車両用灯具
【課題】反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】照射方向が鉛直略下方となる姿勢でプロジェクタ光学系20の下方に配置された半導体発光素子22と、少なくとも前記半導体発光素子22から車両後方側に照射される光が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面32と、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った領域のうち前記半導体発光素子22より上方の領域に配置された反射領域33aを含む第2反射面33と、少なくとも前記半導体発光素子22から車両前方側に照射される光が入射するように、前記第1反射面32より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が前記第2反射面33に入射するように構成された第3反射面34と、を備えている。
【解決手段】照射方向が鉛直略下方となる姿勢でプロジェクタ光学系20の下方に配置された半導体発光素子22と、少なくとも前記半導体発光素子22から車両後方側に照射される光が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面32と、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った領域のうち前記半導体発光素子22より上方の領域に配置された反射領域33aを含む第2反射面33と、少なくとも前記半導体発光素子22から車両前方側に照射される光が入射するように、前記第1反射面32より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が前記第2反射面33に入射するように構成された第3反射面34と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系、投影レンズを介することなく反射面から反射される光により車両前方を照明するように構成されたパラボラ光学系を組み合わせた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具の分野においては、投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系、投影レンズを介することなく反射面から反射される光により車両前方を照明するように構成されたパラボラ光学系を組み合わせた車両用灯具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12(a)、図12(b)に示すように、特許文献1に記載の車両用灯具200は、投影レンズ211から照射される光によりスポット的な配光パターンPA(図13参照)を形成するように構成されたプロジェクタ光学系210、投影レンズ211を介することなく反射面221から反射される光により左右方向に拡散した配光パターンPBを形成するように構成されたパラボラ光学系220等を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4274107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用灯具200においては、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成するには、その構造上、パラボラ光学系220を構成する反射面221のサイズを大きくせざるをえず、その分、車両用灯具220が大型化してしまい、車両用灯具小型化の要請に反してしまうという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の車両用灯具200においては、プロジェクタ光学系220を構成する投影レンズ211及びパラボラ光学系220を構成する反射面221(図12(b)中斜線領域)を発光させることが可能であるものの、投影レンズ211及び反射面221が上下に別個独立に配置されており、一体感、統一感なく個別に発光しているとの印象を与えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、第1に、従来と比べ、パラボラ光学系を構成する反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。第2に、プロジェクタ光学系を構成する投影レンズ及びパラボラ光学系を構成する反射面が一体的に発光しているとの印象を与えることが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系と、照射方向が鉛直略下方となる姿勢で前記プロジェクタ光学系の下方に配置された半導体発光素子と、少なくとも前記半導体発光素子から車両後方側に照射される光が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面と、正面視で前記投影レンズの輪郭に沿った領域のうち前記半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域を含む第2反射面と、少なくとも前記半導体発光素子から車両前方側に照射される光が入射するように、前記第1反射面より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が前記第2反射面に入射するように構成された第3反射面と、を備えており、前記第2反射面は、その反射光が車両前方を照明するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、正面視で投影レンズの輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域及び第3反射面の作用により(すなわち二回反射により)、従来反射面として用いられていなかった図12(b)中符号Aで示す領域(請求項1では、正面視で投影レンズの輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子より上方の領域)を、車両前方を照明するための反射面として用いることが可能となるため、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0010】
また、請求項1に記載の発明によれば、正面視で投影レンズの輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域及び第3反射面の作用により、従来発光させることができなかった図12(b)中符号Aで示す領域(すなわち、請求項1では、正面視で投影レンズと第1反射面との間の領域)を発光させることが可能となるため、プロジェクタ光学系を構成する投影レンズとパラボラ光学系を構成する第1反射面とが連結されて一体的に発光しているとの印象を与えることが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズの輪郭が内接又は略内接した、前記投影レンズの輪郭よりも大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とで囲まれた三日月型領域に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1反射面及び前記第2反射面を、正面視で投影レンズの輪郭が内接(又は略内接)した、投影レンズの輪郭よりも大径の円(又は略円)と投影レンズの輪郭とで囲まれた三日月型領域に配置したことにより、従来と比べ、同等以上の明るさを確保しつつ、車両用灯具全体の発光領域の径を最小化することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とが鉛直方向最上部又はその近傍において内接又は略内接することにより、正面視で前記投影レンズの左右両側から下方にかけての領域に、前記三日月型領域が形成されており、前記第1反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記投影レンズの下方に配置されており、前記第2反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記第1反射面の片側又は両側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1反射面及び第2反射面を、正面視で投影レンズの左