説明

表示装置、表示装置の制御方法およびプログラム

【課題】表示した図形を、直感的な操作で容易に変形させることができる表示装置および表示装置の制御方法の提供。
【解決手段】表示装置は、投射面4上に映像画面を表示する投射光学系と、複数の部材を可動連結部を介して連結した多角形ツール3eにおいて、当該多角形ツール3eの各部材または各可動連結部に配した複数の検出点の位置情報を検出するツール情報検出部と、検出した各検出点の位置情報に基づいて、多角形ツール3eの変形状態を判別し、多角形ツール3eの変形状態に対応した多角形オブジェクト65を表示させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示面上に映像画面を表示すると共に、表示面に対する操作に伴って、映像画面の表示制御を行う表示装置、表示装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示装置として、筆記具によって電子黒板の筆記面において書かれる文字等の軌跡を検出する多数のセンサーと、このセンサーが検出した軌跡の画像データに基づき、筆記面に書かれた文字および図形を認識する認識手段と、編集コマンドに従って認識された文字、図形を編集するコマンド実行手段と、編集された文字、図形を筆記面に表示する投射表示手段と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この表示装置では、消去、移動、コピー、呼出しといった編集コマンドが用意されており、コマンド実行手段により、筆記具で入力された編集コマンドに従って文字および図形の消去、移動、コピーを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−330289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、学校等において、三角形の内角の授業や多角形の授業など、線と点から成る図形を変形させて、その性質を教える場合がある。かかる授業の際、上記従来の表示装置を用いる場合、図形を変形させることができないため、変形前の図形と変形後の図形を別に書く必要があり操作が煩雑であるという問題があった。これに対し、図形を変形させる編集コマンドを搭載することも考えられるが、これでは、筆記具による編集コマンドが増えてしまい、操作が複雑化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、表示した図形を、直感的な操作で容易に変形させることができる表示装置、表示装置の制御方法およびプログラムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、表示面上に映像画面を表示する表示部と、複数の部材を、可動連結部を介して連結した多関節ツールにおいて、当該多関節ツールの各部材または各可動連結部に配した複数の検出点の位置情報を検出する位置情報検出部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合、検出した各検出点の位置情報に基づいて、多関節ツールの変形状態を判別する変形状態判別部と、多関節ツールの変形状態に対応したオブジェクトを表示させる表示制御部と、をさらに備えたことが好ましい。
【0008】
本発明の表示装置の制御方法は、表示面上に映像画面を表示する表示装置の制御方法であって、表示装置が、複数の部材を、可動連結部を介して連結した多関節ツールにおいて、当該多関節ツールの各部材または各可動連結部に配した複数の検出点の位置情報を検出する位置情報検出ステップと、検出した各検出点の位置情報に基づいて、多関節ツールの変形状態を判別する変形状態判別ステップと、映像画面上に、多関節ツールの変形状態に対応したオブジェクトを表示させる表示制御ステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、各部材または各可動連結部に配した複数の検出点の位置情報を検出し、多関節ツールの変形状態を映像画面上のオブジェクトに反映させるため、多関節ツールを変形させるだけで、オブジェクト(図形)を直感的な操作で容易に変形させることができる。例えば、多角形の多関節ツールを変形させることで、多角形のオブジェクトを変形させることができる。
【0010】
上記の表示装置において、複数の検出点は、異なる識別情報を有し、位置情報検出部は、各検出点の位置情報を、当該各検出点の識別情報と共に検出することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、各検出点を識別することができるため、多関節ツールの変形状態をより厳密に判別することができ、ユーザーが意図する変形状態のオブジェクトを表示することができる。
【0012】
上記の表示装置において、複数の検出点は、複数の部材に1箇所ずつ配置されていることを特徴とすることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、各部材の位置を検出することができ、各部材の位置関係を厳密に判別することができるため、変形後の各部材の位置関係を、オブジェクトとして示したい場合に、変形させた際の各部材の位置関係を、オブジェクトに厳密に反映させることができる。また、検出点を点オブジェクトとして表示した際、点オブジェクトで各部材の位置関係を表示することができる。
