説明

苗移植機

【課題】予備苗載せ台を展開状態と収納状態とに切り替える際の作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する苗移植機の提供である。
【解決手段】走行車体2の支持フレーム49に支持される複数の予備苗載せ台38と、予備苗載せ台38と支持フレーム49との間のリンク機構Kと、支持フレーム49に連結するアクチュエータ81と、アクチュエータ81及びリンク機構Kに連結する回転部材(70,82など)とを備え、予備苗載せ台38を展開状態と収納状態とに切り替える切替装置80と、切替装置80のスイッチ71と、スイッチ70のセンサ72と、ハンドル34の切れ角センサ33と、スイッチ71操作に応じてアクチュエータ81を作動すると共にハンドル34の操向角度が所定角度以上になると切替装置80のアクチュエータ81を駆動する制御装置100とを設けた苗移植機により、作業者の労力や負担を軽減し、作業能率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行装置を有する機体の側部に予備の苗載せ台を備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗植付装置を機体後部に備えた苗移植機において、機体の側部に、複数の予備の苗載せ台からなる予備苗載部を備えた苗移植機が知られている。
下記特許文献1には、複数の予備苗載せ台が上下多段となって平面視で重複した重複状態と、前記複数の予備苗載せ台が前後向きに略一直線状になって展開した展開状態とに、前記複数の予備苗載せ台を切り替え可能に構成した苗移植機が開示されている。
【0003】
この切り替え機構は、1本の長いリンクアームと2本の短いリンクアームからなる平行リンク機構に複数の予備苗載せ台を取り付け、平行リンク機構の回動によって上下方向に重なり合う状態(平面視で重なる収納状態)と前後方向に略一直線状に並ぶ状態(水平方向に並ぶ展開状態)とに予備苗載せ台の状態を切り替え可能な構成である。
【0004】
そして、重複状態(収納状態)から、複数の予備苗載せ台のうちのいずれか一つの可動予備苗載せ台を、固定予備苗載せ台に対して展開状態の姿勢に変更すると、複数の予備苗載せ台が展開状態に切り替えられ、逆に展開状態から、複数の予備苗載せ台のうちのいずれか一つの可動予備苗載せ台を、固定予備苗載せ台に対して重複状態の姿勢に変更すると、複数の予備苗載せ台が重複状態に切り替えられる構成である。
したがって、複数の予備苗載せ台の状態の切り替えを簡易迅速に行うことができ、複数の予備苗載せ台の状態切り替え作業の作業性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−232809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、引用文献1に記載の苗移植機では、1本の長いリンクアームと2本の短いリンクアームからなる平行リンク機構によって、上下方向に重なり合う状態と前後方向に略一直線状に並ぶ状態とに予備苗載せ台の状態を切り替え可能である。
しかし、この苗移植機によれば、作業者が手動で「展開状態」と「収納状態」とに切り替えなければならず、作業者にとっては負担となり、切り替え作業に労力を費やすという問題がある。また、予備苗載せ台の状態を切り替えるための作業は、他の作業を中断して行わなければならず、作業能率が低下するという問題もある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、予備苗載せ台を「展開状態」と「収納状態」とに切り替える際の作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、下記構成によって達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右前輪(10,10)及び左右後輪(11,11)を備えた走行車体(2)と、前記左右前輪(10,10)を操向操作する操向操作手段(34)と、前記走行車体(2)の後側に設けられ、圃場に苗を植え付ける苗植付部(4)と、前記走行車体(2)に立設する支持フレーム(49)と、該支持フレーム(49)により支持され、補給用の苗を載せておく複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)と、該予備苗載せ台(38a,38b,38c)と支持フレーム(49)との間に設けられ、支持フレーム(49)に対して予備苗載せ台(38a,38b,38c)を回動自在に連結させて、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替え可能なリンク機構(K)と、該リンク機構(K)を作動させるためのアクチュエータ(81)と、該アクチュエータ(81)及び前記リンク機構(K)に連結し、前記アクチュエータ(81)の駆動により回転して該リンク機構(K)を回動させる回転部材(70,82など)とを備え、前記アクチュエータ(81)の駆動によりリンク機構(K)を作動して、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)を前記展開状態と収納状態とに切り替える切替装置(80)と、該切替装置(80)の切り替え操作をする切替操作手段(71)と、該切替操作手段(71)の操作状態を検出する操作状態検出手段(72)と、前記操向操作手段(34)の操向角度及び操作方向を検出する操向角度検出手段(33)と、前記操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(71)の操作状態に応じて予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態とに切り替えるように前記切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行うと共に、前記操向角度検出手段(33)により検出される操向角度が所定角度以上になると前記切替操作手段(71)による操作をしなくても前記切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行う機能を有する制御装置(100)とを設けた苗移植機である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を左右一対設け、前記リンク機構(K)と切替装置(80)を左右一対の予備苗載せ台(38a,38b,38c)にそれぞれ設け、前記制御装置(100)は、前記操向角度検出手段(33)により検出される操作方向とは反対側の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行う機能を有する請求項1記載の苗移植機である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態を検出する予備苗載せ台状態検出手段(95a,95b)を設け、該予備苗載せ台状態検出手段(95a,95b)により予備苗載せ台(38a,38b,38c)が展開状態であることが検出され、且つ前記操向角度検出手段(33)により検出される操向角度が所定角度以上になると展開状態から収納状態に切り替えるように予備苗載せ台(38a,38b,38c)の切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行う機能を有する請求項1又は2に記載の苗移植機である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記切替装置(80)の回転部材(70,82など)は前記アクチュエータ(81)の近傍で該アクチュエータ(81)によって駆動される駆動回転体(83,91)と、該駆動回転体(83,91)の回転が伝達され、リンク機構(K)に連結して該リンク機構(K)を回動させる従動回転体(87,93)と、前記駆動回転体(83,91)と従動回転体(87,93)との間に巻回した伝動無端帯(85,97)からなり、前記駆動回転体(83,91)を予備苗載せ台(38a,38b,38c)の下方に設け、前記従動回転体(87,93)を収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の上端と下端の間に設けた請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機である。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記切替装置(80)の回転部材(70,82など)は前記アクチュエータ(81)の近傍で該アクチュエータ(81)によって駆動される駆動軸(107)と、該駆動軸(107)の上端部に設けた駆動歯車(103)と、該駆動歯車(103)に噛合し、且つリンク機構(K)に連結して該リンク機構(K)を回動させる従動歯車(105)からなり、前記駆動軸(107)の下端部を予備苗載せ台(38a,38b,38c)の下方に設け、前記従動歯車(105)を収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の上端と下端の間に設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機である。
