説明

農作業機

【課題】本発明の課題は、ローリング軸により農作業部と整地ロータとを共に左右ローリング可能にし、且つ、整地装置の支持構造並びに配置構成を強固でコンパクトに具現する。
【解決手段】昇降リンク装置の後端部に昇降する縦リンク51を備え、縦リンク51に設けた前後方向のローリング軸24を介して左右にローリングする取付フレーム52を縦リンク51の後側に設け、取付フレーム52に着脱する着脱ヒッチを介して農作業部を取付フレーム52の後側に設け、取付フレーム52に支持されて該取付フレームから後側に延びる整地装置支持フレーム54を設け、整地装置支持フレーム54に該整地支持フレームから前側に延びる上下回動アームを連結し、上下回動アームに整地フレーム56を連結して整地装置8を上下回動可能に支持し、前記整地装置支持フレーム54と整地フレーム56が機体側面視で重複して交差するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや田植機等の農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、走行車体の後部に備えた昇降リンク装置によって、圃場面に苗を植え付ける苗植付部と圃場面を整地する整地ロータを支持するようにした構成の苗移植機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−228807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成のものでは、整地ロータが苗植付部の苗タンク裏側の支持フレームに装着支持されたものであるため、苗植付部を機能の異なる別の作業機と交換する場合などには、整地ロータをいちいち取り外さなければならず、整地ロータを車体側に残したままで交換することができない問題があった。
【0005】
本発明の課題は、整地ロータを車体側に残したままで、苗植付部のような農作業部のみを種類の異なる別の作業部と容易に交換することができ、ローリング軸により農作業部と整地ロータとを共に左右ローリング可能にして整地性能及び農作業性能の高揚化を図り、且つ、整地装置の支持構造並びに配置構成を強固でコンパクトに具現化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を設け、該昇降リンク装置の後端部に昇降する縦リンク(51)を備え、縦リンク(51)に設けた前後方向のローリング軸(24)を介して左右にローリングする取付フレーム(52)を縦リンク(51)の後側に設け、取付フレーム(52)に着脱する着脱ヒッチ(53)を介して農作業部(4)を取付フレーム(52)の後側に設け、取付フレーム(52)に支持されて該取付フレームから後側に延びる整地装置支持フレーム(54)を設け、整地装置支持フレーム(54)に該整地支持フレームから前側に延びる上下回動アーム(55)を連結し、上下回動アーム(55)に整地フレーム(56)を連結して整地装置(8)を上下回動可能に支持し、前記整地装置支持フレーム(54)と整地フレーム(56)が機体側面視で重複して交差すべく構成してあることを特徴とする。
【0007】
農作業部(4)は、昇降リンク装置(3)の縦リンク(51)の後部に設けた取付フレーム(52)に着脱ヒッチ(53)を介して装着する。整地装置(8)は、前記取付フレーム(52)に該取付フレーム(52)から後側に延設する整地装置支持フレーム(54)と、整地装置支持フレームから前側に延びる上下回動アーム(55)と、上下回動アームに連結した整地フレーム(56)を介して装着支持する。農作業部と整地装置は、取付フレームに対する別々の支持構成であるため、農作業部を取り外す場合は、整地装置は取り外さなくともそのまま車体側に残した状態で、農作業部のみ簡単に取り外すことができる。
【0008】
農作業部と整地装置は、共通のローリング軸(24)を回動中心として共に左右にローリングする。両者共にローリングすることによって農作業性能及び整地性能が向上する。
整地装置を支持する整地装置支持フレーム(54)と整地フレーム(56)が側面視で重複して交差するようになっているので、整地装置をそれだけ前側寄りに配置することができ、ひいては農作業部も車体側に配置できることになり、機体の前後バランスが良好に保持される。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記整地フレーム(56)の左右には整地装置支持フレーム(54)を配置してあることを特徴とする。
