説明

貫通電極およびその製造方法、並びにその貫通電極を有するパッケージ基台および半導体チップ

【課題】パッケージ基板やチップ基板に設ける貫通電極の外部端子やバンプとの接合強度を確保すると共に、貫通電極の導電体を埋め込む時間を短縮する手段を提供する。
【解決手段】シリコン基板のおもて面から裏面に貫通し、そのおもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極において、シリコン基板の貫通電極形成領域に、おもて面から裏面に貫通する複数の貫通細孔と、貫通細孔に埋め込んだ導電体とを設け、この複数の導電体を互いに電気的に接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基台や半導体チップ等のシリコン基板を貫通してシリコン基板の表裏を電気的に導通させる貫通電極およびその製造方法並びにその貫通電極を有するパッケージ基台および半導体チップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の貫通電極は、例えば複数の半導体チップを積層した半導体パッケージに用いる半導体チップに設ける貫通電極は、半導体ウェハのシリコン(Si)基板の貫通電極を形成する領域(貫通電極形成領域という。)を除く領域にマスクパターンを形成し、ドライエッチングにより露出している貫通電極形成領域をエッチングして有底の電極形成穴を形成し、この電極形成穴の底面と側面(内面という。)をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により2酸化珪素(SiO)からなる絶縁膜で覆った後に、メッキ法等により導電性を有する金属からなる導電体を電極形成穴に埋め込み、その後にシリコン基板の裏面を研磨して電極形成穴の底面の導電体を露出させ、シリコン基板のおもて面から裏面に貫通しておもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極を形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記の貫通電極の製造方法は、半導体パッケージのパッケージ基台のおもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極の製造方法としても用いることができる。
図13は従来の半導体パッケージの断面を示す説明図、図14は従来のパッケージ基台の上面を示す説明図である。
図13、図14において、101は半導体パッケージであり、上記の貫通電極102をシリコン基板であるチップ基板103に形成した半導体チップ104をパッケージ基台105に複数積層して形成されており、それそれの半導体チップ104の貫通電極102はバンプ106で接合されて電気的に接続され、それぞれの半導体チップ104の間にはアンダーフィル107が設けられ、各半導体チップ104の間を絶縁保護している。
【0004】
最下層の半導体チップ104の貫通電極102は、パッケージ基台105のシリコン基板である基台基板110のおもて面110aに形成された表側絶縁層111上に導電性を有する材料で形成された再配線112とバンプ106で接合されて電気的に接続し、再配線112は基台基板110のおもて面110aから裏面110bに貫通する比較的大きな内径(例えばφ300μm)を有する貫通孔113に銅(Cu)や銀(Ag)等の導電体114を埋め込んで形成された貫通電極115を介して貫通電極115の裏面に接合された半田合金(SnPb)や錫銀合金(SnAg)等の材料で形成された外部端子116と電気的に接続し、外部端子116が図示しない実装基板の配線端子に接続して積層された半導体チップ104と実装基板とがパッケージ基台105を介して電気的に接続される。
【0005】
また、基台基板110の裏面110bには、外部端子116を除く領域に裏側絶縁層120が形成され、実装基板との絶縁性が確保されている。
図15は従来のパッケージ基台の製造方法を示す説明図である。
図15において、117は後に貫通孔113となる電極形成穴であり、基台基板110のおもて面110aに穿孔された有底の穴である。
【0006】
118は絶縁膜であり、それぞれの電極形成穴117の内面に形成された2酸化珪素からなる膜であって、導電体114と基台基板110との間を電気的に絶縁する機能を有する。
125はマスクパターンであり、ドライエッチングの際にシリコンとのエッチング選択比が得られるように選択された材料、例えば2酸化珪素により形成されたマスク部材である。
【0007】
