説明

車輌用前照灯

【課題】 小型化及び製造コストの低減を図った上で配光パターンの切替を可能とする。
【解決手段】 光を出射する面状光源15と面状光源から出射された光を反射するリフレクタ16とを有する光源体13と、焦点を有すると共に面状光源から出射された光を投影して照射する光学部品26とを備え、光学部品の焦点が面状光源上とリフレクタ上の間で形成されるように光源体と光学部品の相対的な位置が変化され、面状光源から出射され光学部品によって投影される光の照射方向が変更されることによって配光パターンの切替が行われるようにした。従って、シェード及びシェード駆動機構並びにこれらの配置スペースを設ける必要が無く、小型化及び製造コストの低減を図ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、光を出射する光源体と光源体から出射された光を反射または投影して照射する光学部品との相対的な位置を変化させて、小型化及び製造コストの低減を図った上で配光パターンの切替を可能とする技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、カバーとランプボデイによって形成された灯具外筐の内部に、投影レンズと発光ダイオード等の光源とを有するランプユニットが配置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、光源から出射される光の所定の配光パターンを形成するために、光源から出射された光の一部を遮光するシェードが光源の前方に離隔して配置されている。シェードはシェード駆動機構によって傾きや位置が可変とされ、シェードの傾きや位置に応じて遠距離を照射するためのハイビーム(走行用ビーム)用の遠距離用配光パターンと近距離を照射するためのロービーム(すれ違いビーム)用の近距離用配光パターンとが切り替えられる。
【0004】
【特許文献1】特開2010−153333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、シェードが光源の前方に離隔して配置されているため、その分、光軸方向(前後方向)の長さが長くなり、小型化に支障を来たすと言う問題がある。
【0006】
また、シェード及びシェードを駆動するシェード駆動機構を設けているため、これらの配置スペースが必要であり、やはり小型化に支障を来たし、また、製造コストの高騰を来たすという問題もある。
【0007】
そこで、本発明車輌用前照灯は、小型化及び製造コストの低減を図った上で配光パターンの切替を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、光を出射する面状光源と前記面状光源から出射された光を反射するリフレクタとを有する光源体と、焦点を有すると共に前記面状光源から出射された光を反射または投影して照射する光学部品とを備え、前記光学部品の焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるように前記光源体と前記光学部品の相対的な位置が変化され、前記面状光源から出射され前記光学部品によって反射または投影される光の照射方向が変更されるようにしたものである。
【0009】
従って、車輌用前照灯にあっては、光源体と光学部品の相対的な位置が変化されることによって配光パターンの切替が行われる。
【発明の効果】
【0010】
本発明車輌用前照灯は、光を出射する面状光源と前記面状光源から出射された光を反射するリフレクタとを有する光源体と、焦点を有すると共に前記面状光源から出射された光を反射または投影して照射する光学部品とを備え、前記光学部品の焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるように前記光源体と前記光学部品の相対的な位置が変化され、前記面状光源から出射され前記光学部品によって反射または投影される光の照射方向が変更されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
従って、配光パターンの切替を行うためにシェード及びシェード駆動機構並びにこれらの配置スペースを設ける必要が無く、小型化及び製造コストの低減を図ることが出来る。
【0012】
請求項2に記載された発明にあっては、前記光学部品が前記面状光源から出射された光を前方に投影する投影レンズであり、前記投影レンズが移動されて前記投影レンズの後側焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるようにしている。
