説明

苗移植機

【課題】従来例に示す蔓苗移植機は、苗植付爪が苗搬送装置で送られる蔓苗の茎を掴んで直接圃場に差し込んでゆくので、苗植付爪には圃場の土が付着して蔓苗を掴み取る際に付着した土が邪魔になって掴み取りミスが生じ、一定間隔で蔓苗を植え付ける植付作業で欠株が生じることが有る。そこで、本発明は、作業者が供給した苗搬送装置の苗を確実に連続して圃場へ植え付けて欠株の生じない苗移植機を提供することを課題とする。
【解決手段】苗Nを保持して横方向へ周回する苗搬送部3の下側に苗Nを圃場に植え付ける植付装置4を設け、前記苗搬送部3の下側で苗Nを掴んで植付装置4に供給する苗掴み体50を設けて苗移植機を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗移植機の技術に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2009−82045号公報に記載のような蔓苗移植機が有る。
この蔓苗移植機は、ベルト状の苗搬送装置が歩行する作業者の手元近くから圃場面近くまで大きく周回し、圃場面近くで苗植付爪が苗を掴んで圃場に差し込んで植え付ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−82045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来構成の蔓苗移植機は、苗植付爪が苗搬送装置で送られる蔓苗の茎を掴んで直接圃場に差し込んでゆくので、苗植付爪には圃場の土が付着して蔓苗を掴み取る際に付着した土が邪魔になって掴み取りミスが生じ、一定間隔で蔓苗を植え付ける植付作業で欠株が生じることが有る。
【0005】
本発明は、作業者が供給した苗搬送装置の苗を確実に連続して圃場へ植え付けて欠株の生じない苗移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、苗Nを保持して横方向へ周回する苗搬送部3の下側に苗Nを圃場に差し込んで植え付ける植付装置4を設け、前記苗搬送部3の下側で苗Nを掴んで植付装置4に供給する苗掴み体50を設けて苗移植機を構成した。
【0007】
この構成で、苗搬送部3に作業者が供給した苗Nは、横に送られて周回して苗搬送部3の下側で苗掴み体50によって植付装置4に供給して、植付装置4で圃場へ植え付けられる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、苗搬送部3を無端帯状体41で構成し、周回下側が張り側になるように周回駆動したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とした。
この構成で、苗搬送部3を構成する無端帯状体41が長時間の使用で緩んできても無端帯状体41の下側が張られて苗Nの上下位置が一定となって、この苗Nを苗掴み体50で掴み取るので、植付装置4への受け渡しが確実になる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、苗掴み体50の指体51aが苗Nを掴む位置が苗Nの株元端部の茎であることを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とした。
この構成で、比較的硬い苗Nの株元端部の茎を指体51aで掴むので、苗Nが傷つくことが少なく、植付装置4へ確実に受け渡すようになる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明で、苗搬送部3の苗Nを掴み取り作用する専用の苗掴み体50で植付装置4に供給するので、引継ミスが無く、植付装置4は良好に植付動作する従来の構成に出来て、苗Nを確実に連続して圃場へ植え付けて欠株の生じない苗移植機を提供することが出来る。
【0011】
請求項2に記載の発明で、長時間の植付作業でも苗掴み体50が苗Nを苗搬送部3から植付装置4に受け渡し、植付作業を継続できる。
請求項3に記載の発明で、苗掴み体50が苗Nを苗搬送部3から植付装置4に受け渡す際に、苗Nを傷つけることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】苗移植機の全体右側面図である。
【図2】苗移植機の全体平面図である。
【図3】苗搬送部の要部の斜視図である。
【図4】苗移植機の一部を断面にした全体右側面図である。
【図5】一部の拡大側面図である。
【図6】苗掴み体の拡大平面図である。
【図7】苗掴み体の作動を示す側面図である。
【図8】苗搬送部と苗植付体を示す拡大斜視図である。
