説明

辞書装置およびプログラム

【課題】辞書と書籍を選択的に表示可能な携帯型の辞書装置で、縦置きで見ている書籍をそのまま横に寝転んで読む場合等、その都度一々機能設定の変更操作を行う必要なく、重力方向に応じた縦横表示切り替え機能を自動で無効にして読み易く表示する。
【解決手段】装置本体の傾きを検出する加速度センサと、この加速度センサにより検出される装置本体の傾きに応じて、当該装置本体が重力方向に横向きであるときにテキストを正立させて表示する横置き表示HGと同装置本体が縦向きであるときにテキストを正立させて表示する縦置き表示VGとに切り替える表示切替機能とを備え、装置の電源がONされた際に、装置本体が縦向きである場合は、縦置きフラグをセットし、書籍系コンテンツの表示形態を縦置き表示VGに固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、辞書コンテンツと書籍コンテンツを選択的に表示可能な携帯型の辞書装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子辞書装置において、加速度センサを内蔵して装置本体が縦置き状態にあるか横置き状態にあるかを検出し、表示部に表示されるテキストを、横置きで正立した表示と縦置きで正立した表示とで切り替えて表示制御する機能がある。
【0003】
このような装置本体の縦横の向きに応じた切替表示機能を有することで、特に縦書きされた日本語の書籍コンテンツを、装置本体を縦置きにしてユーザに読み易く表示させることができる。
【0004】
従来の携帯型表示機器において、重力方向への傾き又は表示装置本体の傾きを検出し、検出された傾斜方向情報に応じて、表示対象となる映像データを回転させて出力する機能を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−219791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電子辞書装置の縦横切替表示機能や携帯型表示機器の表示データ回転出力機能では、表示装置本体の縦横の向きや傾斜に合わせて、表示データを常にその重力方向に正立した状態に切り替え又は回転させて表示させることができる。
【0007】
このため、ユーザが起きている状態で使用する分には問題がないが、横に寝ている状態でユーザから見て装置本体を縦にしてテキストを読もうとすると、ユーザから見た上下方向と装置本体の重力方向とが合わなくなり、縦置き表示に切り替わらない。
【0008】
そこで、このような場合に、表示データの縦横切り替え又は回転機能を無効に設定し直すことが考えられるが、機能設定の変更操作は煩雑で面倒であり、その都度一々対処することは現実的でない問題がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、文学などの書籍コンテンツを自由な体勢で読む場合等、その都度一々機能設定の変更操作を行う必要なく、重力方向に応じた縦横表示切り替え機能を自動で無効にすることが可能になる辞書装置およびその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る辞書装置は、辞書系コンテンツと書籍系コンテンツとを記憶する記憶手段と、装置本体の傾きを検出する傾き検出手段と、この傾き検出手段により検出された装置本体の傾きに方向に応じて前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示部に対する表示方向を縦置き表示と横置き表示とで切り替える縦横表示切替手段と、装置電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示に固定する表示固定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
本発明に係るプログラムは、装置本体の傾きを検出する傾き検出手段を有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、辞書系コンテンツと書籍系コンテンツとをメモリに記憶させる記憶手段、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾きに方向に応じて前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示と横置き表示とで切り替える縦横表示切替手段、機器電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示に固定する表示固定手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、文学などの書籍コンテンツを自由な体勢で読む場合等、その都度一々機能設定の変更操作を行う必要なく、重力方向に応じた縦横表示切り替え機能を自動で無効にすることが可能になる辞書装置およびその制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の辞書装置の実施形態に係る電子辞書装置10の外観構成を示す正面図。
【図2】前記電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】前記電子辞書装置10のコンテンツ表示処理を示すフローチャート。