以下に、図15を用い、PZで示す工程に従って従来のパッケージ基台の製造方法について説明する。
PZ1、円柱状のシリコンをスライスして形成されたシリコン基板である基台基板110を準備し、そのおもて面110aの貫通電極形成領域(本例では貫通孔113を形成する位置の貫通孔113の内径と同等の直径を有する領域をいう。)を除く領域をマスクパターン125で覆い、これをマスクとしてドライエッチングにより有底の電極形成穴117を形成する。
【0008】
PZ2、マスクパターン125を除去し、CVD法により基台基板110のおもて面110aおよび電極形成穴117の内面に2酸化珪素からなる表側絶縁層111および絶縁膜118を形成する。
PZ3、電解メッキ法や無電解メッキ法等のメッキ法により導電体114を電極形成穴117の絶縁膜118の内側の容積を満たすように埋め込む。
【0009】
PZ4、リソグラフィ等により表側絶縁層111上にレジストマスクを形成して電極形成穴117の導電体114上からその導電体114により形成される貫通電極115に接続するバンプ106の形成領域に到る再配線112を形成する部位以外の領域をマスキングし、メッキ法により露出している表側絶縁層111上に貫通電極115上からバンプ106に到る再配線112を形成し、レジストマスクの除去後に再配線112のバンプ106の形成領域にバンプ106を形成する。
【0010】
PZ5、基台基板5の裏面5bを機械的な研削、またはCMP(Chemical Mechanical Polishing)等により研磨して除去し、基台基板110の裏面110bに導電体114を露出させ、CVD法により研削した基台基板110の裏面110bに裏側絶縁層120を形成する。
そして、露出している導電体114の裏面に外部端子116を接合する。これにより貫通孔113に埋め込まれた導電体114が基台基板110のおもて面110aと裏面110bとを電気的に導通させる貫通電極115として機能する。
【0011】
その後、ウェハを個片に分割してパッケージ基台105を形成する。
【特許文献1】特開平10−223833号公報(第6頁段落0061−第7頁段落0082、第4図、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来の技術においては、貫通電極を形成するための電極形成穴にメッキ法等により導電体を埋め込んで貫通電極を形成しているため、電極形成穴の容積を導電体で満たすことに時間を要し、貫通電極を形成する製造工程の製造効率が低下するという問題がある。
このことは、比較的大きな内径を有する電極形成穴を導電体で満たす必要があるパッケージ基台の製造において特に重要である。
【0013】
また、電極形成穴に導電体を埋め込む時間時間を短縮するために、内径を小さくした電極形成穴により1本の細い貫通電極を形成することが考えられるが、その後に貫通電極に接合されるパッケージ基台の外部端子や半導体チップのバンプとの接合強度が低下するので好ましくない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、外部端子やバンプとの接合強度を確保すると共に、電極形成穴に導電体を埋め込む時間を短縮する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、シリコン基板のおもて面から裏面に貫通し、前記おもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極において、前記シリコン基板の貫通電極形成領域に、前記おもて面から裏面に貫通する複数の貫通細孔と、該貫通細孔に埋め込んだ導電体とを設け、該複数の導電体が互いに電気的に接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
これにより、本発明は、導電体を埋め込む容積を減少させることができ、導電体の埋め込みに要する時間を短縮して、貫通電極を形成する製造工程の製造効率を向上させることができるという効果が得られる。
また、複数の細い電極で形成した貫通電極体に外部端子を接合するので、その接合強度を確保することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明による貫通電極およびその製造方法の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は実施例1のパッケージ基台の部分断面を示す説明図、図2実施例1の半導体パッケージの断面を示す説明図、図3は図1のB−B断面図である。