【図9】苗植付体の駆動部の拡大側面図である。
【図10】苗植付体の植付ホッパ部が閉じた拡大側面図である。
【図11】苗植付体の植付ホッパ部が開いた拡大側面図である。
【図12】別実施例の苗植付体の植付ホッパ部が閉じた拡大側面図である。
【図13】別実施例の苗植付体の植付ホッパ部が開いた拡大側面図である。
【図14】苗掴み体の動作機構の作用説明用斜視図である。
【図15】苗掴み体の掴みアームを開閉するカム円盤の斜視図である。
【図16】苗収容部の別実施例を示す斜視図である。
【図17】前輪の上下調節構成の別実施例の斜視図である。
【図18】植付装置の植付ホッパ開閉機構の別実施例斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の一実施例として、苗Nの一例である根の土を落として取り除いた裸苗Nを圃場に移植する苗移植機を、以下で図面に基づき説明する。
【0014】
この苗移植機は、図1と図2に示す如く、機体を自走させる走行部1と操縦ハンドル2を備えた機体に、裸苗Nを搬送する苗搬送部3と、該苗搬送部3によって搬送されてきた苗Nを苗掴み体50で植付装置4に供給して圃場に植付ける苗移植機である。
【0015】
走行部1は、エンジンEと、該エンジンEの動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪6,6と、該後輪6,6の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪7,7とを備えたものとなっている。
【0016】
上記エンジンEの後部にはミッションケ−ス8を配置してあり、エンジンEからの回転動力がミッションケ−ス8内の伝動機構に伝達されるようになっている。
ミッションケ−ス8の左右端には該ケ−ス8に対して回動可能な走行エクステンションケ−ス10,10を左右それぞれ設け、この左右の走行エクステンションケ−ス10,10のそれぞれの端部に伝動ケ−ス9,9を固着して設けている。従って、前記エンジンEから入力されるミッションケ−ス8内の動力を伝動ケ−ス9,9内に伝動する構成となっている。前記伝動ケ−ス9,9の回動先端部の車軸6a,6aには左右一対の後輪6,6をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪6,6の駆動により機体が走行するようになっている。
【0017】
前記走行エクステンションケ−ス10,10には上方に向けてア−ム11,11が突設されていて、これがミッションケ−ス8に固定された昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端に上下軸芯周りに回動自在に取り付けた天秤杆13の左右両端部と連結している。その連結部の右側はロッド14で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ15で連結している。
【0018】
昇降用油圧シリンダ12が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記ア−ム11,11が後方に回動し、これに伴い伝動ケ−ス9,9が下方に回動して機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ12のピストンロッドが機体前方に引っ込むと左右のア−ム11,11は前方に回動し、これに伴い伝動ケ−ス9,9が上方に回動して機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ12は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサの検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動すべく構成してあり、また、操縦ハンドル2近傍に配置した操作具の人為操作によって機体を上昇或は下降させるよう連動構成している。
【0019】
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ15が伸縮作動すると、前記天秤杆13が昇降用油圧シリンダ12のピストンロッド先端と連結する上下軸芯周りに回動して左右の伝動ケ−ス9,9を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ15は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるよう制御可能に構成している。前記左右前輪7,7は、エンジンE下方の左右中央位置で前後方向の軸芯周りにロ−リング自在となるよう架設している。