【0013】
従って、光源体に対する通電構造の簡素化が図られ、車輌用前照灯における機構の簡素化及び一層の製造コストの低減を図ることが出来る。
【0014】
請求項3に記載された発明にあっては、前記面状光源は複数の発光ダイオードが所定の方向において並んで配置されて成り、前記リフレクタは二つの反射部を有し前記二つの反射部が前記面状光源を挟んで上下に配置され、前記反射部の一方の前端に前記面状光源から出射された光の一部を遮って配光パターンにおけるカットラインの一部を形成する遮光壁が設けられている。
【0015】
従って、遮光壁によって発光ダイオードから出射された光の一部が遮られるため、配光パターンにおける鮮明なカットラインを形成することが出来る。
【0016】
請求項4に記載された発明にあっては、前記反射部の一方には、前記面状光源から出射された光を反射し左右方向において離隔して位置する第1の反射面及び第2の反射面と、前記第1の反射面と前記第2の反射面の間において左右両端がそれぞれ前記第1の反射面と前記第2の反射面に連続する段差面とが形成されている。
【0017】
従って、複数の発光ダイオードから出射された光が遮光されることなく投影レンズから投影されるので、光の利用効率の向上を図ることが出来る。
【0018】
請求項5に記載された発明にあっては、前記光学部品が前記面状光源から出射された光を反射する反射鏡であり、前記反射鏡が移動されて前記反射鏡の焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるようにしている。
【0019】
従って、光源体に対する通電構造の簡素化が図られ、車輌用前照灯における機構の簡素化及び一層の製造コストの低減を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
先ず、第1の実施の形態に係る車輌用前照灯1について説明する(図1乃至図9参照)。
【0022】
車輌用前照灯1は、車体の前端部における左右両端部にそれぞれ取り付けられて配置されている。
【0023】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、例えば、前方に開口されたランプボデイ2とランプボデイ2の前端部に取り付けられたカバー3とによって構成された灯具外筐4の内部が灯室5として形成され、灯室5にランプユニット6が配置されている。
【0024】
灯室5には保持部材7が光軸調整機構8を介して水平方向及び垂直方向に傾動自在に配置されている。
【0025】
保持部材7は熱伝導性の高い金属材料によって形成され、前後方向を向くベース部9と、ベース部9の下端部から前方へ突出された取付突部10とを有している。取付突部10の上面は前方へ行くに従って下方へ変位するように傾斜されている。
【0026】
ベース部9の上下両端部には被支持部9a、9a、9aが設けられている(図1に二つの被支持部9a、9aのみを示す。)。ベース部9の後面には後方へ突出された放熱フィン11、11、・・・が左右に離隔して設けられている。
【0027】
ベース部9に設けられた放熱フィン11、11、・・・の後面には放熱用ファン12が取り付けられている。
【0028】
ベース部9の前面における中央部には光源体13が取り付けられている。
【0029】
光源体13は回路基板14と回路基板14上に搭載され光を出射する面状光源として機能する複数の発光ダイオード15、15、・・・と発光ダイオード15、15、・・・から出射された光を反射するリフレクタ16とを有している。
【0030】
発光ダイオード15、15、・・・は所定の方向、例えば、左右方向に並んで設けられ、発光面が前方を向くようにされている(図2参照)。
【0031】
リフレクタ16は上下に離隔して位置された第1の反射部17と第2の反射部18から成り、第1の反射部17は発光ダイオード15、15、・・・の上側に配置され、第2の反射部18は発光ダイオード15、15、・・・の下側に配置されている。第1の反射部17における下側に位置された面と第2の反射部18における上側に位置された面とはそれぞれ反射面17a、18aとして形成されている。反射面17a、18aは、例えば、反射面17aが双曲面に形成され、反射面18aが放物面に形成されている。
【0032】
第2の反射部18の上端部における前端の一部、即ち、反射面18aの左右方向における中央部を基準として左右の一方の部分には発光ダイオード15、15、・・・から出射された光の一部を遮光する遮光壁19が設けられている。
【0033】