【図4】前記電子辞書装置10のコンテンツ表示処理に伴う装置本体の向きに応じた書籍系コンテンツの表示状態を示す図。
【図5】前記電子辞書装置10において、表示対象となるコンテンツの種類に応じて対応可能な装置本体の置き方の方向(縦置き/横置き)と、テキスト表示の記述の方向(縦書き/横書き)とを対応付けて示したテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の辞書装置の実施形態に係る電子辞書装置10の外観構成を示す正面図である。
【0016】
この辞書装置は、以下に説明する電子辞書専用の携帯機器(電子辞書装置10)として構成されるか、辞書機能を備えたPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成される。
【0017】
電子辞書装置10は、その本体ケース11と蓋体ケース12とがヒンジ部13を介して展開/閉塞可能な折り畳み型ケースを備えて構成される。この折り畳み型ケースを展開した本体ケース11の表面には、文字入力キー14a、コンテンツ指定キー14b、「訳/決定」キー14c、「戻る/リスト」キー14d、カーソルキー14e、ページ送りキー14fなどを備えたキー入力部(キーボード)14、およびタッチパネル式サブ表示部15が備えられる。
【0018】
このタッチパネル式サブ表示部15は、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、キー入力部14の中央手前側において例えば256×64ドットの液晶表示画面15dに透明タッチパネル15tを重ねて構成される。このサブ表示部15の入力領域は、必要に応じて、手書き文字を入力するための手書き文字(漢字)入力領域や各種機能のボタン入力領域、あるいは各入力領域が混在する領域に切り替えられる。
【0019】
そして、前記サブ表示部15が手書き文字入力領域に切り替えられた状態での手書き入力に伴う軌跡はその液晶表示画面15dにエコーバックして表示される。
【0020】
また蓋体ケース12の表面には、そのほぼ全面を対象に例えば480×320ドットのバックライト付きのタッチパネル式メイン表示部16が設けられる。このタッチパネル式メイン表示部16も、前記タッチパネル式サブ表示部15と同様に、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、その液晶表示画面16dに透明タッチパネル16tを重ねて構成される。
【0021】
また、本体ケース11の裏側には、装置本体が重力方向に対して横向き(図示通りの向き)か、又は縦向き(図示を90度回転させた向き)か、を件検出するための3軸加速度センサ17が内蔵される。
【0022】
さらに、ヒンジ部13には、本体ケース11に対する蓋体ケース12の開閉動作を検出するための開閉センサ18が内蔵される。
【0023】
図2は、前記電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0024】
この電子辞書装置10は、各種の記録媒体に記録されたプログラム、又は、伝送されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成され、その電子回路には、CPU(central processing unit)21が備えられる。
【0025】
CPU21は、記憶装置(フラッシュROM)22内に予め記憶された装置制御プログラム22a、あるいはROMカードなどの外部記録媒体23から記録媒体読み取り部24を介して前記記憶装置22に読み込まれた装置制御プログラム22a、あるいはインターネットN上のWebサーバ(この場合はプログラムサーバ)30から通信部25を介して前記記憶装置22に読み込まれた装置制御プログラム22aに応じて、回路各部の動作を制御する。
【0026】
前記記憶装置22に記憶された装置制御プログラム22aは、キー入力部14、タッチパネル式サブ表示部15、タッチパネル式メイン表示部16からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは加速度センサ17からの加速度(本体方向)検出信号、あるいは開閉センサ18からの装置開閉検出信号、あるいは通信部25を介して接続されるインターネットN上の各Webサーバ30…との通信信号、あるいは記録媒体読み取り部24を介して外部接続されるEEPROM,RAM,ROMなどのメモリ・カード(記録媒体)23との接続通信信号に応じて起動される。
【0027】
このように前記CPU21には、記憶装置22、記録媒体読み取り部24、通信部25、キー入力部14、タッチパネル式サブ表示部15(15d,15t)、タッチパネル式メイン表示部16(16d,16t)、加速度センサ17、開閉センサ18などが接続される。
【0028】
前記記憶装置22に記憶される装置制御プログラム22aとしては、当該電子辞書装置10の全体の動作を司るシステムプログラムや、通信部25を介してインターネットN上の各Webサーバ30…や図示しないユーザPC(Personal Computer)などとデータ通信するための通信プログラムが記憶される。
【0029】
