説明

自動利得制御装置

【課題】無線伝送路特性の変動状況に応じた利得を設定したい。
【解決手段】増幅部12は、所定の利得によって、受信した信号を増幅する。AGC設定部18は、増幅部12において増幅した信号のレベルが目標の値に近づくように、増幅部12での利得を設定する。AGC設定部18は、受信した信号のレベルの変動の程度を推定し、推定した変動の程度が大きくなると小さくなるように目標の値を調節する。また、AGC設定部18は、測定した変動の程度が大きくなるほど、利得の更新を遅くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動利得制御技術に関し、特に受信した信号を増幅する際の利得を自動的に制御する自動利得制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル変調方式に対応した受信装置には、復調器への入力信号レベルを一定に保つために、自動利得制御装置(AGC:Automatic Gain Control)が備えられている。一般的に、自動利得制御装置は、可変利得増幅器あるいは可変減衰器の後段にて、信号レベルを測定し、測定結果をもとに利得あるいは減衰率を設定するようなフィードバック型の構成を有する。ここで、利得あるいは減衰率は、測定結果を一定レベルにするような値に更新される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−291986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
送信装置と受信装置との間の無線伝送路特性は、時間的な変動の少ない状態(以下、「静特性」という)のときもあれば、時間的な変動の大きい状態(以下、「動特性」という)のときもある。前述のごとく、自動利得制御装置は、目標となる一定のレベル(以下、「目標値」という)に信号レベルが近づくように利得を制御するが、静特性の場合、一度設定した目標値がある程度の期間にわたって最適値であり続ける。そのため、目標値として、信号レベルがなるべく大きくなるような値が設定される。しかしながら、動特性の場合、一度設定した目標値がすぐに最適値でなくなってしまうことがある。その際、現在の無線伝送路特性に対して目標値が大きすぎれば、信号が飽和状態になってしまい、特性が悪化してしまうこともある。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線伝送路特性の変動状況に応じた利得を設定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動利得制御装置は、所定の利得によって、受信した信号を増幅する増幅部と、増幅部において増幅した信号のレベルが目標の値に近づくように、増幅部での利得を設定する設定部とを備える。設定部は、受信した信号のレベルの変動の程度を推定し、推定した変動の程度に応じて目標の値を調節する。
【0006】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線伝送路特性の変動状況に応じた利得を設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、ディジタル変調がなされた信号を受信する受信装置に関する。受信装置は、無線周波数の信号を受信し、無線周波数の信号を中間周波数の信号へ周波数変換し、中間周波数の信号を増幅器にて増幅する。また、受信装置は、増幅した信号を直交検波して、ベースバンドの信号を生成する。さらに、受信装置は、ベースバンドの信号に対してアナログ/デジタル変換し、デジタル変換した信号を復調する。ここで、増幅器の増幅率は、ベースバンドの信号がアナログ/デジタル変換のダイナミックレンジにおさまるような値に設定される。このような値が前述の目標値に相当する。前述のごとく、静特性の場合、目標値としてなるべく大きな値が望まれる。一方、静特性の場合、無線伝送路が変動しても、信号が飽和状態とならないような目標値が望まれる。
【0009】
これに対応するために、本実施例に係る受信装置は、次の処理を実行する。本実施例に係る受信装置は、ベースバンドの信号をもとに、無線伝送路特性の変動の程度、つまりフェージング変動の程度を測定する。受信装置は、フェージング変動が小さくなると、目標値に大きな値を設定し、フェージング変動が大きくなると、目標値に小さな値を設定する。また、受信装置は、設定した目標値を増幅器に設定する。これ以外の処理は、前述の通りである。
【0010】
