説明

苗移植機

【課題】メンテナンス性に優れ横幅を抑えた苗植伝動装置を備えたコンパクトな苗移植機の提供である。
【解決手段】走行車体1と、エンジンEと、昇降可能に且つ左右にローリング可能に車体1に連結し、苗送り装置6と苗植付装置50とを備えた苗植付部Nとを設けた苗移植機において、エンジンEから苗送り装置6への横伝動部11,12をローリング軸55に対して左右一側に設け、横伝動部11,12よりも左右方向内側にリードカム軸10を設け、リードカム軸10の左右方向内側端部であってローリング軸55に対して横伝動部11,12側に苗送り駆動カム170を設ける。横伝動部11,12等の着脱等が左右一側から容易にでき、メンテナンス性が向上する。また、苗送り駆動カム170が横伝動部11,12とローリング軸55との間に位置することで、リードカム軸10を不必要に長くすることなく、リードカム軸10の横幅を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗移植機の苗植伝動装置に関し、多条植え形態の苗植伝動装置をコンパクトな構成とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、左右に複数設けた苗載部に苗を載せて左右移動して苗を一株分づつ前記苗載部に対応する左右に複数設けた苗取出口へ供給する苗載台と、苗取出口の苗を取って植え付ける左右に複数設けた苗植付装置を備える苗植付部と、粉粒体となる肥料や薬剤を貯溜する粉粒体貯溜部と該粉粒体貯溜部内の粉粒体を所定量づつ繰り出す繰出部とを備えた粉粒体吐出装置と、苗植付面を滑走しながら整地するフロートなどを設けた苗移植機となる多条植形態の乗用型田植機が知られている。
【0003】
このような多条植形態の乗用型田植機では、各植付条の苗植付装置へ伝動するための伝動装置が横幅方向(左右方向)へと広くなるため、左右の重量平衡が保持し難い形態となる。重量が左、右に偏位すると苗植作用時の苗植付装置のローリング作用が偏位して、左右の苗植条において左右方向の均平面を水平上にし難く、植付深さを均一に維持でき難い。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、苗植伝動ケースに、前部には入力軸、及びこの入力軸から伝動される横伝動軸を軸装し、後部にはこの横伝動軸から縦伝動機構を介して伝動される植付軸を軸装し、畦クラッチと安全クラッチとを一方が横伝動軸上で他方が植付軸上となるように縦伝動機構に対応して該縦伝動機構の左右いずれか同じ側に配置し、これと反対の側に、該横伝動軸から苗タンク横移動のためのカム軸を駆動するカム軸伝動機構、及びこのカム軸伝動ケースを設けた苗移植機の苗植伝動装置の構成が開示されている。
【0005】
入力軸から横伝動軸に伝動されると、畦クラッチ、安全クラッチにより苗植伝動ケースの縦伝動機構を介して各植付軸へ伝動されて、苗植付装置が駆動されて苗植付作用が行われる。また、この横伝動軸からカム軸伝動機構を介してカム軸を伝動して苗タンクを横方向へ移動させる。前記安全クラッチは苗植付装置の作動に過負荷を生じたときスリップを生じて停止され、この苗植付装置の安全を図ることができる。また、畦クラッチは畦際作業での一部の苗植条の苗植付装置を停止するときに切り操作できるもので、この切り操作された畦クラッチと連動系の植付軸の伝動が停止される。これら畦クラッチと安全クラッチが縦伝動機構の一側に配置されるのに対して、カム軸伝動機構及びこのカム軸伝動ケースがこれらと反対の側に設けられるため、これら苗植伝動ケース中央部の左右重量平衡を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−304339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の構成により、苗植付装置の苗植伝動ケースにおいて、縦伝動機構の一側に畦クラッチと安全クラッチが配置され、これと反対の側にカム軸伝動機構とこのカム軸伝動ケースが配置されるため、苗植伝動ケースにおける左右重量平衡を図って、苗植伝動ケース及び苗植付装置全体としての重量平衡を維持して的確な苗植付装置のローリング作用を行わせることができる。
【0008】
一方、前記カム軸伝動機構、及びこのカム軸伝動ケースは機体の左右中央部のローリング軸よりに設けられ、苗タンクを左右へ往復移動させるためのカム軸は苗タンクの底部下側に、左右方向に幅広い苗植伝動ケースに沿って横方向(左右方向)に設けられている。このように、機体の左右中央部にカム軸伝動機構やカム軸などが位置していると、これらを容易に脱着できないことから、修理等のメンテナンス性に劣る。また、カム軸の左右方向の長さが長いと、苗植伝動装置によって横幅(左右方向幅)を取ることになり、苗移植機の大型化を招く。近年、設置スペースや経済性等の観点から、よりコンパクトな苗移植機が要望されている。
【0009】
