農用資材供給装置
【課題】駆動部材の支持形態に簡単な改良を施すことによって、駆動部材の大型化を招来せずに、繰出し量の調節範囲の拡大を図ることのできる農用資材供給装置を提供する。
【解決手段】貯留した肥料を繰出しケース20から所定位置に供給する肥料繰出し部21を備え、肥料繰出し部21を駆動する駆動部材61を設け、駆動部材61の出力部61Bの駆動ストロークの大小によって、肥料繰出し部21の肥料供給量の大小を設定すべく構成する。駆動部材61の出力部61Bを肥料繰出し部21に連係し、駆動部材61の入力部61Aと出力部61Bとの間に揺動支点68を設け、揺動支点68の位置を駆動部材61の長手方向に沿って変更して駆動部材61を駆動揺動すべく、揺動支点位置変更手段Aを設けてある。
【解決手段】貯留した肥料を繰出しケース20から所定位置に供給する肥料繰出し部21を備え、肥料繰出し部21を駆動する駆動部材61を設け、駆動部材61の出力部61Bの駆動ストロークの大小によって、肥料繰出し部21の肥料供給量の大小を設定すべく構成する。駆動部材61の出力部61Bを肥料繰出し部21に連係し、駆動部材61の入力部61Aと出力部61Bとの間に揺動支点68を設け、揺動支点68の位置を駆動部材61の長手方向に沿って変更して駆動部材61を駆動揺動すべく、揺動支点位置変更手段Aを設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用資材としての肥料や薬剤を圃場などの適所へ供給するための施肥装置や、農用資材としての種子を直播するための播種装置等の農用資材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種農用資材供給装置として、田植機に搭載した施肥装置がある。この施肥装置にあっては、ミッションケース(公報内番号:10)から後方に延出されたPTO軸(公報内番号:45)の後端に設けたクランク駆動アーム(公報内番号:49)と、機体側に搭載された肥料を繰出す繰出し機構(公報内番号:22)を駆動する駆動部材としての操作アーム(公報内番号:47)とを、連係ロッド(公報内番号:48)で連係する構成を採っている。
これによって、操作アームを連係ロッドで駆動揺動することによって、繰出し機構を駆動して、肥料を繰出す構成を採っていた。
そして、操作アームと連係ロッドとの連係位置を、その操作アームの長手方向に沿って変更できるように、操作アームの下面に位置決め用の凹部(公報内番号:74)が複数箇所に形成されており、連係位置の変更によって、操作アームの駆動ストロークを変更し、繰出し量を変更調節していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−267615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成によって、繰出し量の変更調節は可能になっているが、調節範囲を更に拡大しようとする場合には、操作アームの揺動支点からの長さを長くする必要がある。
しかし、操作アームの長さを長くするには、部材強度を向上させ大型化する必要があるが、操作アームとしては過剰な品質となる高価な材料を使用する必要があり、操作アームの長さを長くするにも採り得る限界がある。
一方、PTO軸に取り付けたクランク機構の駆動ストロークを可変する構造のものにするには、例えばクランク機構が機体フレームの下方に位置する等の理由により、可変調整操作がやり難い面があり、クランク機構の可変調節化も採用し難い面があった。
【0005】
本発明の目的は、駆動部材の支持形態に簡単な改良を施すことによって、駆動部材の大型化を招来せずに、繰出し量の調節範囲の拡大を図ることのできる農用資材供給装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、貯留した農用資材を貯留部から所定位置に供給する供給機構を備えた農用資材供給装置において、前記供給機構を駆動する駆動部材を設け、前記駆動部材の出力部の駆動ストロークの大小によって、前記供給機構の農用資材供給量の大小を設定すべく構成し、前記駆動部材の出力部を前記供給機構に連係し、前記駆動部材の入力部と前記出力部との間に揺動支点を設け、前記揺動支点の位置を前記駆動部材の長手方向に沿って変更して前記駆動部材を駆動揺動すべく、揺動支点位置変更手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