なお、図1は図2のA部の拡大部分断面図である。
図2において、1は半導体パッケージであり、複数の半導体チップ2をパッケージ基台3に積層して形成された半導体パッケージである。
【0018】
図2において、4はパッケージ基台3に設けられた貫通電極としての貫通電極体であり、パッケージ基台3のシリコン基板としての基台基板5のおもて面5aから裏面5bに貫通して形成された複数の貫通細孔6に銅や銀等の導電体7をそれぞれ埋め込んで形成された細い導電体7の集合体であって、基台基板5のおもて面5aと裏面5bとを電気的に導通させる機能を有する。
【0019】
貫通細孔6は、図3に2点鎖線で示す貫通電極形成領域8に複数形成された5〜30μm程度の四角形または円形の断面形状を有する孔である。
また、貫通電極形成領域8は後述する外部端子14の直径と略同等の直径を有する領域として貫通電極体を形成する位置に設定される。
9は絶縁膜であり、それぞれの貫通細孔6の側面と導電体7との間に形成された2酸化珪素等からなる膜であって、導電体7と基台基板5との間を電気的に絶縁する機能を有する。なお図1、図3において絶縁膜9は太い実線で示してある。
【0020】
10は再配線であり、基台基板5のおもて面5a側に形成された配線パターンであって、一方の端部が貫通電極体4のおもて面と接合し、他方の端部がその貫通電極体4に接続する半導体チップ2の後述する導電プラグ21に接合されるバンプ11の形成領域に形成するバンプ11と接合してこれらの間を電気的に接続する機能を有する。
バンプ11は、ニッケル(Ni)と金(Au)、銅、または銅と錫銀合金等の材料を含有するペースト状のバンプ剤をポッティング等により再配線10上のバンプ11の形成領域に塗布し、その後に熱硬化させて形成される。
【0021】
12は表側絶縁層であり、基台基板5のおもて面5aの導電体7のおもて面を除く領域に形成された2酸化珪素や窒化珪素(Si)等の絶縁材料からなる層であって、再配線10と基台基板5との間を電気的に絶縁する機能を有する。
13は裏側絶縁層であり、基台基板5の裏面5bの導電体7の裏面を除く領域に形成された2酸化珪素や窒化珪素等の絶縁材料からなる層であって、図示しない実装基板と基台基板5との間を電気的に絶縁する機能を有する。
【0022】
14は外部端子であり、基台基板5の裏面5b側の導電体7の裏面に接合する半田合金や錫銀合金等の材料で形成された比較的大きな直径(例えばφ300μm程度)を有する端子であって、図示しない実装基板の配線端子と対応する位置に配置され、半導体パッケージ1と実装基板とを電気的に接続する機能を有する。
なお、裏側絶縁層13は、実装基板等との絶縁性等に影響がない場合は、その形成を省略するようにしてもよい。
【0023】
また、基台基板5のおもて面5a側のバンプ11を除く領域を、必要に応じてポリイミド等からなる被覆で覆って、再配線10の保護や再配線10と半導体チップ2との間を電気的に絶縁するようにしてもよい。
図2において、21は半導体チップ2に設けられた貫通電極としての導電プラグであり、半導体チップ2のシリコン基板としてのチップ基板22の半導体チップ2の回路素子が形成されるおもて面22aから回路素子が形成されない裏面22bに貫通して形成されたチップ貫通孔23に導電体7を埋め込んで形成された電極であって、チップ基板22のおもて面22aと裏面22bとを電気的に導通させる。
【0024】
最上層よりも下層のチップ基板22のおもて面22a側の導電プラグ21のおもて面には、前記と同様のバンプ11が直接形成されている。
24はアンダーフィルであり、半導体チップ2の層間および最下層の半導体チップ2とパッケージ基台3との間のバンプ11以外の領域にエポキシ樹脂等のアンダーフィル剤を注入し、これを熱硬化させて形成され、半導体チップ2の層間等の保護および電気的な絶縁性の確保をする機能を有する。
【0025】
25はオーバーモールドであり、エポキシ樹脂等のモールド剤をパッケージ基台3のおもて面3a側に充填してそこに積層された半導体チップ2を埋没させ、これを熱硬化させて形成され、半導体チップ2や再配線10等を外部から保護する機能を有する。
このオーバーモールド25は、ウェハに形成された複数のパッケージ基台3に半導体チップ2を積層した後、またはウェハを複数のパッケージ基台3を有する状態で短冊状に分割してそのパッケージ基台3に半導体チップ2を積層した後に、これを所定のサイズの金型に収納し、これにモールド剤を充填して成形するトランスファーモールディングにより形成するとよい。
【0026】