そこで、本発明の課題は、メンテナンス性に優れると共に横幅を抑えた苗植伝動装置を備え、よりコンパクトな苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、下記構成によって達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右の前輪(13)及び左右の後輪(15)を備える走行車体(56)と、該走行車体(56)上に設けられた駆動源(E)と、前記走行車体(56)の後方であって該走行車体(56)の前進方向に向かって左右方向中央部に設けられ、前後方向に長手方向を有するローリング軸(55)と、前記走行車体(56)の後方に、昇降可能に且つ前記ローリング軸(55)回りに左右方向にローリング可能に連結し、前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右に複数設けた苗載部(6e)から各苗載部(6e)に対応するように左右に複数設けられた苗取出口(6b)に苗載部(6e)上の苗を左右移動させて一株分づつ供給し、左右方向一列の苗が苗取出口(6b)から取り出されたら次列の苗を前後方向又は上下方向に移送する苗送りベルト(6c)により苗取出口(6b)に送る苗送り装置(6)と前記苗取出口(6b)から取り出される苗を植え付ける苗植付装置(50)とを備えた苗植付部(N)とを設けた複数条植えの苗移植機において、前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右一側に偏位して設けられ、前記駆動源(E)からの動力が伝動される横伝動部(11,12)と、前記走行車体(56)の前進方向に向かって前記横伝動部(11,12)よりも左右方向内側に設けられ、前記横伝動部(11,12)からの動力が伝動されて駆動回転するリードカム軸(10)と、前記苗送り装置(6)の苗載部(6e)と前記リードカム軸(10)に連結して該リードカム軸(10)の回転により前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右方向に移動し、苗載部(6e)上の苗を左右移動させるリードカム(48)と、前記苗送り装置(6)の苗送りベルト(6c)に連結し、該苗送りベルト(6c)を駆動する苗送りアーム(172)と、走行車体(56)の前進方向に向かって前記リードカム軸(10)の左右方向内側端部であって前記ローリング軸(55)に対して前記横伝動部(11,12)側に設けられ、苗載部(6e)の左右移動端で苗送りアーム(172)を駆動する苗送り駆動カム(170)とを有する苗移植機である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記横伝動部(11,12)に駆動源(E)から動力を入力するための入力軸(3)を、走行車体(56)の前進方向に向かって横伝動部(11,12)と同じ左右一側であって且つ該横伝動部(11,12)よりも左右方向内側に、前記リードカム軸(10)と平面視で交差する位置に設け、前記走行車体(56)の前進方向に向かって前記苗送り駆動カム(170)を前記入力軸(3)よりも左右方向内側に設け、更に前記横伝動部(11,12)を前記後輪(15)よりも左右方向外側に設けた請求項1記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の苗移植機によれば、苗送り装置(6)の横伝動部(11,12)、リードカム軸(10)、及び苗送り駆動カム(170)を車体(56)の左右一側に配置することができ、これらをまとめて着脱したり修理したりすることが機体の左右一側から容易にできるので、メンテナンス性が向上する。また、リードカム軸(10)の左右方向内側端部の苗送り駆動カム(170)が横伝動部(11,12)とローリング軸(55)との間に位置することで、リードカム軸(10)を不必要に長くすることなく、リードカム軸(10)の横幅を抑えることができる。したがって、コンパクト且つ低コストな苗植伝動装置となり、このように横幅を抑えた苗植伝動装置によって苗移植機のコンパクト化も達成される。
【0013】
請求項2記載の苗移植機によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、入力軸(3)とリードカム軸(10)とを平面視で交差させ、更に苗送り駆動カム(170)を入力軸(3)よりも左右方向内側に設けたことで、入力軸(3)と苗送り駆動カム(170)が干渉しない構成としながら、入力軸(3)とリードカム軸(10)を近づけて配置でき、スペースを有効利用して機体のコンパクト化が図れる。
更に、横伝動部(11,12)を後輪(15)よりも左右方向外側に配置することで後輪(15)に干渉することなく、機体の左右一側から着脱したり修理したりすることができ、更にメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の田植機の側面図である。
【図2】図1の田植機の平面図である。
【図3】図1及び図2の田植機の苗植付部の伝動機構を示した図である。
【図4】図1の田植機の畦クラッチとその作動用のケーブルの接続部を示した図である。
【図5】図1の田植機の苗送りベルトとその作動用のケーブルの接続部を示した図である。
【図6】図1の田植機の苗植付部の伝動装置部の平面図である。
【図7】図1の田植機の苗植付部の伝動装置部を含めた後部平面図である。
【図8】図6の伝動装置部の部分拡大図(左端部)である。
【図9】図8の分岐伝動部付近の拡大図である。
【図10】図1の田植機のローリング軸の側面図である。
【図11】図6の伝動装置部の部分拡大図(中央部)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明の一実施形態の苗移植機としての田植機の左側面図を示し、図2には図1の田植機の平面図を示す。また、図3には、図1及び図2の田植機の苗植付部Nの伝動機構を示す。
