縫製装置および表皮セット治具
【課題】表皮の治具へのセット作業性の向上、および上下表皮を外周縁どうしの位置合わせにずれなく正確に重ね合わすことができて縫い代の均一化を図る。
【解決手段】外治具1と内治具2からなる表皮セット治具3に、所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮を重ね合わせて該上下表皮外周縁が内治具2の外周から外方へ露出するようにセットする表皮セット部と、内治具2にセットされた上下表皮の外周縁部分を、縫い針を備えたミシン本体で縫合する縫製部を備える。外治具1は表皮セット部の定位置に設置され、下表皮位置決めガイド板12、下表皮位置決めガイド13、および上表皮押えクランプ14を備える。内治具2は、下表皮位置決めガイド板12の内側に取り出し可能に配置され、下表皮受けプレート22、上表皮4の外周縁部4aを下表皮5の外周縁部5aに押え付ける本クランプ機構23を備える。
【解決手段】外治具1と内治具2からなる表皮セット治具3に、所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮を重ね合わせて該上下表皮外周縁が内治具2の外周から外方へ露出するようにセットする表皮セット部と、内治具2にセットされた上下表皮の外周縁部分を、縫い針を備えたミシン本体で縫合する縫製部を備える。外治具1は表皮セット部の定位置に設置され、下表皮位置決めガイド板12、下表皮位置決めガイド13、および上表皮押えクランプ14を備える。内治具2は、下表皮位置決めガイド板12の内側に取り出し可能に配置され、下表皮受けプレート22、上表皮4の外周縁部4aを下表皮5の外周縁部5aに押え付ける本クランプ機構23を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の座席シートや背凭れシート、あるいはエアバッグ等の縫製において外周縁が曲線状に裁断された複数枚の表皮をその外周縁が縫い代分だけ露出するように表皮セット治具で重ね合わせてセットしたうえで、その外周縁を縫製する縫製装置、および表皮セット治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円や楕円、円弧、楕円弧、あるいはその他の曲線状に裁断され縫製対象となる複数の表皮(縫製生地)をその外周縁部分が露出するように表皮セット治具(縫製生地保持具)で重ね合わせて保持し、その外周縁を縫製する装置として、表皮を保持した表皮セット治具を縫製装置の縫製生地支持台上に水平回転可能に支持させ、表皮セット治具の支持位置に対してミシン本体を直線的に接離移動させるとともに、ミシン本体の針軸の軸芯を中心にしてミシン本体を水平回動可能に支持させ、ミシン本体を表皮セット治具の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮の外周縁部分をミシン本体で縫合するようにしたものが提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
かかる縫製装置によれば、縫製形状が円や円弧は勿論、楕円や楕円弧あるいはS字等の複合曲線でも容易に自動縫製することができる。
【特許文献1】特開2007−97791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の表皮をその曲線状の外周縁が位置合わせのずれなく正確に揃えて露出するように重ね合わせて表皮セット治具でセットする作業は容易でなく、縫製作業能率の低下の原因になっていた。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたもので、表皮の治具へのセット作業性の向上、および表皮の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮を外周縁どうしの位置合わせにずれなく正確に重ね合わすことができて縫い代の均一化を図れる縫製装置および表皮セット治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の縫製装置は、請求項1に記載のように、発明の内容を理解し易くするために図1〜図39に付した符号を参照して説明すると、外治具(1)と内治具(2)からなる表皮セット治具(3)に、所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮(4),(5)を重ね合わせて該上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)が内治具(2)の外周から外方へ露出するようにセットする表皮セット部(6)と、内治具(2)にセットされた上下表皮(4),(5)の露出した外周縁部(4a),(5a)を、縫い針(7)を備えたミシン本体(8)で縫合する縫製部(9)とを備える。
外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備える。
内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備える。
縫製部(9)は、上下表皮(4),(5)をセットした内治具(2)を縫製部(9)の所定位置に支持軸芯(Z)回りに水平回転可能に支持する内治具支持部(52)と、この内治具支持部(52)に対して接離移動するミシン支持台(53)と、ミシン支持台(53)に針軸(N)の軸芯回りに回動可能に支持させたミシン本体(8)とを備え、ミシン本体(8)を内治具(2)の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)をミシン本体(8)で縫合するように構成している。
【0007】
上記構成の縫製装置によると、表皮セット部(6)では、予め外治具(1)で上下表皮(4),(5)を縫製対象となる外周縁部(4a),(5a)どうしが揃うように重ね合わせる仮セットをすることができ、そのうえで、内治具(2)で上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)どうしが内治具(2)の外周から外方へ縫い代分だけ露出するように本クランプ機構(23)で下表皮受けプレート(22)上に押え付けて保持する本セットを行うことができる。したがって、上下表皮(4),(5)の内治具(2)へのセット作業が容易に行え、しかも上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれなく正確な位置合わせ状態に本セットすることができる。
縫製部(9)ではミシン本体(8)を内治具(2)の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)をミシン本体(8)で縫合することにより、上下表皮(4),(5)の曲線状の外周縁部(4a),(5a)も容易に自動縫製することができる。
【0008】
請求項1記載の縫製装置は、請求項2に記載のように、外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられるという構成を採用することができる。
【0009】
この構成によると、下表皮(5)の上に上表皮(4)を重ね合わす前に、中間板(16)を中間板昇降用シリンダ(17)で下降させることで下表皮(5)の外周縁部(5a)を下表皮位置決めガイド板(12)上に押え付ける状態を得ることができ、この押え付け状態下で上表皮(4)の外周縁部(4a)を上表皮押えクランプ(14)で下表皮(5)の外周縁部(5a)上に押え付けることができる。したがって、上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれのない正確な位置合わせ状態に本セットすることができるという上記作用効果を更に高めることができる。
【0010】
請求項1又は2に記載の縫製装置は、請求項3に記載のように、上表皮位置決めガイド(20)には、上表皮(4)の外周縁部(4a)を検出して上表皮押えクランプ用シリンダ(18)に作動信号を発するセンサー(21)を設置するという構成を採用することができる。この構成によると、上表皮(4)の外周縁部(4a)をセンサー(21)により自動的に確実に検出することができ、上表皮押えクランプ(14)による上表皮押え固定精度を向上することができる。
【0011】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の縫製装置は、請求項4に記載のように、各上表皮押えクランプ(14)により上表皮(4)の外周縁部(4a)を周方向に部分的に押える長さ(L)よりも複数個のセンサー(21)による検出領域(K)を大きくするという構成を採用することができる。この構成によると、上表皮(4)のセットずれ防止を更に確実なものにすることができる。
【0012】
本発明の表皮セット治具は、請求項5に記載のように、外治具(1)と内治具(2)からなり、外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備えており、内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備えていることに特徴を有するものである。
【0013】
上記構成の表皮セット治具によると、予め外治具(1)で上下表皮(4),(5)を縫製対象となる外周縁部(4a),(5a)どうしが揃うように重ね合わせる仮セットをすることができ、そのうえで、内治具(2)で上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)どうしが内治具(2)の外周から外方へ縫い代分だけ露出するように本クランプ機構(23)で下表皮受けプレート(22)上に押え付けて保持する本セットを行うことができる。したがって、上下表皮(4),(5)の内治具(2)へのセット作業が容易に行え、しかも上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれなく正確な位置合わせ状態に本セットすることができる。
【0014】
請求項5記載の表皮セット治具は、請求項6に記載のように、外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられるという構成を採用することができる。
【0015】
この構成によると、下表皮(5)の上に上表皮(4)を重ね合わす前に、中間板(16)を中間板昇降用シリンダ(17)で下降させることで下表皮(5)の外周縁部(5a)を下表皮位置決めガイド板(12)上に押え付ける状態を得ることができ、この押え付け状態下で上表皮(4)の外周縁部(4a)を上表皮押えクランプ(14)で下表皮(5)の外周縁部(5a)上に押え付けることができる。したがって、上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれのない正確な位置合わせ状態に本セットすることができるという上記作用効果を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上下表皮の内治具へのセット作業が容易に行えて作業性を向上でき、しかも上下表皮の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮を外周縁どうしの位置合わせにずれなく正確な位置合わせ状態に本セットすることができるため、縫い代の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例の縫製装置の全体構成を示す平面図、図2は図1の縫製装置の正面図、図3は図1の縫製装置の左側面図、図4は図1の縫製装置の右側面図である。
【0018】
