説明

複数ロボット間の相対位置計算方法

【課題】複数のロボット間の相対位置を正確に計算する。
【解決手段】第1のロボット1のフランジ面17aと接合治具7の一端側の接合面7aとを接合すると共に第2のロボット2のフランジ面27aと接合治具7の他端側の接合面7bとを接合し、接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボット1,2の位置及び姿勢を表す測定データを取得し、同一直線上に存在しない3点以上の測定点で取得した各ロボット1,2の測定データを計算してロボット1,2間の相対位置を計算する。第1のロボット1の位置及び姿勢を変化させることに追従して接合治具7を介して第2のロボット2の位置及び姿勢を変化させることができ、第1のロボット1が教示する点と第2のロボット2が教示する点とを確実に同一にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、協調して作業する複数のロボット間の相対位置を計算する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
協調して作業する複数のロボット間の相対位置(位置及び姿勢)を計算する方法として、例えば特許文献1に記載されている方法がある。
【特許文献1】特開2005−125478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、各々のロボットが別々に少なくとも3点を教示して複数のロボット間の相対位置を計算する方法があるが、この方法では、一のロボットが教示する点と他のロボットが教示する点とを同一にすることが困難であるので、相対位置を正確に計算することが困難であるという問題があった。また、各々のロボットが別々に教示する点を増やして冗長性を持たせる方法も考えられるが、その方法では、一のロボットが教示する点と他のロボットが教示する点とを同一にするのに時間及び労力を要するという新たな問題がある。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のロボット間の相対位置を正確に計算することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、複数のロボットのアームに設けられているフランジ面同士を接合し、その接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボットの位置及び姿勢を表す測定データを取得する作業を同一直線上に存在しない3点以上の測定点に対して行い、それぞれの測定点で取得した各ロボットの測定データを計算して複数のロボット間の相対位置を計算するようにした。これにより、複数のロボットのフランジ面同士を接合した状態で当該接合箇所を測定点に移動させるので、一のロボットの位置及び姿勢を変化させることに追従(同期)して他のロボットの位置及び姿勢を変化させることができ、一のロボットが教示する点と他のロボットが教示する点とを確実に同一にすることができる。よって、冗長性を持たせない3点の測定点で測定する場合に、複数のロボット間の相対位置を正確に計算することができる。しかも、冗長性を持たせるために4点以上の測定点で測定する場合であっても、フランジ面同士を接合するので、4点以上の測定点に移動させる際にズレを発生し難くすることができ、複数のロボット間の相対位置を正確に且つ迅速に計算することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明によれば、複数のロボットのうちリモートティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させてフランジ面同士を接合するようにした。これにより、ロボットの位置及び姿勢を変化させる方法としてリモートティーチングによる方法(作業者がロボットに直接触れることなく例えばティーチングペンダントを操作して位置及び姿勢を遠隔操作により変化させる方法)とダイレクトティーチングによる方法(作業者がロボットに直接触れて外力を与えて位置及び姿勢を手動により変化させる方法)とがあるが、前者は後者よりも位置及び姿勢を微調整可能に変化させることができるので、リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットのフランジの位置及び姿勢を微調整しながらフランジ面同士を接合することができ、フランジ面同士を正確に接合することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明によれば、複数のロボットのうちダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させてフランジ同士を近付けた後に、複数のロボットのうちリモートティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させてフランジ面同士を接合するようにした。これにより、複数のロボットのフランジ同士が大きく離れている場合であっても、ダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットに外力を与えて当該ロボットのフランジを他のロボットのフランジ付近に移動させて近付け、その後に、上記した請求項2に記載した方法を実施することにより、フランジ面同士を正確に且つ迅速に接合することができる。
