説明

粉末状感光性組成物の製造方法、感光性組成物およびこの感光性組成物から形成された光記録媒体

【課題】各成分が均一に分散し品質バラツキがない感光性組成物および光記録媒体を提供する。
【解決手段】感光性組成物を形成する成分を第一の溶媒中に溶解させた溶液を凍結させて、得られた固形物を減圧雰囲気中で乾燥させることを特徴とする粉末状感光性組成物の製造方法、この感光性組成物、およびこの感光性組成物から形成された光記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状感光性組成物の製造方法、感光性組成物およびこの感光性組成物から形成された光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性組成物の一つの用途として、情報の高密度記録が可能なホログラフィックメモリーの記録媒体がある。情報をホログラムで記録する当システムでは、大容量の記録が可能であり、次世代の光記録方式として注目されている。ホログラム記録用の感光性組成物としてはデュポン社のオムニデックス(登録商標)に代表されるような重合性モノマー、熱可塑性バインダー樹脂、光重合開始剤、増感色素を主成分とする重合性のフォトポリマーが知られている。このフォトポリマーをフイルムにして、干渉縞を記録すると、光強度が高い明部では重合開始反応が起こる。それに伴って、光強度が低い暗部から明部へ重合性モノマーが拡散し、明部ではさらに重合が進んで高分子量のポリマーが生成する。すなわち干渉縞の明暗に応じて密度差が生じ、屈折率変調が起こる。
【0003】
上記のようなホログラム記録媒体の記録層の作製方法として、従来までは記録層に必要な成分を溶媒に溶解させ溶液とし、それをガラスなどの透明基板上にスピンコートやディップコートなどの手法によって塗布し作製していた(特許文献1)。しかしこの手法では、透明基板上に塗布された前記溶液から溶媒を完全に取り除くことは困難で、記録層中に必ず溶媒が残存してしまう問題があった。この残存溶媒中およびその周辺に記録層に必要な成分が偏在してしまい、媒体上の位置によって反応成分の濃度を均一にすることは困難であった。その結果、媒体上の位置によって性能にばらつきを生じていた。
【0004】
また、残存溶媒による問題点を避けるため、製造課程において溶媒を使用しない方法として、乾燥状態の各成分を粉砕し混合した後、これをプレス加工する手法も考えらる。しかしながら、この手法では、粉砕処理後における各成分のグレインサイズが異なることから、プレス機の金型に投入したときに、比較的粒径が小さくなる成分が下層部分に、そして比較的粒径が大きくなる成分が上層部分に、偏在化することがある。よって、この手法によっても、各成分が均一に分散した記録媒体を作製することは容易ではない。
【特許文献1】特開2006−3388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来方法では、感光性組成物を形成する各成分が均一に分散した記録媒体を作製することは困難であった。
【0006】
本発明者らは、当課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0007】
本発明の目的は、各成分が均一に分散した感光性組成物および光記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、感光性組成物を形成する成分を第一の溶媒中に溶解させた溶液を凍結させて、得られた固形物を減圧雰囲気中で乾燥させることを特徴とするもの、である。
【0009】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記溶液の凍結を、この溶液の凝固点以下に冷却したチャンバー内に前記溶液を噴霧することによって行うもの、を包含する。
【0010】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記第一の溶媒が、凝固点が−100℃〜+100℃の範囲内にあるもの、を包含する。
【0011】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記第一の溶媒が、水、アセトアミド、トリオキサン、酢酸、p−キシレン、1,4−ジオキサン、2−アミノエタノール、蟻酸、シクロヘキサン、ベンゼン、モルホリン、アニリン、ニトロメタン、ピペリジン、ニトロメタン、アニソール、ピリジンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれたもの、を包含する。
【0012】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記感光性組成物を形成する成分が、ポリマー、重合開始剤およびモノマーであるもの、を包含する。
【0013】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記溶液の凍結を、この凍結前に前記溶液に混合させた第二の溶媒の共存下で行うもの、を包含する。
