説明

補助ミラーの固定構造

【課題】ネジ等の接続部材を省略あるいはその本数を減らすことができるとともに容易に組み付けることができる補助ミラーの固定構造を提供することを課題とする。
【解決手段】ミラーボデー3と、ミラーボデー3に固定された本体ミラー及び補助ミラー5と、を備えたドアミラーにおける補助ミラーの固定構造Zであって、ミラーボデー3は、弾性変形可能に形成された弾性係合部(15,25)を有し、補助ミラー5は、弾性係合部(15,25)と係合する被係合部(41,51)を有し、弾性係合部(15,25)は、補助ミラー5をミラーボデー3に組み付ける際に、被係合部(41,51)に押されて変形し、元の状態に復元することにより被係合部(41,51)と係合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアミラーに固定される補助ミラーの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の前輪側方近傍は、ドライバーの死角になるという問題がある。特に、左右の前輪のうち、運転席とは反対側の前輪側方近傍はドライバーが視認することが困難になる。この問題を解決するために、ドアミラーに前輪側方近傍を視認可能な補助ミラーを設置することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のドアミラーは、ミラーボデーと、ミラーボデーの一方側に固定された本体ミラーと、ミラーボデーの他方側に固定された補助ミラーとで構成されている。通常、補助ミラーは樹脂成形品をメッキ処理したものが使用されている。このドアミラーによれば、本体ミラーで車両の後方を視認することができるとともに、補助ミラーで前輪側方近傍を視認することができる。
【0004】
従来、ミラーボデーと補助ミラーとは、ネジ等の接合部材を介して固定されていた。具体的には、ミラーボデーに形成されたボス受け部と、補助ミラーに形成されたボスと、接合部材とを有し、前記ボス受けと前記ボスとを連通させて接合部材で締結することにより、補助ミラーが固定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−173246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のようにネジのみによる固定であると組み付け性が悪いという問題があった。つまり、従来の構造では、ミラーボデーの意匠面を上向きとして、補助ミラーを上方からミラーボデーに配置し、次に、ミラーボデーを反転させて、ミラーボデーの意匠面を下向きとして接合部材を締結する必要があった。この反転作業は、片手でミラーボデーをひっくり返し、もう片方の手で補助ミラーが落ちないように支える必要があるため面倒であった。
【0007】
また、補助ミラーに弾性変形可能な係合爪等を設けて、ミラーボデーと補助ミラーとを係合させる方法も考えられるが、樹脂成形品にメッキ処理を行うと、成形品自体が硬化するため、係合爪が十分に弾性変形しなくなるおそれがある。また、補助ミラーに係合爪を設けると、撓みによりミラー表面に歪みが生じるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、ネジ等の接続部材を省略あるいはその本数を減らすことができるとともに容易に組み付けることが可能な補助ミラーの固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために本発明は、ミラーボデーと、前記ミラーボデーに固定された本体ミラー及び補助ミラーと、を備えたドアミラーにおける補助ミラーの固定構造であって、前記ミラーボデーは、弾性変形可能に形成された弾性係合部を有し、前記補助ミラーは、前記弾性係合部と係合する被係合部を有し、前記弾性係合部は、前記補助ミラーを前記ミラーボデーに組み付ける際に、前記被係合部に押されて変形し、元の状態に復元することにより前記被係合部と係合することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、ミラーボデーに形成された弾性係合部と、補助ミラーに形成された被係合部とを係合させるだけでミラーボデーに対して補助ミラーを固定することができるため、容易に組み付けることができる。また、ミラーボデー側に弾性係合部を設けるため、補助ミラーにメッキ処理を施したとしても、弾性係合部に影響が及ぶことがない。また、補助ミラー側には弾性係合部を設けないため、補助ミラーの表面の歪みを防ぐことができる。
