説明

車輌用前照灯

【課題】 視認性の向上及び幻惑光の発生の防止を目的として車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行う。
【解決手段】 内部にそれぞれ灯具ユニット6、6が配置され左右に位置する左側ランプ1Aと右側ランプ1Bによって構成され、各灯具ユニットが左右方向に並んで配置され各別に点消灯の制御が行われる複数の半導体発光素子12、12、・・・と半導体発光素子から出射された光を反射する反射面を有するリフレクター13、14とを備え、灯具ユニットに半導体発光素子から出射された光の一部を遮蔽すると共に所定の方向へ移動可能とされ移動位置に応じて光の遮蔽範囲を変更する制御を行う可動シェード15、15を設け、半導体発光素子の点消灯の制御と可動シェードによる光の遮蔽範囲の制御とを組み合わせて左側ランプと右側ランプからそれぞれ出射される光によって形成される配光パターンの変更を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、複数の半導体発光素子の点消灯の制御と可動シェードによる制御とを組み合わせて配光パターンを変更可能として車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行う技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、カバーとランプボデイによって形成された灯具外筐の内部に光源が配置され、光源から出射される光の遮蔽範囲を可動シェードによって変更し配光パターンの切替を行うことが可能とされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、遠距離を照射するハイビームの配光パターンと近距離を照射するロービームの配光パターンとの切替が可能とされている。
【0004】
【特許文献1】特開2011−29121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、ハイビームの配光パターンとロービームの配光パターンを切り替えることができるが、先行車輌、対向車輌、歩行者、標識、信号等の存在やその存在位置に応じた車輌の走行状況に適合する配光パターンを形成することは困難である。
【0006】
従って、先行車輌、対向車輌、歩行者、標識、信号等に対する視認性の低下や幻惑光の発生等を生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明車輌用前照灯は、視認性の向上及び幻惑光の発生の防止を目的として車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、内部にそれぞれ灯具ユニットが配置され左右に位置する左側ランプと右側ランプによって構成され、前記各灯具ユニットが左右方向に並んで配置され各別に点消灯の制御が行われる複数の半導体発光素子と前記半導体発光素子から出射された光を反射する反射面を有するリフレクターとを備え、前記灯具ユニットの少なくとも一方に前記半導体発光素子から出射された光の一部を遮蔽すると共に所定の方向へ移動可能とされ移動位置に応じて前記光の遮蔽範囲を変更する制御を行う可動シェードを設け、前記半導体発光素子の点消灯の制御と前記可動シェードによる前記光の遮蔽範囲の制御とを組み合わせて前記左側ランプと前記右側ランプからそれぞれ出射される光によって形成される配光パターンの変更が可能とされたものである。
【0009】
従って、車輌用前照灯にあっては、半導体発光素子の点消灯の状態と可動シェードの移動位置とに応じた配光パターンが形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明車輌用前照灯は、内部にそれぞれ灯具ユニットが配置され左右に位置する左側ランプと右側ランプによって構成された車輌用前照灯であって、前記各灯具ユニットが左右方向に並んで配置され各別に点消灯の制御が行われる複数の半導体発光素子と前記半導体発光素子から出射された光を反射する反射面を有するリフレクターとを備え、前記灯具ユニットの少なくとも一方に前記半導体発光素子から出射された光の一部を遮蔽すると共に所定の方向へ移動可能とされ移動位置に応じて前記光の遮蔽範囲を変更する制御を行う可動シェードを設け、前記半導体発光素子の点消灯の制御と前記可動シェードによる前記光の遮蔽範囲の制御とを組み合わせて前記左側ランプと前記右側ランプからそれぞれ出射される光によって形成される配光パターンの変更が可能とされたことを特徴とする。
【0011】
従って、視認性の向上及び幻惑光の発生の防止を目的とした車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載した発明にあっては、前記可動シェードが前記各灯具ユニットにそれぞれ設けられている。
【0013】
従って、配光制御の自由度の向上を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載した発明にあっては、前記左側ランプの灯具ユニットに設けられた前記可動シェードが前記リフレクターの反射面の左半分又は右半分の一方に対して開閉可能とされ、前記右側ランプの灯具ユニットに設けられた前記可動シェードが前記リフレクターの反射面の左半分又は右半分の他方に対して開閉可能とされている。
【0015】
可動シェードの大きさが小さくなり、その分、可動シェードの駆動機構の駆動力の低減及び小型化を図ることができ、車輌用前照灯の製造コストの低減を図ることができる。
【0016】
請求項4に記載した発明にあっては、前記各灯具ユニットにそれぞれ前記半導体発光素子の上側に位置する上側リフレクターと前記半導体発光素子の下側に位置する下側リフレクターとを設け、前記左側ランプの灯具ユニットに前記上側リフレクター又は前記下側リフレクターの反射面の一方を開閉する可動シェードを設け、前記右側ランプの灯具ユニットに前記上側リフレクター又は前記下側リフレクターの反射面の他方を開閉する可動シェードを設けている。
