脱穀装置
【課題】 脱穀装置の大型化。
【構成】 脱穀室8の下方で処理物移送方向の終端側に揺動選別装置15を有する風選室13設け、揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は、前記送風唐箕10の唐箕ケーシング11の上方に位置させると共に上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成し、該グレンラック17と揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設け、前記揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設け、該副選別風入力部20は前記揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、該エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風するように構成した脱穀装置。
【構成】 脱穀室8の下方で処理物移送方向の終端側に揺動選別装置15を有する風選室13設け、揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は、前記送風唐箕10の唐箕ケーシング11の上方に位置させると共に上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成し、該グレンラック17と揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設け、前記揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設け、該副選別風入力部20は前記揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、該エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風するように構成した脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものであり、特に、揺動選別装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、扱胴の下方を扱網により包囲した脱穀室の下方に送風唐箕を設け、脱穀室の下方から処理物移送方向の終端側に風選室を設け、該風選室に送風唐箕の送風と該送風方向の往復揺動により穀粒を選別する揺動選別装置を設け、該揺動選別装置は、揺動選別棚の始端部に移送突起を揺動方向に並設してグレンラックを形成し、該グレンラックの下方に副送風唐箕を設け、該グレンラックの後方に設けたグレンラックに送風するようにした構成は公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−140247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例では、脱穀室の下方に上下2段にグレンラックを設け、このグレンラックは前後に一部重なるように並設しているため、非常に装置が大型になるという課題がある。
この構成は、単に、グレンシーブへ続く後側のグレンラック上に送風するために、副送風唐箕を設け、ここに副送風唐箕を設けたために、副送風唐箕の上方にもグレンラックを設ける必要が生じたもので、非常に無駄な構成となっている。
本願は、揺動選別棚の構成を工夫し、合理的な構成とし、小スペースの小型化したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、扱胴7の下方を扱網9により包囲した脱穀室8の下方に送風唐箕10を設け、脱穀室8の下方から処理物移送方向の終端側に風選室13設け、該風選室13に送風唐箕10の送風と該送風方向の往復揺動により穀粒を選別する揺動選別装置15を設け、該揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は、前記送風唐箕10の唐箕ケーシング11の上方に位置させると共に上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成し、該グレンラック17と該グレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設け、前記揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設け、該副選別風入力部20は前記揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、該エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風するように構成した脱穀装置としたものであり、脱穀室8に供給された穀稈は回転する扱胴7により脱穀され、扱網9より落下した落下物は揺動選別装置15の揺動選別棚14のグレンラック17上に落下し、グレンラック17上の落下物は移送突起16によりグレンシーブ24に向けて移送され、グレンシーブ24により穀粒と異物が選別され、穀粒はグレンシーブ24より落下し、藁屑等はチャフシーブ26に移送され、更に選別する。
揺動選別棚14の前端部に幅方向に複数設けた副選別風入力部20からの送風は、一旦、エアチャンバー室21に入り、エアチャンバー室21により均分化されて、揺動選別棚14の始端部のグレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間の副選別風路19に送風される。副選別風路19に送風された風はグレンラック17の下方を抜けて、グレンシーブ24に送風され、グレンシーブ24の始端部における風選を効率よく行える。
本発明は、前記底板18の後部は前記唐箕ケーシング11に合わせて後側に至るに従い低く傾斜させた傾斜底板部22に形成し、該傾斜底板部22の上方には副選別風ガイド23を設け、該副選別風ガイド23は、前側を略平らな前側平坦部23Aに形成し、後側は後方に至るに従い低く傾斜させた後側傾斜部23Bに形成した脱穀装置としたものであり、副選別風入力部20からの送風がエアチャンバー室21により均分化されて、揺動選別棚14の始端部のグレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間の副選別風路19に送風され、副選別風路19に送風された風は副選別風ガイド23に案内されてそのままグレンシーブ24の下方を終端に向けて送風する。また、副選別風路19内の送風量を確保するので、グレンシーブ24から落下した穀粒が副選別風路19に戻る逆流を防止する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、脱穀室8の下方ではなく別途設けた送風機の風を、揺動選別棚14の始端部のグレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間の副選別風路19に送風する構成のため、スペースを有効利用して小型にでき、エアチャンバー室21により均分化してグレンシーブ24に送風するので、流入抵抗を減少させ、送風量を所定以上確保でき、グレンシーブ24の始端部における風選を効率よく行える。
請求項2の発明では、相対的に長さを短くしたグレンラック17の終端に、グレンシーブ24の前端を可及的に接近させても、グレンシーブ24から落下する穀粒の副選別風路19への逆流を防止でき、副選別風路19からの副選別風をグレンシーブ24に確実供給して選別効率を向上させる。
【実施例1】
【0006】
本発明の実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンクである。
前記脱穀装置3の上部には扱胴7を扱胴軸6により軸装した脱穀室8を設け、扱胴7の主として下方側は扱網9により包囲し、扱網9の下方には送風唐箕10の唐箕ケーシング11を設け、送風唐箕10は脱穀室8に穀稈を供給する穀稈供給装置12の穀稈搬送方向の前側(始端側)から後側(終端側)へと送風する。前記脱穀室8の下方から後方にかけては前記送風唐箕10の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室13を形成し、風選室13内には、送風唐箕10の送風方向に往復揺動する揺動選別棚14により構成した揺動選別装置15を設ける。
【0007】
揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は唐箕ケーシング11の上方に位置させ、上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成する。グレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設ける。揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設ける。副選別風入力部20は揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風する。実施例で副選別風入力部20は、ノズルにより形成している。
この場合、副選別風入力部20により直接送風すると、副選別風入力部20の開口面積に対して副選別風路19の断面積が急激に小さくなり、送風の流入抵抗が大きくなり、送風量が低下するが、エアチャンバー室21を設けているので、流入抵抗を減少させて、送風量を所定以上確保し、また、エアチャンバーの効果により風量を揺動選別棚14の幅方向で均分化する。
即ち、複数の副選別風入力部20により導いた副選別風を直接副選別風路19に送風すると、副選別風入力部20付近の送風が強くなって、風の流入抵抗が大きくなり、送風量が低下するが、揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21にて調圧して揺動選別棚14の幅方向に均分化した後に副選別風路19に送風することにより、流入抵抗を減少させて、送風量を所定以上確保する。
【0008】
しかして、前記底板18の後部は前記唐箕ケーシング11に合わせて後側に至るに従い低く傾斜させた傾斜底板部22に形成し、傾斜底板部22の上方には副選別風ガイド23を設ける。副選別風ガイド23は、前側を略平らな前側平坦部23Aに形成し、後側は後方に至るに従い低く傾斜させた後側傾斜部23Bに形成し、前側平坦部23Aを底板18に、後側傾斜部23Bを傾斜底板部22に夫々固定する。
前記副選別風ガイド23の前側平坦部23Aは前記グレンラック17の後端下方に位置させ、後側傾斜部23Bの上方にはクリンプ網等により構成したグレンシーブ24の前端部を臨ませる。
したがって、相対的に、グレンラック17の長さを短くし、グレンシーブ24の前端を可及的に前方に位置させても、グレンシーブ24から落下する穀粒の副選別風路19への逆流を副選別風ガイド23が防止し、副選別風路19からの副選別風をグレンシーブ24に確実供給して選別効率を向上させる。
即ち、副選別風ガイド23を設けないと、グレンラック17と底板18(傾斜底板部22)との間隔が大きくなって、グレンシーブ24から落下する穀粒が副選別風路19へ逆流し、そのため、グレンラック17の後端を更に後側に伸ばすことになり、その分、グレンシーブ24の前端位置が後退して選別効率が低下するのであるが、本願はこれを防止する。
また、副選別風ガイド23を設けないと、副選別風路19からの送風がグレンシーブ24に届くまでに下方に抜けて、風選効率が落ちるが、本願では、副選別風ガイド23を設けているので、副選別風路19からの送風をグレンシーブ24に誘導し、風選効率を向上させる。
25はグレンシーブ24の前後中間部下面に設けたプレシーブ、26はグレンシーブ24の後側に設けたチャフシーブ、27はグレンシーブ24の後部下方に設けた前部濾過制御シーブ、28は選別網、29は前記唐箕ケーシング11に設けた主選別風出口、30は一番コンベア、31は二番コンベア、32は一番コンベア30と二番コンベア31の間に設けた副送風唐箕、33は二番コンベアに接続した二番戻し装置、34は風選室13の終端に設けた排塵ファンである。
【0009】
しかして、前記刈取部4の各部の作業速度(刈取搬送速度)と、穀稈供給装置穀稈供給装置12の穀稈搬送速度とは同調するように、エンジン36の回転を無段変速装置(HST)37を介してミッション38に伝達し、ミッション38から刈取部4と前記穀稈供給装置12に回転伝達するように構成する。ミッション38の刈取出力軸39に出力プーリ40を設ける。
前記刈取部4を支持する前後方向の支持フレーム41を回動自在に取付けた刈取懸架台42と脱穀室8との間にブラケット43を設け、該ブラケット43にシャフト44を設け、該シャフト44に設けたプーリ45と前記出力プーリ40の間にベルト46を掛け回す。
したがって、刈取部4の作業速度(刈取搬送速度)と、穀稈供給装置12の穀稈搬送チエン47の穀稈搬送速度とを同調させるに当たり、刈取懸架台42の後方を通すことで、狭いスペースを有効に使用できる。また、前記シャフト44は脱穀室8の始端部下方に固定のブラケット43に軸装しているため、脱穀室8の強度も向上させられる。また、前記ベルト46は、シャフト44の内側のプーリ45に掛け回すことで、刈取懸架台42の内側に配置され、ナローガイド等との干渉を抑制する。
48は穀稈搬送チエン47の駆動歯車、49は駆動歯車48の回転軸50を設けた伝動ケースである。
【0010】
しかして、図9の実施例では、刈取部4の各部の作業速度(刈取搬送速度)と、穀稈供給装置12の穀稈搬送速度とを同調させるシンクロ伝動経路Xとは、別に、前記駆動歯車48に至る一定伝動経路Yを設け、前記シンクロ伝動経路Xはシンクロクラッチ52が入りのとき駆動歯車48に回転を伝達し、前記一定伝動経路Yはシンクロクラッチ52が切りのとき駆動歯車48に一定の所定回転を伝達するように構成する。
刈取部4との同調回転を伝達するシンクロ伝動経路Xと一定の所定回転を伝達する一定伝動経路Yとを設けることで、手扱き作業時の穀稈供給装置12の搬送速度を適切に設定できる。
即ち、刈取作業時は、車速に対して同調(フルシンクロ)させることで、刈取性能および脱穀性能を安定させ、主変速レバー等の他の操作をすることなく、シンクロクラッチ52を切りにすることで、駆動歯車48に一定の所定回転を伝達して手扱き作業を行える。
実施例では、シャフト44と回転軸50の間に中間軸53を設け、中間軸53に歯車54を設け、歯車54にエンジン36からの一定回転を伝達している。55はエンジン36から前記揺動選別装置15に伝達された回転を出力する一定伝動経路Yの中間出力軸、56は中間出力軸55に設けた歯車、58は歯車56と歯車54に掛け回したチエンである。
また、前記中間軸53にはクラッチ60を設け、クラッチ60は前記シンクロクラッチ52と反対に作動し、シンクロクラッチ52が入りのときクラッチ60は切りになり、シンクロクラッチ52が切りのときクラッチ60は入りとなる。
また、前記出力プーリ40およびプーリ45は、夫々ワンウエイクラッチ61を介して刈取出力軸39およびシャフト44に取付けられ、刈取出力軸39からの駆動回転は伝達するが、クラッチ60が入りとなったときの逆回転はシャフト44および出力プーリ40に対して回転フリーとなるように構成している。
【0011】
しかして、前記クラッチ60は一対の爪クラッチ62により構成し、一方の爪クラッチ62はシフタ63により他方の爪クラッチ62に継脱するようにし、シフタ63には前記シンクロクラッチ52を操作しうる刈脱クラッチレバー64と操作伝達部材65Aにより連結する。また、刈脱クラッチレバー刈脱クラッチレバー64とシンクロクラッチ52とは操作伝達部材65Bにより連結する。
この場合、シンクロクラッチ52およびクラッチ60は、一方が切れて他方が繋がる間に、両者が共に切りとなるように構成する。
即ち、例えば、シンクロクラッチ52が入り状態のときクラッチ60は切れており、支持フレーム41が切りになってもすぐにクラッチ60を繋がず、一旦、両者が共に切りとなってからクラッチ60が入りとなるようにしている。
したがって、シンクロ伝動経路Xと一定伝動経路Yの二つが同時に入りとなって、伝達経路が破損することを防止する。
なお、実施例では、前記刈脱クラッチレバー64により刈取クラッチ66と脱穀クラッチ67も操作するように構成しており、刈脱クラッチレバー64を一番手前に倒すと(図13、図14)、刈取クラッチ66および脱穀クラッチ67の両者が「切」、次に一段刈脱クラッチレバー64を操作すると(図13、図15)、刈取クラッチ66は「切」で脱穀クラッチ67が「入」、このとき前記クラッチ60も「入」になる。次にもう一段刈脱クラッチレバー64を入り方向に操作すると(図13、図16)、クラッチ60が「切」になって刈取クラッチ66が「入」になり、シンクロクラッチ52も「入」になる。そして、クラッチ60の「切」とシンクロクラッチ52の「入」の間にシンクロクラッチ52も「切」の区間を設けている。
【0012】
しかして、前記伝動ケース49は、前記回転軸50を設けた外側ケース68と、前記クラッチ60を設けた内側ケース69とに分割して形成し、外側ケース68と内側ケース69との間に中間ケース70を設け、中間ケース70の一部はステー71に形成し、ステー71を任意の固定部に固定する。
また、中間出力軸55の端部はステー71のカップリング72に着脱自在に取付け、ステー71は中間出力軸55から外れるように構成し、メンテナンスを容易にしている(図12)。