なお、本明細書では、田植機の前進方向に向って左右方向をそれぞれ左、右とし、前進方向を前、後進方向を後とする。
【0016】
走行車体56は、駆動輪である各左右一対の前輪13,13及び後輪15,15を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース22が配置され、そのミッションケース22の左右側方に前輪ファイナルケース80が設けられ、該前輪ファイナルケース80の操向方向を変えることができる前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸14に前輪13,13が取り付けられている。また、左右各々の後輪ギヤケース81は、回動支点軸S回りに上下に回動し、これにより、左右の後輪15が上下して、圃場に追従する。その後輪ギヤケース81から外向きに突出する後輪車軸16に後輪15,15が取り付けられている。
【0017】
車体56のステップフロア17上には、ミッドカバー18上に運転席19を搭載し、このシートカバー18下に駆動源であるエンジンEや燃料タンク21等を設ける。また、ステップフロア17の下方左右両側にオペレータが乗降する際の乗降ステップ20を設けている。
エンジンEの回転動力がエンジン出力プーリ90(図1)からベルト91(図1)を介して無段式の静油圧式変速装置(HST)93(図1)の入力軸に伝えられ、この入力軸から油圧ポンプを駆動し、更に、静油圧式変速装置の出力軸からミッションケース22内のミッションに伝達される。ミッションケース22内のミッションに伝達された回転動力は、ケース22内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪ファイナルケース80から前輪13,13、後輪ギヤケース81から後輪15,15へ伝動すると共に、植付伝動軸23にも伝動する。
【0018】
ステアリングポスト24部の左右両側部には、補助苗受枠25を設けている。
また、車体56の後端部には、平行リンク形態のリフトリンク57が上下回動自在に連結され、1本の上リンク57aと左右一対の下リンク57b,57bを備えている。これらリフトリンク57は、その基部側が車体56の後端部に立設した背面視門形のリヤフレーム26に回動自在に取り付けられている。そして、車体56と下リンク57b,上リンク57aとの間の昇降シリンダ27の伸縮によって、上リンク57a及び下リンク57b,57bが上下に回動し、苗植付部Nがほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0019】
そして、リフトリンク57後端のヒッチリンク28には、前後方向に長手方向を有するローリング軸55(図6)が配置され(図1のR部分に位置している)、左右方向にローリング自在に連結しているローリング軸55の左右両側にはバネ95(図1)があり、そのバネが伸びたり縮んだりすることで、水平状態を保っている。バネ95は、車体56側と後述する支持フレーム30に連結している。また、ローリング軸55は車体56の左右方向中央部に位置している。
【0020】
そして、苗植付部Nは6条植の構成で、苗植付部Nの植付伝動部(苗植伝動ケース)1(図3)とローリング軸55を支持する支持フレーム30(支持フレーム30が、走行車体56からローリング軸55を介して支持されているともいえる)、苗を載せて左右往復動して苗を一株づつ各条の苗取出口6b、…に供給する苗載部6e、苗載部6eを有する苗タンク(苗送り装置)6、及び前記苗取出口6b、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置50、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。各苗載部6eは方形状のマット苗を収容して繰出すもので、後下りの傾斜に構成されて、下端底部には苗送りベルト6cを設け、この苗送りベルト6cの間歇的駆動によって苗を一定量毎繰出すものである。具体的には、苗タンク6は、左右に複数設けた各々の苗載部6eにマット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における苗受板(前板)6aの苗取出口6bに供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口6bに供給すると苗送りベルト6cにより苗を下方に移送する。
【0021】
そして、苗植付装置50の苗植付具59は先端が閉ループ軌跡を描いて作動し、一株分の苗を切取って土中に植込む。また、苗載部6eはマット苗毎に仕切突条部6dによって仕切られている。なお、苗送りベルト6cは車体56の前進方向に向かって前後方向又は上下方向に苗を移送する。本実施形態では、苗送りベルト6cは車体56の前進方向に向かって後方下部に苗を移送する。
【0022】
