説明

車両用アウトサイドミラー装置

【課題】ベースの上面とミラーハウジングの下面との間の隙間を通る風により発生する風切音を抑制することが重要である。
【解決手段】この発明は、ドアDに固定されるベース2と、ベース2に固定されているシャフト9と、シャフト9に可倒可能に取り付けられているミラーハウジング5と、を備える。シャフト9と一体のシャフトホルダ8には、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通る風Gの流速を低減させる壁16が設けられている。この結果、この発明は、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通る風Gにより発生する風切音を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミラーアセンブリが車体に対して可倒(回転、回動)可能である車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。すなわち、この発明は、たとえば、電動格納型のドアミラーや手動格納型のドアミラーなどの車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用アウトサイドミラー装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用アウトサイドミラー装置について説明する。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、車両のドアに取り付けられるミラーベースと、そのミラーベースの上向き面に立設される回動軸と、その回動軸に回動自在に支持されているミラーハウジングと、を備え、ミラーベースの上向き面に対面するミラーハウジングの下向き面に凹所を形成し、その凹所に突起を分散配置してなるものである。
【0003】
かかる車両用アウトサイドミラー装置においては、突起により、ミラーベースの上向き面とミラーハウジングの下向き面との間の隙間を通る気流により発生する笛吹き音を抑制することができるものである。このように、車両用アウトサイドミラー装置においては、ミラーベースの上向き面とミラーハウジングの下向き面との間の隙間を通る気流により発生する笛吹き音を抑制することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−168023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、ミラーベースの上向き面とミラーハウジングの下向き面との間の隙間を通る気流により発生する笛吹き音を抑制することが重要であるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、車体に固定されるベースと、ベースに固定されているシャフトと、シャフトに可倒可能に取り付けられているミラーハウジングと、を備え、シャフトには、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通る風の流速を低減させる壁が設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、ミラーハウジングのうちベースと対向する部分には、シャフトが挿通する挿通孔が設けられていて、シャフトの壁が、ミラーハウジングの挿通孔の面に近接して設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、ミラーハウジングの挿通孔の面とシャフトの壁の面とのうち少なくともいずれか一方には、壁により流速が低減された風の流れを乱す乱流部が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、シャフトの壁、乱流部が、ミラーハウジングが使用位置に位置するときに、車両の前方側に配設されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、車両が特に前進走行するときに、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通った風(走行風、気流)がシャフトの壁に当たるので、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通った風の流速が低減(減速)される。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通る風により発生する風切音(笛吹き音)を低減(抑制)することができる。
【0011】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、シャフトに壁を設けるものであるから、別個の部品を設ける必要が無い。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、別個の部品で風切音を低減するミラー装置と比較して、部品点数を軽減でき、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、シャフトの壁がミラーハウジングの挿通孔の面に近接して設けられているので、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通った風が直にシャフトの壁に当たるので、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通った風の流速を確実に低減することができる。すなわち、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通る風により発生する風切音を確実に低減することができる。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、乱流部により、壁で流速が低減された風の流れが乱される。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、乱流により、風の流速がさらに低減されるので、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通る風により発生する風切音をさらに確実に低減することができる。