本発明の縫製装置は、図1〜図4に示すように、図9に示すごとき外治具1と内治具2からなる表皮セット治具3に、図39に示すごとき所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮4,5を重ね合わせて該上下表皮4,5の外周縁部4a,5aどうしが図17(b)に仮想線で示すごとく内治具2の外周から外方へ縫い代分だけ露出するようにセットする表皮セット部6と、内治具2にセットされた上下表皮4,5の露出した外周縁部4a,5aを、縫い針7を備えたミシン本体8で縫合する縫製部9とを備える。必要に応じて、表皮セット部6と縫製部9との間には上下表皮4,5のセットされた内治具2を外治具1から取り出して縫製部9へ自動搬入する搬入ライン10、およびミシン本体8で縫合された縫製表皮を保持した内治具2を縫製部9から表皮セット部6へ自動搬出する搬出ライン11を設ける。
【0019】
(外治具)
図10、図12、図16、図17に示すように、外治具1は、表皮セット部6の定位置に設置されて下表皮5の外周縁部5aを受ける下表皮位置決めガイド板12と、下表皮位置決めガイド板12上に固定され、下表皮5の外周縁部5aの外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド13と、下表皮位置決めガイド板12上で上表皮4の外周縁部4aを下表皮5の外周縁部5aに対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ14とを備える。
下表皮位置決めガイド板12は、下表皮5の馬蹄形状等曲線状に裁断された外周縁に沿う形状の内周縁を有する形に形成されて図5、図7に示す表皮セット架台15上に固定される(図11参照)。図10、図12に示すように、下表皮位置決めガイド13は下表皮位置決めガイド板12上に下表皮5の外周縁部5aを受ける外周縁部受け面12aを形成すべく重合固定される。
【0020】
(中間板)
また、図13〜図17に示すように、下表皮位置決めガイド板12の上側には、下表皮位置決めガイド13の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板16が複数の中間板昇降用シリンダ17で上下動可能に下表皮位置決めガイド板12と平行に対向配備される。中間板16の内周縁寄りの上方に、下表皮5の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ14が中間板16の内周縁に沿って並列状に装備される。各上表皮押えクランプ14は中間板16に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ18でクランプガイド部材19の案内下で上下動可能に中間板16に装備される。中間板16の内周縁に沿って上表皮4の外周縁部4aを受ける上表皮受部16aと、上表皮4の外周縁部4aの外端を受け止める上表皮位置決めガイド20が上表皮押えクランプ14の下方に対向するように設けられる。
【0021】
上表皮押えクランプ14による上表皮押え固定精度を向上するために、図16に示すように、下表皮5の外周縁の曲率の大きい円弧部分に対応する箇所に配される各上表皮押えクランプ14の上表皮4を押える長さLは、比較的に曲率の小さい円弧部や略直線部に対応する箇所に配される上表皮押えクランプ14の長さLよりも短く形成されて小刻みに並列配置される。その際、下表皮5の外周縁の曲率の大きい円弧部分に対応する箇所に配される各上表皮押えクランプ14において、オペレータから見て中央の上表皮押えクランプ14(14C)よりも手前側の上表皮押えクランプ14(14S)の長さLを、向かい側の上表皮押えクランプ14(14P)の長さLよりも更に短く形成して小刻み並列配置する。これはオペレータが手前側では手先が見え難くて上表皮4の外周縁部4aを上表皮位置決めガイド20に当接するまで小刻みに順次押し込む指先作業が、指先が見やすい向かい側での押し込み作業よりも困難で位置合わせずれが生じやすいのを更に確実に防止するためである。なお、上表皮4の上表皮押えクランプ14による押え付け順序(上記押し込み順序)は、先ず中央の上表皮押えクランプ14(14C)から始め、引き続いて中央の上表皮押えクランプ14(14C)に隣接する手前側の上表皮押えクランプ14(14S)による押せ付けを順次行い、その後に中央の上表皮押えクランプ14(14C)に隣接する向かい側の上表皮押えクランプ14(14P)による押え付けを順次行う。
【0022】
そして、図14、図15に示すように、上表皮位置決めガイド20には、上表皮4の外周縁4aを検出して上表皮押えクランプ用シリンダ18に信号を発するセンサー21を設置している。詳しくは、曲率の大きい円弧部分に配置される上表皮位置決めガイド20の上部には、図15に示すように上表皮4の外周縁4aを検出して当該箇所に配置された上表皮押えクランプ用シリンダ18に作動信号を発する光電スイッチ21aによるセンサー21を設置している。比較的に曲率の小さい円弧部や略直線部に配置される上表皮位置決めガイド20には、図14に示すように上表皮4の外周縁4aを検出して当該箇所に配置された上表皮押えクランプ用シリンダ18に作動信号を発する近接スイッチ21bおよびスイッチドグ21cによるセンサー21を設置している。
【0023】
(内治具)
図18〜図25に示すように、内治具2は、当初、外治具1の下表皮位置決めガイド板12の内側に該下表皮位置決めガイド板12と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮5を受ける下表皮受けプレート22と、下表皮受けプレート22上で上表皮4の外周縁部4aを下表皮5の外周縁部5aに対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構23とを備える。
図24に示すように、下表皮受けプレート22は、下表皮5の馬蹄形状等曲線状に裁断された外周縁に沿う形状の外周縁を有する形に形成され、中央部に下部センター孔24を設けている。
本クランプ機構23は、下表皮受けプレート22の上面に伏臥する姿勢(図23参照)と、下表皮受けプレート22の上面から起立する姿勢(図19参照)とに亘って軸25回りに起伏回動自在に下表皮受けプレート22に取り付けられた枠状の押え部材26と、押え部材26を伏臥姿勢に保持するロック状態とアンロック状態に切換え可能なトグルクランプ等よりなるクランプ27とを備える。押え部材26は押え枠26aに押え板ばね26bを付けている。押え部材26には上部センター孔28、および上部センター孔28の周辺位置に配される複数個の搬送用孔29を有する上部センター板30が架設されている。
【0024】
上記構成の表皮セット部6では、予め外治具1で上下表皮4,5を縫製対象となる外周縁部4a,5aどうしが揃うように重ね合わせる仮セットをしたうえで、内治具2で上下表皮4,5の外周縁部4a,5aどうしが内治具2の外周から外方へ縫い代分だけ露出するように本セットする。
【0025】
すなわち、先ず、図9、図17(a)に示すように、オペレータにより外治具1の下表皮位置決めガイド板12の内側に内治具2が、下表皮受けプレート22を下表皮位置決めガイド板12と略面一状になるように水平に位置決め保持される。その保持は下表皮受けプレート22の下部センター孔24(図24参照)が外治具1内の中央に設置した下表皮受けプレート受センター軸31(図5参照)に嵌合することにより行われる。
次いで、図17(a)に示すように、オペレータにより下表皮5が内治具2の下表皮受けプレート22に載せられるとともに、下表皮5の外周縁部5aがこの外端を下表皮位置決めガイド13に当接させるように下表皮位置決めガイド板12の外周縁部受け面12a上に載置される。そして、下表皮5の外周縁部5aはバキュームチャンバ49および外周縁部受け面12aに列設した吸気孔32からの吸気作用により外周縁部受け面12a上に吸着保持される。次いで、図17(b)に示すように中間板16が中間板昇降用シリンダ17で下降して下表皮5の外周縁部5aを押さえ付ける。
【0026】
次いで、図17(b)に示すように、オペレータにより上表皮4が下表皮5の上に重ねられる。このとき、オペレータの手作業で上表皮4の外周縁部4aが周方向に部分的に順次中間板16の上表皮受部16aと各上表皮押えクランプ14との間に上表皮位置決めガイド20に当るまで押し込まれる。そして、上表皮4の外周縁部4aの各部分が押し込まれる毎にこれをセンサー21で検出しこの信号を受けて作動する上表皮押えクランプ用シリンダ18で下降される各上表皮押えクランプ14で順次押えられて行く。
その際、上表皮4のセットずれ防止を更に確実なものにするために、図16に示すように、一つの上表皮押えクランプ14は隣り合う数個のセンサー21がオンしてはじめて作用して上表皮4の外周縁部4aを押える方式(隣り合う数個のセンサー21によるセンサー検出量(長さ)を、一つの上表皮押えクランプ14による押し付け長さよりも大きくしている)方式を採用する。すなわち、各上表皮押えクランプ14により上表皮4の外周縁部4aを周方向に部分的に押える長さ(量)Lよりも隣り合う数個のセンサー21による検出領域Kを大きくする。
【0027】
上表皮4の外周縁部4aが上表皮押えクランプ14で下表皮5の外周縁部5a上に押えられた後、オペレータによって枠状の押え部材26が軸25回りに伏臥姿勢方向に回動されて該押え部材26が上表皮4上の上表皮押えクランプ14より内側に下ろされる。しかる後、クランプ27の締め付け作動で押え部材26を押し下げて押え部材26の伏臥姿勢をロック保持する。これにより、図17(b)に仮想線で示すように、上下表皮4,5が内治具2に外周縁部4a,5aを外部に露出するようにセットされた状態が得られる。
このセット後、各上表皮押えクランプ14が上表皮押えクランプ用シリンダ18で原位置に押し上げられ、また中間板16が中間板昇降用シリンダ17で原位置に押し上げられてそれぞれによる上表皮押え作用を解除する。次いで、図6に示すように、内治具2が内治具昇降用シリンダ33で押し上げられることにより外治具1から上方へ取り出される。この取り出された内治具2はオペレータにより後述する搬入ライン10の中継部34にローラーコンベヤ35上を滑らせて移送される。
【0028】
(搬入ライン)
内治具2に縫製対象となる外周縁部4a,5aを外部に露出させた状態でセットされた上下表皮4,5(以下、単に「表皮セット内治具2A」という)は、搬入ライン10によって縫製部9の所定位置、すなわち内治具2の下部センター孔24を受ける内治具センター受具36が設置されて内治具2を該内治具センター受具36回りに水平回転可能に支持する位置にまで自動的に搬入される。搬入ライン10は、図1、図2に示すように、表皮セット部6からオペレータによって前方へ移送される表皮セット内治具2Aを受け継ぐ中継部34と、中継部34からの表皮セット内治具2Aを一時的に待機させる表皮セット内治具待機部37と、表皮セット内治具2Aを表皮セット内治具待機部37から縫製部9の内治具センター受具36にまで搬入させる表皮セット内治具搬入駆動部38とを備える。
【0029】
図1、図5に示すように、中継部34は表皮セット架台15の前方延長線より上方位置に配備されるローラーコンベヤ35と、ストッパー39、昇降可能な内治具センター受具40を備える。表皮セット部6において、図6に示すように、表皮セット内治具2Aが内治具昇降用シリンダ33により上昇した後、オペレータによってローラーコンベヤ35上にストッパー39に当るまで押込まれることで下部センター孔24が内治具センター受具40の上方位置に達するまで移送されて停止する。
【0030】
図1、図2に示すように、表皮セット内治具待機部37は、中継部34の一側方にローラーコンベヤ35と直交する左右方向に亘って配備されるベルトコンベヤ41と、内治具センター受具昇降用シリンダ42で昇降可能な内治具センター受具43を備える。中継部34において表皮セット内治具2Aが内治具センター受具40の上昇作動により下部センター孔24に嵌合して押し上げられると、ベルトコンベヤ41が駆動することにより表皮セット内治具2Aは下部センター孔24が内治具センター受具43の上方位置に達するまで運搬されて待機する。