【0011】
また、前記弾性係合部は、先端が自由端となる基部と、前記基部の先端側に形成された爪部とを備え、前記被係合部は、前記補助ミラーの裏面から立ち上がる側壁部と、前記側壁部に接続され前記ミラーボデーに対向する対向壁部と備え、前記対向壁部には、係合孔部が形成されており、前記爪部が前記係合孔部の開口縁部に掛止されることが好ましい。かかる構成によれば、簡易な固定構造とすることができる。
【0012】
また、前記被係合部は、前記対向壁部と前記側壁部とを連結する補強壁部を有することが好ましい。かかる構成によれば、被係合部の強度を高めることができる。
【0013】
また、前記弾性係合部は、前記ミラーボデーの裏面から前記補助ミラーとは離間する方向に延設されており、前記被係合部は、前記補助ミラーの裏面から立ち上がる側壁部と、前記側壁部に接続され前記ミラーボデーに対向する対向壁部と、前記対向壁部から張り出す突起部とを備え、前記弾性係合部は、前記突起部に押されて変形し、前記突起部が前記弾性係合部に掛止されることが好ましい。かかる構成によれば、簡易な固定構造とすることができる。
【0014】
また、前記被係合部は、前記突起部を補強するリブを有することが好ましい。かかる構成によれば、突起部の強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る補助ミラーの固定構造によれば、ネジ等の接続部材を省略あるいはその本数を減らすことができるとともに容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態に係るドアミラーの全体斜視図である。
【図2】第一実施形態に係るドアミラーの全体分解斜視図である。
【図3】第一実施形態に係る補助ミラーの固定構造を示す分解斜視図である。
【図4】第一実施形態に係る補助ミラーを示す図であって、(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図5】第一実施形態に係る補助ミラーの組み付け状態を示す模式断面図であって、(a)は組み付け前、(b)は組み付け後を示す。
【図6】第二実施形態に係る補助ミラーの固定構造を示す分解斜視図である。
【図7】第二実施形態に係る補助ミラーの固定構造を示す分解斜視図である。
【図8】第二実施形態に係る補助ミラーの組み付け状態を示す断面図であって、(a)、(b)は組み付け前、(c)は組み付け後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。第一実施形態に係るドアミラー1は、図1に示すように、車両Sの側部に設けられており、ミラーベース2と、ミラーボデー3と、本体ミラー4と、補助ミラー5とで主に構成されている。補助ミラーの固定構造Zは、ミラーボデー3に対する補助ミラー5の固定構造に関する。以下の説明における上下左右前後は、ドアミラー1の使用時の状態(ドアミラー1が側方に張り出した状態)を基準とし図1の矢印にしたがう。また、各部材における前側の面を表面、後側の面を裏面とする。
【0018】
ミラーベース2は、車両Sの側部に設けられている。ミラーベース2は、ミラーボデー3を上下方向軸回りに回転可能に支持する部位である。
【0019】
ミラーボデー3は、ドアミラー1の外殻を構成する筐体であって、その内部にシャフトやミラーベース等のドアミラー1の構成部品を収納する。ミラーボデー3の後側には、後方を視認するための本体ミラー4が取り付けられている。ミラーボデー3は、その下側を構成するボデー下部7と、その上側を構成するボデー上部8とで構成されている。
【0020】
ボデー下部7は、図2に示すように、補助ミラー5が配置される補助ミラー配置部9と、補助ミラー配置部9から左側に張り出された張出部10とを備えている。補助ミラー配置部9は、ボデー下部7の表面の右側(車両S側)に設けられている。
【0021】
補助ミラー配置部9は、第一凹部11と、第二凹部21とを備えている。第一凹部11は、補助ミラー配置部9の右上側に形成されている。第一凹部11は、前側から見て長方形状を呈しており、その長手方向が左右方向に延設されている。第二凹部21は、補助ミラー配置部9の左下側に形成されている。第二凹部21は、前側から見て長方形状を呈しており、その長手方向が上下方向に延設されている。
【0022】
第一凹部11は、4つの第一側部12(12a,12b,12c,12d)と、第一凹部11の底に形成された第一底部13と、第一底部13に形成された第一ボス受け14と、第一底部13に形成された第一弾性係合部15と、第一底部13に形成された第一開口部16とで主に構成されている。