【0014】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記溶液の凍結を、前記第二の溶媒の気化熱を利用して行うもの、を包含する。
【0015】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記第二の溶媒が、前記第一の溶媒よりも前記感光性組成物を形成する成分の溶解性が低いもの、を包含する。
【0016】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記第二の溶媒が、前記第一の溶媒よりも凝固点が低いもの、を包含する。
【0017】
このような本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、好ましい態様として、前記第二の溶媒が、前記第一の溶媒よりも蒸気圧が高いもの、を包含する。
【0018】
また、本発明による粉末状感光性組成物は、前記の感光性組成物の製造方法によって得られた感光性組成物であって、残存溶媒量が10ppm以下のものであることを特徴とするもの、である。
【0019】
そして、本発明による光記録媒体は、前記の粉末状感光性組成物から形成されたことを特徴するもの、である。
【0020】
このような本発明による光記録媒体は、好ましい態様として、前記の粉末状感光性組成物を加圧成型することによって形成されたもの、を包含する。
【0021】
このような本発明による光記録媒体は、好ましい態様として、前記の粉末状感光性組成物を該感光性組成物のガラス転移温度以上で加圧することによって形成されたもの、を包含する。
【発明の効果】
【0022】
本発明による粉末状感光性組成物は、感光性組成物を形成する各成分が偏在化することとなく均一に、緊密かつ微細に分散されたものである。
【0023】
このことから、本発明の粉末状感光性組成物から得られた感光性材料からなる感光層は、その面積や厚さが大きい場合であっても、性能のバラツキが少なく安定かつ確実に感光するものである。よって、例えば光記録媒体の記録層用の感光性材料として特に好適なものである。
【0024】
そして、本発明による粉末状感光性組成物から成型体を得る際も、加圧成型法などによって短時間かつ容易に成型体を作製することができるものである。
【0025】
特に、加圧成型に付す感光性組成物が粉末状であって溶媒残存量が極度に少ないものであることから、成型段階において溶媒の揮発等による体積減少が実質的に生じないので、所望の形態、厚さ、表面平坦性を有する成型体を極めて精密にかつ短時間で容易に得ることができる。また加圧成型する際、感光性組成物が融解する温度まで昇温させてもよく、この場合感光性組成物を形成する各成分が偏在化することなく均一、緊密かつ微細に分散されていることから、ポリマーの溶融およびマトリクス形成が迅速にムラ無く進行する。よって、部分的に過度の高温に曝されたり、長時間の溶融混練処理に付されることがないので、感光性材料として性能が良好に保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ここでは特にホログラム記録媒体に関して説明する。
【0027】
<粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)>
本発明による粉末状感光性組成物の製造方法は、感光性組成物を形成する成分を第一の溶媒中に溶解させた溶液を凍結させて、得られた固形物を減圧雰囲気中で乾燥させることを特徴とするもの、である。
【0028】
<<感光性組成物を形成する成分>>
本発明による感光性組成物を形成する成分としては、マトリクスポリマー、重合開始剤およびモノマー等を挙げることができる。
【0029】
そして、上述した各成分のほかに、必要に応じて配合される他の成分、例えば可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤等を挙げることができる。
【0030】
ポリマー成分
マトリクスポリマー成分は、本発明による粉末状感光性組成物から形成された感光性材料、例えば光記録媒体の記録層を構成する感光性材料、において、重合開始剤およびモノマーを分散させているマトリクス相を主として構成するものである。
【0031】
そのような本発明の組成物に使用するマトリクスポリマーとしては、ポリメタアクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル、またはその加水分解物、ポリビニルアルコール、またはその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ− N − ビニルカルバゾール、またはその誘導体、ポリ− N − ビニルピロリドン、またはその誘導体、ポリアリレート、スチレンと無水マレイン酸との共重合体、またはその半エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体等、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