【0020】
前記操縦ハンドル2は、ミッションケ−ス8に前端部を固定したハンドルフレ−ム2bの後端部に取り付けている。ハンドルフレ−ム2bは、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、ハンドルフレ−ム2bの後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2aとしている。
【0021】
苗搬送部3は、裸苗Nの株元側端部をブラシやスポンジで挟む挟持部24と葉部を収容する苗収容部40を複数設けて、該苗収容部40を前後方向の軸周りに一列で周回動させて苗を搬送する構成のものである。この苗収容部40は、搬送ベルト41に複数並べて取り付け、その搬送ベルト41を、機体上部側の左右に各前後一対ずつ設けたスプロケット42,42;43,43で駆動するローラに巻きかけている。機体右側のスプロケット42,42は、植付伝動ケ−ス18側から駆動される搬送駆動軸44に連動連結して、搬送ベルト41の下側が張り側となるように周回し、搬送ベルト41の下側で後述する苗掴み体50が苗搬送部3の裸苗Nの株元側端部を確実に掴むようにしている。
【0022】
そして、右側のスプロケット42,42で搬送ベルト41が駆動されて苗収容部40が後述する苗掴み体50の掴み位置に移動する構成となっている。搬送ベルト41の駆動部は、連動機構を介して苗掴み体50の掴み動作と連動連結してあり、苗掴み体50が苗搬送部3に移動するときは搬送ベルト41が停止し苗掴み体50がロート状上部筒部4aに裸苗Nを投入するときは搬送ベルト41が移動するように間欠駆動するようにしている。
【0023】
また、搬送ベルト41の左側周回位置の外側に裸苗Nを収容する苗容器62を設けて、作業者がこの苗容器62から裸苗Nを取り出して搬送ベルト41の上側で苗収容部40に供給する。苗搬送部3は、後輪6,6よりも後側に位置し、苗搬送部3が機体の左右側方に張り出すように設けているので、作業者が機体の進行と共に歩きながら苗を苗収容部40から苗搬送部3へ供給する作業を行う作業位置は、苗搬送部3の左張り出し側の機体左側位置であって後輪6の後方位置となる。
【0024】
苗収容部40は、図3に示すように、ゴム板を円弧状に巻いて付き合わせて裸苗Nを挟み込む構成にしている。
また、図16に別例を示すように、苗搬送部3に設ける苗収容部40の苗姿勢変更体54の構造は、筒状に構成されていて、苗の根本側が小さく葉先側が大きくなるようにラッパ状とし、しかも、左右分割型54a,54bとして苗の挿入や抜き取りが容易にできる構成としている。また、苗姿勢変更体54には折返し部55を設けることで、苗を挿入する時、苗や指を滑り込み易くしている。
【0025】
また、姿勢変更体54は、半筒部54a,54bがピン軸57,57回りに開閉できトルクスプリング56を介して自動的に閉まるようになっており、しかも、このトルクスプリングによって搬送ベルト41がスプロケット42の外周にかかっても閉じた状態を保持するように構成している。また、姿勢変更体の半筒部54a,54bは、図3に示すように、葉の先端付近のみガイドするように短く構成して部材の節減化を図っている。
【0026】
図4に示す如く、苗植付伝動ケース18から搬送部3への駆動系としてベルト駆動ロッド45a,45bを配置して搬送ベルト41の周速度を一定化するように構成している。また、ベルト駆動ロッド45a,45bにおいて、図5に示すような配置角度、つまり、入力側と出力側の角度をずらすことにより、搬送ベルト41の周速度を変化させ、掴みアーム51が苗を掴み取る近傍でベルト速度を停止或いは遅くして、裸苗Nの植付装置4への受け渡しが確実に行えるようにしている。
【0027】
図6に示す苗掴み体50は、開閉カム53の作動により支点P1,P2回りに左右揺動開閉可能な左右一対掴みアーム51,51を有し、掴みアーム51の先端にゴム材等柔らかな指体51aを取り付けて挟持部24に挟まった裸苗Nの茎を傷つけないように掴むようにしている。
【0028】
掴みアーム51,51は、図7に示すように、開閉カム53の枢支軸49で前後に揺動し、後方へ回動して苗収容部40の裸苗Nを掴む時における左右の掴みアーム51,51は、図6の仮想線で示すようにV字状に閉じ作動する状態となり、下方へ回動して裸苗Nを離す時には図6の実線で示すように左右が平行な状態となる。
【0029】
なお、掴みアーム51,51の駆動構成は、掴みアーム51,51の後端で凸部63aと平端部63bを有するカム円盤63に連結して掴みアーム51,51を開閉動作させ、掴みアーム51,51を上下から挟んだアームガイド64を駆動円盤65の偏心位置にロッド66で連結して、掴みアーム51,51を上下に揺動させる構成である。
