説明

車両用灯具

【課題】リフレクタと導光体とを備えた車両用灯具において、灯具の奥行寸法を大きくすることなく、その配光性能を向上させる。
【解決手段】発光素子20Aからの出射光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタ16として、灯具正面視において発光して見える発光領域Z1と発光して見えない非発光領域Z2とを備えた構成とする。また、発光素子20Bからの出射光を側端面から入射させて前面部18bから灯具前方へ向けて出射させる導光体18として、その前面部18bにおける光出射領域が灯具正面視においてリフレクタ16の非発光領域Z2と重複するようにした状態で配置された構成とする。これにより、リフレクタ光学系自体の配光性能を損なうことなく、灯具全体としての配光性能を向上させる。その際、導光体18の採用により灯具の奥行寸法を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、リフレクタと導光体とを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば「特許文献1」に記載されているように、第1光源からの出射光をリフレクタにより灯具前方へ向けて反射させるとともに、第2光源からの出射光を導光体に対してその後端面から入射させてその前端面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
その際、この「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、そのリフレクタの反射面に開口部が形成されており、この開口部を貫通するようにして導光体が配置されている。
【0004】
一方「特許文献2」には、第1光源からの出射光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタに対して、その反射面の一部に、第2光源およびその出射光を灯具前方へ向けて反射させる第2リフレクタが配置された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−250401号公報
【特許文献2】特開平11−306810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具のように、リフレクタの反射面に形成された開口部を貫通するようにして導光体が配置された構成とし、その第2光源が発光素子で構成されたものとすることにより、灯具の奥行寸法を小さくすることができる。
【0007】
しかしながら、この「特許文献1」に記載された車両用灯具は、そのリフレクタで反射した第1光源からの光の一部が導光体で遮蔽されてしまうので、その分だけ配光性能が低下してしまう、という問題がある。
【0008】
また「特許文献2」に記載された車両用灯具も、そのリフレクタの反射面の一部に第2リフレクタが配置された構成となっているので、その分だけ配光性能が低下してしまう、という問題がある。
【0009】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リフレクタと導光体とを備えた車両用灯具において、灯具の奥行寸法を大きくすることなく、その配光性能を向上させることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、リフレクタの構成および導光体の配置に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0011】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
第1光源と、この第1光源からの出射光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタと、第2光源と、この第2光源からの出射光を、一端面から入射させて前面部から灯具前方へ向けて出射させる導光体と、を備えてなる車両用灯具において、
上記リフレクタが、灯具正面視において発光して見える発光領域と発光して見えない非発光領域とを備えており、
上記導光体が、該導光体の前面部における光出射領域を灯具正面視において上記非発光領域と重複させるようにした状態で配置されている、ことを特徴とするものである。
【0012】
上記「第1光源」および「第2光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオード等が採用可能である。
【0013】
上記「導光体」は、その前面部における光出射領域が灯具正面視においてリフレクタの非発光領域と重複するようにした状態で配置されていれば、その具体的な形状や配置は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、第1光源からの出射光をリフレクタにより灯具前方へ向けて反射させるとともに、第2光源からの出射光を導光体に対してその一端面から入射させて前面部から灯具前方へ向けて出射させるように構成されているので、第1光源とリフレクタとからなるリフレクタ光学系のみを備えた灯具よりも配光性能を向上させることができる。