本発明では、上記のマトリクスポリマーのうち、ガラス転移温度が室温以下であるものが好ましく、具体的には、例えばポリブチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリブタジエンなどが特に好ましい。
【0033】
モノマー成分
モノマーは、重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であり、たとえば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニル化合物などが挙げられる。具体的には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ビシクロペンテニルアクリレート、アクリル酸フェニル、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸アダマンチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、メタクリル酸アダマンチル、イソボルニルメタクリレート、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、トリブロモフェニルアクリレート、トリクロロフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、トリクロロフェニルメタクリレート、ビニルベンゾエート、3,5−ジクロロビニルベンゾエート、ビニルナフタレン、ビニルナフトエート、ナフチルメタクリレート、ナフチルアクリレート、N−フェニルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、ビシクロペンテニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールトリメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテートなどが挙げられる。
【0034】
重合可能なモノマーは室温で固体であることが好ましく、特に、本発明による粉末状感光性組成物ならびに光記録媒体を得る際の各製造段階において実質的に昇華性の無いものが好ましい。そのような好ましいモノマーの具体例としては、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレートやN−ビニルカルバゾールを挙げることができる。
【0035】
重合可能なモノマーの配合量は、記録媒体層を構成する感光性組成物の全量100重量%に対して、1重量%以上50重量%以下、特に 1重量%以上30重量%以下、が好ましい。モノマーが1重量%以上であれば、十分な屈折率変化が容易に得ることができる。また、モノマーが50重量%以下であれば、体積収縮が小さく良好な解像度が得ることができる。
【0036】
光重合開始剤成分
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤に大分することができる。本発明における光重合開始剤としては、室温で固体であることが好ましく、同時に本発明による粉末状感光性組成物ならびに光記録媒体を得る際の各製造段階において実質的に昇華性の無いものが好ましい。
【0037】
光ラジカル重合開始剤は、使用の用途、或いは前記モノマーの選択に応じて選択することが好ましい。本発明において好ましい光ラジカル重合開始剤としては、たとえば、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、ベンジル、アセトフェノン誘導体、アミノアセトフェノン類、ベンゾフェノン誘導体、アシルホスフィンオキサイド類、トリアジン類、イミダゾール誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、有機過酸化物、およびチオキサントン誘導体などが挙げられる。具体的には、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンジルメトキシエチルエーテル、2,2’−ジエチルアセトフェノン、2,2’−ジプロピルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、チオキサントン、1−クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[(p−メトキシフェニル)エチレン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア149、184、369、651、784、819、907、1700、1800、1850など各番号のもの、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、およびシクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。記録光が青色レーザー光である場合、光ラジカル重合開始剤はイルガキュア784(チバスペシャルティケミカルズ)のようなチタノセン化合物が好適である。
【0038】