【0031】
表皮セット内治具搬入駆動部38は、表皮セット内治具待機部37のベルトコンベヤ41の延長線上でかつ縫製部9の内治具センター受具36に達する位置にまで配備される搬入コンベヤ44と、搬入コンベヤ44の上方に平行に配備されたレール45に沿って走行可能でかつ搬入用ピン昇降用シリンダ48で昇降可能な内治具搬入用ピン46と、内治具センター押え具47とを備える。表皮セット内治具待機部37において表皮セット内治具2Aが内治具センター受具43の上昇作動により下部センター孔24に嵌合して押し上げられるとともに治具搬入用ピン46の下降により表皮セット内治具2Aの搬送用孔29に嵌合すると、治具搬入用ピン46がレール45に沿って縫製部9の方向に走行する同時に搬入コンベヤ44により表皮セット内治具2Aは下部センター孔24が内治具センター受具36の上方位置に達するまで搬入される。当該位置に搬入後、内治具センター押え具47が下降し表皮セット内治具2Aの上部センター孔28に嵌合して表皮セット内治具2Aのセンター押えが行われ、これにより表皮セット内治具2Aは内治具センター受具36を中心にして水平回転可能に支持される。なお、これら搬入ライン10での各動作はシーケンス制御で行われる。
【0032】
(縫製部)
縫製部9は、上記のように上下表皮4,5をセットした表皮セット内治具2Aを縫製部9の所定位置に内治具センター受具36を中心にして水平回転可能に支持させ、表皮セット内治具2Aの支持位置に対して本縫いミシン等のミシン本体8を直線的に接離移動させるとともに、ミシン本体8の針軸Nの軸芯を中心にミシン本体8を水平回動可能に支持させ、ミシン本体8を表皮セット内治具2Aの水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮4,5の外周縁部4a,5aをミシン本体8で縫合するように構成している(前出の特開2007−97791号公報参照)。
【0033】
すなわち、縫製部9は、縫製部架台51に内治具センター受具36を備えた内治具支持部52を設置し、また縫製部架台51上にミシン支持台53を内治具支持部52に対して接離移動可能な状態に設置させるとともに、ミシン支持台53にミシン本体8が針軸Nの軸芯を中心にして水平回動可能な状態に設置してある。
【0034】
したがって、縫製部9では、図3、図26に示されているように、表皮セット内治具2Aは内治具支持部52における内治具センター受具36(支持軸芯Z)を回転中心としてACサーボモータ54の駆動で回転し、ミシン本体8は内治具支持部52の支持軸芯Zとミシン本体8の針軸Nとを平面視において結ぶH軸上をACサーボモータ55の駆動で直線的に接離移動し、かつ、ミシン本体8はその針軸Nを回転中心として回動角度θで一定範囲をACサーボモータ56の駆動で往復回動することになる。
【0035】
次に、この縫製部9で行われる曲線自動縫製について説明する。
図27に示すように、まず、CAD等で描かれた任意の縫製形状曲線Sの図形に対して、内治具支持部52の支持軸芯Zの位置を原点位置として決定し、その縫製形状曲線Sの図形に対して任意点AのX−Y座標を求める。そして、原点位置での表皮セット内治具2Aの回転角度をR、原点位置から図形上の任意点Aまでの長さをH、針軸Nの軸芯回りの回動角度をθとして求めたX−Y座標を機械の座標系であるR−H−θ座標系に変換する(図27参照)。この作業を連続的に行い、縫製形状のすべての座標を求める。ここで、ミシン本体8の回動角度θは任意点Aでの縫製形状曲線Sに対する法線方向がミシン本体8の中心軸Mと直交する角度である。
【0036】
このR−H−θ座標系の座標を作成する方式としては、図28(A)に示すように縫製形状曲線Sを内治具支持部52の支持軸芯Z回りに固定等角度(dR)で分割した線を放射状に伸ばし、縫製形状曲線Sとの交点位置の座標のR−H−θを求め、テーブルを作成する方式と、図28(B)に示すように縫製形状曲線Sの線上を任意の固定距離Pで分割し、その座標のR−H−θを求め、テーブルを作成する方式とがある。
【0037】
そして、固定等角度分割方式の場合、原点位置から縫製形状曲線Sの交点位置までの距離Hが大きくなるにつれて、縫製形状外周での各座標間の距離が大きくなるため、実縫製時の狙い位置精度が低くなる。一方、固定ピッチ分割方式の場合、原点位置から縫製形状曲線Sの交点位置までの距離Hに影響を受けることなく縫製形状外周での各座標間の距離を一定にすることができるから、精度は安定する。しかし、いずれの方式であっても、分割数に限りがあるので、縫製形状曲線S上の各点間の座標は前後の点の直線補間等で座標を算出することが望ましい。
【0038】
このようにして算出された縫製曲線S上の各部でのR−H−θ座標位置をテーブル化して、図示省略した制御装置の記憶部に格納し、その制御装置からの指令で、表皮セット内治具2Aを回転駆動させるACサーボモータ54(図3参照)、ミシン支持台53をリニア駆動するACサーボモータ55(図3参照)、ミシン本体8を針軸Nの軸芯回りに回動駆動させるACサーボモータ56(図3参照)をそれぞれ制御することにより、任意の縫製形状曲線Sを実現するように構成してある。
【0039】
ミシン本体8においては、縫いピッチは縫合強度に影響を与えることから、非常に重要な要素である。そして、縫製部9では、この縫いピッチを安定させる方式として、連続送り方式と間歇送り方式とがある。
連続送り方式の場合には、前記固定ピッチ分割式で得た座標を使用する。そして、任意に設定した速度で表皮セット内治具2Aを内治具支持部52の支持軸芯Z回りに回転させる。実際には、固定ピッチ分割式で得た座標テーブルのインデックスを固定周期で増加させることで縫製ピッチが安定することになる。ミシン本体8の接離移動および針軸N回りの回動は、現在の表皮セット内治具2Aの回転位置に対応する座標(H,θ)をテーブルから求め、その位置に向かって動作させる。この場合の各軸の動作は連続的なものとなるから、この連続送り方式の場合には、ミシンの特性上、ミシン本体8側に送り機構が必要となる。
【0040】
一方、間歇送り方式では、前記固定等角度分割方式で得た座標と、前記固定ピッチ分割式で得た座標とのいずれの座標でも使用することが可能である。
そして、この間歇送り方式では、現在の位置座標(R,H,θ)と縫製ピッチPから次の針落ち位置(目標位置)となる回転角度R´を次式のようにして求める(図29参照)。
【0041】
【数1】
【0042】
このようにして、得られた回転角度R´の位置に対応する座標(H,θ)をテーブルから求め、ミシン本体8の接離移動および針軸N回りの回動を位置に向かって動作させる。この場合、各軸の動作は間歇的となることから、ミシン本体8側での送り機構は不要になる。
【0043】
前述のようにして得た縫いピッチに基づいて、表皮セット内治具2Aの回転角度、ミシン支持台53の接離移動量、ミシン本体8の回動量を決定し、図30に示すように、任意の形状の縫製形状曲線Sに対して、ミシン本体8の姿勢を変更しながら縫製作業を進行することができる。
【0044】
(ボビンケースチェンジ装置)
図31〜図38に示すように、縫製部9の近傍において、ミシン本体8の回転釜60内に装着されたボビンケース(図示せず)内のボビン(図示せず)の下糸が無くなると、そのボビンケースを新しい交換用ボビンケース61と自動的に交換するためのボビンケースチェンジ装置62を設置する。
【0045】
従来、ボビンチェンジャーそれ自体は周知であり(例えば、特許第2738419号公報等)、そのボビンチェンジャーはミシン本体のミシンベッド(釜土台)に突出状に一体的に常備しているが、これでは、上記実施例のようにミシン本体8全体を直線的に移動させたり水平回動させる方式の縫製システムにおいてはミシン本体から突出するボビンチェンジャーが障害となって縫製可能な表皮は大きいサイズのもののみに限られ、小型サイズの表皮は縫製できないという不利を招き、またミシン本体8の頻繁な移動、回動による振動により交換用ボビンケース61内のボビンに巻かれている下糸が弛むという問題が発生する。
そこで、本実施例のボビンケースチェンジ装置62では、図1、図31に示すように、ボビンチェンジャー63をミシン本体8とは別体に分離して配備し、ボビンチェンジャー63は、常態時(待機時)はミシン本体8の直線的な移動や水平回動動作に支障の無い位置に待機させ(図31参照)、ボビンケース交換時にのみ図34に示すようにミシン本体8の上部ミシンベッド(釜土台)64に接近移動させてボビンチェンジャー63とミシン本体8とを結合することでボビンケース交換を可能にし、交換後はボビンチェンジャー63を原位置に戻して待機させるようにする。
【0046】
図33に示すように、ボビンケースチェンジ装置62は、ミシン本体8の下部ミシンベッド65に略同一高さ位置に並べてボビンチェンジャーユニット支持台66を設置し、このボビンチェンジャーユニット支持台66にボビンチェンジャー63が取り付けられる。ボビンチェンジャー63それ自体は既述のように周知のものであって、図35に示すように、複数の交換用ボビンケース61を環状に等間隔置きに配置するボビンケースカセット67と、交換用ボビンケース61を着脱するチャック68と、チャック68を回転釜60とボビンケースカセット67との間をチャック移動用シリンダ69で支持プレート70に設けた案内溝71に沿って移動させるチャック移動手段72と、これらボビンケースカセット67、チャック68、およびチャック移動手段72を支持する支持プレート70とを備える。
【0047】
図31、図33に示すように、このボビンチェンジャー63と、ボビンチェンジャー63を直線的に進退動させるボビンチェンジャー移動用シリンダ73とを一体的に組み合わせてボビンチェンジャーユニット74を構成し、このボビンチェンジャーユニット74はボビンチェンジャーユニット支持台66にボビンチェンジャーユニット回転用シリンダ75で回転軸76を中心にして水平回転可能に搭載される。そして、図37に示すように、ボビンチェンジャー63の支持プレート70に位置決めピン77を取り付ける一方、ミシン本体8の回転釜60より下方の下部ミシンベッド65にピン穴78aを有する位置決めピン受78を取り付ける。
【0048】
待機時、図31に示すように、ボビンチェンジャーユニット74はミシン本体8の直線移動や水平回動に干渉することのないようにミシン本体8と略平行な状態にある。ボビンケース交換時には、ボビンチェンジャーユニット74は回転軸76を中心に所定角度だけ水平回転し、ミシン本体8は針軸Nを中心に所定角度だけ水平回動して、図32、図33に示すようにボビンチェンジャーユニット74とミシン本体8とが互いに直角になるように変向する。次いで、図34に示すようにボビンチェンジャーユニット74がミシン本体8に向けて矢印Q方向に前進して、図38に示すように位置決めピン77が位置決めピン受78のピン穴78aに嵌合することでミシン本体8とボビンチェンジャーユニット74とを結合する。
【0049】
この結合後、ボビンチェンジャー63は稼動し、交換用ボビンケース61を交換する。すなわち、ミシン本体8とボビンチェンジャーユニット74の結合後、チャック68が案内溝71に沿ってボビンケースカセット67から離れる方向へ移動し、回転釜60内に向かって移動して回転釜60内の使用済みボビンケース(図示せず)を保持する。引き続いて、チャック68が案内溝71に沿って復動してボビンケースカセット67に向かって移動し、保持している使用済みボビンケースを離し、ボビンケースカセット67の空き部にセットするか、あるいは下方の排出シュート(図示せず)に向けて落下する。さらに引き続いて、チャック68はボビンケースカセット67内の交換用ボビンケース61を取り出して、再び回転釜60に向かって移動し、回転釜60内に交換用ボビンケース61をセットして交換を終える。交換後、チャック68は案内溝71に沿ってボビンケースカセット67に向かって原位置に戻り、またボビンチェンジャーユニット74が後退する。後退後、ボビンチェンジャーユニット74は図31のようにミシン本体8と略平行な待機位置に復帰する。