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域)に配置したことにより、従来と比べ、同等以上の明るさを確保しつつ、車両用灯具全体の発光領域の径を最小化することが可能となる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1反射面及び第2反射面を、正面視で投影レンズの左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域)に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記大径の円又は略円の中心と前記投影レンズの輪郭の中心との間の軸間距離は5mm以上に設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズを含む矩形領域に配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、第1反射面及び第2反射面を、正面視で投影レンズを含む矩形領域に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記第3反射面は、前記第1反射面から車両前方に照射される反射光が干渉しないように、正面視で前記第1反射面の下方に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、第1反射面から車両前方に照射される反射光が、第3反射面に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターン(例えば、スポット的な配光パターンと左右方向に拡散した配光パターンとを含むロービーム用配光パターン)を形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記投影レンズの光軸と略同一方向に進行するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす所定配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の発明において、前記第1反射面及び前記第2反射面の前方には、前記第1反射面及び前記第2反射面から車両前方に照射される反射光が透過するレンズ部が配置されており、前記レンズ部には、当該レンズ部を透過する反射光を左右方向に拡散させて、前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するためのレンズカットが形成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、レンズ部の作用により、第1反射面や第2反射面から車両前方に照射される反射光が、エクステンション等の灯具構成要素に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1に、従来と比べ、パラボラ光学系を構成する反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供することが可能となる。第2に、プロジェクタ光学系を構成する投影レンズ及びパラボラ系光学系を構成する反射面が一体的に発光しているとの印象を与えることが可能な車両用灯具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)本発明の一実施形態である車両用灯具10の上面図、(b)正面図、(c)斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である車両用灯具10の縦断面図である。
【図3】半導体発光素子31の照射範囲を説明するための模式図である。
【図4】(a)本発明の一実施形態である車両用灯具10の上面図(光路図)、(b)正面図(光路図)、(c)斜視図、(d)縦断面図(光路図)である。
【図5】車両用灯具10により車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンPの例である。
【図6】本発明の一実施形態である車両用灯具10の正面図である。
【図7】第1反射面32や第2反射面33から車両前方へ照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉することを説明するための図である。
【図8】(a)本発明の変形例1である車両用灯具10の上面図、(b)正面図、(c)斜視図、(d)縦断面図である。
【図9】第1反射面32や第2反射面33から車両前方へ照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉しないことを説明するための図である。
【図10】本発明の変形例2である車両用灯具10の正面図である。
【図11】車両用灯具10(変形例4)により車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるハイビーム用配光パターンP3の例である。
【図12】(a)従来の車両用灯具200の縦断面図、(b)正面図である。
【図13】従来の車両用灯具200により車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンの例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
【0031】
本実施形態の車両用灯具10は、ロービーム用配光パターンを形成するように構成された光学ユニットであり、車両前部の左右両側にそれぞれ配置されて車両用前照灯(ヘッドランプ)を構成している。
【0032】
図1(a)〜図1(c)、図2に示すように、車両用灯具10は、投影レンズ21から照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系20、投影レンズ21を介することなく各反射面32、33から反射される光により車両前方を照明するように構成されたパラボラ光学系30等を備えている。
【0033】
[プロジェクタ光学系20]
図2に示すように、プロジェクタ光学系20は、既存のプロジェクタ光学系と同様、車両前後方向に延びる光軸AX上に配置された投影レンズ21、照射方向が鉛直略上方となる姿勢で投影レンズ21の後方側焦点Fよりも車両後方側に配置された半導体発光素子22、半導体発光素子22からの光を光軸AX寄りに集光するように反射する反射面23、上端縁が投影レンズ21の後方側焦点F近傍に位置した状態で投影レンズ21と半導体発光素子22との間に配置されたシェード24等を備えている。
【0034】
投影レンズ21は、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面、かつ、正面視で円形(又は略円形)の平凸非球面レンズである(図1(b)参照)。投影レンズ21は、レンズホルダー等に保持されて光軸AX上に配置されている。投影レンズ21は、その後側焦点面上に形成される光源像を反転像として投影する。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に配光パターンP1(図5参照)が形成される。
【0035】
半導体発光素子22としては、例えば、少なくとも1つのLEDチップ(例えば青色LEDチップ)と蛍光体(例えば黄色蛍光体)とを組み合わせたLED光源、又は、少なくとも1つのレーザー光源(例えば青色レーザー光を照射するレーザーダイオード)と蛍光体(例えば黄色蛍光体)とを組み合わせたレーザー光源等を用いることが可能である。
【0036】
反射面23は、半導体発光素子22から上方へ照射される光が入射するように、半導体発光素子22の上方を覆うように配置されている(図1(c)、図2参照)。反射面23は、光軸AXを含む断面形状が略楕円形状に設定されるとともに、その離心率が鉛直断面から水平断面にむけて徐々に大きくなるように設定されている。これにより、反射面23で反射された半導体発光素子22からの光は、鉛直断面内においては後方側焦点Fのやや前方に略収束し、水平断面においては鉛直断面に比べ更に前方の位置で略収束する。
【0037】
シェード24は、反射面23からの反射光の一部を遮光するための遮光部材であり、上端縁が投影レンズ21の後側焦点F近傍に位置した状態で投影レンズ21と半導体発光素子22との間に配置されている(図2参照)。シェード24は、反射面23からの反射光の一部を遮光することでその上端縁により規定されるカットオフラインCLを形成する(図5参照)。反射面23からの反射光の一部は、アルミ蒸着等の鏡面処理が施されたシェード24上面で反射され、投影レンズ21で路面方向に屈折して前方に照射される。これにより、光利用効率が向上する。
