説明

自走式草刈機

【課題】
草刈りに要する労力と手間を軽減するために、前進と後進のどちらでも、同じように効率良く草刈りができるようにした自走式草刈機を提供する。
【解決手段】
草刈機Bはフレーム1を有している。フレーム1の前後部には、前進と後進が可能な走行手段を構成する前輪31と駆動輪である後輪41が設けてある。フレーム1の下部には、カッター2が進行方向に対して両側に並設されている。カッター2は、走行手段の進行方向の切り替えに伴って回転方向が切り替わるようにしてある。ハンドル6は、草刈機Bの進行方向に対し、所要の方向に設定することができる。フレーム1の前後部には、草をカッター2に誘導するカバー71が設けてある。草刈機Bは、前輪31あるいは後輪41の高さを変えることにより、カッター2の刈り高を調整する刈高調整装置8を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式草刈機に関するものであり、更に詳しくは、前進と後進のどちらでも、同じように効率良く草刈りができるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自走式草刈機(単に「草刈機」と記載する場合がある)は、前進方向のみの草刈りしかできなかった。つまり、草刈機の進行方向を変えるには、ハンドルを持ち上げて(あるいは押し下げて)草刈機本体を傾けた状態で旋回させ、草刈機自体の向きを変える必要があった。ところが、河川の堤防の法面などの傾斜した場所では、平坦面に比べて足場が悪く、草刈機の進行方向を変えるには危険が伴う。
【0003】
このため、従来の草刈機で堤防の法面などの傾斜面の草を刈る場合、次に示すような方法をとっていた(図15参照)。
(1) 草刈機Aの進行方向に対して正面を向き、まず傾斜面の例えば左端から右端までの草を刈る。
(2) 傾斜面の端部まで草を刈り終えたら、一旦草刈機Aを傾斜面の上(または下)の足場の良い平坦面まで移動させる。次に、ハンドル9を持ち上げて(あるいは押し下げて)草刈機A本体を180度ターンさせ、草刈機Aの進行方向を変える。そして、再び草刈機Aを傾斜面に戻す。
(3) (1)と同様に草刈機Aの進行方向に対して正面を向いた状態で、傾斜面の左端までの草を刈る。
(4) 上記(1)から(3)までの作業を繰り返して、傾斜面を下っていき傾斜面全体の草を刈る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来のものでは次のような課題があった。
即ち、従来の草刈機で河川の堤防の法面などの傾斜面の草を刈る場合、草刈機を一旦足場の良い平坦面まで移動させる必要があったので、面積の広い傾斜面では平坦面まで何度も登ったり降りたりして草刈り機を移動しなければならず、作業効率が悪かった。
【0005】
そこで本発明者等は、草刈りに要する労力と手間を軽減すべく鋭意研究を進めた結果、前進と後進の両方の走行が可能であり、どちらの方向に対してでも同じように効率良く草刈りができるようにした自走式草刈機の開発に取り組み、本発明を完成するに至った。
また、上記した自走式草刈機の開発にあたり、草刈機の走行速度、変速手段の変速等の操作以外にも、進行方向(前進と後進)の切り替えの操作が加わっため、それらの操作を同じ操作レバーで容易に行える操作レバー装置の開発に取り組み、鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
更に、上記した草刈機の開発にあたり、進行方向(前進と後進)の切り替えに伴い、ハンドルの向きを頻繁に調整する必要性が生じたため、ハンドルを容易且つ迅速に調整することができるハンドルの方向の調整装置の開発にも取り組み、鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
(発明の目的)
そこで本発明の第1の目的は、草刈りに要する労力と手間を軽減するために、前進と後進のどちらでも、同じように効率良く草刈りができるようにした自走式草刈機及び草刈方法を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、草刈機本体の向きを変えるために行う折り返し箇所ごとの平坦面までの移動を不要として、草刈り作業に要する労力を軽減し、作業効率を向上させることができるようにした自走式草刈機及び草刈方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第3の目的は、自走式草刈機における前進と後進の進行方向の切り替え、変速手段の変速、及び走行速度等の各操作を容易且つ迅速に行えるようにした自走式草刈機等の作業機の操作レバー装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第4の目的は、草刈機や耕運機などの作業機のハンドルの方向の調整が容易且つ迅速にできるようにしたハンドルの方向調整装置を提供することにある。
その他の本発明の目的は、以下の説明によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
前進と後進が可能な走行手段と、
カッターを有する草刈手段と、
を含んでおり、
上記カッターは、上記走行手段の進行方向の切り替えに伴って、
回転方向が切り替わることを特徴とする、
自走式草刈機である。
【0011】
第2の発明にあっては、
走行手段の進行方向に対し、所要の方向に設定することができるハンドルを含むことを特徴とする、
第1の発明に係る自走式草刈機である。
【0012】
第3の発明にあっては、
走行時のカッターの前方となる側にカバーが設けてあり、当該カバーは草をカッターに誘導することを特徴とする、
第1または第2の発明に係る自走式草刈機である。
【0013】
第4の発明にあっては、
カバーは、草をカッターに誘導するために、下部側がカッター側に近づくように内方へ傾斜可能であり、
走行時のカッターの前後方向に開口部が形成されないように、所定の傾斜位置から外方へ開かないようにしてあることを特徴とする、
第3の発明に係る自走式草刈機である。
【0014】
第5の発明にあっては、
刈り高を調整することができる刈高調整手段を含むことを特徴とする、
第1,2,3または第4の発明に係る自走式草刈機である。
【0015】
第6の発明にあっては、
走行手段は、走行車輪を有しており、
刈高調整手段は、上記走行車輪の高さを変えて刈り高を調整するようになっていることを特徴とする、
第5の発明に係る自走式草刈機である。
【0016】
第7の発明にあっては、
刈高調整手段の操作をハンドルの手元側で行うことができるようにしてあることを特徴とする、
第5または第6の発明に係る自走式草刈機である。
【0017】
第8の発明にあっては、
カッターは水平方向に回転する回転刃であり、自走式草刈機の進行方向の前部側が下方に傾斜することに伴って、同様に傾斜することを特徴とする、
第1,2,3,4,5,6または第7の発明に係る自走式草刈機である。
【0018】
第9の発明にあっては、
刈り高を調整することができる刈高調整手段を含み、当該刈高調整手段の操作をハンドルの手元側で行うことができるようにしてあることを特徴とする、
自走式草刈機である。
【0019】
第10の発明にあっては、
ハンドルは伸縮自在に形成されていることを特徴とする、
自走式草刈機。
【0020】
第11の発明にあっては、
前進と後進が可能な走行手段と、上記走行手段の速度を変速する変速手段とを含む作業機の操作レバー装置であって、
上記走行手段の進行方向の切り替えを行う進行方向切替手段と、
上記変速手段の変速を行う変速切替手段と、
エンジンの出力を制御する出力制御手段と、
を含んでおり、
上記進行方向切替手段、変速切替手段、及び出力制御手段の制御を同じ操作レバーで操作できるようにしてあることを特徴とする、
操作レバー装置である。
【0021】
第12の発明にあっては、
ハンドルの方向を調整する調整装置であって、
上記ハンドルの向きを上下方向に調整することができる上下方向調整手段と、
上記ハンドルの向きを水平方向に調整することができる水平方向調整手段と、
を含んでおり、
上記上下方向調整手段及び水平方向調整手段を同じ操作手段によって操作できるようにしてあることを特徴とする、
ハンドルの方向調整装置である。
【0022】
第13の発明にあっては、
ハンドルの方向を調整する調整装置であって、
水平方向に回動可能な台部材と、
上記台部材に設けてあり、上下方向に回動可能なハンドルと、
上記台部材に設けてあり、当該台部材の水平方向の回動を係止する手段と上記ハンドルの上下方向の回動を係止する手段を備えた係止部材と、
を含んでいることを特徴とする、
ハンドルの方向調整装置である。
【0023】
第14の発明にあっては、
揺動体と、
当該揺動体に設けられ、プーリ間に巻回された伝動ベルトのうち並行する部分の外側に対向して設けてある一対のテンションプーリと、
当該テンションプーリの間隔を調整する手段と、
を備えており、
上記伝動ベルトの並行する部分側のうち、テンションの強い側のテンションプーリが外側へ押されることに伴い、上記揺動体は同方向へ揺動するようにしてあることを特徴とする、
テンションクラッチ構造である。
【0024】
第15の発明にあっては、
自走式草刈機の向きを変えることなく、進行方向を前後に切り替えながら草刈りを行うことを特徴とする、
草刈方法である。
【0025】
第16の発明にあっては、
自走式草刈機の進行方向の切り替えに伴い、カッターの回転方向を切り替えて草刈りを行うことを特徴とする、
第15の発明に係る草刈方法である。
【0026】
なお、本発明にいう「カッター」は、第8の発明に記載のもの以外に、例えばフレール式(ハンマーナイフ式)やバリカン式などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
(作 用)
本発明に係る自走式草刈機は、前進と後進が可能な走行手段と、カッターを有する草刈手段と、を含んでおり、上記カッターは、上記走行手段の進行方向の切り替えに伴って、回転方向が切り替わるようになっている。したがって、前進と後進のどちらでも、同じように効率良く草刈りができ、草刈りに要する労力と手間を軽減することができる。
即ち、例えば、カッターが水平方向に回転する回転刃であって、進行方向に対して両側に並設されたものである場合、進行方向の切り替えに伴って、カッターの回転方向を内側方向に適宜切り替えることにより、並設されたカッターの間に常に草を抱き込むようにして効率良く刈ることができる。また、カッターを進行方向に対して内側方向に回転させることにより、刈り取った草を外側に飛び散らせることなく、刈幅の中央付近にすじ状にきれいに残すことができ、石などの異物の飛散も少なくすることができる。
更に、例えば、カッターが垂直方向に回転するフレール式(ハンマーナイフ式)の刃である場合、進行方向の切り替えに伴って、カッターの回転方向を正方向に適宜切り替えることにより、刈り取った草を外側に飛び散らせることなく、草を効率良く刈ることができる。
【0028】
走行手段の進行方向に対し、所要の方向に設定することができるハンドルを含む自走式草刈機にあっては、例えば河川の堤防の法面などの傾斜した場所で使用した場合、次のようにして草刈りを行うことができる。なお、草の刈り方としては、傾斜面の横方向の一端側から他端側までの草を、上から順に刈っていく方法を例にとって説明する。
(1)まず、ハンドルの向きを、草刈機の進行方向(傾斜方向とほぼ直角)に対してほぼ直角に上方側へ設定し、草刈機の進行方向に対して横に立った状態で、草刈りが行えるようにする。
(2)作業者は横方向に歩きながら草刈機を前進させ、まず傾斜面の例えば左端から右端まで草を刈るようにする。
(3)傾斜面の右端まで草を刈り終えたら、ハンドルの向きを変えないで、走行手段の進行方向を切り替える。そうして、一段下の草を刈るために、草刈機を下方斜め方向にやや進行させた後、傾斜面の右端から左端までの草を同様に刈るようにする。
(4)傾斜面の左端まで草を刈り終えたら、(3)の操作と同様に、ハンドルの向きを変えないで、走行手段の進行方向を切り替える。そして、一段下の草を刈るたびに、草刈機を下方斜め方向にやや進行させた後、傾斜面の左端から右端まで同様に草を刈るようにする。