【0050】
(搬出ライン)
縫製後、表皮セット内治具2Aは縫製された表皮を備えた状態のまま搬出ライン11によって縫製部9から表皮セット部6の近接位置である内治具戻し部80へ自動的に搬出される。
図1、図2、図8に示すように、搬出ライン11は、搬入ライン10の搬入コンベヤ44の延長線上に配備される第1搬出コンベヤ81と、第1搬出コンベヤ81の上方で前記レール45の延長部45aに沿って走行可能でかつピン昇降用シリンダ82で昇降可能な内治具搬出用ピン83と、第1搬出コンベヤ81の延長線上の箇所で昇降動可能な第1搬出リフト84と、第1搬出リフト84の下降終端位置から搬入ライン10の下方箇所に亘って配備された第2搬出ベルトコンベヤ85と、第2搬出ベルトコンベヤ85と直交して前記表皮セット内治具待機部37の下方位置と表皮セット部6の左側方に設置した内治具戻し部80の下方位置との間で台車駆動機構87により走行駆動するように配備された搬出台車86と、内治具戻し部80の下方位置で搬出台車86を昇降させる第2搬出リフト88(図8参照)とを備える。
【0051】
縫製後、内治具搬出用ピン83の下降により表皮セット内治具2Aの搬送用孔29に嵌合し、内治具搬出用ピン83がレール45の延長部45aに沿って搬出方向に走行する同時に第1搬出コンベヤ81により表皮セット内治具2Aは上昇位置にある第1搬出リフト84に載せられ、第1搬出リフト84の下降作動により下降して第2搬出ベルトコンベヤ85に移載され運搬されて搬出台車86に移載される。表皮セット内治具2Aを載せた搬出台車86は内治具戻し部80の下方位置にまで走行駆動し、当該位置で表皮セット内治具2Aは搬出台車86に載せられたまま第2搬出リフト88の上昇作動で内治具戻し部80にまで上昇して停止する。
【0052】
このような表皮セット内治具2Aの搬出作動は、表皮セット部6で上下表皮4,5を表皮セット治具3にセットしている間に行われる。内治具戻し部80に戻された表皮セット内治具2Aは、表皮セット部6で上下表皮4,5を表皮セット治具3にセットした後この表皮セット内治具2Aを中継部34に送った後、オペレータにより表皮セット部6に移され、本クランプ機構23を解放し縫製表皮を表皮セット内治具2Aから外し、空になった内治具2は次の上下表皮4,5のセットに再使用される。なお、内治具戻し部80において表皮セット内治具2Aが搬出台車86から降ろされると第2搬出リフト88は下降して搬出台車86を内治具戻し部80の下方位置にまで下ろし、搬出台車86は表皮セット内治具待機部37の下方位置にまで復動する。これら搬出ライン11での各動作はシーケンス制御で行われる。
【0053】
ひとつの縫製装置で縫製形状を異にする2種の内治具2に見合った縫製を実施できるように、図18に示すごとく縫製品を特定する縫製形状等の情報からなるバーコードを印刷したラベル90を内治具2に貼付し、その内治具2を縫製部9へ搬入する途上で搬入ライン10の所定箇所に設置したバーコードリーダ(図示せず)でそのバーコードを読み取って内治具2に応じた縫製形状に縫製するものとすることができる。
【0054】
表皮セット部6は1箇所に設置することに限られず、図1に示すように、第1表皮セット部6Aと第2表皮セット部6Bの2つを並列配置することができる。この場合、搬出ライン11は搬出途中部位から第1表皮セット部6Aへの帰路と第2表皮セット部6Bへの帰路とに分岐して構成する。これによれば、縫製形状が同一の場合は縫製作業の能率アップを倍増できる。縫製形状が異なる場合は、内治具2に貼付したラベル90に印刷された縫製品を特定する縫製形状等の情報からなるバーコードをバーコードリーダで読み取って内治具2に応じた縫製形状に縫製するという上記構成を採用することと相俟って2種の縫製を同時に進行することができる。
【0055】
上記自動搬入ライン10に代えて、表皮セット部6で上下表皮4,5をセットした内治具2は人手作業または他の搬入手段により外治具1から取り出して縫製部9へ搬入することもできる。また、上記搬出ライン11に代えて、ミシン本体8で縫合された縫製表皮を保持した内治具2は人手作業または他の搬出手段により縫製部9から表皮セット部6の内治具戻し部80へ搬出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例の縫製装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1の縫製装置の正面図である。
【図3】図1の縫製装置の左側面図である。
【図4】図1の縫製装置の右側面図である。
【図5】図1の縫製装置の表皮セット部および中継部の平面図である。
【図6】図1の縫製装置の表皮セット部および中継部の側面図である。
【図7】図1の縫製装置の表皮セット部の背面図であり、(a)はセット直後の状態図、(b)はセット後、上昇した状態図である。
【図8】図1の縫製装置の表皮セット部および内治具戻し部の背面図である。
【図9】図1の縫製装置の外治具と内治具の平面図である。
【図10】図1の縫製装置の外治具の下表皮位置決めガイド板および下表皮位置決めガイドの平面図である。
【図11】図10におけるA−A線断面図である。
【図12】図10におけるB−B線断面図である。
【図13】図1の縫製装置の外治具の中間板および上表皮ガイドの平面図である。
【図14】図13におけるC−C線断面図である。
【図15】図13におけるD−D線断面図である。
【図16】図1の縫製装置の外治具の上表皮クランプの配列状態を示す平面図である。
【図17】図16におけるE−E線断面図であって、(a)は下表皮を内治具の下表皮受けプレートに載せた状態を仮想線で示し、(b)は下表皮の上に上表皮を重ねた状態を仮想線で示している。
【図18】図1の縫製装置の内治具を本クランプ前の状態で示す平面図である。
【図19】図1の縫製装置の内治具を本クランプ前の状態で示す側面図である。
【図20】図1の縫製装置の内治具を本クランプ状態で示す平面図である。
【図21】図1の縫製装置の内治具を本クランプ状態で示す側面図である。
【図22】図20におけるF−F線断面図である。
【図23】図20におけるG−G線断面図である。
【図24】図1の縫製装置の内治具の下表皮受けプレートの平面図である。
【図25】図1の縫製装置の内治具の下表皮受けプレートの側面図である。
【図26】図1の縫製装置のミシン本体と表皮セット内治具の移動軸の関係を示す図である。
【図27】縫製形状の図形の任意点Aでの座標系を示す図である。
【図28】縫製形状の図形の線上での分割形式を示す図である。
【図29】縫製時での次の目標地点を算出法を説明する図である。
【図30】縫製時でのミシン本体と表皮セット内治具との相対姿勢を示す図である。
【図31】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの待機時の状態を示す平面図である。
【図32】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットのボビンケース交換時の状態を示す平面図である。
【図33】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの待機時の状態を示す正面図である。
【図34】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットのボビンケース交換時の状態を示す正面図である。
【図35】図1の縫製装置のボビンチエンジャーの待機時の状態を示す正面図である。
【図36】図1の縫製装置のボビンチエンジャーのボビンケース交換時の状態を示す正面図である。
【図37】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの位置決めピンおよび位置決めピン受を結合前の状態を示す平面図である。
【図38】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの位置決めピンと位置決めピン受の結合時の状態を示す平面図である。
【図39】上表皮および下表皮の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 外治具
2 内治具
2A 表皮セット内治具
3 表皮セット治具
4 上表皮
4a 上表皮の外周縁部
5 下表皮
5a 下表皮の外周縁部
6 表皮セット部
6A 第1表皮セット部
6B 第2表皮セット部
7 縫い針
8 ミシン本体
9 縫製部
12 下表皮位置決めガイド板
13 下表皮位置決めガイド
14 上表皮押えクランプ
16 中間板
16a 上表皮受部
17 中間板昇降用シリンダ
18 上表皮押えクランプ用シリンダ
20 上表皮位置決めガイド
21 センサー
22 下表皮受けプレート
23 本クランプ機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の座席シートや背凭れシート、あるいはエアバッグ等の縫製において外周縁が曲線状に裁断された複数枚の表皮をその外周縁が縫い代分だけ露出するように表皮セット治具で重ね合わせてセットしたうえで、その外周縁を縫製する縫製装置、および表皮セット治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円や楕円、円弧、楕円弧、あるいはその他の曲線状に裁断され縫製対象となる複数の表皮(縫製生地)をその外周縁部分が露出するように表皮セット治具(縫製生地保持具)で重ね合わせて保持し、その外周縁を縫製する装置として、表皮を保持した表皮セット治具を縫製装置の縫製生地支持台上に水平回転可能に支持させ、表皮セット治具の支持位置に対してミシン本体を直線的に接離移動させるとともに、ミシン本体の針軸の軸芯を中心にしてミシン本体を水平回動可能に支持させ、ミシン本体を表皮セット治具の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮の外周縁部分をミシン本体で縫合するようにしたものが提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
かかる縫製装置によれば、縫製形状が円や円弧は勿論、楕円や楕円弧あるいはS字等の複合曲線でも容易に自動縫製することができる。
【特許文献1】特開2007−97791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の表皮をその曲線状の外周縁が位置合わせのずれなく正確に揃えて露出するように重ね合わせて表皮セット治具でセットする作業は容易でなく、縫製作業能率の低下の原因になっていた。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたもので、表皮の治具へのセット作業性の向上、および表皮の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮を外周縁どうしの位置合わせにずれなく正確に重ね合わすことができて縫い代の均一化を図れる縫製装置および表皮セット治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の縫製装置は、請求項1に記載のように、発明の内容を理解し易くするために図1〜図39に付した符号を参照して説明すると、外治具(1)と内治具(2)からなる表皮セット治具(3)に、所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮(4),(5)を重ね合わせて該上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)が内治具(2)の外周から外方へ露出するようにセットする表皮セット部(6)と、内治具(2)にセットされた上下表皮(4),(5)の露出した外周縁部(4a),(5a)を、縫い針(7)を備えたミシン本体(8)で縫合する縫製部(9)とを備える。