【0014】
上記の表示装置において、複数の検出点は、各可動連結部に1箇所ずつ配置されていることが好ましい。
【0015】
この場合、複数の部材のうちの少なくとも1つの部材は、一端を可動連結部に接続されると共に他端を自由端とする部材であり、複数の検出点は、各可動連結部および各自由端に1箇所ずつ配置されていることが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、各可動連結部の位置を検出することができ、各可動連結部の位置関係を厳密に判別することができるため、多関節ツールの変形状態をオブジェクトとして示したい場合に、変形状態をオブジェクトに厳密に反映させることができる。また、検出点を点オブジェクトとして表示した際、多関節ツールに類似したオブジェクトとなるため、ユーザーが意図した変形状態のオブジェクトを表示させやすい。
【0017】
これらの場合、オブジェクトは、各検出点に対応した各点オブジェクトと、隣接した各検出点の点オブジェクト同士を結ぶ各線オブジェクトと、により構成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、オブジェクトを点オブジェクトと線オブジェクトとにより構成することによって、図形を見やすく表示することができる。
【0019】
この場合、表示制御部は、多関節ツールに配設した操作子の操作を受けて、オブジェクトの大きさ、オブジェクトの色、線オブジェクトの線種、または点オブジェクトの点の種類を変更することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、多関節ツール上の操作で、オブジェクトの態様を変更することができる。
【0021】
この場合、表示面は、投射面であり、表示部は、投射面に映像画面を投射することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、スクリーンや壁、ホワイトボード上に上記オブジェクトを表示させることができる。すなわち、表示装置として電子黒板(インタラクティブホワイトボード)を利用することができる。
【0023】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の表示装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、本プログラムを搭載するだけで、上記の表示装置の制御方法における各ステップを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るプロジェクターシステムの模式図である。
【図2】プロジェクターシステムの制御ブロック図である。
【図3】各入力ツールを示した図である。
【図4】各入力ツールの操作に基づく表示制御を説明するための説明図である。
【図5】多関節ツールの変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照し、本発明の一実施形態に係る表示装置、表示装置の制御方法およびプログラムについて説明する。本実施形態では、表示装置であるプロジェクターを構成要素とするプロジェクターシステムを例示する。図1および図2に示すように、プロジェクターシステム1は、投射面(表示面)4に映像画面を投射するプロジェクター(表示装置)2と、投射面4上において操作を行うための複数種の入力ツール3と、により構成されている。すなわち、本プロジェクターシステム1は、電子黒板(インタラクティブホワイトボード)としての機能を有している。
【0027】
図3に示すように、入力ツール3は、投射面4に臨ませて、映像画面に対し描画を行う描画操作や、映像画面上に特定のオブジェクトを表示させる表示操作を行うためのツールであり、複数種の入力ツール3としては、ペンツール3a(電子ペン)と、三角定規ツール3bと、分度器ツール3cと、コンパスツール3dと、多角形ツール(多関節ツール)3eとがある。なお、これら各入力ツール3を複数個備える構成であっても良い。また、各入力ツール3には、1以上の変調反射部11が配設されており、変調反射部11の配設位置が各入力ツール3の位置情報を検出するための各検出点となる。各変調反射部11は、プロジェクター2から照射された赤外線を、特定のパターンに変調しつつプロジェクター2側に反射する。一方、詳細は後述するが、プロジェクター2は、この変調・反射した赤外線を受信することで、各入力ツール3における各検出点の位置情報を検出する。なお、変調反射部11により、上記特定のパターンとして、各入力ツール3および各検出点を識別する識別信号と、入力ツール3上の操作子(後述の属性変更ボタン12および属性変更ダイヤル14)の操作内容を示す操作信号を含んだパターンに変調することで、プロジェクター2が識別情報および操作情報を検出できるようになっている。
【0028】