【0013】
請求項6に係る発明は、更に平面視で前記切替装置(80)の前後位置が収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後位置よりも内側又は一致するように、前記切替装置(80)の前後方向の長さを予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後方向の長さよりも短く又は同じ長さに形成し、前記切替装置(80)をリンク機構(K)の前後方向中央位置のリンク機構(K)の回動支点に接続した請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の苗移植機によれば、作業者が切替操作手段(71)を操作すると、切替装置(80)の切替アクチュエータ(81)が駆動して予備苗載せ台(38a,38b,38c)を自動的に「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができるので、作業者が手作業で切り替えを行う必要がなく、作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する。
【0015】
また、操向手段(34)により操向角度が所定角度以上になると、切替操作手段(71)を操作することなく切替アクチュエータ(81)が駆動して切替装置(80)が作動するため、作業者は苗の植付操作や機体の直進など、機体の操縦動作に集中することができ、作業能率が向上すると共に、安全性が向上する。
【0016】
請求項2記載の苗移植機によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、操向角度検出手段(33)により操向手段(34)による操向角度と操作方向を検出し、検出した操作方向とは反対側の切替装置(80)を作動させることにより、苗移植機の旋回時に機体外側に位置する予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態を変更することができる。例えば、旋回時に圃場端に接近する機体外側の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態から収納状態にして予備苗載せ台(38a,38b,38c)が作業者や壁等の障害物に接触することを防止できるため、作業の安全性が確保されると共に予備苗載せ台(38a,38b,38c)の破損も防止できる。
【0017】
請求項3記載の苗移植機によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、予備苗載せ台状態検出手段(95a,95b)により予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態が展開状態であるか収納状態であるかを検出し、展開状態である場合は操向手段(34)により操向角度に応じて切替装置(80)を作動させることにより収納状態とし、また収納状態である場合は切替装置(80)を作動させないことで、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が旋回途中に展開状態に変わることを防止できる。したがって、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が圃場端にいる作業者に接触することが防止され、作業の安全性が確保される。
【0018】
また、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が圃場端にある壁等の障害物に接触することを防止できるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が破損することや、接触によって積載した苗が落下することが防止され、耐久性が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0019】
請求項4記載の苗移植機によれば、上記請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、予備苗載せ台(38a,38b,38c)よりも下方に切替装置(80)を切り替える切替アクチュエータ(81)と駆動回転体(83,91)を設け、切替アクチュエータ(81)によって駆動回転体(83,91)が回転すると伝動無端帯(85,97)を介して従動回転体(87,93)が回転し、リンク機構(K)を回動させて予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態を変更する構成により、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の重心を走行車体(2)側に移動させ、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の上部を軽くすることができる。したがって、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が苗移植機の走行時の揺れによる衝撃を受けにくくなり、耐久性が向上する。
【0020】
例えば、駆動回転体(83,91)及び従動回転体(87,93)をスプロケット(83,87)とし、伝動無端帯(85,97)をチェーン(85)とした場合は耐久性が高く、長期間の使用でも破損しにくい。また、駆動回転体(83,91)及び従動回転体(87,93)をプーリ(91,93)とし、伝動無端帯(85,97)をベルト(97)とした場合はグリス等の潤滑剤が不要であるので、漏れたグリス等に水や圃場が汚染されることがない。
【0021】
請求項5記載の苗移植機によれば、上記請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、予備苗載せ台(38a,38b,38c)よりも下方に切替アクチュエータ(81)と駆動歯車(103)を上端部に軸着した駆動軸(107)を設け、この駆動歯車(103)にリンク機構(K)を回動させる従動歯車(105)を噛み合わせる構成としたことにより、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の重心を走行車体側(2)に移動させ、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の上部を軽くすることができるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が苗移植機の走行時の揺れによる衝撃を受けにくくなり、耐久性が向上する。
また、駆動軸(107)に軸着した駆動歯車(103)と、従動歯車(105)を噛み合わせたことにより、駆動力の伝達ロスが少ないため、確実に従動歯車(105)を回転させることができ、動作不良を起こすことが防止できる。
【0022】
請求項6記載の苗移植機によれば、上記請求項1から5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、切替装置(80)の前後方向の長さを予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後方向の長さよりも短く、または略同じ長さとしたことにより、収納状態の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後幅から切替装置(80)が突出することが無く、コンパクトな構成とすることができる。