【0013】
しかして、前記伝動ケース49の外側ケース68と内側ケース69と中間ケース70は、夫々着脱自在に取付ける。
したがって、内側ケース69は、前記中間出力軸55からの回転を伝達する歯車56と歯車54とにチエン58を掛けたままで着脱でき、メンテナンスを容易にする。
【0014】
しかして、前記シャフト44には小歯車73を固定し、小歯車73は中間軸53に設けた大歯車74に噛み合わせて減速するようにし、この減速機構の下手側の大歯車74は中間軸53に摺動のみに自在に取付けて前記クラッチ60の一方の爪クラッチ62を設ける。
したがって、減速機構の下手側の大歯車74と爪クラッチ62が一体化され、コンパクトで且つ安価である。
【0015】
しかして、前記回転軸50へのシンクロ伝動経路Xおよび一定伝動経路Yの二つの伝達経路中であって、且つ、前記シンクロクラッチ52およびクラッチ60の下手側の伝達経路中には、前記穀稈供給装置12を停止させるチエン停止クラッチ75を設ける。
チエン停止クラッチ75は、シンクロ伝動経路Xまたは一定伝動経路Yのどちらで穀稈供給装置12を駆動させていても、駆動を停止させられる。
チエン停止クラッチ75は、例えば爪クラッチにより形成し、前記回転軸50に設けた歯車76と移動回転部材77との間に形成する。歯車76は回転軸50に回転自在に取付け、歯車76には中間軸53に設けた歯車78を噛み合わせている。一方、移動回転部材77は回転軸50に摺動のみ自在に取付け、シフタ79により軸方向に移動し、歯車76に設けた係合爪と継脱して歯車76の回転を回転軸50に伝達する。
この場合、歯車76と移動回転部材77により形成したチエン停止クラッチ75は、前記外側ケース68内に設けているので、コンパクトにできる。
【0016】
しかして、前記シンクロ伝動経路Xおよび一定伝動経路Yの二つの伝達経路で穀稈供給装置12を駆動させるものにおいて、前記穀稈供給装置12の搬送チエン47の始端部上方には搬送チエン47の上方の穀稈搬送位置と退避位置との間移動自在の移動挾持杆80を設け、該移動挾持杆80の位置により前記シンクロ伝動経路Xと一定伝動経路Yとを切替得るように構成してもよい。
実施例では、移動挾持杆80を作用させたときはクラッチ60を切ってシンクロクラッチ52を入りにしてシンクロ状態(走行速度・刈取速度に同調)、移動挾持杆80を退避させると、シンクロクラッチ52を切ってクラッチ60を入りにして一定速度で搬送する。
即ち、手扱き作業のとき、移動挾持杆80を退避させるので、そのときに、シンクロ状態から一定搬送速度に切替えられ、操作性が向上する。
81は移動挾持杆80の位置を感知する検出部(センサ)、82はシンクロクラッチ52およびクラッチ60を入り切りさせるアクチュエータである。
【0017】
しかして、図22〜図24は、脱穀装置3の他の実施例であり、脱穀室8には、二つの扱胴7を別々の前側扱胴軸6Aと後側扱胴軸6Bにより軸方向に並設し、前側扱胴7Aはその下方を穀稈を通過させる下扱き回転とし、後側扱胴7Bは前側扱胴7Aと反対回転で扱胴7の上方を穀稈を通過させる上扱き回転となるように構成する。
前側扱胴7Aは下扱きで脱粒・こなし作用を行い、後側扱胴7Bは脱粒作用を行い、特に、後側扱胴7Bは穀稈の裏側(下側)の脱粒を行うことで、扱き残しを減少させる。
また、後側扱胴7Bは上扱きなので、前側扱胴7Aで発生した藁屑に影響されずに脱粒させることができ、脱粒効率を向上させられる。
【0018】
しかして、前記前側扱胴7Aと後側扱胴7Bとの間にはガイド83を設ける。ガイド83は、軸棒形状に形成し、前側扱胴7Aを設けた前側脱穀室8Aの前側穀稈排出口84と後側扱胴7Bを設けた後側脱穀室8Bの後側穀稈供給口85の間に位置するように設ける。ガイド83は前端部を前側穀稈排出口84を設けた中間縦板86に固定し、ガイド83の後端は後側穀稈供給口85に臨ませて自由端に形成している。
ガイド83は、前側脱穀室8Aの前側穀稈排出口84から後側脱穀室8Bの後側穀稈供給口85へ穀稈を案内するので、穀稈の穂先が下方に垂れるのを支持して、後側穀稈供給口85へ案内し、搬送を円滑にしてロスを減少させる。
【0019】
前記後側扱胴7Bは、その前側部分を前端が小径で後側に至るに従い大径となるテーパー部87に形成する。
したがって、前側脱穀室8Aの前側穀稈排出口84から斜め上側後方の後側脱穀室8Bの後側穀稈供給口85への搬送軌跡に、後側扱胴7Bの形状が干渉するのを抑制し、引継が円滑となって、穀稈の穂先をスムーズに後側穀稈供給口85から後側脱穀室8Bに入れられる。
【0020】
しかして、前記前側扱胴7Aは前側から前側扱胴軸6Aに回転伝達し、後側扱胴7Bは後側から後側扱胴軸6Bに逆回転を伝達するが、後側扱胴7Bの回転を前側扱胴7Aよりも速く回転させると、脱穀効率を向上させて好適である。
即ち、単に、扱胴7の回転を上げると、穂切れが発生するので、前側扱胴7Aは穂切れが発生しない所定速度で回転させ、後側扱胴7Bは前側扱胴7Aよりも速く回転させることで脱粒を促進させる。
【0021】
しかして、前側扱胴7Aと後側扱胴7Bの側方(反穀稈供給装置12側)には、夫々副胴88A、88Bを設ける。前側扱胴7Aの後側側部には前記前側副胴88Aの前端部が重なるように設け、前側副胴88Aは風選室13の後方まで脱穀物を搬送しながら処理するようにする。また、前記、後側扱胴7Bの側部には前記後側副胴88Bの後部が重なるように設け、後側副胴88Bは前側脱穀室8Aの始端部(前側)まで脱穀物を搬送しながら処理し、揺動選別棚14の始端部に供給する。
また、前側扱胴7Aは下扱きのため、前側扱胴軸6Aより下方に前側副胴88Aを位置させ、後側扱胴7Bは上扱きのため、後側扱胴軸6Bより上方後側副胴88Bを位置させ、前側扱胴7Aと後側扱胴7Bの夫々から前側副胴88Aと後側副胴88Bの夫々に脱穀物の移動を円滑にしている。
このように、前側扱胴7Aと後側扱胴7Bの側方に、夫々副胴88A、88Bを設けているから、前側扱胴7Aの扱網9から落下しない処理物は前側副胴88Aに入って再度こなし作用を受けて単粒化され、前側処理網89Aから揺動選別棚14に落下して風選され、前側副胴88Aの前側処理網89Aから落下しない藁屑等は直接機外へ排出される。
一方、前側扱胴7Aで脱穀された穀稈は穀稈供給装置12で後側脱穀室8Bに搬送されて脱穀され、後側脱穀室8Bの扱網9から落下しない処理物は後側副胴88Bに入って前方に搬送され、搬送中に処理されて、後側処理網89Bから落下しない処理物は揺動選別棚14の始端部に供給される。
この場合、後側扱胴7Bは上扱きであり、前側扱胴7Aに比し大きな藁屑が発生しないので、揺動選別棚14の始端部まで戻すことで、選別効率を向上させて、ロスの発生を減少させる。
【0022】
しかして、図25は、脱穀装置3について新規な原理により脱穀する装置(以下、脱粒装置とする)の実施例であり、穀稈供給装置12により搬送中の穀稈に軸棒(軸線)形状の当接体90を相対的に当接させ、穀稈より穀粒Kを脱粒させるものである。
即ち、従来の脱穀装置は扱胴の外周に設けた扱歯Pにより穀粒Kに矢印P方向に力を作用させて脱粒させる構成のため、大きな荷重が必要となって穂先がそのまま契れる「穂切れ」が発生し、また、藁屑も大量に発生するという課題があるが、本願は、穀稈に当接体90を衝突させ、穀粒Kに矢印Q方向に曲げ荷重Qを作用させ、穂切れを発生させずに脱粒させる(図25)。
したがって、前記当接体90は穀粒Kの大きさに対応させて所定のピッチの網体(ネット)91により形成し(図26)、網体91と穀稈とを相対移動させて衝突させると、穀粒Kは穀稈から脱粒する。
図28は、前記脱粒原理に基づく脱粒装置3の実施例の正面視を示し、所定ピッチの網体(ネット)91を、穀稈搬送通路の上下両側に相対峙させて、一組の網体91とし、該一組の網体91は穀稈搬送方向に複数並設する。各網体91は任意の上下動機構92により上下する上下移動体93に取付け、穀稈供給装置12により搬送中の穀稈に上下方向から当接する。
この場合、上下一対の網体91は、交互に上側と下側とに高さを相違させて千鳥状に配置している。
即ち、上下一対の網体91は所定の間隔を保持したまま上下するように構成する。
この場合、各網体91は、穀稈搬送方向において隣接する網体91との間を網または変形可能な板状の連結部材94により連結してもよい。
また、前記上下動機構92は、穀稈供給装置12の搬送方向と平行なカムシャフト95を左右側板96に軸装し、カムシャフト95にロッド97の基部を取付け、ロッド97の先端に網体91を取付けた上下移動体93を固定している。
このように、上下する網体91が搬送中の穀稈に衝突するので、穀粒Kに曲げ荷重が作用して脱粒する。
また、網体91(上下移動体93)は、搬送方向に複数設けているので、脱粒室8の終端側でも脱粒させることができる。
【0023】