ペンツール3aは、ペンに対し類似する形状を有すると共に、先端部に配設した変調反射部11と、側面に配設した属性変更ボタン12と、を有している。すなわち、ペンツール3aの検出点は、その先端部に配置されている。そして、ペンツール3aの先端部を投射面4上で移動させる操作により、投射画面に対する描画操作を行う。また、属性変更ボタン12を押下することで、描画する線(線オブジェクト61)の色および太さを変更することができる。
【0029】
三角定規ツール3bは、三角定規に対し類似する形状を有すると共に、離間した位置に配設した2個の変調反射部11と、本体の表面に配設された取っ手13と、取っ手13上に配設された2個の属性変更ダイヤル14と、を備えている。すなわち、三角定規ツール3bの検出点は、その本体の離間した2箇所に配置されている。そして、三角定規ツール3bの本体を投射面4に臨ませることにより、映像画面上に三角定規のオブジェクト(後述の三角定規オブジェクト62)を表示させる表示操作を行う。また、各属性変更ダイヤル14を操作することで、表示する三角定規のオブジェクトの色や大きさを変更することができる。
【0030】
分度器ツール3cは、分度器に対し類似する形状を有すると共に、離間した位置に配設した2個の変調反射部11と、本体の表面に配設された取っ手13と、取っ手13上に配設された2個の属性変更ダイヤル14と、を備えている。すなわち、分度器ツール3cの検出点は、その本体の離間した2箇所に配置されている。そして、分度器ツール3cの本体を投射面4に臨ませることにより、映像画面上に分度器のオブジェクト(後述の分度器オブジェクト63)を表示させる表示操作を行う。また、各属性変更ダイヤル14を操作することで、表示する分度器のオブジェクトの色や大きさを変更することができる。なお、三角定規ツール3bおよび分度器ツール3cにおける、オブジェクトの色を変更する属性変更ダイヤル14は、属性変更に際しクリック感を伴うものであることが好ましい。
【0031】
コンパスツール3dは、コンパスに対し類似する形状を有すると共に、2本の脚の先端部に配設された2個の変調反射部11を備えている。すなわち、コンパスツール3dの検出点は、その2本の脚の先端部に配置されている。そして、投射面4に一方の脚の先端部をあてがい、これを動かさずに回転させて、他方の脚を回転軌道で移動させることにより、映像画面に対する円弧または円の描画操作を行う。なお、コンパス同様、コンパスツール3dは、2本の脚の開き角度を可変自在になっており、任意の大きさの円を描画することができる。
【0032】
多角形ツール3eは、複数の部材21を、可動連結部22を介して連結して多角形を成すと共に、各可動連結部22に1つずつ配設された複数の変調反射部11と、複数の部材21のうちいずれか1の部材21に配設された2個の属性変更ボタン(操作子)12と、を備えている。すなわち、多角形ツール3eの検出点は、各可動連結部22に一箇所ずつ配置されている。そして、多角形ツール3eを投射面4に臨ませることにより、映像画面上に多角形のオブジェクト(後述の多角形オブジェクト65)を表示させる表示操作を行う。詳細は後述するが、多角形のオブジェクトは、線と点とで構成された図形である。各属性変更ボタン12を押下することで、多角形のオブジェクトの色や太さを変更することができる。
【0033】
図2に示すように、プロジェクター2は、信号入力部31と、ツール情報検出部(位置情報検出部)32と、投射光学系(表示部)33と、これらを統括制御する制御部34と、を備えている。請求項にいう変形状態判別部および表示制御部は、制御部34により構成されている。
【0034】
信号入力部31は、PC(Personal Computer)、USBメモリーやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部機器41から画像データを入力する。この場合、信号入力部31は、図示しないUSBポートやメモリーカードスロットにより構成される。なお、本実施形態においては、外部機器41から信号入力部31を介して画像データが入力されることとしたが、ビデオレコーダーやDVDプレーヤー等の映像機器から画像信号を入力する構成としても良い。この場合、信号入力部31は、HDMI端子、Sビデオ端子、およびビデオ端子等により構成される。
【0035】
ツール情報検出部32は、変調反射部11が変調・反射した赤外線に基づいて、各入力ツール3における各検出点の位置情報および識別情報を検出すると共に、各入力ツール3の操作情報を検出する。具体的には、ツール情報検出部32は、投射面4に赤外線を照射する赤外線照射部42と、入力ツール3の各変調反射部11により変調し反射された赤外線を受信する赤外線受信部43と、を備えており、各検出点から反射された赤外線に基づいて、各検出点の位置情報を検出する。また、識別信号および操作信号を含む特定パターンに変調させた赤外線を受信することで、識別信号に基づく入力ツール3および各検出点の識別情報および、操作信号に基づく入力ツール3の操作情報を検出する。位置情報は、投射面4上における検出点の位置の座標情報である。識別情報は、各入力ツール3および各検出点を識別するための情報である。そのため、各検出点は、異なる識別情報を有している。操作情報は、入力ツール3上の操作子(属性変更ボタン12や属性変更ダイヤル14)を操作した操作内容を示す情報である。ツール情報検出部32により、各検出点の位置情報と共に、各検出点の識別情報を検出するため、制御部34により、検出した位置情報が、どの検出点の情報であるかを識別することができる。