苗植付部Nの下部には中央にセンターフロート51、その左右両側にサイドフロート52がそれぞれ設けられており、これらセンターフロート51、サイドフロート52を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート51、サイドフロート52が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置50、…により苗が植付けられる。前記センタフロート51とサイドフロート52は、後部を深さフレーム115後端のフロート軸40(図1、図10)の周りに回動自在に支持し、深さフレーム115は支持フレーム30に対して上下回動可能にしてフロート軸40の高さを調節できる構成である。
【0023】
そして、各フロート(センターフロート51、サイドフロート52)は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動し、植付作業時にはセンターフロート51の前部の上下動が迎い角センサ53(図1)により検出され、その検出結果に応じて昇降シリンダ27を制御する油圧バルブ29(図1)を切り替えて苗植付部Nを昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
また、手動で苗の植え付け深さを調節するための植え付け深さ調節レバー33(図7)を設けている。植え付け深さ調節レバー33の基端部は、苗の植え付け深さを変更する深さフレーム115(図1,図10)の回動軸35に固着連結しており、植え付け深さ調節レバー33を操作することで、深さフレーム115が上下に回動して苗の植付深さを変更できる。また、植え付け深さ調節レバー33の隣には、苗植付装置50(図1、図2)が苗取出口6bで取り出す一株あたりの苗の量を変更する苗取り量調節レバー34(図7)を設けている。
【0024】
前記苗植付装置50の植付伝動部1は、左右方向に幅広い形態であり、後部を左右に分岐させて各センタフロート51、及びサイドフロート52の上部に沿って後方へ突出してフォーク状形態に分岐部を形成している。
植付伝動軸23によって苗植付部Nへ伝動される動力は、苗植付部Nに備える植付伝動部1内へ伝動され、該植付伝動部1内から各条の苗植付装置50及び苗送りベルト6cへ伝動される。植付伝動部1内で動力を分岐して各2条毎の単位で苗植付装置50へ伝動する分岐伝動部41が設けられ、該分岐伝動部41の伝動を入切する植付用部分クラッチ61が設けられ、植付用部分クラッチ61から分岐伝動部41にはチェン178(図3)により動力が伝導される構成であり、植付用部分クラッチ61により苗植付装置50を2条毎に停止させることができる。
【0025】
苗植付装置50の作動及び停止を隣接する2条づつの単位で切り替える植付用部分クラッチ61は、畦際での作業時に「切」に操作されることが多いことから、通常「畦クラッチ」と呼ばれている。なお、植付用部分クラッチ61の操作に連動してそれに対応する植付条の苗送りベルト6cも停止させる連動機構が設けられている。植付用部分クラッチ61を操作する各々の畦クラッチレバー62(図1)が運転席19の後側で且つ苗タンク6の上部の前方に設けられている。
また、図3に示すように、植付伝動部1内の動力からの駆動により苗送り駆動カム170が常時回転し、苗載部6eの左右移動端で苗送り駆動カム170が苗送りアーム172、172に作用して苗送りアーム172、172が駆動し、回転軸174及び左右のリンク176、176を介して左右の苗送り用部分クラッチ63に伝動し、苗送り用部分クラッチ63から苗送り駆動ローラ220を駆動して、苗送りベルト6cを駆動する。 そして、図4には植付用部分クラッチ61とその作動用の植付用ケーブル72の接続部を示し、図5には苗送りベルト6cとその作動用の苗送りケーブル73の接続部を示している。
植付伝動部1内に設けられた植付用部分クラッチ61は苗植付装置50の伝動軸50aに固着した駆動側クラッチ体206と該クラッチ体206のクラッチ歯206aと係脱自在のクラッチ歯207aを有する受動側クラッチ体207を備えており、該受動側クラッチ体207はスプリング209とスプロケット210とワッシャ211により常時伝動軸50a側に付勢されており、常時は植付用部分クラッチ61は作動状態にある(植付用ケーブル72を引いた状態)。
【0026】
受動側クラッチ体207の側面にはクラッチピン溝207bが設けられており該溝内に植付用ケーブル72の先端に接続された畦クラッチピン213が挿脱自在に設けられている。畦クラッチピン213は植付伝動部1の壁面の穴を貫通するように穴内に設けられ、かつスプリング214で植付伝動部1の壁面から植付伝動部1の内側に突出自在になっている。従って植付用ケーブル72を引くと畦クラッチピン213は受動側クラッチ体207のクラッチピン溝207bから引き抜かれる方向に移動される。畦クラッチピン213は受動側クラッチ体207のクラッチピン溝207b内を所定の引き抜き量で引き抜かれると、スプリング214の付勢力により植付用部分クラッチ61が「入」となる。植付用部分クラッチ61は苗の植え付けを行わない時(植付用部分クラッチ61:「切」)は定位置停止クラッチとなっており、植付用ケーブル72を引くと植付用部分クラッチ61が「入」となる。
【0027】