【0023】
4つの第一側部12は、図2及び図3に示すように、補助ミラー配置部9から後方に延設されている。第一凹部11において、第一側部12aは上側、第一側部12bは下側、第一側部12cは左側、第一側部12dは右側をそれぞれ構成する。
【0024】
第一底部13は、第一凹部11の底を構成する部位である。第一底部13には、接合部材Bが通る第一貫通孔13aが形成されている。
【0025】
第一ボス受け14は、円筒状を呈し、第一底部13に第一貫通孔13aと同心で形成されている。
【0026】
第一弾性係合部15は、第一底部13から前側に向けて延設された第一基部15aと、第一基部15aの先端に形成された第一爪部15bと、第一基部15aの基端に形成された第一リブ15cとを備えている。
【0027】
第一基部15aは、板状部材であって、その先端が自由端になっている。また、第一基部15aは、第一ボス受け14と第一開口部16との間に形成され、その面外方向が左右方向を向くように配置されている。これにより、第一弾性係合部15は、基端を支点として左右方向に弾性変形可能になっている。第一基部15aの長さは、第一ボス受け14の軸方向の長さよりも長くなっている。
【0028】
第一爪部15bは、第一基部15aの先端から左側(第一基部15aに対して第一ボス受け14の反対側)に向けて突出している。また。第一爪部15bは、先端に向けて先細りとなるテーパー面を備えている。
【0029】
第一リブ15cは、第一底部13と第一基部15aとを連結する板状部材である。第一リブ15cは、第一底部13及び第一基部15aに対してそれぞれ垂直となるように配置されている。第一リブ15cを設けることで、第一基部15aの基端側の強度を高めることができる。
【0030】
第一開口部16は、第一弾性係合部15の左側に形成されている。
【0031】
第二凹部21は、4つの第二側部22(22a,22b,22c,22d)と、第二凹部21の底に形成された第二底部23と、第二底部23に形成された第二ボス受け24と、第二底部23に形成された第二弾性係合部25と、第二底部23に形成された第二開口部26とで主に構成されている。
【0032】
4つの第二側部22は、補助ミラー配置部9から後方に延設されている。第二凹部21において、第二側部22aは上側、第二側部22bは下側、第二側部22cは左側、第二側部22dは右側をそれぞれ構成する。
【0033】
第二底部23は、第二凹部21の底を構成する部位である。第二底部23には、接合部材Bが通る第二貫通孔23aが形成されている。
【0034】
第二ボス受け24は、円筒状を呈し、第二底部23において第二貫通孔23aと同心で形成されている。
【0035】
第二弾性係合部25は、第二底部23から前側に向けて延設された第二基部25aと、第二基部25aの先端に形成された第二爪部25bと、第二基部25aの基端に形成された第二リブ25cとを備えている。
【0036】
第二基部25aは、板状部材であって、その先端が自由端になっている。また、第二基部25aは、第二ボス受け24と第二開口部26との間に形成され、その面外方向が左右方向を向くように配置されている。これにより、第二弾性係合部25は、基端を支点として左右方向に弾性変形可能になっている。第二基部25aの長さは、第二ボス受け24の軸方向の長さよりも長くなっている。
【0037】
第二爪部25bは、第二基部25aの先端から右側に向けて突出している。つまり、第二爪部25bと第一爪部15bとは対向するように配置されている。また、第二爪部25bは、先端に向けて先細りとなるテーパー面を備えている。
【0038】
第二リブ25cは、第二底部23と第二基部25aとを連結する板状部材である。第二リブ25cは、第二底部23及び第二基部25aに対してそれぞれ垂直となるように配置されている。第二リブ25cを設けることで、第二基部25aの基端側の強度を高めることができる。
【0039】
第二開口部26は、第二弾性係合部25の右側に形成されている。
【0040】
補助ミラー5は、図3に示すように、本体部31と、第一凸部41と、第二凸部51とで構成されている。第一凸部41は、第一凹部11と対応する位置に形成され、第二凸部51は、第二凹部21と対応する位置に形成されている。
【0041】
本体部31は、車両Sの前輪側方を映し出す表面31aと、補助ミラー配置部9と対向する裏面31bとを有する。補助ミラー5は、樹脂成型品であって、全体に金属メッキが施されている。