光カチオン重合開始剤も使用の用途、或いは前記モノマーの選択に応じて選択することができる。本発明において好ましい光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ホスホニウム塩や混合配位金属塩などが挙げられる。
【0039】
光重合開始剤の配合量は、光記録媒体相を構成する感光性組成物の全量100重量%に対して、0.1重量%以上20重量%が好ましく、0.2重量%以上10重量%以下がより好ましい。光重合開始剤が0.1重量%以上であれば、十分な屈折率変化を容易に得られる。光重合開始剤が20重量%以下であれば、光吸収が小さく良好な感度および回折効率が得られる。
【0040】
他の成分
記録層には、上述した各成分のほかに、必要に応じて、可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤など加えることができる。好ましい可塑剤としては、例えばトリブチルホスフェイトやプロピオンアミド等を挙げることができ、好ましい増感色素としては、例えばシアニン、メロシアニン、キサンテン、クマリン、エオシン等を挙げることができる。
【0041】
<<粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)>>
本発明による粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)は、感光性組成物を形成する成分を第一の溶媒中に溶解させた溶液を凍結させて、得られた凝固物を減圧雰囲気中で乾燥させることを特徴とするものである。
【0042】
このような本発明においては、先ず、感光性組成物を形成する成分(即ち、上記のマトリクスポリマー成分、重合開始剤成分およびモノマー成分、並びに他の成分)を、第一の溶媒中溶解させ均一な溶液を作製する。ここで、上記各成分が溶解した溶液の濃度は、各成分の均一な分散状態を得るためには後述するように極力希薄であることが望ましいが、希薄すぎると溶媒量が多量になりすぎて溶媒コストが上昇するとともに、この溶媒の除去のために必要なエネルギーが増大する。よって、この溶液は、上記ポリマー成分(乾燥状態)が、好ましくは0.01重量%以上1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以上0.5重量%以下、溶解しているものが望ましい。
【0043】
本発明で用いられる第一の溶媒は、本発明による感光性組成物を形成する上記の各成分、即ち、ポリマー、重合開始剤およびモノマー、ならびに必要に応じて他の成分が用いられる場合にはその他の成分を溶解させることができるものである。
【0044】
このような第一の溶媒は、融点が−100〜100℃の間であることが望ましい。融点がこれ未満であると、凍結させるのが困難であり、逆に融点が100℃超過であると、高熱を加えなくてはならず、加熱することによって媒体中の反応成分が反応してしまう恐れがある。そのような第一の溶媒の好ましい具体例としては、水、アセトアミド、トリオキサン、酢酸、p−キシレン、1,4−ジオキサン、2−アミノエタノール、蟻酸、シクロヘキサン、ベンゼン、モルホリン、アニリン、ニトロメタン、ピペリジン、ニトロメタン、アニソール、ピリジンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれたものを挙げることができ、特に好ましい具体例としては、水、1,4−ジオキサン、ベンゼンなどを挙げることができる。これらの各溶媒は、それぞれ単独で用いることもできるし、また二種以上を用いることができる。
【0045】
本発明では、次いで上記溶液を凍結させる。
【0046】
この凍結は、できるだけ急速に行うことが好ましく、例えば溶液状態から凍結状態に到る間、溶液温度が50℃/分以上、特に100℃/分以上、低下する条件で行うことが好ましい。
【0047】
以下に急速に凍結させることによる効果について説明する。
【0048】
急速に溶液を凍結すれば、溶媒は細かなクラスターに分かれて凍結する。この場合、溶液中に溶解していたポリマー、重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤は、溶媒のクラスターに沿って溶媒外へ析出し、あたかもポリマー上に重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤が均一に分散した固形物が得られる。この状態で減圧し、溶媒を気化させれば、溶媒の細かなクラスターが空隙として残り、ポリマー上に重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤が均一に分散した固形物が得られる。
【0049】
逆に、急速な凍結が行われないと、大きなドメインを有する溶媒の結晶が溶液内で形成され、その結晶に沿ってポリマー、重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤が溶媒外へ析出するため、この状態で減圧し、溶媒を気化させるとポリマー、重合性モノマー、光重合開始剤および他の成分等が偏在した固形物が生成される傾向があるので好ましくない。