【0023】
また、切替装置(80)をリンク機構(K)の前後方向中央位置の回動支点に接続したことにより、切替アクチュエータ(81)が作動して回転部材(70など)が回動するとリンク機構(K)が連動して回転するため、切替アクチュエータ(81)と回転部材(82)の距離を短くすることができるので、切替装置(80)が一層コンパクトな構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1の乗用型田植機の予備苗載せ台を上下三段に配置した場合(収納状態)の側面図である。
【図4】図1の乗用型田植機の予備苗載せ台を同一平面に配置した場合(展開状態)の側面図である。
【図5】図1の乗用型田植機の予備苗載せ台を同一平面に配置した場合(展開状態)の平面図である。
【図6】図3の切替装置の拡大図である。
【図7】図1の乗用型田植機の制御装置の制御の一例(フロー)である。
【図8】図1の乗用型田植機の制御装置のブロック図である。
【図9】図3とは別の切替装置を設けた場合の予備苗載せ台の平面図である。
【図10】図9の切替装置周辺の側面図である。
【図11】図3とは別の切替装置を設けた場合の予備苗載せ台の平面図である。
【図12】図11の切替装置周辺の側面図である。
【図13】図3とは別の切替装置を設けた場合の予備苗載せ台の平面図である。
【図14】図13の切替装置周辺の側面図である。
【図15】予備苗載せ台を上下六段に配置した場合の側面図である。
【図16】図1の乗用型田植機にサイドマーカを取り付けた場合の乗用型田植機の正面図である。
【図17】図17(a)は、苗箱ケースと予備苗載せ台付近の簡略平面図であり、図17(b)は、苗箱ケースの斜視図である。
【図18】図17に示す苗箱ケースに切替装置を連結した場合の図である。
【図19】図18の切替装置に連動する苗箱ケースの作動を説明する図である。
【図20】図1の乗用型田植機の制御装置の制御の別の例(フロー)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明の苗移植機の典型例である施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが乗用型田植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0026】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11(走行装置)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギアケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0027】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧無段変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構(図示せず)によって施肥装置5へ伝動される。
【0028】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。ハンドル34の操向角度及び操作方向を検出するためのハンドル切れ角センサ33(図8)は、ハンドル34の下部で且つフロントカバー32内に位置している。
【0029】
また、エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0030】
昇降リンク装置3は平行リンク機構であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
【0031】
メインフレーム15に固着した支持部材(図示せず)と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧式シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0032】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し、苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載せ台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ75等を備えている。
【0033】
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ、前記昇降油圧式シリンダ46を制御する油圧バルブ(図示せず)を切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0034】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体148、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0035】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(左右の第1ロータ27a,27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)が取り付けられている。また、苗載せ台51は苗植付部4の全体を支持する支持部65によって左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65bの支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
また、走行車体2の前部左右両側には、車体フレーム6に固着した左右フレーム116(図16)に立設して、補給用の苗を載せておく一対の予備苗載せ台38,38が機体の前後に張り出す位置(展開状態)と上下に並んだ位置(収納状態)とに回動可能に設けられている。
【0036】
一方の機体側面にある第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを上下三段に配置した場合(収納状態)の側面図を図3に示し、第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを同一平面に配置した場合(展開状態)の側面図を図4に示し、平面図を図5に示す。
予備苗載せ台38は走行車体2のフロアステップ35の下部に基部側を配置した支持フレーム49に支持され、移動リンク部材39a,39b,39cを介してそれぞれ上下三段に構成され、第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cからなっている。
【0037】
これら第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cの底面にはそれぞれ一体的に第1支持枠体37a、第2支持枠体37b及び第3支持枠体37cが取り付けられており、第1支持枠体37aの中央部と第2支持枠体37bの前端部には第1移動リンク部材39aの両端の回動軸39a1,39a2がそれぞれ回動自在に連結し、第1支持枠体37aの後端部と第3支持枠体37cの前端部には第2移動リンク部材39bの両端の回動軸39b1,39b2がそれぞれ回動自在に連結し、さらに第2支持枠体37bの後端部と第3支持枠体37cの中央部には第3移動リンク部材39cの両端の回動軸39c1,39c2とが回動自在に連結している。
回動軸39a2,39b1,39b2,39c1の外周部は、支持枠体37a,37b,37cに溶接して取り付けられている。そして、支持枠体37a,37b,37cに溶着された回動軸39a2,39b1,39b2,39c1の挿入部に、移動リンク部材39a,39b,39cの支持片を挿し込んで装着する。
【0038】
また、第2移動リンク部材39bのほぼ中央部と第2支持枠体37bのほぼ中央部は回動支点(回動軸)37b1が設けられ、互いに回動自在となっている。