植付用部分クラッチ61を切にするときは、植付用ケーブル72が弛められるので、圧縮スプリング214の付勢により畦クラッチピン213がクラッチピン溝207bに入り、その状態で受動側クラッチ体207が回転することにより、クラッチピン溝207bの案内により受動側クラッチ体207が圧縮スプリング209に抗して徐々に該圧縮スプリング209側に移動し、受動側クラッチ体207の所定の回転位置(クラッチピン溝207bの回転方向端部に畦クラッチピン213が位置する状態)でクラッチ歯206a、207aの係合が初めて外れ、受動側クラッチ体207が定位置で停止する。 なお、圧縮スプリング209の付勢力で、圧縮スプリング214が縮んで畦クラッチピン213が植付用ケーブル72側へ押し戻されることはない。
そして、植付用部分クラッチ61が「入」となると、スプロケット210に係止しているチェン216が駆動され、苗植付装置50が作動する。
【0028】
図5には苗送りベルト6cの作動機構の構成を示す。苗送りケーブル73はL字状のシフターアーム219の一端部に接続しており該シフターアーム219の他端部は苗送り駆動ローラ220の駆動側クラッチ体221に接続しており、苗送りケーブル73の「入」、「切」側への動きに応じて駆動側クラッチ体221が「入」、「切」に切り替わる構成になっており、苗送り用部分クラッチ63を構成している。駆動側クラッチ体221は苗送りローラ220にクラッチ歯220a、221aを介して係脱可能な構成であり、苗送り駆動ローラ220の駆動側クラッチ体221とは反対側には隣接条の苗送り駆動ローラ220に常時噛合したクラッチ歯を介して接続している。苗送り駆動ローラ220の並列位置に苗送り従動ローラ223があり、これらの駆動ローラ220、従動ローラ223間には苗送りベルト6cが巻かれている。
【0029】
畦クラッチレバー62の操作により、植付用部分クラッチ61の受動側クラッチ体207を作動・非作動に切り換えることができ、また苗送りベルト6cの駆動側クラッチ体221を作動・非作動に切り換えることができる。すなわち、畦クラッチ作動用の植付用ケーブル72を畦クラッチ作動側に動かし、同時に苗送りベルト作動用の苗送りケーブル73を苗送りベルト作動側に動かすことができ、また、畦クラッチ作動用の植付用ケーブル72を畦クラッチ非作動側に動かし、同時に苗送りベルト作動用の苗送りケーブル73を苗送りベルト非作動側に動かすことができる。このように、各畦クラッチレバー62の操作で苗植付装置50と苗送りベルト6cを同時に作動させることができ、また同時に非作動とさせることができる。
【0030】
図6には、図1の田植機の苗植付部Nの植付伝動部1の平面図を示す。また、図7には、図1の田植機の苗植付部Nの植付伝動部1を含めた後部平面図を示す。
前記植付伝動部1は、中央部のセンタケース2の左右両側部にチューブ形態のスペーサケース44を介してサイドケース43を連結して一体的構成として、フォーク状形態に形成する。このフォーク状形態の柄部に当るセンタケース2部のほぼ同じ位置にローリング軸55を設けると共に、この右寄り位置に入力軸3を設けて、前記植付伝動軸23に連結する。
【0031】
各センタケース2及びサイドケース43の後端部に軸装される植付軸9の左右両側部には植付ケース36が設けられる。各植付ケース36の前後端部には、植付軸9に連結したフレーム46に支持された苗植付具59が設けられて、この植付ケース36の回転によって垂下姿勢を維持して昇降駆動されながら、上部の苗取出口6bで分離保持した苗を土壌面に挿植するもので、センタケース2、サイドケース43毎に二条植形態とし、全体で六条植えの構成としている。
【0032】
センタケース2とサイドケース43の前部間には、該スペーサケース44内部を経て横方向にわたって伝動軸4が軸装され、この伝動軸4から分岐伝動部41、センタケース2、サイドケース43内の縦伝動機構であるチェン178を介して植付軸9が伝動回転する。更に各分岐伝動部41には植付用部分クラッチ61が設けられ、この植付用部分クラッチ61を入り切りすることによってセンタケース2、サイドケース43部への伝動が入り、切りされる。畦クラッチレバー62(図7)を矢印A方向に操作すると植付用部分クラッチ61が入りになり、畦クラッチレバー62を矢印A方向とは反対方向に操作すると植付用部分クラッチ61が切りになる。
【0033】
この植付用部分クラッチ61は各センタケース2及びサイドケース43毎に設けられるため、畦際作業で苗植作業を停止しようとする条数域にわたる個所の植付用部分クラッチ61を切り操作できる。このとき、各植付用部分クラッチ61は、二条植の分岐伝動部41の伝動を入り切りする形態であるため、二条植毎の植付用部分クラッチ61の操作となる。
また、この各分岐伝動部41には安全クラッチ8が設けられ、安全クラッチ8は、分岐伝動部41の伝動軸4上には該伝動軸4とチエンスプロケット67との間で動力を伝達するクラッチ爪を備えて、スプリング68によってチエンスプロケット67側へ押圧されている。チエンスプロケット67は伝動軸4周りに回転自在で、このチエンスプロケット67側に苗植付過負荷が働くことによって、この安全クラッチ8部がクラッチ切りになる。
【0034】
前記中央部のセンタケース2の前部には、チェン178、及び前記ローリング軸55の右側にカム軸伝動ケース12が形成されて、前記苗載部6eの底部下側に横方向に沿って設けられるリードカム軸10の右端部を軸受けする。カム軸伝動ケース12内にはリードカム軸10の右端部と伝動軸4との間のチェン伝動からなるカム軸伝動機構11が設けられ、カム軸伝動機構11、カム軸伝動ケース12からなる横伝動部により、伝動軸4からリードカム軸10に動力が伝動される。
【0035】