図30、図31は、他の実施例を示し、前記一組の上下一対の網体91は側面視において、下向きの円弧または上向きの円弧形状に形成すると共に、穀稈搬送方向において交互に向きを変更して配置する。
即ち、例えば、下向きの円弧の網体91の次には上向きの円弧の網体91を配置し、上向きの円弧の網体91の次には下向きの円弧の網体91を配置する。
したがって、網体91は、穀稈の稈身方向に彎曲形成しているから、穀稈は搬送方向のみならず、稈身方向にも大きく揺らされて曲げ荷重が作用し、脱粒効率を向上させられる。
【0024】
しかして、前記網体91は、ロッド97に変えてシリンダ98によりカムシャフト95に取付け、上下の網体91の間隔を変更自在に構成してもよい。
即ち、穀稈供給装置12により搬送される穀稈の量により上下の網体91の間隔を変化させることで、穀稈と網体91の隙間を一定に保ち、網体91による衝撃を一定にし、安定して脱粒させる。
【0025】
しかして、前記網体91は、一組の上側の網体91と下側の網体91との間隔間隔Sを、始端側に配置した網体91の間隔Sは広く、終端側に至るに従い次第に狭くするように構成する。
穀粒Kが多い始端側に比し、穀粒Kの少ない終端側では間隔Sを狭くして穀粒Kに衝突し易くして、脱粒を促進させる。
【0026】
しかして、図32〜図33は、網体91を縦にして前後に相対峙させたものを一組とし、複数の網体91を左右方向に交互に千鳥状に配置し、この各網体91が上方に設けた穀稈供給装置12により搬送中の穀稈に前後から衝突して脱粒させる。脱粒した穀粒は下方に落下し、揺動選別装置15により選別される。
また、前記カムシャフト95は側板96に軸装し、カムシャフト95にプーリ99を設けているので、網体91の駆動部を左右側面に設けることができ、穀粒が落下するときの障害にならない。
【0027】
しかして、図34、図35は、前記脱粒装置3の他の実施例であり、従来の脱穀装置のように略円形の扱網9を設けて脱粒室8を形成し、脱粒室8内の左右両側には回転プレート100の中心を扱胴軸6により軸装し、回転プレート100の各先端には脱粒室8の軸心方向に長いロール形状に形成した網体91を回転自在に取付けて構成する。
前記二つの網体91は、脱粒室8内に突き出て搬送されている穀稈に、搬送中下側から交互に衝突しながら回転し、これにより穀稈の穀粒Kに曲げ荷重を掛けて脱粒させる。
また、脱粒室8内に突き出る穀稈は、下側から網体91が衝突し、網体91が通過すると、周囲の扱網9に衝突し、穀粒Kは、網体91と扱網9の両方により脱粒させられ、脱粒効率が向上する。
即ち、内に入ってくる穀稈を網体91で上下に振動させることで周囲の扱網9に穂先を衝突させて脱粒させるので、少ない負荷で容易に脱粒させられる。
特に、穀稈の下側は、下側から網体91が衝突して脱粒させられ、穀稈の上側は周囲の扱網9に衝突し、脱粒効率が向上する。
【0028】
しかして、図36、図37は、前記脱粒装置3の他の実施例であり、前記網体91は、穀稈搬送方向に対して交差方向(前後方向)の円筒形状に形成し、前記網体91の内周には十字状のフレーム101の先端を取付け、該フレーム101の基部(中心)は回転軸102に固定し、各回転軸102に回転を伝達するようにし、この網体91を上下に相対峙させて設けて構成する。
前記上下の網体91の間を搬送されている穀稈が搬送中に上下側から衝突し、これにより穀稈の穀粒Kは曲げ荷重を受けて脱粒させられる。
【0029】
しかして、図38、図39は、前記脱粒装置3の他の実施例であり、前記網体91は、穀稈搬送方向に対して交差方向(前後方向)の円筒形状に形成し、網体91は十字状のフレーム101の先端に取付け、該フレーム101は、その基部(中心)を回転軸102を設け、図示は省略するが各回転軸102に回転を伝達するように構成する。103は歯車である。
網体91は、穀稈搬送方向に複数並設し、各網体91は上側と下側とに交互に高さを相違させて千鳥状に配置し、上側の網体91と下側の網体91とは側面視において夫々上下面が重なるように配置している。
穀稈供給装置12により搬送される穀稈は、上下に配置された網体91の間を通過するときに、駆動回転している網体91に衝突して脱粒させられる。
この場合、網体91は上下に千鳥状に配置しているから、搬送中の穀稈は、上下両面とも網体91に衝突し、脱粒させられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同一部を省略した平面図。
【図3】同正面図。
【図4】脱穀装置の縦断側面図。
【図5】同一部拡大図。
【図6】同平面図。
【図7】コンバインの側面図。
【図8】同一部正面図。
【図9】回転伝達機構の概略図。
【図10】穀稈供給装置の駆動歯車付近の平面図。
【図11】シンクロクラッチと刈取クラッチと脱穀クラッチ付近の平面図。
【図12】同一部拡大平面図。
【図13】刈脱クラッチレバーの操作状態を示す側面図。
【図14】シンクロクラッチと刈取クラッチと脱穀クラッチおよび刈脱クラッチレバーの操作状態を示す側面図。
【図15】脱穀クラッチ「入」状態の側面図。
【図16】シンクロクラッチ「入」とクラッチ「切り」、刈取クラッチおよび脱穀クラッチ「入」の刈脱クラッチレバーの操作状態を示す側面図。
【図17】クラッチ付近の平面図。
【図18】伝動ケースの分解状態斜視図。
【図19】コンバインの側面図。
【図20】移動挾持杆の位置を示す側面図。
【図21】シンクロクラッチとクラッチと刈取クラッチと脱穀クラッチの他の実施例の正面図。
【図22】脱穀装置の他の実施例の側面図。
【図23】同正面図。
【図24】同平面図。
【図25】脱粒に関する作用状態図。
【図26】脱粒に関する作用状態図。
【図27】脱粒状態図。
【図28】脱粒装置の実施例の正面図。
【図29】同側面図。
【図30】同他の実施例の網体の側面図。
【図31】同網体の側面図。
【図32】同他の実施例の平面図。
【図33】同側面図。
【図34】同他の実施例の正面図。
【図35】同側面図。
【図36】同他の実施例の正面図。
【図37】同側面図。
【図38】同他の実施例の正面図。
【図39】同側面図。
【符号の説明】
【0031】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱粒装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…扱胴軸、8…脱穀室、9…扱網、10…送風唐箕、唐箕ケーシング11…唐箕ケーシング、12…穀稈供給装置、13…風選室、14…揺動選別棚、15…揺動選別装置、16…移送突起、17…グレンラック、18…底板、19…副選別風路、20…副選別風入力部、21…エアチャンバー室、22…傾斜底板部、23…副選別風ガイド、24…グレンシーブ、25…プレシーブ、26…チャフシーブ、27…前部濾過制御シーブ、28…選別網、29…主選別風出口、30…一番コンベア、31…二番コンベア、32…副送風唐箕、33…二番戻し装置、34…排塵ファン、38…ミッション、39…刈取出力軸、40…出力プーリ、41…支持フレーム、42…刈取懸架台、43…ブラケット、44…シャフト、45…プーリ、46…ベルト、47…搬送チエン、48…駆動歯車、49…伝動ケース、50…回転軸、52…シンクロクラッチ、53…中間軸、54…歯車、55…中間出力軸、56…歯車、60…クラッチ、61…ワンウエイクラッチ、62…爪クラッチ、63…シフタ、64…刈脱クラッチレバー、65…操作伝達部材、66…刈取クラッチ、67…脱穀クラッチ、72…カップリング、57…歯車、58…チエン、71…ステー、73…小歯車、74…大歯車、75…チエン停止クラッチ、76…歯車、77…移動回転部材、79…シフタ、80…移動挾持杆、81…検出部、82…アクチュエータ、83…ガイド、84…前側穀稈排出口、85…後側穀稈供給口、86…中間縦板、87…テーパー部90…当接体、91…網体、93…上下移動体、92…上下動機構、95…カムシャフト、97…ロッド、94…連結部材、96…側板、99…プーリ、98…シリンダ、100…回転プレート、102…回転軸、101…フレーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものであり、特に、揺動選別装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、扱胴の下方を扱網により包囲した脱穀室の下方に送風唐箕を設け、脱穀室の下方から処理物移送方向の終端側に風選室を設け、該風選室に送風唐箕の送風と該送風方向の往復揺動により穀粒を選別する揺動選別装置を設け、該揺動選別装置は、揺動選別棚の始端部に移送突起を揺動方向に並設してグレンラックを形成し、該グレンラックの下方に副送風唐箕を設け、該グレンラックの後方に設けたグレンラックに送風するようにした構成は公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−140247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例では、脱穀室の下方に上下2段にグレンラックを設け、このグレンラックは前後に一部重なるように並設しているため、非常に装置が大型になるという課題がある。
