説明

蓄電装置

【課題】蓄電装置において、蓄電セルの発熱による性能劣化と、振動による蓄電セルの破損を防止する。
【解決手段】積層された蓄電セル10が直列接続されて絶縁体の筐体2内に収納されてなり、難燃性の絶縁体からなる部材(32a〜32c)に放熱部材(31a〜31c)が取り付けられた一対の端面ユニット(30a,30b)と一つ以上の中間ユニット30cとが前後に連結された構造体20を備え、蓄電セルは各ユニットの内方に配置され、放熱部材は蓄電セルの層間に介在して面接触し、各ユニットの放熱部材は構造体の左右外側方向に延長するとともに適宜に屈曲して各ユニットの放熱部材間同士が連結して積層構造体の左右側面を形成し、当該側面と端面ユニットの放熱部材によって形成される積層構造体の前後面が筐体内壁と面接触し、放熱部材における蓄電セルとの接触面に粘着層36が形成されている蓄電装置1としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ等の蓄電セルを任意数積層するとともに各セル間を積層順に直列接続して一体化した蓄電装置に関し、とくに、蓄電装置における放熱構造の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置の基本構成要素である蓄電セルは、シート状の正極と負極をセパレータを介して対向配置させながら所定数積層してなる電極体を、電解液とともにラミネートフィルムの外装体内に密封したものである。この蓄電装置は、たとえば負荷平準化等の蓄電用として使用されているが、一つの蓄電セルでは出力電圧(起電力)が低いため、任意数を直列接続してモジュール(蓄電セルモジュール)にしてから使用されるのが普通である。
【0003】
図8に蓄電セルの外観図を示した。電極体は扁平箱状であり、この電極体が扁平な矩形袋状のラミネートフィルムからなる外装体11の中に収納される。それによって、蓄電セル10は、平板状の外装体11の中央にこの電極体による扁平箱状のふくらみ13が形成された形状となる。また、この例では、電極体の正負両極に接続された金属薄板からなる扁平突起状の電極端子12が外装体11に露出している。そして、この蓄電セル10を積層して直列接続した蓄電セルモジュールを筐体内に収納するとともに、外部装置との接続に適した形態にしたものが蓄電装置である。
【0004】
図9に一般的な蓄電装置の外観を示した。また、図10にその蓄電装置の内部構造の概略を示した。蓄電装置1bは、蓄電セルモジュール100を筐体2内に収納してなっている。蓄電セルモジュール100は、蓄電セル10を複数積層するとともに、隣り合う蓄電セル10の異極の電極端子12同士で積層方向に順次接続して直列接続してなっている。なお、例示した蓄電装置1bでは、蓄電セル10の積層方向を前後とすると、前後両端に配置された蓄電セル10aの外部端子12aには肉厚の金属プレートからなるL字型の外部端子板3が接続され、その端子板3が筐体2外に導出されている。
【0005】
ところで、上述したような蓄電装置では、充放電反応に伴い蓄電セルが発熱し、その熱によって性能が劣化するため、放熱対策を講じる必要がある。以下の特許文献1に記載の蓄電装置では、蓄電セルの間に熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属製プレートを挟み込んでいる。そして、その金属プレートが蓄電セルの側方や下方に延長し、その延長先端を金属製の放熱板に接触させることで効率よく放熱している。
【特許文献1】特許第3984276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されている蓄電装置では、積層状態にある個々の蓄電セルの層間に介する金属板表面とそれに面接触する蓄電セルの外装体表面との摩擦係数が低いため、装置が振動すると、個々の蓄電セルが積層方向に対して直交する積層面方向にずれる。すなわち、金属板と個々の蓄電セルが相対的に剪断方向に振動する。その結果、例えば、蓄電セルの外装体外に導出されて相互に直列接続されて固定されている金属薄板からなる電極端子のエッジにより、外装体周囲の封止箇所が外部から破断されてしまったり、外装体内で外部端子に接続されている電極体が外装体に対して相対的に振動して外装体が内部から破断されてしまったりする。
【0007】
また、特許文献1に記載の蓄電装置では、側面がフィンを備えた金属製の放熱板となっており、蓄電装置を設置する際、この放熱板が装置外部の電気回路などの外部装置に接触しないように外部装置とを離間する必要がある。また、下方の金属製放熱板については、絶縁性の樹脂からなるプレートを層状にして積層するとともに、高絶縁性の樹脂かなら固定部材を「下駄」にしている。すなわち、蓄電装置を載置する際に、蓄電装置の底面が直接接触しないようにしている。そのため、固定部材の厚さだけ蓄電装置の全高が高くなり、蓄電装置の小型化を困難にしている。