【0014】
しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ミラーハウジングもしくはシャフトのうち少なくともいずれか一方に乱流部を設けるものであるから、別個の部品を設ける必要が無い。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、別個の部品で風の流れを乱すミラー装置と比較して、部品点数を軽減でき、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0015】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、シャフトの壁がシャフトの外周の一部分、乱流部が挿通孔の内周面の一部分、すなわち、ミラーハウジングが使用位置に位置するときに、車両の前方側の部分に設けられている。この結果、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ベースとミラーハウジングとの間の隙間を通った風の流速を確実に低減することができる。しかも、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、シャフトの壁がシャフトの外周の全部分、乱流部が挿通孔の内周面の全部分、に亘って設けられている構造のものと比較すると、重量が軽減され、かつ、構造が簡単になり、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例1を示す使用状態の平面図である。
【図2】図2は、同じく、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図3は、同じく、図2におけるIII部の拡大断面図である。
【図4】図4は、同じく、壁および乱流部を設けなかった場合における不具合を説明するための拡大断面図(図3に対応する拡大断面図)である。
【図5】図5は、同じく、図3におけるV−V線断面図である。
【図6】図6は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例2を示す断面図(図5に対応する断面図)である。
【図7】図7は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例3を示す断面図(図5に対応する断面図)である。
【図8】図8は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例4を示す断面図(図3に対応する断面図)である。
【図9】図9は、同じく、図8におけるIX−IX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例のうちの4例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
「構成の説明」
図1〜図5は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例1における車両用アウトサイドミラー装置であって、この例では、電動格納式ドアミラー装置(電動格納型のドアミラー)である。前記電動格納式ドアミラー装置1は、自動車の左右のドアにそれぞれ装備される。なお、この実施例1の電動格納式ドアミラー装置1は、自動車の右側のドアに装備されるものである。自動車の左側のドアに装備される電動格納式ドアミラー装置は、この実施例1の電動格納式ドアミラー装置1とほぼ左右が逆となる。
【0019】
前記電動格納式ドアミラー装置1は、車体(自動車のドア)Dに固定されるベース(ミラーベース)2と、前記ベース2に固定されているシャフト9と、前記シャフト9に可倒可能に取り付けられているミラーハウジング5と、を備えるものである。すなわち、前記電動格納式ドアミラー装置1は、図1に示すように、ミラーアセンブリ4(前記ミラーハウジング5)が電動格納ユニット3(前記シャフト9)および前記ベース2を介して前記ドアDに回転可能に取り付けられるものである。前記ベース2は、前記ドアDに固定されるものである。前記ベース2の下部には、カバー18が取り付けられている。
【0020】
前記ミラーアセンブリ4は、前記ミラーハウジング5と、パワーユニット(図示せず)と、図示しないミラー(ミラーユニット)と、から構成されている。前記ミラーハウジング5は、取付ブラケットを兼用する本体部6と、前記本体部6に取り付けられているカバー部7と、から構成されている。前記本体部6には、前記パワーユニットが取り付けられている。前記パワーユニットには、前記ミラーが上下左右に傾動可能に取り付けられている。
【0021】
前記電動格納ユニット3は、図2に示すように、シャフトホルダ8と、前記シャフト9と、ケーシング(ギアケースおよびカバー)10と、モータ(図示せず)と、回転力伝達機構としての減速機構(図示せず)およびクラッチ機構(図示せず)などと、を備えるものである。
【0022】
前記シャフトホルダ8の一方の面(上面)の中央には、前記シャフト9が一体に設けられている。前記シャフト9は、中空形状をなしていて、ハーネス(図示せず)が挿通するように構成されている。前記シャフト9には、前記ケーシング10が前記シャフト9の回転中心O−O回りに回転可能に取り付けられている。前記ケーシング10内には、前記モータと、前記回転力伝達機構の前記減速機構および前記クラッチ機構などと、がそれぞれ収納されている。前記電動格納ユニット3は、前記シャフトホルダ8および前記シャフト9側の固定部と、前記ケーシング10側の回転部と、から構成されている。
【0023】
前記ミラーハウジング5のうち前記ベース2と対向する部分(下部、底部)には、前記電動格納ユニット3(前記シャフト9)が挿通する挿通孔11が、設けられている。前記電動格納ユニット3は、前記ミラーアセンブリ4の前記ミラーハウジング5内に収納されている。前記電動格納ユニット3の前記回転部側の前記ケーシング10は、前記ミラーアセンブリ4の前記本体部6にスクリュー12などにより取り付けられている。前記電動格納ユニット3の前記固定部側の前記シャフトホルダ8は、前記ミラーハウジング5の前記挿通孔11を介して前記ベース2に図示しないスクリューなどにより固定されている。この結果、前記ミラーアセンブリ4は、前記電動格納ユニット3および前記ベース2を介して前記ドアDに回転可能に取り付けられる。すなわち、前記ミラーハウジング5は、前記ベース2に固定されている前記シャフト9に可倒可能に取り付けられる。