【0050】
溶液を急速に凍結させる手段は任意である。好ましいものとしては、例えば、溶液の凝固点以下の温度に冷却した金属基板上に溶液を塗布することによる手法や、予め溶液の凝固点以下に冷却したチャンバー内へ溶液を噴霧する手法などがある。後述するように、得られた固形物は減圧下で溶媒を昇華させるため、総表面積に勝る後者の手法のほうが好ましい。凍結をさらに速やかに行うために、予め溶液を溶液の凝固点またはその付近にまで冷却しておくとさらに好ましい。
【0051】
そして、ガス(好ましくは不活性ガス)を予め溶液に溶解させておけば、噴霧ノズルから前記チャンバー内へ溶液が放出された際、溶液が発泡し液滴を破壊するので、噴霧ノズルの径よりも細かな液滴を形成させることができ、凍結速度をさらに上げることができるので好ましい。
【0052】
なお、本発明において行われる「溶液の凍結」処理においては、単に溶液を構成している溶媒(主として第一の溶媒)ないし溶液中の溶解成分(例えばポリマー、重合性モノマー、光重合開始剤等)の凍結のみが行われるのではなく、溶液温度の低下に伴う前記溶解成分の析出ないし凝固、ならびに冷却したチャンバー内へ溶液を噴霧する際に生じる溶媒成分の揮発や、溶液中の溶解されていた他の成分(例えばガス成分)の放出等が、凍結と同時に、または凍結の前あるは後に、行われる場合がある。したがって、本発明における「溶液を凍結させて」とは、単に溶液を構成している溶媒のみを凍結させる場合のみを意味するものではない。
【0053】
以上の手法によって得られた固形物を減圧雰囲気中におくと、固形物から溶媒のみが除去され、ポリマーマトリクス上もしくはその近傍に重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤が溶液時の分散性をほぼ保ったままの状態の固形物が得られる。ここで、減圧雰囲気とは、理想的には真空であるが、固形物の乾燥(即ち、主として第一の溶媒の除去)が充分に行われるならば、溶媒の昇華圧や、温度、乾燥時間等の関係を考慮して、減圧雰囲気の圧力条件および(または)温度条件を適宜定めることができる。
【0054】
上記の本発明による粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)によれば、残存溶媒量が10ppm以下、特に5ppm以下、の粉末状感光性組成物を容易に得ることができる。
【0055】
この粉末状感光性組成物は、感光性組成物を形成する各成分が偏在化することとなく均一に、緊密、微細に分散されたものであることから、各種の感光性材料、例えば好ましくは光記録媒体の記録層を構成する感光性組成物の形成材料として、特に有用なものである。
【0056】
<<粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)>>
本発明では、粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)における溶液の凍結を、この凍結前に前記溶液に混合させた第二の溶媒の共存下で行うことができる。
【0057】
この方法は、「粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)」のなかの好ましい一具体例とも捉えられるものであるが、第一の溶媒とは異なる第二の溶媒を用いることから、本願明細書において「粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)」として扱うことがある。
【0058】
本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)においては、第一の形態と同様に、感光性組成物を形成する成分(即ち、上記のポリマー成分、重合開始剤成分およびモノマー成分、並びに他の成分)を、第一の溶媒中に溶解させ均一な溶液を作製する。
【0059】
ここで、上記各成分が溶解した溶液の濃度は、各成分の均一な分散状態を得るためには後述するように極力希薄であることが望ましいが、希薄すぎると溶媒量が多量になりすぎて溶媒コストが上昇するとともに、この溶媒の除去のために必要なエネルギーが増大する。よって、この溶液は、上記ポリマーマトリクス成分(乾燥状態)が、好ましくは0.01重量%以上1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以上0.5重量%以下、溶解しているものが望ましい。
【0060】
この溶液は、その後凍結されるが、本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)では、溶液の凍結を、この凍結前に前記溶液に混合させた第二の溶媒の共存下で行う。
【0061】
第二の溶媒としては、下記(イ)〜(ニ)のいずれか1つ、特に2つ以上、を同時に満たすものが好ましい。
(イ)前記第一の溶媒よりも前記感光性組成物を形成する成分の溶解性が低いもの(好ましくはn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、エチルエーテル、メタノールやエタノールなど。)