整地フレームの上下動が左右の整地装置支持フレームにより規制案内され、整地装置の上下動が円滑に行える。
【発明の効果】
【0010】
要するに、請求項1の本発明によれば、着脱ヒッチにより整地装置を走行車体側に残したままで農作業部のみを異なる種類のものに交換できる構成としながら、ローリング軸により農作業部と整地装置とを共に左右ローリングさせることができ、農作業性能並びに整地性能が向上する。
【0011】
整地装置を上下動可能に支持する支持構造を上下動のストロークを十分に得ながら強固なものにでき、この支持構造により整地装置を前寄りに配置でき、ひいては農作業部も走行車体側に配置できるので、機体の前後バランスが良好になる。
【0012】
請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果に加えて、整地装置支持フレームにより整地フレームの倒れ防止又は上下動の案内が行え、整地装置の上下動を円滑に行なえる。ひいては、支持構造をコンパクトな構成にでき、軽量化及びコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ポット式苗移植機の側面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】機体後部の要部拡大側面図
【図4】整地装置の支持構造を示す要部の側面図
【図5】着脱ヒッチ機構の要部拡大側面図
【図6】整地装置の支持構造要部の平面図
【図7】苗植付作業部の要部の側面図
【図8】苗箱供給部及び苗箱搬送部の側面図
【図9】苗箱供給の制御ブロック図
【図10】駆動ケースの背断面図
【図11】図10のS1−S1断面図
【図12】制御ブロック図
【図13】フローチャート
【図14】硬軟センサの側面図
【図15】同上平面図
【図16】ローリング制御機構部の背面図
【図17】同上側面図
【図18】施肥装置の要部の側面図
【図19】同上要部の平面図
【図20】同上要部の背面図
【図21】水車マーカ支持構造の要部側面図
【図22】同上要部の側面図
【図23】同上要部の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
農作業機の一例として、図1の側面図に示す苗移植機は、8条植えのポット型苗株移植機であって、操向駆動可能な左右一対の前輪6,6と左右一対の駆動後輪7,7を備えた走行車体1の後側に、上下のリンクで構成されてその後端部にローリング調節部を備える昇降リンク装置3を介してポット式苗植付作業部4が昇降可能に装着され、このポット式苗植付作業部4の下方に設けたフロート5の前方に整地装置8を設ける。
【0015】
整地装置8は、昇降リンク装置3の後端部に取付け、その後方に離れた位置に、昇降リンク装置3からその上下のリンクの延長線上に延びる上下のフレームによる延長フレーム9を介してポット式苗植付作業部4を支持する。そのほかに機体の前側には前輪6,6を操向操舵するステアリングハンドル12、操縦座席13、予備苗載台15、線引きマーカ16等を備え、操縦座席13の後方に施肥装置17を装備する。ステアリングハンドル12近くには、HST(油圧式無断変速装置)を介して走行速を変速制御する変速レバー14が設けられている。
【0016】
(苗植付作業部)
苗植付作業部の各機器について詳細に説明すると、8条植えの構成例によるポット式苗植付作業部4は、その要部拡大側面図を図3に示すように、可撓性を有する苗トレイに格子状配列の多数の育苗ポットを形成してそれぞれに苗を1株づつ収容して苗箱に保持した態様で取扱うために、隣接する2条づつで共用の後下がりに傾斜した上下2段のポット苗箱導入部30,30…が左右並列に4組設けられ、これら各組のポット苗箱導入部30,30…の後端部には、苗箱主搬送路31,31…が接続されて苗箱を移送する搬送部を形成する。
【0017】
各苗箱主搬送路31は、上下2段のポット苗箱導入部30,30から順に1個づつ供給される苗箱を前半は下向きに搬送し、途中から円弧に沿って搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字状に形成され、この苗箱主搬送路31の終端部に接続して、苗取出位置で苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容部38が設けられている。苗箱主搬送路31には、ポット苗箱導入部30にある苗箱を送り出す供給ローラによる苗箱供給装置が備えられ、載置されている苗箱はポット苗箱導入部30,30の底面の空転ローラにより傾斜に沿って自重で後方に滑り落ちる。
