説明

走行型追肥機

【課題】肥料の繰出性能を阻害することがなく、肥料ホッパーの大容量化が図れるとともに管理機の種類を選ばずに装着できる追肥機を提供する。
【解決手段】繰出部31と、繰出部31の上部に取り付けられた肥料ホッパー34と、繰出部31の下部に取り付けられた繰出パイプ35と、を備える繰出装置30を進行方向に対して左右に複数有する、管理機1に装着する追肥機3において、肥料ホッパー34を前後方向に長く構成し、繰出装置30・30を左右方向に間隔変更可能に複数配置した。
繰出部31は、前繰出部32と後繰出部33とからなり、前繰出部32と後繰出部33とを、肥料ホッパー34の下部に前後方向に配置し、肥料ホッパー34と、前繰出部32、後繰出部33との間にそれぞれ前シャッター32d、後シャッター33dを取り付けて、前繰出部32、後繰出部33の下部に、可撓式の前繰出パイプ36、後繰出パイプ37をそれぞれ取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理機に装着する走行型追肥機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行型追肥機の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載のとおりである。
繰出部と、該繰出部の上部に取り付けられた肥料ホッパーと、該繰出部の下部に取り付けられた繰出パイプと、を備える繰出装置を進行方向に対して左右に複数有する、管理機に装着する走行型追肥機では、繰出装置の肥料ホッパーの容量を大きくするために、肥料ホッパーを左右方向に長く構成している。
【特許文献1】特開平4−4808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、肥料ホッパーを左右方向に長く構成して容量を大きくする場合、繰出装置の左右の配置間隔を広げないままでは、左右の肥料ホッパーの間隔が狭くなるため、管理機の種類によっては、ハンドル等が干渉して、追肥機を装着できないことがある。そして、追肥機の装着を考慮することにより、管理機のハンドルやトランスミッション等の配置の自由度が制限されることにもなる。
一方、肥料ホッパーを左右方向に長く構成して容量を大きくしても、繰出装置の左右の配置間隔を広げることにより、管理機へ装着することが可能な場合がある。しかし、この場合、繰出部が管理機本機から離れることになるため、農作物の根元に施肥するために、繰出部の下部に取り付けられている繰出パイプを長くする必要があり、繰出パイプを長くすると繰出パイプ内で肥料が詰まる等して肥料の流れが悪くなる可能性が高くなる。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、肥料の繰出性能を阻害することがなく、肥料ホッパーの大容量化が図れるとともに管理機の種類を選ばずに装着できる追肥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、
繰出部と、
該繰出部の上部に取り付けられた肥料ホッパーと、
該繰出部の下部に取り付けられ、該繰出部から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、吐出口から肥料を吐出するガイド体と、
を備える繰出装置を進行方向に対して左右に複数有する、管理機に装着する追肥機において、
前記肥料ホッパーを前後方向に長く構成し、前記繰出装置を左右方向に間隔変更可能に複数配置したものである。
【0007】
請求項2においては、
前記繰出装置は、接地輪の回転により前記繰出部が駆動されるものである。
【0008】
請求項3においては、
繰出部と、
該繰出部の上部に取り付けられた肥料ホッパーと、
該繰出部の下部に取り付けられ、該繰出部から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、吐出口から肥料を吐出するガイド体と、
を備える繰出装置を有する、管理機に装着する追肥機において、
接地輪を左右一対に有し、前記繰出装置は、該接地輪の回転により前記繰出部が駆動され、該左右一対の接地輪は、畝を跨ぐように配置し、
走行輪を左右一対に有し、該左右一対の走行輪は、畝を跨ぐように配置するとともに、該走行輪の車軸を畝高よりも高い位置に配置した管理機に装着するものである。
【0009】
請求項4においては、
前記繰出部は、前繰出部と後繰出部とからなり、
該前繰出部と後繰出部とを、前記肥料ホッパーの下部に前後方向に配置し、
前記前繰出部、後繰出部の下部に、それぞれ前記ガイド体を取り付けたものである。
【0010】
請求項5においては、
前記繰出装置は、農作物の条数に応じて、施肥条数を選択する施肥条数選択手段を備えるものである。