(ロ)前記第一の溶媒よりも凝固点が低いもの(好ましくはiso−ペンタン、n−ペンタン、n−プロピルエーテルやエチルエーテルなど)
(ハ)前記第一の溶媒よりも蒸気圧が高いもの(好ましくはiso−ペンタン、エチルエーテル、n−ペンタン、塩化メチレン、アセトンやクロロホルムなど。)
(ニ)前記第一の溶媒との相溶性が良好なもの(好ましくはテトラヒドロフラン、アセトンなど。)
【0062】
前記感光性組成物を形成する成分の第二の溶媒への溶解性は低いほうが好ましい。本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)では、第二の溶媒が第一の溶媒よりも先に気化する。そのため第二の溶媒が前記感光性組成物を形成する成分の良溶媒であるとき、第二溶媒が気化する際、前記感光性組成物を形成する成分が第二溶媒に濃縮され、第二溶媒の気化が妨げられる。また、第二溶媒と第一の溶媒の混合溶液中に、前記感光性組成物を形成する成分が残存する第二溶媒内に高濃度で偏在することになり、本発明の本来の目的を達することができない。したがって、第二の溶媒の前記感光性組成物を形成する各成分に対する溶解度は0〜5mg/ml、より好ましくは0〜1mg/mlがよい。
【0063】
本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)では第二の溶媒が第一の溶媒よりも先に気化するため、第二の溶媒の方が第一の溶媒よりも凝固点が低いことが望ましい。第二の溶媒の方が第一の溶媒よりも凝固点が高いと、周りの環境や自身の気化熱により第二の溶媒が先に凍結してしまう恐れがある。好ましくは第二の溶媒のほうが第一の溶媒よりも1℃以上、より好ましくは20℃以上低いほうがよい。
【0064】
本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)では第二の溶媒が第一の溶媒よりも先に気化するため、第二の溶媒は第一の溶媒よりも蒸気圧が高いことが望ましい。第二の溶媒が第一の溶媒よりも蒸気圧が低いと、第一の溶媒が第二の溶媒に先んじて気化してしまう恐れがある。第一の溶媒に比して第二の溶媒は1hPa以上、より好ましくは20hPa以上高い蒸気圧を有しているのが良い。
【0065】
そのような第二の溶媒の好ましい具体例としては、エチルメチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、トリエチルアミンなどからなる群から選ばれたものを挙げることができ、特に好ましい具体例としては、iso−ペンタン、エチルエーテル、n−ヘキサン、アセトンなどを挙げることができる。これらの各溶媒は、それぞれ単独で用いることもできるし、また二種以上を用いることができる。第二の溶媒の使用量は、第一の溶媒に対して体積比1〜500%、特に1〜200%が好ましい。
【0066】
本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)では、溶液の凍結を、この凍結前に前記溶液に混合させた第二の溶媒の共存下で行うことから、第二の溶媒が気化するときの気化熱の少なくとも一部もしくは全部を、溶液を凍結させる際の冷却エネルギーの全部もしくは一部分として、利用して行うことができる。よって、この方法は凍結を極めて急速に行うことができるので好ましい。
【0067】
そして、本発明の粉末状感光性組成物の製造方法(第二の形態)では、前記溶液の凍結を、この溶液の凝固点以下に冷却したチャンバー内に、特に好ましくは、大気圧未満の圧力に減圧された真空チャンバー内に、前記溶液を噴霧することによって行うことができる。
【0068】
このとき、真空チャンバーへ噴霧された混合溶液は、先に蒸気圧の高い第二の溶媒が気化し、その気化熱によって第一の溶媒が凍結する。当手法では噴霧した溶液(第一の溶媒と第二の溶媒との混合物)の液滴の内側からも第二の溶媒が発泡する形で気化し、液滴を破壊しながらより小さな液滴を形成させる。よって、噴霧ノズルの径が前記(第一の形態)でしていたものよりも大きくても対応できる。
【0069】
元の液滴が破壊され、残ったより小さな液滴には、主として、第一の溶媒とそれに溶解した前記ポリマー、重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、色素増感剤、熱重合禁止剤、連鎖移動剤のみが残り、無論貧溶媒が気化した気化熱で良溶媒は固化し、微小な第一の溶媒の結晶を形成する。
【0070】
なお、本発明において行われる「溶液の凍結」処理においては、単に溶液を構成している溶媒(主として第一の溶媒)ないし溶液中の溶解成分(例えばポリマー、重合性モノマー、光重合開始剤等)の凍結のみが行われるのではなく、溶液温度の低下に伴う前記溶解成分の析出ないし凝固、ならびに冷却したチャンバー内、特に減圧された真空チャンバー内に、溶液を噴霧する際に生じる溶媒(第一および第二の溶媒の両者を含む)の揮発等が、凍結と同時に、または凍結の前あるは後に、行われる場合がある。したがって、本発明における「溶液を凍結させて」とは、単に溶液を構成している溶媒のみを凍結させる場合のみを、意味するものではない。