【0017】
従って、半導体発光素子を上下に分割して配置することなく上下方向において分割可能な配光パターンを形成することができ、上下方向において照射範囲を拡大した上で車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
車輌用前照灯1は、左側に位置する左側ランプ1Aと右側に位置する右側ランプ1Bとによって構成されている(図1参照)。
【0020】
左側ランプ1A、1Bはそれぞれ前方に開口されたランプボデイ2とランプボデイ2の前端部に取り付けられたカバー3とによって構成された灯具外筐4の内部が灯室5として形成され、灯室5に灯具ユニット6が配置されている。
【0021】
灯具ユニット6は灯室5に配置されたブラケット7に所要の各部が取り付けられて成り、後述する光軸調整機構を介して左右方向及び前後方向へ傾動自在に配置されている。
【0022】
ブラケット7は熱伝導性の高い金属材料によって形成され、上下両端部に被支持部7a、7a、7aが設けられている(図1に二つの被支持部7a、7aのみを示す。)。ブラケット7の後面には放熱フィン8、8、・・・が、例えば、左右に離隔して設けられている。放熱フィン8、8、・・・の後面には放熱用ファン9が取り付けられている。
【0023】
ブラケット7の前面における中央部には光源体10が取り付けられている。光源体10は、図2に示すように、回路基板11と複数の半導体発光素子12、12、・・・と下側リフレクター13と上側リフレクター14を有している。
【0024】
半導体発光素子12、12、・・・としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられており、半導体発光素子12、12、・・・は光を出射する面状光源として機能し、発光面が前方を向く状態で左右方向に並んで設けられている。
【0025】
半導体発光素子12、12、・・・には図示しない点灯回路から各別に駆動電流が供給され、駆動電流が供給された半導体発光素子12、12、・・・は点灯され、駆動電流が供給されなかった半導体発光素子12、12、・・・は消灯された状態が維持される。
【0026】
また、半導体発光素子12、12、・・・に対しては、点灯回路から供給される駆動電流の電流値を変更する制御を各別に行うことが可能とされている。
【0027】
下側リフレクター13と上側リフレクター14は、図2及び図3に示すように、それぞれ半導体発光素子12、12、・・・を挟んだ下側と上側に配置されている。下側リフレクター13と上側リフレクター14はそれぞれ半導体発光素子12、12、・・・の下縁と上縁に連続して位置され、それぞれ略上方を向く反射面13aと略下方を向く反射面14aとを有している。
【0028】
反射面13aは、例えば、放物面に形成され、反射面14aは、例えば、双曲面に形成されている。反射面13aで反射された光は反射面14aで反射された光より上方側へ向かう。
【0029】
灯具ユニット6には移動可能な可動シェード15が配置されている。可動シェード15は下側リフレクター13の反射面13aを開閉するように移動可能とされ、反射面13aの全体を開閉可能な大きさに形成されている。可動シェード15が移動されると、その移動位置に応じて半導体発光素子12、12、・・・から出射され下側リフレクター13の反射面13aに向かう光の遮蔽範囲が変化される。
【0030】
ブラケット7の前面にはレンズホルダー16が取り付けられている(図1参照)。レンズホルダー16は前後方向に貫通された略円筒状に形成され、光源体10を覆うようにしてブラケット7に取り付けられている。
【0031】
レンズホルダー16の前端部には投影レンズ17が取り付けられている。投影レンズ17は後側焦点を含む焦点面上の像を反転して半導体発光素子12、12、・・・から出射された光を前方へ投影する機能を有する。
【0032】
灯具ユニット6は、上記したように、光軸調整機構を介して左右方向及び前後方向へ傾動自在に配置されている。
【0033】
光軸調整機構はエイミングスクリュー18、18(図1に一方のエイミングスクリュー18のみを示す。)とレベリングアクチュエーター19を有している。
【0034】
エイミングスクリュー18、18は左右に離隔して位置され、それぞれ前端部がブラケット7の上側の被支持部7a、7aに螺合されている。
【0035】
レベリングアクチュエーター19は駆動部19aと駆動部19aから前方へ突出された軸部19bとから成り、軸部19bの前端部がブラケット7の下側の被支持部7aに螺合されている。
【0036】
車輌用前照灯1において、エイミングスクリュー18が回転されると、このエイミングスクリュー18が螺合された以外の被支持部7a、7aを支点として灯具ユニット6が傾動され、灯具ユニット6の光軸調整(エイミング調整)が行われる。
【0037】
また、レベリングアクチュエーター19において駆動部19aの駆動力によって軸部19bが回転されると、軸部19bが螺合された以外の被支持部7a、7aを支点として灯具ユニット6が傾動され、灯具ユニット6の光軸調整(レベリング調整)が行われる。
【0038】
車輌には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を有する図示しない検出用カメラが設けられており、車輌用前照灯1の照射領域が検出用カメラによって定期的に撮影される。検出用カメラによって照射領域が撮影されると、画像データーが生成されて照射領域に存在する先行車輌、対向車輌、歩行者、標識、信号等の存在及びその存在位置が画像処理によって検出される。
【0039】