【0042】
第一凸部41(被係合部)は、図4の(a)に示すように、裏面31bに立ち上がる一対の第一側壁部42,43と、第一側壁部42,43を連結する第一対向壁部44と、第一補強壁部45とで主に構成されている。第一凸部41の上側には開口が形成されている。
【0043】
第一対向壁部44は、補助ミラー配置部9に対向する部位である。第一対向壁部44は、第一側壁部42,43の後端同士を連結する。第一対向壁部44には、第一ボス46と、第一係合孔部47とが形成されている。
【0044】
第一ボス46は、円筒状を呈し、接合部材Bが締結される部位である。第一ボス46は、第一対向壁部44の裏面から後方に向かって突出している。第一ボス46は、第一ボス受け14よりも小さな外径で形成されており、第一ボス受け14とほぼ隙間なく嵌合する。第一係合孔部47は、図3に示すように、後側から見て長方形状を呈しており、その長手方向が上下方向と平行になるように貫通している。
【0045】
第一補強壁部45は、図4の(a)に示すように、第一側壁部42,43と第一対向壁部44とを連結する板状部材である。第一補強壁部45を設けることで、第一凸部41の強度を向上させることができる。第一補強壁部45と裏面31bとの間には、隙間があいている。この隙間は、金属メッキ処理を行う際の溶液を逃がす液抜け孔となる部位である。
【0046】
第二凸部(被係合部)51は、図4の(b)に示すように、裏面31bに立ち上がる一対の第二側壁部52,53と、第二側壁部52,53を連結する第二対向壁部54と、第二補強壁部55とで主に構成されている。第二凸部51の左側には開口が形成されている。
【0047】
第二対向壁部54は、補助ミラー配置部9に対向する部位である。第二対向壁部54は、第二側壁部52,53の後端同士を連結する。第二対向壁部54には、第二ボス56と、第二係合孔部57とが形成されている。
【0048】
第二ボス56は、円筒状を呈し、接合部材Bが締結される部位である。第二ボス56は、第二対向壁部54の裏面から後方に向かって突出している。第二ボス56は、第二ボス受け24よりも小さな外径で形成されており、第二ボス受け24とほぼ隙間なく嵌合する。第二係合孔部57は、図3に示すように、後側から見て長方形状を呈しており、その長手方向が上下方向と平行になるように貫通している。
【0049】
第二補強壁部55は、図4の(b)に示すように、第二側壁部52,53と第二対向壁部54とを連結する板状部材である。第二補強壁部55を設けることで、第二凸部51の強度を向上させることができる。第二補強壁部55と裏面31bとの間には、隙間があいている。この隙間は、金属メッキ処理を行う際の溶液を逃がす液抜け孔となる部位である。
【0050】
次に、補助ミラー5の組み付け方法について説明する。まず、図5の(a)に示すように、補助ミラー5の第一凸部41とボデー下部7の第一凹部11とを嵌め合わせるとともに、補助ミラー5の第二凸部51とボデー下部7の第二凹部21とを嵌め合わせる。これらの嵌め合わせの作業はほぼ同時に行われる。
【0051】
具体的には、第一ボス受け14に第一ボス46を挿入させつつ、第一係合孔部47に第一弾性係合部15を挿入させる。これと同時に、第二ボス受け24に第二ボス56を挿入させつつ、第二係合孔部57に第二弾性係合部25を挿入させる。
【0052】
この際、図5の(a)に示すように、補助ミラー5の組み付け時の入力によって、第一弾性係合部15は第一係合孔部47に押されるとともに、第二弾性係合部25は第二係合孔部57に押される。つまり、補助ミラー5の組み付け時の入力によって、第一弾性係合部15及び第二弾性係合部25は互いに離間する方向に変形する。
【0053】
そして、第一爪部15bが第一係合孔部47を完全に通過すると第一弾性係合部15が元の状態に復元し、図5の(b)に示すように、第一爪部15bと第一係合孔部47とが係合する。より詳しくは、第一爪部15bが、第一係合孔部47の開口縁部に掛止される。また、第一ボス46の先端が、第一底部13に当接する。
【0054】
同様に、第二爪部25bが第二係合孔部57を完全に通過すると第二弾性係合部25が元の状態に復元し、第二爪部25bと第二係合孔部57とが係合する。より詳しくは、第二爪部25bが、第二係合孔部57の開口縁部に掛止される。また、第二ボス56(図4の(b)参照)の先端が、第二底部23(図2参照)に当接する。これにより、補助ミラー5がボデー下部7に仮固定される。
【0055】