【0038】
上記構成のプロジェクタ光学系20によれば、半導体発光素子22から照射された光は、反射面23により反射されて光軸AX寄りに集光した後、投影レンズ21から照射されて車両前方を照明する。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、シェード24により規定されるカットオフラインCLを含むスポット的な配光パターンP1(図5参照)が形成される。
【0039】
[パラボラ光学系30]
図2に示すように、パラボラ光学系30は、照射方向が鉛直略下方となる姿勢でプロジェクタ光学系20の下方に配置された半導体発光素子31、少なくとも半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面32、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った領域(図1(b)中三日月型領域A1を例示)のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33a(図1(b)参照)を含む第2反射面33、少なくとも半導体発光素子31から下方かつ車両前方側(図3中前方領域参照)に照射される光Ray2が入射するように、第1反射面32より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が第2反射面33に入射するように構成された第3反射面34等を備えている。
【0040】
図1(b)に示すように、第1反射面32及び第2反射面33は、正面視で投影レンズ21の輪郭C2が内接(又は略内接)した、投影レンズ21の輪郭C2よりも大径の円C1(又は略円)と投影レンズ21の輪郭C2とで囲まれた三日月型領域A1に配置されている。
【0041】
より詳細には、大径の円C1(又は略円)と投影レンズ21の輪郭C2とが鉛直方向最上部(又はその近傍)において内接(又は略内接)することにより、正面視で投影レンズ21の左右両側から下方にかけての領域(すなわち、投影レンズ21の輪郭に沿った領域)に、三日月型領域A1が形成されている。
【0042】
そして、第1反射面32は、三日月型領域A1のうち正面視で投影レンズ21の下方に配置されており、第2反射面33は、三日月型領域A1のうち正面視で第1反射面32の両側に配置されている(図1(b)参照)。なお、第2反射面33は、三日月型領域A1のうち正面視で第1反射面32の片側にのみ配置されていてもよい。
【0043】
大径の円C1(又は略円)の中心と投影レンズ21の輪郭C2の中心との間の軸間距離Hは5mm以上(例えば9mm)に設定されている(図1(b)参照)。
【0044】
第1反射面32は、少なくとも半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1が入射するように、半導体発光素子31の下方を覆うように配置されている(図2参照)。第1反射面32としては、例えば、焦点F32が半導体発光素子31近傍に設定され(図2参照)、光軸AXと略同一方向に延びる回転軸を持つ回転放物系の反射面を用いることが可能である。本実施形態では、第1反射面32は、車両前方に照射される反射光が仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンP2を形成するように調整されている。
【0045】
第2反射面33は、三日月型領域A1のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33aを含んでいる(図1(b)参照)。第2反射面33としては、例えば、焦点F33が第3反射面34の第2焦点近傍に設定され(図2参照)、光軸AXと略同一方向に延びる回転軸を持つ回転放物系の反射面を用いることが可能である。本実施形態では、第2反射面33は、車両前方に照射される反射光が仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンP2を形成するように調整されている。
【0046】
第3反射面34は、第1反射面32から車両前方に照射される反射光が干渉しないように、正面視で第1反射面32の下方に配置されている(図1(b)参照)。これにより、第1反射面32から車両前方に照射される反射光Ray1が、第3反射面34に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。第3反射面34としては、例えば、第1焦点F134が半導体発光素子31近傍に設定され、第2焦点F234が第2反射面33と第3反射面34との間に設定された(図2参照)回転楕円系の反射面を用いることが可能である。
【0047】
上記構成のパラボラ光学系30によれば、図4(d)に示すように、半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1は、第1反射面32により反射されて車両前方を照明する。一方、図4(a)〜図4(d)に示すように、半導体発光素子31から下方かつ車両前方側(図3中前方領域参照)に照射される光Ray2は、第3反射面34により反射されて第2焦点F234に集光した後、第2反射面33に入射し、当該第2反射面33により反射されて車両前方を照明する。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、左右方向に拡散された配光パターンP2(図5参照)が形成される。この拡散配光パターンP2がスポット的な配光パターンP1に重畳されることで、ロービーム用配光パターンPが形成される(図5参照)。
【0048】
上記構成の車両用灯具10によれば、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った三日月型領域A1のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33a(図1(b)参照)及び第3反射面34の作用により(すなわち二回反射により)、従来反射面として用いられていなかった図12(b)中符号Aで示す領域(本実施形態では、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子31より上方の反射領域33a。図1(b)参照)を、車両前方を照明するための反射面として用いることが可能となるため、従来と比べ、第1反射面32のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たすロービーム用配光パターンPを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0049】
また、上記構成の車両用灯具10によれば、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った三日月型領域A1のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33a(図1(b)参照)及び第3反射面34の作用により、従来発光させることができなかった図12(b)中符号Aで示す領域(すなわち、本実施形態では、正面視で投影レンズ21と第1反射面32との間の反射領域33a。図6参照)を発光させることが可能となるため、プロジェクタ光学系20を構成する投影レンズ21とパラボラ光学系30を構成する第1反射面32とが連結されて境界無く一体的に発光している(図6中斜線領域参照)との印象を与えることが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0050】
また、上記構成の車両用灯具10によれば、第1反射面32及び第2反射面33を、正面視で投影レンズ21の左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域A1)に配置したことにより、従来と比べ、同等以上の明るさを確保しつつ、車両用灯具10全体の発光領域の径を最小化することが可能となる(図6参照)。
【0051】
また、上記構成の車両用灯具10によれば、第1反射面32及び第2反射面33を、正面視で投影レンズ21の左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域A1)に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる(図6参照)。
