説明

蒸れ防止機能付き健康靴およびその中敷

【課題】歩行操作のみで多数の並列した中空パイプを押圧変形させて、緩衝作用と合わせて中空パイプ内の空気を足の前部に吐出させると共に外気より新鮮な空気を吸引して蒸れや水虫などの発生を予防する。
【解決手段】所望形状の靴底2の内底3に沿って、多数の可撓復元性の中空パイプ4を並列に配設し、この中空パイプ4の前端には、歩行の際の足の加圧で開き、加圧の解放で閉じる開閉弁7を介して足先に向う多数の小孔5を穿った閉塞筒6を被着し、後部には踵部9より上方に向う屈曲部4aを介して濾過部10を設けて外気と連通させて新鮮な外気を吸引可能として成ることを特徴とする蒸れ防止機能付き健康靴。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行の過程で足に新鮮な外気を導入し、かつ靴内の足の周りに吐出させて汚れた空気を外部に放出して、常に快適な歩行が得られるようにした蒸れ防止機能付き健康靴およびその中敷。
【背景技術】
【0002】
この種の靴および中敷は靴内の空気を換気する発想が数多く提案され、一部では靴として製造販売されている。
【0003】
例えば、足の長手軸に沿って複数の溝を隣接形成し、靴底部材の接地領域以外に、前記溝の一部を露出させる換気孔を形成して蒸れを無くし、フィット感を良くしたシューズが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、多数の合成樹脂管を配置し、前後に換気口を配設した換気機能付き中敷が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、踵部分にポンプ機能を設けて、内部と外部の空気を交換、換気させて履き心地を損なわないで使用できる靴も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−102502号公報
【特許文献2】実用新案登録第3095589号公報
【特許文献3】特開平7−289305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1では、路面に通ずる貫通孔を設けて、足裏の換気を行っているので、室内用としてシューズに限定されると共に、特許文献2では、中敷本体自体に換気構成を設けてあるので、靴の外気を取り入れることは不可能である。
【0007】
また、特許文献3では、踵部にポンプ機構を設けてあるので、歩行の都度、踵が上下動しポンプ機構を働かせるので違和感は避けられず、履き心地が悪くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、叙上の点に着目して成されたもので、多数の可撓復元性の中空パイプを並設させて足裏全域に亘って、歩行し乍らクッション性を確保しつつ、中空パイプ内の空気を足裏、特に五指ないし指間に対して集中的に吐出させ、新たな空気は外気の新鮮な空気を濾過し乍ら、中空パイプ内に浸入させて換気作用を歩行と共に連続して行わせるようにした新規な蒸れ防止機能付き健康靴およびその中敷を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は下記の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0010】
(1)所望形状の靴底の内底に沿って、多数の可撓復元性の中空パイプを並列に配設し、この中空パイプの前端には、歩行の際の足の加圧で開き、加圧の解放で閉じる開閉弁を介して足先に向う多数の小孔を穿った閉塞筒を被着し、後部には踵部より上方に向う屈曲部を介して濾過部を設けて外気と連通させて新鮮な外気を吸引可能として成ることを特徴とする蒸れ防止機能付き健康靴。
【0011】
(2)多数の中空パイプのうち、一部は靴底に配設させて両端の開口部を閉塞させて足よりの加圧を緩衝させることができるようにしたことを特徴とする前記(1)記載の蒸れ防止機能付き健康靴。
【0012】
(3)閉塞筒で被着される中空パイプの開口端の開閉弁には弁体を設け、中空パイプに働く足の加圧で中空パイプ内の気体の移送により弁体を可変させて中空パイプの開口端を開口すると共に、足の荷重の解放により弁体を現状に復帰させて中空パイプの開口端を閉塞できるようにしたことを特徴とする前記(1)記載の蒸れ防止機能付き健康靴。
【0013】