【0018】
また、各苗箱主搬送路31に対応して、苗箱を苗箱搬送路に沿って搬送する苗箱送り機構と、搬送路31の下端に位置する苗取出位置において、搬送中の苗箱からポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出機構33、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡でもって搬送する苗搬送機構34、該苗搬送機構から苗を抜き出す苗抜き機構35、該苗抜き機構35によって抜き出される横1列分の半分づつ左右両側に横送りする苗横送り機構36、該苗横送り機構36によって供給される苗を取って圃場に植え付ける苗植付機構37等からなる植付部32が設けられ、さらに、植付部32には駆動ケースや植付伝動フレームが一体に構成され、苗載台支持フレームを介して上下2段のポット苗箱導入部30を支持している。
(整地装置)
整地装置8は、図3に示す実施例では、土塊を破砕して圃場を整地するための前後配置の2つの整地ロータ41,41と、その前後をそれぞれ上方から支持する吊ワイヤ42aと吊リンク42bを備えて構成し、これをポット式苗植付部4の下方位置に高さ調節可能に配置している。
【0019】
吊リンク42bは、昇降リンク装置3の後端部に縦フレーム43を設け、この縦フレーム43から上下の2つのリンク45,46を介して上下動作可能に連結するとともに、揺動動作可能な調節レバー44で高さ調節可能に構成する。調節レバー44は2つの空箱収容部38の間の位置でその揺動範囲との干渉を避けて配置する。
【0020】
この場合において、整地装置8を空箱収容部38の下方位置で、その吊リンク42bをポット式苗植付部4の屈曲形状に沿って並行するように屈曲して構成することにより、ポット式苗植付部4の前側のスペースAを有効に活用することができる上に、リンクを必要以上に延ばさないで構成することができる。また、調節レバー44を空箱収容部38の下に配置した場合は、ホッパの邪魔にならずに開閉が可能となる。
【0021】
上記構成においては、整地装置8は昇降リンク装置3の後端位置に、また、ポット式苗植付作業部4は昇降リンク装置3の後方に延びる延長フレーム9を介した位置に支持されることから、両者は機体後部の昇降リンク装置3により一体に昇降可能に支持されて整地圃場にポット苗の植付けを行うとともに、ポット式苗植付作業部4の前側には、整地装置8との間にメンテナンス用スペースAが確保される。したがって、整地装置8によって多様な圃場条件に対して適用範囲を拡大することができるとともに、ポット式苗植付作業部4の植付装置32の前側のメンテナンス用スペースAにより、その植付部32の異常事態にも即応できてポット苗の植付けの作業能率を確保することができる。
【0022】
次に本発明の特徴点である整地装置の支持構造について説明すると、図4に示すように、走行車体1の後側に設けた昇降リンク装置3の後端部に昇降する縦リンク51を備え、縦リンク51に設けた前後方向のローリング軸24を介して左右にローリングする取付フレーム52を縦リンク51の後側に設けている。取付フレーム52に対して着脱する着脱ヒッチ53及び延長フレーム9を介して農作業部(苗植付作業部)4を取付フレーム52の後側に配設する。また、この取付フレーム52には、該取付フレームから後側に延びる整地装置支持フレーム54,54を整地支持部材57を介して支持させて設け、整地装置支持フレーム54,54に該整装置地支持フレームから前側に延びる上下回動アーム55u,55dを連結し、上下回動アーム55u,55dに整地フレーム56を連結して整地装置8を上下回動可能に支持し、前記整地装置支持フレーム54,54と整地フレーム56が機体側面視で重複して交差するように配置構成している。従って、かかる構成によれば、着脱ヒッチにより整地装置を走行車体側に残したままで苗植付作業部のみを異なる種類の農作業部に交換できるものでありながら、ローリング軸により苗植付作業部と整地装置とを共に左右ローリングさせることができる。また、整地装置を上下動可能に支持する支持構造を上下動のストロークを十分に得ながら強固なものにでき、この支持構造により整地装置を前寄りに配置でき、ひいては農作業部も走行車体側に配置できて、機体の前後バランスが良好に行えるものとなる。
【0023】
