が、額縁状の枠形状にて設けられている。なお、本発明において、上側基板1は配線を有していても有していなくてもよく、また、ビアを有していても有していなくても枠として利用が可能となる。また、立体プリント配線板としての剛性を有する構成であれば、額縁状の枠形状をした上側基板1と接続層3の厚さの総和が、凹部4内に実装される実装部品5のうち最も高い部品の高さ以下の厚さで形成してもよい。
【0042】
次に、本実施の形態の立体プリント配線板の製造プロセスについて、図8,9を用いて詳細に説明する。
【0043】
まず、本実施の形態における接続層3は、接着性を有しないため、カバーフィルム13を貼り付けるための仮止め手段として、厚み1〜10μmの熱硬化性樹脂からなる糊層12を形成する。なお、厚みが1μm未満の場合、ピンホールが発生するため、また、10μmの場合、後工程でカバーフィルム13が剥離されなくなるおそれがあるため不適切である。糊層12を形成後、接続層3の両面にカバーフィルム13を貼り付ける。この状態を図8(A)に示す。なお、糊層12は、実施の形態1に記載の接続層すなわち無機フィラーが熱硬化性樹脂に分散されてなる絶縁性材料に貼り付けてもよい。
【0044】
また、糊層12は、ラミネート性を向上させるために常温時にタック性のないものが好ましい。次に図8(B)に示すように、接続層3を上側基板1の形状に切断し、上側基板1と下側基板2の配線とを接続させる位置に貫通孔9を形成する。次に図8(C)に示すように、貫通孔9内に銅または銅合金からなる導電性ペースト6を充填し、ビア7を形成する。次に図8(D)に示すように、接続層3を上側基板1および下側基板2と接着させるために、両面のカバーフィルム13を剥離する。
【0045】
次に、図9(A)に示すように、接続層3を額縁状の枠である上側基板1および下側基板2の所望の位置に位置合わせしながら重ね合わせて配置し、図9(B)に示すように、接続層3を上側基板1および下側基板2で挟み込むように重ね合わせ、加熱加圧させながら積層させ、立体プリント配線板15を完成させる。この積層時に配線10は接続層3に埋め込まれる。こうすることにより導電性ペースト6はさらに圧縮されるので、配線10との接続性が大幅に向上する。なお、本実施の形態において、実施の形態1の図3〜4の積層方法を用いてもよい。
【0046】
さらに、実施の形態1と同様、上側基板1が額縁状の枠形状として設けられているので、下側基板2が400μm以下のような薄いプリント配線板であっても基板の剛性を確保することが可能となる。
【0047】
また、実施の形態1においても、接続層3にPETフィルム8を形成する前に糊層12を形成してもよく、この場合接続層3の材料破砕を防止する効果を得ることができる。
【0048】
なお、実施の形態1と同様に、上側基板1、下側基板2、凹部4へのゴミ等の付着およびそれによる実装の不具合を防止するために、図10に示すように、5〜30μmの厚みのドライフィルム状の永久レジスト11を貼り付け、上側基板1、下側基板2、接続層3の壁面を被覆することが、本発明の立体プリント配線板としてより好ましい。これにより凹部4内の特に隅の部分へのゴミ等の付着の防止をはかることができる。永久レジスト11の厚みが5μm未満の場合ピンホールが発生しやすくなるのでコーティングが不十分となり、30μmを超えると基板への追従性が悪くなることがある。
【0049】
本実施の形態における接続層3の熱可塑性樹脂は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、熱可塑性ポリイミド等が用いられる。
【0050】
本発明の接続層3の熱膨張係数は、上側基板1および下側基板2の熱膨張係数以下、すなわち65ppm/℃以下もしくはプリント配線板の熱膨張係数よりも低いということが望ましい。
【0051】
また、接続層3のガラス転移点(DMA法)は、185℃以上もしくは上側基板1および下側基板2と比較して10℃以上高いことが望ましい。
【0052】
また、接続層3は、織布、不織布、フィルムなどの芯材を含まない構成のものを用いる。芯材を含む場合、上述の通り上側および下側のプリント配線板表面に形成された配線パターンの埋め込みが困難となる。
【0053】
また、接続層3の最低溶融粘度は、実施の形態1と同様、図6の溶融粘度曲線に示すように、1000〜100000Pa・sが適切である。
【0054】
なお、本実施の形態において、凹部4を覆うようにシールド層を設けてもよく、こうすることで立体プリント配線板15の強度をさらに向上させるとともに、シールド効果を向上させることもできる。
【0055】
なお、上側基板1および下側基板2は、スルーホール配線板や全層IVH構造のALIVH配線板など、樹脂基板であれば特に限定されるものではなく、両面基板であっても多層基板であってもよい。また、プリント配線板と接続層を交互に複数層積層してもよい。
【0056】
また、上側基板1および下側基板2に用いる絶縁材料は、ガラス織布とエポキシ系樹脂の複合材としたが、アラミド、全芳香族ポリエステルから選ばれる有機質繊維およびガラス繊維、アルミナ繊維より選ばれる無機質繊維のいずれかで構成される織布と熱硬化性樹脂の複合材からなる場合、p−アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾ−ル、全芳香族ポリエステル、PTFE、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミドから選ばれる有機質繊維およびガラス繊維、アルミナ繊維より選ばれる無機質繊維のいずれかで構成される不織布と熱硬化性樹脂の複合材からなる場合および、p−アラミド、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステルテレフタレート、ポリイミドおよびポリフェニレンサルファイドの少なくともいずれかの合成樹脂フィルムの両面に熱硬化性樹脂層を形成した複合材を用いて絶縁材料を形成してもよい。