【0036】
投射光学系33は、投射面4上に画像を投射するものであり、光源ランプ51、液晶ライトバルブ52、投射レンズ53、ランプ駆動部54およびライトバルブ駆動部55を有している。
【0037】
光源ランプ51としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプまたは高圧水銀ランプを適用可能である。また、光源ランプ51に代えて、レーザーやLEDなどの固体光源を用いても良い。液晶ライトバルブ52は、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成され、各透明基板の内面には、液晶に対して微小領域毎に駆動電圧を印加可能な透明電極が、画素としてマトリクス状に形成されている。ランプ駆動部54は、制御部34からの点灯指令に基づいて、光源ランプ51を点灯させる。ライトバルブ駆動部55は、液晶ライトバルブ52の各画素に、画像データに応じた駆動電圧を印加することにより、各画素の光透過率を設定する。
【0038】
上記の構成により、投射光学系33では、光源ランプ51から射出された照明光が、液晶ライトバルブ52を透過することによって変調される。また、変調された画像光は、不図示の光合成光学系(ダイクロイックプリズムなど)により画素毎に合成され、投射レンズ53によって投射面4上に投射される。
【0039】
制御部34は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等により構成される。CPUは、各種演算処理を行う中央処理装置であり、各部との信号の入出力を行うことによりプロジェクター2を統括制御する。ROMは、CPUが各種演算処理を行うために用いられる制御プログラムおよび制御データを記憶している。また、ROMには、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)も記憶されている。RAMは、CPUが各種演算処理を行う際の作業領域として用いられる。なお、本実施形態では、特に、入力ツール3の操作に基づく映像画面の表示制御を行う。
【0040】
ここで図4を参照して各入力ツール3の操作に基づく表示制御について、ペンツール3a、三角定規ツール3b、分度器ツール3c、コンパスツール3d、多角形ツール3eの順で説明する。なお、各入力ツール3には、各入力ツール3間で相違する識別情報が割り当てられており、制御部34によって、ツール情報検出部32により検出した識別情報に基づき、入力ツール3の種別(ペンツール3a、三角定規ツール3b等)を判別するものとする。
【0041】
ペンツール3aに対する表示制御では、プロジェクター2は、ツール情報検出部32により、随時、ペンツール3aの変調反射部11からの赤外線を受信し、検出点の位置情報および識別情報、並びに操作情報を検出する。そして、制御部34により、検出した検出点の位置情報に基づいて、投射面4上における検出点の移動軌跡を判別する。移動軌跡を判別したら、判別した移動軌跡に対応して、映像画面上に線オブジェクト61を表示させる(図4(a)参照)。この際、操作情報に基づいて、線オブジェクト61の色および太さを変更する。すなわち、属性変更ボタン12の押下に伴って、制御部34により、線オブジェクト61の色および太さを変更する。
【0042】
三角定規ツール3bに対する表示制御では、プロジェクター2は、ツール情報検出部32により、随時、三角定規ツール3bの2個の変調反射部11からの赤外線を受信し、各検出点の位置情報および識別情報、並びに操作情報を検出する。そして、制御部34により、検出の都度、検出した位置情報に基づいて、投射面4上における三角定規ツール3bの位置および初期姿勢からの回転角度を判別する。位置および回転角度を判別したら、三角定規を示すオブジェクト(以下、三角定規オブジェクト62)を、判別した位置に対応した映像画面上の位置に表示させ、且つ、判別した回転角度に対応して映像画面上に回転表示させる(図4(b)参照)。この際、操作情報に基づいて、三角定規オブジェクト62の色および大きさを変更する。すなわち、属性変更ダイヤル14の操作に伴って、制御部34により、三角定規オブジェクト62の色および大きさを変更する。
【0043】
分度器ツール3cに対する表示制御では、プロジェクター2は、ツール情報検出部32により、随時、分度器ツール3cの2個の変調反射部11からの赤外線を受信し、各検出点の位置情報および識別情報、並びに操作情報を検出する。そして、制御部34により、検出の都度、検出した位置情報に基づいて、投射面4上における分度器ツール3cの位置および初期姿勢からの回転角度を判別する。位置および回転角度を判別したら、分度器を示すオブジェクト(以下、分度器オブジェクト63)を、判別した位置に対応した映像画面上の位置に表示させ、且つ、判別した回転角度に対応して映像画面上に回転表示させる(図4(c)参照)。この際、操作情報に基づいて、分度器オブジェクト63の色および大きさを変更する。すなわち、属性変更ダイヤル14の操作に伴って、制御部34により、分度器オブジェクト63の色および大きさを変更する。