【0011】
請求項6においては、
前記施肥条数選択手段は、前記繰出部と前記肥料ホッパーとの間にシャッターを介設したものである。
【0012】
請求項7においては、
前記繰出装置は、前記ガイド体の吐出口の吐出位置を調節する条間調節手段を備えるものである。
【0013】
請求項8においては、
前記ガイド体は、可撓式のパイプであって前記条間調節手段を兼ねるものである。
【0014】
請求項9においては、
前記繰出装置は、一の繰出部が駆動されて他の繰出部が一の繰出部に連動される連動機構を備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、肥料ホッパーの大容量化が図れるとともに、管理機の種類を選ばずに装着できる。そして、管理機のハンドルやトランスミッション等の配置の自由度が制限されることがない。また、繰出部が管理機本機から離れることがなく、ガイド体を長くする必要がないため、肥料の繰出性能を阻害することがない。
【0017】
請求項2においては、走行速度に同調して繰り出すことができるため、均一に施肥することができる。
【0018】
請求項3においては、走行速度に同調して繰り出すことができるため、均一に施肥することができるとともに、追肥機を管理機に装着して、畝を跨いで走行することができるため、走行輪や接地輪により畝を踏みつけたり、管理機や追肥機の下部が畝に接触したりして畝をつぶすことがない。
【0019】
請求項4においては、一つの繰出装置で二条施肥が可能となる。
【0020】
請求項5においては、施肥条数を選択することにより、農作物の条数に応じて、施肥条数を切り替えることができる。
【0021】
請求項6においては、シャッターを開閉させることにより、農作物の条数に応じて、施肥条数を容易に切り替えることができる。
【0022】
請求項7においては、ガイド体の吐出口の吐出位置を調節することにより、農作物の根元に確実に施肥できる。
【0023】
請求項8においては、ガイド体が条間調節手段を兼ねることにより、条間調節手段を別に設ける必要がなく、繰出部から繰り出された肥料を農作物の根元に案内するとともに、農作物の根元に確実に施肥できる。
【0024】
請求項9においては、全ての繰出部の繰出量を均等にすることができることにより、均一に施肥することができる。また、繰出部のそれぞれに駆動手段を設ける必要がないため経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る追肥機を管理機に装着した状態を示した側面図、図2は本発明に係る追肥機の繰出装置の配置を模式的に示した平面図、図3は繰出部を示した側面図、図4は従来の追肥機の繰出装置の配置を模式的に示した平面図である。
【0026】
まず、図1において、本発明に係る追肥機3を管理機1に装着した場合の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、管理機1の進行方向である矢印Aの方向を「前方」としている。
【0027】
管理機1は、前部にエンジン4が配置されており、エンジン4はエンジンフレーム5上に固定されている。そして、エンジン4の上部には、燃料タンク6が搭載されており、エンジンフレーム5の後部には、トランスミッションのミッションケース7が固設されている。エンジン4の出力軸は、ミッションケース7の入力軸に、無端ベルトを介して動力が伝達され、この無端ベルト等は伝達ケース9により覆われている。また、ミッションケース7下部には、車軸11が支承されており、車軸11の左右両端には、走行輪12が固設されて走行駆動できるようにされている。
【0028】
そして、ミッションケース7の上部には、ハンドル台21が設けられており、ハンドル台21上には、ハンドル22が前後水平方向に回動することにより前後振り替え可能に配置されている。そして、ハンドル22には、前後進切替の操作手段となる操作レバー24、メインクラッチレバー25、サイドクラッチレバー26・26等が配設されている。また、ハンドル台21の後部には、前後振り替え可能に変速レバー27が突出されている。なお、オペレータがハンドル22から手を離さずに前記操作レバー24の入力操作を行うようにするためには、図1に示すように該操作レバー24をハンドル22のグリップ22aの近傍に配設するのが好ましい。
【0029】
また、ミッションケース7後部には、ヒッチ13が後方に向けて突設されており、このヒッチ13に追肥機3が装着されている。そして、ヒッチ13の後部には、ツールバー70が横設されており、このツールバー70に繰出装置30・30と接地輪60とが取り付けられて追肥機3が構成されている。また、追肥機3は、接地輪60の回転により繰出部31・31が駆動されて施肥作業が行われるように構成されている。