【0008】
本発明は以上のような問題を鑑みたものであって、その目的は、蓄電装置において、積層状態にある蓄電セルの発熱に起因する性能劣化を防止した上で、振動による蓄電セルの破損を防止し、装置の小型化を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、蓄電装置における振動に関わる問題や、設置およびサイズに関わる問題について考察した。そして、振動については、それを抑制するのではなく、振動を許容した上で、放電セルと放熱のために蓄電セルと面接触する金属板とが相対的に振動しなければ上記課題を解決できると考えた。また、設置やサイズについては、各蓄電セルの温度を積極的に冷却するのではなく、温度差を無くして均一にすれば蓄電セル間の特性のばらつきを低減させ充放電反応を安定化させることができる、と発想を転換し、従来の蓄電装置のように、放熱や冷却のために金属部材を外部に露出させる構造を否定することで解決できると考えた。
【0010】
本発明は、上記考察に基づいてなされたもので、所定数の正極と負極がそれぞれセパレータを介して対向配置されてなる電極体が電解液とともにラミネートフィルムの外装体内に密封されてなる扁平矩形状の蓄電セルが前後方向に複数積層された状態で筐体内に収容されるとともに、各蓄電セルにおける正負両極の電極端子が直列接続されてなる蓄電装置であって、
前記筐体は、絶縁体材料からなり、
前記筐体内において、前記蓄電セルを複数積層させた状態で保持するための積層構造体を備え、
前記積層構造体は、略直方体の外観形状をなすとともに、扁平箱状の複数のユニットが積層されてなるとともに、内部が前後方向に層状となるように複数の空間に仕切られ、
前記ユニットには、積層方向の前後両端に配置される一対の端面ユニットと、当該一対の端面ユニット間に少なくとも一つ以上配置される中間ユニットがあり、前記各ユニットは、それぞれ、難燃性の絶縁体材料からなる枠状部材に、高熱伝導性材料からなる放熱部材を取り付けられてなり、
個々の前記蓄電セルは、隣接する2つの前記ユニットにおける前記枠状部材の内側に配置され、
前記端面ユニットの前記放熱部材は、積層状態にある前記蓄電セルの最前面と最後面に面接触するとともに、前記積層構造体の前後面を構成し、
前記中間ユニットの前記放熱部材は、前記枠状部材を前後に仕切る隔壁を構成し、積層状態にある前記蓄電セルの層間に介在して前記隔壁の前後に配置されている前記蓄電セルのそれぞれの後面と前面に接触し、
前記各ユニットの前記放熱部材は、前記枠状部材の左右側面外側に延長するとともに、各ユニットの一部あるいは全部における前記放熱部材は、当該枠状部材の側面に沿って略コの字型断面となるように屈曲しつつ前後の前記ユニットの前記放熱部材同士が前記積層構造体の左右側面を形成し、
前記積層構造体の前後左右の面は、前記筐体の内壁面に面接触し、
前記各ユニットの前記放熱部材における前記蓄電セルとの接触面に粘着性を有する粘着層が形成されている蓄電装置としている。
【0011】
また、前記放熱部材は、アルミニウム、鉄、銅のいずれかの金属を基材とし、前記粘着層として、当該基材の少なくとも前記蓄電セルとの接触面に低熱伝導性樹脂あるいはエストラマーを主原料とする薄膜が形成されてなる蓄電装置とすることができる。そして、前記粘着層は、500μm以下の厚さであればより好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蓄電装置によれば、各蓄電セルを積層構造体の中に収納するとともに、その積層構造体を絶縁体材料からなる筐体内に収容する構造を採用することで、蓄電セル間の温度を平均化させて安定した充放電特性を得ることができるとともに、周囲の回路などとの間に絶縁のための距離や構造を不要にして、さまざまな設置形態に対応し装置の小型化も可能となる。
【0013】
また、放熱部材の表面に粘着性を有する粘着層が形成されているので、蓄電セルと積層構造体を構成する放熱部材とが粘着した状態で面接触し、装置自体が振動しても、蓄電セルと放熱部材との相対的な振動が発生せず、蓄電セルの破損を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
===蓄電装置の基本構造===