次に、図3に示すように、補助ミラー配置部9の裏側から第一貫通孔13a及び第一ボス46に接合部材Bを締結するとともに、第二貫通孔23a及び第二ボス56に接合部材Bを締結する。接合部材Bにより、補助ミラー5がボデー下部7に本固定される。
【0056】
本実施形態では、組み付け時に、第一弾性係合部15と第二弾性係合部25とが互いに離間する方向に弾性変形するため、補助ミラー5の左右方向の移動が規制され、係合作業をスムーズに行うことができる。また、本実施形態では、第一ボス受け14に第一ボス46が挿入されるとともに、第二ボス受け24に第二ボス56が挿入されることにより、ボデー下部7に対して補助ミラー5の上下方向及び左右方向の移動が規制されるため、係合作業をよりスムーズに行うことができる。
【0057】
以上説明した第一実施形態に係る補助ミラーの固定構造Zによれば、ミラーボデー3に形成された第一弾性係合部15が、補助ミラー5に形成された第一係合孔部47に係合するとともに、ミラーボデー3に形成された第二弾性係合部25が、第二係合孔部57に係合するだけでミラーボデー3に対して補助ミラー5を固定することができる。これにより、従来のように組み付けの際にミラーボデー3を反転させる必要が無いため、組み付け性を高めることができる。
【0058】
また、ミラーボデー3側に第一弾性係合部15及び第二弾性係合部25を設けるため、補助ミラー5にメッキ処理を施したとしても、弾性係合部に影響が及ぶことがない。また、補助ミラー5には弾性係合部を設けないため、補助ミラー5の表面31aの歪みの発生を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、第一係合孔部47に第一爪部15bを係合させ、第二係合孔部57に第二爪部25bを係合させるようにしたため、簡易な構成にすることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、2本の接合部材Bを用いているが、第一弾性係合部15及び第二弾性係合部25と第一係合孔部47及び第二係合孔部57とがそれぞれ確実に固定できるのであれば、接合部材Bを省略してもよいし、接合部材Bの本数を減らしてもよい。また、本実施形態では、弾性係合部及び被係合部を2つずつ設けたが、1つ又は3つ以上ずつ設けてもよい。
【0061】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。図6に示すように、第二実施形態に係る補助ミラーの固定構造Z1では、補助ミラー105の係合状態が第一実施形態と相違する。
【0062】
図6に示すように、ボデー下部107は、補助ミラー配置部109と、張出部110とを備えている。補助ミラー配置部109は、第一凹部111と、第二凹部121とを備えている。
【0063】
第一凹部111は、図7に示すように、第一側部112,113,114,115と、第一底部116と、第一ボス受け117と、第一弾性係合部118とを備えている。第一側部112〜115は、補助ミラー配置部109の裏面109aから後方に延設される部位である。第一凹部111において、第一側部112は上側、第一側部113は下側、第一側部114は左側、第一側部115は右側をそれぞれ構成する。第一側部112,113はほぼ平行になっている。第一側部114,115は裏面109aから離間するにつれて互いに近づくように傾斜している。
【0064】
第一底部116は、第一凹部111の底を構成する部位である。第一ボス受け117は、第一底部116に形成されている。第一ボス受け117は、第一底部116から後方に向けて窪んで形成されている。第一ボス受け117の底には第一貫通孔117aが形成されている。
【0065】
第一弾性係合部118は、第一側部114の内部に形成されており、係合片部118aと、係合片部118aの周囲に形成された第一開口部118bとで構成されている。第一弾性係合部118は、板状呈し、先端側が自由端になっている。第一弾性係合部118の面外方向が左右方向を向くように配置されている。これにより、第一弾性係合部118は、基端を支点に左右方向に弾性変形可能となる。
【0066】
第二凹部121は、第二側部122,123,124,125と、第二底部126と、第二ボス受け127とを備えている。第二側部122〜125は、補助ミラー配置部109の裏面109aから後方に延設されている。第二凹部121において、第二側部122は上側、第一側部123は下側、第一側部124は左側、第一側部125は右側をそれぞれ構成する。
【0067】