図1は、本発明の実施例に係る受信装置100の構成を示す。受信装置100は、周波数変換部10、増幅部12、直交検波部14、フィルタ部16、AGC設定部18、復調部30、制御部32を含む。また、AGC設定部18は、フェージング測定部20、目標値調節部22、電力測定部24、比較部26、利得更新部28を含む。
【0011】
図示しない送信装置は、ディジタル変調を実行した後、変調した信号(以下、「変調信号」という)を送信する。ここで、変調信号は、無線周波数の信号である。無線伝送路を介して受信装置100に到達する。なお、無線伝送路特性は、前述のごとく、静特性になることもあれば、動特性になることもある。周波数変換部10は、アンテナを介して変調信号を受信する。周波数変換部10は、変調信号に対して周波数変換を実行することによって、無線周波数の信号を中間周波数の信号へ変換する。周波数変換部10は、中間周波数の信号を増幅部12へ出力する。
【0012】
増幅部12は、周波数変換部10から中間周波数の信号を受けつけ、中間周波数の信号を増幅する。増幅の際の利得は、利得更新部28によって設定される。増幅部12は、増幅した信号を直交検波部14へ出力する。直交検波部14は、増幅部12から増幅した信号を受けつけ、増幅した信号を直交検波する。以上の処理によって、直交検波部14は、中間周波数の信号をベースバンドの信号へ変換する。ベースバンドの信号は、同相成分と直交成分とによって形成されているので、ふたつの信号線にて示されるべきである。しかしながらここでは、図面を明瞭にするために、これをひとつの信号にて示す。さらに、直交検波部14は、ベースバンドの信号に対して、アナログ/デジタル変換を実行することによって、デジタル信号を生成する。直交検波部14は、デジタル信号をフィルタ部16へ出力する。
【0013】
フィルタ部16は、直交検波部14からデジタル信号を受けつける。また、フィルタ部16は、低域通過特性を有している。フィルタ部16は、デジタル信号に対して低域通過特性を作用させる。以下、説明を明瞭にするために、フィルタ部16から出力される信号を「受信信号」という。フィルタ部16は、受信信号を復調部30、電力測定部24、フェージング測定部20へ出力する。復調部30は、受信信号を復調する。なお、復調は、図示しない送信装置においてなされたディジタル変調に対応しているが、公知の技術でよいので、ここでは説明を省略する。復調部30は、復調結果を出力する。
【0014】
電力測定部24は、フィルタ部16から受信信号を受けつける。電力測定部24は、受信信号のレベル、つまり受信電力を測定する。受信電力の測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。電力測定部24は、受信電力を比較部26へ出力する。フェージング測定部20も、フィルタ部16から受信信号を受けつける。フェージング測定部20は、受信信号の変動の程度を測定する。以下では、受信信号の変動の程度を「フェージングの程度」や「フェージング推定値」と呼ぶ。ここで、フェージング測定部20は、受信信号に含まれた既知信号を予め記憶しており、受信信号から既知信号の成分を除外することによって、伝送路特性を推定する。
【0015】
また、フェージング測定部20は、異なった時間での伝送路特性の相関値を計算することによって、フェージング推定値を導出する。ここで、フェージング推定値は、相関値の逆数として規定されている。例えば、フェージング推定値が大きい場合は、前述の動特性に相当するが、そのとき、相関値は小さくなる。一方、フェージング推定値が小さい場合は、前述の静特性に相当するが、そのとき、相関値は大きくなる。なお、フェージング推定値の導出は、以上の方法に限定されず、公知の技術を使用してもよい。フェージング測定部20は、フェージング推定値を目標値調節部22および利得更新部28へ出力する。
【0016】
目標値調節部22は、フェージング測定部20からフェージング推定値を受けつけ、フェージング推定値をもとに、目標値を調節する。なお、目標値調節部22は、フェージング推定値が大きくなると、目標値が小さくなるような関係が規定されたテーブルを予め記憶する。図2は、AGC設定部18に保持されたテーブルのデータ構造を示す。テーブルは、フェージング推定値欄200、目標値欄202、更新ステップ欄204を含む。ここでは、フェージング推定値欄200、目標値欄202を説明する。フェージング推定値に対して、しきい値「α」が予め規定されている。
【0017】
フェージング推定値欄200には、フェージング推定値が「α」より小さい場合と、フェージング推定値が「α」以上の場合とが定められている。前者が静特性に相当し、後者が動特性に相当する。また、それぞれに対応した目標値が目標値欄202に格納されている。つまり、静特性に対する目標値「β」と動特性に対する目標値「β」とが規定されている。ここで、図示のごとく、β<βが成立している。図1に戻る。目標値調節部22は、フェージング推定値をαと比較することによって、目標値を決定する。目標値調節部22は、目標値を比較部26へ出力する。