【0015】
その上で、上記リフレクタは、灯具正面視において発光して見える発光領域と発光して見えない非発光領域とを備えており、また、上記導光体は、その前面部における光出射領域が灯具正面視においてリフレクタの非発光領域と重複するようにした状態で配置されているので、リフレクタ光学系自体の配光性能を損なうことなく、灯具全体としての配光性能を向上させることができる。その際、導光体が用いられていることにより、灯具の奥行寸法を大きくすることなく上記作用効果を得ることができる。
【0016】
このように本願発明によれば、リフレクタと導光体とを備えた車両用灯具において、灯具の奥行寸法を大きくすることなく、その配光性能を向上させることができる。
【0017】
しかも、本願発明に係る車両用灯具においては、光学的に無駄となるリフレクタの非発光領域が、導光体の配置スペースとして利用されているので、灯具をコンパクトに構成して、その省スペース化を図ることができる。
【0018】
上記構成において、リフレクタの発光領域として、第1光源に近い第1反射面と、この第1光源に対して非発光領域を介して配置された第2反射面とを備えた構成とすれば、リフレクタの非発光領域のスペースを有効に利用して導光体を配置することができる。
【0019】
上記構成において、導光体の前面部における光出射領域がリフレクタよりも前方側に位置している構成とすれば、灯具に立体感を持たせることができる。
【0020】
上記構成において、リフレクタが、第1光源の前方において該第1光源からの出射光を後方へ向けて反射させる第1リフレクタと、この第1リフレクタからの反射光を灯具前方へ向けて反射させる第2リフレクタとを備えた構成とした上で、導光体の前面部における光出射領域が、リフレクタの非発光領域となる第1リフレクタの前方に位置している構成とすれば、この非発光領域のスペースを有効に利用して導光体を配置することができる。
【0021】
上記構成において、第1光源と第2光源とが互いに異なる発光機能を有している構成とすれば、車両用灯具としての機能を発揮させやすくすることができる。その際、「異なる発光機能」の態様としては、発光色が異なる態様や発光強度が異なる態様等が採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の第1実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】図1のIII−III線断面図
【図4】本願発明の第2実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【図5】図4のV−V線断面図
【図6】図4のVI−VI線断面図
【図7】上記第2実施形態の変形例を示す、図4と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0024】
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、図2は、図1のII−II線断面図であり、図3は、図1のIII−III線断面図である。
【0026】
これらの図に示すように、この車両用灯具10は、車両の前端部に設けられた状態でフロントターンシグナルランプとクリアランスランプとの機能を果たす灯具であって、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、5つの発光素子20A、20Bと、リフレクタ16と、導光体18とが組み込まれた構成となっている。
【0027】
5つの発光素子20A、20Bのうち、3つの発光素子20Aは、フロントターンシグナルランプ用の第1光源であって、アンバ色の発光ダイオードで構成されている。一方、残り2つの発光素子20Bは、クリアランスランプ用の第2光源であって、白色の発光ダイオードで構成されている。
【0028】
3つの発光素子20Aは、灯室内の下端部において、その発光面を上方へ向けた状態で配置されている。その際、これら3つの発光素子20Aは、同一水平面上において左右方向(すなわち車幅方向)に等間隔をおいて配置されており、単一の基板24上に搭載されている。そして、この基板24は、ランプボディ12に固定支持されている。
【0029】
一方、2つの発光素子20Bは、灯室内の左右両端部において、その発光面を互いに水平方向に向き合わせるようにした状態で配置されている。その際、これら2つの発光素子20Bは、それぞれ基板26上に搭載されている。そして、これら各基板26は、ランプボディ12に固定支持されている。
【0030】
リフレクタ16は、灯具正面視において発光して見える発光領域Z1と、発光して見えない非発光領域Z2とを備えている。具体的には、このリフレクタ16は、その発光領域Z1として、3つの発光素子20Aに近い第1反射面16a1と、これら3つの発光素子20Aに対して非発光領域Z2を介して配置された第2反射面16a2とを備えている、