また支持フレーム49には前後2つの分岐フレーム49a,49bが設けられ、分岐フレーム49a,49bの頂部は第2支持枠体37bの下面近くまで達している。そして前側分岐フレーム49aの頂部付近には第2移動リンク部材39bの中央部付近に設けられた回動軸39b3が設けられ、該回動軸39b3を中心として第2移動リンク部材39bが前側分岐フレーム49aの周りを回動自在となってる。前記回動軸39b3は回動支点37b1より下側の第2移動リンク部材39bに設けられている。また後側分岐フレーム49bの頂部付近には第3移動リンク部材39cの後端部付近に設けられた回動軸39c3が設けられ、該回動軸39c3を中心として第3移動リンク部材39cが後側分岐フレーム49bの周りを回動自在となってる。前記回動軸39c3は回動軸39c1より下側の第3移動リンク部材39cに設けられている。
【0039】
第2予備苗載せ台38bは機体部材である前側分岐フレーム49aと後側フレーム49bに固定されておらず、第2移動リンク部材39bが図3に示す状態から回動支点39b3を中心に回動して、図4に示す状態になる場合には回動支点39b3が第2予備苗載せ台38bの中央部側面の回動軸37b1より下方にあるため、図3に示す位置より前寄りに第2予備苗載せ台38bが配置される。このとき、第3移動リンク部材39cも図3に示す状態から回動支点39c3を中心に回動して図4に示す状態になる場合には同様に第3予備苗載せ台38cも図3に示す位置より前寄りに配置される。
【0040】
したがって、図5の平面図に示すように第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cをほぼ同一平面上に展開形態とすると、広い苗箱などの載置平面を得ようとする場合にはこれら3つの予備苗載せ台38a,38b,38cが従来より前寄りに移動して、機体前側端部を圃場の外に突出させることができるので、例えば、畦際でトラックなどから苗を予備苗載せ台38a,38b,38c上に積載する作業が容易となる。
【0041】
また図5の平面図に示すように、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの前側両端部に前方に向かって突出する一対の前側突出部38a1,38b1,38c1をそれぞれ形成し、後側端部中央に後方に向かって突出する後側突出部38a2,38b2,38c2をそれぞれ形成している。したがって、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを展開形態にした場合に、機体前側に位置する予備苗載せ台38a,38bの後部突出部38a2,38b2が機体後側に位置する予備苗載せ台38b,38cの前側突出部38b1,38c1と側面視で重複する位置に配置されることになる。このため第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cが前後方向に並ぶ展開形態にあるときには、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを前後方向に部分的に嵌め込み状態で並べることができるので、予備苗載せ台38a,38b,38cに積み込む苗箱を円滑に後側に移動させることができ、作業能率が従来より向上する。
【0042】
また図3、図4の側面図に示すように、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの前側突出部38a1,38b1,38c1に後上り傾斜部を形成し、該傾斜部の上面を各予備苗載せ台38a,38b,38cの苗載せ面よりも高くしている。また第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの後側突出部38a2,38b2,38c2の上面を各予備苗載せ台38a,38b,38cの苗載せ面よりも高くし、且つ前側突出部38a1,38b1,38c1の上面と同じかまたは前記上面より低くしている。
【0043】
このように前側突出部38a1,38b1,38c1に後上り傾斜部を形成したので、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを展開状態にしたとき、前側の予備苗載せ台38a,38bから後側の予備苗載せ台38b,38cに苗箱などを移動させるときに、後上り傾斜部に乗り上げて後方に移動することができるので、苗箱などの移動が容易となり、作業能率が従来より向上する。また、前側突出部38a1,38b1,38c1と後側突出部38a2,38b2,38c2の上面を各予備苗載せ台38a,38b,38cの苗載せ面よりも高くしたことにより、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを収納形態にしたときに、前側突出部38a1,38b1,38c1と後側突出部38a2,38b2,38c2で各予備苗載せ台38a,38b,38cに載置した苗箱などの前後移動を防止することができるので、各予備苗載せ台38a,38b,38cから苗箱等が下方に落下することが防止され、落下した苗箱等を拾う必要が無くなり、作業能率が従来より向上する。
【0044】
各予備苗載せ台38a,38b,38cの一対の前側突出部38a1,38b1,38c1の左右間で、且つ当該予備苗載せ台38a,38b,38cの底部に前側の予備苗載せ台38a,38b,38cの後側突出部38a2,38b2,38c2を受けるための受け部材38a3,38b3,38c3をそれぞれ設け、該受け部材38a3,38b3,38c3は一対の前側突出部38a1,38b1,38c1同士の間の空間部に突出して形成している。
こうして、各予備苗載せ台38b,38cの前側突出部38b1,38c1の左右間に受け部材38b3,38c3で、それぞれの前側の予備苗載せ台38a,38bの後側突出部38a2,38b2を受け止めることができるので、各予備苗載せ台38a,38b,38cが下がり過ぎることがなく、展開状態の各予備苗載せ台38a,38b,38cが確実にほぼ同一平面上に並ぶ姿勢となるため、苗箱などの積み込み作業が容易となり、作業能率が従来より向上する。
【0045】
また、予備苗載せ台38a,38b,38cの底部に受け部材38a3,38b3,38c3を設けたことにより、後側突出部38b2,38c2の上端部は前側突出部38a1,38b1,38c1の上端部と略同じ高さ、または下側に位置するので、後上り傾斜部を有する前側突出部38a1,38b1,38c1に載り上げる苗箱などの移動が円滑に行われるため、作業能率が従来より向上する。
【0046】
また、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの左右側面の前後の合計6箇所に苗箱などの落下を防ぐ第1,第2,第3仕切壁38a4,38b4,38c4をそれぞれ配置している。
また、第2移動リンク部材39bの回動支点39b3と第2予備苗載せ台38bの回動軸37b1を同軸上に設けても良い。この場合は、中央の第2予備苗載せ台38bが前後に移動しない。
【0047】
これら第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cは移動リンク部材39a,39b,39cからなる平行リンク機構Kの回動によって各予備苗載せ台38a,38b,38cが略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台38a,38b,38cが平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替えられる。
【0048】
図6には、図3の切替装置80の拡大図(一部省略)を示す。
上述のように、平行リンク機構Kの作動(回動)により、予備苗載せ台38の各予備苗載せ台38a,38b,38cが略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台38a,38b,38cが平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替えられるが、この切り替えは、切替装置80によって行うことができる。
【0049】