(5)上記(3)と(4)の作業を繰り返して、傾斜面を下っていき傾斜面全体の草を刈るようにする。
上記のようにして草を刈るようにすれば、従来のような折り返し箇所ごとに平坦地まで移動して草刈機の向きを変える動作が不要となる。したがって、草刈りに要する労力を軽減でき、作業効率を向上させることができる。
【0029】
走行時のカッターの前方となる側にカバーが設けてあり、当該カバーは草をカッターに誘導するようになっている自走式草刈機にあっては、草刈りを走行手段の前進あるいは後進のどちらの方向で行うようにしても、カッターに草をスムーズに誘導することができる。
【0030】
草をカッターに誘導するために、下部側がカッター側に近づくように内方へ傾斜可能であるカバーを有している自走式草刈機にあっては、草を根本から完全に押し倒すことなく、根本をある程度立てた状態でカッターに誘導することができる。したがって、草を確実に刈ることができ、草の刈り残しが防止される。このカバー構造は、特に倒れやすい長い草を刈る場合に好適である。
また、走行時のカッターの前後方向に開口部が形成されないように、所定の傾斜位置からカバーが外方へ開かないようにしてあるので、カッターが石などの異物を弾き飛ばした場合でもカバー外部に飛散することを防止でき、安全性に優れている。
【0031】
刈り高を調整することができる刈高調整手段、または、走行手段が走行車輪を有しており、刈高調整手段が上記走行手段の高さを変えて刈り高を調整するようになっている自走式草刈機にあっては、草の長さや地面の起伏に応じて、カッターの刈高を適切な高さに調整することができる。
【0032】
刈高調整手段の操作をハンドルの手元側で行うことができるようにしてある自走式草刈機にあっては、ハンドルを握ったまま刈高調整手段を操作することができるので、例えば足下が不安定な傾斜面であっても、手早く、安全に、刈り高を調整することができる。
【0033】
カッターが水平方向に回転する回転刃であり、自走式草刈機の進行方向の前部側が下方に傾斜することに伴って、同様に傾斜する自走式草刈機にあっては、カッターの前部側で刈り取った草の残部である切り株がカッターの後部側で再度当たることを防止できるので、カッターにかかる抵抗を少なくして草を効率良く刈ることができ、原動機を含むカッター駆動系にかかる負担を低減して耐久性と燃費を向上させることができる。
【0034】
ハンドルが伸縮自在に形成されている自走式草刈機にあっては、草刈機本体と作業者の距離の調整が可能であるので、凸凹面や石などの障害物を避けるようにして、常に足場の良い場所を確保しながら作業することができる。また、例えば木の下など、作業者が直接入っていけない所に生えた草でも、ハンドルを伸ばすことによって離れた位置から刈ることができる。
【0035】
本発明に係る操作レバー装置にあっては、(1)前進と後進の進行方向の切り替え、(2)変速手段の変速、及び(3)エンジンの出力の制御に伴う走行速度等を、同じ操作レバーで操作することができるので、各操作を容易且つ迅速に行うことができ、結果的に例えば草刈機や耕運機などの作業機の操作性及び作業性を向上させることができる。
【0036】
本発明に係るハンドルの方向を調整する調整装置にあっては、ハンドルの上下方向調整手段と水平方向調整手段を同じ操作手段によって操作することができるので、上下方向と水平方向の調整をそれぞれ別の操作手段で調整するものと比べ、ハンドルの調整を容易且つ迅速に行うことができる。また、上下方向と水平方向の組み合わせにより、ハンドルを作業に最も好適な方向に設定することができる。
【0037】
ハンドルが設けてある台部材の水平方向の回動を係止する手段と上記ハンドルの上下方向の回動を係止する手段とを備えた係止部材を含むハンドルの方向調整装置にあっては、例えば操作ワイヤなどによる上記係止部材の操作だけで、台部材に設けてあるハンドルの向きを上下方向にも傾斜させて調整することができ、且つ水平方向に回転させて調整することができる。したがって、上下方向と水平方向の調整をそれぞれ別の操作手段で調整するものと比べ、ハンドルの調整を容易且つ迅速に行うことができる。
【0038】
本発明に係るテンションクラッチ構造にあっては、次のように作用する。即ち、対向して設けてある一対のテンションプーリの間隔を狭めることにより、外側から伝動ベルトにテンションがかかり、駆動力が伝達される。そして、伝動ベルトの並行する部分のうち、テンションの強い側のテンションプーリが外側へ押されることに伴い、テンションプーリを有する揺動体は同方向へ揺動し、結果的に伝動ベルトの並行する部分に駆動力を伝達するためのテンションがバランス良くかかる。
したがって、例えば、駆動側のプーリの回転方向が適宜切り替わって、伝動ベルトの張り側と弛み側が替わるようなテンションクラッチ構造であっても、伝動ベルトの並行する部分には上記したようにテンションがバランス良くかかるので、駆動側のプーリの動力は確実に従動側に伝わる。
【発明の効果】
【0039】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明に係る自走式草刈機は、前進と後進が可能な走行手段と、カッターを有する草刈手段と、を含んでおり、上記カッターは、上記走行手段の進行方向の切り替えに伴って、回転方向が切り替わるようになっている。したがって、前進と後進のどちらでも、同じように効率良く草刈りができ、草刈りに要する労力と手間を軽減することができる。
【0040】
(b)走行手段の進行方向に対し、所要の方向に設定することができるハンドルを含む自走式草刈機にあっては、ハンドルの向きを、例えば草刈機の進行方向(傾斜方向とほぼ直角)に対してほぼ直角に上方側へ設定することができるので、草刈機の進行方向に対して横に立った状態で草刈りが行える。
よって、例えば河川の堤防の法面などの傾斜した場所等で使用した場合、横に立った状態で、草刈機の進行方向を切り替えながら草刈りを行うようにすれば、従来のような折り返し箇所ごとに平坦地まで移動して草刈機の向きを変える動作が不要となる。したがって、草刈りに要する労力を軽減でき、作業効率を向上させることができる。
【0041】
(c)走行時のカッターの前方となる側にカバーが設けてあり、当該カバーは草をカッターに誘導するようになっている自走式草刈機にあっては、草刈りを走行手段の前進あるいは後進のどちらの方向で行うようにしても、カッターに草をスムーズに誘導することができる。
【0042】
(d)草をカッターに誘導するために、下部側がカッター側に近づくように内方へ傾斜可能であるカバーを有している自走式草刈機にあっては、草を根本から完全に押し倒すことなく、根本をある程度立てた状態でカッターに誘導することができる。したがって、草を確実に刈ることができ、草の刈り残しが防止される。このカバー構造は、特に倒れやすい長い草を刈る場合に好適である。
また、走行時のカッターの前後方向に開口部が形成されないように、所定の傾斜位置からカバーが外方へ開かないようにしてあるので、カッターが石などの異物を弾き飛ばした場合でもカバー外部に飛散することを防止でき、安全性に優れている。
【0043】
(e)刈り高を調整することができる刈高調整手段、または、走行手段が走行車輪を有しており、刈高調整手段が上記走行手段の高さを変えて刈り高を調整するようになっている自走式草刈機にあっては、草の長さや地面の起伏に応じて、カッターの刈高を適切な高さに調整することができる。
【0044】
(f)刈高調整手段の操作をハンドルの手元側で行うことができるようにしてある自走式草刈機にあっては、ハンドルを握ったまま刈高調整手段を操作することができるので、例えば足下が不安定な傾斜面であっても、手早く、安全に、刈り高を調整することができる。
【0045】
(g)カッターが水平方向に回転する回転刃であり、自走式草刈機の進行方向の前部側が下方に傾斜することに伴って、同様に傾斜する自走式草刈機にあっては、カッターの前部側で刈り取った草の残部である切り株がカッターの後部側で再度当たることを防止できるので、カッターにかかる抵抗を少なくして草を効率良く刈ることができ、原動機を含むカッター駆動系にかかる負担を低減して耐久性と燃費を向上させることができる。
【0046】
(h)ハンドルが伸縮自在に形成されている自走式草刈機にあっては、草刈機本体と作業者の距離の調整が可能であるので、凸凹面や石などの障害物を避けるようにして、常に足場の良い場所を確保しながら作業することができる。また、例えば木の下など、作業者が直接入っていけない所に生えた草でも、ハンドルを伸ばすことによって離れた位置から刈ることができる。
【0047】
(i)本発明に係る操作レバー装置にあっては、(1)前進と後進の進行方向の切り替え、(2)変速手段の変速、及び(3)エンジンの出力の制御に伴う走行速度等を、同じ操作レバーで操作することができるので、各操作を容易且つ迅速に行うことができ、結果的に例えば草刈機や耕運機などの作業機の操作性及び作業性を向上させることができる。
【0048】
(j)本発明に係るハンドルの方向を調整する調整装置にあっては、ハンドルの上下方向調整手段と水平方向調整手段を同じ操作手段によって操作することができるので、上下方向と水平方向の調整をそれぞれ別の操作手段で調整するものと比べ、ハンドルの調整を容易且つ迅速に行うことができる。また、上下方向と水平方向の組み合わせにより、ハンドルを作業に最も好適な方向に設定することができる。
【0049】
(k)ハンドルが設けてある台部材の水平方向の回動を係止する手段と上記ハンドルの上下方向の回動を係止する手段とを備えた係止部材を含むハンドルの方向調整装置にあっては、例えば操作ワイヤなどによる上記係止部材の操作だけで、台部材に設けてあるハンドルの向きを上下方向にも傾斜させて調整することができ、且つ水平方向に回転させて調整することができる。したがって、上下方向と水平方向の調整をそれぞれ別の操作手段で調整するものと比べ、ハンドルの調整を容易且つ迅速に行うことができる。
【0050】
(l)本発明に係るテンションクラッチ構造にあっては、対向して設けてある一対のテンションプーリの間隔を狭めることにより、外側から伝動ベルトにテンションがかかり、駆動力が伝達されるようになっている。そして、伝動ベルトの並行する部分のうち、テンションの強い側のテンションプーリが外側へ押されることに伴い、テンションプーリを有する揺動体は同方向へ揺動し、結果的に伝動ベルトの並行する部分に駆動力を伝達するためのテンションがバランス良くかかる。
したがって、例えば、駆動側のプーリの回転方向が適宜切り替わって、伝動ベルトの張り側と弛み側が替わるようなテンションクラッチ構造であっても、伝動ベルトの並行する部分には上記したようにテンションがバランス良くかかるので、駆動側のプーリの動力は確実に従動側に伝わる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る自走式草刈機の実施の形態を示す概略側面図。
【図2】図1に示す自走式草刈機の概略正面図。
【図3】図1に示す自走式草刈機を上方から見た概略説明図。
【図4】図1において原動機の後部に設けてあるクラッチボックスとミッションケースの内部構造を示した断面を表す説明図。
【図5】自走式草刈機の前後部に取り付けられるカバーの取付構造を示した概略説明図。
【図6】自走式草刈機の前部側を示す概略斜視図。
【図7】自走式草刈機の後部側を示す概略斜視図。
【図8】刈高調整装置の作用を示す概略説明図。
【図9】自走式草刈機の使用状態説明図。
【図10】本発明に係る自走式草刈機の第2の実施の形態を示す概略側面図。
【図11】図10に示す自走式草刈機を上方から見た概略説明図。
【図12】図10において原動機の後部に設けてあるクラッチボックスとミッションケースの内部構造を示した断面を表す説明図。
【図13】自走式草刈機に設けてある刈高調整装置の要部拡大説明図。
【図14】刈高調整装置の作用を示す概略説明図。
【図15】従来の自走式草刈機の使用状態説明図。
【図16】本発明に係る自走式草刈機の第3の実施の形態を示す概略側面図。
【図17】自走式草刈機の刈高調整装置を示す斜視図。
【図18】自走式草刈機の操作装置を上方から見た概略説明図。
【図19】自走式草刈機の操作装置を右側から見た概略説明図。
【図20】自走式草刈機の操作装置を裏側から見た斜視図。