揺動支点位置変更手段で駆動部材の揺動支点位置を変更すると、駆動部材における入力部から揺動支点までの入力側リンク長さと、揺動支点から出力部までの出力側リンク長さとの比が変わる。それによって、入力部のストロークに対する出力部の駆動ストロークが変わる。
しかも、揺動支点位置を変更することによって、入力側リンク長が変わるだけでなく、出力側リンク長も変動するので、リンク比の範囲を、背景技術に記載のように揺動アームの長さ(入力側リンク長に対応)を変更するだけのものに比べて大きく採ることができ、駆動部材の出力部の駆動ストロークの調節範囲を大きくできる。
【0008】
〔効果〕
このように、駆動部材自体の大型化を回避し長さを変更せずに、駆動部材の駆動ストロークの調節範囲を大きくでき、要求される農用資材の繰出し調節を容易に行えるようになった。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置が前記出力部に極近接する位置まで移動できるように構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
駆動部材の揺動支点位置を出力部に極近接する位置に位置させることができるので、揺動支点から出力部までのリンク長さが極短くなり、出力部の駆動ストロークが略ゼロに近いものとなる。
これによって、入力部への動力伝達を断つことなく、繰出し機構を実質的に駆動しない状態を現出することが可能となり、繰出し機構の適用性を向上させることができる。
【0011】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置を移動させる移動部材とその移動部材を駆動する調節操作具とで構成し、前記調節操作具を前記移動部材との連係を断って取り外し可能に、又は、折り畳み収納可能に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
駆動部材の揺動支点位置を操作する調節操作具を取り外し、又は、折り畳み可能に構成してあるので、農用資材を繰出して作業を行っている場合には、調節操作具を取外すことによって、その調節操作具が邪魔になることが少なく、取り扱い性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】施肥装置付き乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】施肥装置付き乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】施肥装置を示す背面図である。
【図4】肥料繰出し部への動力供給構造と駆動部材の揺動支点位置変更手段を示す側面図である。
【図5】駆動部材の揺動支点位置変更手段を示す側面図である。
【図6】駆動部材と第1連係ロッドとの連係構造を示す正面図である。
【図7】駆動部材と第1連係ロッドとの連係構造を示す一部切り欠き正面図である。
【図8】上下繰出しケース、及び、それらのフランジ接合部位に設けてある、繰出し軸、繰出しロール、中間ボス部、キー部材等を示す縦断側面図である。
【図9】上下繰出しケース、及び、それらのフランジ接合部位に設けてある、繰出し軸、繰出しロール、中間ボス部、キー部材等を示す縦断正面図である。
【図10】(a)上下繰出しケースを組み合わせた状態を示す側面図、(b)下繰出しケースを分離した状態を示す側面図である。
【図11】上繰出しケースの縦断側面図と下繰出しケースを示す平面図である。
【図12】別実施例に係る、肥料繰出し部への動力供給構造と駆動部材の揺動支点位置変更手段を示す背面図である。
【図13】図12における側面図である。