切替装置80は、電動モータ81(切替アクチュエータの一例である)と、電動モータ81のモータ軸81aの駆動軸82aに軸着した小ギア82と小ギア82に噛合して回転し、平行リンク機構Kの回動支点(第2移動リンク部材39bの回動支点39b3)に連結する大ギア70とを備え、電動モータ81の駆動により小ギア82及び大ギア70等の回転部材を介してリンク機構Kが作動して、予備苗載せ台38の各予備苗載せ台38a,38b,38cが前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台38a,38b,38cが上下方向に並ぶ収納状態とに切り替える構成である。なお、大ギア70の軸70aは予備苗載せ台38の回動軸に設けているため、第2移動リンク部材39bの回動支点39b3と大ギア軸70aは一致する。
【0050】
具体的には、平行リンク機構Kの回動軸(大ギア軸70a)のうちフロントカバー32側にケース73を設け、大ギア70と小ギア82と電動モータ81などをケース73の内部に取り付ける。このようにすることで、切替装置80はケース73内に収納され、電動モータ81やギア70,82などの作動域をほぼ覆うことができる。したがって、作業者が切替装置80に接触することがなく安全であり、また切替装置80内にゴミなどが入って作動不良を起こすことも防止できる。
【0051】
そして、切替装置80を展開状態と収納状態とに切り替え操作する切替操作手段として切替スイッチ(ボタン、レバーでも良い)71(図1,図2)を座席31近傍に設け、更に、この切替スイッチ71の操作状態(展開状態又は収納状態)を検出する切替スイッチセンサ72(図8)を切替スイッチ71近傍に設ける。そして、本実施形態では、この切替スイッチセンサ72により検出される操作状態に応じて、予備苗載せ台38を展開状態と収納状態とに切り替えるように切替装置80の電動モータ81を作動する処理を行う機能を有する制御装置(CPU)100を設けたことを特徴としている。
【0052】
従来の乗用型田植機などの苗移植機では、作業者が手動で「展開状態」と「収納状態」とに切り替えなければならず、作業者にとっては負担となり、切り替え作業に労力を費やすという問題があった。また、予備苗載せ台の状態を切り替えるための作業は、他の作業を中断して行わなければならず、作業能率が低下するという問題もある。
【0053】
しかし、本構成により、作業者が切替スイッチ71を操作すると、制御装置100によって電動モータ81が駆動して小ギア82及び大ギア70を回転させ、平行リンク機構Kを作動させて予備苗載せ台38を自動的に「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができるので、作業者が手作業で切り替えを行う必要がなく、作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する。
【0054】
そして、乗用型田植機が旋回を開始してハンドル切れ角センサ33によって検出されるハンドル34の操向角度が所定角度(例えば、180度)以上になると、切替スイッチ71を操作することなく自動的に予備苗載せ台38が「展開状態」と「収納状態」に切り替わる構成とする。ハンドル34により操向角度が所定角度以上になると、切替装置80が作動して自動的に予備苗載せ台38の状態が切り替わることで、作業者は苗の植付や機体の走行姿勢を安定させる操作に集中することができ、作業能率が向上すると共に、安全性が向上する。
【0055】
また、ハンドル切れ角センサ33によって検出されるハンドル34の操向角度が所定角度(例えば、180度)以上になると、ハンドル切れ角センサ33によって検出されたハンドル34の操作方向(操向方向)とは反対側の予備苗載せ台38の切替装置80を作動させる構成としても良い。例えば、ハンドル34を右方向に切ると、走行車体2の左側の予備苗載せ台38の切替装置80が作動し、ハンドルを左方向に切ると、走行車体2の右側の切替装置80が作動する。
【0056】
したがって、本構成によれば、乗用型田植機の旋回時に機体外側に位置する予備苗載せ台38の状態を変更することができる。例えば、乗用型田植機の旋回時に予備苗載せ台38が展開状態になっていると、旋回半径が大きくなり、予備苗載せ台38の先端が畦に当たる可能性がある。しかし、乗用型田植機の旋回時には圃場端に接近する機体外側の予備苗載せ台38を展開状態から収納状態にすると、予備苗載せ台38が作業者や壁等の障害物に接触することを防止できるため、旋回時に予備苗載せ台38が障害となることなく作業の安全性が確保されると共に予備苗載せ台38の破損も防止できる。
【0057】
図7には、図1の乗用型田植機の制御装置100の制御の一例(フロー)を示す。また、図8には図1の乗用型田植機の制御装置100のブロック図を示す。
ハンドル34を右方向に切って操向角度が所定角度以上になると、走行車体2の左側の予備苗載せ台38の切替装置80が作動して、展開状態から収納状態になる。一方、ハンドル34を左方向に切って操向角度が所定角度以上になると、走行車体2の右側の予備苗載せ台38の切替装置80が作動して展開状態から収納状態になる。このように、乗用型田植機の旋回時に機体外側の予備苗載せ台38を展開状態から収納状態にすることで、予備苗載せ台38が作業者や壁等の障害物に接触することを防止できる。図7中、「苗枠閉」とは、予備苗載せ台38が収納状態であることを意味しており、以下、同様とする。
【0058】
また、乗用型田植機の旋回時には、左右両方の切替装置80が作動して展開状態から収納状態になる構成としても良い。旋回時に予備苗載せ台38が展開状態のままであると、前方への突出距離が長くなり、畦際に壁やトラックがあると予備苗載せ台38に干渉して、接触の衝撃で苗を落としてしまうことがある。
しかし、圃場端等での旋回時に自動的に左右の予備苗載せ台38を収納状態に切り替えることにより、予備苗載せ台38の前方への突出距離が短くなるので、予備苗載せ台38の前端部が圃場端の壁やトラック等に接触することを防止できる。また、壁やトラックが予備苗載せ台38に干渉すると、接触の衝撃で積載した苗が落下してしまい、苗を拾い集めなければならないが、この苗を拾い集める作業が不要となるため、作業者の労力が軽減される。
【0059】
そして、この場合は、乗用型田植機の旋回時に機体外側に位置する予備苗載せ台38を展開状態から収納状態にする上記の場合と比べて、機体内側に位置する予備苗載せ台38も障害となることなく作業者の視界を遮ることがないため、より一層作業の安全性が確保される。
【0060】
また、予備苗載せ台38の状態を展開状態であるか収納状態であるかを検出するセンサ又はスイッチを設け、予備苗載せ台38が展開状態である場合は、ハンドル34の操向角度が所定角度以上になると、自動的に予備苗載せ台38が収納状態に切り替わる構成とすると、予備苗載せ台38が旋回途中に展開状態に変わることを防止できる。そして、予備苗載せ台38が収納状態である場合は切替装置80を作動させないことで、予備苗載せ台38が旋回途中に展開状態に変わることを防止できる。したがって、予備苗載せ台38が圃場端にいる作業者に接触することが防止され、作業の安全性が確保される。
また、予備苗載せ台38が圃場端にある壁等の障害物に接触することを防止できるので、予備苗載せ台38が破損することや、接触によって積載した苗が落下することが防止され、耐久性が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0061】
図6に示すように、大ギア70を半円状とし、大ギア70の軸70a近傍に突出部70bを設ける。なお、大ギア70のみ抜き出した図を下部に示す。更に、予備苗載せ台38の状態が展開状態と収納状態になるときの大ギア70の突出部70bが接触する位置に、予備苗載せ台38の状態を検出するためのリミットスイッチ95a,95bを設ける。リミットスイッチ95a,95bはケース73内に設け、機体側に固定する。
【0062】
予備苗載せ台38の状態が収納状態時に大ギア70が回転して予備苗載せ台38の状態が展開状態になると(点線で示す)、展開側リミットスイッチ95aに接触し、大ギア70が回転して予備苗載せ台38の状態が収納状態に戻ると(実線で示す)、収納側リミットスイッチ95bに接触することで、予備苗載せ台38の状態が展開状態であるか収納状態であるかを検出できる。
そして、乗用型田植機の旋回時にハンドル34の操向角度が所定角度以上になると、展開状態となっている側の予備苗載せ台38の状態が自動的に収納状態に切り替わることで、予備苗載せ台38が旋回途中に展開状態に切り替わることがなく、作業の安全性が確保される。
【0063】