パッケージ基台3に半導体チップ2を積層してこれらを接合する場合は、パッケージ基台3の再配線10上のバンプ11に半導体チップ2の導電プラグ21の裏面を合わせて載置し、その導電プラグ21のおもて面のバンプ11に直上の半導体チップ2の導電プラグ21の裏面を合わせて載置し、同様にして順に半導体チップ2を載置した後に、バンプ11を加熱溶融してそれぞれの半導体チップ2の導電プラグ21を接合すると共に、導電プラグ21とパッケージ基台3の再配線10とを接合する。これにより各半導体チップ2の導電プラグ21とパッケージ基台5の外部端子14が電気的に接続し、狭い間隔で配置された導電プラグ21が、比較的広い間隔で配置された図示しない実装基板の配線端子に外部端子14を介して電気的に接続される。
【0027】
図4は実施例1のパッケージ基台の製造方法を示す説明図である。
図4において、15は後に貫通細孔6となる電極形成細穴であり、基台基板5のおもて面5aに複数穿孔された有底の穴である。
電極形成細穴15の深さは、基台基板5の厚さの7%以上、27%以下、望ましくは20%程度とするのがよい。深さが7%未満になると基台基板5の厚さが後述する工程P5における基台基板5の薄板化により基台基板5が薄くなり過ぎ、パッケージ基板1の強度を保つことが困難になり、27%を超えると電極形成細穴15の内径と深さの比が大きくなり過ぎ、後述する工程P2における絶縁膜9の形成が困難になるからである。このため電極形成細穴15の深さを基台基板5の厚さの20%程度とすることが望ましい。
【0028】
18はマスクパターンであり、上記したマスクパターン125と同様のマスク部材である。
以下に、図4を用い、Pで示す工程に従って本実施例のパッケージ基台の製造方法について説明する。
P1、円柱状のシリコンをスライスして形成されたシリコン基板である基台基板5を準備し、そのおもて面5aの貫通電極形成領域8の貫通細孔6を形成する部位を除く領域をマスクパターン18で覆い、これをマスクとしてドライエッチングにより所定の深さの電極形成細穴15を形成する。
【0029】
この場合に、レーザを用いて電極形成細穴15を形成すれば、マスクパターン18を用いずに直接基台基板5に電極形成細穴15を形成することが可能になる。
P2、マスクパターン18を除去し、CVD法により基台基板5のおもて面5aおよび複数の電極形成細穴15の内面に2酸化珪素からなる表側絶縁層12および絶縁膜9を形成する。
【0030】
P3、メッキ法により導電体7を電極形成細穴15の絶縁膜9の内側の容積を満たすように埋め込む。
P4、リソグラフィ等により表側絶縁層12上にレジストマスクを形成して再配線10を形成する部位以外の領域をマスキングし、メッキ法により露出している表側絶縁層12上に貫通電極体4上からバンプ11に到る再配線10を形成する。
【0031】
そして、剥離剤を用いてレジストマスクを除去し、再配線10上のバンプ11の形成領域にポッティングによりバンプ剤10を塗布し、その後に熱硬化させてバンプ11を形成する。
P5、基台基板5の裏面5bを機械的な研削、またはCMP等により研磨して除去し、基台基板5を薄板化してその裏面5bに導電体7を露出させ、研磨した基台基板5の裏面5bにCVD法により2酸化珪素からなる裏側絶縁層13を形成する。
【0032】
そして、導電体7の裏面に形成された裏側絶縁層13をCMPで除去した後に、露出した複数の導電体7の裏面に半田ボール等を溶着させて外部端子14を接合する。
このようにして複数の貫通細孔6に埋め込まれた導電体7により本実施例の貫通電極体4が形成され、この貫通電極体4が基台基板5のおもて面5aと裏面5bとを電気的に導通させる貫通電極として機能する。
【0033】
上記のようにして、本実施例の製造方法によるパッケージ基台3を複数形成したウェハが製造される。
このパッケージ基台3を単独で用いる場合は、前記のウェハをパッケージ基台3の単位で個片に分割して用いるようにする。
また、パッケージ基台3を複数形成したウェハを用いて半導体パッケージ1を製造する場合は、パッケージ基台3の再配線10のバンプ11上に、別に形成した半導体チップ2の導電プラグ21をバンプ11を介して積層した半導体チップ2の最下層の半導体チップ2の導電プラグ21の裏面を載置し、バンプ11を加熱溶融して各半導体チップ2の導電プラグ21の間および最下層の導電プラグ21と再配線10との間を接合する。
【0034】
そして、接合された各半導体チップ2の層間等にアンダーフィル剤を注入し、熱硬化させてアンダーフィル24を形成した後に、トランスファーモールディングにより基台基板5のおもて面5a側の全面にモールド剤を充填して積層された半導体チップ2を埋没させ、これを熱硬化させてオーバーモールド25を形成する。
