説明

自走式作業台車

【課題】 作業ユニットを安定的に支持することができるとともに、傾斜地でも安定して走行しながら作業を行うことができる自走式作業台車を提供すること。
【解決手段】 走行体本体4、前輪24及び後輪を備えた自走式走行体と、走行体本体4に設けられた支柱54と、支柱54に取り付けられた支持フレーム74と、支持フレーム74に装着された作業ユニット140と、支持フレーム74の先端部に設けられた支持・操作手段110と、を具備する。前輪24及び後輪の少なくともいずれか一方は駆動輪として機能し、また前輪24及び後輪の少なくともいずれか一方は操舵可能であり、更に、支持フレーム74は、支柱54を中心として180度以上の角度範囲にわたって旋回自在に支持されているとともに、仰俯角が水平方向を基準に5度以上となるように上下方向に揺動自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ユニットを搭載して自走して作業を行う自走式作業台車に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式作業台車として、前輪及び後輪を有する走行体本体を備え、この走行体本体に上方に延びる支柱が装着され、この支柱に操作ハンドル部、作業ユニット及び荷台部が取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この作業台車では、走行体本体に電動モータが搭載され、この電動モータからの回転駆動力が後輪に駆動伝達されるように構成されている。このような作業台車では、電動モータにより後輪を回転駆動させ、操作ハンドル部を支持して所要の通りに操作することによって、走行体本体を所望の通りに前進又は後進させることができる。また、支柱に作業ユニット(例えば、摘採機ユニット)が取り付けられているので、走行体本体を走行させながら所定の作業(例えば、茶葉の摘採作業)を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特許第2808072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した作業台車には、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、走行体本体に装着された支柱に操作ハンドル部及び作業ユニット(例えば、摘採機ユニット)が取り付けられるので、この作業ユニットは走行体本体に片持ち支持される構造となり、従って、作業ユニットの支持が不安定になり、走行体本体の走行安定性が悪く、例えば傾斜地などにおいては作業しながらの走行が難しくなる問題がある。
【0005】
第2に、作業ユニット(例えば、摘採機ユニット)が走行体本体に取り付けられる構成であるので、例えば畝に沿って所定の作業を行う場合、畝に沿って順に作業台車を走行移動させなければならず、その走行移動が煩雑で、所定の作業に時間を要するという問題がある。
【0006】
第3に、走行体本体に装着された支柱に操作ハンドル部、作業ユニット及び荷台部が設けられているので、作業台車全体の重心が高くなり、その荷台部に作業器具などを搭載したときにはその重心が更に高くなり、このことに起因しても走行安定性が悪くなる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、作業ユニットを安定的に支持することができるとともに、走行体本体の走行安定性を改善し、傾斜地でも安定して走行しながら作業を行うことができる自走式作業台車を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、畝に沿って所定の作業を行う場合に、走行体本体を効率よく移動させることができ、これによって作業効率を高めることができる自走式作業台車を提供することである。
【0009】
また、本発明の更に他の目的は、本作業台車の重心を低くして走行安定性の向上を図ることができる自走式作業台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の自走式作業台車は、走行体本体、前記走行体本体の前部に設けられた前輪及び前記走行体本体の後部に設けられた後輪を備えた自走式走行体と、前記走行体本体に設けられた支柱と、前記支柱に取り付けられた支持フレームと、前記支持フレームに装着された作業ユニットと、前記支持フレームの先端部に設けられた支持・操作手段と、を具備し、前記前輪及び前記後輪の少なくともいずれか一方は駆動輪として機能し、また前記前輪及び前記後輪の少なくともいずれか一方は操舵可能であり、更に、前記支持フレームは、前記支柱を中心として180度以上の角度範囲にわたって旋回自在に支持されているとともに、仰俯角が水平方向を基準に5度以上となるように上下方向に揺動自在に支持されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の自走式作業台車は、走行体本体、前記走行体本体の前部に設けられた前輪及び前記走行体本体の後部に設けられた後輪を備えた自走式走行体と、前記走行体本体に設けられた支柱と、前記支柱に取り付けられた支持フレームと、前記支持フレームに装着された作業ユニットと、前記支持フレームの先端部に設けられた支持・操作手段と、前記走行体本体に装着された自立用アウトリガーと、を具備し、
前記前輪及び前記後輪は駆動輪として機能するとともに、少なくとも90度の角度範囲にわたって操舵可能であり、