また、切替装置80の回転部材として、駆動回転体(駆動スプロケット又はプーリでも良い)と該駆動回転体から動力が伝達される従動回転体(従動スプロケット又はプーリでも良い)を用いても良い。駆動回転体を予備苗載せ台38の下方に配置し、従動回転体を予備苗載せ台38の中央段の第2予備苗載せ台38b近傍に位置する平行リンク機構Kの回動支点(第2移動リンク部材39bの回動支点39b3)に連結させる。そして、駆動回転体の近くに駆動回転体を回転させるアクチュエータ(モータなど)を設け、駆動回転体と従動回転体間に伝動無端帯(チェーン又はベルトでも良い)を巻回して切替装置80を構成する。
【0064】
図9には、図3とは別の切替装置80を設けた場合の予備苗載せ台の平面図を示し、図10には、図9の切替装置80周辺の側面図を示す。
図9及び図10には、切替装置80の回転部材を駆動スプロケット83と従動スプロケット87から構成し、駆動スプロケット83と従動スプロケット87間に伝動チェーン85を巻回した場合の切替装置80を示している。この切替装置80は、図3の大ギア70を従動スプロケット87に置き換えたものである。
【0065】
図3に示すように、予備苗載せ台38の横に電動モータ81やギアなどがあると、重圧な外観となって作業者の視界にも入るが、図9に示すように、駆動スプロケット83や電動モータ81(図9及び図10には図示しないが、図3に図示しており、駆動スプロケット83の近傍に配置する)を予備苗載せ台38の下方に配置することで、外観がすっきりすると共に作業者の視界に入ることもない。また、機体の重心が低くなるため安定し、乗用型田植機全体のバランスが良くなる。
【0066】
更に、機体の上部が軽くなって、乗用型田植機の走行時等の揺れによる繰り返し応力等の衝撃が小さくなり、耐久性が向上する。また、図9に示すように駆動スプロケット83、従動スプロケット87、電動モータ等を平面視で重なる位置に、すなわち上下方向に一直線上に配置することで、コンパクトな構成となる。
図9及び図10に示すように、駆動回転体及び従動回転体を駆動スプロケット83及び従動スプロケット87とし、伝動無端帯を伝動チェーン85とした場合は耐久性が高く、長期間の使用でも破損しにくい。
【0067】
図11には、別の切替装置80を設けた場合の予備苗載せ台の平面図を示し、図12には、図11の切替装置80周辺の側面図を示す。
図11及び図12には、切替装置80の回転部材を、駆動プーリ91と従動プーリ93から構成し、駆動プーリ91と従動プーリ93間に伝動ベルト97を巻回した場合の切替装置80を示している。この切替装置80は、図3の大ギア70を従動プーリ93に置き換えたものである。
【0068】
この場合も、駆動回転体や従動回転体として駆動スプロケット83と従動スプロケット87を用いた場合と同様に、外観がすっきりして切替装置80が作業者の視界に入ることもなく、機体の重心が低くなって安定し、乗用型田植機全体のバランスが良くなるという効果がある。また、図11に示すように駆動プーリ91、従動プーリ93、電動モータ81(図11及び図12には図示しないが、図3に図示しており、駆動プーリ91の近傍に配置する)等を平面視で重なる位置に、すなわち上下方向に一直線上に配置することで、コンパクトな構成となる。
そして、伝動無端帯をベルト97とした場合はグリス等の潤滑剤が不要であるので、漏れたグリス等に水や圃場が汚染されることがない。
【0069】
図13には、別の切替装置80を設けた場合の予備苗載せ台の平面図を示し、図14には、図13の切替装置80周辺の側面図を示す。
図13及び図14には、切替装置80の回転部材を、駆動歯車(駆動ベベルギア)103と該駆動歯車に噛合する従動歯車(従動ベベルギア)105から構成した場合の切替装置80を示している。この切替装置80は、図3の大ギア70の代わりに、従動ベベルギア105を軸着している。
【0070】
駆動ベベルギア103は電動モータ81(図13及び図14には図示しないが、図3に図示しており、駆動軸107の下端部近傍に配置する)の駆動により回動する駆動軸107の上端部に形成されており、電動モータの駆動により回転する。更に、駆動ベベルギア103に噛合する従動ベベルギア105が駆動ベベルギア103の回転に連動して回転し、平行リンク機構Kが作動する。
【0071】
この場合も、駆動回転体や従動回転体として駆動スプロケット83と従動スプロケット87を用いた場合と同様に、外観がすっきりして切替装置80が作業者の視界に入ることもなく、機体の重心が低くなって安定し、乗用型田植機全体のバランスが良くなるという効果がある。また、図13に示すように駆動ベベルギア103、従動ベベルギア105、駆動軸107、電動モータ等を平面視で重なる位置に、すなわち上下方向に一直線上に配置することで、コンパクトな構成となる。
また、駆動回転体と従動回転体間に伝動無端帯(チェーン、ベルト等)を設ける必要がないため、省スペースで設置でき、且つ駆動側と従動側の歯車同士が噛み合うことで、電動モータの駆動を従動回転体側にもしっかりと伝達できる。
【0072】
また、図2や図3などに示すように、平面視で切替装置80の前後位置が収納状態時の予備苗載せ台38の前後位置よりも内側又は一致するように、切替装置80の前後方向の長さを予備苗載せ台38の前後方向の長さよりも短く、または略同じ長さにすると、収納状態時の予備苗載せ台38の前後幅から切替装置80が突出することがなく、予備苗載せ台38や乗用型田植機をコンパクトな構成とすることができる。
【0073】
また、切替装置80を平行リンク機構Kの前後方向中央位置の回動支点(第2移動リンク部材39bの回動支点39b3)に接続したことにより、電動モータ81が作動して大ギア70や小ギア82などの回転部材が回動すると、平行リンク機構Kが連動して回転するため、電動モータ81と回転部材の距離を短くすることができるので、切替装置80が一層コンパクトな構成となる。また、回転部材として、スプロケット(図9、図10)やプーリ(図11、図12)やベベルギア(図13、図14)を用いた場合も同様である。
【0074】
以上説明した左右の予備苗載せ台38は、第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを上下三段に配置した構成であるが、この上下三段に配置した予備苗載せ台38を上下に二段設けることも可能である。すなわち、以下に説明する予備苗載せ台38は、更に第4予備苗載せ台38d,第5予備苗載せ台38e,第6予備苗載せ台38fを設けた上下六段に配置した構成となる。
【0075】
図15には、予備苗載せ台38を上下六段に配置した場合の側面図を示す。
予備苗載せ台38が収納状態の場合は、このように上下六段の構成となる。上下の予備苗載せ台38U,38Lの平行リンク機構KU,KLの前後方向中央位置の回動支点にはそれぞれ従動スプロケット87U,87L(従動回転体の一例)が設けられ、これら従動スプロケット87U,87L間に伝動チェーン85(伝動無端帯の一例)が巻回されている。なお、下側の予備苗載せ台38Lの従動スプロケット87Lに動力を伝達するための駆動スプロケット83(駆動回転体の一例であり、図10に図示)は予備苗載せ台38の下方に配置し、駆動回転体の近くに駆動回転体を回転させる電動モータ81(アクチュエータの一例であり、図3に図示)を設ける。
【0076】
作業者が切替スイッチ71を操作すると、制御装置100によって電動モータ81が駆動して駆動スプロケット83及び下側の予備苗載せ台38Lの従動スプロケット87Lを回転させ、下側の予備苗載せ台38Lの平行リンク機構KLを作動させて下側の予備苗載せ台38Lを自動的に「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができる。また、下側の予備苗載せ台38Lの従動スプロケット87Lが回転すると、伝動チェーン85を介して上側の予備苗載せ台38Uの従動スプロケット87Uも回転して、上側の予備苗載せ台38Uも自動的に「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができる。
【0077】
なお、図11や図12に示すように従動回転体や駆動回転体としてプーリを用いたり、伝動無端帯としてベルトを用いても良く、図13や図14に示すように従動回転体や駆動回転体として従動ベベルギアや駆動ベベルギアを用いても構わない。
【0078】