以上のように構成された車輌用前照灯1においては、半導体発光素子12、12、・・・の点消灯の制御と可動シェード15による光の遮蔽範囲の制御とが組み合わせれて左側ランプ1Aと右側ランプ1Bからそれぞれ出射される光によって形成される配光パターンが変更される。
【0040】
以下に、上記した制御によって形成される配光パターンの各例について説明する(図4参照)。尚、以下に示す各例において、梨地の領域は半導体発光素子12が点灯されている領域を示し、斜線の部分は可動シェード15を示し可動シェード15によって遮光されていることを示している。従って、半導体発光素子12が点灯されている領域のうち可動シェード15によって遮蔽されなかった領域が配光パターンにおいて光が照射される領域とされる。
【0041】
図4に示す(A)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の同一の点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15による光の遮蔽範囲の同一の制御が行われた例である。(A)に関しては、半導体発光素子12、12、・・・の一部が消灯され、可動シェード15、15によってそれぞれ上方側に照射される光が遮蔽されている。
【0042】
(A)に関しては、歩行者や対向車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0043】
図4に示す(B)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aにおいて可動シェード15による光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(B)に関しては、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいてそれぞれ半導体発光素子12、12、・・・の別の各一部が消灯され、左側ランプ1Aにおいて可動シェード15によって上方側に照射される光が遮蔽されている。
【0044】
(B)に関しては、広い照射範囲が確保された上で歩行者や対向車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0045】
尚、上記とは逆に、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の一部が消灯され、左側ランプ1Bにおいて可動シェード15によって光が遮蔽されてもよい。
【0046】
(B)においては、左側ランプ1A又は右側ランプ1Bの一方において可動シェード15によって上方側に照射される光が遮蔽されている。従って、このような左側ランプ1A又は右側ランプ1Bの一方において可動シェード15によって光が遮蔽される制御のみが行われ車輌用前照灯にあっては、左側ランプ1A又は右側ランプ1Bの一方にのみ可動シェード15が配置されていればよい。
【0047】
図4に示す(C)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15による光の遮蔽範囲の異なる制御が行われた例である。(C)に関しては、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいてそれぞれ半導体発光素子12、12、・・・の別の各一部が消灯され、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15、15によってそれぞれ上方側に照射される光が遮蔽されている。
【0048】
(C)に関しては、広い照射範囲が確保された上で歩行者や対向車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止され、また、信号器等の光点が検知されたときに光点に対する光の照射が行われないようにして光点の視認性の向上が図られている。
【0049】
上記には、下側リフレクター13の反射面13aの全体を開閉可能な大きさに形成された可動シェード15、15によって光の遮蔽範囲の制御が行われる例を示したが、図5に示すように、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bの下側リフレクター13、13の反射面13a、13aの一部、例えば、半分の部分をそれぞれ開閉可能な大きさに形成された可動シェード15A、15Aによって光の遮蔽範囲の制御が行われるようにすることも可能である。
【0050】
左側ランプ1Aの可動シェード15Aは、例えば、下側リフレクター13の反射面13aの左半分の部分を開閉可能な大きさに形成され、右側ランプ1Bの可動シェード15Aは、例えば、下側リフレクター13の反射面13aの右半分の部分を開閉可能な大きさに形成されている。
【0051】
尚、逆に、左側ランプ1Aの可動シェード15Aが下側リフレクター13の反射面13aの右半分の部分を開閉可能な大きさに形成され、右側ランプ1Bの可動シェード15Aが下側リフレクター13の反射面13aの左半分の部分を開閉可能な大きさに形成されていてもよい。
【0052】
以下に、可動シェード15A、15Aが用いられたときの制御によって形成される配光パターンの各例について説明する(図6参照)。
【0053】
図6に示す(D)は、可動シェード15A、15Aによって遮蔽できない範囲の半導体発光素子12、12、・・・が全て消灯された状態で左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15A、15Aによる光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(D)に関しては、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいてそれぞれ半導体発光素子12、12、・・・の別の各一部が消灯され、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15A、15Aによって上方側に照射される光がそれぞれ遮蔽されている。