【0052】
次に、変形例について説明する。
【0053】
[変形例1]
上記実施形態のように、車両前方に照射される反射光が仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンP2を形成するように第1反射面32、第2反射面33が調整されていると、図7に示すように、その周囲に配置された灯具構成要素40(例えば、装飾部材としてのエクステンションの一部)との関係で、第1反射面32や第2反射面33から車両前方へ照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるという問題が起こり得る。なお、図7、図9中、符号41は、アウターレンズを示している。
【0054】
これを防止するために、本変形例では、第1反射面32及び第2反射面33から車両前方に照射される反射光Ray1、Ray2を光軸AXと略同一方向に進行させるために、第1反射面32、第2反射面33に対しては上記調整がされていない。そして、図8(a)〜図8(d)、図9に示すように、第1反射面32及び第2反射面33の前方には、第1反射面32及び第2反射面33から車両前方に照射される反射光Ray1、Ray2が透過するレンズ部L(例えば、フレネルレンズ)が配置されている。レンズ部Lには、当該レンズ部Lを透過する反射光Ray1、Ray2を左右方向に拡散させて、仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するためのレンズカットLCが形成されている。なお、レンズ部Lは、投影レンズ21と一体的に形成されていてもよいし(図8(b)参照)、別個独立に形成されていてもよい。
【0055】
本変形例によれば、半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1は、第1反射面32により反射され、光軸AXと略同一方向に進行してレンズ部Lを透過するとともにレンズカットLCにより左右方向に拡散されて車両前方を照明する(図9参照)。一方、半導体発光素子31から下方かつ車両前方側(図3中前方領域参照)に照射される光Ray2は、第3反射面34により反射されて第2焦点F234に集光した後、第2反射面33に入射し、当該第2反射面33により反射され、光軸AXと略同一方向に進行してレンズ部Lを透過するとともにレンズカットLCにより左右方向に拡散されて車両前方を照明する(図9参照)。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、左右方向に拡散された配光パターンP2(図5参照)が形成される。この拡散配光パターンP2がスポット的な配光パターンP1に重畳されることで、ロービーム用配光パターンPが形成される(図5参照)。
【0056】
以上説明したように、本変形例によれば、レンズ部Lの作用により、第1反射面32や第2反射面33から車両前方に照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。
【0057】
[変形例2]
上記実施形態では、第1反射面32及び第2反射面33は、三日月型領域A1に配置されているように説明した(図1(b)参照)が、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、第1反射面32及び第2反射面33は、正面視で投影レンズ21を含む矩形領域A2、あるいはその他形状(台形、三角以上の多角形等)の領域に配置されていてもよい。
【0058】
本変形例によれば、第1反射面32及び第2反射面33を、正面視で投影レンズ21を含む矩形領域A2に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0059】
[変形例3]
上記実施形態では、投影レンズ21が正面視で円形(又は略円形)であるように説明した(図1(b)参照)が、本発明はこれに限定されない。例えば、投影レンズ21は正面視で矩形その他の形状であってもよい。
【0060】
本変形例によれば、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0061】
[変形例4]
上記実施形態では、プロジェクタ光学系20は、シェード24の上端縁の反転投影像として形成されるカットオフラインを含むスポット的な配光パターンP1(図5参照)を形成するロービーム用のプロジェクタ光学系20であるように説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0062】
例えば、プロジェクタ光学系20は、鉛直線Vと水平線Hの交点を含む領域に形成されたホットゾーンHzを含むハイビーム用配光パターンP3(図11参照)を形成するハイビーム用の車両用灯具ユニットとして構成されていてもよい。例えば、図2に示したプロジェクタ光学系20からシェード24を取り除き、反射面23をハイビーム用配光パターンP3を形成する反射面として構成することで、ハイビーム用のプロジェクタ光学系を構成することが可能である。
【0063】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…車両用灯具、20…プロジェクタ光学系、21…投影レンズ、22…半導体発光素子、23…反射面、24…シェード、30…パラボラ光学系、31…半導体発光素子、32…第1反射面、33…第2反射面、33a…反射領域、34…第3反射面、40…灯具構成要素、A1…三日月型領域、A2…矩形領域
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系、投影レンズを介することなく反射面から反射される光により車両前方を照明するように構成されたパラボラ光学系を組み合わせた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具の分野においては、投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系、投影レンズを介することなく反射面から反射される光により車両前方を照明するように構成されたパラボラ光学系を組み合わせた車両用灯具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12(a)、図12(b)に示すように、特許文献1に記載の車両用灯具200は、投影レンズ211から照射される光によりスポット的な配光パターンPA(図13参照)を形成するように構成されたプロジェクタ光学系210、投影レンズ211を介することなく反射面221から反射される光により左右方向に拡散した配光パターンPBを形成するように構成されたパラボラ光学系220等を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4274107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用灯具200においては、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成するには、その構造上、パラボラ光学系220を構成する反射面221のサイズを大きくせざるをえず、その分、車両用灯具220が大型化してしまい、車両用灯具小型化の要請に反してしまうという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の車両用灯具200においては、プロジェクタ光学系220を構成する投影レンズ211及びパラボラ光学系220を構成する反射面221(図12(b)中斜線領域)を発光させることが可能であるものの、投影レンズ211及び反射面221が上下に別個独立に配置されており、一体感、統一感なく個別に発光しているとの印象を与えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、第1に、従来と比べ、パラボラ光学系を構成する反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。