【0018】
比較部26は、目標値調節部22から目標値を受けつけ、電力測定部24から受信電力を受けつける。比較部26は、両者を比較することによって、両者の差異を導出する。例えば、比較部26は、受信電力から目標値を減算する。なお、比較部26は、受信電力を目標値にて除算してもよい。比較部26は、導出した差異を比較結果として利得更新部28へ出力する。
【0019】
利得更新部28は、比較部26から比較結果を受けつけ、フェージング測定部20からフェージング推定値を受けつける。利得更新部28は、比較結果における差異が小さくなるように利得(以下、「最終利得」という)を決定する。例えば、受信電力が目標値よりも小さければ、利得更新部28は、現在の利得を増加させるように、最終利得を決定する。また、増加の程度は、差異の大きさに応じて決定される。つまり、利得更新部28は、比較部26における比較結果をもとに、最終利得を更新する。
【0020】
また、利得更新部28は、フェージング推定値に応じて、利得の更新のステップ幅を決定する。例えば、利得更新部28は、フェージング推定値が大きくなるほど、利得の更新を遅くする。つまり、前述の比較結果に応じて、最終利得が決定され、フェージング推定値に応じて、現在の利得から最終利得までの移行速度が決定される。静特性であれば、利得の更新量が小さいので、早期に最終利得になるように、利得更新部28は、更新のステップ幅を大きくする。一方、動特性であれば、これと逆に、利得更新部28は、更新のステップ幅を小さくする。
【0021】
ここでは、更新のステップ幅を決定するための処理を具体的に説明するために図2を使用する。フェージング推定値欄200における動特性と静特性のそれぞれに対応した更新ステップ幅が更新ステップ欄204に格納されている。つまり、静特性に対する更新ステップ幅「γ」と動特性に対する更新ステップ幅「γ」とが規定されている。ここで、図示のごとく、γ<γが成立している。図1に戻る。利得更新部28は、フェージング推定値をαと比較することによって、更新ステップ幅を決定する。最終的に、利得更新部28は、最終利得と更新ステップ幅をもとに、現在の利得を更新する。利得更新部28は、更新した利得を増幅部12に設定する。以上をまとめると、AGC設定部18は、受信信号のレベルが目標の値に近づくように、増幅部12での利得を設定する。制御部32は、受信装置100全体のタイミング等を制御する。
【0022】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
以上の構成による受信装置100の動作を説明する。図3は、AGC設定部18における利得の更新手順を示すフローチャートである。電力測定部24は、受信電力を測定する(S10)。フェージング測定部20は、フェージングの程度を推定する(S12)。フェージング推定値がαよりも小さければ(S14のY)、目標値調節部22は、目標値にβを設定する(S16)。一方、フェージング推定値がαよりも小さくなければ(S14のN)、目標値調節部22は、目標値にβを設定する(S18)。比較部26は、受信電力と目標値との差異を導出する(S20)。フェージング推定値がαよりも小さければ(S22のY)、利得更新部28は、ステップ幅にγを設定する(S24)。一方、フェージング推定値がαよりも小さくなければ(S22のN)、利得更新部28は、ステップ幅にγを設定する(S26)。利得更新部28は、ステップ幅を使用しながら、差異をもとに利得を更新する(S28)。
【0024】
以下、本発明の変形例を説明する。実施例においては、ひとつのアンテナが受信装置100に備えられている。一方、変形例においては、複数のアンテナが受信装置100に備えられている。そのため、前述の受信電力やフェージング推定値は、アンテナ数だけ導出される。一方、受信装置100がアダプティブアレイ信号処理を実行する場合、受信信号間の相対的な電力差を維持することが望ましい。そのため、受信電力やフェージング推定値が複数導出される場合であっても、ひとつの利得が設定されるべきである。これに対応するために、変形例に係る受信装置100は、以下に説明する処理を実行する。
【0025】