(4)所望の靴内に配設できる中敷であって、中敷本体内には、多数の可撓復元性の中空パイプを並列に配設し、この中空パイプの前端には、歩行の際の足の加圧で開き、加圧の解放で閉じる開閉弁を介して足先に向う多数の小孔を穿った閉塞筒を被着し、後部には踵部より上方に向う屈曲部を介して濾過部を設けて外気と連通させて新鮮な外気を吸引可能として成ることを特徴とする蒸れ防止機能付き健康靴用中敷。
【0014】
(5)中敷本体内に配設される多数の中空パイプのうちの一部は、両端の開口部を閉塞させて、足よりの加圧を緩衝させることができるようにしたことを特徴とする前記(4)記載の蒸れ防止機能付き健康靴用中敷。
【0015】
(6)閉塞筒で被着される中空パイプの開口端の開閉弁には弁体を設け、中空パイプに働く足の加圧で中空パイプ内の気体の移送により弁体を可変させて中空パイプの開口端を開口すると共に、足の荷重の解放により弁体を現状に復帰させて中空パイプの開口端を閉塞できるようにしたことを特徴とする前記(4)記載の蒸れ防止機能付き健康靴用中敷。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多数の可撓復元性の中空パイプを靴底の内底又は中敷本体に配設し、かつ多数を並設してあるので、歩行に際し、足には一種の緩衝作用を呈すると共に、中空パイプ自体は足で押圧されると押圧変形し、謂わば扁平となって内部の空気は押し出される。そして中空パイプの前部に設けられる開閉弁を開いて、空気は閉塞筒の多数の小孔より足の前部に向って吐出される。他方、足の押圧が解放されると、弁体は中空パイプの前端を閉じ、新鮮な空気は中空パイプの他方の端部の濾過部で濾過されて中空パイプ内に流入する。
【0017】
したがって歩行の都度、常に新しい空気は外部より中空パイプ内に流入し、中空パイプ内の空気は等しく開閉弁を開いて、靴内の足裏の前部、主として五指ないし指間に向って働くので蒸れを防止し、かつ水虫などの発生を防止できる。
【0018】
なお、多数の中空パイプのうち、一部は両端を閉塞してあるので、中空パイプは柔らかく緩衝作用を奏して歩行時の快適性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0021】
まず、靴全体について説明する。
【0022】
1は靴、2は靴底、3は靴底の内底、4はこの内底3に沿って隣接して配設される多数の可撓復元性の中空パイプであって、例えば、弾性かつ変形自在の合成樹脂製のシリコンチューブが好ましい。
【0023】
前記中空パイプ4のうち、足の五指ないしは指間に当る部分の中空パイプ4の前端には、多数の小孔5を穿った硬質樹脂の閉塞筒6を嵌着し、併せて可動自在の開閉弁7の弁体7aを中空パイプ4の開口端に一端を固着して配設する。それ以外の中空パイプ4のすべては靴底2の内底3の両端をキャップ8などで閉塞し、柔らかい緩衝機能を付与させることができる。
【0024】
なお、閉塞筒6を被冠して構成した中空パイプ4の他方の後部には、靴1の踵部9より上方に沿って屈曲した屈曲部4aを延長して設け、靴1の上縁に濾過部10を設けて外気と連通させるもので、この濾過部10は例えば連続性気泡の柔軟なスポンジ材料とか綿などの不繊布や織性材料より成る通気材料を用いて、閉塞筒6を備えた中空パイプ4を複数纏めて連結して形成できるものである。
【0025】
なお図において、11は靴底1の内底3より踵部9に至る中空パイプ4および屈曲部4aを被覆する底板を示し、足の前部に相当する部分には部分的に通気性を良好にするためメッシュなどの通気材を施すことが望ましい。
【0026】
つぎに、中敷についてその構成を説明する。
【0027】
具体的な構成については、中空パイプ4および屈曲部4aを含め、同一部材を備えるので同一符号を符し説明の重複を省く。
【0028】
12は、靴に挿入できる中敷本体であって、中空パイプ4および屈曲部4aは、すべて中敷本体12内に含まれた構成を備える。特に通常の中敷と異なる点は、踵部に向う屈曲部4aを内蔵した立ち上がり部12aを備える構成である。なお図示では、立ち上がり部12aは靴底に敷く部分の後部より直角に起立させているが、平面状に形成して置き、使用に際して踵壁の内側に沿って直角状に折り曲げて使用することもできる。
【0029】
叙上の靴、および中敷を用いた場合について、以下にその作用を説明する。
【0030】