このリードカム軸10は周面に往復螺旋状のカム溝47が形成されて、左右移動自在に支持された苗載部6e底部下面に突出するリードカム48を嵌合させて、このリードカム軸10の回転によって苗載部6eをタンク幅にわたって左右へ往復移動させる。このリードカム軸10の先端部には苗送り駆動カム170を有して、この苗送り駆動カム170の回転によって苗送りアーム172(図3)が駆動し、苗載部6eが左右横端部に移動する毎に苗送りベルト6cを一定量毎に駆動して、苗載部6eのマット苗を苗受板6a側へ移送する。
【0036】
苗植作業時に苗植付部Nはローリング軸55周りにローリング自在の状態にあって、センタフロート51、サイドフロート52の接地滑走により、土壌面や耕盤等が左右に傾斜すると、このローリング軸55の周りにローリング制御されて、各フロート51、52による滑走土壌面をできるだけ水平面に維持するように均平して、苗植深さを揃えるように維持する。
【0037】
苗植付部Nの伝動機構について説明する。
エンジンEからの動力が植付伝動軸23を介して入力軸3へ伝動されて伝動軸4が回転し、センタケース2、サイドケース43部の植付用部分クラッチ61、安全クラッチ8、分岐伝動部41、及びチェン178等を経て苗植付具59が作動する。また、この伝動軸4からカム軸伝動ケース12内のカム軸伝動機構11を経てリードカム軸10が回転し、苗載部6eが左右に往復移動することで、苗取出口6b上に順次苗を供給する。また、この苗の供給動作と共に、苗載部6eが左右端部に達すると、苗送り駆動カム170によって苗送りアーム172(図3)が駆動し、苗送りベルト6cにより苗を下方に移送する。 そして、このようにして、苗載部6eに収容していたマット状の苗が、苗受板6a側に繰出されると共に、苗受板6aの苗取出口6bに作用する各苗植付具59によって分離保持されて、センタフロート51、各サイドフロート52で均平された土壌面に植付けられる。
【0038】
この苗植付装置50の植付伝動部1において、カム軸伝動機構11、カム軸伝動ケース12からなる横伝動部を車体56の左右一側(本実施形態では右側)に配置し、リードカム軸10の左右内側端部に設けた苗送り駆動カム170を、車体56の左右方向中央部に位置しているローリング軸55に対して、横伝動部11、12と同じ側に配置している。
機体の左右中央部にカム軸伝動機構11やカム軸伝動ケース12などが位置していると、これらを容易に脱着できず、メンテナンス性に劣る。また、入力軸3から入力される動力を苗送りアーム172へ伝動するためのリードカム軸10の左右方向の長さが長いと、この伝動機構だけで横幅(左右方向幅)を取り、苗移植機の大型化を招いてしまう。
【0039】
しかし、本実施形態によれば、苗タンク6の横伝動部(カム軸伝動機構11、カム軸伝動ケース12)、リードカム軸10、リードカム48、及び苗送り駆動カム170を車体56の左右一側に配置することができ、これらをまとめて着脱したり修理したりすることが機体の左右一側から容易にできるので、メンテナンス性が向上する。
また、リードカム軸10の左右方向内側端部の苗送り駆動カム170が横伝動部11,12とローリング軸55との間に位置することで、リードカム軸10を不必要に長くすることなく、リードカム軸10の横幅を抑えることができる。したがって、コンパクト且つ低コストな苗植付部Nの伝動機構となり、このように横幅を抑えた伝動機構によって苗移植機のコンパクト化も達成される。
【0040】
更に、図6及び図7に示すように、苗植付部Nに動力を入力する入力軸3とリードカム軸10とを平面視で交差させ、更に苗送り駆動カム170を入力軸3よりも左右方向内側に設けたことで、入力軸3と苗送り駆動カム170が干渉しない構成としながら、入力軸3とリードカム軸10を近づけて配置でき、スペースを有効利用して機体のコンパクト化が図れる。
更に、図7に示すように、横伝動部11,12を後輪15の中心に位置するリム85よりも左右方向外側に配置することで、後輪15に干渉することなく、機体の左右一側から着脱したり修理したりすることができ、更にメンテナンス性が向上する。
【0041】
図8には、図6の植付伝動部1の部分拡大図(左端部)を示し、図9には図8の分岐伝動部41付近の拡大図を示す。
そして、本実施形態によれば、横方向(左右方向)にわたって設けられた伝動軸4から各分岐伝動部41に分岐して各条の苗植付装置50に伝動されるが、伝動軸4には、安全クラッチ8が植付用部分クラッチ61とは別に設けられている。更に、安全クラッチ8は、各サイドケース43やセンタケース2の前方軸上に配置されている。
【0042】
そして、この安全クラッチ8をユニット(Xで示す部分)として各サイドケース43やセンタケース2から独立した構成としても良い。
安全クラッチ8は、伝動軸4の外周に嵌合したボス100、ボス100の周囲に巻回したスプリング68、スプリング68に接し、押圧されて駆動する駆動爪102、駆動爪102の駆動により作動する従動爪103などからなる。
【0043】
安全クラッチ8は、スプリング68によってチエンスプロケット67側へ押圧されており、チエンスプロケット67と一体回転する分岐伝動部41側に苗植付過負荷が働くことによって、スプリング68が歪んで(圧縮されて)、駆動爪102がチエンスプロケット67とは反対側に移動し、駆動爪102と従動爪103の噛み合いが外れて、安全クラッチ8が切りになる。この安全クラッチ8のクラッチ爪は、サイドケース側面43aが傾斜面で構成されており、この傾斜面43aがあるために過負荷がかかると伝動軸4の軸方向に分力が生じる。したがって、クラッチ爪(駆動爪102と従動爪103)の側面同士が滑って、クラッチ爪の噛み合いが外れる側に駆動爪102が移動する構成である。