【図14】図13における揺動支点位置変更手段の拡大縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪11及び左右一対の後輪12を備えた走行機体1の車体フレーム10の前部側に、エンジン13及びミッションケース14を備え、走行機体1の中央部にステアリングハンドル等を装備した操縦部15と運転座席16とを設け、走行機体1を構成する車体フレーム10の後部には農用資材としての肥料を供給する供給装置の一例である施肥装置2が配置されている。
【0015】
エンジン13の左右両側、及び操縦部15と運転座席16との間、ならびに、運転座席16の左右両側には、ほぼ平坦なステップ部分を有した運転部ステップ17が設けられ、この運転部ステップ17のさらに外側でエンジン13の配設箇所と対向する左右箇所に予備苗のせ台18が配設されている。
走行機体1の後方には、リフトシリンダ19aを備えたリンク機構19を昇降操作自在に連結して、リンク機構19に苗植付装置4を装着して、施肥装置2を搭載した乗用型田植機を構成してある。
【0016】
〔施肥装置〕
施肥装置2は、肥料を貯留する透明樹脂製の繰出しケース20と、その繰出しケース20の下側に配置された4個の供給機構としての肥料繰出し部21とを備え、これらの繰出しケース20および肥料繰出し部21は、図1,3,4に示すように、走行機体1の後部で、運転座席16の後側近くにおいて車体フレーム10の上部に設けた支持枠22によって支持されている。肥料繰出し部21から繰出された肥料は、起風手段による風量で肥料搬送経路を通して苗植付装置4側に取付けた供給部としての作溝器45より圃場に供給されるように構成されている。
【0017】
支持枠22は、車体フレーム10の左右一対のメインフレーム10A上に立設された左右一対のブロワ支持板22aと、そのブロワ支持板22aの上側に立設した支柱22bと、左右の支柱22bの上端側に掛け渡された横長フレーム22cとで構成される。ブロワ支持板22aの後端側には、苗植付装置4を昇降自在に装着するためのリンク機構19の一端側が連結されている。
【0018】
図8及び図9に示すように、肥料繰出し部21は、外周に肥料入込み用の凹部23aが周方向に沿って多数形成された繰出しロール23を、繰出しケース20の肥料繰出し口20Cの下方で、かつ、漏斗部20Dの上方に回転可能に配置してある。
尚、図中の符号23bは、繰出しロール23の周面に摺接して、すり切り作用するブラシである。
【0019】
これにより、繰出しケース20から繰出しロール23の凹部23aに肥料が入り込み、繰出し軸26の間欠的な回転により肥料が漏斗部20Dに繰出される。そして、後述する起風手段の電動ブロア30からの高圧の風が、送風ダクト装置31を介して漏斗部20Dに供給され、高圧の風により肥料が肥料搬送管46を通って作溝器45に迅速に供給され、作溝器45により田面に形成された溝に肥料が送り込まれて施肥作業が行われるのである。
【0020】
図8に示すように、繰出しケース20の肥料繰出し口20Cの肥料繰出し部21の前側に形成した肥料排出口25内に切換板28が横軸芯周りに揺動操作自在に支持されており、切換板28の下側から排出ホース29が下方に延出されている。通常の苗の植付作業時には、切換板28は図8の実線で示す閉姿勢に操作されており、繰出しケース20からの肥料は漏斗部20Dに繰出される。通常の苗の植付作業を終了した場合等において、電動ブロア30及び苗植付装置4の駆動(具体的にはPTO軸57の駆動)を停止させた状態で、切換板28を開姿勢に操作すると、繰出しケース20に残った肥料が排出ホース29に入って排出される。
【0021】
〔起風手段〕
施肥装置2から繰出された肥料を風力で苗植付装置4側へ搬送するための起風手段は次のように構成されている。
図1及び図3に示すように、左右一対のブロワ支持板22aにわたって支持させ、電動モータ30Aによって駆動される電動ブロワ30と、その電動ブロワ30に外気を導入し、搬送風を流動させる送風ダクト装置31とを備えている。そして、送風ダクト装置31は、電動ブロワ30に外気を導入供給するための吸気部32と、電動ブロワ30の出口管側に接続されて、電動ブロワ30により生起された風を各漏斗部20Dに供給するためのパイプ状の送気部33とで構成されている。