前記アウトリガーは、下降状態と上昇状態との間を昇降自在である脚部を備え、走行停止時において前記脚部を下降状態にすると、前記脚部が接地して前記自立用アウトリガーが前記走行体本体を自立状態に保ち、走行停止時において前記脚部を上昇状態にすると、前記脚部が地面から上昇して前記走行体本体が自走可能となることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の自走式作業台車では、前記走行体本体の中央部には動力源取付部が設けられ、前記支柱は前記動力源取付部に設けられ、前記動力源取付部の前側に前荷台が設けられ、前記前荷台の下側に前記前輪が配設されており、また前記動力源取付部の後側に後荷台が設けられ、前記後荷台の下側に前記後輪が配設されており、前記動力源取付部の底部は前記前輪及び前記後輪との間を下方に突出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の自走式作業台車によれば、前輪及び後輪を備えた自走式走行体に設けられた支柱に支持フレームが取り付けられ、この支持フレームに作業ユニットが装着されるとともに、この支持フレームの先端部に支持・操作手段が設けられているので、支持フレームの一端側は自走式走行体に支持され、その他端側(先端側)は作業者に支持されるので、支持フレーム及び作業ユニットを安定して支持することができる。また、作業者は支持フレームの先端部の支持・操作手段を支持しながら操作するので、自走式走行体に対向した状態で例えば畝に沿って移動するようになり、簡単に且つ容易に自走式走行体を走行移動させることができる。更に、支持フレームは支柱を中心として180度以上の角度範囲にわたって旋回自在に支持されているので、隣接する畝を作業するときに、支持フレームを180度旋回させて反対方向に走行移動させることによって、隣の畝を作業することができ、自走式走行体の操舵による方向転換を行うことなく効率よく作業を行うことができる。更にまた、支持フレームが仰俯角が水平方向を基準に5度以上となるように上下方向に揺動自在に支柱に支持されているので、傾斜地において作業するときに上下方向に揺動させることによって、この支持フレーム(これに装着された作業ユニット)を傾斜面に対して水平状態に保つことができ、従って、傾斜地においても所定の作業を行うことができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の自走式作業台車によれば、走行体本体に設けられた前輪及び後輪は少なくとも90度の角度範囲において操舵可能であるので、前輪及び後輪を前後方向に向けることによって走行体本体の前後方向に走行することができ、また前輪及び後輪を横方向に向けることによって走行体本体の横方向に走行することができ、このように操舵可能にすることによって狭い領域において走行体本体の方向転換を容易に行うことができ、特に複数の畝に沿って所定の作業を行うときに効率よく行うことができる。また、走行体本体に自立用アウトリガーが装着されているので、走行停止時においてアウトリガーの脚部を下降状態にすると、脚部が接地して走行体本体を自立状態に保つことができ、走行停止時においてこの脚部を上昇状態にすると、脚部が地面から上昇して走行体本体の自走が可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の自走式作業台車によれば、走行体本体の中央部の動力源取付部の前側に前荷台が設けられ、またその後側に後荷台が設けられているので、前荷台及び後荷台に作業器具などを搭載したときには走行体本体の前後方向のバランスを保つことができる。また、前荷台の下側に前輪が配設されているので、前荷台に搭載した作業器具などを前輪によって安定して支持することができ、また後荷台の下側に後輪が配設されているので、後荷台に搭載した作業器具などを後輪によって安定して支持することができる。更に、動力源取付部の底部が前輪及び後輪との間にて下方に突出しているので、走行体本体の重心が低くなり、これによって、作業台車の走行安定性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、自走式作業台車の一実施形態について説明する。図1は、自走式作業台車の一実施形態を示す正面図であり、図2は、図1の作業台車を一部省略して示す側面図であり、図3は、図1の作業台車の支柱及びそれに関連する構成を示す断面図であり、図4は、図1の作業台車において支柱を収縮した状態で示す断面図であり、図5は、図1の作業台車を簡略的に示す平面図であり、図6(a)〜(c)は、前進モード、後進モード及び移動モードにおける前輪及び後輪の操舵範囲を簡略的に示す図であり、図7は、図1の作業台車における支柱の上部付近を示す部分斜視図であり、図8(a)は、図1の作業台車における第1ロック手段を分解して示す部分斜視図であり、図8(b)は、図1の作業台車における第2ロック手段を分解して示す部分斜視図である。
【0017】
図1及び図2において、図示の自走式作業台車は、地面2上を走行する走行体本体4を備え、この走行体本体4の中央部に動力源取付部6が設けられ、動力源取付部6の前側に前荷台8が設けられ、またその後側に後荷台10が設けられている。動力源取付部6はフレーム構造12に構成され、このフレーム構造12内に、例えばエンジンによって発電する発電機14が取り付けられ、この発電機14が作業台車の駆動源として機能する。尚、駆動源としてバッテリ、エンジンなどを用いるようにしてもよく、或いはバッテリとエンジンを併用するようにしてもよい。
【0018】
前荷台8はフレーム構造12の前端部から前方(図1において紙面手前側、図2において左側)に延びる前支持部材16を備え、この前支持部材16に前カバー18が取り付けられ、この前カバー18の上面が前荷台8の載置部として機能する。また、後荷台10はフレーム構造12の後端部から後方(図1において紙面裏側、図2において右側)に延びる後支持部材20を備え、この後支持部材20に後カバー22が取り付けられ、この後カバー22の上面が後荷台10の載置部として機能する。
【0019】
前荷台8の下側、即ち前支持部材16の下側には前輪24が配設され、この前輪24が操舵可能に取り付けられている。この実施形態では、前支持部材16に上下方向に延びる前軸26が回転自在に支持され、この前軸26の上端部に減速機構(図示せず)を介して前操舵用モータ28が駆動連結され、その下端部に門型の前輪支持部材30が装着され、この前輪支持部材30の下端部に前輪軸32を介して前輪24が回転自在に支持されている。また、前輪支持部材30には走行前駆動モータ38が装着され、この走行前駆動モータ38が減速機構(図示せず)を介して前輪軸32に駆動連結されている。従って、前操舵用モータ28が正転(又は逆転)すると、前軸26が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回転し、前輪支持部材30を介して前輪24が前進方向に対して矢印34(又は36)(図5参照)で示す右方(又は左方)に操舵される。また、走行前駆動モータ38が正転(又は逆転)すると、前輪軸32を介して前輪24が前進方向(又は後進方向)に回転され、走行体本体4が前進(又は後進)される。