【0008】
請求項4に記載した発明によれば、複数のロボットのうち一のロボットのアームに設けられているフランジ面と接合治具の一の接合面とを接合すると共に、複数のロボットのうち他のロボットのアームに設けられているフランジ面と接合治具の他の接合面とを接合し、いずれかの接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボットの位置及び姿勢を表す測定データを取得する作業を同一直線上に存在しない3点以上の測定点に対して行い、それぞれの測定点で取得した各ロボットの測定データを計算して複数のロボット間の相対位置を計算するようにした。これにより、複数のロボットのうち一のロボットのフランジ面と接合治具の一の接合面とを接合すると共に他のロボットのフランジ面と接合治具の他の接合面とを接合した状態で当該いずれかの接合箇所を測定点に移動させるので、一のロボットの位置及び姿勢を変化させることに追従(同期)して接合治具を介して他のロボットの位置及び姿勢を変化させることができ、一のロボットが教示する点と他のロボットが教示する点とを確実に同一にすることができる。よって、複数のロボットを接合治具を介して接続する構成においても、上記した請求項1に記載したものと同様にして、冗長性を持たせない3点の測定点で測定する場合に、複数のロボット間の相対位置を正確に計算することができる。しかも、この場合も、冗長性を持たせるために4点以上の測定点で測定する場合であっても、フランジ面と接合治具の接合面とを接合するので、4点以上の測定点に移動させる際にズレを発生し難くすることができ、複数のロボット間の相対位置を正確に且つ迅速に計算することができる。
【0009】
請求項5に記載した発明によれば、複数のロボットのうちリモートティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させてフランジ面と接合治具の接合面とを接合するようにした。これにより、リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットのフランジの位置及び姿勢を微調整しながらロボットのフランジ面と接合治具の接合面とを接合することができ、フランジ面と接合治具の接合面とを正確に接合することができる。
【0010】
請求項6に記載した発明によれば、複数のロボットのうちダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させてフランジと接合治具とを近付けた後に、当該ロボットをリモートティーチングにより動作する動作モードに設定し、当該リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットのアームを移動させてフランジ面と接合治具の接合面とを接合するようにした。これにより、複数のロボットのフランジと接合治具とが大きく離れている場合であっても、ダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットに外力を与えて当該ロボットのフランジを接合治具付近に移動させて近付け、その後に、上記した請求項5に記載した方法を実施することにより、フランジ面と接合治具の接合面とを正確に且つ迅速に接合することができる。
【0011】
請求項7に記載した発明によれば、複数のロボットの全てをダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定し、当該ダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定した複数のロボットのうち少なくとも1つのアームを移動させて接合箇所を測定点に移動させるようにした。これにより、ダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットに作業者が直接触れて外力を与えることにより、複数のロボット間の相対位置を正確に計算することができる。
【0012】
請求項8に記載した発明によれば、複数のロボットのうち少なくとも1つをリモートティーチングにより動作する動作モードに設定し、当該リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットのアームを移動させて接合箇所を測定点に移動させるようにした。これにより、リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットに作業者が直接触れることなく例えばティーチングペンダントを操作することにより、複数のロボット間の相対位置を正確に計算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態として、2台のロボット間の相対位置を計算する場合について、図1ないし図3を参照して説明する。図1は、第1のロボット1及び第2のロボット2が配置されている態様を示しており、これら第1のロボット1及び第2のロボット2は互いに接近して配置されている。第1のロボット1及び第2のロボット2は、協調して作業するもので、例えば作業台にあるワークを同時に把持して作業台からパレットに移動させて収納したり、パレットに収納されているワークを同時に把持してパレットから取出して作業台に移動させたりする。