なお、本実施例においては、繰出装置30は2台としているが、繰出装置30の台数は2台に限定するものではない。
【0030】
次に、追肥機3の繰出装置30・30について図2から図4を加えて説明する。
繰出装置30・30は、ツールバー70の左右に着脱可能に取り付けられている係止具71・71の後面に取り付けられている。
なお、繰出装置30・30は、左右対称に構成されるものであるから、以下では一方の繰出装置30について説明し、他方の繰出装置30については説明を省略する。
【0031】
繰出装置30は、繰出部31と、繰出部31の上部に取り付けられている肥料ホッパー34と、繰出部31の下部に取り付けられている繰出パイプ35とからなる。
繰出部31は、前繰出部32と後繰出部33とからなり、前繰出部32と後繰出部33とは、肥料ホッパー34の下部に前後方向に配置されており、肥料ホッパー34と前繰出部32と後繰出部33とは、装着具72により一体的に固定されて、装着具72を介して係止具71の後面に取り付けられている。
肥料ホッパー34は、上部の蓋34aを開けて肥料を供給できるように構成されており、左右方向よりも前後方向に長く構成されている。なお、本実施例においては、肥料投入等の作業性を考慮して肥料ホッパー34は前繰出部32、後繰出部33で共通としているが、前繰出部32、後繰出部33のそれぞれに別々の肥料ホッパーを設ける構成としてもよい。
また、詳細については後述するが、繰出装置30は、前繰出部32、後繰出部33のどちらか一方による一条施肥もしくは両方による二条施肥の切り替えができるように構成されている。
【0032】
繰出パイプ35は、肥料が付着しにくく、可撓式の変形自在な軟質部材であって、繰出部31から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、吐出口から肥料を吐出するガイド体と、吐出口の吐出位置を調節する条間調節手段とを兼ねるものである。繰出パイプ35は、前繰出パイプ36と後繰出パイプ37とからなり、それぞれ前繰出部32、後繰出部33の下部に、前ロート38、後ロート39を介して前後方向に取り付けられている。
前繰出パイプ36は、前繰出部32から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、前吐出口36aから肥料を吐出し、後繰出パイプ37は、後繰出部33から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、後吐出口37aから肥料を吐出する。また、前繰出パイプ36、後繰出パイプ37は、係止具71から後斜め下方に延出されている前繰出パイプ取付具40、後繰出パイプ取付具41先端の取付リングにそれぞれ内挿されて支持されている。前繰出パイプ取付具40、後繰出パイプ取付具41は、例えば金属製の棒状部材であって、先端が繰出パイプを内挿可能にリング状に形成されている。
なお、本実施例においては、繰出パイプ35がガイド体と条間調節手段を兼ねるようにしているが、ガイド体と条間調節手段とは、別々に構成してもよい。例えば、平面視において一方向に吐出口を傾斜させた漏斗を、繰出部31の下部に回動可能に取り付けることにより、繰出部31から繰り出された肥料を農作物の根元に案内するとともに、漏斗を回動させることにより、吐出口の吐出位置を調節して、条間を調節することができる。また、漏斗の吐出口に可動部分を持たせることにより、吐出口の吐出位置を調節し易くすることもできる。
【0033】
また、前繰出部32、後繰出部33は、図3に示すように、それぞれ溝ロール式等の前繰出ロール32a、後繰出ロール33aを備えている。前繰出ロール32a、後繰出ロール33aの表面には、それぞれ繰出ロールの軸方向に前繰出ロール溝32b・32b・・・、後繰出ロール溝33b・33b・・・が複数形成されており、この溝に入り込んだ肥料のみが繰り出されるように構成されている。そして、前繰出ロール32a、後繰出ロール33aは、それぞれ前繰出ロール軸32c、後繰出ロール軸33cに固設されて、前繰出ロール軸32c、後繰出ロール軸33cと一体的に回転するように構成されている。
前繰出ロール軸32cは、管理機1の左右方向の幅以上の長さに構成されており、左右の前繰出ロール32a・32aが同一の軸に固設されている。そして、前述のように係止具71・71を介してツールバー70の左右に着脱可能に取り付けられている繰出装置30・30は、前繰出ロール軸32cの左右幅の範囲内で、繰出装置30・30の左右位置が変更される。また、詳細については後述するが、前繰出ロール軸32cの中央部には、接地輪60の回転により繰出部31・31を駆動するための前繰出ロール軸スプロケット32gが抜き差し可能に設けられている。