【0030】
次に、植付装置4の駆動構成を図9〜図11で詳細に説明する。
植付装置4は、苗搬送部3の裸苗Nを受けるロート状上部筒部4aと該上部筒部4aの下方に位置して閉じた状態で内部に裸苗Nを保持し、圃場の土中に突入した時に前後に開いて保持した裸苗Nを開放し植付ける植付ホッパ部4bを装備している。なお、ロート状上部筒部4aの上端後部4abは、図8に示す如く、後上方に湾曲して落下する裸苗Nの葉部を受けるようにしている。
【0031】
そして、植付装置4は、前部が植付伝動ケース18に回動自在に上下前部支持軸4c−Fで支持されて植付伝動ケース16内の駆動機構にてその後部が上下方向に作動するリンク機構4cの上下後部支持軸4c−Bに装着支持されており、植付装置4の上部筒部4aの上部開口部が苗搬送部3の下方位置近くに位置する状態から、植付装置4の植付ホッパ部4b下部が圃場の土中に突入して前後に開いて保持した裸苗Nを開放し植付ける状態に上下動する構成となっている。
【0032】
植付ホッパ部4bは、嘴状の前植付体4b−Fと後植付体4b−Bで内部に裸苗Nを収納できる構成となっている。そして、前植付体4b−Fと後植付体4b−Bは、共にその上部が植付装置4のフレーム4dに設けた前支持軸4e−Fと後支持軸4e−Bに前後方向に回動自在に各々枢支されている。そして、前植付体4b−Fと後植付体4b−Bには、各々、回動作動用前アーム4f−Fと回動作動用後アーム4f−Bが一体回動するように装着されている。尚、回動作動用前アーム4f−Fには係止ピン4gの基部が溶接固着され、係止ピン4gの先端部は回動作動用後アーム4f−Bに設けた係合孔4hに係合し、回動作動用前アーム4f−Fによる前植付体4b−Fの前方開放回動に連動して、回動作動用後アーム4f−Bが回動して後植付体4b−Bが後方開放回動する構成となっている。
【0033】
一方、回動作動用前アーム4f−Fの前部に上方に向けて設けた連係アーム部4f−F’の上部が、リンク機構4cの上後部支持軸4c−Bに自由回動自在に装着されたL字状の中継アーム4iの前端部に連結されている。そして、リンク機構4cの上前部支持軸4c−Fに矢印イ方向に付勢された従動アーム4jの先端に従動カム4kを回転自在に設け、従動アーム4jの先端部と中継アーム4iの下端部を連結ロッド4lで連結している。リンク機構4cの下前部支持軸4c−Fには、植付装置4の上下作動に連動して回転する駆動カム4mが設けられており、該駆動カム4mの外周面には上記の従動カム4kが接当している。
【0034】
従って、植付ホッパ部4bが圃場面から苗搬送部3の下方位置近くに上方移動して来る時(最上方位置に来る手前で)に従動カム4kは駆動カム4mの最少径に接当する状態となって、前植付体4b−Fと後植付体4b−Bは閉じて、植付ホッパ部4b内部に裸苗Nを保持できる状態となる。そして、最上動位置で裸苗Nが落下供給された後、植付ホッパ部4bが圃場の土中に突入するまで下動した時に、従動カム4kは駆動カム4mの最大径に接当する状態となって、従動アーム4jが矢印ロ方向に揺動して連結ロッド4lを引き、中継アーム4i及び回動作動用前アーム4f−Fを介して前植付体4b−Fの前方開放回動に連動して、回動作動用後アーム4f−Bが回動して後植付体4b−Bが後方開放回動し、前後に開いて保持した裸苗Nを開放して圃場中に植付ける。
【0035】
また、回動作動用前アーム4f−Fと回動作動用後アーム4f−Bの各上部には各々把持部4nが設けられており、両把持部4nを握り締めることにより、前植付体4b−Fを前方開放回動させ、後植付体4b−Bを後方開放回動させることができる。即ち、機体を止めた状態で、両把持部4nを握り締め操作することにより、手動で植付ホッパ部4bの前植付体4b−F及び後植付体4b−Bを開放回動させて、植付ホッパ部4b内部に溜まった泥土やゴミ等を容易に掃除することができる。
【0036】
尚、上例では前後の前植付体4b−F及び後植付体4b−Bが機体進行方向に沿って前後に開く例を示したが、左右の植付体が機体進行方向に対して左右に開く構成とした場合にも、上記と同様の機能構成を応用できる。
【0037】
図12と図13は、植付ホッパ部4bの前植付体4b−Fと後植付体4b−Bを手動回動させる他の例で、前例の回動作動用前アーム4f−Fと回動作動用後アーム4f−Bの各上部に各々把持部4nを設けたのに対して、回動作動用後アーム4f−Bには把持部を設けずに、回動作動用前アーム4f−Fにのみ把持アーム4n’を設けた例を示す。この回動作動用前アーム4f−Fに設けた把持アーム4n’は、回動作動用前アーム4f−Fの回動支点軸となる後支持軸4e−Bから後方斜め上方に向けて延設している。
