説明

車両用電力変換装置

【目的】車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、筐体の車両への固定の強度向上を目的とする。
【解決手段】筐体の外囲正面および背面または側面の上端部には、車両の床下に固定されるL字形状の複数の固定部材が設けられ、それらの固定部材は、筐体の内部から補強材により補強されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば鉄道車両においては、その車体に電力変換装置が組み込まれている。電力変換装置には、パンタグラフから供給される架線電力を所定の交流電力に変換するインバータやコンバータが内部に搭載されている。そして、この交流電力によって車両駆動用電動機が制御されている(特許文献1)。
【0003】
このような従来の電力変換装置について、図11および図12を用いて説明する。
図11は、従来の電力変換装置の平面断面図である。101は筐体(電力変換装置)、102は電力変換部、103は電気部品群、104は送風機、105は固定板である。
【0004】
筐体101は直方体形状である。筐体101には、その内部にコンバータおよびインバータなどから構成される電力変換部102が中央付近に配置されている。そして、電力変換部102を側面側から挟むように、その他の電気部品類103が配置されている。また、筐体101の正面側には、送風機104が設置されている。そのほか、筐体101の四隅には、溶接などによって、L字形状の固定板105がそれぞれ取り付けられている。
【0005】
パンタグラフから供給される架線電力は、電力変換部102で所定の交流電力に変換される。電力変換部102は発熱するため、筐体101の背面側から外気を導入し、筐体101の正面側へ排出する送風機104によって、強制通風による冷却が行われる。また、後述するとおり、車体に筐体101を取り付ける際には、固定板105がボルト締めなどにより固定される。
【0006】
図12は、従来の電力変換装置の側面図である。筐体(電力変換装置)101が、車体に吊り下げられた状態を示している。106はボルト、109はナット、107はブラケット、108は車体である。
【0007】
車体108の床下には、L字形のブラケット107が、筐体101の固定板105に対向するように4箇所設けられている。そして、それぞれのブラケット107と固定板105とは、ボルト106およびナット109により締結固定される。このようにして、車体108の床下には、筐体101が吊り下げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−87711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の車両用電力変換装置には、以下のような課題があった。
車両用電力変換装置では、車両の振動による衝撃の影響を受けるため、筐体(電力変換装置)と車体とを固装する必要がある。一方、車両の床下の限られた空間に設置する必要があるため、筐体には小型化が求められる。また、電力変換装置の保守および点検の省力化や、保守および点検時の作業性の向上の要請からも、筐体の軽量化が要求される。
【0010】
しかし、従来の車両用電力変換装置では、筐体と車体との固定部分の強度を上げるためには、車体との固定部を含む筐体全体の板金を厚くしなければならなかった。そのため、筐体全体の質量が増加するという問題があった。
【0011】
逆に、筐体の質量を軽減するために筐体の板金を薄くすると、固定部分の強度が弱くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するために、車体と車両用電力変換装置との固定部分の強度の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、前記筐体の外囲正面および背面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第1および第2の固定部材が設けられ、前記筐体の外囲正面に設けられた該第1の固定部材は、前記筐体の内部から第1の補強材により補強されており、 該第1の補強材は、前記筐体の短手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第1の固定部材の設けられた前記筐体の正面の内囲上端隅に取り付けられ、短手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されており、前記筐体の外囲背面に設けられた前記第2の固定部材は、前記筐体の内部から第2の補強材により補強されており、該第2の補強材は、前記筐体の短手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第2の固定部材の設けられた前記筐体の背面の内囲上端隅に取り付けられ、短手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記筐体の外囲側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第3の固定部材が設けられ、該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記筐体の外囲側面の対向する両側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第3および第4の固定部材が設けられ、前記筐体の外囲側面の一方の側面に設けられた該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されており、前記筐体の外囲側面の他方の側面に設けられた前記第4の固定部材は、前記筐体の内部から第4の補強材により補強されており、該第4の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第4の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴としている。
【0015】
そのほか、上記の目的を達成するために、本発明によれば、車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、前記筐体の外囲正面および背面ならびに側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第1ないし第3の固定部材が設けられ、 前記筐体の外囲側面に設けられた該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴としている。
【0016】