安全クラッチ8が各サイドケース43やセンタケース2から独立していないと、トルクの管理、すなわち安全クラッチ8の切れ荷重の調節が単体ユニットとしてできない。 この調節は、スプリング68の端部を受ける受板105(図9)を何枚入れるかで(図示では2枚)、スプリング68の端部位置を変更することにより行う。なお、受板105は、筒体107(図9)に係合する止め輪109(図9)により止められ、筒体107は座金110(図9)で止められている。これらの構造物からなる安全クラッチ8は、伝動軸4に挿入されるピン108(図9)で止められ、安全クラッチ8の切れ荷重を維持したままでユニットとして伝動軸4から着脱できる。
【0044】
従来、例えばサイドケース43、センタケース2側に取り付けられる受板105と駆動爪102との間にスプリング68を設ける構成では、メンテナンスのために安全クラッチ8を取り外すときに駆動爪102とスプリング68がばらばらになって、再度組み付けるのが面倒であり、切れ荷重の調整もし直さなければならない。また、サイドケース43、センタケース2側と駆動爪102との間にスプリング68を設けているので、経時変化等でケース側と駆動爪102との位置関係の誤差が生じ易く、切れ荷重が不適正になるおそれもある。
また、従来は、安全クラッチ8と植付用部分クラッチ61を同じクラッチ爪で共用し、スプロケット67にスプリング68を当てていたので、切れ荷重を維持したままで安全クラッチを簡単に取り外すことはできなかった。しかし、本構成により、上記問題を解消できる。
【0045】
図10には、図1の田植機のローリング軸55の側面図を示す。
ローリング軸55は、支持フレーム30により支持されると共に周囲を保護されているが、この支持フレーム30に植え付け深さ調節レバー33及び深さフレーム115の回動軸35を支持しても良い。
例えば、図10に示すように、支持アーム37を支持フレーム30に固着させて、回動軸35を支持させることで、支持フレーム30に対して回動軸35が該軸心回りに回動する。深さフレーム115の回動軸35を支持フレーム30により支持することで、深さフレーム115の強度確保及び支持構成の簡略化が図れる。引いては、深さフレーム115及び回動軸35を適正な位置に保持できる。
【0046】
図11には、図6の伝動装置部の部分拡大図(中央部)を示す。丸枠部分Yには、センタケース2、スペーサケース44、支持フレーム30を分離して各フレームの形状及び配置を分かりやすくした図を示している。
センタケース2はチューブ型のスペーサケース44により左右両側から挟まれてボルト111によりスペーサケース44と固着連結しており、スペーサケース44の前面44aと支持フレーム30の後面30aがボルト112によって固着連結している。このように、スペーサケース44により支持フレーム30を支持する構成としても良い。
【0047】
図11に示すように、センタケース2よりも左右外側の支持フレーム30の左右2箇所をボルト112等によりスペーサケース44に取り付けて固着する。また、支持フレーム30の後面の取り付け面30aが機体の左右方向(スペーサケース44の長手方向)と平行になるように、支持フレーム後面30aと互いに向かい合うスペーサケース44の前面44aとを合わせて固着する。
なお、スペーサケース44のセンタケース2側端部44bは他の部分よりも径が大きく、平面視で前方に突出した形状にしている。この突出部の前面に支持フレーム後面30aを固着させることで、支持構造が強固となる。
【0048】
本構成により、センタケース2やスペーサケース44などの各部材の精度が多少落ちても、組み立て後に必要な精度寸法は確保しやすい。また、センタケース2やスペーサケース44などの製作精度を高める場合はコストも掛かるが、センタケース2やスペーサケース44などの製作精度をあまり厳密にせず、例えば支持フレーム30の取り付け穴30bを長穴とすれば、組み付け可能でコスト低減が図れる。また、支持フレーム30の後面の取り付け面30aがスペーサケース44と平行になるように、支持フレーム後面30aと互いに向かい合うスペーサケース前面44aとを合わせて固着することで、支持フレーム30の支持構成が強固となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の苗移植機は、田植機に限らず、野菜苗などのその他の苗を植え付ける苗移植機として利用可能性がある。また、乗用型の苗移植機でも歩行型の苗移植機でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 植付伝動部 2 センタケース
3 入力軸 4 伝動軸
6 苗タンク 6a 苗受板
6b 苗取出口 6b 苗取出口
6c 苗送りベルト 6d 仕切突条部
6e 苗載部 8 安全クラッチ
9 植付軸 10 リードカム軸
11 カム軸伝動機構 12 カム軸伝動ケース
13 前輪 14 前輪車軸
15 後輪 16 後輪車軸
17 ステップフロア 18 ミッドカバー
19 運転席 20 乗降ステップ