第2に、プロジェクタ光学系を構成する投影レンズ及びパラボラ光学系を構成する反射面が一体的に発光しているとの印象を与えることが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系と、照射方向が鉛直略下方となる姿勢で前記プロジェクタ光学系の下方に配置された半導体発光素子と、少なくとも前記半導体発光素子から車両後方側に照射される光が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面と、正面視で前記投影レンズの輪郭に沿った領域のうち前記半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域を含む第2反射面と、少なくとも前記半導体発光素子から車両前方側に照射される光が入射するように、前記第1反射面より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が前記第2反射面に入射するように構成された第3反射面と、を備えており、前記第2反射面は、その反射光が車両前方を照明するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、正面視で投影レンズの輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域及び第3反射面の作用により(すなわち二回反射により)、従来反射面として用いられていなかった図12(b)中符号Aで示す領域(請求項1では、正面視で投影レンズの輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子より上方の領域)を、車両前方を照明するための反射面として用いることが可能となるため、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0010】
また、請求項1に記載の発明によれば、正面視で投影レンズの輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域及び第3反射面の作用により、従来発光させることができなかった図12(b)中符号Aで示す領域(すなわち、請求項1では、正面視で投影レンズと第1反射面との間の領域)を発光させることが可能となるため、プロジェクタ光学系を構成する投影レンズとパラボラ光学系を構成する第1反射面とが連結されて一体的に発光しているとの印象を与えることが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズの輪郭が内接又は略内接した、前記投影レンズの輪郭よりも大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とで囲まれた三日月型領域に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1反射面及び前記第2反射面を、正面視で投影レンズの輪郭が内接(又は略内接)した、投影レンズの輪郭よりも大径の円(又は略円)と投影レンズの輪郭とで囲まれた三日月型領域に配置したことにより、従来と比べ、同等以上の明るさを確保しつつ、車両用灯具全体の発光領域の径を最小化することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とが鉛直方向最上部又はその近傍において内接又は略内接することにより、正面視で前記投影レンズの左右両側から下方にかけての領域に、前記三日月型領域が形成されており、前記第1反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記投影レンズの下方に配置されており、前記第2反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記第1反射面の片側又は両側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1反射面及び第2反射面を、正面視で投影レンズの左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域)に配置したことにより、従来と比べ、同等以上の明るさを確保しつつ、車両用灯具全体の発光領域の径を最小化することが可能となる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1反射面及び第2反射面を、正面視で投影レンズの左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域)に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記大径の円又は略円の中心と前記投影レンズの輪郭の中心との間の軸間距離は5mm以上に設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズを含む矩形領域に配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、第1反射面及び第2反射面を、正面視で投影レンズを含む矩形領域に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記第3反射面は、前記第1反射面から車両前方に照射される反射光が干渉しないように、正面視で前記第1反射面の下方に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、第1反射面から車両前方に照射される反射光が、第3反射面に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターン(例えば、スポット的な配光パターンと左右方向に拡散した配光パターンとを含むロービーム用配光パターン)を形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記投影レンズの光軸と略同一方向に進行するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、従来と比べ、第1反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす所定配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の発明において、前記第1反射面及び前記第2反射面の前方には、前記第1反射面及び前記第2反射面から車両前方に照射される反射光が透過するレンズ部が配置されており、前記レンズ部には、当該レンズ部を透過する反射光を左右方向に拡散させて、前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するためのレンズカットが形成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、レンズ部の作用により、第1反射面や第2反射面から車両前方に照射される反射光が、エクステンション等の灯具構成要素に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1に、従来と比べ、パラボラ光学系を構成する反射面のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たす配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供することが可能となる。第2に、プロジェクタ光学系を構成する投影レンズ及びパラボラ系光学系を構成する反射面が一体的に発光しているとの印象を与えることが可能な車両用灯具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)本発明の一実施形態である車両用灯具10の上面図、(b)正面図、(c)斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である車両用灯具10の縦断面図である。
【図3】半導体発光素子31の照射範囲を説明するための模式図である。
【図4】(a)本発明の一実施形態である車両用灯具10の上面図(光路図)、(b)正面図(光路図)、(c)斜視図、(d)縦断面図(光路図)である。
【図5】車両用灯具10により車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンPの例である。
【図6】本発明の一実施形態である車両用灯具10の正面図である。
【図7】第1反射面32や第2反射面33から車両前方へ照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉することを説明するための図である。
【図8】(a)本発明の変形例1である車両用灯具10の上面図、(b)正面図、(c)斜視図、(d)縦断面図である。