本発明の蓄電装置は、筐体内に蓄電セルモジュールを保持するための構造に特徴がある。図1に、本発明の蓄電装置における一実施例を示した。(A)は装置全体の外観図であり、(B)は筐体内に収納されている上記保持構造の主体である構造体(積層構造体)の外観図である。この蓄電装置1の外観は、図9に示した従来の蓄電装置1bと同様である。しかし、蓄電セルモジュールを保持するために、筐体2内に、当該筐体2内の形状にほぼ沿う略直方体の箱形をなす積層構造体20を備えている。
【0015】
積層構造体20は、蓄電セルモジュールにおける各蓄電セル10の積層方向を前後とし、外部端子板3の突設方向を上方とすると、前後に積層された複数のユニット(30a〜30c)を主体として構成されている。そして、内部に蓄電セル10の収容空間を有し、上面の前後両端に、筐体2外に導出される外部端子板3が固定されている。蓄電装置1は、この積層構造体20を、フェノール樹脂など、高絶縁性の高剛性素材からなる筐体内に収納した構造となっている。
【0016】
===積層構造体の構造===
図2に積層構造体20の内部構造を示した。当該図では、積層構造体20を右側面から見たときの断面に相当する図1(B)におけるa−a矢視断面(A)と、b−b矢視断面、すなわち積層構造体20を上方から見た時の断面図(B)とを示した。また、図3に積層構造体20の分解斜視図を示した。積層構造体20は、扁平箱状の複数のユニット(30a〜30c)を前後に積層した構造であり、具体的には、前後両端に配置される一対の端面ユニット(30a,30b)と、この一対の端面ユニット(30a,30b)間に配置される中間ユニット30cとが前後に層状に連結された構造となっている。なお、図2では、隣り合うユニット(30a〜30c)同士を容易に識別できるように、交互に網点と斜線のハッチングで示した。また、蓄電セル10については網のハッチングで示した。そして、以下の説明を容易にするために、積層構造体20の前後上下左右方向を当該図2に示すように規定した。
【0017】
上述したように、積層構造体20は、ユニット(30a〜30c)同士を積層することで略直方体の箱状となる。そして、この箱の内部に蓄電セル10が積層状態で収納されて保持される。本実施例では、4組の蓄電セル10が収納された積層構造体20を示しており、前後それぞれに配置される一対の端面ユニット(30a,30b)と三つの中間ユニット30cとで構成されている。また、各ユニット(30a〜30c)は、一体構造ではなく、それぞれ、難燃性の絶縁体材料からなる枠状部材(32a〜32c)に、高熱伝導性材料からなるプレート状の放熱部材(31a〜31c)が取り付けられた構造となっている。
【0018】
図2(A)に示すように、前後一対の端面ユニット(30a,30b)は、それぞれ、左右側面方向からの断面形状が略コの字型の断面形状を有し、放熱部材(31a,31b)は、このコの字の底に対応する底面を構成する。そして、これらの端面ユニット(30a,30b)が当該コの字の開放端側が対面するように蓄電セルモジュール100の前後両端に配置されている。また、端面ユニット(30a,30b)は、同図(B)に示すように、前後で対称ではなく、形状が若干異なっており、前方の端面ユニット30aの放熱部材31aが単純な平板状であるのに対し、後方の端面ユニット30bの放熱部材31bは、枠状部材32bの後面と側面を構成する略コの字型断面形状となっている。そして、放熱部材31bの側面が枠状部材32bの前方外側まで延長している。一方、中間ユニット30cは、すべて同じ形状であり、図2(A)に示すように、左右側面から見た断面形状が略I字型であり、放熱部材31cがそのI字の縦線に対応する隔壁を構成する。
【0019】
そして、上記各ユニット(30a〜30c)を前後に積層してなる積層構造体20の内部は、端面ユニット(30a,30b)の底と、中間ユニット30cにおける隔壁とによって、層状に複数の空間に仕切られ、個々の蓄電セル10が、その複数の空間のそれぞれに一つずつ収納される。具体的には、前後に連続する2つのユニット(30a〜30c)の枠状部材(32a〜32c)の枠内に蓄電セル10の外装体11の前半分と後半分が収納される。そして、平板状の電極端子12が、前後のユニット(30a〜30c)における枠状部材(32a〜32c)同士の連結境界から積層構造体20の上下外側に導出され、互いに直列接続される。この例では、隣り合う蓄電セル10同士で電極端子12の先端が互いに向き合ったり、背き合ったりする方向にL字状に前後方向に折り曲げられ、ユニット(30a〜30c)の上面にボルト50などによって固定される。また、互いに向き合う方向に折り曲げられた外部端子同士10aは、積層された状態で固定され、直列接続の正負それぞれの電極に対応する電極端子12aについては上面に外部端子板3が積層された状態で固定される。
【0020】
===ユニットの構造===