そのほか、上記の目的を達成するために、本発明によれば、車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、前記筐体の外囲側面の対向する両側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第3および第4の固定部材が設けられ、前記筐体の外囲側面の一方の側面に設けられた該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されており、前記筐体の外囲側面の他方の側面に設けられた前記第4の固定部材は、前記筐体の内部から第4の補強材により補強されており、該第4の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、前記第4の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記補強材の折り曲げ加工が、鉤型加工であることを特徴としている。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記固定部材と前記補強材との板厚が略等しいことを特徴としている。
【0018】
また、本発明によれば、上記の構成の車両用電力変換装置を使用して走行用電動モータを制御するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車体と車両用電力変換装置との固定部分の強度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1〜3の実施例が適用される鉄道車両の全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の外観の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の外観の平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の外観の背面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の背面側の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の補強材の拡大側面図である。
【図7】本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の補強材の正面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の車両用電力変換装置の背面側の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施例の車両用電力変換装置の補強材の正面図である。
【図10】本発明の第3の実施例の車両用電力変換装置の背面側の断面図である。
【図11】従来の車両用電力変換装置の平面断面図である。
【図12】従来の車両用電力変換装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下の記載は、あくまでも例示であり、これに限定されるものではない。つまり、当分野で通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想内で多くの変形実施を行うことが可能である。
【実施例】
【0022】
最初に、図1により、本発明の第1〜3の実施例が適用される鉄道車両の全体構成を説明する。
図1は、鉄道車両の全体構成図である。1はパンタグラフ、2は車体、3は車輪、4は筐体(電力変換装置)、5は電力変換部、16は台車である。
【0023】
図1のとおり、一般的な鉄道車両は、車体2の上部にパンタグラフ1が設置されている。車体2の床下には、車体2を支え、車輪3に連続する台車16が設けられている。車体2の床下の台車16、16の間には、筐体4が設置されている。筐体4は、車体2の床下に吊り下げられている。筐体4の内部には、インバータやコンバータなどで構成された電力変換部5が収納されている。
【0024】
なお、ここで、車体2の進行方向側を正面側とし、その反対側を背面側とする。
続いて、図1の直流モータ駆動の鉄道車両の動作を説明する。
先ず、電力変換部5がパンタグラフ1より直流電力を受け取る。すると、電力変換部5内に設けられている半導体素子(図示しない)のスイッチングにより、直流電力を交流電力に変換する。この変換された交流電力によって、車両駆動用電動機(図示しない)を駆動し、車輪3が回転することで、車両走行が開始される。
【0025】
以上が、鉄道車両の全体構成および動作の説明である。
次に、図2〜4を用いて、本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の外観を説明する。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の外観の側面図である。図3は、その平面図である。図4はその背面図である。6は固定プレート(固定用部材)、7は取付穴、11は正面、12は背面、13は側面、14は対向平面、15は底面である。
【0027】
ここで、図1のように、直方体形状の筐体4が車体2の床下に吊り下げて固定された際には、筐体4の対向平面14が車体2の床面と対向する状態になる。
筐体4には、正面側上端部および背面側上端部に各1箇所の固定プレート6が設置されている。さらに、筐体4の一側面13の上端部には、2箇所の固定プレート6が所定間隔を空けて設置されている。固定プレート6は板状(L字状)であり、中央にボルト(図示しない)を通すための取付穴7が形成されている。固定プレート6と筐体4とは、例えば溶接またはリベットにより取り付けられている。
【0028】
合計4箇所の固定プレート6により、車体2との固定が行われる。具体的には、固定プレート6に形成された各取付穴7に、ボルト(図示しない)が挿入され、ナット(図示しない)で締結することにより、車体2の床下に吊り下げる状態で固定されることになる。
【0029】
続いて、図5により、本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置について、筐体4の内部に適用されている補強材8について説明する。
図5は、本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の背面側の断面図である。8は補強材である。
【0030】
図5のとおり、筐体4の外囲側面13側に設置された固定プレート6が位置付けられた筐体4の内囲側面13側の上端部に、Cチャネル形状の補強材8が設置されている。
補強材8の長手方向の両辺部には、後述する折り曲げ加工(2回)が施されている。なお、補強材8は、例えば溶接またはリベットにより、筐体4の内面側に取り付けられている。
【0031】
この補強材8の構成について、図6および図7により、さらに詳細に説明する。
図6は、本発明の第1の実施例の車両用電力変換装置の補強材の拡大側面図である。図7は、補強材の正面図である。9は第一折り曲げ部、10は第二折り曲げ部である。
【0032】
図6のとおり、補強材8の両端部には、第一折り曲げ部9および第二折り曲げ部10がそれぞれ形成されている。つまり、補強材8の両端部には、それぞれ鉤型加工が施されている。なお、折り曲げ加工の方法は、例えばロールフォーミング加工またはプレスブレーキにより加工されている。