外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備える。
内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備える。
縫製部(9)は、上下表皮(4),(5)をセットした内治具(2)を縫製部(9)の所定位置に支持軸芯(Z)回りに水平回転可能に支持する内治具支持部(52)と、この内治具支持部(52)に対して接離移動するミシン支持台(53)と、ミシン支持台(53)に針軸(N)の軸芯回りに回動可能に支持させたミシン本体(8)とを備え、ミシン本体(8)を内治具(2)の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)をミシン本体(8)で縫合するように構成している。
【0007】
上記構成の縫製装置によると、表皮セット部(6)では、予め外治具(1)で上下表皮(4),(5)を縫製対象となる外周縁部(4a),(5a)どうしが揃うように重ね合わせる仮セットをすることができ、そのうえで、内治具(2)で上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)どうしが内治具(2)の外周から外方へ縫い代分だけ露出するように本クランプ機構(23)で下表皮受けプレート(22)上に押え付けて保持する本セットを行うことができる。したがって、上下表皮(4),(5)の内治具(2)へのセット作業が容易に行え、しかも上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれなく正確な位置合わせ状態に本セットすることができる。
縫製部(9)ではミシン本体(8)を内治具(2)の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)をミシン本体(8)で縫合することにより、上下表皮(4),(5)の曲線状の外周縁部(4a),(5a)も容易に自動縫製することができる。
【0008】
請求項1記載の縫製装置は、請求項2に記載のように、外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられるという構成を採用することができる。
【0009】
この構成によると、下表皮(5)の上に上表皮(4)を重ね合わす前に、中間板(16)を中間板昇降用シリンダ(17)で下降させることで下表皮(5)の外周縁部(5a)を下表皮位置決めガイド板(12)上に押え付ける状態を得ることができ、この押え付け状態下で上表皮(4)の外周縁部(4a)を上表皮押えクランプ(14)で下表皮(5)の外周縁部(5a)上に押え付けることができる。したがって、上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれのない正確な位置合わせ状態に本セットすることができるという上記作用効果を更に高めることができる。
【0010】
請求項1又は2に記載の縫製装置は、請求項3に記載のように、上表皮位置決めガイド(20)には、上表皮(4)の外周縁部(4a)を検出して上表皮押えクランプ用シリンダ(18)に作動信号を発するセンサー(21)を設置するという構成を採用することができる。この構成によると、上表皮(4)の外周縁部(4a)をセンサー(21)により自動的に確実に検出することができ、上表皮押えクランプ(14)による上表皮押え固定精度を向上することができる。
【0011】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の縫製装置は、請求項4に記載のように、各上表皮押えクランプ(14)により上表皮(4)の外周縁部(4a)を周方向に部分的に押える長さ(L)よりも複数個のセンサー(21)による検出領域(K)を大きくするという構成を採用することができる。この構成によると、上表皮(4)のセットずれ防止を更に確実なものにすることができる。
【0012】
本発明の表皮セット治具は、請求項5に記載のように、外治具(1)と内治具(2)からなり、外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備えており、内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備えていることに特徴を有するものである。
【0013】
上記構成の表皮セット治具によると、予め外治具(1)で上下表皮(4),(5)を縫製対象となる外周縁部(4a),(5a)どうしが揃うように重ね合わせる仮セットをすることができ、そのうえで、内治具(2)で上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)どうしが内治具(2)の外周から外方へ縫い代分だけ露出するように本クランプ機構(23)で下表皮受けプレート(22)上に押え付けて保持する本セットを行うことができる。したがって、上下表皮(4),(5)の内治具(2)へのセット作業が容易に行え、しかも上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれなく正確な位置合わせ状態に本セットすることができる。
【0014】
請求項5記載の表皮セット治具は、請求項6に記載のように、外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられるという構成を採用することができる。
【0015】
この構成によると、下表皮(5)の上に上表皮(4)を重ね合わす前に、中間板(16)を中間板昇降用シリンダ(17)で下降させることで下表皮(5)の外周縁部(5a)を下表皮位置決めガイド板(12)上に押え付ける状態を得ることができ、この押え付け状態下で上表皮(4)の外周縁部(4a)を上表皮押えクランプ(14)で下表皮(5)の外周縁部(5a)上に押え付けることができる。したがって、上下表皮(4),(5)の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮(4),(5)を外周縁部(4a),(5a)どうしの位置合わせにずれのない正確な位置合わせ状態に本セットすることができるという上記作用効果を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上下表皮の内治具へのセット作業が容易に行えて作業性を向上でき、しかも上下表皮の厚みや硬さ等の物性変化に左右されることなくして上下表皮を外周縁どうしの位置合わせにずれなく正確な位置合わせ状態に本セットすることができるため、縫い代の均一化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例の縫製装置の全体構成を示す平面図、図2は図1の縫製装置の正面図、図3は図1の縫製装置の左側面図、図4は図1の縫製装置の右側面図である。
【0018】
本発明の縫製装置は、図1〜図4に示すように、図9に示すごとき外治具1と内治具2からなる表皮セット治具3に、図39に示すごとき所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮4,5を重ね合わせて該上下表皮4,5の外周縁部4a,5aどうしが図17(b)に仮想線で示すごとく内治具2の外周から外方へ縫い代分だけ露出するようにセットする表皮セット部6と、内治具2にセットされた上下表皮4,5の露出した外周縁部4a,5aを、縫い針7を備えたミシン本体8で縫合する縫製部9とを備える。必要に応じて、表皮セット部6と縫製部9との間には上下表皮4,5のセットされた内治具2を外治具1から取り出して縫製部9へ自動搬入する搬入ライン10、およびミシン本体8で縫合された縫製表皮を保持した内治具2を縫製部9から表皮セット部6へ自動搬出する搬出ライン11を設ける。
【0019】
(外治具)
図10、図12、図16、図17に示すように、外治具1は、表皮セット部6の定位置に設置されて下表皮5の外周縁部5aを受ける下表皮位置決めガイド板12と、下表皮位置決めガイド板12上に固定され、下表皮5の外周縁部5aの外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド13と、下表皮位置決めガイド板12上で上表皮4の外周縁部4aを下表皮5の外周縁部5aに対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ14とを備える。
下表皮位置決めガイド板12は、下表皮5の馬蹄形状等曲線状に裁断された外周縁に沿う形状の内周縁を有する形に形成されて図5、図7に示す表皮セット架台15上に固定される(図11参照)。図10、図12に示すように、下表皮位置決めガイド13は下表皮位置決めガイド板12上に下表皮5の外周縁部5aを受ける外周縁部受け面12aを形成すべく重合固定される。
【0020】
(中間板)
また、図13〜図17に示すように、下表皮位置決めガイド板12の上側には、下表皮位置決めガイド13の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板16が複数の中間板昇降用シリンダ17で上下動可能に下表皮位置決めガイド板12と平行に対向配備される。中間板16の内周縁寄りの上方に、下表皮5の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ14が中間板16の内周縁に沿って並列状に装備される。各上表皮押えクランプ14は中間板16に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ18でクランプガイド部材19の案内下で上下動可能に中間板16に装備される。中間板16の内周縁に沿って上表皮4の外周縁部4aを受ける上表皮受部16aと、上表皮4の外周縁部4aの外端を受け止める上表皮位置決めガイド20が上表皮押えクランプ14の下方に対向するように設けられる。
【0021】
上表皮押えクランプ14による上表皮押え固定精度を向上するために、図16に示すように、下表皮5の外周縁の曲率の大きい円弧部分に対応する箇所に配される各上表皮押えクランプ14の上表皮4を押える長さLは、比較的に曲率の小さい円弧部や略直線部に対応する箇所に配される上表皮押えクランプ14の長さLよりも短く形成されて小刻みに並列配置される。その際、下表皮5の外周縁の曲率の大きい円弧部分に対応する箇所に配される各上表皮押えクランプ14において、オペレータから見て中央の上表皮押えクランプ14(14C)よりも手前側の上表皮押えクランプ14(14S)の長さLを、向かい側の上表皮押えクランプ14(14P)の長さLよりも更に短く形成して小刻み並列配置する。これはオペレータが手前側では手先が見え難くて上表皮4の外周縁部4aを上表皮位置決めガイド20に当接するまで小刻みに順次押し込む指先作業が、指先が見やすい向かい側での押し込み作業よりも困難で位置合わせずれが生じやすいのを更に確実に防止するためである。なお、上表皮4の上表皮押えクランプ14による押え付け順序(上記押し込み順序)は、先ず中央の上表皮押えクランプ14(14C)から始め、引き続いて中央の上表皮押えクランプ14(14C)に隣接する手前側の上表皮押えクランプ14(14S)による押せ付けを順次行い、その後に中央の上表皮押えクランプ14(14C)に隣接する向かい側の上表皮押えクランプ14(14P)による押え付けを順次行う。
【0022】
そして、図14、図15に示すように、上表皮位置決めガイド20には、上表皮4の外周縁4aを検出して上表皮押えクランプ用シリンダ18に信号を発するセンサー21を設置している。詳しくは、曲率の大きい円弧部分に配置される上表皮位置決めガイド20の上部には、図15に示すように上表皮4の外周縁4aを検出して当該箇所に配置された上表皮押えクランプ用シリンダ18に作動信号を発する光電スイッチ21aによるセンサー21を設置している。比較的に曲率の小さい円弧部や略直線部に配置される上表皮位置決めガイド20には、図14に示すように上表皮4の外周縁4aを検出して当該箇所に配置された上表皮押えクランプ用シリンダ18に作動信号を発する近接スイッチ21bおよびスイッチドグ21cによるセンサー21を設置している。