遮光壁19は前後方向を向く板状に形成され、上縁19aが左右方向(水平方向)に延びるように形成され、反射面18aの左右方向における中央部に連続して位置する側縁19bが反射面18aに対して傾斜されている。
【0034】
保持部材7のベース部9には照射方向変更機構20が取り付けられている(図1参照)。照射方向変更機構20は支持突部21と駆動手段22を有している。
【0035】
支持突部21は軸状に形成され、ベース部9の上部から前方に突出して設けられている。支持突部21はベース部9に連結し前後方向に延びる基端部21aと基端部21aの前端に連続し斜め下方へ延びる支持軸部21bとから成る。
【0036】
駆動手段22は取付突部10に取り付けられている。駆動手段22は駆動部23と駆動部23から斜め下方へ突出された軸部24とから成り、軸部24に螺軸部24aが設けられている。軸部24は支持突部21の支持軸部21bと平行な状態で位置されている。
【0037】
照射方向変更機構20にはレンズホルダー25が移動自在に支持されている。レンズホルダー25は円環状のレンズ保持部25aとレンズ保持部25aの上端部に設けられた第1の被支持部25bとレンズ保持部25aの下端部に設けられた第2の被支持部25cとを有している。
【0038】
レンズホルダー25は、第1の被支持部25bに支持軸部21bが摺動可能な状態で挿通され、第2の被支持部25cが駆動手段22の螺軸部24aに螺合されることによって照射方向変更機構20に移動自在に支持されている。
【0039】
レンズホルダー25のレンズ保持部25aには光学部品として機能する投影レンズ26が保持されている。
【0040】
駆動部23の駆動力によって軸部24が回転されると、その回転方向に応じた方向へ第2の被支持部25cが送られると共に第1の被支持部25bが支持軸部21bによって案内されてレンズホルダー25と投影レンズ26が一体になって移動される。投影レンズ26は前方の移動端である第1の位置Lと第1の位置Lより後上方の後方の移動端である第2の位置Hの間で移動される。このとき投影レンズ26の後側焦点がレンズホルダー25の位置に応じて発光ダイオード15、15、・・・の発光面上と第2の反射部18上の間で形成される。
【0041】
車輌用前照灯1において、上記した保持部材7、放熱フィン11、11、・・・、放熱用ファン12、光源体13、照射方向変更機構20、レンズホルダー25及び投影レンズ26によってランプユニット6が構成される。
【0042】
光軸調整機構8はエイミングスクリュー27、27(図1に一方のエイミングスクリュー27のみを示す。)とアクチュエータ28を有している。
【0043】
エイミングスクリュー27、27は灯室5の上部において左右に離隔して位置され、回転操作部29、29と回転操作部29、29からそれぞれ前方へ突出された軸部30、30とから成り、軸部30、30の前端部がそれぞれ螺軸部30a、30aとして設けられている。
【0044】
エイミングスクリュー27、27は回転操作部29、29がそれぞれランプボデイ2の後端部に回転自在に支持され、螺軸部30a、30aがそれぞれ保持部材7の上側の被支持部9a、9aに螺合されている。
【0045】
アクチュエータ28は駆動部31と駆動部31から前方へ突出された軸部32とから成り、軸部32に螺軸部32aが設けられている。アクチュエータ28は螺軸部32aが保持部材7の下側の被支持部9aに螺合されている。
【0046】
車輌用前照灯1において、回転操作部29が図示しないドライバー等の治具によって操作されて被支持部9aに連結されたエイミングスクリュー27が回転されると、その回転方向に応じた方向へ他の被支持部9a、9aを支点として保持部材7が傾動され、ランプユニット6の光軸調整(エイミング調整)が行われる。
【0047】
また、駆動部31の駆動力によって被支持部9aに連結された軸部32が回転されると、その回転方向に応じた方向へ他の被支持部9a、9aを支点として保持部材7が上下方向へ傾動され、ランプユニット6の光軸調整(レベリング調整)が行われる。
【0048】
以上のように構成された車輌用前照灯1において、図示しない点灯回路の駆動により光源体13に駆動電圧が印加されると発光ダイオード15、15、・・・から光が出射される。発光ダイオード15、15、・・・から出射された光は前方へ向かうか又は反射面17a、18aで反射され、投影レンズ26の後側焦点を含む焦点面上に集光され、投影レンズ26及びカバー3を透過されて前方へ照射される。
【0049】
車輌用前照灯1において、ロービームが照射されるときには、投影レンズ26が第1の位置Lに移動され、投影レンズ26の後側焦点が第2の反射部18の前端部に形成される。