この構成は、単に、グレンシーブへ続く後側のグレンラック上に送風するために、副送風唐箕を設け、ここに副送風唐箕を設けたために、副送風唐箕の上方にもグレンラックを設ける必要が生じたもので、非常に無駄な構成となっている。
本願は、揺動選別棚の構成を工夫し、合理的な構成とし、小スペースの小型化したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、扱胴7の下方を扱網9により包囲した脱穀室8の下方に送風唐箕10を設け、脱穀室8の下方から処理物移送方向の終端側に風選室13設け、該風選室13に送風唐箕10の送風と該送風方向の往復揺動により穀粒を選別する揺動選別装置15を設け、該揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は、前記送風唐箕10の唐箕ケーシング11の上方に位置させると共に上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成し、該グレンラック17と該グレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設け、前記揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設け、該副選別風入力部20は前記揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、該エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風するように構成した脱穀装置としたものであり、脱穀室8に供給された穀稈は回転する扱胴7により脱穀され、扱網9より落下した落下物は揺動選別装置15の揺動選別棚14のグレンラック17上に落下し、グレンラック17上の落下物は移送突起16によりグレンシーブ24に向けて移送され、グレンシーブ24により穀粒と異物が選別され、穀粒はグレンシーブ24より落下し、藁屑等はチャフシーブ26に移送され、更に選別する。
揺動選別棚14の前端部に幅方向に複数設けた副選別風入力部20からの送風は、一旦、エアチャンバー室21に入り、エアチャンバー室21により均分化されて、揺動選別棚14の始端部のグレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間の副選別風路19に送風される。副選別風路19に送風された風はグレンラック17の下方を抜けて、グレンシーブ24に送風され、グレンシーブ24の始端部における風選を効率よく行える。
本発明は、前記底板18の後部は前記唐箕ケーシング11に合わせて後側に至るに従い低く傾斜させた傾斜底板部22に形成し、該傾斜底板部22の上方には副選別風ガイド23を設け、該副選別風ガイド23は、前側を略平らな前側平坦部23Aに形成し、後側は後方に至るに従い低く傾斜させた後側傾斜部23Bに形成した脱穀装置としたものであり、副選別風入力部20からの送風がエアチャンバー室21により均分化されて、揺動選別棚14の始端部のグレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間の副選別風路19に送風され、副選別風路19に送風された風は副選別風ガイド23に案内されてそのままグレンシーブ24の下方を終端に向けて送風する。また、副選別風路19内の送風量を確保するので、グレンシーブ24から落下した穀粒が副選別風路19に戻る逆流を防止する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、脱穀室8の下方ではなく別途設けた送風機の風を、揺動選別棚14の始端部のグレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間の副選別風路19に送風する構成のため、スペースを有効利用して小型にでき、エアチャンバー室21により均分化してグレンシーブ24に送風するので、流入抵抗を減少させ、送風量を所定以上確保でき、グレンシーブ24の始端部における風選を効率よく行える。
請求項2の発明では、相対的に長さを短くしたグレンラック17の終端に、グレンシーブ24の前端を可及的に接近させても、グレンシーブ24から落下する穀粒の副選別風路19への逆流を防止でき、副選別風路19からの副選別風をグレンシーブ24に確実供給して選別効率を向上させる。
【実施例1】
【0006】
本発明の実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンクである。
前記脱穀装置3の上部には扱胴7を扱胴軸6により軸装した脱穀室8を設け、扱胴7の主として下方側は扱網9により包囲し、扱網9の下方には送風唐箕10の唐箕ケーシング11を設け、送風唐箕10は脱穀室8に穀稈を供給する穀稈供給装置12の穀稈搬送方向の前側(始端側)から後側(終端側)へと送風する。前記脱穀室8の下方から後方にかけては前記送風唐箕10の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室13を形成し、風選室13内には、送風唐箕10の送風方向に往復揺動する揺動選別棚14により構成した揺動選別装置15を設ける。
【0007】
揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は唐箕ケーシング11の上方に位置させ、上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成する。グレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設ける。揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設ける。副選別風入力部20は揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風する。実施例で副選別風入力部20は、ノズルにより形成している。
この場合、副選別風入力部20により直接送風すると、副選別風入力部20の開口面積に対して副選別風路19の断面積が急激に小さくなり、送風の流入抵抗が大きくなり、送風量が低下するが、エアチャンバー室21を設けているので、流入抵抗を減少させて、送風量を所定以上確保し、また、エアチャンバーの効果により風量を揺動選別棚14の幅方向で均分化する。
即ち、複数の副選別風入力部20により導いた副選別風を直接副選別風路19に送風すると、副選別風入力部20付近の送風が強くなって、風の流入抵抗が大きくなり、送風量が低下するが、揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21にて調圧して揺動選別棚14の幅方向に均分化した後に副選別風路19に送風することにより、流入抵抗を減少させて、送風量を所定以上確保する。
【0008】
しかして、前記底板18の後部は前記唐箕ケーシング11に合わせて後側に至るに従い低く傾斜させた傾斜底板部22に形成し、傾斜底板部22の上方には副選別風ガイド23を設ける。副選別風ガイド23は、前側を略平らな前側平坦部23Aに形成し、後側は後方に至るに従い低く傾斜させた後側傾斜部23Bに形成し、前側平坦部23Aを底板18に、後側傾斜部23Bを傾斜底板部22に夫々固定する。
前記副選別風ガイド23の前側平坦部23Aは前記グレンラック17の後端下方に位置させ、後側傾斜部23Bの上方にはクリンプ網等により構成したグレンシーブ24の前端部を臨ませる。
したがって、相対的に、グレンラック17の長さを短くし、グレンシーブ24の前端を可及的に前方に位置させても、グレンシーブ24から落下する穀粒の副選別風路19への逆流を副選別風ガイド23が防止し、副選別風路19からの副選別風をグレンシーブ24に確実供給して選別効率を向上させる。
即ち、副選別風ガイド23を設けないと、グレンラック17と底板18(傾斜底板部22)との間隔が大きくなって、グレンシーブ24から落下する穀粒が副選別風路19へ逆流し、そのため、グレンラック17の後端を更に後側に伸ばすことになり、その分、グレンシーブ24の前端位置が後退して選別効率が低下するのであるが、本願はこれを防止する。
また、副選別風ガイド23を設けないと、副選別風路19からの送風がグレンシーブ24に届くまでに下方に抜けて、風選効率が落ちるが、本願では、副選別風ガイド23を設けているので、副選別風路19からの送風をグレンシーブ24に誘導し、風選効率を向上させる。