【0014】
第1のロボット1は、例えば6軸の垂直多関節型のもので、床に固定されているベース11と、ベース11に水平方向に旋回可能に支持されているショルダ部12と、ショルダ部12に上下方向に旋回可能に支持されている下アーム13と、下アーム13に上下方向に旋回可能に支持されている第1の上アーム14と、第1の上アーム14の先端部に捻り回転可能に支持されている第2の上アーム15と、第2の上アーム15に上下方向に回転可能に支持されている手首16と、手首16に回転(捻り動作)可能に支持されているフランジ17とから構成されている。上記したベース11を含め、ショルダ部12、下アーム13、第1の上アーム14、第2の上アーム15、手首16及びフランジ17は、リンクとして機能する。そして、最先端のリンクとして機能するフランジ17にはワークを把持するハンド(図示せず)が取付可能になっている。
【0015】
第2のロボット2は、上記した第1のロボット1と同様の構成である。すなわち、第2のロボット2は、例えば6軸の垂直多関節型のもので、床に固定されているベース21と、ベース21に水平方向に旋回可能に支持されているショルダ部22と、ショルダ部22に上下方向に旋回可能に支持されている下アーム23と、下アーム23に上下方向に旋回可能に支持されている第1の上アーム24と、第1の上アーム24の先端部に捻り回転可能に支持されている第2の上アーム25と、第2の上アーム25に上下方向に回転可能に支持されている手首26と、手首26に回転(捻り動作)可能に支持されているフランジ27とから構成されている。上記したベース21を含め、ショルダ部22、下アーム23、第1の上アーム24、第2の上アーム25、手首26及びフランジ27は、リンクとして機能する。そして、最先端のリンクとして機能するフランジ27にはワークを把持するハンド(図示せず)が取付可能になっている。
【0016】
図2は、上記した第1のロボット1及び第2のロボット2の電気的な接続態様を概略的に示している。第1の制御装置3は、第1のロボット1に制御データを送信して動作を制御すると共に第1のロボット1から各種データを受信して取得するものであり、動作プログラムを記憶しているROM、ROMから動作プログラムを読出して実行するCPU、第1のロボット1の各リンク11〜17を駆動させる駆動回路、第1のロボット1の位置及び姿勢を検出する検出回路、作業者が操作する第1のティーチングペンダント5や他のロボットと通信する通信回路などを備えて構成されている。
【0017】
この場合、作業者は、第1のティーチングペンダント5を操作して第1のロボット1の動作モードを設定可能であり、動作モードとしてリモートティーチングにより動作する動作モード(リモートティーチング動作モード)及びダイレクトティーチングにより動作する動作モード(ダイレクトティーチング動作モード)を設定可能である。ここでいうリモートティーチングとは、作業者が第1のロボット1に直接触れることなく第1のティーチングペンダント5を操作して位置及び姿勢を遠隔操作により変化させる方法であり、ダイレクトティーチングとは、作業者が第1のロボット1に直接触れて外力を与えて位置及び姿勢を手動により変化させる方法である。
【0018】
第2の制御装置4は、上記した第1の制御装置3と同様の構成である。すなわち、第2の制御装置4は、第2のロボット2に制御データを送信して動作を制御すると共に第2のロボット2から各種データを受信して取得するものであり、動作プログラムを記憶しているROM、ROMから動作プログラムを読出して実行するCPU、第2のロボット2の各リンク21〜27を駆動させる駆動回路、第2のロボット2の位置及び姿勢を検出する検出回路、作業者が操作する第2のティーチングペンダント6や他のロボットと通信する通信回路などを備えて構成されている。
【0019】
この場合も、作業者は、第2のティーチングペンダント6を操作して第2のロボット2の動作モードを設定可能であり、動作モードとしてリモートティーチングにより動作する動作モード(リモートティーチング動作モード)及びダイレクトティーチングにより動作する動作モード(ダイレクトティーチング動作モード)を設定可能である。
【0020】
さて、第1のロボット1と第2のロボット2とが協調して作業を行うに先立って第1のロボット1と第2のロボット2の相対位置(位置及び姿勢)を計算する必要があるが、本実施形態では、図3に示す手順にしたがって第1のロボット1と第2のロボット2の相対位置を計算する。
【0021】
最初に、第1のロボット1のフランジ面17aと第2のロボット2のフランジ面27aとを接合する(ステップS1)。この場合、フランジ面17a,27a同士を接合する方法としては、第1のロボット1及び第2のロボット2のうちいずれかをリモートティーチング動作モードに設定し、そのリモートティーチング動作モードに設定したロボットに対応するティーチングペンダントを操作することにより、フランジ面17a,27a同士を接合する方法がある。
【0022】