第二底部126は、第二凹部121の底を構成する部位である。第二ボス受け127は、第二底部126に形成されている。第二ボス受け127は、第二底部126から後方に向けて窪んで形成されている。第二ボス受け127の底には第二貫通孔127aが形成されている。
【0068】
補助ミラー105は、図7に示すように、本体部131と、第一凸部141と、第二凸部151とで構成されている。第一凸部141は、第一凹部111と対応する位置に形成され、第二凸部151は、第二凹部121に対応する位置に形成されている。
【0069】
第一凸部(被係合部)141は、本体部131の裏面131bから立ち上がる3つの第一側壁部142,143,144と、第一側壁部142〜144の後端に形成された第一対向壁部145と、第一対向壁部145に立設された第一ボス146と、第一対向壁部145から突出する突起部147と、リブ148とで構成されている。
【0070】
第一側壁部142〜144は、本体部131の裏面131bから後方に延設された板状の部位である。第一凸部141において、第一側壁部142は上側、第一側壁部143は下側、第一側壁部144は右側をそれぞれ構成する。第一側壁部142と第一側壁部143は略平行になっている。第一側壁部144は、裏面131bから離間するにつれて左側に傾斜するように形成されている。第一側壁部144の対面側は開口している。
【0071】
第一対向壁部145は、第一側壁部142〜144の後端側を連結し、補助ミラー配置部109に対向する部位である。
【0072】
第一ボス146は、第一対向壁部145に立設されており、円筒状を呈する。第一ボス146は、組み付け時に第一ボス受け117内に配置される。
【0073】
突起部147は、第一対向壁部145の面内方向に沿って左側に張り出している。突起部147と第一対向壁部145の板厚は略同等になっている。また、突起部147は、組み付け時に弾性変形しないように形成されている。
【0074】
リブ148は、第一対向壁部145と第一ボス146と突起部147とを連結する板状部位である。リブ148は、突起部147に対して垂直に延設されている。リブ148は、突起部147の強度を高めるために設けられている。
【0075】
第二凸部151は、本体部131の裏面131bから立ち上がる3つの第二側壁部152,153,154と、第二側壁部152〜154の後端に形成された第二対向壁部155と、第二対向壁部155に立設された第二ボス156とで構成されている。
【0076】
第二側壁部152〜154は、本体部131の裏面131bから後方に延設されている。第二凸部151において、第二側壁部152は上側、第二側壁部153は下側、第二側壁部154は右側をそれぞれ構成する。第二側壁部152と第二側壁部153は略平行になっている。第二側壁部154は、裏面131bから離間するにつれて左側に傾斜するように形成されている。第二側壁部154の対面側は開口している。
【0077】
次に、補助ミラー105の組み付け方法について説明する。まず、図8の(a)に示すように、ボデー下部107の第一凹部111と補助ミラー105の第一凸部141とを嵌め合わせるとともに、ボデー下部107の第二凹部121と補助ミラー105の第二凸部151とを嵌め合わせる。これらの嵌め合わせの作業はほぼ同時に行われる。
【0078】
図8の(a)及び(b)に示すように、第一凹部111の第一ボス受け117に向かって補助ミラー105を移動させると、第一側部114が右側に傾斜しているため、突起部147が係合片部118aに当接する。さらに、補助ミラー105を移動させると、係合片部118aが、突起部147によって外側(左側)に押し込まれて変形する。
【0079】
突起部147が係合片部118aを完全に通過すると、図8の(c)に示すように、係合片部118aが元の状態に復元するとともに突起部147が第一開口部118bに配置され、突起部147の表面(裏面131bに対向する面)と第一弾性係合部118の先端とが掛止する。また、第一ボス146の先端が第一ボス受け117の底面に当接する。
【0080】
また、第一凹部111及び第一凸部141とも後方に向けて先細りとなるように形成されているため、第一凹部111の第一側部112,113,115が、第一凸部141の第一側壁部142,143,144にそれぞれ当接するか、もしくは微細な隙間をあけて対向することにより、第一凹部111に対する第一凸部141の移動が拘束される。
【0081】