変形例に係る受信装置100は、受信装置100と比較して、複数のアンテナを有しており、各アンテナに対して、増幅部12、直交検波部14、フィルタ部16を備える。また、復調部30は、複数のフィルタ部16のそれぞれから受信信号を受けつける。復調部30は、複数の受信信号をもとにアダプティブアレイ信号処理やダイバーシチ処理を実行した後に、復調処理を実行する。これらの処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、AGC設定部18も、複数のフィルタ部16のそれぞれから受信信号を受けつける。AGC設定部18は、複数の受信信号をもとに、ひとつの利得を導出する。さらに、AGC設定部18は、ひとつの利得を複数の増幅部12に設定する。
【0026】
図4は、本発明の変形例に係るAGC設定部18の構成を示す。AGC設定部18は、フェージング測定部20と総称される第1フェージング測定部20a、第2フェージング測定部20b、第Nフェージング測定部20n、目標値調節部22、電力測定部24と総称される第1電力測定部24a、第2電力測定部24b、第N電力測定部24n、電力選択部50、推定値選択部52、比較部26、利得更新部28を含む。
【0027】
電力測定部24は、各アンテナに対応するように備えられており、受信信号を受けつけて、受信電力を測定する。電力選択部50は、複数の受信電力を比較することによって、最大値を選択する。電力選択部50は、選択した受信電力を比較部26へ出力する。また、電力選択部50は、選択した受信電力に対応した電力測定部24の番号を推定値選択部52へ出力する。例えば、選択した受信電力が「第3電力測定部24c」から出力されていれば、電力選択部50は、「3」を推定値選択部52へ出力する。
【0028】
フェージング測定部20は、各アンテナに対応するように備えられており、受信信号を受けつけて、フェージング推定値を導出する。推定値選択部52は、電力選択部50から受けつけた番号をもとに、複数のフェージング推定値のうちのひとつを選択する。推定値選択部52は、選択したフェージング推定値を目標値調節部22および利得更新部28へ出力する。例えば、電力選択部50から受けつけた番号が「3」であれば、推定値選択部52は、「第3フェージング測定部20c」からのフェージング推定値を選択する。目標値調節部22、比較部26、利得更新部28の処理は、実施例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
本発明の実施例によれば、フェージング推定値に応じて利得を決定するので、無線伝送路特性の変動状況に応じた利得を設定できる。また、フェージング推定値が大きくなると目標値を小さくするので、動特性の場合でも、信号が飽和状態になる可能性を低減できる。また、信号が飽和状態になりにくくなるので、受信品質の悪化を抑制できる。また、フェージング推定値が小さくなると目標値を大きくするので、静特性の場合に、受信電力を大きくできる。また、受信電力を大きくできるので、受信品質の悪化を抑制できる。また、フェージング推定値に応じて目標値を変更するだけなので、簡易な処理を実現できる。
【0030】
また、フェージング推定値が小さくなるほど、目標値を速く更新するので、直ちに最適な目標値を実現できる。また、フェージング推定値が大きくなるほど、目標値の更新を遅くするので、目標値の変動を抑制できる。また、目標値の変動が抑制されるので、処理の安定性を向上できる。また、複数のアンテナが備えられている場合に、最大の受信電力およびそれに対応したフェージング推定値を選択するので、信頼性の高い値をもとに利得を決定できる。また、信頼性の高い値を使用するので、利得の精度を向上できる。
【0031】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0032】
本発明の実施例において、目標値調節部22は、フェージング推定値をもとに目標値を決定している。しかしながらこれに限らず例えば、目標値調節部22は、目標値を設定する際に、フェージング推定値以外のパラメータを反映させてもよい。目標値調節部22は、電力測定部24から受信電力を受けつけ、受信電力をもとに、フェージング推定値の測定精度を決定する。例えば、フェージング測定部20は、受信電力が大きくなるほど、測定精度を高くする。フェージング測定部20は、フェージング推定値とともに、測定精度を目標値調節部22へ出力する。
【0033】
目標値調節部22は、フェージング推定値をもとに仮の目標値を決定する。さらに、目標値調節部22は、測定精度に応じて仮の目標値を調節することによって、最終的な目標値を決定する。例えば、目標値調節部22は、測定精度が低くなるほど、目標値を小さくする。つまり、目標値調節部22は、フェージング推定値が同一であっても、測定精度が低くなると小さくなるように目標値を調節する。本変形例によれば、測定精度が低く、フェージング推定値の信頼性が低い場合に、信号が飽和状態になる可能性を低減できる。
【0034】