第1反射面16a1は、3つの発光素子20Aの各々の発光中心Oを結ぶようにして左右方向に延びる軸線を焦線とする放物柱面で構成されている。また、第2反射面16a2は、第1反射面16a1と共通の焦線を有するとともに第1反射面16a1よりも大きい放物柱面で構成されている。
【0031】
第1反射面16a1は、その下端縁が上記焦線の略真後ろに位置しており、その上端縁が上記焦線の略真上に位置している。一方、第2反射面16a2は、その下端縁が、第1反射面16a1の上端縁の真上よりもやや後方に位置しており、その上端縁が上記焦線の斜め上前方に位置している。そしてこれにより、各発光素子20Aから灯具後方寄りの方向に出射する光を、第1反射面16a1で灯具前方へ向けて上下方向に関して略平行な光として反射させるとともに、各発光素子20Aから灯具前方寄りの方向に出射する光を、第2反射面16a2において灯具前方へ向けて上下方向に関して略平行な光として反射させるようになっている。
【0032】
リフレクタ16の非発光領域Z2は、図3において2点鎖線で示す直線(すなわち、各発光素子20Aの発光中心Oと第1反射面16a1の上端縁とを結ぶ直線)Lの位置から灯具後方側に凹んだ凹溝部16bとして形成されている。その際、この凹溝部16bは、同一断面形状で左右方向に延びるように形成されている。
【0033】
そして、この凹溝部16bとして形成された非発光領域Z2の左右両端部に位置するようにして、上記2つの発光素子20Bが配置されている。
【0034】
導光体18は、凹溝部16bに収容された状態で、左右方向に延びるように配置されており、その左右両端部において1対の導光体支持部材22に固定支持されている。これら1対の導光体支持部材22は、ランプボディ12に固定支持されている。その際、この導光体18における左右1対の側端面18aの各々の近傍に、2つの発光素子20Bの各々が位置するようになっている。
【0035】
この導光体18は、灯具前後方向に延びる鉛直面に沿った断面形状が縦長の矩形形状に設定されている。すなわち、この導光体18は、その後面部18cと前面部18bとが互いに平行に延びる鉛直面で形成されている。そして、この導光体18の後面部18cには、複数の反射素子18sが左右方向に略等間隔をおいて形成されている。これら各反射素子18sは、上下方向に延びる断面楔状の凹溝として構成されている。
【0036】
この導光体18に対して、その左側の側端面18aから入射した発光素子20Bからの光のうち、その後面部18cに到達した光は、この後面部18cの一般部で全反射により内面反射した後、その右側に隣接する反射素子18sで全反射により内面反射して、その前面部18bから略灯具正面方向へ向けて出射し、一方、その前面部18bに到達した光は、この前面部18bで全反射により内面反射した後、後面部18cに到達し、この後面部18cの一般部で全反射により内面反射した後、その右側に隣接する反射素子18sで全反射により内面反射して、その前面部18bから略灯具正面方向へ向けて出射するようになっている。
【0037】
なお、この導光体18に対して、その右側の側端面18aから入射した発光素子20Bからの光についても、その左側の側端面18aから入射した発光素子20Bからの光と左右対称の光路を経て略灯具正面方向へ向けて出射することとなる。
【0038】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0039】
本実施形態に係る車両用灯具10は、第1光源としての発光素子20Aからの出射光をリフレクタ16により灯具前方へ向けて反射させるとともに、第2光源としての発光素子20Bからの出射光を導光体18に対してその一端面としての側端面18aから入射させて前面部18bから灯具前方へ向けて出射させるように構成されているので、発光素子20Aとリフレクタ16とからなるリフレクタ光学系のみを備えた灯具よりも配光性能を向上させることができる。
【0040】
その上で、リフレクタ16は、灯具正面視において発光して見える発光領域Z1と発光して見えない非発光領域Z2とを備えており、また、導光体18は、その前面部18bにおける光出射領域が灯具正面視においてリフレクタ16の非発光領域Z2と重複するようにした状態で配置されているので、リフレクタ光学系自体の配光性能を損なうことなく、灯具全体としての配光性能を向上させることができる。その際、導光体18が用いられていることにより、灯具の奥行寸法を大きくすることなく上記作用効果を得ることができる。
【0041】
このように本実施形態によれば、リフレクタ16と導光体18とを備えた車両用灯具10において、灯具の奥行寸法を大きくすることなく、その配光性能を向上させることができる。
【0042】
しかも、本実施形態に係る車両用灯具10においては、光学的に無駄となるリフレクタ16の非発光領域Z2が、導光体18の配置スペースとして利用されているので、灯具をコンパクトに構成して、その省スペース化を図ることができる。
【0043】