【0023】
(内治具)
図18〜図25に示すように、内治具2は、当初、外治具1の下表皮位置決めガイド板12の内側に該下表皮位置決めガイド板12と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮5を受ける下表皮受けプレート22と、下表皮受けプレート22上で上表皮4の外周縁部4aを下表皮5の外周縁部5aに対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構23とを備える。
図24に示すように、下表皮受けプレート22は、下表皮5の馬蹄形状等曲線状に裁断された外周縁に沿う形状の外周縁を有する形に形成され、中央部に下部センター孔24を設けている。
本クランプ機構23は、下表皮受けプレート22の上面に伏臥する姿勢(図23参照)と、下表皮受けプレート22の上面から起立する姿勢(図19参照)とに亘って軸25回りに起伏回動自在に下表皮受けプレート22に取り付けられた枠状の押え部材26と、押え部材26を伏臥姿勢に保持するロック状態とアンロック状態に切換え可能なトグルクランプ等よりなるクランプ27とを備える。押え部材26は押え枠26aに押え板ばね26bを付けている。押え部材26には上部センター孔28、および上部センター孔28の周辺位置に配される複数個の搬送用孔29を有する上部センター板30が架設されている。
【0024】
上記構成の表皮セット部6では、予め外治具1で上下表皮4,5を縫製対象となる外周縁部4a,5aどうしが揃うように重ね合わせる仮セットをしたうえで、内治具2で上下表皮4,5の外周縁部4a,5aどうしが内治具2の外周から外方へ縫い代分だけ露出するように本セットする。
【0025】
すなわち、先ず、図9、図17(a)に示すように、オペレータにより外治具1の下表皮位置決めガイド板12の内側に内治具2が、下表皮受けプレート22を下表皮位置決めガイド板12と略面一状になるように水平に位置決め保持される。その保持は下表皮受けプレート22の下部センター孔24(図24参照)が外治具1内の中央に設置した下表皮受けプレート受センター軸31(図5参照)に嵌合することにより行われる。
次いで、図17(a)に示すように、オペレータにより下表皮5が内治具2の下表皮受けプレート22に載せられるとともに、下表皮5の外周縁部5aがこの外端を下表皮位置決めガイド13に当接させるように下表皮位置決めガイド板12の外周縁部受け面12a上に載置される。そして、下表皮5の外周縁部5aはバキュームチャンバ49および外周縁部受け面12aに列設した吸気孔32からの吸気作用により外周縁部受け面12a上に吸着保持される。次いで、図17(b)に示すように中間板16が中間板昇降用シリンダ17で下降して下表皮5の外周縁部5aを押さえ付ける。
【0026】
次いで、図17(b)に示すように、オペレータにより上表皮4が下表皮5の上に重ねられる。このとき、オペレータの手作業で上表皮4の外周縁部4aが周方向に部分的に順次中間板16の上表皮受部16aと各上表皮押えクランプ14との間に上表皮位置決めガイド20に当るまで押し込まれる。そして、上表皮4の外周縁部4aの各部分が押し込まれる毎にこれをセンサー21で検出しこの信号を受けて作動する上表皮押えクランプ用シリンダ18で下降される各上表皮押えクランプ14で順次押えられて行く。
その際、上表皮4のセットずれ防止を更に確実なものにするために、図16に示すように、一つの上表皮押えクランプ14は隣り合う数個のセンサー21がオンしてはじめて作用して上表皮4の外周縁部4aを押える方式(隣り合う数個のセンサー21によるセンサー検出量(長さ)を、一つの上表皮押えクランプ14による押し付け長さよりも大きくしている)方式を採用する。すなわち、各上表皮押えクランプ14により上表皮4の外周縁部4aを周方向に部分的に押える長さ(量)Lよりも隣り合う数個のセンサー21による検出領域Kを大きくする。
【0027】
上表皮4の外周縁部4aが上表皮押えクランプ14で下表皮5の外周縁部5a上に押えられた後、オペレータによって枠状の押え部材26が軸25回りに伏臥姿勢方向に回動されて該押え部材26が上表皮4上の上表皮押えクランプ14より内側に下ろされる。しかる後、クランプ27の締め付け作動で押え部材26を押し下げて押え部材26の伏臥姿勢をロック保持する。これにより、図17(b)に仮想線で示すように、上下表皮4,5が内治具2に外周縁部4a,5aを外部に露出するようにセットされた状態が得られる。
このセット後、各上表皮押えクランプ14が上表皮押えクランプ用シリンダ18で原位置に押し上げられ、また中間板16が中間板昇降用シリンダ17で原位置に押し上げられてそれぞれによる上表皮押え作用を解除する。次いで、図6に示すように、内治具2が内治具昇降用シリンダ33で押し上げられることにより外治具1から上方へ取り出される。この取り出された内治具2はオペレータにより後述する搬入ライン10の中継部34にローラーコンベヤ35上を滑らせて移送される。
【0028】
(搬入ライン)
内治具2に縫製対象となる外周縁部4a,5aを外部に露出させた状態でセットされた上下表皮4,5(以下、単に「表皮セット内治具2A」という)は、搬入ライン10によって縫製部9の所定位置、すなわち内治具2の下部センター孔24を受ける内治具センター受具36が設置されて内治具2を該内治具センター受具36回りに水平回転可能に支持する位置にまで自動的に搬入される。搬入ライン10は、図1、図2に示すように、表皮セット部6からオペレータによって前方へ移送される表皮セット内治具2Aを受け継ぐ中継部34と、中継部34からの表皮セット内治具2Aを一時的に待機させる表皮セット内治具待機部37と、表皮セット内治具2Aを表皮セット内治具待機部37から縫製部9の内治具センター受具36にまで搬入させる表皮セット内治具搬入駆動部38とを備える。
【0029】
図1、図5に示すように、中継部34は表皮セット架台15の前方延長線より上方位置に配備されるローラーコンベヤ35と、ストッパー39、昇降可能な内治具センター受具40を備える。表皮セット部6において、図6に示すように、表皮セット内治具2Aが内治具昇降用シリンダ33により上昇した後、オペレータによってローラーコンベヤ35上にストッパー39に当るまで押込まれることで下部センター孔24が内治具センター受具40の上方位置に達するまで移送されて停止する。
【0030】
図1、図2に示すように、表皮セット内治具待機部37は、中継部34の一側方にローラーコンベヤ35と直交する左右方向に亘って配備されるベルトコンベヤ41と、内治具センター受具昇降用シリンダ42で昇降可能な内治具センター受具43を備える。中継部34において表皮セット内治具2Aが内治具センター受具40の上昇作動により下部センター孔24に嵌合して押し上げられると、ベルトコンベヤ41が駆動することにより表皮セット内治具2Aは下部センター孔24が内治具センター受具43の上方位置に達するまで運搬されて待機する。
【0031】
表皮セット内治具搬入駆動部38は、表皮セット内治具待機部37のベルトコンベヤ41の延長線上でかつ縫製部9の内治具センター受具36に達する位置にまで配備される搬入コンベヤ44と、搬入コンベヤ44の上方に平行に配備されたレール45に沿って走行可能でかつ搬入用ピン昇降用シリンダ48で昇降可能な内治具搬入用ピン46と、内治具センター押え具47とを備える。表皮セット内治具待機部37において表皮セット内治具2Aが内治具センター受具43の上昇作動により下部センター孔24に嵌合して押し上げられるとともに治具搬入用ピン46の下降により表皮セット内治具2Aの搬送用孔29に嵌合すると、治具搬入用ピン46がレール45に沿って縫製部9の方向に走行する同時に搬入コンベヤ44により表皮セット内治具2Aは下部センター孔24が内治具センター受具36の上方位置に達するまで搬入される。当該位置に搬入後、内治具センター押え具47が下降し表皮セット内治具2Aの上部センター孔28に嵌合して表皮セット内治具2Aのセンター押えが行われ、これにより表皮セット内治具2Aは内治具センター受具36を中心にして水平回転可能に支持される。なお、これら搬入ライン10での各動作はシーケンス制御で行われる。
【0032】
(縫製部)
縫製部9は、上記のように上下表皮4,5をセットした表皮セット内治具2Aを縫製部9の所定位置に内治具センター受具36を中心にして水平回転可能に支持させ、表皮セット内治具2Aの支持位置に対して本縫いミシン等のミシン本体8を直線的に接離移動させるとともに、ミシン本体8の針軸Nの軸芯を中心にミシン本体8を水平回動可能に支持させ、ミシン本体8を表皮セット内治具2Aの水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮4,5の外周縁部4a,5aをミシン本体8で縫合するように構成している(前出の特開2007−97791号公報参照)。
【0033】
すなわち、縫製部9は、縫製部架台51に内治具センター受具36を備えた内治具支持部52を設置し、また縫製部架台51上にミシン支持台53を内治具支持部52に対して接離移動可能な状態に設置させるとともに、ミシン支持台53にミシン本体8が針軸Nの軸芯を中心にして水平回動可能な状態に設置してある。
【0034】
したがって、縫製部9では、図3、図26に示されているように、表皮セット内治具2Aは内治具支持部52における内治具センター受具36(支持軸芯Z)を回転中心としてACサーボモータ54の駆動で回転し、ミシン本体8は内治具支持部52の支持軸芯Zとミシン本体8の針軸Nとを平面視において結ぶH軸上をACサーボモータ55の駆動で直線的に接離移動し、かつ、ミシン本体8はその針軸Nを回転中心として回動角度θで一定範囲をACサーボモータ56の駆動で往復回動することになる。
【0035】
次に、この縫製部9で行われる曲線自動縫製について説明する。
図27に示すように、まず、CAD等で描かれた任意の縫製形状曲線Sの図形に対して、内治具支持部52の支持軸芯Zの位置を原点位置として決定し、その縫製形状曲線Sの図形に対して任意点AのX−Y座標を求める。そして、原点位置での表皮セット内治具2Aの回転角度をR、原点位置から図形上の任意点Aまでの長さをH、針軸Nの軸芯回りの回動角度をθとして求めたX−Y座標を機械の座標系であるR−H−θ座標系に変換する(図27参照)。この作業を連続的に行い、縫製形状のすべての座標を求める。ここで、ミシン本体8の回動角度θは任意点Aでの縫製形状曲線Sに対する法線方向がミシン本体8の中心軸Mと直交する角度である。
【0036】
このR−H−θ座標系の座標を作成する方式としては、図28(A)に示すように縫製形状曲線Sを内治具支持部52の支持軸芯Z回りに固定等角度(dR)で分割した線を放射状に伸ばし、縫製形状曲線Sとの交点位置の座標のR−H−θを求め、テーブルを作成する方式と、図28(B)に示すように縫製形状曲線Sの線上を任意の固定距離Pで分割し、その座標のR−H−θを求め、テーブルを作成する方式とがある。
【0037】
そして、固定等角度分割方式の場合、原点位置から縫製形状曲線Sの交点位置までの距離Hが大きくなるにつれて、縫製形状外周での各座標間の距離が大きくなるため、実縫製時の狙い位置精度が低くなる。一方、固定ピッチ分割方式の場合、原点位置から縫製形状曲線Sの交点位置までの距離Hに影響を受けることなく縫製形状外周での各座標間の距離を一定にすることができるから、精度は安定する。しかし、いずれの方式であっても、分割数に限りがあるので、縫製形状曲線S上の各点間の座標は前後の点の直線補間等で座標を算出することが望ましい。
【0038】