【0022】
吸気部32は、図2及び図3に示すように、電動ブロワ30の車体横外向きの吸気口に基端側を接続し、先端側にエンジン13の横側部近くで、マフラー9の後方箇所に吸気口32aを位置させた状態で配設されており、エンジン13周りの熱気やマフラー9の排熱を吸引するようにしてある。
電動ブロワ30の排気口側に接続される送気部33は、下流側が左右に分岐された二股状の分岐接続管34と、この分岐接続管34の端部に接続されて車体横向きに配設された横向き送風管35とで構成され、横向き送風管35の長手方向複数箇所には、後述する苗植付装置4の各肥料供給箇所へ肥料を送出するための、多数の分岐用吐出管36が設けられている。
【0023】
〔苗植付装置〕
図1及び図4に示すように、苗植付装置4は6条植えに構成されており、3個の植付伝動ケース40、植付伝動ケース40の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース41、回転ケース41の両端に配備される一対の植付爪42、3個の接地フロート43、及び苗のせ台44等によって構成してある。
施肥装置2から苗植付装置4への肥料供給経路のうち、苗植付装置4に至っている端部は、各苗植付爪42による苗植付け箇所の横側付近に一個ずつ位置するように配置して接地フロート43に取付けた複数個の作溝器45に各別に接続されるものである。
具体的には、起風手段の多数の分岐用吐出管36に対して、苗植付装置4側の作溝器45に接続している肥料搬送管46が各別に接続されている。
【0024】
繰出しケース20の分割構造について説明する。図10に示すように、繰出しケース20を、繰出し軸26の軸線Zを基準にして、上繰出しケース20Aと下繰出しケース20Bとを分割可能に構成してある。上下繰出しケース20A、20Bを組み付ける構成は次のようになっている。
【0025】
つまり、図10及び図11に示すように、上繰出しケース20Aの下端位置に四角形のフランジ部20aを形成し、フランジ部20aにおける繰出し軸26の軸線Zを挟んで一方の長辺部の両端に板状のブラケット部20bを設けてある。ブラケット部20bは、下向きに折れ曲がる形状に形成してあり、中抜き状の係合孔20cが設けてある。中抜き状の係合孔20cを囲む状態で枠フレームが形成され、枠フレームの下端部に後記する係合片20fを係止載置する下端受けフレーム部分20dが形成してある。
【0026】
一方、図10及び図11に示すように、下繰出しケース20Bの上端位置に四角形のフランジ部20eを形成し、フランジ部20eにおける繰出し軸26の軸線Zを挟んで一方の長辺部の両端に板状の係合片20fを突設してある。係合片20fの下面には、上向きに凹入する凹入載置面20gが形成してあり、係合片20fが下端受フレーム部分20dに載置された際に、係合状態が安定するような機構が付与されている。
尚、上下繰出しケース20A、20Bの閉じ状態を維持するロック具20Eを、下繰出しケース20Bの漏斗部20Dに揺動自在に取り付けてある。ロック具20Eは、ロック係止部20hを上繰出しケース20Aのフランジ部20aに係合させて、ロック状態を維持する。
【0027】
以上のような構成によって、上下繰出しケース20A、20Bを組み付けるには、図10(b)に示すように、下繰出しケース20Bの係合片20fを上繰出しケース20Aのブラケット部20bの係合孔20c内に差し込むことによって、係合片20fをフランジ部20dに係合させることができ、図10(a)に示すように、下繰出しケース20Bを持ち上げてフランジ部20a、20eを重ね合わせることによって、下繰出しケース20Bを上繰出しケース20Aに組み付けることができる。
【0028】
従来は、上下繰出しケース20A、20Bを連結しながら、下繰出しケース20Bをメインテナンスの為に下方に開放作動させるべく、下繰出しケース20Bの揺動支点位置に連結ピンを設けていた。