【0033】
図7のとおり、補強材8の全長は、筐体4の側面部の水平方向の全長と同等の長さに設定されている。これにより、図5のように、補強材8を筐体4の内面側に取り付ける場合には、筐体4の側面部に沿って補強材8を設置することができる。なお、補強材8の板厚は、筐体4の板厚とほぼ同じである。
【0034】
かくして、本発明の第1の実施例によれば、車両用電力変換装置において、車体2と筐体4とを固定する固定プレート6が設置された筐体4の側面部の内側に補強材8を設けたことにより、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
【0035】
このとき、補強材8は、二回の折り曲げ加工が施されているため、筐体4および固定プレート6の板厚を厚くすることなく、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
【0036】
これにより、筐体4の小型化および軽量化を図りつつ、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
続いて、本発明の第2の実施例を説明する。説明に際しては、第1の実施例と同じ部分は簡略化し、異なる部分を詳細に説明する。
【0037】
第2の実施例において、筐体4の外観は第1の実施例と同等である。筐体4の内部構成は、第1の実施例と異なるため、図8により説明を行う。
図8は、本発明の第2の実施例の車両用電力変換装置の背面側の断面図である。
【0038】
図8のとおり、筐体4の内部では、側面部の上端に沿ってCチャネル形状の補強板8が設置されている。そして、さらに筐体4の正面部の上端および背面部の上端にも、それぞれの長さに沿って補強板8が設置されている。補強材8の両端部には、第1の実施例と同様に、第一折り曲げ部9および第二折り曲げ部10がそれぞれ形成されている。
【0039】
次に、筐体4の正面部および背面部に設置された補強板8について、図9により説明する。
図9は、本発明の第2の実施例の車両用電力変換装置の補強材の正面図である。
【0040】
図9のとおり、補強材8の全長は、筐体4の正面部および背面部と同等の長さに設定されている。これにより、図8のように、補強材8を筐体4の内面側に取り付ける場合には、筐体4の側面部に沿って補強材8を設置できるだけでなく、筐体4の正面部および背面部に沿って補強材8を設置することができる。なお、補強材8の板厚は、筐体4の板厚とほぼ同じである。
【0041】
かくして、本発明の第2の実施例によれば、車両用電力変換装置において、車体2と筐体4とを固定する固定プレート6が設置された筐体4の側面部の内側に補強材8を設けるだけでなく、筐体4の正面部および背面部の固定プレートの内側にも補強材8をそれぞれ設けた。これにより、補強面積を大きくすることができ、車体2と筐体4との固定強度をさらに向上させることができる。
【0042】
このとき、それぞれの補強材8は、二回の折り曲げ加工が施されているため、筐体4および固定プレート6の板厚を厚くすることなく、車体2と筐体4との固定強度をさらに向上させることができる。
【0043】
これにより、筐体4の小型化および軽量化を図りつつ、車体2と筐体4との固定強度をさらに向上させることができる。
最後に、本発明の第3の実施例を説明する。説明に際しては、第1および第2の実施例と同じ部分は簡略化し、異なる部分を詳細に説明する。
【0044】
第3の実施例において、筐体4の外観は第1および第2の実施例と同等である。筐体4の内部構成は、第1および第2の実施例と異なるため、図10により説明を行う。
図10は、本発明の第3の実施例の車両用電力変換装置の背面側の断面図である。
【0045】
ここでは、筐体4の内部において、側面部の上端に沿ってCチャネル形状の補強板8が設置されている点は第1の実施例と同等である。しかし、筐体4、固定プレート6および補強材8の板金として、第1の実施例の筐体4、固定プレート6および補強材8の板厚の例えば1/2以下の板厚を有する薄い板金が使用されている。このとき、固定プレート6および補強材8のそれぞれの板厚を略等しくすることもできる。補強材8は、例えば溶接またはリベットにより、筐体4の内面側に取り付けられる。
【0046】
かくして、本発明の第3の実施例によれば、車両用電力変換装置において、筐体4および固定プレート6の板金として薄い板金を使用しているにもかかわらず、固定プレート6が設置された筐体4の内側に薄い板金の補強材8を使用することにより、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
【0047】
このとき、補強材8は、二回の折り曲げ加工が施されているため、筐体4および固定プレート6の板厚を薄くしたままで、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
【0048】
これにより、筐体4のさらなる小型化および軽量化を図りつつ、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
なお、上記の第1〜3の実施例において、補強材8には、第一折り曲げ部9および第二折り曲げ部10の二回の折り曲げ加工が施されている。しかし、これに限定されるものではなく、折り曲げ加工の回数は、一回または三回以上の折り曲げ加工であっても効果を発揮することができる。
【0049】
このとき、一回の折り曲げ加工を行った場合には、より簡易な折り曲げ加工作業で、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。また、三回以上の折り曲げ加工を行った場合には、車体2と筐体4との固定強度をより向上させることができる。
【0050】
そのほか、上記の第1〜3の実施例では、補強材8が、筐体4の側面部に設置されている。しかし、これに限定されるものではなく、筐体4の側面部には補強材8を設置せず、正面部および背面部、または、正面部もしくは背面部の一方のみに補強材8を設置することもできる。この場合には、より簡易な補強材8の設置作業により、車体2と筐体4との固定強度を向上させることができる。
【0051】
また、上記の第3の実施例では、筐体4の側面部に補強材8が設置されている。しかし、これに限定されるものではなく、筐体4の正面部および背面部にもさらに補強材8を設置することもできる。この場合は、車体2と筐体4との固定強度をより向上させることができる。
【0052】
さらに、上記の第1〜3の実施例では、固定プレート6および補強材8が、筐体4の外囲側面13や正面11、背面12に設けられている。しかし、これに限定されるものではなく、筐体4の外囲側面13に対向する側面の方にも固定プレート6および補強材8を設置することができる。これにより、固定強度をさらに向上させることができる。
【0053】
また、筐体4の外囲側面13およびその対向する側面のみに固定プレート6および補強材8を設置することにより(つまり、正面11および背面12には固定プレート6および補強材8を設置しない)、筐体4を車体2の床面に固定することもできる。
【0054】