このようにして算出された縫製曲線S上の各部でのR−H−θ座標位置をテーブル化して、図示省略した制御装置の記憶部に格納し、その制御装置からの指令で、表皮セット内治具2Aを回転駆動させるACサーボモータ54(図3参照)、ミシン支持台53をリニア駆動するACサーボモータ55(図3参照)、ミシン本体8を針軸Nの軸芯回りに回動駆動させるACサーボモータ56(図3参照)をそれぞれ制御することにより、任意の縫製形状曲線Sを実現するように構成してある。
【0039】
ミシン本体8においては、縫いピッチは縫合強度に影響を与えることから、非常に重要な要素である。そして、縫製部9では、この縫いピッチを安定させる方式として、連続送り方式と間歇送り方式とがある。
連続送り方式の場合には、前記固定ピッチ分割式で得た座標を使用する。そして、任意に設定した速度で表皮セット内治具2Aを内治具支持部52の支持軸芯Z回りに回転させる。実際には、固定ピッチ分割式で得た座標テーブルのインデックスを固定周期で増加させることで縫製ピッチが安定することになる。ミシン本体8の接離移動および針軸N回りの回動は、現在の表皮セット内治具2Aの回転位置に対応する座標(H,θ)をテーブルから求め、その位置に向かって動作させる。この場合の各軸の動作は連続的なものとなるから、この連続送り方式の場合には、ミシンの特性上、ミシン本体8側に送り機構が必要となる。
【0040】
一方、間歇送り方式では、前記固定等角度分割方式で得た座標と、前記固定ピッチ分割式で得た座標とのいずれの座標でも使用することが可能である。
そして、この間歇送り方式では、現在の位置座標(R,H,θ)と縫製ピッチPから次の針落ち位置(目標位置)となる回転角度R´を次式のようにして求める(図29参照)。
【0041】
【数1】
【0042】
このようにして、得られた回転角度R´の位置に対応する座標(H,θ)をテーブルから求め、ミシン本体8の接離移動および針軸N回りの回動を位置に向かって動作させる。この場合、各軸の動作は間歇的となることから、ミシン本体8側での送り機構は不要になる。
【0043】
前述のようにして得た縫いピッチに基づいて、表皮セット内治具2Aの回転角度、ミシン支持台53の接離移動量、ミシン本体8の回動量を決定し、図30に示すように、任意の形状の縫製形状曲線Sに対して、ミシン本体8の姿勢を変更しながら縫製作業を進行することができる。
【0044】
(ボビンケースチェンジ装置)
図31〜図38に示すように、縫製部9の近傍において、ミシン本体8の回転釜60内に装着されたボビンケース(図示せず)内のボビン(図示せず)の下糸が無くなると、そのボビンケースを新しい交換用ボビンケース61と自動的に交換するためのボビンケースチェンジ装置62を設置する。
【0045】
従来、ボビンチェンジャーそれ自体は周知であり(例えば、特許第2738419号公報等)、そのボビンチェンジャーはミシン本体のミシンベッド(釜土台)に突出状に一体的に常備しているが、これでは、上記実施例のようにミシン本体8全体を直線的に移動させたり水平回動させる方式の縫製システムにおいてはミシン本体から突出するボビンチェンジャーが障害となって縫製可能な表皮は大きいサイズのもののみに限られ、小型サイズの表皮は縫製できないという不利を招き、またミシン本体8の頻繁な移動、回動による振動により交換用ボビンケース61内のボビンに巻かれている下糸が弛むという問題が発生する。
そこで、本実施例のボビンケースチェンジ装置62では、図1、図31に示すように、ボビンチェンジャー63をミシン本体8とは別体に分離して配備し、ボビンチェンジャー63は、常態時(待機時)はミシン本体8の直線的な移動や水平回動動作に支障の無い位置に待機させ(図31参照)、ボビンケース交換時にのみ図34に示すようにミシン本体8の上部ミシンベッド(釜土台)64に接近移動させてボビンチェンジャー63とミシン本体8とを結合することでボビンケース交換を可能にし、交換後はボビンチェンジャー63を原位置に戻して待機させるようにする。
【0046】
図33に示すように、ボビンケースチェンジ装置62は、ミシン本体8の下部ミシンベッド65に略同一高さ位置に並べてボビンチェンジャーユニット支持台66を設置し、このボビンチェンジャーユニット支持台66にボビンチェンジャー63が取り付けられる。ボビンチェンジャー63それ自体は既述のように周知のものであって、図35に示すように、複数の交換用ボビンケース61を環状に等間隔置きに配置するボビンケースカセット67と、交換用ボビンケース61を着脱するチャック68と、チャック68を回転釜60とボビンケースカセット67との間をチャック移動用シリンダ69で支持プレート70に設けた案内溝71に沿って移動させるチャック移動手段72と、これらボビンケースカセット67、チャック68、およびチャック移動手段72を支持する支持プレート70とを備える。
【0047】
図31、図33に示すように、このボビンチェンジャー63と、ボビンチェンジャー63を直線的に進退動させるボビンチェンジャー移動用シリンダ73とを一体的に組み合わせてボビンチェンジャーユニット74を構成し、このボビンチェンジャーユニット74はボビンチェンジャーユニット支持台66にボビンチェンジャーユニット回転用シリンダ75で回転軸76を中心にして水平回転可能に搭載される。そして、図37に示すように、ボビンチェンジャー63の支持プレート70に位置決めピン77を取り付ける一方、ミシン本体8の回転釜60より下方の下部ミシンベッド65にピン穴78aを有する位置決めピン受78を取り付ける。
【0048】
待機時、図31に示すように、ボビンチェンジャーユニット74はミシン本体8の直線移動や水平回動に干渉することのないようにミシン本体8と略平行な状態にある。ボビンケース交換時には、ボビンチェンジャーユニット74は回転軸76を中心に所定角度だけ水平回転し、ミシン本体8は針軸Nを中心に所定角度だけ水平回動して、図32、図33に示すようにボビンチェンジャーユニット74とミシン本体8とが互いに直角になるように変向する。次いで、図34に示すようにボビンチェンジャーユニット74がミシン本体8に向けて矢印Q方向に前進して、図38に示すように位置決めピン77が位置決めピン受78のピン穴78aに嵌合することでミシン本体8とボビンチェンジャーユニット74とを結合する。
【0049】
この結合後、ボビンチェンジャー63は稼動し、交換用ボビンケース61を交換する。すなわち、ミシン本体8とボビンチェンジャーユニット74の結合後、チャック68が案内溝71に沿ってボビンケースカセット67から離れる方向へ移動し、回転釜60内に向かって移動して回転釜60内の使用済みボビンケース(図示せず)を保持する。引き続いて、チャック68が案内溝71に沿って復動してボビンケースカセット67に向かって移動し、保持している使用済みボビンケースを離し、ボビンケースカセット67の空き部にセットするか、あるいは下方の排出シュート(図示せず)に向けて落下する。さらに引き続いて、チャック68はボビンケースカセット67内の交換用ボビンケース61を取り出して、再び回転釜60に向かって移動し、回転釜60内に交換用ボビンケース61をセットして交換を終える。交換後、チャック68は案内溝71に沿ってボビンケースカセット67に向かって原位置に戻り、またボビンチェンジャーユニット74が後退する。後退後、ボビンチェンジャーユニット74は図31のようにミシン本体8と略平行な待機位置に復帰する。
【0050】
(搬出ライン)
縫製後、表皮セット内治具2Aは縫製された表皮を備えた状態のまま搬出ライン11によって縫製部9から表皮セット部6の近接位置である内治具戻し部80へ自動的に搬出される。
図1、図2、図8に示すように、搬出ライン11は、搬入ライン10の搬入コンベヤ44の延長線上に配備される第1搬出コンベヤ81と、第1搬出コンベヤ81の上方で前記レール45の延長部45aに沿って走行可能でかつピン昇降用シリンダ82で昇降可能な内治具搬出用ピン83と、第1搬出コンベヤ81の延長線上の箇所で昇降動可能な第1搬出リフト84と、第1搬出リフト84の下降終端位置から搬入ライン10の下方箇所に亘って配備された第2搬出ベルトコンベヤ85と、第2搬出ベルトコンベヤ85と直交して前記表皮セット内治具待機部37の下方位置と表皮セット部6の左側方に設置した内治具戻し部80の下方位置との間で台車駆動機構87により走行駆動するように配備された搬出台車86と、内治具戻し部80の下方位置で搬出台車86を昇降させる第2搬出リフト88(図8参照)とを備える。
【0051】
縫製後、内治具搬出用ピン83の下降により表皮セット内治具2Aの搬送用孔29に嵌合し、内治具搬出用ピン83がレール45の延長部45aに沿って搬出方向に走行する同時に第1搬出コンベヤ81により表皮セット内治具2Aは上昇位置にある第1搬出リフト84に載せられ、第1搬出リフト84の下降作動により下降して第2搬出ベルトコンベヤ85に移載され運搬されて搬出台車86に移載される。表皮セット内治具2Aを載せた搬出台車86は内治具戻し部80の下方位置にまで走行駆動し、当該位置で表皮セット内治具2Aは搬出台車86に載せられたまま第2搬出リフト88の上昇作動で内治具戻し部80にまで上昇して停止する。
【0052】
このような表皮セット内治具2Aの搬出作動は、表皮セット部6で上下表皮4,5を表皮セット治具3にセットしている間に行われる。内治具戻し部80に戻された表皮セット内治具2Aは、表皮セット部6で上下表皮4,5を表皮セット治具3にセットした後この表皮セット内治具2Aを中継部34に送った後、オペレータにより表皮セット部6に移され、本クランプ機構23を解放し縫製表皮を表皮セット内治具2Aから外し、空になった内治具2は次の上下表皮4,5のセットに再使用される。なお、内治具戻し部80において表皮セット内治具2Aが搬出台車86から降ろされると第2搬出リフト88は下降して搬出台車86を内治具戻し部80の下方位置にまで下ろし、搬出台車86は表皮セット内治具待機部37の下方位置にまで復動する。これら搬出ライン11での各動作はシーケンス制御で行われる。
【0053】
ひとつの縫製装置で縫製形状を異にする2種の内治具2に見合った縫製を実施できるように、図18に示すごとく縫製品を特定する縫製形状等の情報からなるバーコードを印刷したラベル90を内治具2に貼付し、その内治具2を縫製部9へ搬入する途上で搬入ライン10の所定箇所に設置したバーコードリーダ(図示せず)でそのバーコードを読み取って内治具2に応じた縫製形状に縫製するものとすることができる。
【0054】
表皮セット部6は1箇所に設置することに限られず、図1に示すように、第1表皮セット部6Aと第2表皮セット部6Bの2つを並列配置することができる。この場合、搬出ライン11は搬出途中部位から第1表皮セット部6Aへの帰路と第2表皮セット部6Bへの帰路とに分岐して構成する。これによれば、縫製形状が同一の場合は縫製作業の能率アップを倍増できる。縫製形状が異なる場合は、内治具2に貼付したラベル90に印刷された縫製品を特定する縫製形状等の情報からなるバーコードをバーコードリーダで読み取って内治具2に応じた縫製形状に縫製するという上記構成を採用することと相俟って2種の縫製を同時に進行することができる。
【0055】
上記自動搬入ライン10に代えて、表皮セット部6で上下表皮4,5をセットした内治具2は人手作業または他の搬入手段により外治具1から取り出して縫製部9へ搬入することもできる。また、上記搬出ライン11に代えて、ミシン本体8で縫合された縫製表皮を保持した内治具2は人手作業または他の搬出手段により縫製部9から表皮セット部6の内治具戻し部80へ搬出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例の縫製装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1の縫製装置の正面図である。
【図3】図1の縫製装置の左側面図である。
【図4】図1の縫製装置の右側面図である。
【図5】図1の縫製装置の表皮セット部および中継部の平面図である。
【図6】図1の縫製装置の表皮セット部および中継部の側面図である。
【図7】図1の縫製装置の表皮セット部の背面図であり、(a)はセット直後の状態図、(b)はセット後、上昇した状態図である。