【図21】ハンドルの方向調整装置を示す斜視図。
【図22】ハンドルの方向調整装置の分解斜視図。
【図23】ハンドルの方向調整装置を右側から見た一部切欠断面図で、ハンドルの方向調整機構を表している。
【図24】草刈機を前進方向に走行させる場合のスロットルレバーの動きを示す概略説明図。
【図25】草刈機を後進方向に走行させる場合のスロットルレバーの動きを示す概略説明図。
【図26】テンションプーリ機構を示概略説明図。
【図27】本発明に係る自走式草刈機の第4の実施の形態を示し、草刈機を左側(刈高調整装置が設けられていない側)から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本発明に係る自走式草刈機の第1の実施の形態を示す概略側面図、
図2は図1に示す自走式草刈機の概略正面図、
図3は図1に示す自走式草刈機を上方から見た概略説明図、
図4は、図1において原動機の後部に設けてあるクラッチボックスとミッションケースの内部構造を示した断面を表す説明図、
図5は自走式草刈機の前後部に取り付けられるカバーの取付構造を示した概略説明図、
図6は自走式草刈機の前部側を示す概略斜視図、
図7は自走式草刈機の後部側を示す概略斜視図、
図8は刈高調整装置の作用を示す概略説明図であり、そのうちの図8(イ)は最大刈高状態を示し、図8(ロ)は前進方向に対する最低刈高状態を示し、図8(ハ)は後進方向に対する最低刈高状態を示している。
なお、図2及び図3に示す自走式草刈機Bはカバーを二点鎖線で表しており、図7においてはミッションケースを省略して示している。
【0053】
符号Bは自走式の草刈機で、前進と後進の両方の走行が可能であり、どちらの方向に対してでも草刈りができるようになっている。
草刈機Bは、金属板で形成されたフレーム1を有している。フレーム1は、図3に示すように、進行方向に対して左右両側の中央部がややせり出して形成されており、後述するカッター2が石などの異物を弾き飛ばした場合でも、石が側面方向へ飛散しにくい構造となっている。
【0054】
フレーム1の前後部には、走行手段を構成する前輪31と駆動輪である後輪41が設けてある。後輪41のトレッド部には、突起状のスパイク部410が設けてある。
また、フレーム1の後方上部には同じく走行手段を構成するミッションケース42が設けてあり、このミッションケース42の中には後輪41を駆動する後部駆動軸43(図3参照)と、後述する変速選択軸44と変速ギア(図示せず)が設けてある。後輪41の後部車軸411と後部駆動軸43の各軸には、図1に示すようにスプロケット45,46が設けてあり、このスプロケット45,46間にはチェーン47が巻き掛けてある。なお、スプロケット45,46とチェーン47は、チェーンケース48に収容されている。
【0055】
フレーム1の上部には原動機51が設けてある。原動機51は、上記した後輪41とカッター2を駆動するようになっている。原動機51の下に設けてあるのは、燃料タンク52である。
【0056】
フレーム1の下部には、草刈り手段を構成するカッター2が、図3に示すように、進行方向に対して両側に並設されている。カッター2は、刃板21を有しており、水平に回転可能な回転刃となっている。刃板21は、垂直軸22に水平に取り付けてある。図3において前部側から見て右側に位置するカッター2の垂直軸22の上端部には、原動機51からの動力を受ける従動プーリ23が取り付けてある。
【0057】
また、図2に示すように、従動プーリ23が取り付けてあるカッター2の垂直軸22には、駆動ギア24が設けてある。更に、図2において左側に位置するカッター2の垂直軸22には、従動ギア24aが設けてある。そして、駆動ギア24と従動ギア24aの間には別に伝動ギア25が互いにかみ合って並設されている。これにより、並設されたカッター2は、原動機51からの動力を受けて、反対方向に同時に回転するようになっている。
つまり、並設されたカッター2の回転方向は、進行方向に対して内側方向であり、カッター2の間に常に草を抱き込むようにして効率良く刈ることができる。
【0058】
図4において、原動機51の動力は、原動機51後部に設けてあるクラッチボックス53内の駆動軸531から垂直軸532へ伝達されるようになっている。垂直軸532の下端部には、カッター2を駆動させる駆動プーリ54が取り付けてある。駆動プーリ54と、カッター2を回転させる従動プーリ23(図3参照)にはベルト55が巻き付けてあり、垂直軸532からの動力がカッター2に伝達できるようにしてある。
【0059】
また、垂直軸532は、ベベルギア533を介して変速選択軸44と連動されており、変速選択軸44は変速ギア(図示せず)を介して後部駆動軸43と連動されている。これにより、垂直軸532からの動力が後部駆動軸43に伝達され、後輪41を駆動するようになっている。
【0060】
更に、駆動軸531は、駆動軸531に嵌め入れてあるつめクラッチ534によって、垂直軸532の回転を正転方向と逆転方向に制御している。なお、つめクラッチ534は、駆動軸531の軸線方向に移動可能であり、駆動軸531の軸周方向へは固定されている。
【0061】
また、駆動軸531の軸線方向に向かい合わせに設けてある正転用のベベルギア535及び逆転用のベベルギア536の各々と、垂直軸532の上端部に設けてあるベベルギア537とは常に噛み合っており、ベベルギア535,536は駆動軸531上で空転している。そして、つめクラッチ534を左右どちらかに移動させて、正転用のベベルギア535または逆転用のベベルギア536に結合させ、駆動軸531の動力を垂直軸532に伝達するようになっている。
つめクラッチ534が正転用のベベルギア535と結合した場合では、垂直軸532の回転は正転方向となり、つめクラッチ534が逆転用のベベルギア536と結合した場合では、垂直軸532の回転は逆転方向となる。
【0062】
そうして、垂直軸532が正回転する場合では、後部車軸411とカッター2も同じく正回転し、後部車軸411は前進方向に回転すると共に、カッター2は前進方向に対して内側方向に回転するようになる。これに対し、垂直軸532の回転が逆転方向に切り替わった場合では、後部車軸411とカッター2も同じく逆回転し、後部車軸411は後進方向に回転すると共に、カッター2は後進方向に対して内側方向に回転するようになる。
【0063】
以上のように、草刈機Bの進行方向に応じて、カッター2の回転方向が適宜内側方向に切り替わるので、並設されたカッター2の間に常に草を抱き込むようにして効率良く刈ることができる。また、カッター2を進行方向に対して内側方向に回転させることにより、刈り取った草を外側に飛び散らせることなく、刈幅の中央付近にすじ状にきれいに残すことができ、石などの異物の飛散も少なくすることができる。
【0064】
クラッチボックス53の上部にはハンドル6が設けてある。ハンドル6は、草刈機Bの進行方向に対して、ハンドル6の向きを水平方向に回転させて調整できるようになっており、且つ、上下方向にも傾斜させて調整できるようになっている。更に、ハンドル6は入れ子式により長さを段階的に調整できるようになっている。符号61は、ハンドル6の長さを調整するための調整ピンである。
【0065】
符号62は草刈機Bの進行方向を変える切替レバーを示しており、ハンドル6を持ったままワンタッチで進行方向を切り替えることができるようになっている。符号63は、進行方向を表示する表示機能を備えたレバーケースである。符号66は原動機51から駆動輪への動力を制御する走行クラッチを示し、符号67は原動機51からカッター2への動力を制御するナイフクラッチを示している。更に、図示はしていないが、ハンドル6には、変速ギア(図示せず)に連動したミッションレバーも取り付けてある。これにより、ハンドル6を持ったままワンタッチで草刈機Bの走行速度を切り替えることができる。
【0066】
フレーム1の前後部には、図5に示すような、草をカッター2に誘導するカバー71が設けてある。カバー71は、ゴム製のカバー本体710と、カバー本体710をフレーム1に取り付けるための金属製の取付板711を有している。なお、カバー71は、全体を金属製の板体で形成することもできる。
【0067】
取付板711は、取付金具72と取付軸73及びナット74によってフレーム1の下部側に回動可能に取付けられ、カバー71の下部側がカッター2側に近づくように内方へ傾斜可能になっている。これにより、草を根本から完全に押し倒すことなく、根本をある程度立てた状態でカッター2に誘導することができる。
したがって、草を確実に刈ることができ、草の刈り残しが防止される。このカバー構造は、特に倒れやすい長い草を刈る場合に好適である。
【0068】
また、取付板711の外面部712側は、フレーム1の壁面部11の内側に当接するようになっているため、カバー71は所定の傾斜位置から外方へ開かないようになっている。
これにより、進行方向の後部側では、カバー71が外方へ開かないので実質的に開口部が形成されない。また、進行方向の前部側では、カバー71は内方へ開くが草でふさがれているので実質的に開口部が形成されない。
よって、走行時のカッター2の前後方向に開口部が形成されないので、カッター2が石などの異物を弾き飛ばした場合でもカバー71外部に飛散することを防止でき、安全性に優れている。
【0069】
更に、草刈機Bは、前輪31あるいは後輪41の高さを変えることにより、カッター2の刈り高を調整する刈高調整装置8を有している。
図1及び図6,7を参照して、刈高調整装置8について説明する。
刈高調整装置8の主な構成部材は、草刈機Bの前進方向に対して右側面側に設けてある。刈高調整装置8は、前輪31の高さを調整する前輪高調整部材81aと、後輪41の高さを調整する後輪高調整部材81bと、前輪高調整部材81aと後輪高調整部材81bを連結して各車輪31,41の高さを操作する操作レバー83を有している。操作レバー83の基端部は、フレーム1上に設けられたレバー取付部831に回動可能に取り付けられている。
【0070】
前輪高調整部材81aは、中央部分が円弧状になるよう形成され、先端側と基部側が外方向に突出して形成されている。前輪高調整部材81aの基端部は、図6に示すように、前部車軸311に取り付けてある前脚部材85の先端部に固定されている。また、前輪高調整部材81aと前脚部材85の固定部分は、フレーム1上に設けてある軸受部86の軸部861によって回動可能に取り付けられている。更に、フレーム1の反対側の前輪31側にも、同様に、前脚部材85と軸部861を有する軸受部86が設けてある。
【0071】
そして、フレーム1を挟んで設けられた前脚部材85,85は、フレーム1を左右に跨いで設けられた連結軸87aによって互いに連結されている。これにより、前輪31,31は、操作レバー83の操作によって刈高を調整する際に、フレーム1に対して同じ動きをする。
【0072】
また、後輪高調整部材81bは、操作レバー83を中心として前輪高調整部材81aを線対称にして取り付けたような構成となっている。
即ち、中央部分が円弧状になるよう形成され、先端側と基部側が外方向に突出して形成されている。後輪高調整部材81bの基端部は、図7に示すようにチェーンケース48の内側に固定されている。ただし、後部駆動軸43に固定されているのではなく、後部駆動軸43は後輪高調整部材81bに対して空転可能な状態となっている。
そして、フレーム1を挟んで設けられたチェーンケース48,48は、フレーム1を左右に跨いで設けられた連結軸87bによって互いに連結されている。これにより、後輪41,41は、操作レバー83の操作によって刈高を調整する際に、フレーム1に対して同じ動きをする。
【0073】
更に、前輪高調整部材81aのうち、先端側から円弧状に形成された部分の基端部までには、溝部810aが設けられている。同様に、後輪高調整部材81bのうち、先端側から円弧状に形成された部分の基端部までには、溝部810bが設けられている。そして、操作レバー83のほぼ中央に設けてある軸ピン830が上記溝部810a,810b内を摺動するようになっている。
【0074】
上記したような構成により、前進方向に走行して草刈りを行う場合には、次のようにして刈高を調整する。