【図9】第1反射面32や第2反射面33から車両前方へ照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉しないことを説明するための図である。
【図10】本発明の変形例2である車両用灯具10の正面図である。
【図11】車両用灯具10(変形例4)により車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるハイビーム用配光パターンP3の例である。
【図12】(a)従来の車両用灯具200の縦断面図、(b)正面図である。
【図13】従来の車両用灯具200により車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンの例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
【0031】
本実施形態の車両用灯具10は、ロービーム用配光パターンを形成するように構成された光学ユニットであり、車両前部の左右両側にそれぞれ配置されて車両用前照灯(ヘッドランプ)を構成している。
【0032】
図1(a)〜図1(c)、図2に示すように、車両用灯具10は、投影レンズ21から照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系20、投影レンズ21を介することなく各反射面32、33から反射される光により車両前方を照明するように構成されたパラボラ光学系30等を備えている。
【0033】
[プロジェクタ光学系20]
図2に示すように、プロジェクタ光学系20は、既存のプロジェクタ光学系と同様、車両前後方向に延びる光軸AX上に配置された投影レンズ21、照射方向が鉛直略上方となる姿勢で投影レンズ21の後方側焦点Fよりも車両後方側に配置された半導体発光素子22、半導体発光素子22からの光を光軸AX寄りに集光するように反射する反射面23、上端縁が投影レンズ21の後方側焦点F近傍に位置した状態で投影レンズ21と半導体発光素子22との間に配置されたシェード24等を備えている。
【0034】
投影レンズ21は、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面、かつ、正面視で円形(又は略円形)の平凸非球面レンズである(図1(b)参照)。投影レンズ21は、レンズホルダー等に保持されて光軸AX上に配置されている。投影レンズ21は、その後側焦点面上に形成される光源像を反転像として投影する。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に配光パターンP1(図5参照)が形成される。
【0035】
半導体発光素子22としては、例えば、少なくとも1つのLEDチップ(例えば青色LEDチップ)と蛍光体(例えば黄色蛍光体)とを組み合わせたLED光源、又は、少なくとも1つのレーザー光源(例えば青色レーザー光を照射するレーザーダイオード)と蛍光体(例えば黄色蛍光体)とを組み合わせたレーザー光源等を用いることが可能である。
【0036】
反射面23は、半導体発光素子22から上方へ照射される光が入射するように、半導体発光素子22の上方を覆うように配置されている(図1(c)、図2参照)。反射面23は、光軸AXを含む断面形状が略楕円形状に設定されるとともに、その離心率が鉛直断面から水平断面にむけて徐々に大きくなるように設定されている。これにより、反射面23で反射された半導体発光素子22からの光は、鉛直断面内においては後方側焦点Fのやや前方に略収束し、水平断面においては鉛直断面に比べ更に前方の位置で略収束する。
【0037】
シェード24は、反射面23からの反射光の一部を遮光するための遮光部材であり、上端縁が投影レンズ21の後側焦点F近傍に位置した状態で投影レンズ21と半導体発光素子22との間に配置されている(図2参照)。シェード24は、反射面23からの反射光の一部を遮光することでその上端縁により規定されるカットオフラインCLを形成する(図5参照)。反射面23からの反射光の一部は、アルミ蒸着等の鏡面処理が施されたシェード24上面で反射され、投影レンズ21で路面方向に屈折して前方に照射される。これにより、光利用効率が向上する。
【0038】
上記構成のプロジェクタ光学系20によれば、半導体発光素子22から照射された光は、反射面23により反射されて光軸AX寄りに集光した後、投影レンズ21から照射されて車両前方を照明する。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、シェード24により規定されるカットオフラインCLを含むスポット的な配光パターンP1(図5参照)が形成される。
【0039】
[パラボラ光学系30]
図2に示すように、パラボラ光学系30は、照射方向が鉛直略下方となる姿勢でプロジェクタ光学系20の下方に配置された半導体発光素子31、少なくとも半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面32、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った領域(図1(b)中三日月型領域A1を例示)のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33a(図1(b)参照)を含む第2反射面33、少なくとも半導体発光素子31から下方かつ車両前方側(図3中前方領域参照)に照射される光Ray2が入射するように、第1反射面32より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が第2反射面33に入射するように構成された第3反射面34等を備えている。
【0040】
図1(b)に示すように、第1反射面32及び第2反射面33は、正面視で投影レンズ21の輪郭C2が内接(又は略内接)した、投影レンズ21の輪郭C2よりも大径の円C1(又は略円)と投影レンズ21の輪郭C2とで囲まれた三日月型領域A1に配置されている。
【0041】
より詳細には、大径の円C1(又は略円)と投影レンズ21の輪郭C2とが鉛直方向最上部(又はその近傍)において内接(又は略内接)することにより、正面視で投影レンズ21の左右両側から下方にかけての領域(すなわち、投影レンズ21の輪郭に沿った領域)に、三日月型領域A1が形成されている。
【0042】
そして、第1反射面32は、三日月型領域A1のうち正面視で投影レンズ21の下方に配置されており、第2反射面33は、三日月型領域A1のうち正面視で第1反射面32の両側に配置されている(図1(b)参照)。なお、第2反射面33は、三日月型領域A1のうち正面視で第1反射面32の片側にのみ配置されていてもよい。
【0043】
大径の円C1(又は略円)の中心と投影レンズ21の輪郭C2の中心との間の軸間距離Hは5mm以上(例えば9mm)に設定されている(図1(b)参照)。
【0044】
第1反射面32は、少なくとも半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1が入射するように、半導体発光素子31の下方を覆うように配置されている(図2参照)。第1反射面32としては、例えば、焦点F32が半導体発光素子31近傍に設定され(図2参照)、光軸AXと略同一方向に延びる回転軸を持つ回転放物系の反射面を用いることが可能である。本実施形態では、第1反射面32は、車両前方に照射される反射光が仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンP2を形成するように調整されている。
【0045】
第2反射面33は、三日月型領域A1のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33aを含んでいる(図1(b)参照)。第2反射面33としては、例えば、焦点F33が第3反射面34の第2焦点近傍に設定され(図2参照)、光軸AXと略同一方向に延びる回転軸を持つ回転放物系の反射面を用いることが可能である。本実施形態では、第2反射面33は、車両前方に照射される反射光が仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンP2を形成するように調整されている。
【0046】
第3反射面34は、第1反射面32から車両前方に照射される反射光が干渉しないように、正面視で第1反射面32の下方に配置されている(図1(b)参照)。これにより、第1反射面32から車両前方に照射される反射光Ray1が、第3反射面34に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。第3反射面34としては、例えば、第1焦点F134が半導体発光素子31近傍に設定され、第2焦点F234が第2反射面33と第3反射面34との間に設定された(図2参照)回転楕円系の反射面を用いることが可能である。