【0024】
前記シャフトホルダ8の上面は、縁部(外周部)13より中央部14が一段高い。前記シャフトホルダ8の前記中央部14の上面の中央には、前記シャフト9が一体に設けられている。前記固定部側の前記シャフトホルダ8の前記中央部14の上面と前記回転部側の前記ケーシング10の下面とは、平行に近接している。固定側の前記ベース2の上面と回転側の前記ミラーアセンブリ4の前記ミラーハウジング5の下面とは、隙間15を介して平行に近接している。前記シャフトホルダ8の前記縁部13の上面と前記ベース2の上面とは、図2(図4)に示すように、ほぼ面一である。
【0025】
図2、図3に示すように、前記シャフト9と一体の前記シャフトホルダ8の前記縁部13の上面には、円弧形状の壁16が一体に設けられている。前記壁16は、前記ベース2の上面と前記ミラーハウジング5の下面との間の前記隙間15を通る風Gの流速を低減させるものである。前記壁16は、前記ミラーハウジング5の前記挿通孔11の面(内周面)に近接して設けられている。
【0026】
前記ミラーハウジング5の前記挿通孔11の面には、乱流部17が設けられている。前記乱流部17は、この例では、前記シャフト9の回転中心O−O方向に一体に設けた複数本のリブである。前記乱流部17は、前記壁16により流速が低減された風G1の流れを図3中のG2に示すように乱すものである。
【0027】
前記シャフト9と一体の前記シャフトホルダ8の前記壁16および前記ミラーハウジング5の前記乱流部17は、前記ミラーハウジング5すなわち前記ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置するときに、車両の前方F側に配設されている。前記壁部16および前記乱流部17の設ける範囲は、この例では180°の開角度の範囲である。
【0028】
「作用の説明」
この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0029】
自動車の室内のスイッチ(図示せず)を操作すると、電動格納ユニット3のモータが駆動して、クラッチ機構の作用により、図1に示すように、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4が格納位置Bに電動回転して格納される。または、格納位置Bに位置するミラーアセンブリ4が使用位置Aに電動回転して復帰する。
【0030】
図1に示すように、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4に手動による力などがかかると、緩衝のために、クラッチ機構のクラッチが外れて、ミラーアセンブリ4が使用位置Aから格納位置Bへあるいは使用位置Aから前方傾倒位置Cへと回転する。格納位置Bへあるいは前方傾倒位置Cに位置するミラーアセンブリ4を回転させることにより、ミラーアセンブリ4を使用位置Aに復帰させることができる。
【0031】
ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置する状態で、車両が前進走行すると、風Gが車両の前方F側から後方E側に流れる。すると、図2、図3に示すように、風Gは、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通って、ミラーハウジング5内に進入する。
【0032】
ミラーハウジング5内に進入した風Gは、直に、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16に当たって、その壁16に沿って上(図3参照)もしくは周囲(図5参照)に、減速しながら流れる(風G1参照)。
【0033】
壁16に当たって減速した風G1は、乱流部17により、流れを乱される(図3中の風G2参照)。流れを乱された風G2は、さらに減速してミラーハウジング5内から外に抜ける(図2中の風G3参照)。
【0034】
このように、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通る風Gを減速させることができるので、車両走行時に発生する風切音を抑制することができる。
【0035】
「効果の説明」
この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0036】
この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、車両が特に前進走行するときに、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gがシャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16に直に当たるので、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gの流速が低減(減速)される(風G1参照)。この結果、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通る風Gにより発生する風切音(笛吹き音)を低減(抑制)することができる。試験走行の結果、人の耳では、風切音が聞こえないと言う効果が得られた。
【0037】
ここで、図4に示すように、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の縁部13の上面に壁16を設けていない車両用アウトサイドミラー装置の場合は、シャフトホルダ8の縁部13の上面とベース2の上面とはほぼ面一となる。このために、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gは、壁16に邪魔されずに、すなわち、流速を低減(減速)することなく保たれた状態でベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通過する。この結果、前記の車両用アウトサイドミラー装置の場合は、風切音が低減(抑制)されない。