即ち、図8(イ)において、操作レバー83を後方(矢印a方向)に倒すと、前輪高調整部材81a及び前脚部材85が軸受部86の軸部861を中心として後方へ回動し、図8(ロ)に示すように、前脚部材85の基部側がフレーム1の先端側に移動する。これにより、カッター2に対する前輪31の高さが高くなり、草刈機Bは前部側(図8で右側)が下がるように全体が傾斜する。つまり、カッター2も進行方向の前部側が下がるように傾斜するため、カッター2の刈高が低く調整される。
【0075】
また、後進方向に走行して草刈りを行う場合には、図8(イ)において、操作レバー83を前方(矢印b方向)に倒し、図8(ハ)に示すように、チェーンケース48の基部側をフレーム1の後部側に移動させる。これにより、カッター2に対する後輪41の高さが高くなり、草刈機Bは後部側(図8で左側)が下がるように傾斜する。つまり、カッター2も進行方向の前部側が下がるように傾斜するため、カッター2の刈高が低く調整される。
【0076】
以上説明したように、操作レバー83を操作するだけでカッター2の刈高を適宜調整することができる。
なお、前輪高調整部材81a(または後輪高調整部材81b)の所要の位置で操作レバー83を固定できるような手段を設けることにより、カッター2の刈高を最適な高さに(例えば無段階で)適宜設定することが可能である。
【0077】
また、カッター2の進行方向の前部側が下がるように傾斜させて刈り高を調整できるので、カッター2の前部側で刈り取った草の残部である切り株がカッター2の後部側で再度当たることを防止できる。したがって、カッター2にかかる抵抗を少なくして草を効率良く刈ることができ、原動機51を含むカッター駆動系にかかる負担を低減して耐久性と燃費を向上させることができる。
【0078】
(作 用)
図9は自走式草刈機の使用状態説明図である。図面を参照して、草刈機Bの作用を説明する。
草刈機Bは、前進と後進の両方の走行が可能であり、どちらの方向に対してでも草を刈れるようになっている。したがって、草刈機Bを使用した場合では、河川の堤防の法面等、傾斜した面での草刈りを次のようにして行うことができる。なお、草の刈り方として、
傾斜面の横方向の一端側から他端側までの草を上から順に刈っていく場合を例にとって説明する。
【0079】
(1)まず、ハンドル6の向きを草刈機Bの進行方向(傾斜方向とほぼ直角)に対してほぼ直角に上方側へ設定し、作業者が草刈機Bの進行方向に対して横に立った状態で、草刈りが行えるようにする。
(2)作業者は横方向に歩きながら草刈機Bを前進させ、まず傾斜面の例えば左端から右端まで草を刈るようにする。
(3)傾斜面の右端まで草を刈り終えたら、ハンドル6の向きを変えないで、切替レバー62により駆動輪である後輪41の回転とカッター2の回転を切り替え、草刈機Bの進行方向を逆転させる。そして、一段下の草を刈るために、草刈機Bを下方斜め方向にやや進行させた後、傾斜面の右端から左端まで同様に草を刈るようにする。
(4)傾斜面の左端まで草を刈り終えたら、(3)の操作と同様に、ハンドル6の向きを変えないで、切替レバー62により草刈機Bの進行方向を逆転させる。そして、同じく一段下の草を刈るために草刈機Bを下方斜め方向にやや進行させた後、傾斜面の左端から右端までの草を同様に刈るようにする。
(5)上記(3)と(4)の作業を繰り返して、傾斜面を下っていき傾斜面全体の草を刈るようにする。
なお、上記した刈り方とは逆に、傾斜面の横方向の一端側から他端側までの草を下から順に刈っていくこともできる。
【0080】
上記のようにして草を刈るようにすれば、従来のような、折り返し箇所ごとに平坦地まで移動して草刈機Bの向きを変える動作が不要となる。したがって、草刈りに要する労力を軽減でき、作業効率を向上させることができる。
【0081】
また、走行時のカッター2の前方となる側にカバー71が設けてあるので、草刈りを草刈機Bの前進または後進のどちらの方向で行うようにしても、カッター2に草をスムーズに誘導することができる。
【0082】
更に、ハンドル6が伸縮自在に形成されているので、草刈機B本体と作業者の距離の調整が可能である。したがって、凸凹面や石などの障害物を避けるようにして、常に足場の良い場所を確保しながら作業することができる。また、例えば木の下など、作業者が直接入っていけない所に生えた草でも、ハンドル6を伸ばすことによって離れた位置から刈ることができる。
【0083】
[実施の形態2]
図10は本発明に係る自走式草刈機の第2の実施の形態を示す概略側面図、
図11は図10に示す自走式草刈機を上方から見た概略説明図、
図12は、図10において原動機の後部に設けてあるクラッチボックスとミッションケースの内部構造を示した断面を表す説明図、
図13は自走式草刈機に設けてある刈高調整装置の要部拡大説明図である。
また、図面において第1の実施の形態と同一または同等箇所には同一の符号を付して示し、上記第1の実施の形態で示してある箇所については、説明を省略し、主に相異点を説明する。なお、これについては、後述する第3,4の実施の形態についても同様である。
自走式草刈機Cと第1の実施の形態で示した自走式草刈機Bとは、クラッチボックス53内の駆動伝達部、ハンドル6c、及び刈高調整装置8cの構造の点で異なっている。
【0084】
まず、図12を参照して、クラッチボックス53内の駆動伝達部について説明する。
原動機51の動力は、原動機51後部に設けてあるクラッチボックス53内の駆動軸531cから垂直軸532cへ伝達されるようになっている。また、垂直軸532cは、中程に設けられたベベルギア533を介して変速選択軸44と連動されており、変速選択軸44は変速ギア(図示せず)を介して後部駆動軸43と連動されている。これにより、垂直軸532cからの動力が後部駆動軸43に伝達され、後輪41を駆動するようになっている。
【0085】
更に、駆動軸531cは、垂直軸532cの先端側に嵌め入れてあるつめクラッチ534cによって、垂直軸532cの回転を正転方向と逆転方向に制御している。なお、つめクラッチ534cは、垂直軸532cの軸線方向に移動可能であり、垂直軸532cの軸周方向へは固定されている。
【0086】
また、垂直軸532cの軸線方向に向かい合わせに設けてある正転用のベベルギア536c及び逆転用のベベルギア535cの各々と、駆動軸531cの先端部に設けてあるベベルギア537cとは常に噛み合っており、ベベルギア536c,535cは垂直軸532c上で空転している。そして、つめクラッチ534cを上下どちらかに移動させて、正転用のベベルギア536cまたは逆転用のベベルギア535cに結合させ、駆動軸531cの動力を垂直軸532cに伝達するようになっている。
つめクラッチ534cが正転用のベベルギア536cと結合した場合では、垂直軸532cの回転は正転方向となり、つめクラッチ534cが逆転用のベベルギア535cと結合した場合では、垂直軸532cの回転は逆転方向となる。
【0087】
そうして、垂直軸532cが正回転する場合では、後部車軸411とカッター2も同じく正回転し、後輪41は前進方向に回転すると共に、カッター2は前進方向に対して内側方向に回転するようになる。これに対し、垂直軸532cの回転が逆転方向に切り替わった場合では、後輪41とカッター2も同じく逆回転し、後輪41は後進方向に回転すると共に、カッター2は後進方向に対して内側方向に回転するようになる。
【0088】
また、本実施の形態では、駆動軸531cに設けてあるベベルギア537cの回転半径が、垂直軸532cに設けてあるベベルギア536c,535cの回転半径よりも小さくなっている。これにより、駆動軸531cに対する垂直軸532cの回転速度を抑えて、クラッチボックス53内における潤滑油の熱膨張を防止し、結果的に垂直軸532cへの動力の伝達ロスを防いでいる。
なお、カッター2の回転速度は、カッター2を駆動させる駆動プーリ54及び従動プーリ23の直径を変えることにより、必要な回転速度に調整されている。
【0089】
次に、ハンドル6cについて説明する。
ハンドル6cは、ハンドル本体64と、握り部側が立ち上がり、上方から見て略長方形に形成された環状の把手部65を有している。
把手部65の枠内部には、進行方向を表示する表示機能を備えたレバーケース63cが設けてある。レバーケース63cには、草刈機Cの進行方向を変える切替レバー62cが設けてある。切替レバー62cは、草刈機Cの走行速度及びカッターの回転速度を調整する機能も兼ね備えている。
【0090】
把手部65の握り部側には、原動機51から駆動輪への動力を制御する走行クラッチ66と、原動機51からカッター2への動力を制御するナイフクラッチ67がそれぞれ設けてある。符号68は、草刈機Cの進行方向に対して、ハンドル6cの向きを水平方向に回転させて調整するための調整レバーを示している。符号69は、ハンドル6cの向きを上下方向に傾斜させて調整するための調整レバーを示している。符号61cは、入れ子式のハンドル6の長さを調整するための調整ピンを示している。符号631cは電源スイッチを示している。
【0091】
更に、刈高調整装置8cについて説明する。
刈高調整装置8cは、第1の実施の形態で示した刈高調整装置8と相違して、前輪31及び後輪41に対して車体を上下に平行移動させて、刈高を調整するようにしたものである。
【0092】
刈高調整装置8cの主な構成部材は、草刈機Cの前進方向に対して右側面側に設けてある。刈高調整装置8cは、基端部が前脚部材85の先端部に固定されている前輪高調整部材81cと、基端部がチェーンケース48の内側に固定されている後輪高調整部材81dを有している。
【0093】
更に、刈高調整装置8cは、前輪高調整部材81cと後輪高調整部材81dの傾斜角度を調整して、各車輪31,41の高さ(刈高)を操作する操作レバー83cを有している。なお、前輪高調整部材81c、後輪高調整部材81d及び操作レバー83cは、金属板で形成されている。
【0094】
前輪高調整部材81c及び後輪高調整部材81dの各先端部は、軸部811によって互いに回動可能に連結されている。そして、軸部811は、フレーム1上に設けられた高さ設定部材88の長孔881に嵌入れられており、上下方向に摺動可能となっている。高さ設定部材88は刈高調整装置8cの構成部材の一つであり、図13示すように、後部側が右側面側に向かってL型に張り出して形成されている。そして、その張り出した部分には、上記した操作レバー83cを所定の高さ位置で固定するために係止溝882が切り欠いて設けてあり、係止溝882は上下4箇所に所要間隔をおいて設けてある。
なお、操作レバー83cは先端部に把手832を備えており、高さ設定部材88に固定される先端寄りの部分は可撓性を有している。
【0095】
前輪高調整部材81cの基端部は、上記したように前脚部材85の先端部に固定されている。前輪高調整部材81c及び前脚部材85は、フレーム1上にある軸受部86の軸部861によって前後方向に回動自在に取り付けられている。また、図11に示すように、フレーム1を左右に跨いで各前脚部材85,85を連結する連結軸87cは、進行方向に対して右側の前脚部材85から右側面側にやや突出して形成されており、その突出部の先端に上記した操作レバー83cの基端部が固定されている。
【0096】
(作 用)
図14は刈高調整装置の作用を示す概略説明図である。図面を参照して、草刈機Cの刈高調整装置8cの作用を説明する。なお、第1の実施の形態で示した作用のうち同様のものは説明を省略する。これについては、後述する第3,4の実施の形態についても同様である。
図10に示す状態では、高さ設定部材88に形成された最上部の係止溝882に操作レバー83cが固定されている。そして、各調整部材81c,81dを連結する軸部811は長孔881の最も高い位置にあり、前各調整部材81c,81dは同じ角度で傾斜している。この状態では、前輪31及び後輪41に対するカッター2の位置は高く、草刈機Cの刈高は最高となっている。
【0097】
次に、高さ設定部材88の係止溝882から操作レバー83cを一旦外し、今度は最も低い位置の係止溝882に嵌め入れて操作レバー83cを固定する(図14参照)。このようにすると、操作レバー83cが後方に倒れ、それと共に前輪高調整部材81c及び前脚部材85が軸部861を中心として後方に回動する。また、それと同時に、軸部811を介して連結された後輪高調整部材81d及びチェーンケース48が後部駆動軸43を中心として前方に回動する。
【0098】