【0054】
(D)に関しては、歩行者や対向車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0055】
図6に示す(E)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15A、15Aによる光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(E)に関しては、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいてそれぞれ半導体発光素子12、12、・・・の別の各一部が消灯され、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15A、15Aによって上方側に照射される光がそれぞれ遮蔽されている。
【0056】
(E)に関しては、広い照射範囲が確保され歩行者や対向車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0057】
上記した可動シェード15A、15Aを用いた制御にあっては、可動シェード15A、15Aの大きさが小さいため、その分、可動シェード15A、15Aの駆動機構の駆動力の低減及び小型化を図ることができ、車輌用前照灯1の製造コストの低減を図ることができる。
【0058】
また、上記には、下側リフレクター13の反射面13aの全体又は一部を開閉する可動シェード15、15Aによって光の遮蔽範囲の制御が行われる例を示したが、図7に示すように、左側ランプ1Aの下側リフレクター13の反射面13aの全体を開閉可能な可動シェード15と右側ランプ1Bの上側リフレクター14の反射面14aの全体を開閉可能な可動シェード15Bとによって光の遮蔽範囲の制御が行われるようにすることも可能である。
【0059】
尚、左側ランプ1Aの上側リフレクター14の反射面14aを開閉する可動シェード15Bと右側ランプ1Bの下側リフレクター13の反射面13aを開閉する可動シェード15とによって光の遮蔽範囲の制御が行われるようにしてもよい。
【0060】
以下に、可動シェード15、15Bが用いられたときの制御によって形成される配光パターンの各例について説明する(図8参照)。
【0061】
図8に示す(F)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15、15Bによる光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(F)に関しては、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて全ての半導体発光素子12、12、・・・が点灯され、左側ランプ1Aにおいて可動シェード15によって上方側に照射される光が遮蔽され、右側ランプ1Bにおいて可動シェード15Bによって下方側に照射される光が遮蔽されている。
【0062】
(F)に関しては、対向車輌や先行車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0063】
図8に示す(G)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15、15Bによる光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(G)に関しては、左側ランプ1Aにおいて一部の半導体発光素子12、12、・・・が消灯され右側ランプ1Bにおいて全ての半導体発光素子12、12、・・・が点灯され、左側ランプ1Aにおいて可動シェード15によって上方側に照射される光が遮蔽され、右側ランプ1Bにおいて可動シェード15Bによって下方側に照射される光が遮蔽されている。
【0064】
(G)に関しては、広い照射範囲が確保された上で対向車輌や先行車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0065】
図8に示す(H)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15、15Bによる光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(H)に関しては、左側ランプ1Aにおいて全ての半導体発光素子12、12、・・・が点灯され右側ランプ1Bにおいて一部の半導体発光素子12、12、・・・が消灯され、左側ランプ1Aにおいて可動シェード15によって上方側に照射される光が遮蔽され、右側ランプ1Bにおいて可動シェード15Bによって下方側に照射される光が遮蔽されている。
【0066】
(H)に関しては、広い照射範囲が確保された上で対向車輌や先行車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0067】
図8に示す(I)は、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて半導体発光素子12、12、・・・の異なる点消灯の制御が行われ、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいて可動シェード15、15Bによる光の遮蔽範囲の制御が行われた例である。(I)に関しては、左側ランプ1Aと右側ランプ1Bにおいてそれぞれ異なる各一部の半導体発光素子12、12、・・・が消灯され、左側ランプ1Aにおいて可動シェード15によって上方側に照射される光が遮蔽され、右側ランプ1Bにおいて可動シェード15Bによって下方側に照射される光が遮蔽されている。