【図8】図1の縫製装置の表皮セット部および内治具戻し部の背面図である。
【図9】図1の縫製装置の外治具と内治具の平面図である。
【図10】図1の縫製装置の外治具の下表皮位置決めガイド板および下表皮位置決めガイドの平面図である。
【図11】図10におけるA−A線断面図である。
【図12】図10におけるB−B線断面図である。
【図13】図1の縫製装置の外治具の中間板および上表皮ガイドの平面図である。
【図14】図13におけるC−C線断面図である。
【図15】図13におけるD−D線断面図である。
【図16】図1の縫製装置の外治具の上表皮クランプの配列状態を示す平面図である。
【図17】図16におけるE−E線断面図であって、(a)は下表皮を内治具の下表皮受けプレートに載せた状態を仮想線で示し、(b)は下表皮の上に上表皮を重ねた状態を仮想線で示している。
【図18】図1の縫製装置の内治具を本クランプ前の状態で示す平面図である。
【図19】図1の縫製装置の内治具を本クランプ前の状態で示す側面図である。
【図20】図1の縫製装置の内治具を本クランプ状態で示す平面図である。
【図21】図1の縫製装置の内治具を本クランプ状態で示す側面図である。
【図22】図20におけるF−F線断面図である。
【図23】図20におけるG−G線断面図である。
【図24】図1の縫製装置の内治具の下表皮受けプレートの平面図である。
【図25】図1の縫製装置の内治具の下表皮受けプレートの側面図である。
【図26】図1の縫製装置のミシン本体と表皮セット内治具の移動軸の関係を示す図である。
【図27】縫製形状の図形の任意点Aでの座標系を示す図である。
【図28】縫製形状の図形の線上での分割形式を示す図である。
【図29】縫製時での次の目標地点を算出法を説明する図である。
【図30】縫製時でのミシン本体と表皮セット内治具との相対姿勢を示す図である。
【図31】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの待機時の状態を示す平面図である。
【図32】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットのボビンケース交換時の状態を示す平面図である。
【図33】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの待機時の状態を示す正面図である。
【図34】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットのボビンケース交換時の状態を示す正面図である。
【図35】図1の縫製装置のボビンチエンジャーの待機時の状態を示す正面図である。
【図36】図1の縫製装置のボビンチエンジャーのボビンケース交換時の状態を示す正面図である。
【図37】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの位置決めピンおよび位置決めピン受を結合前の状態を示す平面図である。
【図38】図1の縫製装置のボビンチエンジャーユニットの位置決めピンと位置決めピン受の結合時の状態を示す平面図である。
【図39】上表皮および下表皮の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 外治具
2 内治具
2A 表皮セット内治具
3 表皮セット治具
4 上表皮
4a 上表皮の外周縁部
5 下表皮
5a 下表皮の外周縁部
6 表皮セット部
6A 第1表皮セット部
6B 第2表皮セット部
7 縫い針
8 ミシン本体
9 縫製部
12 下表皮位置決めガイド板
13 下表皮位置決めガイド
14 上表皮押えクランプ
16 中間板
16a 上表皮受部
17 中間板昇降用シリンダ
18 上表皮押えクランプ用シリンダ
20 上表皮位置決めガイド
21 センサー
22 下表皮受けプレート
23 本クランプ機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外治具(1)と内治具(2)からなる表皮セット治具(3)に、所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮(4),(5)を重ね合わせて該上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)が内治具(2)の外周から外方へ露出するようにセットする表皮セット部(6)と、
内治具(2)にセットされた上下表皮(4),(5)の露出した外周縁部(4a),(5a)を、縫い針(7)を備えたミシン本体(8)で縫合する縫製部(9)と、を備えており、
外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備え、内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備えており、
縫製部(9)は、上下表皮(4),(5)をセットした内治具(2)を縫製部(9)の所定位置に支持軸芯(Z)回りに水平回転可能に支持する内治具支持部(52)と、この内治具支持部(52)に対して接離移動するミシン支持台(53)と、ミシン支持台(53)に針軸(N)の軸芯回りに回動可能に支持させたミシン本体(8)とを備え、ミシン本体(8)を内治具(2)の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)をミシン本体(8)で縫合するように構成していることを特徴とする、縫製装置。
【請求項2】
外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられている、請求項1記載の縫製装置。
【請求項3】
上表皮位置決めガイド(20)には、上表皮(4)の外周縁(4a)を検出して上表皮押えクランプ用シリンダ(18)に作動信号を発するセンサー(21)を設置している、請求項2記載の縫製装置。
【請求項4】
各上表皮押えクランプ(14)により上表皮(4)の外周縁部(4a)を周方向に部分的に押える長さ(L)よりも複数個のセンサー(21)による検出領域(K)を大きくする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の縫製装置。
【請求項5】
外治具(1)と内治具(2)からなり、外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備えており、
内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備えていることを特徴とする、表皮セット治具。
【請求項6】
外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられている、請求項5記載の表皮セット治具。
【請求項1】
外治具(1)と内治具(2)からなる表皮セット治具(3)に、所定形状に裁断された少なくとも2枚の上下表皮(4),(5)を重ね合わせて該上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)が内治具(2)の外周から外方へ露出するようにセットする表皮セット部(6)と、
内治具(2)にセットされた上下表皮(4),(5)の露出した外周縁部(4a),(5a)を、縫い針(7)を備えたミシン本体(8)で縫合する縫製部(9)と、を備えており、
外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備え、内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備えており、
縫製部(9)は、上下表皮(4),(5)をセットした内治具(2)を縫製部(9)の所定位置に支持軸芯(Z)回りに水平回転可能に支持する内治具支持部(52)と、この内治具支持部(52)に対して接離移動するミシン支持台(53)と、ミシン支持台(53)に針軸(N)の軸芯回りに回動可能に支持させたミシン本体(8)とを備え、ミシン本体(8)を内治具(2)の水平回転に基づき、接離移動および針軸芯回りに回動するように制御しながら上下表皮(4),(5)の外周縁部(4a),(5a)をミシン本体(8)で縫合するように構成していることを特徴とする、縫製装置。
【請求項2】
外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられている、請求項1記載の縫製装置。
【請求項3】
上表皮位置決めガイド(20)には、上表皮(4)の外周縁(4a)を検出して上表皮押えクランプ用シリンダ(18)に作動信号を発するセンサー(21)を設置している、請求項2記載の縫製装置。
【請求項4】
各上表皮押えクランプ(14)により上表皮(4)の外周縁部(4a)を周方向に部分的に押える長さ(L)よりも複数個のセンサー(21)による検出領域(K)を大きくする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の縫製装置。
【請求項5】
外治具(1)と内治具(2)からなり、外治具(1)は、表皮セット部(6)の定位置に設置され、下表皮(5)の外周縁部(5a)を受ける下表皮位置決めガイド板(12)と、下表皮位置決めガイド板(12)上に固定され、下表皮(5)の外周縁部(5a)の外形に沿う形状に形成された下表皮位置決めガイド(13)と、下表皮位置決めガイド板(12)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な上表皮押えクランプ(14)とを備えており、
内治具(2)は、外治具(1)の下表皮位置決めガイド板(12)の内側に該下表皮位置決めガイド板(12)と略面一状に且つ取り出し可能に配置されて下表皮(5)を受ける下表皮受けプレート(22)と、下表皮受けプレート(22)上で上表皮(4)の外周縁部(4a)を下表皮(5)の外周縁部(5a)に対し押さえ付ける姿勢と、押さえ付けを解除する姿勢とに切換え可能な本クランプ機構(23)とを備えていることを特徴とする、表皮セット治具。
【請求項6】
外治具(1)は、下表皮位置決めガイド板(12)の上側に、下表皮位置決めガイド(13)の外周縁に略沿う形状の内周縁を有する中間板(16)が複数の中間板昇降用シリンダ(17)で上下動可能に下表皮位置決めガイド板(12)と平行に対向配備され、中間板(16)の内周縁寄りの上方に、下表皮(5)の外周に沿って分割された複数の上表皮押えクランプ(14)が中間板(16)の内周縁に沿って並列状に装備され、各上表皮押えクランプ(14)は中間板(16)に一体的に取り付けられた上表皮押えクランプ用シリンダ(18)で上下動可能に中間板(16)に装備され、中間板(16)の内周縁に沿って上表皮(4)の外周縁部(4a)を受ける上表皮受部(16a)と、上表皮(4)の外周縁部(4a)の外端を受け止める上表皮位置決めガイド(20)が上表皮押えクランプ(14)の下方に対向するように設けられている、請求項5記載の表皮セット治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2009−297336(P2009−297336A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156577(P2008−156577)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【出願人】(000104777)クインライト電子精工株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【出願人】(000104777)クインライト電子精工株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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