【0020】
また、後荷台10の下側、即ち後支持部材20の下側には後輪40が配設され、この後輪40が操舵可能に取り付けられている。この実施形態では、後支持部材20に上下方向に延びる後軸42が回転自在に支持され、この後軸42の上端部に減速機構(図示せず)を介して後操舵用モータ44(図5参照)が駆動連結され、その下端部に門型の後輪支持部材46が装着され、この後輪支持部材46の下端部に後輪軸(図示せず)を介して後輪40が回転自在に支持されている。また、後輪支持部材46には走行後駆動モータ48が装着され、この走行後駆動モータ48が減速機構(図示せず)を介して後輪軸に駆動連結されている。従って、後操舵用モータ44が正転(又は逆転)すると、後軸42が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回転し、後輪支持部材46を介して後輪40が後進方向に対して矢印50(又は52)(図5参照)で示す右方(又は左方)に操舵される。また、走行後駆動モータ48が正転(又は逆転)すると、後輪軸を介して後輪40が前進方向(又は後進方向)に回転され、走行体本体4が前進(又は後進)される。
【0021】
この実施形態では、走行体本体4、前輪10及び後輪40は、地面2上を自走する走行体を構成し、この走行体(即ち、作業台車)は、前方向に走行する前進モード、後方向に走行する後進モード及び前後方向に対して垂直な横方向に走行する移動モードに選択的に設定されるように構成されている。図5及び図6を参照して、この実施形態の作業台車では、前輪24(即ち、前輪支持部材30)は、矢印34で示す前進方向右方については前後方向を基準に少なくとも90度の角度範囲にわたって、例えば120度の角度範囲にわたって操舵可能に構成され、矢印36で示す前進方向左方については前後方向を基準に10度の角度範囲にわたって操舵可能に構成されている。また、後輪40(即ち、後輪支持部材46)については、矢印50で示す後進方向右方については前後方向を基準に10度の角度範囲にわたって操舵可能に構成され、矢印52で示す後進方向左方については前後方向を基準に少なくとも90度の角度範囲にわたって、例えば120度の角度範囲にわたって操舵可能に構成されている。
【0022】
このように構成されていることに関連して、前進モード、後進モード及び移動モードにおいては、作業台車を安全に走行移動させるために、次のように構成されている。作業台車を前進させるために前進モードを設定したときには、図6(a)に示すように、前輪24が前後方向を基準に左右方向に各10度の角度範囲(即ち、合計20度の角度範囲)にわたって操舵可能に設定され、後輪40は前後方向に固定的に設定される。従って、前輪24をこの設定角度範囲内にて操舵することによって、前進しながら走行体本体4の移動方向を変えることができる。
【0023】
作業台車を後進させるために後進モードを設定したときには、図6(b)に示すように、後輪40が前後方向を基準に左右方向に各10度の角度範囲(即ち、合計20度の角度範囲)にわたって操舵可能に設定され、前輪24は前後方向に固定的に設定される。従って、後輪40をこの角度範囲内にて操舵することによって、後進しながら走行体本体4の移動方向を変えることができる。
【0024】
また、作業台車を横移動させるために移動モードを設定したときには、図6(c)で示すように、前輪24が矢印34で示す前進方向を基準に右方に例えば90度操舵されて固定的に設定されるとともに、後輪40が矢印52で示す後進方向を基準に左方に例えば90度操舵されて固定的に設定される。従って、前輪24及び後輪40をこのように設定することによって、走行体本体4が前後方向に向いている状態において、この走行体本体4を前後方向に対して実質上垂直な横方向に走行移動させることができる。尚、移動モードにおける操舵角度は設定可能に構成するのが望ましく、畝(換言すると、作業道)が斜め方向に設けられている場合を考慮して、横方向移動、横方向に対して前進側に例えば10度、20度、30度移動と、また横方向に対して後進側に例えば10度、20度30度移動と設定可能なように構成することができる。
【0025】
尚、この実施形態では、前輪24及び後輪40を前後方向を基準に少なくとも90度の角度範囲にわたって操舵可能に構成し、前輪24及び後輪40を90度操舵して横方向に移動可能なように構成しているが、このような横方向移動可能にするためには、前輪24及び後輪40を前後方向を基準に90度を超える角度範囲にわたって操舵可能に構成することによって達成することができる。また、前進時の前輪24の操舵角度範囲、また後進時の後輪40の操舵角度範囲についても、左右方向各10度の角度範囲にする必要はなく、走行体本体4の操作性、走行性などを考慮して適宜の角度範囲、例えば左右方向に各15度の角度範囲に設定することもできる。
【0026】
再び、図1及び図2に戻って、走行体本体4の動力源取付部6の上端部には支柱54が取り付けられている。動力源取付部6の上面には支持部56が設けられ、この支持部56に支柱54の下端部が取り付けられ、支柱54は支持部56から実質上垂直上方に延びている。この実施形態では、支柱54は固定中空ロッド58と移動中空ロッド60とを備え、固定中空ロッド58の先端側が移動中空ロッド60内に挿入され、支柱54の全長が伸縮されるように構成されている。
【0027】