25はグレンシーブ24の前後中間部下面に設けたプレシーブ、26はグレンシーブ24の後側に設けたチャフシーブ、27はグレンシーブ24の後部下方に設けた前部濾過制御シーブ、28は選別網、29は前記唐箕ケーシング11に設けた主選別風出口、30は一番コンベア、31は二番コンベア、32は一番コンベア30と二番コンベア31の間に設けた副送風唐箕、33は二番コンベアに接続した二番戻し装置、34は風選室13の終端に設けた排塵ファンである。
【0009】
しかして、前記刈取部4の各部の作業速度(刈取搬送速度)と、穀稈供給装置穀稈供給装置12の穀稈搬送速度とは同調するように、エンジン36の回転を無段変速装置(HST)37を介してミッション38に伝達し、ミッション38から刈取部4と前記穀稈供給装置12に回転伝達するように構成する。ミッション38の刈取出力軸39に出力プーリ40を設ける。
前記刈取部4を支持する前後方向の支持フレーム41を回動自在に取付けた刈取懸架台42と脱穀室8との間にブラケット43を設け、該ブラケット43にシャフト44を設け、該シャフト44に設けたプーリ45と前記出力プーリ40の間にベルト46を掛け回す。
したがって、刈取部4の作業速度(刈取搬送速度)と、穀稈供給装置12の穀稈搬送チエン47の穀稈搬送速度とを同調させるに当たり、刈取懸架台42の後方を通すことで、狭いスペースを有効に使用できる。また、前記シャフト44は脱穀室8の始端部下方に固定のブラケット43に軸装しているため、脱穀室8の強度も向上させられる。また、前記ベルト46は、シャフト44の内側のプーリ45に掛け回すことで、刈取懸架台42の内側に配置され、ナローガイド等との干渉を抑制する。
48は穀稈搬送チエン47の駆動歯車、49は駆動歯車48の回転軸50を設けた伝動ケースである。
【0010】
しかして、図9の実施例では、刈取部4の各部の作業速度(刈取搬送速度)と、穀稈供給装置12の穀稈搬送速度とを同調させるシンクロ伝動経路Xとは、別に、前記駆動歯車48に至る一定伝動経路Yを設け、前記シンクロ伝動経路Xはシンクロクラッチ52が入りのとき駆動歯車48に回転を伝達し、前記一定伝動経路Yはシンクロクラッチ52が切りのとき駆動歯車48に一定の所定回転を伝達するように構成する。
刈取部4との同調回転を伝達するシンクロ伝動経路Xと一定の所定回転を伝達する一定伝動経路Yとを設けることで、手扱き作業時の穀稈供給装置12の搬送速度を適切に設定できる。
即ち、刈取作業時は、車速に対して同調(フルシンクロ)させることで、刈取性能および脱穀性能を安定させ、主変速レバー等の他の操作をすることなく、シンクロクラッチ52を切りにすることで、駆動歯車48に一定の所定回転を伝達して手扱き作業を行える。
実施例では、シャフト44と回転軸50の間に中間軸53を設け、中間軸53に歯車54を設け、歯車54にエンジン36からの一定回転を伝達している。55はエンジン36から前記揺動選別装置15に伝達された回転を出力する一定伝動経路Yの中間出力軸、56は中間出力軸55に設けた歯車、58は歯車56と歯車54に掛け回したチエンである。
また、前記中間軸53にはクラッチ60を設け、クラッチ60は前記シンクロクラッチ52と反対に作動し、シンクロクラッチ52が入りのときクラッチ60は切りになり、シンクロクラッチ52が切りのときクラッチ60は入りとなる。
また、前記出力プーリ40およびプーリ45は、夫々ワンウエイクラッチ61を介して刈取出力軸39およびシャフト44に取付けられ、刈取出力軸39からの駆動回転は伝達するが、クラッチ60が入りとなったときの逆回転はシャフト44および出力プーリ40に対して回転フリーとなるように構成している。
【0011】
しかして、前記クラッチ60は一対の爪クラッチ62により構成し、一方の爪クラッチ62はシフタ63により他方の爪クラッチ62に継脱するようにし、シフタ63には前記シンクロクラッチ52を操作しうる刈脱クラッチレバー64と操作伝達部材65Aにより連結する。また、刈脱クラッチレバー刈脱クラッチレバー64とシンクロクラッチ52とは操作伝達部材65Bにより連結する。
この場合、シンクロクラッチ52およびクラッチ60は、一方が切れて他方が繋がる間に、両者が共に切りとなるように構成する。
即ち、例えば、シンクロクラッチ52が入り状態のときクラッチ60は切れており、支持フレーム41が切りになってもすぐにクラッチ60を繋がず、一旦、両者が共に切りとなってからクラッチ60が入りとなるようにしている。
したがって、シンクロ伝動経路Xと一定伝動経路Yの二つが同時に入りとなって、伝達経路が破損することを防止する。
なお、実施例では、前記刈脱クラッチレバー64により刈取クラッチ66と脱穀クラッチ67も操作するように構成しており、刈脱クラッチレバー64を一番手前に倒すと(図13、図14)、刈取クラッチ66および脱穀クラッチ67の両者が「切」、次に一段刈脱クラッチレバー64を操作すると(図13、図15)、刈取クラッチ66は「切」で脱穀クラッチ67が「入」、このとき前記クラッチ60も「入」になる。次にもう一段刈脱クラッチレバー64を入り方向に操作すると(図13、図16)、クラッチ60が「切」になって刈取クラッチ66が「入」になり、シンクロクラッチ52も「入」になる。そして、クラッチ60の「切」とシンクロクラッチ52の「入」の間にシンクロクラッチ52も「切」の区間を設けている。
【0012】
しかして、前記伝動ケース49は、前記回転軸50を設けた外側ケース68と、前記クラッチ60を設けた内側ケース69とに分割して形成し、外側ケース68と内側ケース69との間に中間ケース70を設け、中間ケース70の一部はステー71に形成し、ステー71を任意の固定部に固定する。
また、中間出力軸55の端部はステー71のカップリング72に着脱自在に取付け、ステー71は中間出力軸55から外れるように構成し、メンテナンスを容易にしている(図12)。
【0013】
しかして、前記伝動ケース49の外側ケース68と内側ケース69と中間ケース70は、夫々着脱自在に取付ける。
したがって、内側ケース69は、前記中間出力軸55からの回転を伝達する歯車56と歯車54とにチエン58を掛けたままで着脱でき、メンテナンスを容易にする。
【0014】
しかして、前記シャフト44には小歯車73を固定し、小歯車73は中間軸53に設けた大歯車74に噛み合わせて減速するようにし、この減速機構の下手側の大歯車74は中間軸53に摺動のみに自在に取付けて前記クラッチ60の一方の爪クラッチ62を設ける。
したがって、減速機構の下手側の大歯車74と爪クラッチ62が一体化され、コンパクトで且つ安価である。
【0015】
しかして、前記回転軸50へのシンクロ伝動経路Xおよび一定伝動経路Yの二つの伝達経路中であって、且つ、前記シンクロクラッチ52およびクラッチ60の下手側の伝達経路中には、前記穀稈供給装置12を停止させるチエン停止クラッチ75を設ける。
チエン停止クラッチ75は、シンクロ伝動経路Xまたは一定伝動経路Yのどちらで穀稈供給装置12を駆動させていても、駆動を停止させられる。
チエン停止クラッチ75は、例えば爪クラッチにより形成し、前記回転軸50に設けた歯車76と移動回転部材77との間に形成する。歯車76は回転軸50に回転自在に取付け、歯車76には中間軸53に設けた歯車78を噛み合わせている。一方、移動回転部材77は回転軸50に摺動のみ自在に取付け、シフタ79により軸方向に移動し、歯車76に設けた係合爪と継脱して歯車76の回転を回転軸50に伝達する。
この場合、歯車76と移動回転部材77により形成したチエン停止クラッチ75は、前記外側ケース68内に設けているので、コンパクトにできる。
【0016】
しかして、前記シンクロ伝動経路Xおよび一定伝動経路Yの二つの伝達経路で穀稈供給装置12を駆動させるものにおいて、前記穀稈供給装置12の搬送チエン47の始端部上方には搬送チエン47の上方の穀稈搬送位置と退避位置との間移動自在の移動挾持杆80を設け、該移動挾持杆80の位置により前記シンクロ伝動経路Xと一定伝動経路Yとを切替得るように構成してもよい。
実施例では、移動挾持杆80を作用させたときはクラッチ60を切ってシンクロクラッチ52を入りにしてシンクロ状態(走行速度・刈取速度に同調)、移動挾持杆80を退避させると、シンクロクラッチ52を切ってクラッチ60を入りにして一定速度で搬送する。
即ち、手扱き作業のとき、移動挾持杆80を退避させるので、そのときに、シンクロ状態から一定搬送速度に切替えられ、操作性が向上する。
81は移動挾持杆80の位置を感知する検出部(センサ)、82はシンクロクラッチ52およびクラッチ60を入り切りさせるアクチュエータである。
【0017】