また、入力された検索文字列に応じて辞書データの見出し語を対象に検索する見出し語検索処理、検索された見出し語に対応する解説情報を読み出して表示する解説情報表示処理を実行するための辞書検索プログラム、各種の辞書データや書籍データ等の表示対象となるコンテンツの種類と加速度センサ17により検出される本体方向とに応じてメイン表示部16に表示させるテキストの向きを横置きで正立する方向に表示制御したり縦置きで正立する方向に表示制御したりするためのコンテンツ表示プログラムが記憶される。
【0030】
また、前記記憶装置22には、辞書データベース22b、書籍データベース22cが記憶される。
【0031】
前記辞書データベース22bとしては、[国語辞典][漢和辞典][漢字辞典][英和辞典][英英辞典][和英辞典]などの各種の辞書データが予めあるいはダウンロードされて記憶され、各種の辞書データには、各見出し語と当該各見出し語の解説情報とが対応付けられて記述される。
【0032】
前記書籍データベース22cとしては、[世界文学全集][日本文学全集][世界有名演説集][日本国憲法集]などの各国語の書籍データが、各タイトル、作者、本文と対応付けられて記憶される。
【0033】
RAM26には、メイン表示データメモリ26a、サブ表示データメモリ26b、縦開きフラグメモリ26c、前回使用データメモリ26d、書籍系前回使用データメモリ26e等が確保される。
【0034】
メイン表示データメモリ26aには、前記メイン表示部16に表示させる表示データが、その表示画面サイズに対応するメモリ領域においてビットマップパターンに展開されて記憶される。
【0035】
サブ表示データメモリ26cには、前記サブ表示部15に表示させる表示データが、その表示画面サイズに対応するメモリ領域においてビットマップパターンに展開されて記憶される。
【0036】
縦開きフラグメモリ26cには、開閉センサ18により、装置本体の蓋体ケース12が閉じた状態(電源OFF)から開いた状態(電源ON)に変化したことが検出された際、加速度センサ17により検出される本体方向が縦方向であって縦開きされたと判断された場合に、縦開きフラグがセットされて記憶される。この縦開きフラグは、表示対象のコンテンツが、書籍データベース22cに記憶された書籍系ではない辞書等のコンテンツに切り替えられた場合、および電源OFFとなった場合にリセットされる。
【0037】
前回使用データメモリ26dには、開閉センサ18により、装置本体の蓋体ケース12が開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出された場合に、そのときに表示対象として使用されていたデータの種類(書籍/辞書/…)および識別子(タイトル等)が記憶されて保存される。
【0038】
書籍系前回使用データメモリ26eには、開閉センサ18により、装置本体の蓋体ケース12が開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出された際、そのときに表示対象として使用されていたデータの種類が書籍系であると判断された場合に、当該書籍の識別子(タイトル等)が記憶されて保存される。
【0039】
このように構成された電子辞書装置10は、CPU21が前記装置制御プログラム22aに記述された各種処理の命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0040】
次に、前記構成による電子辞書装置10の動作について説明する。
【0041】
図3は、前記電子辞書装置10のコンテンツ表示処理を示すフローチャートである。
【0042】
図4は、前記電子辞書装置10のコンテンツ表示処理に伴う装置本体の向きに応じた書籍系コンテンツの表示状態を示す図である。
【0043】
ユーザが本装置10の使用を開始するのに伴い、本装置10において、開閉センサ18により、蓋体ケース12が閉じた状態(電源OFF)状態から開いた状態(電源ON)に変化したことが検出されると(ステップS1(Yes))、加速度センサ17により装置本体の向きが検出され(ステップS2)、縦向きの状態で蓋体ケース12を開いた縦開きか否か(横開きか)が判断される(ステップS3)。
【0044】
ここで、例えば図4(A1)に示すように縦開きされたと判断されると(ステップS3(Yes))、書籍系前回使用データメモリ26eに保存されている前回表示対象として使用した書籍の識別子(タイトル等)が読み出され(ステップS4)、縦開きフラグメモリ26cに対して縦開きフラグがセットされて記憶される(ステップS5)。
【0045】
そして、前記書籍系前回使用データメモリ26eから読み出された書籍の識別子に対応する書籍のコンテンツが書籍データベース22cから読み出され、メイン表示データメモリ26aに、縦置きでテキストが正立する縦置き表示VGの表示データとして展開され、図4(A1)に示すようにメイン表示部16に表示される(ステップS6)。
【0046】
この後、ユーザ操作に応じて、表示中の書籍データのスクロール処理やページ送り処理等が実行される(ステップS7)。
【0047】
こうして、装置本体を縦向きにして開き、前回読んでいた書籍のコンテンツの続きを、縦置き表示VGで読んでいる状態で、例えばユーザの姿勢が装置本体を同ユーザから見て縦に把持したまま左に寝て横になった姿勢となり、図4(A2)に示すように、装置本体が横向きになると、加速度センサ17により、当該装置本体が縦向きから横向きに変化したことが検出される(ステップS18(Yes))。
【0048】