【0044】
コンパスツール3dに対する表示制御では、プロジェクター2は、ツール情報検出部32により、随時、コンパスツール3dの2個の変調反射部11からの赤外線を受信し、各検出点の位置情報および識別情報、並びに操作情報を検出する。そして、制御部34により、検出した位置情報に基づいて、コンパスツール3dにより円弧または円を描く描画操作を判別する。当該描画操作は、支点側の検出点を動かさずに、他方の検出点を、支点側の検出点を中心とした回転軌道で移動させる操作であり、各検出点の位置変化に基づいて描画操作の有無を判別し、加えて、動作前後の各検出点の位置情報に基づいて、描画操作の支点位置と、描画操作の描画開始位置および描画終了位置とを判別する。これらを判別したら、判別した描画動作に対応して、映像画面上に円または円弧の線オブジェクト64を表示させる(図4(d)参照)。
【0045】
多角形ツール3eに対する表示制御では、プロジェクター2は、ツール情報検出部32により、随時、多角形ツール3eの各変調反射部11からの赤外線を受信し、各検出点の位置情報および識別情報、並びに操作情報を検出する(位置情報検出ステップ)。そして、制御部34により、検出の都度、検出した各検出点の位置情報および識別情報に基づいて、多角形ツール3eの変形状態と、投射面4上における多角形ツール3eの位置と、を判別する。すなわち、各検出点の位置関係に基づいて変形状態を判別する(変形状態判別ステップ)。位置および変形状態を判別したら、判別した多角形ツール3eの変形状態に対応したオブジェクト(以下、多角形オブジェクト65)を、判別した位置に対応する映像画面上の位置に表示させる(表示制御ステップ:図4(e)参照)。多角形オブジェクト65は、各検出点に対応した各点オブジェクト65aと、隣接した各検出点の点オブジェクト65a同士を結ぶ各線オブジェクト65bにより構成されている。すなわち、判別した各検出点の位置に対応した映像画面上の位置に点オブジェクト65aを表示させ、各検出点の識別情報に基づいて、これらの点オブジェクト65aを結線する線オブジェクト65bを表示させる。この際、操作情報に基づいて、多角形オブジェクト65の大きさおよび色を変更する。すなわち、属性変更ボタン12の押下に伴って、制御部34により、多角形オブジェクト65の色および大きさを変更する。
【0046】
以上のような構成によれば、多角形ツール3eの変形状態を映像画面上の多角形オブジェクト65に反映させるため、多角形ツール3eを変形させるだけで、多角形オブジェクト65(図形)を直感的な操作で容易に変形させることができる。
【0047】
また、複数の検出点は、異なる識別情報を有し、複数の検出点の位置情報を、当該各検出点の識別情報と共に検出することにより、各検出点を識別することができるため、多角形ツール3eの変形状態をより厳密に判別することができ、ユーザーが意図する変形状態のオブジェクトを表示することができる。
【0048】
さらに、複数の検出点を、各可動連結部22に1箇所ずつ配置することで、各可動連結部22の位置を検出することができ、各可動連結部22の位置関係を厳密に判別することができるため、変形状態を多角形オブジェクト65に厳密に反映させることができる。また、検出点を点オブジェクト65aとして表示した際、多角形ツール3eに類似したオブジェクトとなるため、ユーザーが意図した変形状態のオブジェクトを表示させやすい。
【0049】
またさらに、多角形オブジェクト65を点オブジェクト65aと線オブジェクト65bとにより構成することにより、図形を見やすく表示することができる。
【0050】
また、制御部34により、多角形ツール3eに配設した属性変更ボタン12の操作を受けて、多角形オブジェクト65の大きさおよび色を変更することで、多角形ツール3e上の操作で、多角形オブジェクト65の態様(見た目)を変更することができる。なお、多角形オブジェクト65の大きさおよび色の他、線オブジェクト65bの線種(線の色や太さ)や点オブジェクト65aの点の種類(点の色や大きさ)を変更する構成であっても良い。
【0051】
なお、本実施形態においては、複数の部材21を可動連結部22を介して連結した多関節ツールとして、両端を連結して輪状にした多角形ツール3eを本発明に適用したが、両端を有したツール3f(図5(a)参照)を本発明に適用しても良い。かかる場合、両端の2つの部材21が、一端が可動連結部22に接続されると共に他端を自由端とする部材21となるが、この自由端にも、1箇所ずつ検出点を配置することが好ましい。また、多関節ツールの形状は、これらに限るものではなく、例えば、枝分かれした木構造の形状等であっても良い。
【0052】
また、本実施形態においては、多角形ツール3e(多関節ツール)において、複数の検出点を、各可動連結部22に1箇所ずつ配置する構成であったが、複数の検出点を、各部材21に1箇所ずつ配置する構成であっても良い(図5(b)参照)。各部材21の位置を検出することができ、各部材21の位置関係を厳密に判別することができるため、変形させた際の各部材21の位置関係を、オブジェクトに厳密に反映させることができる。また、検出点を点オブジェクト65aとして表示した際、点オブジェクト65aで各部材21の位置関係を表示することができる。