その際、本実施形態においては、リフレクタ16の発光領域Z1として、発光素子20Aに近い第1反射面16a1と、この発光素子20Aに対して非発光領域Z2を介して配置された第2反射面16a2とを備えた構成となっているので、リフレクタ16の非発光領域Z2のスペースを有効に利用して導光体18を配置することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、導光体18の前面部18bにおける光出射領域がリフレクタ16よりも前方側に位置しているので、灯具に立体感を持たせることができる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、各発光素子20Aがアンバ色の発光ダイオードで構成されているので、これらを点灯させて各リフレクタ16からの反射光を得ることにより、車両用灯具10をフロントターンシグナルランプとして機能させることができ、また、各発光素子20Bが白色の発光ダイオードで構成されているので、これらを点灯させて導光体18からの出射光を得ることにより、車両用灯具10をクリアランスランプとして機能させることができる。
【0046】
上記第1実施形態においては、導光体18が、凹溝部16bに収容された状態で配置されているものとして説明したが、この導光体18が、上記第1実施形態に示す位置から前後方向に変位した位置に配置された構成とすることも可能である。
【0047】
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
【0048】
図4は、本実施形態に係る車両用灯具110を示す正面図である。また、図5は、図4のV−V線断面図であり、図6は、図4のVI−VI線断面図である。
【0049】
これらの図に示すように、この車両用灯具110は、車両の前端部に設けられた状態でフロントターンシグナルランプとクリアランスランプとの機能を果たす灯具であって、ランプボディ112とこのランプボディ112の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー114とで形成される灯室内に、5つの発光素子120A、120Bと、リフレクタ116と、導光体118とが組み込まれた構成となっている。
【0050】
5つの発光素子120A、120Bのうち、3つの発光素子120Aは、フロントターンシグナルランプ用の第1光源であって、アンバ色の発光ダイオードで構成されている。一方、残り2つの発光素子120Bは、クリアランスランプ用の第2光源であって、白色の発光ダイオードで構成されている。
【0051】
3つの発光素子120Aは、灯室内の後端部において、その発光面を灯具正面方向へ向けた状態で配置されている。その際、これら3つの発光素子120Aは、同一水平面上において左右方向(すなわち車幅方向)に等間隔をおいて配置されており、単一の基板124上に搭載されている。そして、この基板124は、ランプボディ112に固定支持されている。
【0052】
一方、2つの発光素子120Bは、灯室内の左右両端部において、その発光面を互いに向き合わせるようにして左右方向に向けた状態で配置されている。その際、これら2つの発光素子120Bは、それぞれ基板126上に搭載されている。そして、これら各基板126は、ランプボディ112に固定支持されている。
【0053】
リフレクタ116は、3つの発光素子120Aの前方において該発光素子120Aからの出射光を後方へ向けて反射させる第1リフレクタ116Aと、この第1リフレクタ116Aからの反射光を灯具前方へ向けて反射させる第2リフレクタ116Bとを備えた構成となっている。
【0054】
第1リフレクタ116Aは、上下対称形状で形成された上部反射面116AaUと下部反射面116AaLとを有している。また、第2リフレクタ116Bは、上下対称形状で形成された上部反射面116BaUと下部反射面116BaLとを有している。
【0055】
第1リフレクタ116Aの上部反射面116AaUおよび下部反射面116AaLは、3つの発光素子120Aの各々の発光中心Oを結ぶようにして左右方向に延びる軸線を第1焦線とする楕円柱面で構成されている。また、第2リフレクタ116Bの上部反射面116BaUおよび下部反射面116BaLは、上記楕円柱面の第2焦線を焦線とする放物柱面で構成されている。
【0056】
これにより、第1リフレクタ116Aの上部反射面116AaUおよび下部反射面116AaLで反射した各発光素子120Aからの光を、第2リフレクタ116Bの上部反射面116BaUおよび下部反射面116BaLにより、灯具前方へ向けて上下方向に関して略平行な光として反射させるようになっている。
【0057】
したがって、本実施形態のリフレクタ116においては、その第2リフレクタ116Bの上部反射面116BaUおよび下部反射面116BaLの部分が、灯具正面視において発光して見える発光領域Z1として構成されており、また、その第1リフレクタ116Aの部分が、灯具正面視において発光して見えない非発光領域Z2として構成されている。
【0058】
導光体118は、第2リフレクタ136の前方近傍において左右方向に延びるように配置されており、その左右両端部において1対の導光体支持部材122に固定支持されている。これら1対の導光体支持部材122は、ランプボディ112に固定支持されている。その際、この導光体118における左右1対の側端面118aの近傍に、2つの発光素子120Bの各々が位置するようになっている。