本構成により、上下六段の予備苗載せ台38U,38Lを電動モータ81一つで「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができるので、切替装置80にかかるコストも軽減される。また、上下の予備苗載せ台38U,38Lの伝動機構が連動しているため、上下の予備苗載せ台38U,38Lの状態を切り替える際に切替スイッチ71を操作するだけで良く、操作性にも優れる。
【0079】
図16には、図1の乗用型田植機にサイドマーカを取り付けた場合の乗用型田植機の正面図を示す。
車体フレーム6に固着した左右フレーム116にサイドマーカ110の支持部117を溶着し、該支持部117にサイドマーカ110を前後方向に回動自在に取り付けている。このサイドマーカ110とプレート112をワイヤ114で連結することにより、サイドマーカ110を回動させると、予備苗載せ台38が連動して回転する。
【0080】
一方、予備苗載せ台38は支持フレーム49を矢印A方向に回動させることで、左右方向内側に格納できる。そして、この予備苗載せ台38の格納動作に連動して前行程で植付けた最外側の既植条の位置を示すサイドマーカ110も左右内側に格納できる構成とすると良い。予備苗載せ台38よりも下方の支持フレーム49の回動支点49cにプレート112を溶接して固定する。そして、プレート112にサイドマーカ110をワイヤ114によって連結することで、予備苗載せ台38と共にサイドマーカ110も左右方向内側に格納できる。
【0081】
例えば、格納時に支持フレーム49を矢印A方向に回動させると予備苗載せ台38と共にプレート112が回動してワイヤ114が引かれ、サイドマーカ110も矢印A方向に回動する。予備苗載せ台38とサイドマーカ110とを別々に格納する場合に比べて手間が省け、操作性も向上する。
【0082】
また、図1の乗用型田植機のボンネット32と予備苗載せ台38との間に空の苗箱118を入れる苗箱ケース120を設けても良い。
図17(a)には、苗箱ケース120と予備苗載せ台38付近の簡略平面図を示す。図17(b)には、苗箱ケース120の斜視図を示す。
苗箱(箱形、又は平板でも良い)118の中で育てた苗を苗箱118に入れた状態で予備苗載せ台38に置くが、予備苗載せ台38から苗載せ台51に移す際には、苗を苗箱118から取り出す。この時、空になった苗箱118がかさばって邪魔になるが、苗箱118を回収する苗箱ケース120を設けることで、苗箱118の置き場に困ることはない。
【0083】
図17(b)に示すように、左右方向の幅Wが狭い箱形形状の苗箱ケース120の前後を開放し、苗箱118を立てて後方の投入口120aから投入する。苗箱ケース120は底面を前方下り傾斜に形成しており、傾斜に沿って滑り落ちた苗箱118は前方上部の取り出し口120bから取り出される。座席31にいる作業者が苗箱118を苗箱ケース120の後方の投入口120aから投入して、前方にいる補助者が苗箱118を受け取る仕組みである。なお、補助者がいなくても、苗箱ケース120の前後方向の長さを苗箱3個分の長さとほぼ同じにすれば、三つの苗箱118を苗箱ケース120内に収納できる。
【0084】
本構成により、左右方向の幅が狭いスリムな箱形形状の苗箱ケース120に苗箱118を立てて入れることができるため、省スペースで苗箱118を収納でき、且つ風が強くても苗箱118が飛ばされることがない。更に、苗箱ケース120の前後を開放し、苗箱ケース120の底面を前方下り傾斜に形成することで、後方の投入口120aから投入した苗箱118は前方の取り出し口120bから補助者の手元に戻るため、苗箱118を効率よく回収できる。
【0085】
また、左右の予備苗載せ台38の展開状態への切り替えに連動して、苗箱ケース120が鉛直方向の姿勢から前方下り傾斜姿勢となるような構成としても良い。
図18には、図17に示す苗箱ケース120に切替装置80を連結した場合の図を示す。また、図19には、図18の切替装置80に連動する苗箱ケース120の作動を説明する図を示す。図19(a)には、苗箱ケース120を立てた場合の側面図を示し、図19(b)には、苗箱ケース120を前方下り傾斜に寝かせた場合の側面図を示す。
【0086】
図17に示す苗箱ケース120は、常時長手方向が前後方向に位置するため、前後の長さが長く、乗用型田植機の左右側方から座席31へ乗り降りする際の妨げとなる。苗を予備苗載せ台38から苗載せ台51に移すのは、予備苗載せ台38が展開状態の時である。そこで、予備苗載せ台38が収納状態であるときは長手方向が上下方向に位置する鉛直方向の姿勢となる一方、苗を予備苗載せ台38から苗載せ台51に移す、予備苗載せ台38が展開状態の時には長手方向が前後方向に位置し、且つ前方下り傾斜になるように、苗箱ケース120が予備苗載せ台38の切替装置80に連動する構成とすれば良い。
【0087】
切替装置80の大ギア70に噛合する苗箱ケース回動用ギア122を設け、苗箱ケース回動用ギア122の軸122aに苗箱ケース120を固着している。大ギア70が矢印B方向に回動すると、大ギア70に噛合する苗箱ケース回動用ギア122が矢印C方向に回動する。苗箱ケース回動用ギア122の軸122aに固着した苗箱ケース120も同様に矢印C方向に回動するため、上端部が後方に、下端部が前方に移動して、前方下り傾斜の姿勢となる。予備苗載せ台38が収納状態の時は苗箱ケース120が鉛直方向の姿勢になり、予備苗載せ台38が展開状態の時は苗箱ケース120が前方下り傾斜の姿勢となるように、大ギア70と苗箱ケース回動用ギア122の径の比を算出する。なお、大ギア70は図6に示すように半円状でなくても、図19に示すように、円形状でも良い。
【0088】
本構成により、予備苗載せ台38が収納状態であるときは苗箱ケース120が鉛直方向の姿勢となるため、乗用型田植機の左右から座席31へ乗り降りする際にも妨げにならない。そして、苗箱ケース120の取り出し口120bに蓋(図示せず)をすれば、苗箱ケース120の上側の投入口120aから投入した苗箱118は圃場に落下することなく、苗箱ケース120内に収納される。
【0089】
そして、以上説明した乗用型田植機は後方に苗植付部4を設けているため、後ろに重心がある。そのため、機体が前方上り傾斜になると、不安定となってバランスを取りにくくなる。
そこで、乗用型田植機の走行車体2が前方上り傾斜になると、予備苗載せ台38が展開状態となるような機能を制御装置100に設けると良い。予備苗載せ台38が展開状態の時は略同一平面上に前後方向に並ぶため、上下方向に並ぶ収納状態と比べてバランスを取りやすく、機体が安定しやすい。したがって、乗用型田植機が不安定になることを防止して、乗用型田植機の安全性が向上する。また、予備苗載せ台38が展開状態になり、機体前方への突出距離が長くなると、機体の重量バランスが前側に移動するため、機体の姿勢が不安定になることが防止され、機体の進行方向や苗の植付姿勢が安定し、作業能率が向上すると共に苗の植付精度が向上する。
【0090】
図20には、図1の乗用型田植機の制御装置100の制御の別の例(フロー)を示す。走行車体2の車体フレーム6などに傾斜センサ126(図8)を設け、乗用型田植機の走行車体2が前方上り傾斜になって、傾斜センサ126によって検出される水平面に対する角度が所定角度以上になると、予備苗載せ台38が収納状態である場合は展開状態になるように切替装置80によって切り替える。なお、傾斜センサ126の取り付け位置はメインフレーム15などでも良い。また、図20中、「苗枠開」とは、予備苗載せ台38が展開状態であることを意味している。
本構成により、乗用型田植機の機体が前方上り傾斜になっても、予備苗載せ台38が展開状態となることで、機体が安定し、乗用型田植機の安全性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の苗移植機は、田植機に限らず、野菜苗などのその他の苗を植え付ける苗移植機として利用可能性がある。
【符号の説明】
【0092】
1 施肥装置付き乗用型田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 粉粒体繰出し装置(施肥装置) 6 車体フレーム
10 前輪 11 後輪
12 ミッションケース 13 前輪ファイナルケース
15 メインフレーム 18 後輪ギアケース
20 エンジン 21 ベルト伝動装置
23 油圧無段変速装置 25 植付クラッチケース