【0047】
上記構成のパラボラ光学系30によれば、図4(d)に示すように、半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1は、第1反射面32により反射されて車両前方を照明する。一方、図4(a)〜図4(d)に示すように、半導体発光素子31から下方かつ車両前方側(図3中前方領域参照)に照射される光Ray2は、第3反射面34により反射されて第2焦点F234に集光した後、第2反射面33に入射し、当該第2反射面33により反射されて車両前方を照明する。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、左右方向に拡散された配光パターンP2(図5参照)が形成される。この拡散配光パターンP2がスポット的な配光パターンP1に重畳されることで、ロービーム用配光パターンPが形成される(図5参照)。
【0048】
上記構成の車両用灯具10によれば、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った三日月型領域A1のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33a(図1(b)参照)及び第3反射面34の作用により(すなわち二回反射により)、従来反射面として用いられていなかった図12(b)中符号Aで示す領域(本実施形態では、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った領域のうち半導体発光素子31より上方の反射領域33a。図1(b)参照)を、車両前方を照明するための反射面として用いることが可能となるため、従来と比べ、第1反射面32のサイズを小さくすることで小型化しても、法規が求める光度を満たすロービーム用配光パターンPを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0049】
また、上記構成の車両用灯具10によれば、正面視で投影レンズ21の輪郭に沿った三日月型領域A1のうち半導体発光素子31より上方の領域に配置された反射領域33a(図1(b)参照)及び第3反射面34の作用により、従来発光させることができなかった図12(b)中符号Aで示す領域(すなわち、本実施形態では、正面視で投影レンズ21と第1反射面32との間の反射領域33a。図6参照)を発光させることが可能となるため、プロジェクタ光学系20を構成する投影レンズ21とパラボラ光学系30を構成する第1反射面32とが連結されて境界無く一体的に発光している(図6中斜線領域参照)との印象を与えることが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0050】
また、上記構成の車両用灯具10によれば、第1反射面32及び第2反射面33を、正面視で投影レンズ21の左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域A1)に配置したことにより、従来と比べ、同等以上の明るさを確保しつつ、車両用灯具10全体の発光領域の径を最小化することが可能となる(図6参照)。
【0051】
また、上記構成の車両用灯具10によれば、第1反射面32及び第2反射面33を、正面視で投影レンズ21の左右両側から下方にかけての領域(三日月型領域A1)に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる(図6参照)。
【0052】
次に、変形例について説明する。
【0053】
[変形例1]
上記実施形態のように、車両前方に照射される反射光が仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンP2を形成するように第1反射面32、第2反射面33が調整されていると、図7に示すように、その周囲に配置された灯具構成要素40(例えば、装飾部材としてのエクステンションの一部)との関係で、第1反射面32や第2反射面33から車両前方へ照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるという問題が起こり得る。なお、図7、図9中、符号41は、アウターレンズを示している。
【0054】
これを防止するために、本変形例では、第1反射面32及び第2反射面33から車両前方に照射される反射光Ray1、Ray2を光軸AXと略同一方向に進行させるために、第1反射面32、第2反射面33に対しては上記調整がされていない。そして、図8(a)〜図8(d)、図9に示すように、第1反射面32及び第2反射面33の前方には、第1反射面32及び第2反射面33から車両前方に照射される反射光Ray1、Ray2が透過するレンズ部L(例えば、フレネルレンズ)が配置されている。レンズ部Lには、当該レンズ部Lを透過する反射光Ray1、Ray2を左右方向に拡散させて、仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するためのレンズカットLCが形成されている。なお、レンズ部Lは、投影レンズ21と一体的に形成されていてもよいし(図8(b)参照)、別個独立に形成されていてもよい。
【0055】
本変形例によれば、半導体発光素子31から下方かつ車両後方側(図3中後方領域参照)に照射される光Ray1は、第1反射面32により反射され、光軸AXと略同一方向に進行してレンズ部Lを透過するとともにレンズカットLCにより左右方向に拡散されて車両前方を照明する(図9参照)。一方、半導体発光素子31から下方かつ車両前方側(図3中前方領域参照)に照射される光Ray2は、第3反射面34により反射されて第2焦点F234に集光した後、第2反射面33に入射し、当該第2反射面33により反射され、光軸AXと略同一方向に進行してレンズ部Lを透過するとともにレンズカットLCにより左右方向に拡散されて車両前方を照明する(図9参照)。これにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、左右方向に拡散された配光パターンP2(図5参照)が形成される。この拡散配光パターンP2がスポット的な配光パターンP1に重畳されることで、ロービーム用配光パターンPが形成される(図5参照)。
【0056】
以上説明したように、本変形例によれば、レンズ部Lの作用により、第1反射面32や第2反射面33から車両前方に照射される反射光が、灯具構成要素40に干渉してしまい、目的の方向に配光できなくなるのを防止することが可能となる。
【0057】
[変形例2]
上記実施形態では、第1反射面32及び第2反射面33は、三日月型領域A1に配置されているように説明した(図1(b)参照)が、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、第1反射面32及び第2反射面33は、正面視で投影レンズ21を含む矩形領域A2、あるいはその他形状(台形、三角以上の多角形等)の領域に配置されていてもよい。
【0058】
本変形例によれば、第1反射面32及び第2反射面33を、正面視で投影レンズ21を含む矩形領域A2に配置したことにより、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0059】
[変形例3]
上記実施形態では、投影レンズ21が正面視で円形(又は略円形)であるように説明した(図1(b)参照)が、本発明はこれに限定されない。例えば、投影レンズ21は正面視で矩形その他の形状であってもよい。
【0060】
本変形例によれば、新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0061】
[変形例4]
上記実施形態では、プロジェクタ光学系20は、シェード24の上端縁の反転投影像として形成されるカットオフラインを含むスポット的な配光パターンP1(図5参照)を形成するロービーム用のプロジェクタ光学系20であるように説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0062】