【0059】
この導光体118は、灯具前後方向に延びる鉛直面に沿った断面形状が縦長の矩形形状に設定されている。すなわち、この導光体118は、その後面部118cと前面部118bとが互いに平行に延びる鉛直面で形成されている。そして、この導光体118の後面部118cには、複数の反射素子118sが左右方向に略等間隔をおいて形成されている。これら各反射素子118sは、上下方向に延びる断面楔状の凹溝として構成されている。
【0060】
この導光体118の光学的な作用は、上記第1実施形態の導光体18の場合と同様である。
【0061】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0062】
本実施形態に係る車両用灯具110は、第1光源としての発光素子120Aからの出射光をリフレクタ116により灯具前方へ向けて反射させるとともに、第2光源としての発光素子120Bからの出射光を導光体118に対してその一端面としての側端面118aから入射させて前面部118bから灯具前方へ向けて出射させるように構成されているので、発光素子120Aとリフレクタ116とからなるリフレクタ光学系のみを備えた灯具よりも配光性能を向上させることができる。
【0063】
その上で、リフレクタ116は、灯具正面視において発光して見える発光領域Z1と発光して見えない非発光領域Z2とを備えており、また、導光体118は、その前面部118bにおける光出射領域が灯具正面視においてリフレクタ116の非発光領域Z2と重複するようにした状態で配置されているので、リフレクタ光学系自体の配光性能を損なうことなく、灯具全体としての配光性能を向上させることができる。その際、導光体118が用いられていることにより、灯具の奥行寸法を大きくすることなく上記作用効果を得ることができる。
【0064】
このように本実施形態によれば、リフレクタ116と導光体118とを備えた車両用灯具110において、灯具の奥行寸法を大きくすることなく、その配光性能を向上させることができる。
【0065】
しかも、本実施形態に係る車両用灯具110においては、光学的に無駄となるリフレクタ116の非発光領域Z2が、導光体118の配置スペースとして利用されているので、灯具をコンパクトに構成して、その省スペース化を図ることができる。
【0066】
その際、本実施形態においては、リフレクタ116が、3つの発光素子120Aの前方において該発光素子120Aからの出射光を後方へ向けて反射させる第1リフレクタ116Aと、この第1リフレクタ116Aからの反射光を灯具前方へ向けて反射させる第2リフレクタ116Bとを備えた構成とした上で、導光体の前面部118bにおける光出射領域が、リフレクタ116の非発光領域Z2となる第1リフレクタ116Aの前方に位置しているので、この非発光領域Z2のスペースを有効に利用して導光体を配置することができる。
【0067】
また、本実施形態においても、各発光素子120Aがアンバ色の発光ダイオードで構成されているので、これらを点灯させて各リフレクタ116からの反射光を得ることにより、車両用灯具110をフロントターンシグナルランプとして機能させることができ、また、各発光素子120Bが白色の発光ダイオードで構成されているので、これらを点灯させて導光体18からの出射光を得ることにより、車両用灯具110をクリアランスランプとして機能させることができる。
【0068】
上記第2実施形態においては、第1リフレクタ116Aが、上下対称形状で形成された上部反射面116AaUと下部反射面116AaLとを有しており、また、第2リフレクタ116Bが、上下対称形状で形成された上部反射面116BaUと下部反射面116BaLとを有しているものとして説明したが、第1および第2リフレクタ116A、116Bのうちの一方または両方が上下非対称形状で形成された構成とすることも可能であり、また、これら第1および第2リフレクタ116A、116Bが、上部反射面116AaU、116BaUのみを有する構成あるいは下部反射面116AaL、116BaLのみを有する構成とすることも可能である。
【0069】
次に、上記第2実施形態の変形例について説明する。
【0070】
図7は、本変形例に係るに係る車両用灯具210を示す、図4と同様の図である。
【0071】
同図に示すように、本変形例に係る車両用灯具210は、その基本的な構成は上記第2実施形態の場合と同様であるが、そのリフレクタ216の構成が上記第2実施形態の場合と異なっている。
【0072】
すなわち、本変形例のリフレクタ216は、1つの第1リフレクタ216Aと、3つの第2リフレクタ216Bとで構成されている。
【0073】
第1リフレクタ216Aは、上記第2実施形態の第1リフレクタ116Aと同様、3つの発光素子120Aの前方において該発光素子120Aからの出射光を後方へ向けて反射させるように構成されている。
【0074】