このような構成を採る場合には、連結ピンとしての耐久性が得がたく、下繰出しケース20Bを上繰出しケース20Aから取り外す際には、連結ピンを取り外す必要があった。
これに対して、上記したように、ブラケット部20bと係合片20fとの係合構造を構築することによって、連結ピンのような破損しやすい部品を使用する必要がなく、下繰出しケース20Bを上繰出しケース20Aから取り外す場合にも係合片20fをブラケット部20bから抜き出すだけでよく、着脱操作も容易に行える。
【0029】
次に、左右一対装備される繰出しロール23の駆動選択構造について説明する。図4及び図6に示すように、肥料繰出し部21に、PTO軸57から動力伝達を受ける駆動軸55と平行な繰出し軸26を繰出しケース20の漏斗部20Dの下部所定位置に貫通支持して設けてある。
【0030】
繰出し軸26は、図6及び図9に示すように、駆動軸55から動力伝達を受けるギヤ機構を構成する大径の受動ギヤ部26Aと、受動ギヤ部26Aに連なる筒状保持部26Bと、長尺の軸状部26Cとで形成されている。受動ギヤ部26Aから筒状保持部26B、軸状部26Cに掛けての内部空間内には、孔部が設けてあり、孔部は、受動ギヤ部26Aに形成してある大径孔部26a、筒状保持部26Bに設けてある中径孔部26b、軸状部26Cに設けてある小径孔部26cとで構成してある。
受動ギヤ部26Aとは反対側端部に止めネジ27をネジ込み固定するネジ込み穴26dを形成してある。
この孔部に対して動力伝達用のキー部材74を挿入取付すべく構成してある。
【0031】
次に、繰出しロール23を装備し、繰出し軸26に外嵌装着される中間ボス体75について説明する。図9に示すように、中間ボス体75は左右一対の同一仕様のものであり、突合せ状態で設置される。中間ボス体75は、大径筒状部75Aと小径筒状部75Bとで構成してあり、受動ギヤ部側に位置する中間ボス体75では、繰出し軸26の筒状保持部26Bを内嵌保持する大径保持孔75aと繰出し軸26の軸状部26Cを内嵌保持する小径保持孔75bとを連続形成してある。受動ギヤ部側とは反対側端部に位置する中間ボス体75では、繰出し軸26の軸状部26Cを内嵌保持する小径保持孔75bを形成してある。
一対の中間ボス体75は、上下繰出しケース20A、20Bの左右両端に形成されるボス部20Fに支持されており、支持位置より内側にシール20Gを装着してある。
【0032】
そして、一対の中間ボス体75の突合せ端部の小径保持孔75bの内周面に、それぞれ、突合せ端部から一定長さだけ奥に入り込むキー溝75cを形成してある。また、受動ギヤ部側に位置する中間ボス体75の小径保持孔75bの内周面に、位置決め用のスプリングボール機構75dが設けてある。
【0033】
キー部材74について説明する。図9に示すように、キー部材74は、長尺の棒状部材であり、手元側に大径の円盤状の摘み部74Aと、摘み部74Aの先端側に棒状の支持部74Bと、支持部74Bの更に先端側に半円弧状の位置決め部74Cと、位置決め部74Cの先端にキー溝75cへの係合部74Dを設けてある。摘み部74Aと支持部74Bとの間には、位置決めのための表示部74a、74b、74cが軸線方向に3箇所設けてある。この表示部74a、74b、74cに対応して位置決め部74Cの下向き面に3つの係合穴74d、74e、74fが軸線方向に設けてあり、この係合穴74d、74e、74fにスプリングボール機構75dのボールを係合すべく構成してある。
【0034】
以上のような構成になる繰出しロール23の支持用孔23A内に、夫々、中間ボス体75の小径筒状部75Bを内嵌して、繰出しロール23と中間ボス体75とを、夫々、一体回転可能に組み付ける。中間ボス体75の大径筒状部75Aを、後記するように上下二つ割り構成を採る繰出しケース20のボス部20Fに挿入載置する。一対の中間ボス体75の大径保持孔75aと小径保持孔75b内にキー部材74を挿入する。キー部材74を挿入した状態で、係合部74Dが中間ボス体75のキー溝75cに係合し、位置決め部74Cがスプリングボール機構75dと係合可能な位置に位置決めされる。
【0035】