図3及び図4をも参照して、この実施形態では、支柱54内に、即ち固定中空ロッド58及び移動中空ロッド60内に、例えば電磁シリンダ機構から構成されるシリンダ機構62が配設され、このシリンダ機構62のシリンダ64側がピン66を介して駆動源取付部6の上壁67に取り付けられた取付ブラケット69に連結され、そのロッド部68がピン70を介して移動中空ロッド60の先端部に装着された連結部材72に連結されている。このように構成されているので、シリンダ機構62が伸張されると、図3に示すように、固定中空ロッド58に対して移動中空ロッド60が上昇され、従って、後述する支持フレーム74の高さが上昇し、またシリンダ機構62が収縮されると、図4に示すように、固定中空ロッド58に対して移動中空ロッド60が下降され、従って、支持フレーム74の高さが下降する。
【0028】
支柱54の移動中空ロッド60の上部には、環状フランジ77を有する取付スリーブ76が回転自在に支持され、この取付スリーブ76に支持フレーム74が所用の通りに取り付けられている。図1〜図4とともに図7を参照して、移動中空ロッド60の所定部位には円板状部材78が固定され、この円板状部材78の上側に環状フランジ77が載置されるように取付スリーブ76が回転自在に支持されている。取付スリーブ76には一対の取付ブラケット80が設けられ、これら取付ブラケット80が取付スリーブ76のスリーブ部79及び環状フランジ77に固定されている。支持フレーム74は棒状に細長く、その基部には二股状の一対の連結部82(図面において一方のみ示す)が設けられ、これら連結部82が連結ピン84介して取付ブラケット80に連結されている。連結ピン84の中心軸線は水平方向に延びる揺動軸線を構成し、支持フレーム74はかかる揺動軸線(連結ピン84)を中心として上下方向に揺動される。また、移動中空ロッド60(これに固定された円板状部材78)に対して取付スリーブ76が旋回自在であるので、移動中空ロッド60の中心軸線は上下方向に延びる旋回軸線を構成し、支持フレーム74はかかる旋回軸線(移動中空ロッド60)を中心として水平方向に旋回される。
【0029】
上下方向の揺動角度位置をロック保持するための第1ロック手段86と、水平方向の旋回角度位置をロック保持するための第2ロック手段88とが、支持フレーム74に関連して設けられている。第1ロック手段86は、図8にも示すように、一対の取付ブラケット80の先端部間に設けられた第1連結プレート90と、支持フレーム74の基部に設けられた第1連結片92と、第1ロックピン94とから構成され、第1連結プレート90にはその長手方向に間隔をおいて複数の第1ロック孔96が設けられ、また第1連結片92には貫通孔(図示せず)が設けられ、第1ロックピン94を第1連結片92の貫通孔を通して第1連結プレート90の第1ロック孔96のいずれかに挿入することによって、第1ロック手段86がロック状態となり、支持フレーム74は所定の仰俯角度位置にロック保持され、また第1ロックピン94を第1連結プレート90の第1ロック孔96から離脱させることによって、第1ロック手段86のロック状態が解除される。
【0030】
この実施形態においては、支持フレーム74は水平方向を基準にして仰俯角が上下方向に各25度の角度範囲(合計50度の角度範囲)にわたって角度調整可能に構成され、図1に一点鎖線74Aで示す最大仰角度位置と図1に一点鎖線74Bで示す最大俯角度位置との間を上下方向に揺動自在に構成されている。この構成に対応して、中央の第1ロック孔96aを中心に上側に三つ、下側に三つの第1ロック孔96が設けられている。中央の第1ロック孔96aは水平角度位置(仰俯角0度)に対応し、この第1ロック孔96aの一つ外側の第1ロック孔96は水平から10度の角度位置、即ち仰俯角10度に対応し、この第1ロック孔96aの二つ(又は三つ)外側の第1ロック孔96は水平から20度(又は25度)の角度位置、即ち仰俯角20度(又は25度)の角度位置に対応している。支持フレーム74をロック保持する角度位置は、作業台車による作業性などを考慮して適宜の角度位置に設定することができ、例えば仰俯角が5度間隔に設定できるように設定することもできる。
【0031】
この支持フレーム74は、その仰俯角が水平方向を基準に上下方向に各5度以上揺動自在となるように構成するのが望ましく、仰俯角をこのような角度に設定することによって、傾斜地などで使用するときにおいても、支持フレーム74を水平状態に保って所定の作業を行うことができ、傾斜地における作業性を高めることができる。
【0032】
また、第1ロック手段88は、図9にも示すように、円板状部材78の外周部に設けられた第2連結リング98と、第1連結プレートの下端部に設けられた第2連結片100と、第2ロックピン102とから構成されている。第2連結リング98にはその周方向に間隔をおいて複数の第2ロック孔104が設けられ、また第2連結片100には貫通孔(図示せず)が設けられ、第2ロックピン102を第2連結片100の貫通孔を通して第2連結リング98の第2ロック孔104のいずれかに挿入することによって、第2ロック手段88がロック状態となり、支持フレーム74は所定の旋回角度位置にロック保持され、また第2ロックピン102を第2連結リング98の第2ロック孔104から離脱させることによって、第2ロック手段88のロック状態が解除される。
【0033】
この実施形態においては、支持フレーム74は支柱54を中心として水平方向に300度の角度範囲にわたって角度調整可能に構成され、図5に一点鎖線74Cで示す最大左旋回角度位置と図5に一点鎖線74Dで示す最大右旋回角度位置との間を旋回自在に構成され、この旋回角度範囲内に、図5に実線で示す左90度旋回角度位置(走行体本体4から実質上垂直に左側に延びる角度位置)と右90度旋回角度位置(走行体本体4から実質上垂直に右側に延びる角度位置)が含まれるように構成される。この構成に対応して、第2連結リング98の周囲には周方向に15度の間隔をおいて20個の第2ロック孔104が設けられ、最も左側の第2ロック孔104が最大左旋回角度位置に対応し、最も右側の第2ロック孔104が最大右旋回角度位置に対応する。支持フレーム74をロック保持する水平方向の角度位置は、作業台車による作業性などを考慮して適宜の角度位置に設定することができ、例えば水平方向の角度位置が例えば10度間隔、20度間隔などに設定することもできる。
【0034】