しかして、図22〜図24は、脱穀装置3の他の実施例であり、脱穀室8には、二つの扱胴7を別々の前側扱胴軸6Aと後側扱胴軸6Bにより軸方向に並設し、前側扱胴7Aはその下方を穀稈を通過させる下扱き回転とし、後側扱胴7Bは前側扱胴7Aと反対回転で扱胴7の上方を穀稈を通過させる上扱き回転となるように構成する。
前側扱胴7Aは下扱きで脱粒・こなし作用を行い、後側扱胴7Bは脱粒作用を行い、特に、後側扱胴7Bは穀稈の裏側(下側)の脱粒を行うことで、扱き残しを減少させる。
また、後側扱胴7Bは上扱きなので、前側扱胴7Aで発生した藁屑に影響されずに脱粒させることができ、脱粒効率を向上させられる。
【0018】
しかして、前記前側扱胴7Aと後側扱胴7Bとの間にはガイド83を設ける。ガイド83は、軸棒形状に形成し、前側扱胴7Aを設けた前側脱穀室8Aの前側穀稈排出口84と後側扱胴7Bを設けた後側脱穀室8Bの後側穀稈供給口85の間に位置するように設ける。ガイド83は前端部を前側穀稈排出口84を設けた中間縦板86に固定し、ガイド83の後端は後側穀稈供給口85に臨ませて自由端に形成している。
ガイド83は、前側脱穀室8Aの前側穀稈排出口84から後側脱穀室8Bの後側穀稈供給口85へ穀稈を案内するので、穀稈の穂先が下方に垂れるのを支持して、後側穀稈供給口85へ案内し、搬送を円滑にしてロスを減少させる。
【0019】
前記後側扱胴7Bは、その前側部分を前端が小径で後側に至るに従い大径となるテーパー部87に形成する。
したがって、前側脱穀室8Aの前側穀稈排出口84から斜め上側後方の後側脱穀室8Bの後側穀稈供給口85への搬送軌跡に、後側扱胴7Bの形状が干渉するのを抑制し、引継が円滑となって、穀稈の穂先をスムーズに後側穀稈供給口85から後側脱穀室8Bに入れられる。
【0020】
しかして、前記前側扱胴7Aは前側から前側扱胴軸6Aに回転伝達し、後側扱胴7Bは後側から後側扱胴軸6Bに逆回転を伝達するが、後側扱胴7Bの回転を前側扱胴7Aよりも速く回転させると、脱穀効率を向上させて好適である。
即ち、単に、扱胴7の回転を上げると、穂切れが発生するので、前側扱胴7Aは穂切れが発生しない所定速度で回転させ、後側扱胴7Bは前側扱胴7Aよりも速く回転させることで脱粒を促進させる。
【0021】
しかして、前側扱胴7Aと後側扱胴7Bの側方(反穀稈供給装置12側)には、夫々副胴88A、88Bを設ける。前側扱胴7Aの後側側部には前記前側副胴88Aの前端部が重なるように設け、前側副胴88Aは風選室13の後方まで脱穀物を搬送しながら処理するようにする。また、前記、後側扱胴7Bの側部には前記後側副胴88Bの後部が重なるように設け、後側副胴88Bは前側脱穀室8Aの始端部(前側)まで脱穀物を搬送しながら処理し、揺動選別棚14の始端部に供給する。
また、前側扱胴7Aは下扱きのため、前側扱胴軸6Aより下方に前側副胴88Aを位置させ、後側扱胴7Bは上扱きのため、後側扱胴軸6Bより上方後側副胴88Bを位置させ、前側扱胴7Aと後側扱胴7Bの夫々から前側副胴88Aと後側副胴88Bの夫々に脱穀物の移動を円滑にしている。
このように、前側扱胴7Aと後側扱胴7Bの側方に、夫々副胴88A、88Bを設けているから、前側扱胴7Aの扱網9から落下しない処理物は前側副胴88Aに入って再度こなし作用を受けて単粒化され、前側処理網89Aから揺動選別棚14に落下して風選され、前側副胴88Aの前側処理網89Aから落下しない藁屑等は直接機外へ排出される。
一方、前側扱胴7Aで脱穀された穀稈は穀稈供給装置12で後側脱穀室8Bに搬送されて脱穀され、後側脱穀室8Bの扱網9から落下しない処理物は後側副胴88Bに入って前方に搬送され、搬送中に処理されて、後側処理網89Bから落下しない処理物は揺動選別棚14の始端部に供給される。
この場合、後側扱胴7Bは上扱きであり、前側扱胴7Aに比し大きな藁屑が発生しないので、揺動選別棚14の始端部まで戻すことで、選別効率を向上させて、ロスの発生を減少させる。
【0022】
しかして、図25は、脱穀装置3について新規な原理により脱穀する装置(以下、脱粒装置とする)の実施例であり、穀稈供給装置12により搬送中の穀稈に軸棒(軸線)形状の当接体90を相対的に当接させ、穀稈より穀粒Kを脱粒させるものである。
即ち、従来の脱穀装置は扱胴の外周に設けた扱歯Pにより穀粒Kに矢印P方向に力を作用させて脱粒させる構成のため、大きな荷重が必要となって穂先がそのまま契れる「穂切れ」が発生し、また、藁屑も大量に発生するという課題があるが、本願は、穀稈に当接体90を衝突させ、穀粒Kに矢印Q方向に曲げ荷重Qを作用させ、穂切れを発生させずに脱粒させる(図25)。
したがって、前記当接体90は穀粒Kの大きさに対応させて所定のピッチの網体(ネット)91により形成し(図26)、網体91と穀稈とを相対移動させて衝突させると、穀粒Kは穀稈から脱粒する。
図28は、前記脱粒原理に基づく脱粒装置3の実施例の正面視を示し、所定ピッチの網体(ネット)91を、穀稈搬送通路の上下両側に相対峙させて、一組の網体91とし、該一組の網体91は穀稈搬送方向に複数並設する。各網体91は任意の上下動機構92により上下する上下移動体93に取付け、穀稈供給装置12により搬送中の穀稈に上下方向から当接する。
この場合、上下一対の網体91は、交互に上側と下側とに高さを相違させて千鳥状に配置している。
即ち、上下一対の網体91は所定の間隔を保持したまま上下するように構成する。
この場合、各網体91は、穀稈搬送方向において隣接する網体91との間を網または変形可能な板状の連結部材94により連結してもよい。
また、前記上下動機構92は、穀稈供給装置12の搬送方向と平行なカムシャフト95を左右側板96に軸装し、カムシャフト95にロッド97の基部を取付け、ロッド97の先端に網体91を取付けた上下移動体93を固定している。
このように、上下する網体91が搬送中の穀稈に衝突するので、穀粒Kに曲げ荷重が作用して脱粒する。
また、網体91(上下移動体93)は、搬送方向に複数設けているので、脱粒室8の終端側でも脱粒させることができる。
【0023】
図30、図31は、他の実施例を示し、前記一組の上下一対の網体91は側面視において、下向きの円弧または上向きの円弧形状に形成すると共に、穀稈搬送方向において交互に向きを変更して配置する。
即ち、例えば、下向きの円弧の網体91の次には上向きの円弧の網体91を配置し、上向きの円弧の網体91の次には下向きの円弧の網体91を配置する。
したがって、網体91は、穀稈の稈身方向に彎曲形成しているから、穀稈は搬送方向のみならず、稈身方向にも大きく揺らされて曲げ荷重が作用し、脱粒効率を向上させられる。
【0024】
しかして、前記網体91は、ロッド97に変えてシリンダ98によりカムシャフト95に取付け、上下の網体91の間隔を変更自在に構成してもよい。
即ち、穀稈供給装置12により搬送される穀稈の量により上下の網体91の間隔を変化させることで、穀稈と網体91の隙間を一定に保ち、網体91による衝撃を一定にし、安定して脱粒させる。
【0025】
しかして、前記網体91は、一組の上側の網体91と下側の網体91との間隔間隔Sを、始端側に配置した網体91の間隔Sは広く、終端側に至るに従い次第に狭くするように構成する。
穀粒Kが多い始端側に比し、穀粒Kの少ない終端側では間隔Sを狭くして穀粒Kに衝突し易くして、脱粒を促進させる。
【0026】
しかして、図32〜図33は、網体91を縦にして前後に相対峙させたものを一組とし、複数の網体91を左右方向に交互に千鳥状に配置し、この各網体91が上方に設けた穀稈供給装置12により搬送中の穀稈に前後から衝突して脱粒させる。脱粒した穀粒は下方に落下し、揺動選別装置15により選別される。
また、前記カムシャフト95は側板96に軸装し、カムシャフト95にプーリ99を設けているので、網体91の駆動部を左右側面に設けることができ、穀粒が落下するときの障害にならない。
【0027】
しかして、図34、図35は、前記脱粒装置3の他の実施例であり、従来の脱穀装置のように略円形の扱網9を設けて脱粒室8を形成し、脱粒室8内の左右両側には回転プレート100の中心を扱胴軸6により軸装し、回転プレート100の各先端には脱粒室8の軸心方向に長いロール形状に形成した網体91を回転自在に取付けて構成する。
前記二つの網体91は、脱粒室8内に突き出て搬送されている穀稈に、搬送中下側から交互に衝突しながら回転し、これにより穀稈の穀粒Kに曲げ荷重を掛けて脱粒させる。
また、脱粒室8内に突き出る穀稈は、下側から網体91が衝突し、網体91が通過すると、周囲の扱網9に衝突し、穀粒Kは、網体91と扱網9の両方により脱粒させられ、脱粒効率が向上する。
即ち、内に入ってくる穀稈を網体91で上下に振動させることで周囲の扱網9に穂先を衝突させて脱粒させるので、少ない負荷で容易に脱粒させられる。
特に、穀稈の下側は、下側から網体91が衝突して脱粒させられ、穀稈の上側は周囲の扱網9に衝突し、脱粒効率が向上する。
【0028】