その後に、ウェハをパッケージ基台3の単位で個片に分割して半導体パッケージ1を製造する。
【0035】
以上説明したように、本実施例では、基台基板のおもて面に複数設けた貫通細孔に導電体を埋め込むようにしたことによって、導電体を埋め込む容積を減少させることができ、導電体の埋め込みに要する時間を短縮して、貫通電極を形成する製造工程の製造効率を向上させることができると共に、複数の細い電極で形成した貫通電極体に外部端子を接合するので、その接合強度を確保することができる。
【実施例2】
【0036】
図5は実施例2のパッケージ基台の部分断面を示す説明図、図6は図5のC−C断面図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5、図6において、31は電極体貫通孔であり、電極形成領域8と同等の大きさを有する孔であって、その内部に5〜30μm程度の四角形または円形の断面形状を有するシリコン柱32が複数配置されており、電極体貫通孔31の内部のシリコン柱32を除く部位を導電体7で満たして本実施例の貫通電極としての蓮根状の貫通電極体4が形成される。なお図5、図6において絶縁膜9は太い実線で示してある。
【0037】
図7は実施例2のパッケージ基台の製造方法を示す説明図である。
図7において、33は後に電極体貫通孔31となる電極体形成穴であり、基台基板5のおもて面5aに穿孔された実施例1の電極形成細穴15と同様の深さを有する有底の穴であって、その底面に複数のシリコン柱32が直立した状態で設けられている。
なお、図7は図示の都合上、シリコン柱32は一本として描いてあるが、実際には複数のシリコン柱32が設けられる。
【0038】
以下に、図7を用い、PAで示す工程に従って本実施例のパッケージ基台の製造方法について説明する。
PA1、上記実施例1の工程P1と同様の基台基板5を準備し、そのおもて面5aの貫通電極形成領域8を除く領域および貫通電極形成領域8のシリコン柱32を形成する部位をマスクパターン18で覆い、これをマスクとしてドライエッチングによりの底面からシリコン柱32が直立する所定の深さの電極体形成穴33を形成する。
【0039】
この場合に、レーザを用いて電極体形成穴33を形成すれば、マスクパターン18を用いずに直接基台基板5に電極体形成穴33を形成することが可能になる。
PA2、実施例1の工程P2と同様にして基台基板5のおもて面5a、並びに電極体形成穴33の内面およびシリコン柱32の側面と上面に表側絶縁層12、並びに絶縁膜9を形成する。
【0040】
PA3、実施例1の工程P3と同様にして導電体7を電極体形成穴33の絶縁膜9の内側の側面を絶縁膜9で覆われたシリコン柱32を除く部位で形成される容積を満たすように埋め込む。
PA4、実施例1の工程P4と同様にして表側絶縁層12上に貫通電極体4上からバンプ11に到る再配線10を形成し、バンプ11を形成する。
【0041】
PA5、実施例1の工程P5と同様にして基台基板5の裏面5bに裏面5bに裏側絶縁層13を形成し、形成された裏側絶縁層13の除去後に導電体7の裏面に外部端子14を接合する。
このようにして電極体貫通孔31にシリコン柱32を形成して蓮根状とした導電体7により本実施例の貫通電極体4が形成され、この貫通電極体4が基台基板5のおもて面5aと裏面5bとを電気的に導通させる貫通電極として機能する。
【0042】
上記のようにして、本実施例の製造方法によるパッケージ基台3を複数形成したウェハが製造される。
その後のパッケージ基台3を単独で用いる場合および半導体パッケージ1を製造する場合の作動は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、貫通電極体を蓮根状としてことによって、貫通電極体と外部端子との接合面積を増加させることができ、その接合強度を更に向上させることができる。
【実施例3】
【0043】
図8は実施例3のパッケージ基台の部分断面を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の貫通電極体4は、上記実施例1と同様の貫通電極体である。
図8において、35はパッドであり、銅またはニッケルと金等の材料で貫通電極体4を構成する複数の細い導電体7の裏面を接合するように貫通電極形成領域8に形成される。なお図8において絶縁膜9は太い実線で示してある。
【0044】
以下に、図9を用い、PBで示す工程に従って本実施例のパッケージ基台の製造方法について説明する。