【0038】
従って、作業者が、該把持アーム4n’の先端に設ける把持杆4nkを持って下方に押し下げ操作すると、回動作動用前アーム4f−Fを介して前植付体4b−Fが前方開放回動し、それに連動して、回動作動用前アーム4f−Fの係止ピン4gが移動して係合している回動作動用後アーム4f−Bの係合孔4hを押して回動作動用後アーム4f−Bを回動させ後植付体4b−Bが後方開放回動する。よって、作業者は、回動作動用前アーム4f−Fに設けた把持杆4nkを下方に押し操作するのみで、前植付体4b−Fを前方開放回動させ、後植付体4b−Bを後方開放回動させることができて、植付ホッパ部4b内部に溜まった泥土やゴミ等を容易に掃除することができる。
【0039】
植付装置4の後方位置に鎮圧輪37が設けられ、この鎮圧輪37は、苗植付位置の後方位置において左右一対設けられ、機体の進行に伴って畝Uの上面を転動し、苗植付後の跡を軽く鎮圧をするようになっている。鎮圧輪支持フレ−ム38は、前記支持フレーム30に上下動可能に枢着され、数個の調節孔を有する調節板を介して上下角度調節可能に構成されている。
【0040】
以上の構成で、この苗移植機は、走行部1により機体は自走し、裸苗Nを搬送する苗搬送部3は、複数の苗収容部40が前後方向の軸回りに一列で周回動し、この苗収容部40には、作業者が裸苗Nを一つずつ前後方向に向く姿勢として、裸苗Nの根元側の茎を挟持部24に挟んで葉の部分を苗収容部40に挿入し保持させる。このようにして苗収容部40に収容されて蔓苗は苗搬送部3の下側に搬送されることになり、苗搬送部3の下側で苗掴み体50が裸苗Nの株元側端部の茎を掴んで植付装置4に供給し、植付装置4で圃場に植え付けていくものとなる。
【0041】
図17は、前輪7の上下調節構成を示している。
機体に支持部70で連結した上支脚71を四角柱として、この上支脚71に四角頭を有するネジ軸72を捻じ込み、前輪7を軸支した下支脚74の雌ネジ部75に前記ネジ軸72を捻じ込んでいる。そして、ネジ軸72を回して上支脚71と下支脚74の間隔を変更し、支持部70を通す溝を形成した四角筒73をネジ軸72と上支脚71と下支脚74に外嵌して固定する。
【0042】
図18は、植付装置4の開閉構成の別実施例で、前植付体4b−Fと後植付体4b−Bを開き勝手に植付ケース83に枢支し、前後に鎮圧輪37を配置する。鎮圧輪37の上方へ伸ばした支柱80には上端を曲げて係合部82を作り、上下中間部に上下長孔81を形成する。また、植付ケース83には、支柱80の上下長孔81に嵌合するピン84と係合部82に接して摺動するガイド突起85を形成する。
【0043】
この構成で、植付ケース83を押し下げると鎮圧輪37が相対的に押し上げられて係合部82がガイド突起85から外れると前植付体4b−Fと後植付体4b−Bが開くようになる。
【0044】
この構成では、前植付体4b−Fと後植付体4b−Bが一定深さまで圃場に差し込まれて開くようになる。
なお、柔らかい圃場の場合には、別の鎮圧輪を植付装置4の前で接地させて圃場を固めておくことで、植付後の苗を安定できる。
【0045】
また、鎮圧輪37の幅や外径を大きくすることで、前植付体4b−Fと後植付体4b−Bを開く強さを強く出来る。
【符号の説明】
【0046】
3 苗搬送部
4 植付装置
41 無端帯状体
50 苗掴み体
51a 指体
N 苗(裸苗)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗(N)を保持して横方向へ周回する苗搬送部(3)の下側に苗Nを圃場に植え付ける植付装置(4)を設け、前記苗搬送部(3)の下側で苗(N)を掴んで植付装置(4)に供給する苗掴み体(50)を設けた苗移植機。
【請求項2】
苗搬送部(3)を無端帯状体(41)で構成し、周回下側が張り側になるように周回駆動したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
苗掴み体(50)の指体(51a)が苗Nを掴む位置が苗Nの株元端部の茎であることを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−70658(P2012−70658A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217148(P2010−217148)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】