【0034】
そして、肥料ホッパー34と、前繰出部32、後繰出部33との間には、施肥条数を切り替える切替手段となる前シャッター32d、後シャッター33dがそれぞれ取り付けられている。前シャッター32dは肥料ホッパー34の前部に、後シャッター33dは肥料ホッパー34の後部に前後方向に抜き差し可能に取り付けられている。
すなわち、前シャッター32d、後シャッター33dを最大限差し込んだ状態において、肥料ホッパー34から前繰出部32、後繰出部33には、肥料が供給されず、前シャッター32d、後シャッター33dがそれぞれ引き出されることによって、肥料ホッパー34と前繰出部32、後繰出部33が連通して、肥料ホッパー34から前繰出部32、後繰出部33に肥料が供給される。
なお、本実施例においては、シャッターは、前シャッター32d、後シャッター33dの2枚としているが、シャッターは1枚とすることもでき、シャッターの枚数は、本実施例に限定するものではない。また、切替手段は、本実施例に示すシャッター方式に限定するものではなく、例えば、一方の繰出パイプ35を他方の繰出パイプ35に束ねる等することにより、二条施肥から一条施肥への切り替えが可能である。
【0035】
また、前繰出部32、後繰出部33は、内部にそれぞれ豚毛等である前ブラシ32e、後ブラシ33eを備えている。前ブラシ32eは、前繰出部32のケースの前面から、後ブラシ33eは、後繰出部33のケースの後面から、それぞれ前繰出部32、後繰出部33内に差し込まれて、前繰出ロール32a、後繰出ロール33aの上方にブラシの先端が当接された状態に配設されている。
これにより、前繰出ロール溝32b・32b・・・、後繰出ロール溝33b・33b・・・に入りきらない余分な肥料が、ロールが回転することにより前ブラシ32e、後ブラシ33eにより取り除かれて、前繰出ロール32a、後繰出ロール33aに入り込んだ肥料のみが繰り出されて前ロート38、後ロート39、前繰出パイプ36、後繰出パイプ37を介して施肥される。
【0036】
このような構成によって、一つの繰出装置30で二条施肥が可能となる。そして、前シャッター32d、後シャッター33dを開閉させることにより、農作物の条数に応じて、施肥条数を容易に切り替えることができる。また、繰出パイプ35が条間調節手段を兼ねることにより、条間調節手段を別に設ける必要がなく、繰出部31から繰り出された肥料を農作物の根元に案内するとともに、農作物の根元に確実に施肥できる。
【0037】
また、前述のように、本実施例においては、接地輪60の回転により、繰出部31・31が駆動されて施肥作業が行われるように構成されている。
すなわち、接地輪60は、係止具を介してツールバー70の略中央に取り付けられており、この係止具から支持フレーム61が後方に延出されている。そして、支持フレーム61の後部には、取付プレート62の上部が軸支されており、取付プレート62の下端は、支持フレーム61の中途部から後斜め下方に延設された伝達ケース63の中途部に軸支されている。また、伝達ケース63の下部には、車輪軸64が回動可能に支持されており、車輪軸64には、車輪65が外嵌固定されている。さらに、伝達ケース63内の上部であって、前繰出ロール軸32cの中央部には、前繰出ロール軸スプロケット32gが固設されており、車輪軸64に固設されているスプロケットと前繰出ロール軸スプロケット32gとには、チェーンが巻回されている。
これにより、管理機1の進行に伴い接地輪60の車輪65が回動されると、車輪軸64に固設されているスプロケットが回動されて、伝達ケース63内のチェーン、前繰出ロール軸スプロケット32gを介して前繰出ロール軸32cが駆動される。
一方、前繰出ロール軸32c、後繰出ロール軸33cには、連動機構を構成する前ギヤ32f、後ギヤ33fがそれぞれ固設されており、前ギヤ32fと後ギヤ33fとが係合するように構成されている。つまり、接地輪60からの駆動力は、前述したようにして前繰出ロール軸32cに伝達され、さらに、前ギヤ32fと後ギヤ33fとが係合することにより、後繰出ロール軸33cに伝達される。
【0038】
これにより、管理機1が前進すると、接地論60の車輪65が連動して回転し、車輪65→車輪軸64→車輪軸スプロケット→チェーン→前繰出ロール軸スプロケット32g→前繰出ロール軸32cを経て、前繰出ロール32aが反時計回りに回転されることにより、前繰出ロール32aにより肥料が繰り出される。そして、前繰出ロール軸32c→前ギヤ32f→後ギヤ33f→後繰出ロール軸33cを経て、後繰出ロール33aが時計周りに回転されることにより、後繰出ロール33aにより肥料が繰り出される。
【0039】