【0050】
図3は、車輌用前照灯1においてロービームが照射されたときの状態を示す図である。図3において、発光ダイオード15、15、・・・の発光面から出射された光のうち、投影レンズ26の中心部へ向かう光Aと反射面17aの前端部で反射されて投影レンズ26へ向かう光Bと反射面18aの前端部で反射されて投影レンズ26へ向かう光Cとについてそれぞれの光路を矢印により示す。また、図4は、ロービームが照射されるときの配光パターンP1を示す図である。
【0051】
投影レンズ26の後側焦点が第2の反射部18の前端部に形成されたときには、発光ダイオード15、15、・・・から出射されて反射面18aで反射された光の一部が遮光壁19によって遮光され、反射面18aの前縁と上縁19aと側縁19bによってロービームの配光パターンP1におけるカットラインCLが形成される(図4参照)。光Aは投影レンズ26によって水平線HLよりも稍下側に投影され、光Bは光Aよりも下方に投影され、光CはカットラインCL上に投影される。
【0052】
光源体13においては、第2の反射部18の上端部における前端に発光ダイオード15、15、・・・から出射された光の一部を遮って配光パターンP1におけるカットラインCLの一部を形成する遮光壁19が設けられているので、配光パターンP1における鮮明なカットラインCLを形成することが出来る。
【0053】
一方、ハイビームが照射されるときには、投影レンズ26が第2の位置Hに移動され、投影レンズ26の後側焦点が発光ダイオード15、15、・・・の発光面上に形成される。
【0054】
図5は、車輌用前照灯1においてハイビームが照射されたときの状態を示す図である。図5において、発光ダイオード15、15、・・・の発光面から出射された光のうち、投影レンズ26の中心部へ向かう光Aと反射面17aの前端部で反射されて投影レンズ26へ向かう光Bと反射面18aの前端部で反射されて投影レンズ26へ向かう光Cとについてそれぞれの光路を矢印により示す。また、図6は、ハイビームが照射されるときの配光パターンP2を示す図である。
【0055】
投影レンズ26の後側焦点が発光ダイオード15、15、・・・の発光面上に形成されたときには、発光ダイオード15、15、・・・から出射された光が投影レンズ26へ向かい、投影レンズ26からハイビームの配光パターンP2を形成する照射光が照射される(図5参照)。光Aは投影レンズ26によって水平線HL上に投影され、光Bは光Aよりも下方に投影され、光Cは光Aよりも上方に投影される。
【0056】
なお、上記には、反射面17aが双曲面に形成され反射面18aが放物面に形成されている例を示したが、反射面17a、18aの何れもが放物面に形成されていてもよく、また、反射面17aが放物面に形成され反射面18aが双曲面に形成されていてもよい。
【0057】
図7は、例として、反射面17aが双曲面に形成され反射面18aが放物面に形成された場合において発光ダイオード15、15、・・・から出射された光の光路を示す図であり、図8は、例として、反射面17a、18aが何れも放物面に形成された場合において発光ダイオード15、15、・・・から出射された光の光路を示す図である。
【0058】
このように、反射面17a、18aを、放物面と双曲面を任意に組み合わせた構成にすることにより、所望の配光パターンを形成することが可能である。
【0059】
以下に、光源体の変形例について説明する(図9参照)。
【0060】
変形例に係る光源体13Aは、リフレクタ16Aが上下に離隔して位置された第1の反射部17と第2の反射部18Aから成り、下側の第2の反射部18Aが反射可能な三つの面を有している。
【0061】
反射部18Aには、左右方向において離隔する第1の反射面18b及び第2の反射面18cと、第1の反射面18bと第2の反射面18cの間において左右両端がそれぞれ第1の反射面18bと第2の反射面18cに連続する段差面18dとが形成されている。段差面18dは第1の反射面18b及び第2の反射面18cに対して傾斜されている。
【0062】
光源体13Aが用いられた車輌用前照灯1にあっては、ロービームが照射されるときに投影レンズ26が第1の位置Lに移動され、投影レンズ26の後側焦点が第2の反射部18Aの前端部に形成される。また、ハイビームが照射されるときに投影レンズ26が第2の位置Hに移動され、投影レンズ26の後側焦点が発光ダイオード15、15、・・・の発光面上に形成される。
【0063】