また、ボデー下部107の第二凹部121と、補助ミラー105の第二凸部151とが嵌め合わされる。具体的な図示は省略するが、第二凹部121及び第二凸部151とも後方に向けて先細りとなるように形成されているため、第二凹部121の第二側部122,123,125が、第二凸部151の第二側壁部152,153,154にそれぞれ当接するか、もしくは微細な隙間をあけて対向することにより、第二凹部121に対する第二凸部151の移動が拘束される。以上により、補助ミラー105がボデー下部107に仮固定される。
【0082】
次に、図7に示すように、ボデー下部7の裏側から第一貫通孔117a及び第一ボス146に接合部材(図示省略)を締結するとともに、第二貫通孔127a及び第二ボス156に接合部材を締結する。接合部材により、補助ミラー105がボデー下部107に本固定される。このように第二実施形態であっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。
【0083】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、第二実施形態では、1つの弾性係合部と、1つの被係合部とを係合させたが、それぞれ2つ以上設けて係合させてもよい。また、第二本実施形態では、2本の接合部材Bを用いているが、弾性係合部と被係合部とが確実に固定できるのであれば、接合部材Bを省略してもよいし、接合部材Bの本数を減らしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 ドアミラー
2 接合部
3 ミラーボデー
4 本体ミラー
5 補助ミラー
7 ボデー下部
8 ボデー上部
9 補助ミラー配置部
10 張り出し部
11 第一凹部
15 第一弾性係合部
15a 第一基部
15b 第一爪部
21 第二凹部
25 第二弾性係合部
25a 第一基部
25b 第一爪部
31 本体部
41 第一凸部(被係合部)
42 第一側壁部
43 第一側壁部
44 第一対向壁部
45 補強壁部
46 第一ボス
47 第一係合孔部
51 第二凸部(被係合部)
52 第二側壁部
53 第二側壁部
54 第二対向壁部
55 補強壁部
56 第二ボス
57 第二係合孔部
111 第一凹部
118 第一弾性係合部
118a 係合片部
118b 第一開口部
121 第二凹部
131 本体部
141 第一凸部(被係合部)
147 突起部
148 リブ
151 第二凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーボデーと、前記ミラーボデーに固定された本体ミラー及び補助ミラーと、を備えたドアミラーにおける補助ミラーの固定構造であって、
前記ミラーボデーは、弾性変形可能に形成された弾性係合部を有し、
前記補助ミラーは、前記弾性係合部と係合する被係合部を有し、
前記弾性係合部は、前記補助ミラーを前記ミラーボデーに組み付ける際に、前記被係合部に押されて変形し、元の状態に復元することにより前記被係合部と係合することを特徴とする補助ミラーの固定構造。
【請求項2】
前記弾性係合部は、先端が自由端となる基部と、前記基部の先端側に形成された爪部とを備え、
前記被係合部は、前記補助ミラーの裏面から立ち上がる側壁部と、前記側壁部に接続され前記ミラーボデーに対向する対向壁部と備え、
前記対向壁部には、係合孔部が形成されており、
前記爪部が前記係合孔部の開口縁部に掛止されることを特徴とする請求項1に記載の補助ミラーの固定構造。
【請求項3】
前記被係合部は、前記対向壁部と前記側壁部とを連結する補強壁部を有することを特徴とする請求項2に記載の補助ミラーの固定構造。
【請求項4】
前記弾性係合部は、前記ミラーボデーの裏面から前記補助ミラーとは離間する方向に延設されており、
前記被係合部は、前記補助ミラーの裏面から立ち上がる側壁部と、前記側壁部に接続され前記ミラーボデーに対向する対向壁部と、前記対向壁部から張り出す突起部とを備え、
前記弾性係合部は、前記突起部に押されて変形し、前記突起部が前記弾性係合部に掛止されることを特徴とする請求項1に記載の補助ミラーの固定構造。
【請求項5】
前記被係合部は、前記突起部を補強するリブを有することを特徴とする請求項4に記載の補助ミラーの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112184(P2013−112184A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260590(P2011−260590)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】