本実施例の工程PB1から工程PB4の作動は、上記実施例1の工程P1から工程P4の作動と同様であるのでその説明を省略する。
PB5、実施例1の工程P5と同様にして基台基板5の裏面5bに裏側絶縁層13を形成し、導電体7の裏面に形成された裏側絶縁層13の除去後に、メッキ法により貫通電極体4を構成する複数の細い導電体7の裏面を含む貫通電極形成領域8にパッド35を形成して各導電体7を接合し、パッド35に実施例1の工程P5と同様にして外部端子14を接合する。
【0045】
このようにして複数の貫通細孔6に埋め込まれた導電体7により本実施例の貫通電極体4が形成され、この貫通電極体4が基台基板5のおもて面5aと裏面5bとを電気的に導通させる貫通電極として機能すると共に、複数の細い導電体7がパッド35により接合される。
上記のようにして、本実施例の製造方法によるパッケージ基台3を複数形成したウェハが製造される。
【0046】
その後のパッケージ基台3を単独で用いる場合および半導体パッケージ1を製造する場合の作動は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、細い導電体をパッドにより接合するようにしたことによって、パッドにより外部端子との接合面積を増加させることができ、その接合強度を更に向上させることができる。
【実施例4】
【0047】
図10は実施例4のパッケージ基台の部分断面を示す説明図である。
なお、上記実施例1および実施例3と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の貫通電極体4は、上記実施例1と同様の貫通電極体である。
図10において、41は凹部であり、貫通電極体4を構成する複数の細い導電体7を含む貫通電極形成領域8を基台基板5の裏面5bから穿孔してその底面に各導電体7の裏面を露出させた穴である。
【0048】
42は第2の絶縁膜であり、凹部41の側面とパッド35および外部端子14の側面との間に形成された2酸化珪素等からなる膜であって、パッド35および外部端子14と基台基板5との間を電気的に絶縁する機能を有する。なお本実施例において実施例1で説明した絶縁膜9は、区別のために第1の絶縁膜9として説明する。
図10において、第1の絶縁膜9および第2の絶縁膜42は太い実線で示してある。
【0049】
以下に、図11、12を用い、PCで示す工程に従って本実施例のパッケージ基台の製造方法について説明する。
本実施例の工程PC1から工程PC4(図11)の作動は、上記実施例1の工程P1から工程P4の作動と同様であるのでその説明を省略する。この場合に工程PB2では第1の絶縁膜9が形成される。
【0050】
PC5(図11)、機械的な研削、またはCMP等により、基台基板5の裏面5bを導電体7が露出する手前まで研磨して除去する。
PC6(図12)、基台基板5の裏面5bの貫通電極形成領域8を除く領域をマスクパターン18で覆い、これをマスクとしてドライエッチングにより凹部41を形成して貫通電極体4を構成する複数の細い導電体7の裏面をその底面に露出させる。
【0051】
この場合に、マスクパターン18の厚さを、第1の絶縁膜9の厚さより厚くしてマスクパターン18で覆われた基台基板5の裏面5bがエッチングされないようにする。
また、レーザを用いて凹部41を形成すれば、マスクパターン18を用いずに基台基板5の裏面5bに凹部41を直接形成することが可能になる。
PC7(図12)、マスクパターン18を除去し、研磨した基台基板5の裏面5bおよび凹部41の内面にCVD法により2酸化珪素からなる裏側絶縁層12および第2の絶縁膜42を形成した後に、CMPにより凹部41の底面に形成された第2の絶縁膜42を除去して導電体7の裏面を露出させる。
【0052】
PC8(図12)、メッキ法により凹部41の底面に露出している複数の細い導電体7の裏面にパッド35を形成して各導電体7を接合し、実施例1の工程P5と同様にして外部端子14の一部が凹部41を埋めるようにして外部端子14をパッド35に接合する。
このようにして複数の貫通細孔6に埋め込まれた導電体7により本実施例の貫通電極体4が形成され、この貫通電極体4が基台基板5のおもて面5aと裏面5bとを電気的に導通させる貫通電極として機能する他、複数の細い導電体7がパッド35により接合されると共に、外部端子14の一部が凹部41を埋め込まれた状態でパッド35に接合される。
【0053】
上記のようにして、本実施例の製造方法によるパッケージ基台3を複数形成したウェハが製造される。