歩行者は歩行の都度、両足に自身の体重を掛けるので、足は靴の踵部から足先にかけて靴1の内底3を押下する。この押下により、可撓復元性の中空パイプ4は緩衝作用とあせて変形圧縮を受け、中空パイプ4内の空気は足先の方向へ向い、先端の開口端に設けた開閉弁7の弁体7aを開き、閉塞筒6の小孔5を通り、靴内の前部に吐出される。つぎに足の荷重が消失すると、開閉弁7の弁体7aは直ちに原状に戻り、中空パイプ4の前端の開口端は閉塞されるので、変形した中空パイプ4の原形復帰による吸気作用は、中空パイプ4の他端の端部に延設した踵部9の屈曲部4aの濾過部10を介して、外気の新鮮な空気が屈曲部4aより中空パイプ4内に流入される。
【0031】
続いて、歩行操作が行われると同様に両足による靴の内底3への押下、解放が反覆継続して行われ、中空パイプ4内の空気は間欠的に排気と吸気を繰り返すこととなる。
【0032】
したがって、歩行の過程で足先部分には常に中空パイプ4内の新鮮な空気が吐出されて蒸れを防止できると共に、外部の新鮮な空気は濾過部10より屈曲部4aを介して中空パイプ4内に入り、送り出す空気を補給できる。
【0033】
また、両端をキャップ8で封止した中空パイプ4は、弾性クッション作用を呈して、歩行時の疲れを防止でき、足裏の負担を和らげる働きを呈する。
【0034】
以上、本発明について靴および中敷について説明したが、中空バルブの開閉弁の弁体は、ボール弁として閉塞筒内に移動自在に配設し、中空パイプ4の開口端を閉止又は開放できるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る蒸れ防止機能付き健康靴の要部構造を示す側面図
【図2】底板を取外して示す図1の構成の靴の平面図
【図3】使用状態を示す図2のIII−III線断面図
【図4】図3の使用状態の背面図
【図5】全体の分解斜視図
【図6】閉塞筒部分の拡大平面図
【図7】図6のVII−VII線断面図
【図8】本発明に係る中敷の分解斜面図
【符号の説明】
【0036】
1 靴
2 靴底
3 内底
4 中空パイプ
4a 屈曲部
5 小孔
6 閉塞筒
7 開閉弁
7a 弁体
8 キャップ
9 踵部
10 濾過部
11 底板
12 中敷本体
12a 立ち上がり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望形状の靴底の内底に沿って、多数の可撓復元性の中空パイプを並列に配設し、この中空パイプの前端には、歩行の際の足の加圧で開き、加圧の解放で閉じる開閉弁を介して足先に向う多数の小孔を穿った閉塞筒を被着し、後部には踵部より上方に向う屈曲部を介して濾過部を設けて外気と連通させて新鮮な外気を吸引可能として成ることを特徴とする蒸れ防止機能付き健康靴。
【請求項2】
多数の中空パイプのうち、一部は靴底に配設させて両端の開口部を閉塞させて足よりの加圧を緩衝させることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の蒸れ防止機能付き健康靴。
【請求項3】
閉塞筒で被着される中空パイプの開口端の開閉弁には弁体を設け、中空パイプに働く足の加圧で中空パイプ内の気体の移送により弁体を可変させて中空パイプの開口端を開口すると共に、足の荷重の解放により弁体を現状に復帰させて中空パイプの開口端を閉塞できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の蒸れ防止機能付き健康靴。
【請求項4】
所望の靴内に配設できる中敷であって、中敷本体内には、多数の可撓復元性の中空パイプを並列に配設し、この中空パイプの前端には、歩行の際の足の加圧で開き、加圧の解放で閉じる開閉弁を介して足先に向う多数の小孔を穿った閉塞筒を被着し、後部には踵部より上方に向う屈曲部を介して濾過部を設けて外気と連通させて新鮮な外気を吸引可能として成ることを特徴とする蒸れ防止機能付き健康靴用中敷。
【請求項5】
中敷本体内に配設される多数の中空パイプのうちの一部は、両端の開口部を閉塞させて、足よりの加圧を緩衝させることができるようにしたことを特徴とする請求項4記載の蒸れ防止機能付き健康靴用中敷。
【請求項6】
閉塞筒で被着される中空パイプの開口端の開閉弁には弁体を設け、中空パイプに働く足の加圧で中空パイプ内の気体の移送により弁体を可変させて中空パイプの開口端を開口すると共に、足の荷重の解放により弁体を現状に復帰させて中空パイプの開口端を閉塞できるようにしたことを特徴とする請求項4記載の蒸れ防止機能付き健康靴用中敷。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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