また、フランジ17,27同士が大きく離れている場合であれば、第1のロボット1及び第2のロボット2のうちいずれかをダイレクト動作モードに設定し、そのダイレクトティーチング動作モードに設定したロボットに外力を与えることにより、当該ロボットのフランジを他のロボットのフランジ付近に移動させて近付け、その後に、第1のロボット1及び第2のロボット2のうちいずれかをリモートティーチング動作モードに設定し、そのリモートティーチング動作モードに設定したロボットに対応するティーチングペンダントを操作することにより、フランジ面17a,27a同士を接合する方法がある。尚、フランジ面17a,27a同士の接合を確実に保持するために例えば両者を螺子止めにより固着しても良い。
【0023】
次いで、第1のロボット1及び第2のロボット2のうちいずれかの動作モードを設定する(ステップS2)。つまり、これ以降の後段の処理としてフランジ面17a,27a同士を接合した接合箇所を測定点に移動させるものであるが、その接合箇所を測定点に移動させる方法に準じて動作モードを設定し、フランジ面17a,27a同士を接合した接合箇所を測定点に移動させる(ステップS3)。
【0024】
具体的には、第1のロボット1をリモートティーチング動作モードに設定した場合であれば、第1のロボット1に対応する第1のティーチングペンダント5を操作し、フランジ面17a,27a同士を接合した接合箇所を測定点に移動させることになり、第1のロボット1をダイレクトティーチング動作モードに設定した場合であれば、第1のロボット1に外力を与え、フランジ面17a,27a同士を接合した接合箇所を測定点に移動させることになる。また、第2のロボット2をリモートティーチング動作モードに設定した場合であれば、第2のロボット2に対応する第2のティーチングペンダント6を操作し、フランジ面17a,27a同士を接合した接合箇所を測定点に移動させることになり、第2のロボット2をダイレクトティーチング動作モードに設定した場合であれば、第2のロボット2に外力を与え、フランジ面17a,27a同士を接合した接合箇所を測定点に移動させることになる。
【0025】
このとき、フランジ面17a,27a同士を接合しているので、第1のロボット1の位置及び姿勢が変化する動作と第2のロボット2の位置及び姿勢が変化する動作とは追従(同期)することになる。尚、ロボット1,2が通常はリモートティーチング動作モードで動作するようになっており、作業者がダイレクトティーチング動作モードに設定したときにダイレクトティーチング動作モードで動作し、作業者がダイレクトティーチング動作モードの設定を解除したときにリモートティーチング動作モードに復帰して動作するようになっていても良い。
【0026】
次いで、このようにして接合箇所を測定点に移動させた状態で第1のロボット1及び第2のロボット2の位置及び姿勢を表す測定データを取得する(ステップS4)。そして、同一直線上に存在しない条件を満たすように測定点を変更して測定データを取得し、同一直線上に存在しない3点以上の測定点で各ロボット1,2の測定データを取得すると(ステップS5にて「YES」)、それぞれの測定点で取得した各ロボット1,2の測定データを計算してロボット1,2間の相対位置を計算する(ステップS6)。
【0027】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、第1のロボット1のフランジ面17aと第2のロボット2のフランジ面27aとを接合し、その接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボット1,2の位置及び姿勢を表す測定データを取得し、同一直線上に存在しない3点以上の測定点で取得した各ロボット1,2の測定データを計算してロボット1,2間の相対位置を計算するようにしたので、第1のロボット1の位置及び姿勢を変化させることに追従して第2のロボット2の位置及び姿勢を変化させることができ、第1のロボット1が教示する点と第2のロボット2が教示する点とを確実に同一にすることができる。よって、冗長性を持たせない3点の測定点で測定する場合に、ロボット1,2間の相対位置を正確に計算することができる。しかも、冗長性を持たせるために4点以上の測定点で測定する場合であっても、フランジ面17a,27a同士を接合するので、4点以上の測定点に移動させる際にズレを発生し難くすることができ、ロボット1,2間の相対位置を正確に且つ迅速に計算することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4及び図5を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。上記した第1の実施形態は、フランジ面同士を接合するものであるが、これに対して、第2の実施形態は、高い剛性を有する(容易に変形不可能な)材料からなる接合治具を利用し、一のロボットのフランジ面と接合治具の一端側の接合面とを接合すると共に他のロボットのフランジ面と接合治具の他端側の接合面とを接合するものである。
【0029】
すなわち、この第2の実施形態は、例えば第1のロボット1と第2のロボット2とが大きく離れて配置されており、フランジ面17a,27a同士を接合不可能である場合に対応するものである。本実施形態では、接合治具として図4に示すような長尺形状の接合治具7を用い、図5に示す手順にしたがって第1のロボット1と第2のロボット2の相対位置を計算する。