この支持フレーム74は、その水平方向の旋回角度範囲が180度以上旋回自在となるように構成するのが望ましく、旋回角度をこのような角度範囲に設定することによって、左90度旋回角度位置から右90度旋回角度位置との間を旋回可能となり、後述するように、支持フレーム74を180度旋回させて走行体本体4の走行方向を切り換える(例えば、前進走行から後進走行に、又は後進方向から前進方向に切り換える)ことによって、隣接する畝に対する所定の作業が可能となる。
【0035】
図1に戻って、支持フレーム74の先端部には、支持・操作手段110が設けられている。この形態の支持・操作手段110は、操作ハンドル112、一対のブレーキレバー114,116と、第1及び第2ロック解除部材117(図1において一方のみ示す)から構成されている。操作ハンドル112はハンドル部118と、このハンドル部118の中央部に設けられた取付軸部120とを有し、取付軸部120が支持フレーム74の先端部に旋回自在に装着され、作業者はこの操作ハンドル112を持って支持フレーム74の先端側を支持するとともに、走行体本体4の倒れを防止する。
【0036】
一方のブレーキレー114は操作ハンドル112の左操作部122の近傍に設けられ、このブレーキレバー114は一方のブレーキワイヤ124を介して、例えば前輪24に関連して設けられる前ブレーキ装置(図示せず)に連結され、また他方のブレーキレバー116は操作ハンドル112の右操作部126の近傍に設けられ、このブレーキレバー116は他方のブレーキワイヤ128を介して、例えば後輪40に関連して設けられる後ブレーキ装置(図示せず)に連結されている。従って、ブレーキレバー114(又は116)を操作すると、ブレーキワイヤ124(又は128)を介して前ブレーキ装置(又は後ブレーキ装置)が作動し、前輪24(又は後輪40)が制動される。
【0037】
第1ロック解除部材117は、第1ロック手段86に関連して設けられ、第1ロック解除部材117が連結ワイヤ130を介して第1ロックピン94に連結されている(図7も参照)。従って、第1ロック解除部材117を手前側(図1において右側)に引くと、この操作が連結ワイヤ130を介して第1ロックピン94に伝達され、この第1ロックピン94が第1連結プレート90の第1ロック孔96から外れ、第1ロック手段86のロック状態が解除される。尚、第1ロックピン94に関連して戻しコイルばね(図示せず)が配設され、第1ロック解除部材117の引っ張り操作を解除すると、この戻しコイルばねの作用によって、第1ロックピン94が第1連結プレート90の第1ロック孔96(第1ロックピン94と整合したロック孔)に挿入され、第1ロック手段86がロック状態になるとともに、第1ロック解除部材117が元の状態に戻る。
【0038】
また、第2ロック解除部材(図示せず)は、第2ロック手段88に関連して設けられ、第2ロック解除部材が連結ワイヤ132を介して第2ロックピン102に連結されている(図7も参照)。従って、第2ロック解除部材を手前側に引くと、この操作が連結ワイヤ132を介して第2ロックピン102に伝達され、この第2ロックピン102が第2連結リング98の第2ロック孔104から外れ、第2ロック手段88のロック状態が解除される。尚、第2ロックピン102に関連しても戻しコイルばね(図示せず)が配設され、第2ロック解除部材の引っ張り操作を解除すると、この戻しコイルばねの作用によって、第2ロックピン102が第2連結リング98の第2ロック孔104(第2ロックピン102と整合したロック孔)に挿入され、第2ロック手段88がロック状態になるとともに、第2ロック解除部材が元の状態に戻る。
【0039】
作業者による各種操作を容易にするために、例えば次のように構成することもできる。即ち、操作ハンドル112に装着された例えば右操作レバー116を第1ロック解除部材として機能させ、この右操作レバー116から延びるワイヤ128を第1ロックピン94に連結させるとともに、操作ハンドル112に装着された例えば左操作レバー114を第2ロック解除部材として機能させ、この左操作レバー114から延びるワイヤ124を第2ロックピン102に連結させるようにしてもよい。このように構成することによって、右操作レバー116を操作して第1ロックピン94によるロック状態を解除して支持フレーム74を上下方向に揺動させることができ、また左操作レバー114を操作して第2ロックピン102によるロック状態を解除して支持フレーム74を水平方向に旋回することができる。また、このことに関連して、操作ハンドル112の右横(又は左横)にブレーキレバーを別個に設け、このブレーキレバーを操作して前輪24及び後輪40を同時に制動するようすることができ、このようなブレーキ装置として電磁ブレーキ装置を用いることができる。
【0040】
このような作業台車においては、図1に示すように、支持フレーム74には作業ユニット140が取り付けられる。また、図2に示すように、走行体本4の前荷台8及び後荷台10には作業器具142,144などが取り付けられる。そして、取り付けられた作業ユニット140及び作業機器142,144を用いて所望の作業が行われる。例えば、畝に植えられた茶木から茶葉を摘採する場合、作業ユニット74としてそれ自体周知の摘採ユニットが支持フレーム74に取り付けられる。また、例えば茶葉に付いた害虫を捕虫する場合、作業ユニット74としてそれ自体周知の送風捕虫ユニットが支持フレーム74に取り付けられるとともに、走行体本体4の前荷台8に作業機器142として例えば水が充填されたタンクが取り付けられ、その後荷台10に作業機器144として例えば送風機が取り付けられる。更に、例えば茶葉に農薬を散布する場合、作業ユニット74としてそれ自体周知の農薬散布ユニットが支持フレーム74に取り付けられ、走行体本体4の前荷台8に作業機器142として例えば農薬が充填されたタンクが取り付けられ、その後荷台10に作業機器144として例えば送風機が取り付けられる。このように、この作業台車では、作業ユニット74及び作業機器142,144として適宜のものを使用することによって種々の作業に適用して用いることができる。
【0041】