その後のパッケージ基台3を単独で用いる場合および半導体パッケージ1を製造する場合の作動は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例3と同様の効果に加えて、基台基板の裏面に凹部を設けて導電体の裏面を露出させるようにしたことによって、基台基板の厚さを増加させることができ、パッケージ基台の強度を向上させることができる。
【0054】
なお、上記実施例3および実施例4は、実施例1の貫通電極体に適用するとして説明したが、実施例2の貫通電極体に適用しても同様の効果を得ることができる。
また、基台基板に設定する貫通電極形成領域は、外部端子の直径と略同等の直径を有する領域として説明したが、外部端子の直径に含まれる領域として設定することが望ましい。このように設定すれば貫通電極体に接合される外部端子と貫通細孔等に埋め込まれた全ての導電体とを確実に電気的に接続することができる。
【0055】
更に、上記各実施例においては、半導体チップに設ける導電プラグを従来と同様の貫通電極として説明したが、半導体チップに設ける貫通電極としての導電プラグを、上記で説明した貫通電極体で形成するようにすれば、パッケージ基台の場合と同様の効果を得ることができる。
この場合の貫通電極形成領域の大きさは、回路素子を形成するチップ基板のおもて面に形成されるバンプの直径と略同等の直径を有する領域、望ましくはバンプの直径に内包される領域として半導体チップの貫通電極体を形成する位置に設定し、その直径を90μm程度、つまり貫通細孔やシリコン柱の大きさの3倍以上にするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1のパッケージ基台の部分断面を示す説明図
【図2】実施例1の半導体パッケージの断面を示す説明図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】実施例1のパッケージ基台の製造方法を示す説明図
【図5】実施例2のパッケージ基台の部分断面を示す説明図
【図6】図5のC−C断面図
【図7】実施例2のパッケージ基台の製造方法を示す説明図
【図8】実施例3のパッケージ基台の部分断面を示す説明図
【図9】実施例3のパッケージ基台の製造方法を示す説明図
【図10】実施例4のパッケージ基台の部分断面を示す説明図
【図11】実施例4のパッケージ基台の製造方法を示す説明図
【図12】実施例4のパッケージ基台の製造方法を示す説明図
【図13】従来の半導体パッケージの断面を示す説明図
【図14】従来のパッケージ基台の上面を示す説明図
【図15】従来のパッケージ基台の製造方法を示す説明図
【符号の説明】
【0057】
1、101 半導体パッケージ
2、104 半導体チップ
3、105 パッケージ基台
4 貫通電極体
5、110 基台基板
5a、22a、110a おもて面
5b、22b、110b 裏面
6 貫通細孔
7、114 導電体
8 貫通電極形成領域
9、118 絶縁膜(第1の絶縁膜)
10、112 再配線
11、106 バンプ
12、111 表側絶縁層
13、120 裏側絶縁層
14、116 外部端子
15 電極形成細穴
18、125 マスクパターン
21 導電プラグ
22、103 チップ基板
23 チップ貫通孔
24、107 アンダーフィル
25 オーバーモールド
31 電極体貫通孔
32 シリコン柱
33 電極体形成穴
35 パッド
41 凹部
42 第2の絶縁膜
113 貫通孔
102,115 貫通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板のおもて面から裏面に貫通し、前記おもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極において、
前記シリコン基板の貫通電極形成領域に、前記おもて面から裏面に貫通する複数の貫通細孔と、該貫通細孔に埋め込んだ導電体とを設け、
該複数の導電体が、互いに電気的に接続していることを特徴とする貫通電極。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の導電体が、前記おもて面上に形成されたバンプと電気的に接続していることを特徴とする貫通電極。
【請求項3】
シリコン基板のおもて面から裏面に貫通し、前記おもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極において、
前記シリコン基板の貫通電極形成領域に、前記おもて面から裏面に貫通する電極体貫通孔と、該電極体貫通孔の内部に配置された複数のシリコン柱と、前記電極体貫通孔の前記シリコン柱を除く部位に埋め込んだ導電体とを設けたことを特徴とする貫通電極。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3において、