【0030】
最初に、第1のロボット1のフランジ面17aと接合治具7の一端側の接合面7aとを接合する(ステップS11)。この場合は、自由状態にある接合治具7を第1のロボット1のフランジ17に取付けることになるので、自由状態にある接合治具7を第1のロボット1のフランジ17に近付けてフランジ面17aと接合治具7の一端側の接合面7aとを接合する。
【0031】
次いで、第2のロボット2のフランジ面27aと接合治具7の他端側の接合面7bとを接合する(ステップS12)。この場合、フランジ面27aと接合治具7の他端側の接合面7bとを接合する方法としては、第1のロボット1のフランジ17に取付けられたことにより自由状態にない接合治具7を第2のロボット2のフランジ27に取付けることになるので、第2のロボット2をリモートティーチング動作モードに設定し、そのリモートティーチング動作モードに設定した第2のロボット2に対応する第2のティーチングペンダント6を操作することにより、フランジ面27aと接合治具7の他端側の接合面7bとを接合する方法がある。
【0032】
また、フランジ27と接合治具7とが大きく離れている場合であれば、第2のロボット2をダイレクト動作モードに設定し、そのダイレクトティーチング動作モードに設定した第2のロボット2に外力を与えることにより、当該第2のロボット2のフランジ27を接合治具7付近に移動させて近付け、その後に、第2のロボットをリモートティーチング動作モードに設定し、そのリモートティーチング動作モードに設定した第2のロボット2に対応する第2のティーチングペンダント6を操作することにより、フランジ面27aと接合治具7の他端側の接合面7bとを接合する方法がある。尚、この場合も、フランジ面17aと接合面7aとの接合を確実に保持するために例えば両者を螺子止めにより固着しても良く、フランジ面27aと接合面7bとの接合を確実に保持するために例えば両者を螺子止めにより固着しても良い。
【0033】
次いで、この場合も、第1のロボット1及び第2のロボット2のうちいずれかの動作モードを設定し(ステップS13)、フランジ面17aと接合面7aとを接合した接合箇所及びフランジ面27aと接合面7bとを接合した接合箇所のいずれかを測定点に移動させ(ステップS14)、そのいずれかの接合箇所を測定点に移動させた状態で第1のロボット1及び第2のロボット2の位置及び姿勢を表す測定データを取得する(ステップS15)。このとき、フランジ面17aと接合面7aとを接合すると共にフランジ面27aと接合面7bとを接合しているので、第1のロボット1の位置及び姿勢が変化する動作と第2のロボット2の位置及び姿勢が変化する動作とは接合治具7を介して追従(同期)することになる。
【0034】
そして、同一直線上に存在しない条件を満たすように測定点を変更して測定データを取得し、同一直線上に存在しない3点以上の測定点で各ロボット1,2の測定データを取得すると(ステップS16にて「YES」)、それぞれの測定点で取得した各ロボット1,2の測定データを計算してロボット1,2間の相対位置を計算する(ステップS17)。
【0035】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、第1のロボット1のフランジ面17aと接合治具7の一端側の接合面7aとを接合すると共に第2のロボット2のフランジ面27aと接合治具7の他端側の接合面7bとを接合し、いずれかの接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボット1,2の位置及び姿勢を表す測定データを取得し、同一直線上に存在しない3点以上の測定点で取得した各ロボット1,2の測定データを計算してロボット1,2間の相対位置を計算するようにしたので、第1のロボット1の位置及び姿勢を変化させることに追従して接合治具7を介して第2のロボット2の位置及び姿勢を変化させることができ、第1のロボット1が教示する点と第2のロボット2が教示する点とを確実に同一にすることができる。よって、ロボット1,2を接合治具7を介して接続する構成においても、上記した第1の実施形態に記載したものと同様にして、冗長性を持たせない3点の測定点で測定する場合に、ロボット1,2間の相対位置を正確に計算することができる。しかも、冗長性を持たせるために4点以上の測定点で測定する場合であっても、フランジ面17aと接合面7aとを接合すると共にフランジ面27aと接合面7bとを接合するので、4点以上の測定点に移動させる際にズレを発生し難くすることができ、ロボット1,2間の相対位置を正確に且つ迅速に計算することができる。
【0036】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
第2の実施形態において、1個の接合部材に対して3台以上のロボットのフランジが接合されたり、2個以上の接合部材が連結されたりすることにより、3台以上のロボット間の相対位置を計算する構成であっても良い。