一方、3つの第2リフレクタ216Bは、上記第2実施形態の第2リフレクタ216が左右方向に3つに分離した状態で配置されたような構成を有している。その際、これら各第2リフレクタ216Bは、3つの発光素子120Aの各々に対応する位置に配置されている。これら各第2リフレクタ216Bは、上下対称形状で形成された上部反射面216BaUと下部反射面216BaLとを有しており、第1リフレクタ216Aの上部反射面216AaUおよび下部反射面216AaLで反射した各発光素子120Aからの光を灯具前方へ向けて反射させるように構成されている。
【0075】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第2実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
上記各実施形態においては、導光体18、118における左右1対の側端面18a、118aの両側に、発光素子20B、120Bがそれぞれ配置されているものとして説明したが、そのいずれか一方にのみ発光素子20B、120Bが配置された構成とすることも可能である。
【0077】
上記各実施形態においては、導光体18、118が左右方向に直線状に延びているものとして説明したが、上下方向に延びる構成あるいは曲線状に延びる構成とすることも可能である。
【0078】
上記各実施形態において、各発光素子20B、120Bへの供給電流を変化させることによって、これら各発光素子20B、120Bの点灯時に車両用灯具10、110をデイタイムランニングランプとして機能させることも可能である。また、各発光素子20A、120Aおよび各発光素子20B、120Bをいずれも白色の発光ダイオードで構成して、クリアランスランプとデイタイムランニングランプとの機能を有する灯具構成とすることも可能である。
【0079】
上記各実施形態においては、車両用灯具10、110が、車両の前端部に設けられる灯具である場合について説明したが、車両の後端部に設けられるテール&ストップランプ等の灯具である場合においても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
なお、上記各実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0081】
10、110、210 車両用灯具
12、112 ランプボディ
14、114 透光カバー
16、116、216 リフレクタ
16a1 第1反射面
16a2 第2反射面
16b 凹溝部
18、118 導光体
18a、118a 側端面
18b、118b 前面部
18c、118c 後面部
18s、118s 反射素子
20A、20B、120A、120B 発光素子
22、122 導光体支持部材
24、26、124、126 基板
116A、216A 第1リフレクタ
116AaL、116BaL、216AaL、216BaL 下部反射面
116AaU、116BaU、216AaU、216BaU 上部反射面
116B、216B 第2リフレクタ
O 発光中心
Z1 発光領域
Z2 非発光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源と、この第1光源からの出射光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタと、第2光源と、この第2光源からの出射光を、一端面から入射させて前面部から灯具前方へ向けて出射させる導光体と、を備えてなる車両用灯具において、
上記リフレクタが、灯具正面視において発光して見える発光領域と発光して見えない非発光領域とを備えており、
上記導光体が、該導光体の前面部における光出射領域を灯具正面視において上記非発光領域と重複させるようにした状態で配置されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記発光領域として、上記第1光源に近い第1反射面と、この第1光源に対して上記非発光領域を介して配置された第2反射面とを備えている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記導光体の前面部における光出射領域が、上記リフレクタよりも前方側に位置している、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記リフレクタが、上記第1光源の前方において該第1光源からの出射光を後方へ向けて反射させる第1リフレクタと、この第1リフレクタからの反射光を灯具前方へ向けて反射させる第2リフレクタとを備えており、
上記導光体の前面部における光出射領域が、第1リフレクタの前方に位置している、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記第1光源と上記第2光源とが、互いに異なる発光機能を有している、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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