前記シリコン基板の裏面に、前記埋め込んだ導電体の裏面を露出させる凹部を設けたことを特徴とする貫通電極。
【請求項5】
請求項1から請求項3または請求項4において、
前記埋め込んだ導電体の裏面を接合するパッドを設けたことを特徴とする貫通電極。
【請求項6】
シリコン基板のおもて面から裏面に貫通し、前記おもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極の製造方法において、
前記シリコン基板のおもて面の貫通電極形成領域に、複数の電極形成細穴を形成する工程と、
該電極形成細穴の内面に絶縁膜を形成する工程と、
前記電極形成細に形成した絶縁膜の内側に導電体を埋め込む工程と、
前記シリコン基板の裏面を研磨して、前記導電体の裏面を露出させる工程とを備えることを特徴とする貫通電極の製造方法。
【請求項7】
シリコン基板のおもて面から裏面に貫通し、前記おもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極の製造方法において、
前記シリコン基板のおもて面の貫通電極形成領域に、複数のシリコン柱を直立させた電極体形成穴を形成する工程と、
該電極体形成穴の内面と前記シリコン柱の側面に絶縁膜を形成する工程と、
前記電極体形成穴に形成した絶縁膜の内側の前記絶縁膜に覆われたシリコン柱を除く部位に導電体を埋め込む工程と、
前記シリコン基板の裏面を研磨して、前記導電体の裏面を露出させる工程とを備えることを特徴とする貫通電極の製造方法。
【請求項8】
回路素子が形成されるおもて面と回路素子を形成しない裏面とを有するシリコン基板の前記おもて面から裏面に貫通し、前記おもて面と裏面とを電気的に導通させる貫通電極の製造方法において、
前記シリコン基板のおもて面の貫通電極形成領域に、複数の電極形成細穴を形成する工程と、
該電極形成細穴の内面に絶縁膜を形成する工程と、
前記電極形成細に形成した絶縁膜の内側に導電体を埋め込む工程と、
前記シリコン基板の裏面を研磨して、前記導電体の裏面を露出させる工程とを備えることを特徴とする貫通電極の製造方法。
【請求項9】
請求項6、請求項7または請求項8において、
前記シリコン基板の裏面を研磨して、前記導電体の裏面を露出させる工程が、
前記シリコン基板の裏面を、前記導電体の裏面が露出する手前まで研磨する工程と、
前記シリコン基板の裏面の貫通電極形成領域に、前記導電体の裏面を露出させる凹部を形成する工程とを備えることを特徴とする貫通電極の製造方法。
【請求項10】
請求項6から請求項8または請求項9において、
前記露出した導電体の裏面に、該導電体を接合するパッドを形成する工程を備えることを特徴とする貫通電極の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項4または請求項5に記載の貫通電極を有することを特徴とするパッケージ基台。
【請求項12】
請求項11において、
外部の配線端子と電気的に接続する外部端子を設け、該外部端子を前記貫通電極の裏面側に形成したことを特徴とするパッケージ基台。
【請求項13】
請求項11において、
前記貫通電極の貫通電極形成領域が、外部の配線端子と電気的に接続する外部端子の直径に内包された領域であることを特徴とするパッケージ基台。
【請求項14】
請求項1から請求項4または請求項5に記載の貫通電極を有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項15】
請求項14において、
前記貫通電極間を電気的に接続するバンプを、前記貫通電極のおもて面に直接形成したことを特徴とする半導体チップ。
【請求項16】
請求項14において、
前記貫通電極の貫通電極形成領域が、前記貫通電極間を電気的に接続するバンプの直径に内包された領域であることを特徴とする半導体チップ。
【請求項17】
請求項14において、
前記貫通電極の貫通電極形成領域が、直径90μmの領域内に設定されていることを特徴とする半導体チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−237524(P2006−237524A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53918(P2005−53918)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】