そして、前記整地フレーム56の左右位置には、これに接近して整地装置支持フレーム54,54を配置することによって、整地フレーム56の上下動が左右の整地装置支持フレームによりガイドされ、整地装置の上下動が円滑に行えるように構成している。
【0024】
ポット式苗植付作業部の全体構成について更に詳しく説明すると、苗植付作業部4の昇降操作は、変速レバー14の握り部に設けた植付・昇降スイッチ10の操作に基づいて手動操作できるように構成され、昇降用電磁油圧バルブ27を介して伸縮作動する昇降用油圧シリンダ26によって苗植付作業部4が上下に昇降する構成である。なお、苗植付作業部の対地高さ制御は、フロートセンサ11が圃場表土面の凹凸を検出し、制御部19にて苗植付作業部の対地高さを表土面の高低に応じて昇降制御し、苗植付深さを一定に維持するように構成している。
【0025】
上下2段の苗箱供給部30が左右並列に4組設けられ、これら各組の苗箱供給部の終端部に苗箱主搬送部31が接続されている。苗箱主搬送部31の終端部に接続して、後記苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容部38が設けられている。空箱ガイドレール39aと39bとの繋ぎ目に対応する部位には、空箱を上側から案内するガイド体40が設けられ、苗箱の周回移動が円滑に行われるように構成している。
【0026】
苗箱導入部30の底面には空転ローラ20…が設けられていて、載置されている苗箱が自重で後方に滑り落ちるようになっている。各苗箱導入部30の後端部には、苗箱種搬送部31の搬送路へ苗箱を供給する供給装置29として、苗箱の左右縁を把持して苗箱を主搬送部側に繰り出す左右各一対の供給ローラ21,22と、該供給ローラの前方に位置し、外周部に形成された突起がポットとポットの隙間に下側から係合して苗箱を送る幅広の送りローラ23とが設けられている。上下苗箱供給部の下側供給ローラ22及び送りローラ23は、それぞれモータM1,M2によって回転駆動される。
【0027】
駆動ケース47aと一体のフレーム47bの下側から植付伝動フレーム47cが後方に延出され、駆動ケース47aの上面には苗載台支持フレーム47dが固着され、苗箱導入部30を支持している。ローリング軸24は、植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回動自在に軸受けされ、整地装置及び植付部全体がローリング自在に支持されている。植付部全体はローリングセンサ(左右傾斜角センサ)28の検出値に基づき、この検出値が設定値に維持されるように制御装置(コントローラ)からの信号によりローリングモータ25を正逆転駆動することで、ローリング軸24回りに左右ローリング制御されるようになっている。
【0028】
苗箱送り機構は、左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61とからなり、これらの作動により、苗箱搬送路31の31に沿って苗箱がポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られるようになっている。送り爪60,60及び係止爪61,61の搬送上手側には苗箱搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗箱を一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0029】
苗箱送りカム65の回転により、苗箱送り作動アーム66が揺動し、苗箱送り駆動軸69を介して苗箱送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。カム65がローラ67を押す時に送り爪60,60が下動して苗箱を送るようになっている。カム65を伝動回転する伝動軸64には、これと一体的に回転する筒体64aに外部操作によって伝動を入り切りする定位置停止用クラッチ64bが設けられている。
【0030】
また、図7に示すように、苗搬送装置34は、苗押し出しピンにより苗箱から押し出される苗の床土部を保持する苗ホルダー83を備えている。この苗ホルダー83は、上下の揺動リンク84,85に連結された支持部材86に固定されており、揺動リンク84,85の揺動により、円弧軌跡を描いて往復動するようになっている。更に、苗ホルダー83は、苗植付時において、植付クラッチ又は畦クラッチ64bを切った時の苗ホルダーの停止位置が下死点付近の位相で停止し、且つ苗を取りに行く方向で洗浄ノズル89から噴水される噴水圏(イ)内にあって停止するようになっている。