上述した自走式作業台車を用いて例えば茶葉の農薬散布作業を行う場合、次のようにして行うことができる。主として図9を参照して、農薬散布作業開始に際し、例えば走行体本体4(図9において太線で示す側が前である)を図9に実線で示す位置まで移動させ、下から第1番目の畝152と下から第2番目の畝154との間の作業路156に対応する位置に位置付ける。そして、第1番目の畝152の茶木についての農薬散布作業を行うために、支持フレーム74を右90度旋回位置に位置付けるとともに、走行モードを前進モードに設定し、走行体本体4を矢印160で示す方向(図9において右方)に前進移動させる。このようにして第1番目の畝154に対する農薬散布作業を遂行し、図9に一点鎖線4Aに示す位置まで前進すると、この第1番目の畝154の茶木に対する農薬散布作業が終了する。
【0042】
次に、第2番目の畝156の茶木についての農薬散布作業を行うために、図9に一点鎖線74A,74Bで示すように、支持フレーム74を一点鎖線の矢印162で示すように180度旋回させて左90度旋回位置に位置付けるとともに、走行モードを後進モードに切り換える。そして、走行体本体4を一点鎖線の矢印164で示す方向(図9において左方)に後進移動させて第2番目の畝156に対する農薬散布作業を遂行し、図9に実線で示す位置(支持フレームについては一点鎖線74Cで示す)まで戻ると、この第2番目の畝156の茶木に対する農薬散布作業が終了する。
【0043】
この作業台車においては、支持フレーム74(これに装着された作業ユニット140)が180度以上の角度範囲にわたって旋回自在であるので、右90度旋回角度位置においては隣接する一方の畝154に対する農薬散布作業が可能となり、また左90度旋回角度位置においては隣接する他方の畝156に対する農薬散布作業が可能となり、従って、作業台車を操舵することなく、前進移動及び後進移動させるのみで隣接する二つの畝154,156に対する農薬散布作業を行うことが可能となり、農薬散布作業の効率を高めることができる。
【0044】
このようにして下から第1及び第2番目の畝154,156に対する作業が終了すると、次に下から第3及び第4番目の畝164,166に対する農薬散布作業を遂行するために、走行モードを移動モードに切り換えて一点鎖線の矢印168で示す方向に走行体本体4を横移動させて、第3番目の畝164と第4番目の畝166との間の作業路170に対応する位置に位置付ける。
【0045】
この作業台車においては、走行体本体4が横移動可能な移動モードが設定可能であるので、走行体本体4を前進(又は後進)させて操舵しながら一点鎖線4Bで示す位置まで移動させる必要なはく、走行体本体4の横移動でもって簡単に且つ容易に一点鎖線4Bで示す位置まで移動させることができ、このような移動が可能なことによっても、作業効率を高めることができる。
【0046】
上述したようにして一点鎖線4Bで示す位置まで移動させると、次に第4番目の畝166の茶木に対する農薬散布作業を行うために、走行モードを再び前進モードに設定し、走行体本体4を一点鎖線の矢印171で示す方向(図9において右方)に前進移動させ、図9に一点鎖線4Cに示す位置まで前進させて第4番目の畝166の茶木に対する農薬散布作業を行う。
【0047】
その後、第3番目の畝164の茶木についての農薬散布作業を行うために、図9に一点鎖線74Fで示すように、支持フレーム74を一点鎖線の矢印172で示すように180度旋回させて右90度旋回位置に位置付けるとともに、走行モードを後進モードに切り換え、一点鎖線の矢印174で示す方向(図9において左方)に後進移動させて第3番目の畝164に対する農薬散布作業を遂行し、このように農薬散布作業を行うことにより、効率よく作業を行うことができる。
【0048】
上述した作業では、作業ユニット140として畝幅に対応する大きさの農薬散布ユニットを用いる場合について説明したが、畝幅の半分の大きさの農薬散布ユニットも存在し、このような農薬散布ユニットを用いる場合においても、上述したと略同様にして農薬散布作業を行うことができる。尚、摘採ユニットを用いた摘採作業、また捕虫ユニットを用いた捕虫作業については、走行体本体4の進行方向が決まっている(例えば前進方向に移動する)ので、畝に沿って往復作業移動した後に、支持フレーム74を180度旋回させて元の状態に戻し、このようにした後に上述した作業を繰り返し行うようになる。
【0049】
このような作業台車では、図10及び図11に示すように、走行停止時に走行体本体4を安定的に自立保持するために、自立用アウトリガー182を装備するのが望ましい。図示のアウトリガー182は、一対の前脚部184及び一対の後脚部186(図9及び図10においていずれも手前側のもののみを示す)と、地面2に接地する接地プレート188とを備えている。接地プレート188の前端部には一対の前連結ブラケット190が設けられ、これら前連結ブラケット190間に前連結ロッド192が回転自在に連結され、かかる前連結ロッド190の両端部に一対の前脚部184の一端部が接続固定され、これら前脚部184の他端部がフレーム構造12に設けられた取付ブラケット185(一方のみ示す)に短軸187を介して揺動自在に装着されている。また、接地プレート188の後端部には一対の後連結ブラケット194が設けられ、これら後連結ブラケット194間に後連結ロッド196が回転自在に連結され、かかる後連結ロッド196の両端部に一対の後脚部186の一端部が接続固定され、これら後脚部186の他端部がフレーム構造12に設けられた取付ブラケット195(一方のみ示す)に短軸197を介して揺動自在に装着されている。
【0050】
アウトリガー182は、更に、駆動源としての電動シリンダ機構200を備え、電動シリンダ機構200の本体部202がフレーム構造12に取り付けられ、その出力ロッド204が前方に延び、一方の前脚部184の他端部から延びる延長部206が連結軸208を介して出力ロッド204に旋回自在に連結されている。
【0051】