例えば、プロジェクタ光学系20は、鉛直線Vと水平線Hの交点を含む領域に形成されたホットゾーンHzを含むハイビーム用配光パターンP3(図11参照)を形成するハイビーム用の車両用灯具ユニットとして構成されていてもよい。例えば、図2に示したプロジェクタ光学系20からシェード24を取り除き、反射面23をハイビーム用配光パターンP3を形成する反射面として構成することで、ハイビーム用のプロジェクタ光学系を構成することが可能である。
【0063】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…車両用灯具、20…プロジェクタ光学系、21…投影レンズ、22…半導体発光素子、23…反射面、24…シェード、30…パラボラ光学系、31…半導体発光素子、32…第1反射面、33…第2反射面、33a…反射領域、34…第3反射面、40…灯具構成要素、A1…三日月型領域、A2…矩形領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系と、
照射方向が鉛直略下方となる姿勢で前記プロジェクタ光学系の下方に配置された半導体発光素子と、
少なくとも前記半導体発光素子から車両後方側に照射される光が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面と、
正面視で前記投影レンズの輪郭に沿った領域のうち前記半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域を含む第2反射面と、
少なくとも前記半導体発光素子から車両前方側に照射される光が入射するように、前記第1反射面より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が前記第2反射面に入射するように構成された第3反射面と、
を備えており、
前記第2反射面は、その反射光が車両前方を照明するように構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズの輪郭が内接又は略内接した、前記投影レンズの輪郭よりも大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とで囲まれた三日月型領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とが鉛直方向最上部又はその近傍において内接又は略内接することにより、正面視で前記投影レンズの左右両側から下方にかけての領域に、前記三日月型領域が形成されており、
前記第1反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記投影レンズの下方に配置されており、
前記第2反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記第1反射面の片側又は両側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記大径の円又は略円の中心と前記投影レンズの輪郭の中心との間の軸間距離は5mm以上に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズを含む矩形領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第3反射面は、前記第1反射面から車両前方に照射される反射光が干渉しないように、正面視で前記第1反射面の下方に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、
前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、
前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記投影レンズの光軸と略同一方向に進行するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1反射面及び前記第2反射面の前方には、前記第1反射面及び前記第2反射面から車両前方に照射される反射光が透過するレンズ部が配置されており、
前記レンズ部には、当該レンズ部を透過する反射光を左右方向に拡散させて、前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するためのレンズカットが形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項1】
投影レンズから照射される光により車両前方を照明するように構成されたプロジェクタ光学系と、
照射方向が鉛直略下方となる姿勢で前記プロジェクタ光学系の下方に配置された半導体発光素子と、
少なくとも前記半導体発光素子から車両後方側に照射される光が入射するように配置されるとともに、その反射光が車両前方を照明するように構成された第1反射面と、
正面視で前記投影レンズの輪郭に沿った領域のうち前記半導体発光素子より上方の領域に配置された反射領域を含む第2反射面と、
少なくとも前記半導体発光素子から車両前方側に照射される光が入射するように、前記第1反射面より車両前方側に配置されるとともに、その反射光が前記第2反射面に入射するように構成された第3反射面と、
を備えており、
前記第2反射面は、その反射光が車両前方を照明するように構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズの輪郭が内接又は略内接した、前記投影レンズの輪郭よりも大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とで囲まれた三日月型領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記大径の円又は略円と前記投影レンズの輪郭とが鉛直方向最上部又はその近傍において内接又は略内接することにより、正面視で前記投影レンズの左右両側から下方にかけての領域に、前記三日月型領域が形成されており、
前記第1反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記投影レンズの下方に配置されており、
前記第2反射面は、前記三日月型領域のうち正面視で前記第1反射面の片側又は両側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記大径の円又は略円の中心と前記投影レンズの輪郭の中心との間の軸間距離は5mm以上に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記投影レンズは、正面視で円形又は略円形であり、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、正面視で前記投影レンズを含む矩形領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第3反射面は、前記第1反射面から車両前方に照射される反射光が干渉しないように、正面視で前記第1反射面の下方に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、
前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記プロジェクタ光学系は、前記投影レンズから照射される光が車両前端部に正対する仮想鉛直スクリーン上にスポット的な配光パターンを形成するように構成されており、
前記第1反射面及び前記第2反射面はそれぞれ、車両前方に照射される反射光が前記投影レンズの光軸と略同一方向に進行するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1反射面及び前記第2反射面の前方には、前記第1反射面及び前記第2反射面から車両前方に照射される反射光が透過するレンズ部が配置されており、
前記レンズ部には、当該レンズ部を透過する反射光を左右方向に拡散させて、前記仮想鉛直スクリーン上に左右方向に拡散した配光パターンを形成するためのレンズカットが形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−119276(P2012−119276A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270753(P2010−270753)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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