【0068】
(I)に関しては、広い照射範囲が確保された上で対向車輌や先行車輌の搭乗者に対する幻惑光の発生が防止されている。
【0069】
上記のように、下側リフレクター13の反射面13aと上側リフレクター14の反射面14aとをそれぞれ開閉する可動シェード15、15Bを用いることにより、半導体発光素子12、12、・・・を上下に分割して配置することなく上下方向において分割可能な配光パターンを形成することができ、上下方向において照射範囲を拡大した上で車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行うことができる。
【0070】
上記した半導体発光素子12、12、・・・の点消灯の制御と可動シェード15、15A、15Bによる光の遮蔽範囲の制御とが組み合わせれて配光パターンが形成される場合において、半導体発光素子12、12、・・・に対する駆動電流の電流値を各別に制御して部分的に輝度が異なる配光パターンを形成することが可能である。
【0071】
尚、上記した可動シェード15、15Bを用いた制御(図7及び図8参照)にあっては、配光パターンにおいて可動シェード15によって制御される範囲と可動シェード15Bによって制御される範囲とが重なり合うことがない。
【0072】
従って、半導体発光素子12、12、・・・に対する駆動電流の電流値の変更によって生じる輝度の変更が、電流値の変更が行われない半導体発光素子12、12、・・・によって光が照射される部分に対して影響を及ぼすことがない。
【0073】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、半導体発光素子12、12、・・・の点消灯の制御と可動シェード15、15A、15Bによる光の遮蔽範囲の制御とを組み合わせて配光パターンを形成しているため、視認性の向上及び幻惑光の発生の防止を目的とした車輌の走行状況に応じた適正な配光制御を行うことができる。
【0074】
また、可動シェード15、15A、15Bを各灯具ユニット6、6にそれぞれ設けることにより、配光制御の自由度の向上を図ることができる。
【0075】
上記した最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図2乃至図8と共に本発明車輌用前照灯の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略縦断面図である。
【図2】光源体と可動シェードを示す斜視図である。
【図3】光源体と可動シェードを示す断面図である。
【図4】制御例を示す模式図である。
【図5】光源体と反射面の半分の部分が開閉可能とされた可動シェードとを左右のランプにおいて示す斜視図である。
【図6】図5に示す構成による制御例を示す模式図である。
【図7】光源体と上下に配置された可動シェードとを左右のランプにおいて示す斜視図である。
【図8】図7に示す構成による制御例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1…車輌用前照灯、1A…左側ランプ、1B…右側ランプ、6…灯具ユニット、12…半導体発光素子、13…下側リフレクター、13a…反射面、14…上側リフレクター、14a…反射面、15…可動シェード、15A…可動シェード、15B…可動シェード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にそれぞれ灯具ユニットが配置され左右に位置する左側ランプと右側ランプによって構成された車輌用前照灯であって、
前記各灯具ユニットが左右方向に並んで配置され各別に点消灯の制御が行われる複数の半導体発光素子と前記半導体発光素子から出射された光を反射する反射面を有するリフレクターとを備え、
前記灯具ユニットの少なくとも一方に前記半導体発光素子から出射された光の一部を遮蔽すると共に所定の方向へ移動可能とされ移動位置に応じて前記光の遮蔽範囲を変更する制御を行う可動シェードを設け、
前記半導体発光素子の点消灯の制御と前記可動シェードによる前記光の遮蔽範囲の制御とを組み合わせて前記左側ランプと前記右側ランプからそれぞれ出射される光によって形成される配光パターンの変更が可能とされた
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記可動シェードが前記各灯具ユニットにそれぞれ設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記左側ランプの灯具ユニットに設けられた前記可動シェードが前記リフレクターの反射面の左半分又は右半分の一方に対して開閉可能とされ、
前記右側ランプの灯具ユニットに設けられた前記可動シェードが前記リフレクターの反射面の左半分又は右半分の他方に対して開閉可能とされた
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項4】
前記各灯具ユニットにそれぞれ前記半導体発光素子の上側に位置する上側リフレクターと前記半導体発光素子の下側に位置する下側リフレクターとを設け、
前記左側ランプの灯具ユニットに前記上側リフレクター又は前記下側リフレクターの反射面の一方を開閉する可動シェードを設け、
前記右側ランプの灯具ユニットに前記上側リフレクター又は前記下側リフレクターの反射面の他方を開閉する可動シェードを設けた
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97886(P2013−97886A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236958(P2011−236958)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】