このような構成によって、走行速度に同調して繰り出すことができるため、均一に施肥することができる。そして、全ての繰出部31・31の繰出量を均等にすることができることにより、均一に施肥することができる。また、前繰出部32、後繰出部33のそれぞれに駆動手段を設ける必要がないため経済的である。
【0040】
そして、肥料ホッパー34・34は、前述のように前後方向に長く構成され、繰出装置30・30は、左右方向に間隔変更可能に配置されている。
図4に示すように、従来の施肥機103では、繰出装置130・130の肥料ホッパー134・134の容量を大きくするために、肥料ホッパー134・134を左右方向に長くしていた。
しかし、肥料ホッパー134・134を左右方向に長く構成して容量を大きくする場合、左右の肥料ホッパー134・134の間隔が狭くなるため、管理機101の種類によっては、ハンドル122等が干渉して、追肥機103を装着できないことがある。そして、追肥機103の装着を考慮することにより、管理機101のハンドル122やトランスミッション等の配置の自由度が制限されることにもなる。
また、肥料ホッパー134・134を左右方向に長く構成して容量を大きくする場合でも、繰出装置の配置間隔を広げることにより、管理機への装着性を高めることは可能である。しかし、この場合、繰出部131・131が管理機101本機から離れることになるため、農作物の根元に施肥するために、繰出部131・131の下部に取り付けられている繰出パイプ135・135を長くする必要があるが、繰出パイプ135・135を長くすると繰出パイプ135・135内で肥料が詰まる等して肥料の流れが悪くなる可能性が高くなる。
そこで、図1、図2に示すように、肥料ホッパー34・34を前後方向に長く構成し、繰出装置30・30を左右方向に間隔変更可能に配置した。
【0041】
このような構成によって、肥料ホッパー34・34の大容量化が図れるとともに、管理機1の種類を選ばずに装着できる。そして、管理機1のハンドル22やトランスミッション等の配置の自由度が制限されることがない。また、繰出部31・31が管理機1本機から離れることがなく、前繰出パイプ36、後繰出パイプ37を長くする必要がないため、肥料の繰出性能を阻害することがない。
【0042】
また、本発明に係る追肥機は、次のように構成することもできる。なお、繰出装置30・30の構成は、前述の実施例と同様である。
すなわち、図5に示すように、追肥機203は、繰出装置30・30と接地輪60・60とを左右一対に有し、接地輪60・60を畝の左右両側の溝に車輪65・65が位置するように間隔変更可能に配置している。
接地輪60・60は、例えば、ボルト等により係止具を介してツールバー70の左右両側に取り付けられている。このため、畝幅に応じて接地輪60・60の間隔を変更することにより、接地輪60・60の車輪65・65を畝の左右両側の溝に位置させることができる。
【0043】
そして、前繰出ロール軸32cは、前述のように管理機201の左右方向の幅以上の長さに構成されており、左右の前繰出ロール32a・32aが同一の軸に固設されている。また、接地輪60・60からの駆動力は、前述したようにして前繰出ロール軸32cに伝達され、さらに、前ギヤ32fと後ギヤ33fとが係合することにより、後繰出ロール軸33cに伝達される。つまり、繰出装置30・30は、左右どちらか一方の接地輪60が回転することにより、繰出部31・31が駆動するように構成されている。
このため、走行中に追肥機203が左右に傾いた場合、一方の接地輪60が浮き上がっても、他方の接地輪60が圃場に接地していれば、繰出装置30・30は停止することなく、施肥作業が中断されることがない。
【0044】
また、管理機201は、走行輪212・212を左右一対に有し、走行輪212・212は、畝の左右両側の溝に位置するように間隔変更が可能であるとともに、走行輪212・212の車軸211を畝高よりも高い位置に配置している。走行輪212・212は、本実施例においては、鉄車輪であり、車軸211の左右両側に左右位置が変更可能に取り付けられている。走行輪212・212は、例えば、走行輪212の中心に設けられている取付孔を介して、車軸211に挿入されて、ボルト等により車軸211の任意の位置で固定される。
このため、畝幅に応じて走行輪212・212の間隔を変更することにより、走行輪212・212を畝の左右両側の溝に位置させることができる。
【0045】
なお、前繰出ロール軸32c、ツールバー70、車軸211の長さは、施肥の対象である畝の畝幅以上とする必要がある。また、これらの長さは限定するものではないが、長い方がより幅の広い畝にも対応できる。
【0046】