同様に、筐体4の外囲正面11および背面12のみに固定プレート6および補強材8を設置することにより(つまり、外囲側面13やその対向側面には固定プレート6および補強材8を設置しない)、筐体4を車体2の床面に固定することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 パンタグラフ
2 車体
3 車輪
4 筐体(電力変換装置)
5 電力変換部
6 固定プレート(固定部材)
7 取付穴
8 補強材
9 第一折り曲げ部
10 第二折り曲げ部
11 正面
12 背面
13 側面
14 対向平面
15 底面
16 台車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、
前記筐体の外囲正面および背面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第1および第2の固定部材が設けられ、
前記筐体の外囲正面に設けられた該第1の固定部材は、前記筐体の内部から第1の補強材により補強されており、
該第1の補強材は、前記筐体の短手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第1の固定部材の設けられた前記筐体の正面の内囲上端隅に取り付けられ、
短手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されており、
前記筐体の外囲背面に設けられた前記第2の固定部材は、前記筐体の内部から第2の補強材により補強されており、
該第2の補強材は、前記筐体の短手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第2の固定部材の設けられた前記筐体の背面の内囲上端隅に取り付けられ、
短手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電力変換装置であって、
前記筐体の外囲側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第3の固定部材が設けられ、
該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、
該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、
長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用電力変換装置であって、
前記筐体の外囲側面の対向する両側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第3および第4の固定部材が設けられ、
前記筐体の外囲側面の一方の側面に設けられた該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、
該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、
長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されており、
前記筐体の外囲側面の他方の側面に設けられた前記第4の固定部材は、前記筐体の内部から第4の補強材により補強されており、
該第4の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第4の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、
長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項4】
車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、
前記筐体の外囲正面および背面ならびに側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第1ないし第3の固定部材が設けられ、
前記筐体の外囲側面に設けられた該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、
該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、
長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項5】
車両の床下に吊り下げて固定されるとともに、その内部に直方体形状の電力変換部の収納空間を有する筐体により構成された車両用電力変換装置であって、
前記筐体の外囲側面の対向する両側面の上端部には、前記車両の床下に固定されるL字形状の第3および第4の固定部材が設けられ、
前記筐体の外囲側面の一方の側面に設けられた該第3の固定部材は、前記筐体の内部から第3の補強材により補強されており、
該第3の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第3の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、
長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されており、
前記筐体の外囲側面の他方の側面に設けられた前記第4の固定部材は、前記筐体の内部から第4の補強材により補強されており、
該第4の補強材は、前記筐体の長手方向と略等しい長さのCチャネルであり、
前記第4の固定部材の設けられた前記筐体の側面の内囲上端隅に取り付けられ、
長手方向の両端辺には、少なくとも1回の折り曲げ加工が施されていることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用電力変換装置であって、
前記補強材の折り曲げ加工が、鉤型加工であることを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用電力変換装置であって、
前記固定部材と前記補強材との板厚が略等しいことを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項8】
請求項6に記載の車両用電力変換装置であって、
前記固定部材と前記補強材との板厚が略等しいことを特徴とする車両用電力変換装置。
【請求項9】
請求項7に記載の車両用電力変換装置を使用して走行用電動モータを制御するようにしたことを特徴とする鉄道車両。
【請求項10】
請求項8に記載の車両用電力変換装置を使用して走行用電動モータを制御するようにしたことを特徴とする鉄道車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−86642(P2013−86642A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228546(P2011−228546)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】