【0053】
また、本実施形態においては、多角形の授業に利用するべく、多角形オブジェクト65を表示する構成であったが、星座の授業に利用すべく、多関節ツールの変形状態に対応した星座のオブジェクトを表示する構成であっても良い。
【0054】
さらに、本実施形態においては、各検出点で赤外線を変調、反射させ、これを受信して各検出点の位置情報および識別情報を検出する構成であったが、各検出点に画像認識により識別可能なマークを配置し、当該マークをカメラで画像認識することで、投射面4上における検出点の位置情報および識別情報を検出する構成であっても良い。また、ホワイトボードのボード面を投射面4とする場合には、当該ボード面全域をセンサーとして機能させ、各検出点の位置情報および識別情報を検出する構成であっても良い。
【0055】
またさらに、本実施形態においては、投射面4に映像画面を投射するプロジェクター2に本発明を適用したが、映像画面を表示するディスプレイ装置(モニター)に本発明を適用しても良い。かかる場合、請求項にいう表示面は、ディスプレイ装置そのものではなく、ディスプレイ装置の映像画面を映す面の部分である。
【符号の説明】
【0056】
2:プロジェクター、 3e:多関節ツール、 4:投射面、 12:属性変更ボタン、 21:部材、 22:可動連結部、 32:ツール情報検出部、 33:投射光学系、 34:制御部、 65:多角形オブジェクト、 65a:各点オブジェクト、 65b:各線オブジェクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面上に映像画面を表示する表示部と、
複数の部材を、可動連結部を介して連結した多関節ツールにおいて、当該多関節ツールの前記各部材または前記各可動連結部に配した複数の検出点の位置情報を検出する位置情報検出部と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
検出した前記各検出点の位置情報に基づいて、前記多関節ツールの変形状態を判別する変形状態判別部と、
前記多関節ツールの変形状態に対応したオブジェクトを表示させる表示制御部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の検出点は、異なる識別情報を有し、
前記位置情報検出部は、前記各検出点の位置情報を、当該各検出点の識別情報と共に検出することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の検出点は、前記複数の部材に1箇所ずつ配置されていることを特徴とすることを特徴とする請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の検出点は、前記各可動連結部に1箇所ずつ配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の部材のうちの少なくとも1つの部材は、一端が前記可動連結部に接続されると共に他端を自由端とする部材であり、
前記複数の検出点は、前記各可動連結部および前記各自由端に1箇所ずつ配置されていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記オブジェクトは、前記各検出点に対応した各点オブジェクトと、隣接した前記各検出点の前記点オブジェクト同士を結ぶ各線オブジェクトと、により構成されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記多関節ツールに配設した操作子の操作を受けて、前記オブジェクトの大きさ、前記オブジェクトの色、前記線オブジェクトの線種、または前記点オブジェクトの点の種類を変更することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示面は、投射面であり、
前記表示部は、前記投射面に前記映像画面を投射することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
表示面上に映像画面を表示する表示装置の制御方法であって、
前記表示装置が、
複数の部材を、可動連結部を介して連結した多関節ツールにおいて、当該多関節ツールの前記各部材または前記各可動連結部に配した複数の検出点の位置情報を検出する位置情報検出ステップと、
検出した前記各検出点の位置情報に基づいて、前記多関節ツールの変形状態を判別する変形状態判別ステップと、
前記映像画面上に、前記多関節ツールの変形状態に対応したオブジェクトを表示させる表示制御ステップと、を実行することを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項11】
コンピューターに、請求項10に記載の表示装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−45324(P2013−45324A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183382(P2011−183382)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】