【0031】
更に、図7において、苗植付装置37は、植付駆動軸100と一体回転する回転ケース101に一対の苗植込具102,102が取り付けられ、この苗植込具が閉ループの軌跡を描いて移動し、苗を交互に一株づつ取って圃場に植え付けるようにしている。
【0032】
図8に示す構成例において、苗箱検出センサSW1〜SW7は、図9に示すように、コントローラに接続されていて、各センサからの情報に基づきコントローラ72がモータM1,M2、苗減少ランプ及び苗減少ブザーに出力する。モータM1又はM2の作動により、苗箱供給部にある苗箱が主搬送部の所定位置に繰り出されるものであるが、このとき、モータM1又はM2が所定時間以上作動しても、苗箱が所定位置まで送られて来ない場合には、苗箱検出センサW3がOFF作動し、苗箱送り不良警報装置BZに出力してオペレータに告知するようにしている。
【0033】
苗箱の自動供給装置において、上段搬送路と下段搬送路を送るモータMI,M2の作動時には、車速が所定の速度より少し遅くなるようにコントローラ72が変速モータ74(HST操作)に出力して制御する構成になっている。 苗箱供給時に車速が速いと車体の揺れによって苗箱供給が不安定となる問題があるが、車速を遅くすることによって苗箱自動供給が安定し精度が向上する。
【0034】
なお、前記変速モータ74は、通常は変速レバー14の操作で、変速レバーセンサ73の検知結果に基づき駆動され、車速が任意変速制御されるようになっている。
操縦座席13の左右両側には畦クラッチレバー75が設けられている。畦クラッチレバー75の操作で、畦クラッチを「切り」にし、その後、植付クラッチを「切」にして、再度、植付クラッチを「入」にすると、植付部の苗植込具102が1行程回った後、機体が走行発進するように構成している。つまり、図12及び図13に示すように、畦クラッチ「切」により、畦クラッチレバーセンサ76が畦クラッチ「切」を検出し、植付クラッチモータ77の作動により植付クラッチを「切」にし、そして、再度、植付クラッチモータ77の作動で植付クラッチ「入」にすると、走行クラッチモータ78へ走行停止出力し、植付伝動軸回転センサ79が植付伝動軸回転カウントを開始すると共に、植付伝動軸回転カウントが所定値に達すると、走行クラッチモータ78へ走行出力し、走行クラッチの「入」作動により機体が発進するように構成することで、走行しながらの植付作業が欠株なく行える。
【0035】
ステアリングハンドル12の操作ボックス部に植じまいモードスイッチ80が設けられ、苗植付作業部4の下方には、植じまいモードを備えた表土面検出用の硬軟センサ81が設けられている。硬軟検出センサ80は、図14、図15に示すように、異径の大小検出ローラ80A,80Bと、軸芯Q回りに上下回動可能なローラアーム80A1,80B1と、両アーム80A1,80B1の角度差を検出するアーム角度差検出ポテンショメータ80Cとからなり、そして、小径の検出ローラ80B側が表土面に接して転動しながら表土面を検出するようになっており、この表土面の検出結果に基づき、植付部を昇降制御する構成としている。
【0036】
次に、ローリング制御機構の構成例について説明する。図16、図17に示すように、ローリングモータ25は、支持枠90上部の支持板90aに装着支持され、ローリングモータ25の駆動軸91の先端に小径の駆動ギヤ91aが正逆回転駆動可能に装着されている。一方、支持板90a側には、前記駆動ギヤ91aと噛合する大径の従動ギヤ91bが軸91cにて回動自在に枢支されている。そして、前記従動ギヤ91bにローリング駆動ピン91dの基端部が固定されており、その先端部は、支持板90a側に支架された枢支軸91c回りに揺動変位可能な回動アーム92の長穴92aに嵌合している。そして、回動アーム92の揺動先端部には、左右引張バネ93,93の一端が係止され、左右引張バネ93,93の他端は苗植付作業部4側フレーム4aに止着している。しかして、ローリングモータ25の正逆転駆動によって、回動アーム92がイ−ロ方向に揺動し、バネ93,93を介して苗植付作業部4を走行車体に対してローリング軸24回りにローリング作動できるようにしている。
【0037】
苗植付作業部の左右ローリング制御において、マーカ16の作用側〔未植側〕とは反対側(既植側)に位置するフロート5がやや上がるようにローリングの基準値を変化させる制御手段をとることで、既植側の隣接条への泥押しを防ぐことができる。
【0038】