21 燃料タンク 22 ミッションケース
23 植付伝動軸 24 ステアリングポスト
25 補助苗受枠 26 リヤフレーム
27 昇降シリンダ 28 ヒッチリンク
29 油圧バルブ 30 支持フレーム
30a 取り付け面(後面) 30b 取り付け穴
33 植え付け深さ調節レバー
34 苗取り量調節レバー
35 回動軸 36 植付ケース
37 支持アーム 40 フロート軸
41 分岐伝動部 43 サイドケース
44 スペーサケース
44a 取り付け面(前面) 46 フレーム
47 カム溝 48 リードカム
50 苗植付装置 50a 伝動軸
51 センターフロート 52 サイドフロート
53 迎い角センサ 55 ローリング軸
56 走行車体
57 リフトリンク 57a 上リンク
57b 下リンク 59 苗植付具
61 植付用部分クラッチ 62 畦クラッチレバー
63 苗送り用部分クラッチ
67 チエンスプロケット 68 スプリング
72 植付用ケーブル 73 苗送りケーブル
80 前輪ファイナルケース
81 後輪ギヤケース 85 リム
90 エンジン出力プーリ 91 ベルト
93 静油圧式変速装置 95 バネ
100 ボス 102 駆動爪
103 従動爪 105 受板
107 筒体 108 ピン
109 止め輪 110 座金
111,112 ボルト 115 深さフレーム
170 苗送り駆動カム 172 苗送りアーム
174 回転軸 176 リンク
178 チェン 206 駆動側クラッチ体
207 受動側クラッチ体
206a、207a クラッチ歯
207b クラッチピン溝 209、214 スプリング
210 スプロケット 211 ワッシャ
213 畦クラッチピン 216 チェン
219 L字状のシフターアーム
220 苗送り駆動ローラ 221 駆動側クラッチ体
220a、221a クラッチ歯
223 従動ローラ
E エンジン N 苗植付部
S 回動支点軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前輪(13)及び左右の後輪(15)を備える走行車体(56)と、
該走行車体(56)上に設けられた駆動源(E)と、
前記走行車体(56)の後方であって該走行車体(56)の前進方向に向かって左右方向中央部に設けられ、前後方向に長手方向を有するローリング軸(55)と、
前記走行車体(56)の後方に、昇降可能に且つ前記ローリング軸(55)回りに左右方向にローリング可能に連結し、前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右に複数設けた苗載部(6e)から各苗載部(6e)に対応するように左右に複数設けられた苗取出口(6b)に苗載部(6e)上の苗を左右移動させて一株分づつ供給し、左右方向一列の苗が苗取出口(6b)から取り出されたら次列の苗を前後方向又は上下方向に移送する苗送りベルト(6c)により苗取出口(6b)に送る苗送り装置(6)と前記苗取出口(6b)から取り出される苗を植え付ける苗植付装置(50)とを備えた苗植付部(N)と
を設けた複数条植えの苗移植機において、
前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右一側に偏位して設けられ、前記駆動源(E)からの動力が伝動される横伝動部(11,12)と、
前記走行車体(56)の前進方向に向かって前記横伝動部(11,12)よりも左右方向内側に設けられ、前記横伝動部(11,12)からの動力が伝動されて駆動回転するリードカム軸(10)と、
前記苗送り装置(6)の苗載部(6e)と前記リードカム軸(10)に連結して該リードカム軸(10)の回転により前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右方向に移動し、苗載部(6e)上の苗を左右移動させるリードカム(48)と、
前記苗送り装置(6)の苗送りベルト(6c)に連結し、該苗送りベルト(6c)を駆動する苗送りアーム(172)と、
走行車体(56)の前進方向に向かって前記リードカム軸(10)の左右方向内側端部であって前記ローリング軸(55)に対して前記横伝動部(11,12)側に設けられ、苗載部(6e)の左右移動端で苗送りアーム(172)を駆動する苗送り駆動カム(170)と
を有することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記横伝動部(11,12)に駆動源(E)から動力を入力するための入力軸(3)を、走行車体(56)の前進方向に向かって横伝動部(11,12)と同じ左右一側であって且つ該横伝動部(11,12)よりも左右方向内側に、前記リードカム軸(10)と平面視で交差する位置に設け、
前記走行車体(56)の前進方向に向かって前記苗送り駆動カム(170)を前記入力軸(3)よりも左右方向内側に設け、
更に前記横伝動部(11,12)を前記後輪(15)よりも左右方向外側に設けたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−4650(P2011−4650A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150999(P2009−150999)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】