【0071】
以上の手法によって得られた固形物を減圧雰囲気中におくと、固形物から溶媒のみが除去され、ポリマー上に重合性モノマー、光重合開始剤および必要に応じて添加した可塑剤、増感色素、熱重合禁止剤、連鎖移動剤が溶液時の分散性をほぼ保ったままの状態の固形物が得られる。ここで、減圧雰囲気中とは、理想的には真空であるが、固形物の乾燥(即ち、主として第一の溶媒の除去)が充分に行われるならば、溶媒の昇華圧や、温度、乾燥時間等の関係を考慮して、減圧雰囲気の圧力条件を適宜定めることができる。
【0072】
上記の本発明による粉末状感光性組成物の製造方法(第一の形態)によれば、残存溶媒量が10ppm以下、特に5ppm以下、の粉末状感光性組成物を容易に得ることができる。
【0073】
この粉末状感光性組成物は、感光性組成物を形成する各成分が偏在化することとなく均一に、緊密、微細に分散されたものであることから、各種の感光性材料、例えば好ましくは光記録媒体の記録層を構成する感光性組成物の形成材料として、特に有用なものである。
【0074】
<光記録媒体>
本発明による光記録媒体は、前記の粉末状感光性組成物から形成されたことを特徴するものである。
【0075】
上記の通りに、本発明による粉末状感光性組成物は、感光性組成物を形成する各成分が偏在化することとなく均一に緊密かつ微細に分散されたものである。
【0076】
本発明による光記録媒体は、好ましくは、前記の粉末状感光性組成物を加圧成型することによって得ることができる。
【0077】
ここで、前記の粉末状感光性組成物を加圧成型することによって光記録媒体を得る方法としては、プレス機を用いることが好ましい。プレス後所望の膜厚になるよう、それに足りうるだけの量の前記粉末状感光性組成物を金型に投入する。前記粉末状感光性組成物を金型内に注入した後、プレス後に均一な膜厚になるよう金型内で前記粉末状感光性組成物を平らにならす。一連の工程は、粉末のハンドリングのしやすさから前期粉末状感光性組成物のガラス転移温度以下で行うことが望ましい。
【0078】
前記粉末状感光性組成物を金型内で平らに敷き詰めた後、スタンパによって該粉末状感光性組成物を加圧する。この際、前記粉末状感光性組成物のガラス転移温度以上にまで昇温することが望ましい。より好ましくは、前記粉末状感光性組成物のガラス転移温度を20℃以上の温度下で加圧することが望ましい。さらに昇温させて金型内で前記粉末状感光性組成物が溶融しても良い。また、当プレス工程を減圧下で行うことにより容易に脱泡を行うことができ好適である。加圧する圧力や時間は前記粉末状感光性組成物の特性によって決められる。
【0079】
以上の手法により、光記録媒体の記録層が形成される。作製された記録層はガラスやプラスチックからなる公知の透明基板に張り合わせることにより、光記録媒体が作製される。
【0080】
本発明による粉末状感光性組成物は、感光性組成物を形成する各成分が偏在化することとなく均一に、緊密かつ微細に分散されたものである。
【0081】
このことから、本発明の粉末状感光性組成物から得られた感光性材料からなる感光層は、その面積や厚さが大きい場合であっても、性能のバラツキが少なく安定かつ確実に感光するものである。よって、例えば光記録媒体の記録層用の感光性材料として特に好適なものである。
【0082】
そして、本発明による粉末状感光性組成物から成型体を得る際も、加圧成型法などによって短時間かつ容易に成型体を作成することができるものである。
【0083】
特に、加圧成型に付す感光性組成物が粉末状であって溶媒残存量が極度に少ないものであることから、成型段階において溶媒の揮発等による体積減少が実質的に生じないので、所望の形態、厚さ、表面平坦性を有する成型体を極めて精密にかつ短時間で容易に得ることができる。
【0084】
上記の各成分を含む記録層において、記録光に対する光透過率は、10%〜95%が好ましく、20%〜90%がより好ましい。光透過率が10%以上であれば必要な感度および回折効率が得られる。光透過率が95%以下であれば記録光の散乱によって情報を正確に記録できなくなるという不具合を避けることができる。
【実施例】
【0085】
<実施例1>
暗室中、1,4−ジオキサン1000mlにポリブチルメタクリレート7.5g、さらにビニルカルバゾール0.9g、イルガキュア784を0.04g加え溶解させた。溶液を攪拌させながら10℃に冷却したウォーターバスで溶液を冷却させ、十分に冷却させた後、予め液体窒素で冷却させたナスフラスコ中に噴霧注入した。
【0086】
噴霧状に注入された溶液は速やかに凍結し、ナスフラスコ底面に凍結した溶液が集積した。噴霧後、ナスフラスコを真空ポンプへつなぎナスフラスコを減圧にした。液体窒素で冷却されていたナスフラスコを徐々に除冷しながら凍結乾燥を行った。5時間凍結乾燥を行い、前記真空ポンプのトラップ中へのジオキサンの流入量が変わらなかったことから、乾燥を終了させた。その結果、残存溶媒量が10ppm以下の粉末状感光性組成物が得られた。
【0087】
得られた粉末のうち0.5gをプレス機で室温下押圧し、透明な記録層を得た。この記録層を2枚のガラス基板間に挟みさらに押圧し、試験片を得た。この試験片を2光束干渉法によりホログラムを記録し、その評価を行った。この試験片は性能のばらつきがほとんど無く、良好なホログラム記録媒体であることが示された。