本発明の変形例において、AGC設定部18は、フェージング推定値をもとに、動特性と静特性というふたつの状態のいずれかを特定している。しかしながらこれに限らず例えば、AGC設定部18には、3つ以上の状態が規定されており、それぞれに対応した目標値が規定されていてもよい。また、フェージング推定値と目標値との関係が実施例と異なっていてもよい。本変形例によれば、目標値の設定を細かくできる。
【0035】
本発明の実施例において、推定値選択部52は、電力選択部50から受けつけた番号に対応したフェージング推定値を選択する。しかしながらこれに限らず例えば、推定値選択部52は、複数のフェージング推定値のうち、最大値を選択してもよい。本変形例によれば、信号が飽和状態になる可能性を低減できる。
【0036】
本発明の実施例において、受信装置100は、増幅部12の出力がAGC設定部18に入力され、AGC設定部18の出力が増幅部12に入力されている。つまり、受信装置100は、フィードバック型の構成を有している。しかしながらこれに限らず例えば、受信装置100は、フィードフォワード型の構成を有してもよい。その場合、周波数変換部10からの出力信号がAGC設定部18に入力され、AGC設定部18からの出力、つまり利得が増幅部12に入力される。本変形例によれば、さまざまな形態に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例に係る受信装置の構成を示す図である。
【図2】図1のAGC設定部に保持されたテーブルのデータ構造を示す図である。
【図3】図1のAGC設定部における利得の更新手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の変形例に係るAGC設定部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 周波数変換部、 12 増幅部、 14 直交検波部、 16 フィルタ部、 18 AGC設定部、 20 フェージング測定部、 22 目標値調節部、 24 電力測定部、 26 比較部、 28 利得更新部、 30 復調部、 32 制御部、 50 電力選択部、 52 推定値選択部、 100 受信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の利得によって、受信した信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部において増幅した信号のレベルが目標の値に近づくように、前記増幅部での利得を設定する設定部とを備え、
前記設定部は、受信した信号のレベルの変動の程度を推定し、推定した変動の程度に応じて目標の値を調節することを特徴とする自動利得制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、推定した変動の程度が大きくなると目標の値を小さくするように調節することを特徴とする請求項1に記載の自動利得制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記増幅部において増幅した信号のレベルを測定する第1測定部と、
前記増幅部において増幅した信号の変動の程度を測定する第2測定部と、
前記第2測定部において測定した変動の程度をもとに、目標の値を調節する調節部と、
前記調節部において調節した目標の値と、前記第1測定部において測定した信号のレベルとを比較する比較部と、
前記比較部における比較結果をもとに、利得を更新する更新部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の自動利得制御装置。
【請求項4】
前記第2測定部の測定精度を測定する第3測定部をさらに備え、
前記調節部は、前記第2測定部において測定した変動の程度が同一であっても、前記第3測定部において測定した測定精度が低くなると目標の値を小さくするように調節することを特徴とする請求項3に記載の自動利得制御装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記第2測定部において測定した変動の程度が大きくなるほど、利得の更新を遅くすることを特徴とする請求項3または4に記載の自動利得制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−213096(P2009−213096A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56879(P2008−56879)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】