投影レンズ26の後側焦点が第2の反射部18Aの前端部に形成されると、発光ダイオード15、15、・・・から出射された光の一部が第1の反射面18bと第2の反射面18cと段差面18dによって反射されてロービームの配光パターンP1におけるカットラインCLが形成される。
【0064】
従って、発光ダイオード15、15、・・・から出射された光は遮光されることなく投影レンズ26から投影されるので、光の利用効率の向上を図ることが出来る。
【0065】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、光を出射する光源体13、13Aと光源体13、13Aから出射された光を投影して照射する投影レンズ26との相対的な位置が変化され、光源体13、13Aから出射され投影レンズ26によって投影される光の照射方向が変更されるようにしている。
【0066】
従って、配光パターンの切替を行うためにシェード及びシェード駆動機構並びにこれらの配置スペースを設ける必要が無く、小型化及び製造コストの低減を図ることが出来る。
【0067】
次に、第2の実施の形態に係る車輌用前照灯1Bについて説明する(図10乃至図14参照)。
【0068】
なお、以下に示す車輌用前照灯1Bは、上記した車輌用前照灯1と比較して、投影レンズを有さず面状光源から出射された光を反射する反射鏡が設けられていること及び照射方向変更機構と光源体の構成が異なることが相違する。
【0069】
従って、車輌用前照灯1Bについては、車輌用前照灯1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用前照灯1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略するか、又は、必要に応じて簡単に説明する。
【0070】
車輌用前照灯1Bは、図10に示すように、ランプボデイ2とカバー3によって構成された灯具外筐4を有し、灯室5にランプユニット6Bが配置されている。
【0071】
灯室5には保持部材7Bが光軸調整機構8Bを介して水平方向及び垂直方向に傾動自在に配置されている。
【0072】
保持部材7Bは、ベース部9と取付突部10とベース部9の上端部から前方に突出された光源支持部33とを有している。光源支持部33は上下方向を向く板状に形成されている。
【0073】
光源支持部33の上面には上方へ突出された放熱フィン11、11、・・・が前後に離隔して設けられている。放熱フィン11、11、・・・の上面には放熱用ファン12が取り付けられている。
【0074】
光源支持部33の下面には光源体13Bが取り付けられている。
【0075】
光源体13Bは回路基板14と発光ダイオード15、15、・・・とリフレクタ16Bを有している。発光ダイオード15、15、・・・は発光面が下方を向くようにされている。
【0076】
リフレクタ16Bはリフレクタ16とは異なり第1の反射部17は有さずリフレクタ16の第2の反射部18と同じ構成の反射部18Bのみから成り、反射部18Bは発光ダイオード15、15、・・・の前側に配置されている。反射部18Bにおける後側に位置された面は反射面18aとして形成されている。
【0077】
保持部材7Bのベース部9には照射方向変更機構20Bが取り付けられている。照射方向変更機構20Bは支持軸34と駆動手段22を有している。
【0078】
支持軸34は、ベース部9の中央部から斜め下方へ突出して設けられている。
【0079】
駆動手段22の軸部24は支持軸34と平行な状態で位置されている。
【0080】
照射方向変更機構20Bには光学部品として機能する反射鏡35が移動自在に支持されている。反射鏡35は反射部36と反射部36から突出された第1の被支持部37と反射部36から突出され第1の被支持部37より下方に位置する第2の被支持部38とを有している。反射部36には反射面36aが形成されている。
【0081】
反射鏡35は、第1の被支持部37に支持軸34が摺動可能な状態で挿通され、第2の被支持部38が駆動手段22の螺軸部24aに螺合されることによって照射方向変更機構20Bに移動自在に支持されている。
【0082】
駆動手段22の軸部24が回転されると、その回転方向に応じた方向へ第2の被支持部38が送られると共に第1の被支持部37が支持軸34によって案内されて反射鏡35が第1の位置Lと第2の位置Hの間で移動される。このとき反射面36aの焦点が反射鏡35の位置に応じて発光ダイオード15、15、・・・の発光面上と反射部18B上の間で形成される。
【0083】
車輌用前照灯1Bにおいて、上記した保持部材7B、放熱フィン11、11、・・・、放熱用ファン12、光源体13B、照射方向変更機構20B、反射鏡35によってランプユニット6Bが構成される。