以上のように前輪高調整部材81c及び後輪高調整部材81dが車体の中央部側へ傾くことにより、前脚部材85側に設けられた前輪31はフレーム1の前方側へ、またチェーンケース48側に設けられた後輪41はフレーム1の後方側へ同時に移動する。そうして、前輪31及び後輪41に対するカッター2の位置は最も低くなり、草刈機Cの刈高は最低となる。
【0099】
また本実施の形態では、係止溝882が上下方向に4箇所形成されているので、操作レバー83cを2番目の高さの係止溝882に嵌入れることにより、草刈機Cの刈高を中程度の高さに設定することができる。
【0100】
[実施の形態3]
図16は本発明に係る自走式草刈機の第3の実施の形態を示す概略側面図、
図17は自走式草刈機の刈高調整装置を示す斜視図である。
図18は自走式草刈機の操作装置を上方から見た概略説明図、
図19は自走式草刈機の操作装置を右側から見た概略説明図、
図20は自走式草刈機の操作装置を裏側から見た斜視図である。
なお、図16ないし図20の説明で、前後・左右の方向の表現は図16を基準とし、図16で右方向を前方、左方向を後方、手前側を右側、奥側を左側としている。また、各種操作レバーから延びる操作ワイヤは一部省略して表している。
【0101】
自走式草刈機Dと第1,2の実施の形態で示した自走式草刈機B,Cとは、主に草刈機Dの操作レバー装置9、刈高調整装置8d、及びハンドル6dの方向調整装置60の点で異なっている。
【0102】
ハンドル6dの手元側(ハンドル本体64と把手部65の接合部付近)には、自走式草刈機Dの操作レバー装置9が設けてある。操作レバー装置9は、図18に示すように、刈高操作レバー91、ハンドル操作レバー92、スロットルレバー93、及びナイフクラッチレバー94を有し、各レバーのガイド部材を兼ねた操作カバー90を備えている。操作カバー90は平面視で後部側が円弧状に形成され、操作カバー90全体は前方に向かってややすぼまるようにして形成されている。
【0103】
まず、刈高操作レバー91及び刈高調整装置8dについて説明する。
刈高操作レバー91は、図18で示すように、ハンドル本体64の右側に配置されており、操作カバー90の前方右側に形成された段付きのガイド溝901に沿って前後に操作される。刈高操作レバー91は、図19に示すように、操作カバー90の裏側でハンドル本体64に垂直に設けてある取付バー641の軸部911によって基部が回動自在に取り付けられている。刈高操作レバー91の中間部よりやや下側には、操作ワイヤW1のインナーワイヤW11の一端部が取り付けられている。インナーワイヤW11の他端部は、後述する刈高調整装置8dの後輪高調整部材81fに取り付けられ、後輪高調整部材81fを操作することができる。
【0104】
図16及び図17を参照する。
刈高調整装置8dは、第2の実施の形態で示した刈高調整装置8c(図14参照)と同様に、前輪31及び後輪41に対して車体を上下に平行移動させて、刈高を調整するようにしたものである。刈高調整装置8dの操作は、後述する操作レバー装置9の刈高操作レバー91で行う。
【0105】
刈高調整装置8dは、基端部が前脚部材85の先端部に固定されている前輪高調整部材81eと、基端部がチェーンケース48の内側に固定されている後輪高調整部材81fを有している。前輪高調整部材81e及び後輪高調整部材81fは金属板で形成されており、図17で示すように、略中央部分から先が車体中央側へ屈曲し、更に先端部分が再び屈曲して車体の進行方向とほぼ平行になっている。
【0106】
前輪高調整部材81eの先端部分には、所要の大きさの長孔84が形成されている。そして、この長孔84に沿って摺動する軸部841によって、前輪高調整部材81eと後輪高調整部材81fが互いに回動可能に連結されている。
【0107】
フレーム1上の右端側には、側面視で台形状のワイヤ固定部材88aが設けてある。ワイヤ固定部材88aの取付片883には、刈高操作レバー91から延びる操作ワイヤW1のアウターチューブの一端部が固定されている。アウターチューブに挿通してあるインナーワイヤW11の先端部は、後輪高調整部材81fの先部側に設けてある固定ピン812に固定されている。
【0108】
上記したような構成により、次のように刈高操作レバー91を操作し、草刈機Dの刈高を調整する。
即ち、刈高操作レバー91を手前側(図16中、矢印I方向)に引くと、操作ワイヤW1内のインナーワイヤW11が引っ張られる。インナーワイヤW11が引っ張られると、前輪高調整部材81e及び後輪高調整部材81fの先部側がワイヤ固定部材88aの頂部側へ引っ張られ、チェーンケース48と前脚部材85は軸部861と後部駆動軸43を中心として内側に回動する。これにより、前輪31と後輪41が内側に引き寄せられ、草刈機Dの刈高が高く調整される。
【0109】
一方、刈高操作レバー91を元の位置に(図16中、矢印I方向と反対方向へ)戻すと、操作ワイヤW1内のインナーワイヤW11が緩み、前輪高調整部材81e及び後輪高調整部材81fの先部側は下降する。前輪高調整部材81e及び後輪高調整部材81fの先部側が下降すると、前脚部材85とチェーンケース48は軸部861と後部駆動軸43を中心として外側に回動する。これにより、前輪31と後輪41が互いに外側に離れ、草刈機Dの刈高は低く調整される。
【0110】
以上説明したように、手元側に設けてある刈高操作レバー91により、ハンドル6dを握ったまま刈高調整装置8dを操作することができるので、例えば足下が不安定な傾斜面であっても、手早く、安全に、刈り高を調整することができる。
【0111】
なお、本実施の形態では、図18に示すように、刈高操作レバー91のガイド溝901を4段階に分けて形成しているので、草刈機Dの刈高を4段階で適宜調整することができる。
【0112】
また、図17に示すように、後輪41側のチェーンケース48の右端にある取付片481とフレーム1上の取付ピン12の間には、コイルバネ13が掛けてある。このコイルバネ13の付勢力は、前輪31と後輪41を内側に引き寄せる方向(刈高が高くなる方向)へ働いている。よって、刈高操作レバー91にかかる荷重を軽減することができ、刈高操作レバー91を楽に引くことができる。なお、本実施の形態では、車輌の右側のみにコイルバネ13が設けてあるが、車輌の左側にもコイルバネ13を同様に設けることもできる。
【0113】
更に、本実施の形態では、後輪41のスパイク部410aは車輪の回転方向と平行でなく、回転方向と交差するように傾斜させて設けてある。詳しくは、スパイク部410aは左斜め方向、右斜め方向、左斜め方向・・・と順番に傾斜方向を変えて形成されている。
これによって、特に傾斜面での横滑り防止と草やゴミ等の巻き付き防止、及び後輪41の地面へのくいつきによる駆動力の向上を図っている。
【0114】
図21はハンドルの方向調整装置を示す斜視図、
図22はハンドルの方向調整装置の分解斜視図、
図23はハンドルの方向調整装置を右側から見た一部切欠断面図で、ハンドルの方向調整機構を表している。
図18ないし図23を参照して、ハンドル本体64の取付位置、ハンドル操作レバー92、及びハンドル6dの方向調整装置60について説明する。
ハンドル本体64の先端部は、図18,19に示すように、操作カバー90の裏側にある略長方形の固定板95a,95bによって上下方向から挟持されている。
【0115】
ハンドル操作レバー92は、図18で示すように、操作カバー90の後方右側に配置されており、操作カバー90の下端面に沿って前後に操作される。ハンドル操作レバー92は、上記固定板95a,95bのうち、下方側の固定板95bの下面部に設けてある軸部951によって回動自在に取り付けられている(図19ではハンドル操作レバー92を省略、図20では軸部951が隠れて見えない)。ハンドル操作レバー92の中間部よりやや基部側には、図20に示すように、操作ワイヤW2のインナーワイヤW21の一端部が取り付けられている。このインナーワイヤW21の他端部は、後述するハンドル6dの方向調整装置60に連動・連結している。
【0116】
ハンドル6dの方向調整装置は、図16に示すように、クラッチボックス53の上部に設けてある。ハンドル6dの方向調整装置60には、ハンドル本体64の基部側が取り付けられている。なお、図16では、ハンドル方向調整装置60にはカバー60dが取り付けられており、ハンドル方向調整装置60は外部から直接見えない。
ハンドル6dは、ハンドル方向調整装置60によって、草刈機Dの進行方向に対し、ハンドル6dの向きを水平方向に回転させて調整することができ、且つ、上下方向にも傾斜させて調整することができる。ハンドル方向調整装置60の固定と固定解除の操作は、上記したハンドル操作レバー92で行う。
【0117】
本実施の形態では、ハンドル操作レバー92を所要の位置まで引くことによって、まず上下方向の向きを調整可能とし、更に深く引き込む(握り込む)ことによって、上下方向及び水平方向の向きを調整可能としている。
これは、一般に水平方向よりも上下方向の調整の頻度が高いため、上記のような機構にして、上下方向の調整を単独で行えるようにしているものである。なお、上下方向の調整時には、ハンドルが水平方向にふらつくことはないので、角度調整が行いやすい。
【0118】
図21,22を参照する。
ハンドル方向調整装置60は、水平方向調整手段を構成する略半円形の板状のガイド体601、上下方向調整手段及び水平方向調整手段を構成する平面視で長方形の台部材602、及び係止部材であるストッパー部材603を有している。
【0119】
略半円形のガイド体601は、クラッチボックス53上に固定されている。ガイド体601のほぼ中央には、クラッチボックス53から突出して設けてある軸部538を嵌入れる嵌合孔601aが設けてある。ガイド体601には、ガイド溝601bが半円状に形成されている。このガイド溝601bには、ガイド体601の嵌合孔601aを中心とする放射方向に係合溝601cが所要の間隔で複数設けてある。
【0120】
平面視で長方形の台部材602は、左右両側に側面部602a,602aを有している。台部材602のほぼ中央には、ガイド体601の嵌合孔601aから突出した軸部538を嵌入れる筒状体602bが設けてある。台部材602は筒状体602bに軸部538を嵌入れた状態でガイド体601上に配置されている。
そして、筒状体602bから突出した軸部538の頂部には、ナット604が固定されており、台部材602はガイド体601上を軸部538を中心として回動可能となっている。台部材602の先部側には溝602cが形成されており、この溝602cには後述するストッパー部材603の下部ストッパー603bが嵌入れられる。
【0121】
ハンドル本体64の基端部は筒状の軸管642を有し、T字状に形成されている。台部材602の側面部602a,602a後方には、ハンドル本体64の軸管642が軸部602d(図22では省略、図21参照)を中心として上下に回動可能に取り付けてある。
軸管642の一端側には、上下方向調整手段を構成する略扇形の係合体643が設けてある。係合体643の周縁側には複数のガイド溝643aが所要間隔で設けてある。このガイド溝643aには、後述するストッパー部材603の上部ストッパー603dが嵌入れられる。
【0122】
ストッパー部材603は筒状の軸管603aを有している。ストッパー部材603は軸管603aに嵌入れられる軸部603f(図22では省略、図21参照)によって台部材602の側面部602a前部側に回動自在に取り付けられる。 軸管603aのほぼ中間部の下方には、ほぼ直角に折れ曲がった下部ストッパー603bが設けてある。下部ストッパー603bは、上記した台部材602の溝602cから、下方側のガイド体601の係合溝601cを係止する。下部ストッパー603bの右側面部には固定ピン603cが取り付けてあり、この固定ピン603cには上記したハンドル操作レバー92から延びる操作ワイヤW2のインナーワイヤW21が取り付けてある。
【0123】
軸管603aのほぼ一端側の上方には、下部ストッパー603bよりも長尺な上部ストッパー603dが設けてある。上部ストッパー603dは上記したハンドル本体64に設けてある係合体643のガイド溝643aを係止する。上部ストッパー603dの内側面部には固定ピン603eが設けてある。この固定ピン603eと台部材602の筒状体602b上にあるナット604には、コイルバネ605(図22では省略、図21参照)が設けてある。コイルバネ605によって、上部ストッパー603dは係合体643のガイド溝643aを係止する方向に引っ張られている。