図4〜6に、前方の端面ユニット、中間ユニット、後方の端面ユニットのそれぞれにおける組立斜視図(A)と分解斜視図(B)を示した。各ユニット(30a〜30c)の枠状部材(32a〜32c)の側面形状は、浅い略コの字型で、このコの字の凹部33に放熱部材(31a〜31c)をはめ込む構造となっている。そして、前後の端面ユニット(30a,30b)の放熱部材(31a,31b)は、それぞれ、積層構造体20の前後面を構成し、中間ユニット31cの放熱部材31cは、上記層状空間の隔壁を構成し、枠状部材(32a〜32c)の内側に収納される個々の蓄電セル10の前後表面に密着する。
【0021】
また、各ユニット(30a〜30c)の放熱部材(31a〜31c)は、枠状部材(32a〜32c)の左右側面外側に延長している。この例では、後方の端面ユニット30bと中間ユニット30cについては、その延長した放熱部材(31b,31c)が枠状部材(32b,32c)の側面に沿うように前方向に屈曲している。そして、各ユニット(30a〜30c)を積層した際、放熱部材(31a〜31c)の側面延長部分が前後で連結して積層構造体20の左右側面を構成する。なお、本実施例では、図3における円(101,102)内に拡大して示したように、ほぞ41と溝42によって前後のユニット(30a〜30c)の放熱部材(31a〜31c)同士を嵌合させて連結させる方式を採用している。もちろん、ユニット同士の連結は、突起と穴など、適宜な方式を採用できる。嵌合させずに前後の放熱部材同士を当接させ、枠状部材同士を各種継手によって連結してもよい。いずれにしても、各ユニット(30a〜30c)の放熱部材(31a〜31c)における左右延長部分が積層構造体20の側面として面一となればよく、例えば、中間ユニット30cにおける放熱部材31cの形状が一律でなくてもよい。
【0022】
上記構造の各ユニット(30a〜30c)によれば、積層構造体20を構成した際、放熱部材(31a〜31c)が蓄電セル10に接する面で奪った熱を積層構造体20の側面側に導くとともに、その側面にて相互に連結されてなる面で各蓄電セル10からの熱を相互にやりとりして蓄電セル10間の温度を平均化させる。それによって、蓄電セル10間の充放電特性のばらつきを抑えることができる。
【0023】
また、放熱部材(31a〜31c)は、積層構造体20の前後面と側面を構成し、積層構造体20を高絶縁性素材からなる筐体2内に収納した際に、これらの面が筐体2内面に密着する。積層構造体20と筐体2内面との間に絶縁のための空隙が不要となり、蓄電装置1を小型化することができるとともに、熱が当該筐体2を通じて放熱し、効率的に蓄電セル10を冷却することもできる。さらに、筐体2を高絶縁性素材で構成しているため、蓄電装置1と周囲の回路などとを大きく離間させる必要がない。もちろん、筐体2の底面を金属などに直接載置しても絶縁性を確保できる。そのため、設置条件についての制約が少なく、さまざまな設置形態に対して柔軟に対応することができる。なお、上記各図においては、ユニット(30a〜30c)や積層構造体20の構造についての説明を容易にするために、各部材(31a〜31c,32a〜32c)の大きさ、とくに厚さを誇張して描画している。すなわち、実際の積層構造体20のサイズは、蓄電セルモジュール100全体のサイズより僅かに大きい程度で、フィンを備えたり「下駄」を履かせたりした従来の蓄電装置よりも小型化することができる。
【0024】
===放熱部材の構造===
本発明の蓄電装置1では、放熱部材(31a〜31c)の表面に粘着層を設けることで、装置1自体が振動しても蓄電セル10と放熱部材(31a〜31c)とが密着した状態で一体的に振動するようにしている。放熱部材(31a〜31c)は枠状部材(32a〜32c)に固定されて各ユニット(30a〜30c)を構成し、各ユニット(30a〜30c)が連結されて積層構造体20を構成し、この積層構造体20が筐体2内に密着した状態で収納される。したがって、蓄電装置1、積層構造体20、および蓄電セル10が相対的に振動しない構造となっている。それによって、相対振動に伴う蓄電セル10の破損を確実に防止することができる。
【0025】