【0088】
<実施例2>
実施例1で作製した溶液を100gとり、ヘキサンを5g加えた。溶液を攪拌させながらウォーターバスで溶液を冷却させ、十分に冷却させた後、予めドライアイスで冷却させ、真空ポンプで減圧された2口ナスフラスコへ溶液をゆっくりと噴霧させながら注入した。噴霧された溶液は速やかに凍結し、ナスフラスコの壁面に凍結した溶液が集積した。当該ナスフラスコを引き続き真空ポンプで減圧し、凍結乾燥を施した。その結果、残存溶媒量が10ppm以下の粉末状感光性組成物が得られた。
【0089】
得られた粉末のうち、0.3gをプレス機を用いて室温下で押圧し透明な記録層を得た。この記録層を2枚のガラス基板間に挟みさらに押圧し、試験片を得た。2光束干渉法によりホログラムを記録し、その評価を行った。実施例1と同様に、試験片上の位置による性能のばらつきは認められず、良好なホログラム記録媒体であることが示された。
【0090】
<比較例1>
実施例1で作製した溶液をホットプレートで加熱したガラス基板上に塗布し、乾燥させた。溶媒を完全に除去するため終夜で真空乾燥を施した。乾燥後もう一枚のガラス基板でむき出しの記録層を覆い、比較例とした。
【0091】
この比較例を2光束干渉法によりホログラムを記録したが、再現性の無い結果が多く、性能のばらつきが目立った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性組成物を形成する成分を第一の溶媒中に溶解させた溶液を凍結させて、得られた固形物を減圧雰囲気中で乾燥させることを特徴とする、粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項2】
前記溶液の凍結を、この溶液の凝固点以下の温度に冷却したチャンバー内に前記溶液を噴霧することによって行う、請求項1に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項3】
前記第一の溶媒が、凝固点が−100℃〜+100℃の範囲内にあるものである、請求項1または2に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項4】
前記第一の溶媒が、水、アセトアミド、トリオキサン、酢酸、p−キシレン、1,4−ジオキサン、2−アミノエタノール、蟻酸、シクロヘキサン、ベンゼン、モルホリン、アニリン、ニトロメタン、ピペリジン、ニトロメタン、アニソール、ピリジンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項5】
前記感光性組成物を形成する成分が、ポリマー、光重合開始剤およびモノマーである、請求項1〜4いずれか1項に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項6】
前記溶液の凍結を、この凍結前に前記溶液に混合させた第二の溶媒の共存下で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項7】
前記溶液の凍結を、前記第二の溶媒の気化熱を利用して行う、請求項6に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項8】
前記第二の溶媒が、前記第一の溶媒よりも前記感光性組成物を形成する成分の溶解性が低いものである、請求項6または7に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項9】
前記第二の溶媒が、前記第一の溶媒よりも凝固点が低いものである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項10】
前記第二の溶媒が、前記第一の溶媒よりも蒸気圧が高いものである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の粉末状感光性組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られた粉末状感光性組成物であって、残存溶媒量が10ppm以下のものであることを特徴とする、粉末状感光性組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の粉末状感光性組成物から形成されたことを特徴する、光記録媒体。
【請求項13】
請求項11に記載の粉末状感光性組成物を加圧成型することによって形成された、光記録媒体。
【請求項14】
請求項11に記載の粉末状感光性組成物を該感光性組成物のガラス転移温度以上で加圧成型することによって形成された、光記録媒体。

【公開番号】特開2008−96503(P2008−96503A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275104(P2006−275104)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】