このような構成によって、走行速度に同調して繰り出すことができるため、均一に施肥することができるとともに、追肥機203を管理機201に装着して、畝を跨いで走行することができるため、走行輪112や接地輪60により畝を踏みつけたり、管理機201や追肥機203の下部が畝に接触したりして畝をつぶすことがない。例えば、畝が高い場合や広い場合、また、農作物の背が高い場合でも施肥作業が可能である。
なお、本実施例においては、繰出装置30は2台としているが、繰出装置30の台数は2台に限定するものではない。例えば、繰出装置30は1台でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る追肥機を管理機に装着した状態を示した側面図。
【図2】本発明に係る追肥機の繰出装置の配置を模式的に示した平面図。
【図3】繰出部を示した側面図。
【図4】従来の追肥機の繰出装置の配置を模式的に示した平面図。
【図5】本発明に係る別実施例の追肥機を管理機に装着した状態を示した斜視図。
【符号の説明】
【0048】
1 管理機
3 追肥機
11 車軸
12 走行輪
30 繰出装置
31 繰出部
32 前繰出部
32d 前シャッター
33 後繰出部
33d 後シャッター
34 肥料ホッパー
35 繰出パイプ
36 前繰出パイプ
36a 前吐出口
37 後繰出パイプ
37a 後吐出口
60 接地輪
65 車輪
201 管理機
203 追肥機
211 車軸
212 走行輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰出部と、
該繰出部の上部に取り付けられた肥料ホッパーと、
該繰出部の下部に取り付けられ、該繰出部から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、吐出口から肥料を吐出するガイド体と、
を備える繰出装置を進行方向に対して左右に複数有する、管理機に装着する追肥機において、
前記肥料ホッパーを前後方向に長く構成し、前記繰出装置を左右方向に間隔変更可能に複数配置したことを特徴とする追肥機。
【請求項2】
前記繰出装置は、接地輪の回転により前記繰出部が駆動されることを特徴とする請求項1に記載の追肥機。
【請求項3】
繰出部と、
該繰出部の上部に取り付けられた肥料ホッパーと、
該繰出部の下部に取り付けられ、該繰出部から繰り出された肥料を農作物の根元に案内し、吐出口から肥料を吐出するガイド体と、
を備える繰出装置を有する、管理機に装着する追肥機において、
接地輪を左右一対に有し、前記繰出装置は、該接地輪の回転により前記繰出部が駆動され、該左右一対の接地輪は、畝を跨ぐように配置し、
走行輪を左右一対に有し、該左右一対の走行輪は、畝を跨ぐように配置するとともに、該走行輪の車軸を畝高よりも高い位置に配置した管理機に装着することを特徴とする追肥機。
【請求項4】
前記繰出部は、前繰出部と後繰出部とからなり、
該前繰出部と後繰出部とを、前記肥料ホッパーの下部に前後方向に配置し、
前記前繰出部、後繰出部の下部に、それぞれ前記ガイド体を取り付けたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の追肥機。
【請求項5】
前記繰出装置は、農作物の条数に応じて、施肥条数を選択する施肥条数選択手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の追肥機。
【請求項6】
前記施肥条数選択手段は、前記繰出部と前記肥料ホッパーとの間にシャッターを介設したものであることを特徴とする請求項5に記載の追肥機。
【請求項7】
前記繰出装置は、前記ガイド体の吐出口の吐出位置を調節する条間調節手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の追肥機。
【請求項8】
前記ガイド体は、可撓式のパイプであって前記条間調節手段を兼ねることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の追肥機。
【請求項9】
前記繰出装置は、一の繰出部が駆動されて他の繰出部が一の繰出部に連動される連動機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の追肥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−236248(P2007−236248A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61280(P2006−61280)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(597041747)アグリテクノ矢崎株式会社 (56)
【Fターム(参考)】