しかして、図36、図37は、前記脱粒装置3の他の実施例であり、前記網体91は、穀稈搬送方向に対して交差方向(前後方向)の円筒形状に形成し、前記網体91の内周には十字状のフレーム101の先端を取付け、該フレーム101の基部(中心)は回転軸102に固定し、各回転軸102に回転を伝達するようにし、この網体91を上下に相対峙させて設けて構成する。
前記上下の網体91の間を搬送されている穀稈が搬送中に上下側から衝突し、これにより穀稈の穀粒Kは曲げ荷重を受けて脱粒させられる。
【0029】
しかして、図38、図39は、前記脱粒装置3の他の実施例であり、前記網体91は、穀稈搬送方向に対して交差方向(前後方向)の円筒形状に形成し、網体91は十字状のフレーム101の先端に取付け、該フレーム101は、その基部(中心)を回転軸102を設け、図示は省略するが各回転軸102に回転を伝達するように構成する。103は歯車である。
網体91は、穀稈搬送方向に複数並設し、各網体91は上側と下側とに交互に高さを相違させて千鳥状に配置し、上側の網体91と下側の網体91とは側面視において夫々上下面が重なるように配置している。
穀稈供給装置12により搬送される穀稈は、上下に配置された網体91の間を通過するときに、駆動回転している網体91に衝突して脱粒させられる。
この場合、網体91は上下に千鳥状に配置しているから、搬送中の穀稈は、上下両面とも網体91に衝突し、脱粒させられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同一部を省略した平面図。
【図3】同正面図。
【図4】脱穀装置の縦断側面図。
【図5】同一部拡大図。
【図6】同平面図。
【図7】コンバインの側面図。
【図8】同一部正面図。
【図9】回転伝達機構の概略図。
【図10】穀稈供給装置の駆動歯車付近の平面図。
【図11】シンクロクラッチと刈取クラッチと脱穀クラッチ付近の平面図。
【図12】同一部拡大平面図。
【図13】刈脱クラッチレバーの操作状態を示す側面図。
【図14】シンクロクラッチと刈取クラッチと脱穀クラッチおよび刈脱クラッチレバーの操作状態を示す側面図。
【図15】脱穀クラッチ「入」状態の側面図。
【図16】シンクロクラッチ「入」とクラッチ「切り」、刈取クラッチおよび脱穀クラッチ「入」の刈脱クラッチレバーの操作状態を示す側面図。
【図17】クラッチ付近の平面図。
【図18】伝動ケースの分解状態斜視図。
【図19】コンバインの側面図。
【図20】移動挾持杆の位置を示す側面図。
【図21】シンクロクラッチとクラッチと刈取クラッチと脱穀クラッチの他の実施例の正面図。
【図22】脱穀装置の他の実施例の側面図。
【図23】同正面図。
【図24】同平面図。
【図25】脱粒に関する作用状態図。
【図26】脱粒に関する作用状態図。
【図27】脱粒状態図。
【図28】脱粒装置の実施例の正面図。
【図29】同側面図。
【図30】同他の実施例の網体の側面図。
【図31】同網体の側面図。
【図32】同他の実施例の平面図。
【図33】同側面図。
【図34】同他の実施例の正面図。
【図35】同側面図。
【図36】同他の実施例の正面図。
【図37】同側面図。
【図38】同他の実施例の正面図。
【図39】同側面図。
【符号の説明】
【0031】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱粒装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…扱胴軸、8…脱穀室、9…扱網、10…送風唐箕、唐箕ケーシング11…唐箕ケーシング、12…穀稈供給装置、13…風選室、14…揺動選別棚、15…揺動選別装置、16…移送突起、17…グレンラック、18…底板、19…副選別風路、20…副選別風入力部、21…エアチャンバー室、22…傾斜底板部、23…副選別風ガイド、24…グレンシーブ、25…プレシーブ、26…チャフシーブ、27…前部濾過制御シーブ、28…選別網、29…主選別風出口、30…一番コンベア、31…二番コンベア、32…副送風唐箕、33…二番戻し装置、34…排塵ファン、38…ミッション、39…刈取出力軸、40…出力プーリ、41…支持フレーム、42…刈取懸架台、43…ブラケット、44…シャフト、45…プーリ、46…ベルト、47…搬送チエン、48…駆動歯車、49…伝動ケース、50…回転軸、52…シンクロクラッチ、53…中間軸、54…歯車、55…中間出力軸、56…歯車、60…クラッチ、61…ワンウエイクラッチ、62…爪クラッチ、63…シフタ、64…刈脱クラッチレバー、65…操作伝達部材、66…刈取クラッチ、67…脱穀クラッチ、72…カップリング、57…歯車、58…チエン、71…ステー、73…小歯車、74…大歯車、75…チエン停止クラッチ、76…歯車、77…移動回転部材、79…シフタ、80…移動挾持杆、81…検出部、82…アクチュエータ、83…ガイド、84…前側穀稈排出口、85…後側穀稈供給口、86…中間縦板、87…テーパー部90…当接体、91…網体、93…上下移動体、92…上下動機構、95…カムシャフト、97…ロッド、94…連結部材、96…側板、99…プーリ、98…シリンダ、100…回転プレート、102…回転軸、101…フレーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴7の下方を扱網9により包囲した脱穀室8の下方に送風唐箕10を設け、脱穀室8の下方から処理物移送方向の終端側に風選室13設け、該風選室13に送風唐箕10の送風と該送風方向の往復揺動により穀粒を選別する揺動選別装置15を設け、該揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は、前記送風唐箕10の唐箕ケーシング11の上方に位置させると共に上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成し、該グレンラック17と該グレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設け、前記揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設け、該副選別風入力部20は前記揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、該エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風するように構成した脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記底板18の後部は前記唐箕ケーシング11に合わせて後側に至るに従い低く傾斜させた傾斜底板部22に形成し、該傾斜底板部22の上方には副選別風ガイド23を設け、該副選別風ガイド23は、前側を略平らな前側平坦部23Aに形成し、後側は後方に至るに従い低く傾斜させた後側傾斜部23Bに形成した脱穀装置。
【請求項1】
扱胴7の下方を扱網9により包囲した脱穀室8の下方に送風唐箕10を設け、脱穀室8の下方から処理物移送方向の終端側に風選室13設け、該風選室13に送風唐箕10の送風と該送風方向の往復揺動により穀粒を選別する揺動選別装置15を設け、該揺動選別装置15の揺動選別棚14の始端部は、前記送風唐箕10の唐箕ケーシング11の上方に位置させると共に上面に移送突起16を揺動方向に並設してグレンラック17を形成し、該グレンラック17と該グレンラック17の下方の揺動選別棚14の底板18との間に副選別風路19を設け、前記揺動選別棚14の前端部には幅方向に複数の副選別風入力部20を設け、該副選別風入力部20は前記揺動選別棚14の前端部に設けたエアチャンバー室21に接続し、該エアチャンバー室21を介して前記副選別風路19へ副選別風を送風するように構成した脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記底板18の後部は前記唐箕ケーシング11に合わせて後側に至るに従い低く傾斜させた傾斜底板部22に形成し、該傾斜底板部22の上方には副選別風ガイド23を設け、該副選別風ガイド23は、前側を略平らな前側平坦部23Aに形成し、後側は後方に至るに従い低く傾斜させた後側傾斜部23Bに形成した脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2006−87341(P2006−87341A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276475(P2004−276475)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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