【0124】
上記したような構成により、次のようにハンドル方向調整装置60を操作し、ハンドル6dの向きを調整する(図23参照)。
図23(a)で示す常態では、ストッパー部材603の下部ストッパー603bがクラッチボックス53上のガイド体601の係合溝601cを係止している。また、ストッパー部材603の上部ストッパー603dがハンドル本体64に設けてある係合体643のガイド溝643aを係止している。
以上のようにして、ストッパー部材603は、ハンドル本体64とガイド体601を固定しており、この状態ではハンドル本体64の向きを調整することはできない。
【0125】
次に、ハンドル操作レバー92を所要の位置まで引き、上部ストッパー603dが係合体643のガイド溝643aから外れる状態まで、インナーワイヤW21を引っ張る。インナーワイヤW21を引っ張ると、ストッパー部材603は軸部603fを中心として矢印I方向(図23(a)参照)に回動し、図23(b)の状態となる。
上部ストッパー603dは下部ストッパー603bよりも長尺なため、この状態では、上部ストッパー603dはガイド溝643aから外れているが、下部ストッパー603bはガイド体601の係合溝601cを係止した状態のままである。したがって、この状態(図23(b))では、ハンドル本体64の向きを上下方向に傾斜させて調整することはできるが、水平方向に回転させて調整することはできない。
【0126】
更に、ハンドル操作レバー92を所要の位置まで引き、下部ストッパー603bがガイド体601の係合溝601cから外れる状態まで、インナーワイヤW21を引っ張る(図23(c)参照)。この状態では、下部ストッパー603bも係合溝601cから外れているので、ハンドル6dの向きを上下方向だけでなく、水平方向にも回転させて調整することができる。
【0127】
以上説明したように、ハンドル6dの上下方向と水平方向の調整をハンドル操作レバー92によって操作することができるので、上下方向と水平方向の調整をそれぞれ別の操作手段で調整するものと比べ、ハンドル6dの調整を容易且つ迅速に行うことができる。また、上下方向と水平方向の組み合わせにより、ハンドル6dを作業に最も好適な方向に設定することができる。
【0128】
なお、台部材602の先部側に設けてある溝602cの近傍には、下方に突出する係止部602eが設けてある。また、ガイド体601のうち円弧状に形成された外縁部の両端には、上記係止部602eと係合するストッパー601d,601d設けてある。これにより、台部材602の係止部602eがガイド体601のストッパー601d,601dに当たって、台部材602が停止するようになっており、台部材602はほぼ180°の範囲内で回動するようになっている。
【0129】
図18ないし図20を参照する。
スロットルレバー93は、図18に示すように、操作カバー90の後部側(円弧状に形成された部分の後部側)に配置されている。スロットルレバー93を左右・上下方向に移動させることで、(1)草刈機Dの進行方向(前進と後進)の切替え、(2)変速ギア(1速と2速)の切替え、(3)原動機51の回転速度の制御を行うことができる。
【0130】
操作カバー90の後部側の4カ所には切欠部903a、903b、904a、904bが設けてある。各切欠部903a、903b、904a、904bには、スロットルレバー93を水平方向に回動させ、更に上方に回動させて嵌入れることができる。
【0131】
スロットルレバー93の基部側は、図19に示すように、所要の角度で屈曲している。
スロットルレバー93の基端部は横軸931を有し、図20に示すように、T字状に形成されている。スロットルレバー93の横軸931は、ほぼ円形状のカム板96の後部に設けてある軸受部960に回動自在に取り付けてある。
スロットルレバー93は横軸931によって上下方向に操作することができる。
【0132】
カム板96の中央には円形の中心孔961が開いている。この円形の中心孔961には、操作カバー90の裏側にある上記固定板95a,95bの略中央に垂直に設けられた垂直軸952が挿設されている。カム板96は、垂直軸952を中心として回動可能となっている。
【0133】
略長方形の固定板95bとカム板96の間には、後述する進行方向切替アーム97と変速切替アーム98が設けてある。
上方から見て(図18参照)、カム板96の中心孔961の右側には、進行方向切替アーム97の係合ピン971が摺動可能に嵌入れられる係合溝970が設けてある。進行方向切替用の係合溝970は、その先部分が中心孔961に沿って開口し、続いて中程部分がカム板96の周縁部に向かって傾斜して開口し、更に、端部分がカム板96の周縁部に沿って開口している。
【0134】
また、同じく上方から見て(図18参照)、カム板96の中心孔961の左側には、後述する変速切替アーム98の係合ピン981が摺動可能に嵌入れられる係合溝980が設けてある。変速切替用の係合溝980は、平面視で略四角形に形成され、中心孔961に近い内縁部は中心孔961に沿ってカーブしており、中心孔961から遠い内縁部はほぼ直線的に形成されている。
【0135】
図18に示すように、固定板95b裏面の右前方角部には、軸部972によって進行方向切替手段を構成する進行方向切替アーム97が回動自在に取り付けてある(図19では進行方向切替アーム97の図示を省略)。進行方向切替アーム97は中央部分のやや先端側の位置で屈曲させて形成されており、基端側を円弧状にカーブさせて形成されている。
【0136】
進行方向切替アーム97のカーブ部分の基部側には、図20に示すように、コイルバネ973の一端側が取り付けてある。このコイルバネ973の他端側は、図20中で固定板95裏面の左上角部に設けてある支持ピン953に取り付けてある。
また、進行方向切替アーム97の先端部にはコイルバネ974が取り付けてあり、このコイルバネ974の先端部には操作ワイヤW3のインナーワイヤW31一端部が取り付けてある。インナーワイヤW31の他端部は、クラッチボックス53内のつめクラッチ534c(図12参照)に連動・連結している。進行方向切替アーム97が軸部972を中心として回動することにより、操作ワイヤW3のインナーワイヤW31が引っ張られまたは緩み、草刈機Dの進行方向(前進と後進)が切り替わる。
なお、進行方向切替アーム97はコイルバネ973とクラッチボックス53の外部側に設けてある戻しバネ(図示せず)によって前後方向から引っ張られ、所要の位置で止まっている。
【0137】
図18に示すように、固定板95b裏面の左前方角部には、軸部982によって変速切替手段を構成する変速切替アーム98が回動自在に取り付けてある(図19では変速切替アーム98の図示を省略)。変速切替アーム98は進行方向切替アーム97と対称形である。
変速切替アーム98の先端部には、図20に示すように、コイルバネ983が取り付けてあり、コイルバネ983の先端部には操作ワイヤW4のインナーワイヤW41一端部が取り付けてある。このインナーワイヤW41の他端部はミッションケース42内の変速選択軸44(図12参照)に連動・連結している。変速切替アーム98が回動することにより、インナーワイヤW41が引っ張られまたは緩み、変速ギア(1速と2速)が切り替わる。
【0138】
図24は草刈機を前進方向に走行させる場合のスロットルレバーの動きを示す概略説明図、図25は草刈機を後進方向に走行させる場合のスロットルレバーの動きを示す概略説明図である。なお、図24,25ではスロットルレバー93を操作カバー90の裏側(下)から見た状態を示している。
上記したように、スロットルレバー93を左右方向に移動させることで、(1)草刈機Dの進行方向(前進と後進)の切替え、(2)変速ギア(1速と2速)の切替えを行うことができる。
草刈機Dの進行方向(前進と後進)の切替えは、図18に示すように、スロットルレバー93をニュートラルの位置から左側(矢印F方向)か右側(矢印R方向)に移動させることによって行う。また、変速ギア(1速と2速)の切替えは、スロットルレバー93のニュートラルの位置からの傾斜角度によって制御される。
【0139】
まず、図24を参照して、草刈機Dを前進方向へ走行させる場合のスロットルレバー93の動きを説明する。
(ニュートラルN;図24(a)参照)
ニュートラルNの状態では、スロットルレバー93は、操作カバー90後部側のほぼ中央に位置している。
進行方向切替アーム97の係合ピン971は、カム板96にある進行方向切替用の係合溝970のほぼ中央に位置している。変速切替アーム98の係合ピン981は、変速切替用の係合溝980の外側ほぼ中央に位置している。
なお、ニュートラルNの状態では、進行方向切替アーム97の操作ワイヤW3に連動するつめクラッチ534c(図12参照)は、正転用のベベルギア536c及び逆転用のベベルギア535cに結合していない。また、変速切替アーム98の操作ワイヤW4に連動する変速ギアは1速の状態となっている。
【0140】
(前進側、1速 F1;図24(b)参照)
スロットルレバー93をニュートラルNの位置から矢印I方向に回動し、「前進側、1速」(F1、切欠部904a)の位置に移動させる。スロットルレバー93を矢印I方向に移動させると、カム板96が垂直軸952を中心として回動し、進行方向切替アーム97の係合ピン971は係合溝970の基端側(外側)へ移動する。係合ピン971は垂直軸952から離れる(垂直軸952からの距離が長くなる)ので、進行方向切替アーム97は軸部972を中心として前方(矢印II方向)に回動する。これにより、進行方向切替アーム97の操作ワイヤ3のインナーワイヤW31が矢印III方向に緩み、草刈機Dの進行方向が前進側へ切り替わる。
なお、この状態では、操作ワイヤW3に連動するつめクラッチ534c(図12参照)は、正転用のベベルギア536c側に結合している。
【0141】
一方、カム板96が回動することで、変速切替アーム98の係合ピン981は係合溝980の左端外側に移動する。しかし、垂直軸952から係合ピン981までの距離は変わらないため、変速切替アーム98は回動しない。よって、変速ギアは1速の状態のままである。
【0142】
(前進側、2速 2F;図24(c)参照)
スロットルレバー93を「前進側、1速」(F1、切欠部904a)の位置から更に矢印IV方向に回動し、「前進側、2速」(F2、切欠部904b)の位置に移動させる。スロットルレバー93を矢印IV方向に移動させると、カム板96が回動し、進行方向切替アーム97の係合ピン971は係合溝970の基端部へ移動する。しかし、「前進側、1速」(F1、切欠部904a)の状態と比べ、垂直軸952から係合ピン971までの距離は変わらないため、進行方向切替アーム97は回動しない。よって、草刈機Dの進行方向は変わらず、前進側の状態のままである。
【0143】
一方、カム板96が回動することで、変速切替アーム98の係合ピン981は係合溝980の左端内側に移動する。係合ピン981は垂直軸952側へ近づく(垂直軸952までの距離が短くなる)ので、変速切替アーム98は後方(矢印V方向)内側に回動する。
これにより、変速切替アーム98の操作ワイヤW4のインナーワイヤW41が矢印VI方向に引っ張られ、変速ギアは2速に切り替わる。
【0144】
次に、図25を参照して、草刈機Dを後進方向に走行させる場合のスロットルレバー93の動きを説明する。
(ニュートラル N;図25(a)参照)
ニュートラルNの状態は、既に説明した前進方向の場合と同様であるため、省略する。
【0145】
(後進側、1速 R1;図25(b)参照)
スロットルレバー93をニュートラルNの位置から矢印I方向に回動し、「後進側、1速」(R1、切欠部903a)の位置に移動させる。スロットルレバー93を矢印I方向に移動させると、カム板96が垂直軸952を中心として回動し、進行方向切替アーム97の係合ピン971は係合溝970の先端側(内側)へ移動する。係合ピン971は垂直軸952に近づく(垂直軸952までの距離が短くなる)ので、進行方向切替アーム97は軸部972を中心として後方(矢印II方向)に回動する。これにより、進行方向切替アーム97の操作ワイヤW3のインナーワイヤW31が矢印III方向に引っ張られ、草刈機Dの進行方向が後進側へ切り替わる。