この場合、縦開きフラグメモリ26cに縦開きフラグがセットされていることが判断され(ステップS19(Yes))、表示の縦横の切り替えが行われることなく、メイン表示部16には、縦置き表示VGのまま変化なく書籍のコンテンツが表示される。
【0049】
一方、前記本装置の使用開始に伴い、開閉センサ18により、蓋体ケース12が閉じた状態(電源OFF)状態から開いた状態(電源ON)に変化したことが検出された際に(ステップS1(Yes))、装置本体が横向きの状態で蓋体ケース12が開かれたと判断されると(ステップS2,S3(No))、前回使用データメモリ26dに保存されている前回表示対象として使用したデータの種類(書籍/辞書/…)および識別子(タイトル等)が読み出され(ステップS8)、書籍系のデータか否(辞書系のデータ)かが判断される(ステップS9)。
【0050】
ここで、前回表示対象として使用したデータの種類が書籍系のデータであると判断された場合は(ステップS9(Yes))、前記前回使用データメモリ26dから読み出された書籍の識別子(タイトル等)に対応するコンテンツが書籍データベース22cから読み出され、図4(B1)に示すように、メイン表示データメモリ26aに横置きでテキストが正立する横置き表示HGの表示データとして展開され、メイン表示部16に表示される(ステップS10)。
【0051】
この後、ユーザ操作に応じて、表示中の書籍データのスクロール処理やページ送り処理等が実行される(ステップS11)。
【0052】
こうして、装置本体を横向きにして開き、前回読んでいた書籍のコンテンツの続きを、横置き表示HGで読んでいる状態で、装置本体を縦向きに把持し直すことで、図4(B2)に示すように、装置本体が縦向きになると、加速度センサ17により、当該装置本体が横向きから縦向きに変化したことが検出される(ステップS18(Yes))。
【0053】
この場合、縦開きフラグメモリ26cに縦開きフラグはセットされてないと判断されるので(ステップS19(No))、表示の縦横の切り替えが行われ、図4(B2)に示すように、メイン表示データメモリ26aに縦置きでテキストが正立する縦置き表示VGの表示データとして展開され、メイン表示部16に表示される(ステップS20)。
【0054】
一方、前記本装置の使用開始に伴い、装置本体が横向きの状態でその蓋体ケース12が横開きされたと判断され(ステップS1〜S3(No))、前回使用データメモリ26dから読み出された前回表示対象としていたデータが、書籍系のデータはなく辞書系のデータであると判断された場合は(ステップS8,S9(No))、該当する辞書のコンテンツが辞書データベース22bから読み出され、メイン表示データメモリ26aに横置きでテキストが正立する横置き表示HG(図4(B1)参照)の表示データとして展開され、メイン表示部16に表示される(ステップS12)。
【0055】
この後、ユーザ操作に応じて、表示中の辞書データの見出し語検索処理や選択された見出し語の解説情報表示処理等が実行される(ステップS13)。
【0056】
なお、前記辞書データの表示については、表示対象の辞書データの言語種に関わらず、図5に示すように、横置きでテキストが正立する横置き表示HGであって、且つ、横書きでの表示に固定される。
【0057】
また、書籍データの表示について、表示対象の書籍データの言語が英語等の外国語系である場合、図5に示すように、前記縦置きでテキストが正立する縦置き表示VG、前記横置きでテキストが正立する横置き表示HGの何れにも固定されないが、横書きでの表示に固定される。
【0058】
図5は、前記電子辞書装置10において、表示対象となるコンテンツの種類に応じて対応可能な装置本体の置き方の方向(縦置き/横置き)と、テキスト表示の記述の方向(縦書き/横書き)とを対応付けて示したテーブルである。
【0059】
すなわち、例えば前記書籍データの縦置き表示VG(ステップS6,S7)または横置き表示HG(ステップS10,S11)により書籍データが表示された状態で、コンテンツ指定キー14bの操作に応じて表示対象のコンテンツが切り替えられた場合に(ステップS14(Yes))、切り替えられたコンテンツが書籍系のデータであると判断されると(ステップS15(Yes))、そのときの縦置き表示VGまたは横置き表示HGに変化なく、その表示データが新たな書籍データに入れ替えられて表示される(ステップS17)。
【0060】
また同様に、前記書籍データの縦置き表示VG(ステップS6,S7)または横置き表示HG(ステップS10,S11)により書籍データが表示された状態で、コンテンツ指定キー14bの操作に応じて切り替えられた表示対象のコンテンツが、書籍系でなく辞書系のデータであると判断されると(ステップS14(Yes)→S15(No))、前記縦開きフラグメモリ26cにセットされている縦開きフラグはリセットされる(ステップS16)。そして、新たに指定された辞書のデータが横置き表示HGの状態にしてメイン表示部12に表示される(ステップS17)。
【0061】
また、前記辞書データの横置き表示HG(ステップS12,S13)により辞書データが表示された状態で、コンテンツ指定キー14bの操作に応じて切り替えられた表示対象のコンテンツが、書籍系のデータであると判断されると(ステップS14(Yes)→S15(Yes))、そのときの横置き表示HGはそのまま、表示データが新たな書籍データに入れ替えられて表示される(ステップS17)。
【0062】