【0038】
しかも、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、シャフト9と一体のシャフトホルダ8に壁16を一体に設けるものであるから、別個の部品を設ける必要が無い。この結果、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、別個の部品で風切音を低減するミラー装置と比較して、部品点数を軽減でき、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0039】
また、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16がミラーハウジング5の挿通孔11の面に近接して設けられているので、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gが直にシャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16に当たるので、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gの流速を確実に低減することができる。すなわち、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通る風Gにより発生する風切音を確実に低減することができる。
【0040】
さらに、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、ミラーハウジング5の乱流部17により、壁16で流速が低減された風G1の流れが乱される。この結果、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、乱流により、風G1の流速がさらに低減される(風G2参照)ので、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通る風Gにより発生する風切音をさらに確実に低減することができる。
【0041】
しかも、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、ミラーハウジング5に乱流部17を設けるものであるから、別個の部品を設ける必要が無い。この結果、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、別個の部品で風の流れを乱すミラー装置と比較して、部品点数を軽減でき、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0042】
さらにまた、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16がシャフトホルダ8の縁部13の外周の一部分、乱流部17がミラーハウジング5の挿通孔11の内周面の一部分、すなわち、ミラーハウジング5(ミラーアセンブリ4)が使用位置Aに位置するときに、車両の前方F側の部分に設けられている。この結果、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、ベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gの流速を確実に低減することができる。しかも、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16がシャフトホルダ8の縁部13の外周の全部分、乱流部17がミラーハウジング5の挿通孔11の内周面の全部分、に亘って設けられている構造のものと比較すると、重量が軽減され、かつ、構造が簡単になり、製造コストを安価にすることができる。
【0043】
しかも、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、シャフトホルダ8の縁部13の上面とベース2の上面とがほぼ面一となるようにシャフトホルダ8をベース2に固定するものであるから、装置全体がシャフト9の軸方向(シャフト9の回転中心O−O方向)に小型化することができ、小型のミラー装置に最適である。
【0044】
その上、この実施例1における電動格納式ドアミラー装置1は、シャフトホルダ8の縁部13の上面に壁16を一体に設け、かつ、ミラーハウジング5の挿通孔11の内周面に乱流部17を一体に設けたものであるから、他の部材を設けるものと比較して、部品点数が増加することがなく、かつ、製造コストが高くなることがない。
【実施例2】
【0045】
図6は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例2を示す。図中、図1〜図5と同符号は、同一のものを示す。前記の実施例1は、乱流部17をミラーハウジング5の挿通孔11の内周面に設けたものである。ところが、この実施例2は、乱流部17をミラーハウジング5の挿通孔11の内周面、および、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16の外周面に設けたものである。この実施例2の車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1の車両用アウトサイドミラー装置の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例3】
【0046】
図7は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例3を示す。図中、図1〜図6と同符号は、同一のものを示す。前記の実施例1は、乱流部17をミラーハウジング5の挿通孔11の内周面に設けたものであり、前記の実施例2は、乱流部17をミラーハウジング5の挿通孔11の内周面、および、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16の外周面に設けたものである。ところが、この実施例3は、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の壁16の外周面に設けたものである。この実施例3の車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1、2の車両用アウトサイドミラー装置の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例4】