26 植付伝動軸 27 ロータ
27a 第1ロータ 27b 第2ロータ
30 エンジンカバー
31 座席 32 フロントカバー
33 切れ角センサ 34 ハンドル
35 フロアステップ 36 リヤステップ
37a 第1支持枠体 37b 第2支持枠体
37c 第3支持枠体 37b1 回動軸
38 予備苗載せ台 38a 第1予備苗載せ台
38b 第2予備苗載せ台 38c 第3予備苗載せ台
38a1,38b1,38c1 前側突出部
38a2,38b2,38c2 後側突出部
38a3,38b3,38c3 受け部材
38a4 第1仕切壁 38b4 第2仕切壁
38c4 第3仕切壁 39a 第1移動リンク部材
39b 第2移動リンク部材 39c 第3移動リンク部材
39a1,39a2,39b1,39b2 回動軸
39c1,39c2,39b3,39c3 回動軸
40 上リンク 41 下リンク
42 リンクベースフレーム 43 縦リンク
44 連結軸 46 昇降油圧式シリンダ
49 支持フレーム
50 伝動ケース 51 苗載せ台
51a 苗取出口 51b 苗送りベルト
52 苗植付装置 52a 苗植付具
53 ブロア用電動モータ 55 センターフロート
56 サイドフロート 58 ブロア
59 エアチャンバ 60 肥料ホッパ
61 繰出部 62 施肥ホース
65 支持部 65a 支持ローラ
65b 支持枠体 70 大ギア
71 切替スイッチ 72 切替スイッチセンサ
73 ケース 75 線引きマーカ
80 切替装置 81 電動モータ
82 小ギア 83 駆動スプロケット
85 伝動チェーン 87 従動スプロケット
91 駆動プーリ 93 従動プーリ
95a,95b リミットスイッチ
97 伝動ベルト 100 制御装置(CPU)
103 駆動歯車 105 従動歯車
107 駆動軸
110 サイドマーカ 112 プレート
114 ワイヤ 116 左右フレーム
117 支持部 118 苗箱
120 苗箱ケース 122 苗箱ケース回動用ギア
126 傾斜センサ 148 作溝体
K 平行リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪(10,10)及び左右後輪(11,11)を備えた走行車体(2)と、
前記左右前輪(10,10)を操向操作する操向操作手段(34)と、
前記走行車体(2)の後側に設けられ、圃場に苗を植え付ける苗植付部(4)と、
前記走行車体(2)に立設する支持フレーム(49)と、
該支持フレーム(49)により支持され、補給用の苗を載せておく複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)と、
該予備苗載せ台(38a,38b,38c)と支持フレーム(49)との間に設けられ、支持フレーム(49)に対して予備苗載せ台(38a,38b,38c)を回動自在に連結させて、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替え可能なリンク機構(K)と、
該リンク機構(K)を作動させるためのアクチュエータ(81)と、該アクチュエータ(81)及び前記リンク機構(K)に連結し、前記アクチュエータ(81)の駆動により回転して該リンク機構(K)を回動させる回転部材(70,82など)とを備え、前記アクチュエータ(81)の駆動によりリンク機構(K)を作動して、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)を前記展開状態と収納状態とに切り替える切替装置(80)と、
該切替装置(80)の切り替え操作をする切替操作手段(71)と、
該切替操作手段(71)の操作状態を検出する操作状態検出手段(72)と、
前記操向操作手段(34)の操向角度及び操作方向を検出する操向角度検出手段(33)と、
前記操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(71)の操作状態に応じて予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態とに切り替えるように前記切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行うと共に、前記操向角度検出手段(33)により検出される操向角度が所定角度以上になると前記切替操作手段(71)による操作をしなくても前記切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行う機能を有する制御装置(100)と
を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を左右一対設け、
前記リンク機構(K)と切替装置(80)を左右一対の予備苗載せ台(38a,38b,38c)にそれぞれ設け、
前記制御装置(100)は、前記操向角度検出手段(33)により検出される操作方向とは反対側の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行う機能を有することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態を検出する予備苗載せ台状態検出手段(95a,95b)を設け、
該予備苗載せ台状態検出手段(95a,95b)により予備苗載せ台(38a,38b,38c)が展開状態であることが検出され、且つ前記操向角度検出手段(33)により検出される操向角度が所定角度以上になると展開状態から収納状態に切り替えるように予備苗載せ台(38a,38b,38c)の切替装置(80)のアクチュエータ(81)を駆動する処理を行う機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記切替装置(80)の回転部材(70,82など)は前記アクチュエータ(81)の近傍で該アクチュエータ(81)によって駆動される駆動回転体(83,91)と、該駆動回転体(83,91)の回転が伝達され、リンク機構(K)に連結して該リンク機構(K)を回動させる従動回転体(87,93)と、前記駆動回転体(83,91)と従動回転体(87,93)との間に巻回した伝動無端帯(85,97)からなり、
前記駆動回転体(83,91)を予備苗載せ台(38a,38b,38c)の下方に設け、
前記従動回転体(87,93)を収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の上端と下端の間に設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記切替装置(80)の回転部材(70,82など)は前記アクチュエータ(81)の近傍で該アクチュエータ(81)によって駆動される駆動軸(107)と、該駆動軸(107)の上端部に設けた駆動歯車(103)と、該駆動歯車(103)に噛合し、且つリンク機構(K)に連結して該リンク機構(K)を回動させる従動歯車(105)からなり、
前記駆動軸(107)の下端部を予備苗載せ台(38a,38b,38c)の下方に設け、
前記従動歯車(105)を収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の上端と下端の間に設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
更に平面視で前記切替装置(80)の前後位置が収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後位置よりも内側又は一致するように、前記切替装置(80)の前後方向の長さを予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後方向の長さよりも短く又は同じ長さに形成し、
前記切替装置(80)をリンク機構(K)の前後方向中央位置のリンク機構(K)の回動支点に接続したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−115203(P2012−115203A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267437(P2010−267437)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】