このように、前記書籍系のデータおよび辞書系のデータを縦置き表示VGや横置き表示HGにして表示させた状態で、ユーザの閲覧が終了し蓋体ケース12を閉じることで、開閉センサ18により同蓋体ケース12が閉じたことが検出されると(ステップS21(Yes))、そのときに表示されていたデータの種類が書籍系であると判断された場合に(ステップS22(Yes))、当該書籍の識別子(タイトル等)が書籍系前回使用データメモリ26eに記憶されて保存される(ステップS23)。
【0063】
そして、前記蓋体ケース12が閉じられた際に表示されていたデータの種類が書籍系であるか辞書系であるかに関わらず、そのときに表示されていたデータの識別子(タイトル等)が前回使用データメモリ26dに記憶されて保存される(ステップS24)。
【0064】
したがって、前記構成の電子辞書装置10によるコンテンツ表示機能によれば、装置本体の傾きを検出する加速度センサ17と、この加速度センサ17により検出される装置本体の傾きに応じて、当該装置本体が重力方向に横向きであるときにテキストを正立させて表示する横置き表示HGと同装置本体が縦向きであるときにテキストを正立させて表示する縦置き表示VGとに切り替える表示切替機能とを備え、装置の電源がONされた際に、装置本体が縦向きである場合は、縦置きフラグをセットし、書籍系コンテンツの表示形態を縦置き表示VGに固定するようにした。
【0065】
このため、文学などの書籍コンテンツを縦置き表示VGのまま横に寝転んで読む場合等、その都度一々機能設定の変更操作を行う必要なく、重力方向に応じた縦横表示切り替え機能を自動で無効にして、読み易いままの表示状態を維持することができる。
【0066】
また、前記構成の電子辞書装置10によるコンテンツ表示機能によれば、前記縦置きフラグがセットされ、書籍コンテンツが縦置き表示VGにより表示された状態で、表示対象のコンテンツが辞書コンテンツに切り替えられると、前記縦置きフラグはリセットされるので、特に、電源の投入当初から書籍を読みたい場合に縦置き表示VGが固定され、それ以外は装置本体の縦横方向に応じた表示の切り替えが機能して読み易く表示できる。
【0067】
また、書籍や辞書の閲覧が終了して電源がOFFされるときには、そのときに表示されていたコンテンツが書籍コンテンツである場合は、その識別子(タイトル等)が書籍系前回使用データメモリ26eに記憶され、前記装置本体を縦向きにして電源ONしたときには、前回閲覧した書籍コンテンツが続けて縦置き表示VGにより表示されるので、書籍コンテンツをより扱い易く且つ見易く表示することかできる。
【0068】
なお、前記実施形態において記載した電子辞書装置10による各処理の手法、すなわち、図3のフローチャートに示すコンテンツ表示処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリ・カード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体(23)に格納して配布することができる。そして、本体方向検出部(17)を有する電子式計算機(10)のコンピュータ(CPU21)は、この外部記録媒体(23)に記憶されたプログラムを記憶装置(22)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明した本体方向に応じた書籍系コンテンツと辞書系コンテンツの表示制御機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0069】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワークN上を伝送させることができ、この通信ネットワークNに接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ30)から前記のプログラムデータを本体方向検出部(17)を有する電子式計算機(10)に取り込んで記憶装置(22)に記憶させ、前述した本体方向に応じた書籍系コンテンツと辞書系コンテンツの表示制御機能を実現することもできる。
【0070】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0071】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0072】
[1]
辞書系コンテンツと書籍系コンテンツとを記憶する記憶手段と、
装置本体の傾きを検出する傾き検出手段と、
この傾き検出手段により検出された装置本体の傾きに方向に応じて前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示部に対する表示方向を縦置き表示と横置き表示とで切り替える縦横表示切替手段と、
装置電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示に固定する表示固定手段と、
を備えたことを特徴とする辞書装置。
【0073】
[2]
日本語系の書籍コンテンツは縦書きで表示されることを特徴とする[1]に記載の辞書装置。
【0074】
[3]
ユーザ操作に応じて表示対象のコンテンツを切り替えるコンテンツ切り替え手段と、
このコンテンツ切り替え手段により表示対象のコンテンツが書籍系コンテンツから辞書系コンテンツに切り替えられた場合に、前記表示固定手段により固定された書籍系コンテンツの縦置き表示の固定を解除する表示固定解除手段と、