このように構成されているので、走行停止時において走行体本体4を自立保持するときには、電動シリンダ機構200を伸張させて前脚部184及び後脚部186を下降状態にすればよい。電動シリンダ機構200が伸張すると、前脚部184及び後脚部186が図10において反時計方向に一点鎖線で示す位置まで回動し、接地プレート188が地面2に接地することによって、走行体本体4は前脚部184、後脚部186及び接地プレート188により安定して自立状態に保持される。
【0052】
また、このような走行停止時の自立状態から走行するときには、電動シリンダ機構200を収縮させて前脚部184及び後脚部186を上昇状態にすればよい。電動シリンダ機構200が収縮すると、前脚部184及び後脚部186が図10において時計方向に実線で示す位置まで回動し、接地プレート188が地面2から離れて上昇する。このような上昇状態では、アウトリガー182による自立状態が解除され、走行体本体4の自走が可能となる。
【0053】
上述した実施形態では、アウトリガー182は接地プレート188を備えているが、このような接地プレート188を省略するようにしてもよく、このような場合、前脚部184及び後脚部186が地面2に直接的に接地するようになる。
【0054】
走行体本体4を自立状態に保持するためのアウトリガーは、図12及び図13に示すように構成することもできる。図12は、第1の変形形態のアウトリガーを備えた作業台車を示す側面図であり、図13は、図11の作業台車の正面図である。尚、以下の説明において、上述したと同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図11及び図12において、この形態のアウトリガー182Aは、一対の電動シリンダ機構302,304から構成され、一方の電動シリンダ機構302が走行体本体4の動力源取付部6の左前部に配設され、他方の電動シリンダ機構304がこの動力源取付部6の右前部に配設されている。各電動シリンダ機構302,304は、動力源取付部6に取り付けられたシリンダ本体306と、このシリンダ本体306に伸縮自在に装着されたロッド308(脚部として機能する)とを備え、ロッド308の先端部に接地部材310が任意の方向に揺動自在に装着されている。
【0056】
走行停止時において走行体本体4を自立保持するときには、一対の電動シリンダ機構302,304を伸張させてロッド308を下降状態にすればよい。一対の電動シリンダ機構302,304が伸張すると、図12に一点鎖線で示すように、それらのロッド308が下降して接地部材310が地面2に接地し、走行体本体4は一対の電動シリンダ機構302,304のロッド308及び接地部材310により安定して自立状態に保持される。尚、地面2が傾斜しているときには、図13に示すように、地面2の傾斜に対応して電動シリンダ機構302,304のロッド308の伸張量が変わり、このように伸張量が変化することによって接地部材310が地面2に確実に接地する。
【0057】
また、このような走行停止時の自立状態から走行するときには、一対の電動シリンダ機構302,304を収縮させて接地部材310を上昇状態にすればよい。電動シリンダ機構302,304が収縮すると、図12に実線で示すように、接地部材310が地面2から離れて上昇する。このような上昇状態では、アウトリガー182Aによる自立状態が解除され、走行体本体4の自走が可能となる。従って、第1の変形形態のアウトリガー182Aにおいても、簡単な構成でもって上述したと同様の作用効果が達成される。
【0058】
アウトリガーは、図14〜図16に示すように構成することもできる。図14は、第2の変形形態のアウトリガー及びこれに関連する構成を簡略的に示す正面図であり、図15は、図14のアウトリガーを示す側面図であり、図16は、図14のアウトリガーを伸張状態にしたときの状態を示す図である。
【0059】
図14〜図16において、この形態のアウトリガー182Bは、電動シリンダ機構320及び一対の脚部材322,324(脚部として機能する)を備えている。電動シリンダ機構320が走行体本体4Bの動力源取付部6Bの幅方向中央部に配設され、そのシリンダ本体326が動力源取付部6Bに取り付けられたブラケット328にピン330を介して揺動自在に支持されている。この電動シリンダ機構320のロッド334の先端部には連結ピン332を介して一対の脚部材322,324の上端部が揺動自在に連結されている。動力源取付部6Bの下部両側部には一対の案内部材336,338が支持軸340,342を介して揺動自在に装着され、一方の脚部材322の他端側は案内部材336を通して地面2に向けて下方に延び、その他端部にはピン344を介して接地部材346が揺動自在に装着され、また他方の脚部材324の他端側は他方の案内部材338を通して地面2に向けて下方に延び、その他端部にはピン348を介して接地部材350が揺動自在に装着されている。
【0060】
走行停止時において走行体本体4Bを自立保持するときには、電動シリンダ機構320を収縮させて一対の脚部材322,324を下降状態にすればよい。電動シリンダ機構320が収縮すると、図14に一点鎖線で示すように、一対の脚部材322,324が案内部材336,338に案内されながら地面2に向けて下降し、それらの先端に装着された接地部材346,350が地面2に接地し、走行体本体4は一対の脚部材322,324の接地部材346,350により安定して自立状態に保持される。尚、地面2が図16に示すように傾斜しているときには、図16に示すように、電動シリンダ機構320の収縮によって一方の脚部材322の接地部材346が地面2に接地し、かく接地した後は脚部材322の下降が地面2によって拘束される故に、電動シリンダ機構320の更なる収縮に伴ってこの電動シリンダ機構320がピン330を中心として矢印352で示す方向に旋回し、このような旋回に伴う他方の脚部材324の下降により接地部材350が地面2に接地し、地面2が傾斜していても走行体本体4Bを自立状態に保つことができる。
【0061】