なお、この状態では、操作ワイヤW3に連動するつめクラッチ534c(図12参照)は、逆転用のベベルギア535c側に結合している。
【0146】
一方、カム板96が回動することで、変速切替アーム98の係合ピン981は係合溝980の右端外側に移動する。しかし、垂直軸952から係合ピン981までの距離は変わらないため、変速切替アーム98は回動しない。よって、変速ギアは1速の状態のままである。
【0147】
(後進側、2速 R2;図24(c))
スロットルレバー93を「後進側、1速」(R1、切欠部903a)の位置から更に矢印IV方向に回動し、「後進側、2速」(R2、切欠部903b)の位置に移動させる。スロットルレバー93を矢印IV方向に移動させると、カム板96が回動し、進行方向切替アーム97の係合ピン971は係合溝970の先端部へ移動する。しかし、「後進側、1速」(R1、切欠部903b)の状態と比べ、垂直軸952から係合ピン971までの距離は変わらないため、進行方向切替アーム97は回動しない。よって、草刈機Dの進行方向は変わらず、後進側の状態のままである。
【0148】
一方、カム板96が回動することで、変速切替アーム98の係合ピン981は係合溝980の右端内側に移動する。この状態では、係合ピン981が垂直軸952に近づくので(垂直軸952までの距離が短くなる)ので、変速切替アーム98は後方(矢印V方向)に回動する。これにより、変速切替アーム98の操作ワイヤW4のインナーワイヤW41が矢印VI方向に引っ張られ、変速ギアは2速に切り替わる。
【0149】
本実施の形態では、図18中で、スロットルレバー93を左側(矢印F方向)に移動させると草刈機Dの進行方向が前進側に切り替わり、右側(矢印R方向)に移動させると後進側に切り替わるようになっているが、特にこれに限定するものではない。
例えば、スロットルレバー93を左側(矢印F方向)に移動させると草刈機Dの進行方向が後進側に切り替わり、右側(矢印R方向)に移動させると前進側に切り替わるように構成することもできる。このような場合では、カム板96の各係合溝970,980の位置や進行方向切替アーム97と変速切替アーム98の位置等が左右対称となる。なお、その他の組み合わせも可能である。
【0150】
図19及び図20を参照して、スロットルレバー93の上下機構について説明する。
カム板96から突出した垂直軸952には、後述するリンク部933、クランク部935等と出力制御手段を構成する円柱形の昇降カム932が挿設してある。昇降カム932とスロットルレバー93の横軸931は、リンク部933で連結されており、スロットルレバー93はリンク部933を介して昇降カム932を昇降させるようになっている。
【0151】
図20に示すように、固定板95bの右端中央には軸受部954が設けてあり、軸受部954には軸部934によって回動可能に設けられたクランク部935が設けてある。このクランク部935は、ほぼ中央で屈曲して形成されており、その屈曲部分が軸部934に回動可能に軸支してある。クランク部935の一端側は、昇降カム932の全周に渡って形成された溝の部分に軸部936によって回動自在に取り付けてある。クランク部935の他端側に設けてある固定ピン937には、原動機51に連結・連動している操作ワイヤW5のインナーワイヤW51の一端部が設けてある。
【0152】
上記したような構成により、スロットルレバー93を上下させることで、昇降カム932が垂直軸952を上下移動し、操作ワイヤW5のインナーワイヤW51を引っ張ったり、緩めたりする。
即ち、スロットルレバー93を上げると(図19参照)、昇降カム932が垂直軸952に沿って下方に移動し、それに伴ってクランク部935の軸部936も下方に移動する。クランク部935の軸部936が下方に移動すると、クランク部935の固定ピン937が垂直軸952側へ引き寄せられ、操作ワイヤW5のインナーワイヤW51を引っ張る。インナーワイヤW51が引っ張られると、原動機51が高回転し、草刈機Dの走行速度とカッター2の回転速度が増す。
【0153】
一方、スロットルレバー93を下げると、昇降カム932が垂直軸952に沿って上方に移動し、それに伴ってクランク部935の軸部936も上方に移動する。クランク部935の軸部936が上方に移動すると、クランク部935の固定ピン937が垂直軸952から離れ、操作ワイヤW5は緩む。操作ワイヤW5のインナーワイヤW51が緩むと、原動機51の回転が低下し、草刈機Dの走行速度とカッター2の回転速度が落ちる。
【0154】
なお、本実施の形態では、遠心クラッチを使用しているので、原動機51の回転がある一定の限度以下に落ちると原動機51からの動力が後輪41及びカッター2に伝わらなくなる。詳しくは、図12中で、遠心クラッチ(符号なし)は原動機51とクラッチボックス53内の駆動軸531cの間に設けてある。原動機51の回転が落ちると、原動機51から駆動軸531cへの動力が遮断され、垂直軸532cには動力は伝わらない。
【0155】
ナイフクラッチレバー94について説明する。
ナイフクラッチレバー94は、図18に示すように、ハンドル本体64の左側に配置されている。このナイフクラッチレバー94で、原動機51からカッター2へ伝達される動力を連結したり、遮断したりする。
ナイフクラッチレバー94は、操作カバー90の左側前方に形成されたガイド溝902に沿って前後に操作される。ナイフクラッチレバー94は、操作カバー90の裏側でハンドル本体64に設けてある軸部941(図18では見えず、図20参照)によって回動自在に取り付けられている。
ナイフクラッチレバー94の基端部には操作ワイヤW6のインナーワイヤW61が取り付けられている。このインナーワイヤW61は後述するテンションクラッチ機構に連動・連結しており、カッター2の回転を制御する。
【0156】
図26はテンションクラッチ機構を示す概略説明図である。
図11及び図26を参照して、テンションプーリ機構について説明する。
図11で示すように、原動機51側の駆動プーリ54と、カッター2側の従動プーリ23にはベルト55が巻き付けてあり、原動機51からの動力がカッター2に伝達できるようにしてある。また、草刈機の進行方向が切り替わると共に駆動プーリ54の回転方向が変わって、カッター2が逆方向に回転し始める。
【0157】
そして、本実施の形態では、図26に示すように、従動プーリ23寄りにクラッチ機構を構成しているテンションプーリ56a,56bが配設してある。テンションプーリ56a,56bは、プーリ56a,56b間に巻回されたベルト55のうち並行する部分の外側に対向して設けてある。
テンションプーリ56aは、略中央でやや屈曲させて形成したアーム560aの先部に取り付けてある。アーム560aは、後述するアーム560bと共に揺動体を構成している。アーム560aの屈曲部は軸ピン57によって回動可能に軸支してある。
また、軸ピン57には、アーム560bも回動自在に軸支してある。そして、そのアーム560bの先部には、上記したテンションプーリ56bが取り付けてある。
【0158】
アーム560aの基端部にはワイヤ固定部561aが固定されている。ワイヤ固定部561aには、ナイフクラッチレバー94(図18参照)から延びる操作ワイヤW6のアウターチューブの一端部が固定されている。そして、操作ワイヤW6のインナーワイヤW61の先端部は、ワイヤ固定部561aから延びてアーム560bの基端部に固定されている。インナーワイヤ61の先部には、戻りバネ59が取り付けられている。このインナーワイヤW61によって、テンションプーリ56a,56bの間隔が調整される。
【0159】
以上のような構成により、ナイフクラッチレバー94(図18参照)を前方に倒すとインナーワイヤW61が引っ張られ、アーム560a,560bが軸ピン57を中心として内側に回動し、ベルト55にテンションプーリ56a,56bによるテンションがかかる。テンションがかかると、ベルト55が張って駆動プーリ54から従動プーリ23に動力が伝わり、カッター2が作動する。
【0160】
なお、実際では、駆動プーリ54の回転によって、テンションプーリ56a側またはテンションプーリ56b側のどちらかのベルト55が、より張った状態となっている。
例えば、駆動プーリ54が矢印I方向に回転する場合では、テンションプーリ56a側のベルト55よりもテンションプーリ56b側の方が、より張った状態となる。そして、インナーワイヤW61が引っ張られると、張った状態のベルト55側にあるテンションプーリ56bは外側に押し出され、それに伴って弛み側のテンションプーリ56aは内側に入り込み、結果的にアーム560a,560bは押し出されたテンションプーリ56bと同方向へ揺動する。これにより、駆動力を伝達するためのテンションがベルト55の並行する部分にバランス良くかかる。
【0161】
また、駆動プーリ54の回転方向が切り替わって、ベルト55の張り側と弛み側が入れ替わった場合でも、ベルト55の並行する部分には上記したようにテンションがバランス良くかかるので、駆動プーリ54の動力は確実に従動プーリ23側に伝わる。
【0162】
一方、ナイフクラッチレバー94(図18参照)を引くと操作ワイヤW6のインナーワイヤW61が緩む。インナーワイヤW61が緩むとアーム560a,560bが外側に回動し、テンションプーリ56a,56bによるベルトへのテンションが解除され、ベルト55が緩み、原動機51が作動中で駆動プーリ54が回転していてもカッター2の作動は停止する。
【0163】
図16を参照して、走行クラッチレバー66aについて説明する。
走行クラッチレバー66aは、ハンドル6dの把手部65の基部側に設けてある。なお、把手部65は上記した略長方形の固定板95a,95bによって上下方向から挟持されている。走行クラッチレバー66aを操作することで、原動機51から駆動輪である後輪41への動力を制御する。走行クラッチレバー66aを正面側から見ると(図示せず)、略M形となっている。走行クラッチレバー66aは、軸部661によって矢印II方向に回動可能である。
【0164】
また、走行クラッチレバー66aには、クラッチボックス53の外部側に設けてある戻しバネ(図示せず)によって矢印II方向と逆方向に付勢力が働いており、手を離すことによって走行クラッチレバー66aは元の位置に戻るようになっている。走行クラッチレバー66aの一方の基端部には操作ワイヤ(図示せず)が設けてあり、操作ワイヤの先端側はミッションケース42内のクラッチギア(図示せず)へ連動している。
【0165】
以上のような構成により、走行クラッチレバー66aを握って矢印I方向に引くと、操作ワイヤが引っ張られ、走行クラッチが「入」の状態となる。この状態では、図12で示した変速選択軸44からの動力が後部駆動軸43に伝わり、草刈機Dは前進または後進する。
【0166】
一方、走行クラッチレバー66aを離すと、走行クラッチレバー66aは上記した戻しバネの付勢力によって元の位置に戻り、操作ワイヤは緩む。操作ワイヤが緩むと、変速選択軸44からの動力が後部駆動軸43に伝わらなくなり、草刈機Dの走行が停止する。
【0167】
(作 用)
図18,19を参照して、草刈作業における各種レバーの操作方法を説明する。
(草刈作業前)
常態では、走行クラッチは切れている。この状態では、ハンドル6dを押したり引いたりすれば、草刈機Dを移動させることができる。また、スロットルレバー93は「ニュートラル」の位置にあり、ナイフクラッチレバー94は「切」の状態になっている。
【0168】
(草刈機Dの移動)
まず、草刈機Dが急発進しないように、走行クラッチは切ったまま、原動機51を始動させる。
次に、スロットルレバー93を「前進側、1速」(切欠部904a)または「前進側、2速」(切欠部904a)の位置に移動し、スロットルレバー93を所要の高さまで上げる。そして、走行クラッチレバー66aを徐々に握り、草刈機Dを前進させる。また、必要に応じて、スロットルレバー93を上下させ、草刈機Dの速度を上げたり、下げたりする。なお、走行クラッチレバー66aの「入・切」の操作とスロットルレバー93の「上・下」の操作は、その順番は問わない。
【0169】