【0084】
光軸調整機構8Bはエイミングスクリュー27、27、27を有している。なお、第2の実施の形態に係る車輌用前照灯1Bにおいても、光軸調整機構8Bに代えて光軸調整機構8を用いてもよく、逆に、第1の実施の形態に係る車輌用前照灯1においては、光軸調整機構8に代えて光軸調整機構8Bを用いてもよい。
【0085】
以上のように構成された車輌用前照灯1Bにおいて、発光ダイオード15、15、・・・から出射された光は下方へ向かうか又は反射面18aによって反射されて反射面36aの焦点を含む焦点面上に集光される。集光された光は反射鏡35によって反射されてカバー3を透過されて前方へ照射される。
【0086】
車輌用前照灯1Bにおいて、ロービームが照射されるときには、反射鏡35が第1の位置Lに移動され、反射面36aの焦点が反射部18Bの下端部に形成される。
【0087】
図11は、車輌用前照灯1Bにおいてロービームが照射されたときの状態を示す図である。図11において、発光ダイオード15、15、・・・の発光面から出射されて反射面36aへ向かう光Dと、発光ダイオード15、15、・・・の発光面から出射され反射面18aの下端部で反射されて反射面36aへ向かう光Eについてそれぞれの光路を矢印により示す。また、図12は、ロービームが照射されるときの配光パターンP1を示す図である。
【0088】
反射面36aの焦点が反射部18Bの下端部に形成されたときには、発光ダイオード15、15、・・・から出射された光が反射鏡35で反射されてカットラインCLを含むロービームの配光パターンP1を形成する照射光が照射される(図12参照)。光Dは反射鏡35によって水平線HLよりも稍下側に照射され、光EはカットラインCL上に照射される。
【0089】
一方、ハイビームが照射されるときには、反射鏡35が第2の位置Hに移動され、反射面36aの焦点が発光ダイオード15、15、・・・の発光面上に形成される。
【0090】
図13は、車輌用前照灯1Bにおいてハイビームが照射されたときの状態を示す図である。図13において、発光ダイオード15、15、・・・の発光面から出射された光のうち、反射面36aへ向かう光D、Fと反射面18aで反射されて反射面36aへ向かう光Eとについてそれぞれの光路を矢印により示す。光D、Fは発光ダイオード15、15、・・・の発光面から出射された位置が異なっている。また、図14は、ハイビームが照射されるときの配光パターンP2を示す図である。
【0091】
反射面36aの焦点が発光ダイオード15、15、・・・の発光面上に形成されたときには、発光ダイオード15、15、・・・から出射された光が反射鏡35で反射されてハイビームの配光パターンP2を形成する照射光が照射される(図14参照)。光Fは反射鏡35によって水平線HL上に照射され、光Dは光Fよりも下方に照射され、光Eは光Fよりも上方に照射される。
【0092】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1Bにあっては、光を出射する光源体13Bと光源体13Bから出射された光を反射する反射鏡35との相対的な位置が変化され、光源体13Bから出射され反射鏡35によって反射される光の照射方向が変更されるようにしている。
【0093】
従って、配光パターンの切替を行うためにシェード及びシェード駆動機構並びにこれらの配置スペースを設ける必要が無く、小型化及び製造コストの低減を図ることが出来る。
【0094】
なお、上記には、リフレクタ16Bの反射部18Bがリフレクタ16の第2の反射部18と同じ構成にされている例を示したが、リフレクタ16Bの反射部をリフレクタ16Aの第2の反射部18Aと同じ構成にすることも可能である。
【0095】
また、上記には、車輌用前照灯1と車輌用前照灯1Bにおいて、光源体13、13A、13Bに対して投影レンズ26又は反射鏡35が移動されて両者の相対的な位置が変化される例を示したが、逆に、投影レンズ26又は反射鏡35に対して光源体13、13A、13Bが移動されて両者の相対的な位置が変化されるように構成することも可能である。
【0096】
但し、光源体13、13A、13Bが移動される構成にした場合には、移動される光源体13、13A、13Bに対する通電構造を構成する必要が生じ、その分、通電構造が複雑になる可能性がある。
【0097】
従って、投影レンズ26又は反射鏡35が移動される構成とすることにより、光源体13、13A、13Bに対する通電構造の簡素化が図られ、車輌用前照灯1、1Bにおける機構の簡素化及び一層の製造コストの低減を図ることが出来る。
【0098】