【0057】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも一つの熱硬化性樹脂を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる立体プリント配線板は、部品実装後の実装体としての基板総厚を薄く形成することができるため、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話など小型、薄型、軽量、高精細、多機能化等に対応するための基板として用いることができ、半導体パッケージの低背化、三次元実装化を容易に実現する方法の一つとして利用可能であり、これらの実装基板に関する用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1における立体プリント配線板の一例を示す斜視図および断面図
【図2】本発明の実施の形態1における立体プリント配線板の製造工程を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態1における立体プリント配線板の製造工程を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における立体プリント配線板の製造工程を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態1における立体プリント配線板の一例を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態1,2における立体プリント配線板の接続層の溶融粘度を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における立体プリント配線板の一例を示す斜視図および断面図
【図8】本発明の実施の形態2における立体プリント配線板の製造工程を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態2における立体プリント配線板の製造工程を示す断面図
【図10】本発明の実施の形態2における立体プリント配線板の一例を示す断面図
【図11】従来のプリント配線板の断面図
【図12】従来のプリント配線板の断面図
【符号の説明】
【0060】
1 上側基板
2 下側基板
3 接続層
4 凹部
5 実装部品
6 導電性ペースト
7 ビア
8 PETフィルム
9 貫通孔
10 配線
11 永久レジスト
12 糊層
13 カバーフィルム
15 立体プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
額縁状の枠形状をした上側基板と、平面状の下側基板と、これらの基板の間を接続する接続層とから構成された立体プリント配線板であって、前記下側基板の厚さが前記上側基板と前記接続層の厚さの総和よりも薄く構成されたことを特徴とする立体プリント配線板。
【請求項2】
額縁状の枠形状をした上側基板と接続層の厚さの総和が実装される部品のうち最も高い部品の高さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項3】
額縁状の枠形状をした上側基板と、平面状の下側基板と、これらの基板の間を接続する接続層とから構成された立体プリント配線板であって、前記接続層は樹脂を含む絶縁性材料であり、この絶縁層の所定の位置に貫通孔が形成され、この貫通孔に導電性ペーストが充填されたビアを有することを特徴とする請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項4】
接続層は無機フィラーが熱硬化性樹脂に分散されてなる請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項5】
接続層は熱可塑性樹脂からなる請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項6】
接続層は、芯材を含まない請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項7】
前記接続層および前記上側基板および下側基板の壁面は、絶縁性被膜で被覆されている請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項8】
絶縁性被膜は耐電防止剤が含有されている請求項7に記載の立体プリント配線板。
【請求項9】
前記接続層は、着色剤が含有されている請求項1に記載の立体プリント配線板。
【請求項10】
額縁状の枠形状をした上側基板と、少なくとも表面に配線が形成された下側基板と、これらの基板の間を接続するための樹脂を含む絶縁性材料を有する接続層とを準備し、立体形状を形成するために前記接続層を前記上側基板と概同形状に切断する工程と、前記下側基板あるいは前記上側基板上に前記接続層を位置合わせしながら重ね合わせる工程と、前記下側基板と前記接続層と前記上側基板とを加熱加圧しながら積層する工程とを少なくとも備えたことを特徴とする立体プリント配線板の製造方法。
【請求項11】
接続層の所定の位置に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程とを備えた請求項10に記載の立体プリント配線板の製造方法。
【請求項12】
額縁状の枠形状をした上側基板と、少なくとも表面に配線が形成された下側基板と、これらの基板の間を接続するための樹脂を含む絶縁性材料を有する接続層を準備する前に、前記下側基板の表面に予めソルダレジストを形成する工程とを備えた請求項10に記載の立体プリント配線板の製造方法。
【請求項13】
上側基板の表面に予めソルダレジストを形成する工程を備えた請求項12に記載の立体プリント配線板の製造方法。
【請求項14】
前記下側基板と前記接続層と前記上側基板とを積層する工程の前に、予め前記下側基板に形成された表層の配線において少なくとも前記接続層と接触する領域を粗化する工程を備えた請求項10に記載の立体プリント配線板の製造方法。
【請求項15】
前記下側基板と前記接続層と前記上側基板とを積層する工程の前に、予め前記上側基板に形成された表層の配線において少なくとも前記接続層と接触する領域を粗化する工程とを備えた請求項10に記載の立体プリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−38361(P2009−38361A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177731(P2008−177731)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】