また、草刈機Dの走行を停止させたい場合は、走行クラッチレバー66aを離して走行クラッチを切る。なお、草刈作業を伴わない草刈機Dの移動は、通常、ハンドル6dを進行方向に対して真っ直ぐ(平行)にした状態で行う。
【0170】
(傾斜面での草刈作業)
(1)前進方向への草刈作業
草刈作業を行う場合には、第1の実施の形態(図9参照)で説明した通り、ハンドル6dの向きを草刈機の進行方向(傾斜方向とほぼ直角)に対してほぼ直角に上方側へ設定する。なお、ハンドル6dの向きを変える際は、走行クラッチレバー66aを離して走行クラッチを切り、草刈機Dの走行を停止させた状態で行う。
ハンドル6dの向きを変えたら、スロットルレバー93を「前進側、1速」(F1)または「前進側、2速」(F2)の位置まで移動し、所要の高さ位置(切欠部904aまたは切欠部904b側へ)引き上げる。また、ナイフクラッチレバー94は「入」の状態にし、原動機51からの動力がカッター2に伝わるようにしておく。
【0171】
次に、走行クラッチレバー66aを徐々に握る。走行クラッチが入ると、草刈機Dは前進方向に進み、カッター2は正回転するので、前進方向での草刈作業が可能となる。
また必要に応じて、スロットルレバー93を上下させて、草刈機Dの走行速度及びカッター2の回転速度を調整する。なお、スロットルレバー93を最も低い位置まで下げると、上記した遠心クラッチにより、原動機51からの動力は遮断されるので、草刈機Dの走行とカッターの回転は停止する。
【0172】
草刈機Dの走行を停止させたい場合は、走行クラッチレバー66aを離して走行クラッチを切る。ただし、ナイフクラッチレバー94を切らないとカッター2は回転を続ける。
また、草刈機Dの刈高を変えるときは刈高操作レバー91を操作する。刈高操作レバー91の操作は、安全のため、草刈機Dの走行を停止させた状態で行うことが好ましい。
【0173】
(2)後進方向への草刈作業
草刈機Dの進行方向を後進方向に切替える場合は、走行クラッチレバー66aを離し、草刈機Dの走行を停止させた状態で行う。
そして、スロットルレバー93を「後進側、1速」(切欠部903a)または「後進側、2速」(切欠部903b)側に移動させて、草刈作業を行う。
【0174】
(草刈作業の終了)
草刈作業が終了したら、ナイフクラッチレバー94を切り、カッター2の回転を停止させる。そして、スロットルレバー93を「前進側、1速」(切欠部904a)または「前進側、2速」(切欠部904a)側に移動して、草刈機Dを平坦地まで移動させる。
そして、原動機51を切る際には、走行クラッチレバー66aを離して草刈機Dの走行を停止させ、スロットルレバー93を「ニュートラル」の位置に戻した状態で行う。
【0175】
[実施の形態4]
図27は本発明に係る自走式草刈機の第4の実施の形態を示し、草刈機を左側(刈高調整装置が設けられていない側)から見た説明図である。
自走式草刈機Eは、第1ないし第3の実施の形態で示した自走式草刈機とは相違して、原動機51の動力を後輪41だけでなく前輪31にも伝えることができる4輪駆動となっている。
草刈機Eの左側において、後部駆動軸43はチェーンケース48内から延長して突出している。突出した後部駆動軸43の先部側には、前輪31へ動力を伝えるスプロケット491が設けてある。また、後輪41と同様に各前輪31,31の車軸311には、スプロケットとチェーン(共に図示を省略)を有するチェーンケース32が設けてある。
【0176】
前輪31側のチェーンケース32,32内の上部側に設けてあるスプロケット間には、前輪31,31同士を連動する前部駆動軸33が設けてある。草刈機Eの左側において、前部駆動軸33はチェーンケース32内から延長して突出している。突出した前部駆動軸33には、後部駆動軸43のスプロケット491から動力を受けるスプロケット492が設けてある。そして、後輪41側のスプロケット491と前輪31側のスプロケット492間にはチェーン493が巻き掛けてある。スプロケット491,492とチェーン493はチェーンケース494内に収容されている。
なお、本実施の形態では、前輪31,31の駆動力を最大限に生かすために、前輪31のトレッド部にも突起状のスパイク部410aが設けてある。
【0177】
(作 用)
図27を参照して、草刈機Eの作用を説明する。
原動機51(図27では表れない)から後部駆動軸43への動力は、チェーンケース494内のチェーン493、各前輪31側のチェーンケース32内のチェーンを経て、前輪31,31へ伝達される。
以上説明したような4輪駆動の草刈機Eを使用すれば、凹凸面や急な傾斜面などの作業条件が悪い場所でも、良好に草刈作業を行うことができる。
【0178】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示した実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0179】
B,C 自走式草刈機
1 フレーム
11 壁面部
2 カッター
21 刃板
22 垂直軸
23 従動プーリ
24 駆動ギア
24a 従動ギア
25 伝動ギア
31 前輪
311 前部車軸
41 後輪
410 スパイク部
411 後部車軸
42 ミッションケース
43 後部駆動軸
44 変速選択軸
45,46 スプロケット
47 チェーン
48 チェーンケース
51原動機
52燃料タンク
53 クラッチボックス
531,531c 駆動軸
532,532c 垂直軸
533 ベベルギア
534,534c つめクラッチ
535,535c ベベルギア
536,536c ベベルギア
537,537c ベベルギア
54 駆動プーリ
55 ベルト
6,6c ハンドル
61,61c 調整ピン
62,62c 切替レバー
63,63c レバーケース
631c 電源スイッチ
64 ハンドル本体
65 把手部
66 走行クラッチ
67 ナイフクラッチ
68 調整レバー
69 調整レバー
71 カバー
710 カバー本体
711 取付板
712 外面部
72 取付金具
73 取付軸
74 ナット
8,8c 刈高調整装置
81a 前輪高調整部材
810a 溝部
81b 後輪高調整部材
81c 前輪高調整部材
81d 後輪高調整部材
810b 溝部
811 軸部
83 操作レバー
830 軸ピン
831 レバー取付部
83c 操作レバー
832 把手
85 前脚部材
86 軸受部
861 軸部
87a,87b 連結軸
88 高さ設定部材
881 長孔
882 係止溝
D,E 自走式草刈機
W1〜W6 操作ワイヤ
W11,W21,W31,W41,W51,W61 インナーワイヤ
6d ハンドル
8d 刈高調整装置
9 操作レバー装置
12 取付ピン
13 コイルバネ
32 チェーンケース
33 前部駆動軸
56a,56b テンションプーリ
57 軸ピン
58 固定部
59 バネ
60d カバー
60 ハンドル方向調整装置
66a 走行クラッチレバー
81e 前輪高調整部材
81f 後輪高調整部材
84 長孔
88a ワイヤ固定部材
90 操作カバー
91 刈高操作レバー
92 ハンドル操作レバー
93 スロットルレバー
94 ナイフクラッチレバー
95a,95b 固定板
96 カム板
97 進行方向切替アーム
98 変速切替アーム
410a スパイク部
481 取付片
491 スプロケット
492 スプロケット
493 チェーン
494 チェーンケース
560a アーム
560b アーム
561a ワイヤ固定部
601 ガイド体
601b ガイド溝
601c 係合溝
601b 筒状体
601a 嵌合孔
601d ストッパー
602d 軸部
602e 係止部
602c 溝
602a 側面部
602 台部材
602b 筒状体
603 ストッパー部材
603a 軸管
603b 下部ストッパー
603c 固定ピン
603f 軸部
603d 上部ストッパー
604 ナット
605 コイルバネ
641 取付バー
642 軸管
643a ガイド溝
643 係合体
661 軸部
812 固定ピン
841 軸部
883 取付片
901 ガイド溝
902 ガイド溝
903a 切欠部
903b 切欠部
904a 切欠部
904b 切欠部
911 軸部
931 横軸
932 昇降カム
933 リンク部
934 軸部
935 クランク部
936 軸部
937 固定ピン
941 軸部
951 軸部
952 垂直軸
953 支持ピン
954 軸受部
960 軸受部
961 中心孔
970 係合溝
971 係合ピン
972 軸部
973 コイルバネ
974 コイルバネ
980 係合溝
981 係合ピン
982 軸部
983 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機の動力で前進と後進を可能とする走行手段を有し、作業者が草刈機の進行方向に対し横側に位置して傾斜面の草刈作業ができるようにした自走式草刈機であって、
水平方向に回転し、進行方向の前部側が下がるように傾斜させて草を刈ることができるカッターと、
草刈機の進行方向に対し、横側に位置して傾斜面の草刈作業をする作業者側へ向きを設定できるハンドルと、
を備え、
上記走行手段は、
一対の後輪と一対の前輪とを備え、上記原動機の動力は、チェーンを介して上記後輪と前輪の四輪に伝えられる構成を有し、
上記ハンドルは、
水平方向に回動可能な台部材に上下方向に回動可能に設けられ、水平方向に調整することができる水平方向調整手段と上下方向に調整することができる上下方向調整手段とを含む調整装置によって方向の調整ができるよう構成されている、
自走式草刈機。
【請求項2】
原動機の動力が、チェーンを介して後輪と前輪の四輪に伝えられる構成は、
後輪側のチェーンケースと、
前輪側のチェーンケースと、
上記後輪側のチェーンケースと前輪側のチェーンケースの間に配設されているチェーンケースと、
を有し、
上記後輪側のチェーンケースには、
上記後輪の車軸に設けられているスプロケットと、
上記後輪を駆動する後部駆動軸に設けられているスプロケットと、
これらのスプロケットの間に巻き掛けられているチェーンと、
が収容されており、
上記前輪側のチェーンケースには、
上記前輪の車軸に設けられているスプロケットと、
前部駆動軸に設けられているスプロケットと、
これらのスプロケットの間に巻き掛けられているチェーンと、
が収容されており、
上記後輪側のチェーンケースと前輪側のチェーンケースの間に配設されているチェーンケースには、
上記後部駆動軸に設けられており、上記後部駆動軸に設けられている上記スプロケットとは異なるスプロケットと、
上記前部駆動軸に設けられており、上記前部駆動軸に設けられている上記スプロケットとは異なるスプロケットと、
これらのスプロケットの間に巻き掛けられているチェーンと、
が収容されている、
請求項1記載の自走式草刈機。
【請求項3】
水平方向調整手段は台部材の水平方向の回動を係止する手段を含み、上下方向調整手段はハンドルの上下方向の回動を係止する手段を備えた係止部材を含んでいる、
請求項1または2記載の自走式草刈機。
【請求項4】
ハンドルは伸縮自在に形成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式草刈機。
【請求項5】
走行手段の速度を変速する変速手段を含む作業機の操作レバー装置を有し、
上記走行手段の進行方向の切り替えを行う進行方向切替手段と、
上記変速手段の変速を行う変速切替手段と、
原動機の出力を制御する出力制御手段と、
を含んでおり、
上記進行方向切替手段、変速切替手段、及び出力制御手段の制御を同じ操作レバーで操作できる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の自走式草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−34710(P2012−34710A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257635(P2011−257635)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【分割の表示】特願2008−310614(P2008−310614)の分割
【原出願日】平成12年6月8日(2000.6.8)
【出願人】(393000984)株式会社オーレック (19)
【Fターム(参考)】