上記した最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図2乃至図9と共に第1の実施の形態に係る車輌用前照灯を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略縦断面図である。
【図2】光源体の拡大斜視図である。
【図3】ロービームが照射されたときの状態を示す図である。
【図4】ロービームの配光パターンを示す図である。
【図5】ハイビームが照射されたときの状態を示す図である。
【図6】ハイビームの配光パターンを示す図である。
【図7】反射面の一方が双曲面に形成され他方が放物面に形成された場合における光路を示す拡大断面図である。
【図8】反射面がともに放物面に形成された場合における光路を示す拡大断面図である。
【図9】光源体の変形例を示す拡大斜視図である。
【図10】図11乃至図14と共に第2の実施の形態に係る車輌用前照灯を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略縦断面図である。
【図11】ロービームが照射されたときの状態を示す図である。
【図12】ロービームの配光パターンを示す図である。
【図13】ハイビームが照射されたときの状態を示す図である。
【図14】ハイビームの配光パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1…車輌用前照灯、13…光源体、15…発光ダイオード、16…リフレクタ、26…投影レンズ、17…第1の反射部、18…第2の反射部、19…遮光壁、P1…配光パターン、P2…配光パターン、CL…カットライン、16A…リフレクタ、18A…第2の反射部、18b…第1の反射面、18c…第2の反射面、18d…段差面、1B…車輌用前照灯、13B…光源体、16B…リフレクタ、18B…反射部、35…反射鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する面状光源と前記面状光源から出射された光を反射するリフレクタとを有する光源体と、
焦点を有すると共に前記面状光源から出射された光を反射または投影して照射する光学部品とを備え、
前記光学部品の焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるように前記光源体と前記光学部品の相対的な位置が変化され、前記面状光源から出射され前記光学部品によって反射または投影される光の照射方向が変更されるようにした
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記光学部品が前記面状光源から出射された光を前方に投影する投影レンズであり、
前記投影レンズが移動されて前記投影レンズの後側焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるようにした
請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記面状光源は複数の発光ダイオードが所定の方向において並んで配置されて成り、
前記リフレクタは二つの反射部を有し前記二つの反射部が前記面状光源を挟んで上下に配置され、
前記反射部の一方の前端に前記面状光源から出射された光の一部を遮って配光パターンにおけるカットラインの一部を形成する遮光壁が設けられた
請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項4】
前記面状光源は複数の発光ダイオードが所定の方向において並んで配置されて成り、
前記リフレクタは二つの反射部を有し前記二つの反射部が前記面状光源を挟んで上下に配置され、
前記反射部の一方には、前記面状光源から出射された光を反射し左右方向において離隔して位置する第1の反射面及び第2の反射面と、前記第1の反射面と前記第2の反射面の間において左右両端がそれぞれ前記第1の反射面と前記第2の反射面に連続する段差面とが形成された
請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項5】
前記光学部品が前記面状光源から出射された光を反射する反射鏡であり、
前記反射鏡が移動されて前記反射鏡の焦点が前記面状光源上と前記リフレクタ上の間で形成されるようにした
請求項1に記載の車輌用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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