左右のマーカ16,16は、マーカ自動入切スイッチ94を「入」操作し、旋回時にハンドル切れ角センサ95によるセンサ値が所定の旋回角を超えると、操舵方向側の左マーカモータ96L(又は右マーカモータ96R)の作動によって未植側のマーカ16(左又は右)が起立状態から線引き作用状態位置へ自動的に転倒するようになっている。このような左右マーカの起立・転倒切替に連動させれば、上記既植側のフロートが未植側のそれよりもやや上がりぎみとなるローリング制御が可能となり、間違いなく的確に行える。
【0039】
マーカ跡がつかないような軟弱な圃場の場合には、圃場の東西又は南北の枕地において機体幅つまり、植付部の苗植付幅毎に1株分づつ苗を植え付けておき、南北(又は東西)方向の植付行程での目印とすることができる。その手段は、図12に示す目印植付スイッチ82の「入」操作で行い、後輪伝動軸回転数センサ97が走行距離をカウントし、例えば、8条植えの場合は、8条×株間30cm=240cm(又は往復距離2倍の480cm)間隔おきに植付クラッチ(1回転クラッチ)を入り切り作動させて1株分づつ植え付けていくように制御部19で制御する構成とすればよい。
【0040】
施肥装置17は、肥料ホッパ105に貯留されている粒状の肥料を繰出部106によって繰出し、その肥料を施肥ホース107でフロートの左右両側に設けられた施肥ガイドまで導き、苗植付条の側部近傍に落とし込むようになっている。施肥ブロア108で発生するエアがエアチャンバ109を経由して施肥ホース107に吹き込まれ、施肥ホース107内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。そして、施肥ブロア108の吸入フード110内には、電熱線シート111が吸入抵抗にならないフード底面に設けられている。このように電熱線がフード底面位置では吸入抵抗がなくなるため、ブロアの送風効率が向上する。
【0041】
水車マーカの支持構造について説明する(図21〜図23参照)。水車マーカ17は、マーカを倒す支点越えスプリング114をマーカ支持部112と支持ステー113の下部に設けることにより、マーカを引き上げると支点Pを越える支点越えによりマーカが収納位置となるよう構成している。マーカロッド112aと112bはピン軸115で連結支持し、押圧バネ116を介して締付保持する構成としている。これにより、左右マーカを共用化でき、路面の凹凸による外力が加わっても押圧バネの収縮により外力を吸収できる。また、前記ピン軸115は、マーカロッド112aを挿通する部分を小径とし、ロッド112bを挿通する部分は大径とすると共に、途中部にテーパ部を設けて、両ロッドを押圧バネを介してナットにより締付支持する構成としている。
【符号の説明】
【0042】
1 走行車体
3 昇降リンク装置
4 農作業部(苗植付作業部)
8 整地装置
51 縦リンク
52 取付フレーム
53 着脱ヒッチ
54 整地装置支持フレーム
55u 上下回動アーム(上)
55d 上下回動アーム(下)
56 整地フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を設け、該昇降リンク装置の後端部に昇降する縦リンク(51)を備え、縦リンク(51)に設けた前後方向のローリング軸(24)を介して左右にローリングする取付フレーム(52)を縦リンク(51)の後側に設け、取付フレーム(52)に着脱する着脱ヒッチ(53)を介して農作業部(4)を取付フレーム(52)の後側に設け、取付フレーム(52)に支持されて該取付フレームから後側に延びる整地装置支持フレーム(54)を設け、整地装置支持フレーム(54)に該整地支持フレームから前側に延びる上下回動アーム(55)を連結し、上下回動アーム(55)に整地フレーム(56)を連結して整地装置(8)を上下回動可能に支持し、前記整地装置支持フレーム(54)と整地フレーム(56)が機体側面視で重複して交差すべく構成してあることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記整地フレーム(56)の左右には整地装置支持フレーム(54)を配置してあることを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−207144(P2010−207144A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56731(P2009−56731)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】