を備えたことを特徴とする[1]に記載の辞書装置。
【0075】
[4]
装置電源が遮断された際に表示されていた書籍系のコンテンツを記憶する書籍系前回コンテンツ記憶手段と、
装置電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記書籍系前回コンテンツ記憶手段により記憶された書籍系コンテンツを縦置き表示にして表示部に表示させる書籍継続表示手段と、
を備えたことを特徴とする[1]記載の辞書装置。
【0076】
[5]
装置本体の傾きを検出する傾き検出手段を有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
辞書系コンテンツと書籍系コンテンツとをメモリに記憶させる記憶手段、
前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾きに方向に応じて前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示と横置き表示とで切り替える縦横表示切替手段、
機器電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示に固定する表示固定手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0077】
10 …電子辞書装置
11 …本体ケース
12 …蓋体ケース
13 …ヒンジ部
14 …キー入力部(キーボード)
14a…文字入力キー
14b…コンテンツ指定キー
14c…[訳/決定]キー
14d…[戻る/リスト]キー
14e…カーソルキー
14f…ページ送りキー
15 …サブ表示部
15d…カラー液晶表示部
15t…透明タッチパネル
16 …メイン表示部
16d…カラー液晶表示部
16t…透明タッチパネル
17 …3軸加速度センサ
18 …開閉センサ
21 …CPU
22 …記憶装置
22a…装置制御プログラム
22b…辞書データベース
22c…書籍データベース
23 …外部記録媒体
24 …記録媒体読み取り部
25 …通信部
26 …RAM
26a…メイン表示データメモリ
26b…サブ表示データメモリ
26c…縦開きフラグメモリ
26d…前回使用データメモリ
26e…書籍系前回使用データメモリ
VG …縦置き表示
HG …横置き表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
辞書系コンテンツと書籍系コンテンツとを記憶する記憶手段と、
装置本体の傾きを検出する傾き検出手段と、
この傾き検出手段により検出された装置本体の傾きに方向に応じて前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示部に対する表示方向を縦置き表示と横置き表示とで切り替える縦横表示切替手段と、
装置電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示に固定する表示固定手段と、
を備えたことを特徴とする辞書装置。
【請求項2】
日本語系の書籍コンテンツは縦書きで表示されることを特徴とする請求項1に記載の辞書装置。
【請求項3】
ユーザ操作に応じて表示対象のコンテンツを切り替えるコンテンツ切り替え手段と、
このコンテンツ切り替え手段により表示対象のコンテンツが書籍系コンテンツから辞書系コンテンツに切り替えられた場合に、前記表示固定手段により固定された書籍系コンテンツの縦置き表示の固定を解除する表示固定解除手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の辞書装置。
【請求項4】
装置電源が遮断された際に表示されていた書籍系のコンテンツを記憶する書籍系前回コンテンツ記憶手段と、
装置電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記書籍系前回コンテンツ記憶手段により記憶された書籍系コンテンツを縦置き表示にして表示部に表示させる書籍継続表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の辞書装置。
【請求項5】
装置本体の傾きを検出する傾き検出手段を有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
辞書系コンテンツと書籍系コンテンツとをメモリに記憶させる記憶手段、
前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾きに方向に応じて前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示と横置き表示とで切り替える縦横表示切替手段、
機器電源が投入された際に、前記傾き検出手段により検出された装置本体の傾き方向が縦方向である場合は、前記記憶手段により記憶された書籍系コンテンツの表示方向を縦置き表示に固定する表示固定手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37283(P2013−37283A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175037(P2011−175037)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】