また、このような走行停止時の自立状態から走行するときには、電動シリンダ機構320を伸張させて脚部材322,324を上昇状態にすればよい。電動シリンダ機構320が伸張すると、図14に実線で示すように、脚部材322,324及び接地部材346,350が地面2から離れて上昇する。このような上昇状態では、アウトリガー182Bによる自立状態が解除され、走行体本体4Bの自走が可能となる。従って、この第2の変形形態においても、一つの電動シリンダ機構320を用いて上述したと同様の作用効果が達成される。
【0062】
尚、この第2の変形体においては、図16に一点鎖線で示すように、必要に応じて、脚部材322,324を所要の通りに案内するためのガイド体356を設けるようにしてもよい。
【0063】
以上、本発明に従う作業台車の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、移動モードが設定可能であることなどから前輪24及び後輪40に前走行駆動モータ38及び後走行駆動モータ48を設けているが、単に前進及び後進を行うのみである場合、前走行駆動モータ38及び後走行駆動モータ48の双方のモータが必ずしも必要でなく、これらのいずれか一方の走行駆動モータを装備するのみでよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一実施形態の自走式作業台車を示す正面図。
【図2】図1の作業台車を一部省略して示す側面図。
【図3】図1の作業台車の支柱及びそれに関連する構成を示す断面図。
【図4】図1の作業台車において支柱を収縮した状態で示す断面図。
【図5】図1の作業台車を簡略的に示す平面図。
【図6】図6(a)〜(c)は、前進モード、後進モード及び移動モードにおける前輪及び後輪の操舵範囲を簡略的に示す図。
【図7】図1の作業台車における支柱の上部付近を示す部分斜視図。
【図8】図8(a)は、図1の作業台車における第1ロック手段を分解して示す部分斜視図であり、図8(b)は、図1の作業台車における第2ロック手段を分解して示す部分斜視図。
【図9】図1の作業台車を用いた作業の一例を示す簡略図。
【図10】変形形態の作業台車の一部を示す側面図。
【図11】図10の作業台車においてアウトリガーを自立状態にしたときの状態を示す斜視図。
【図12】第1の変形形態のアウトリガーを備えた作業台車を示す側面図。
【図13】図11の作業台車の正面図。
【図14】第2の変形形態のアウトリガー及びこれに関連する構成を簡略的に示す正面図。
【図15】図14のアウトリガーを示す側面図。
【図16】図14のアウトリガーを伸張状態にしたときの状態を示す図。
【符号の説明】
【0066】
2 地面
4,4B 走行体本体
6,6B 動力源取付部
8 前荷台
10 後荷台
12 フレーム構造
24 前輪
40 後輪
54 支柱
74 支持フレーム
86 第1ロック手段
88 第2ロック手段
110 支持・操作手段
112 操作ハンドル
140 作業ユニット
142,144 作業機器
182,182A,182B アウトリガー
184 前脚部
186 後脚部
188 接地プレート
302,304,320 電動シリンダ機構
322,324 脚部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体本体、前記走行体本体の前部に設けられた前輪及び前記走行体本体の後部に設けられた後輪を備えた自走式走行体と、前記走行体本体に設けられた支柱と、前記支柱に取り付けられた支持フレームと、前記支持フレームに装着された作業ユニットと、前記支持フレームの先端部に設けられた支持・操作手段と、を具備し、前記前輪及び前記後輪の少なくともいずれか一方は駆動輪として機能し、また前記前輪及び前記後輪の少なくともいずれか一方は操舵可能であり、更に、前記支持フレームは、前記支柱を中心として180度以上の角度範囲にわたって旋回自在に支持されているとともに、仰俯角が水平方向を基準に5度以上となるように上下方向に揺動自在に支持されていることを特徴とする自走式作業台車。
【請求項2】
走行体本体、前記走行体本体の前部に設けられた前輪及び前記走行体本体の後部に設けられた後輪を備えた自走式走行体と、前記走行体本体に設けられた支柱と、前記支柱に取り付けられた支持フレームと、前記支持フレームに装着された作業ユニットと、前記支持フレームの先端部に設けられた支持・操作手段と、前記走行体本体に装着された自立用アウトリガーと、を具備し、
前記前輪及び前記後輪は駆動輪として機能するとともに、少なくとも90度の角度範囲にわたって操舵可能であり、
前記アウトリガーは、下降状態と上昇状態との間を昇降自在である脚部を備え、走行停止時において前記脚部を下降状態にすると、前記脚部が接地して前記自立用アウトリガーが前記走行体本体を自立状態に保ち、走行停止時において前記脚部を上昇状態にすると、前記脚部が地面から上昇して前記走行体本体が自走可能となることを特徴とする自走式作業台車。
【請求項3】
前記走行体本体の中央部には動力源取付部が設けられ、前記支柱は前記動力源取付部に設けられ、前記動力源取付部の前側に前荷台が設けられ、前記前荷台の下側に前記前輪が配設されており、また前記動力源取付部の後側に後荷台が設けられ、前記後荷台の下側に前記後輪が配設されており、前記動力源取付部の底部は前記前輪及び前記後輪との間を下方に突出していることを特徴とする請求項2に記載の自走式作業台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−213387(P2009−213387A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59719(P2008−59719)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、農林水産省、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業委託事業(新規課題)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(391048049)滋賀県 (81)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】