1台の制御装置が2台以上のロボットに制御データを送信して動作を制御すると共に2台以上のロボットから各種データを受信して取得する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、ロボットのフランジ面同士が接合されている態様を示す図
【図2】ロボットの電気的な接続態様を概略的に示す図
【図3】相対位置を計算する手順を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態を示すもので、ロボットのフランジ面と接合治具の接合面とが接合されている態様を示す図
【図5】図3相当図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1,2はロボット、13〜15,23〜25はアーム、17,27はフランジ、17a,27aはフランジ面、7は接合治具、7a,7bは接合面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロボットのアームに設けられているフランジ面同士を接合し、その接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボットの位置及び姿勢を表す測定データを取得する作業を同一直線上に存在しない3点以上の測定点に対して行い、それぞれの測定点で取得した各ロボットの測定データを計算して複数のロボット間の相対位置を計算することを特徴とする複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項2】
複数のロボットのうちリモートティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させて前記フランジ面同士を接合することを特徴とする請求項1記載の複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項3】
複数のロボットのうちダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させて前記フランジ同士を近付けた後に、複数のロボットのうちリモートティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させて前記フランジ面同士を接合することを特徴とする請求項2記載の複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項4】
複数のロボットのうち一のロボットのアームに設けられているフランジ面と接合治具の一の接合面とを接合すると共に、複数のロボットのうち他のロボットのアームに設けられているフランジ面と前記接合治具の他の接合面とを接合し、いずれかの接合箇所を測定点に移動させた状態で各ロボットの位置及び姿勢を表す測定データを取得する作業を同一直線上に存在しない3点以上の測定点に対して行い、それぞれの測定点で取得した各ロボットの測定データを計算して複数のロボット間の相対位置を計算することを特徴とする複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項5】
複数のロボットのうちリモートティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させて前記フランジ面と前記接合治具の接合面とを接合することを特徴とする請求項4記載の複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項6】
複数のロボットのうちダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定した少なくとも1つのロボットのアームを移動させて前記フランジと前記接合治具とを近付けた後に、当該ロボットをリモートティーチングにより動作する動作モードに設定し、当該リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットのアームを移動させて前記フランジ面と前記接合治具の接合面とを接合することを特徴とする請求項5記載の複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項7】
複数のロボットの全てをダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定し、当該ダイレクトティーチングにより動作する動作モードに設定した複数のロボットのうち少なくとも1つのアームを移動させて接合箇所を測定点に移動させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の複数ロボット間の相対位置計算方法。
【請求項8】
複数のロボットのうち少なくとも1つをリモートティーチングにより動作する動作モードに設定し、当該リモートティーチングにより動作する動作モードに設定したロボットのアームを移動させて接合箇所を測定点に移動させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の複数ロボット間の相対位置計算方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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