図7に本実施例における放熱部材(31a〜31c)の拡大断面図を示した。アルミニウム、銅、鉄などの高熱電導性の金属を基材35として、その表面に粘着性材料を塗膜してなる粘着層36が形成されている。粘着性材料としては、塩化ビニル、ポリエチレンなどの樹脂や、ウレタンや高分子量シリコンなどのエストラマー(弾性体)などが考えられる。なお、これらの材料を含め、粘着性を有する樹脂や弾性体の多くは、低熱伝導性であるが、薄膜として塗布することが可能であり、スプレー方式、浸漬方式、ロールコートなど、周知の塗膜技術を適用でき、安価な製造コストで放熱部材(31a〜31c)を製造することができる。そして、粘着材料を塗膜することで粘着層36を極めて薄くすることができ、粘着層36が金属の高熱電導性を阻害しないようにすることができる。なお、粘着層36は、少なくとも蓄電セル10に面接触する部分だけに設けられていればよいが、粘着層36を選択的に設けるより放熱部材(31a〜31c)全面に形成する方が製造工程を簡略化することができる。そして、粘着層36の厚さtについて検討したところ、低熱電導性材料であっても、500μm以下であれば放熱性能にほとんど影響しないことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例における蓄電装置の外観図(A)と、当該蓄電装置の筐体内に収納されている積層構造体の外観図(B)である。
【図2】上記積層構造体の即断面図(A)と平断面図(B)である。
【図3】上記積層構造体の分解斜視図である。
【図4】上記積層構造体を構成する前方の端面ユニットの組み立て図である。
【図5】上記積層構造体を構成する中間ユニットの組み立て図である。
【図6】上記積層構造体を構成する後方の端面ユニットの組み立て図である。
【図7】上記ユニットを構成する放熱部材の拡大断面図である。
【図8】蓄電装置の基本構成である蓄電セルの外観図である。
【図9】一般的な蓄電装置の外観図である。
【図10】一般的な蓄電装置の概略構造図である。
【符号の説明】
【0027】
1、1b 蓄電装置
2 筐体
3 外部端子板
10 蓄電セル
11 外装体
12 電極端子
20 積層構造体
30a、30b 端面ユニット
30c 中間ユニット
31a〜31c 放熱部材
32a〜32c 枠状部材
35 放熱部材の基材
36 放熱部材の粘着層
100 蓄電セルモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数の正極と負極がそれぞれセパレータを介して対向配置されてなる電極体が電解液とともにラミネートフィルムの外装体内に密封されてなる扁平矩形状の蓄電セルが前後方向に複数積層された状態で筐体内に収容されるとともに、各蓄電セルにおける正負両極の電極端子が直列接続されてなる蓄電装置であって、
前記筐体は、絶縁体材料からなり、
前記筐体内において、前記蓄電セルを複数積層させた状態で保持するための積層構造体を備え、
前記積層構造体は、略直方体の外観形状をなすとともに、扁平箱状の複数のユニットが積層されてなるとともに、内部が前後方向に層状となるように複数の空間に仕切られ、
前記ユニットには、積層方向の前後両端に配置される一対の端面ユニットと、当該一対の端面ユニット間に少なくとも一つ以上配置される中間ユニットがあり、前記各ユニットは、それぞれ、難燃性の絶縁体材料からなる枠状部材に、高熱伝導性材料からなる放熱部材を取り付けられてなり、
個々の前記蓄電セルは、隣接する2つの前記ユニットにおける前記枠状部材の内側に配置され、
前記端面ユニットの前記放熱部材は、積層状態にある前記蓄電セルの最前面と最後面に面接触するとともに、前記積層構造体の前後面を構成し、
前記中間ユニットの前記放熱部材は、前記枠状部材を前後に仕切る隔壁を構成し、積層状態にある前記蓄電セルの層間に介在して前記隔壁の前後に配置されている前記蓄電セルのそれぞれの後面と前面に接触し、
前記各ユニットの前記放熱部材は、前記枠状部材の左右側面外側に延長するとともに、各ユニットの一部あるいは全部における前記放熱部材は、当該枠状部材の側面に沿って略コの字型断面となるように屈曲しつつ前後の前記ユニットの前記放熱部材同士が前記積層構造体の左右側面を形成し、
前記積層構造体の前後左右の面は、前記筐体の内壁面に面接触し、
前記各ユニットの前記放熱部材における前記蓄電セルとの接触面に粘着性を有する粘着層が形成されている
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、アルミニウム、鉄、銅のいずれかの金属を基材とし、前記粘着層として、当該基材の少なくとも前記蓄電セルとの接触面に低熱伝導性樹脂あるいはエストラマーを主原料とする薄膜が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記粘着層は、500μm以下の厚さであることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−10460(P2010−10460A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168802(P2008−168802)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】