【0047】
図8、図9は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例4を示す。図中、図1〜図7と同符号は、同一のものを示す。電動格納ユニット3の取付位置を上方に位置させて、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の縁部13をミラーハウジング5の内部側に位置させる。前記縁部13をベース2の上面とミラーハウジング5の下面との間の隙間15を通った風Gの流速を低減させる壁19とする。
【0048】
この実施例4の車両用アウトサイドミラー装置は、前記の実施例1、2、3の車両用アウトサイドミラー装置の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例4の車両用アウトサイドミラー装置は、電動格納ユニット3の取付位置を上方に位置させて、シャフト9と一体のシャフトホルダ8の縁部13を壁19とするものであるから、装置全体がシャフト9の軸方向(シャフト9の回転中心O−O方向)に大型化するが、凸形状の壁16を設ける必要が無いので、その分、構造が簡単となり製造コストが安価になる。
【0049】
「実施例1〜4以外の例の説明」
なお、前記の実施例1〜4においては、電動格納式のドアミラー装置について説明するものである。ところが、この発明においては、電動格納式のドアミラー装置以外の車両用アウトサイドミラー装置にも適用できる。たとえば、電動格納式の車両用フェンダミラー装置、あるいは、電動格納式のトラックミラー装置などの電動格納式の車両用アウトサイドミラー装置に適用することができる。
【0050】
また、前記の実施例1〜4においては、電動格納式のドアミラー装置について説明するものである。ところが、この発明においては、電動格納式のドアミラー装置以外の車両用アウトサイドミラー装置にも適用できる。たとえば、手動格納式のドアミラー装置、あるいは、手動格納式の車両用フェンダミラー装置、あるいは、手動格納式のトラックミラー装置などの手動格納式の車両用アウトサイドミラー装置に適用することができる。この手動格納式の場合は、電動格納式の電動格納ユニット3の代わりに、手動格納ユニットを使用する。この手動格納ユニットは、シャフトホルダと、そのシャフトホルダに一体のシャフトと、そのシャフトに回転可能に取り付けたケーシングと、そのケーシング内に収納したクラッチ機構と、から構成されている。
【0051】
さらに、前記の実施例1〜4においては、乱流部17がリブからなるものである。ところが、この発明においては、乱流部として、リブ以外に、たとえば、ディンプル加工、ホーニング加工、シボ加工などにより設けても良い。
【0052】
さらにまた、前記の実施例1〜4においては、壁16,19、乱流部17を180°の開角度の範囲に設けるものである。ところが、この発明においては、壁16,19、乱流部17を180°の開角度の範囲、以外の範囲、たとえば、360°の開角度の範囲、その他任意の開角度の範囲に設けても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 電動格納式ドアミラー装置(車両用アウトサイドミラー装置)
2 ベース(ミラーベース)
3 電動格納ユニット
4 ミラーアセンブリ
5 ミラーハウジング
6 本体部
7 カバー部
8 シャフトホルダ
9 シャフト
10 ケーシング
11 挿通孔
12 スクリュー
13 縁部
14 中央部
15 隙間
16 壁
17 乱流部
18 カバー
19 壁
A 使用位置
B 格納位置
C 前方傾倒位置
D ドア(車体)
E 車両の後方
F 車両の前方
G、G1、G2、G3 風
O−O シャフトの回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーハウジングが車体に対して可倒可能である車両用アウトサイドミラー装置において、
前記車体に固定されるベースと、
前記ベースに固定されているシャフトと、
前記シャフトに可倒可能に取り付けられている前記ミラーハウジングと、
を備え、
前記シャフトには、前記ベースと前記ミラーハウジングとの間の隙間を通る風の流速を低減させる壁が設けられている、
ことを特徴とする車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項2】
前記ミラーハウジングのうち前記ベースと対向する部分には、前記シャフトが挿通する挿通孔が、設けられていて、
前記シャフトの前記壁は、前記ミラーハウジングの前記挿通孔の面に近接して、設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項3】
前記ミラーハウジングの前記挿通孔の面と、前記シャフトの前記壁の面とのうち、少なくともいずれか一方には、前記壁により流速が低減された風の流れを乱す乱流部が、設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用アウトサイドミラー装置。
【請求項4】
前記シャフトの壁、前記乱流部は、前記ミラーハウジングが使用位置に位置するときに、車両の前方側に配設されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用アウトサイドミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131238(P2012−131238A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282362(P2010−282362)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】