中間ボス体75に繰出し軸26を所定位置に内装した状態で、繰出し軸26における受動ギヤ側とは反対側端の中間ボス体75の大径筒状部75Aの開口部分に栓部材76を嵌着し、止めネジ27で栓部材76と繰出し軸26とを止め付け固定して、中間ボス体75に繰出し軸26を抜止固定している。
【0036】
キー部材74の操作方法を説明する。図9に示すように、繰出しケース20内に装着した状態で一対の中間ボス体75は、キー溝75cを形成した端部同士をつき合わせる状態で配置されており、そのキー溝75c部分にキー部材74の係合部74Dが係合する。
そこで、摘み部74Aから最も遠い位置に設けられている表示部74cを受動ギヤ部26Aの端部に対応する位置に合わせて、係合部74Dを受動ギヤ側の中間ボス体75のキー溝75cのみに係合させた場合には、受動ギヤ部26Aを介して繰出し軸26に伝達された動力は、キー部材74、受動ギヤ側の中間ボス体75を介して受動ギヤ側に位置する繰出しロール23のみに伝達される。この場合に、係合穴74fにスプリングボール機構75dのボールが係合して、キー部材74の位置決めが維持されている。
【0037】
キー部材74の摘み部74Aを持って一段押し込み、図9に示すように、中間に位置する表示部74bを受動ギヤ部26Aの端部に対応する位置に合わせて、係合部74Dを両中間ボス体75のキー溝75cに係合させた場合には、受動ギヤ部26Aを介して繰出し軸26に伝達された動力は、キー部材74、両中間ボス体75を介して両繰出しロール23に伝達される。この場合に、係合穴74eにスプリングボール機構75dのボールが係合して、キー部材74の位置決めが維持されている。
【0038】
キー部材74の摘み部74Aを持って更に一段押し込み、摘み部74Aに最も近い位置に設けられている表示部74aを受動ギヤ部26Aの端部に対応する位置に合わせて、係合部74Dを受動ギヤ部26Aとは反対側に位置する中間ボス体75のキー溝75cのみに係合させた場合には、受動ギヤ部26Aを介して繰出し軸26に伝達された動力は、キー部材74、受動ギヤ部26Aとは反対側に位置する中間ボス体75を介して、受動ギヤ部26Aとは反対側に位置する繰出しロール23に伝達される。この場合に、係合穴74dにスプリングボール機構75dのボールが係合して、キー部材74の位置決めが維持されている。
【0039】
以上のように、キー部材74を中間ボス体75に対して出し入れすることによって、繰出しロール23の一方のみを駆動して肥料を施す圃面を限定して繰出す状態と、繰出しロール23の両方を駆動して肥料を施す圃面を広範に広げて繰出す状態とに切換えることのできる、切換機構を構成することができた。
【0040】
従来は、繰出し量の調節を行うのに、肥料入り込み用の凹部23aを個々に覆うリボン状のシャッターを設け、肥料入り込み用の凹部23aの一部又は前部を閉口して肥料の投入を阻止して圃面への肥料の供給を調節する構成を採っていた。そして、閉塞状態でシャッターを繰出しケース20から引き出すことによって、肥料入り込み用の凹部23aを開口して肥料を投入して圃面に繰出すように、繰出し切換機構を構成していた。
【0041】
シャッターを使用した構成のために、次のような課題が提示されていた。つまり、繰出しロール23は駆動状態を維持されているために、シャッターを閉じ操作した場合であっても、肥料の繰出しが直ぐには停止できない虞がある。
また、肥料で満たされている中でシャッターを抜き差しする必要があるので、シャッターの抜き差し操作が容易でなく、円滑な操作性が確保できなかった。
【0042】
これに対して、キー部材74を使用して繰出し量の調節を行うようになっているので、キー部材74の切換えを行うと、直ぐに、繰出しが停止する。また、キー部材74は繰出し軸26の軸内に装着してあるので、貯留肥料の荷重を受けることなく、出退操作が行え、操作が容易に行える。
シャッターを必要としないので、部品点数の削減ができる。
【0043】
肥料繰出し部21への動力伝達構造は次のようになっている。図3〜図5に示すように、ミッションケース14から苗植付装置4に動力を伝達するように後方へ延出されたPTO軸57から、動力を取り出す回転アーム58の回転運動を受けて、上下動すべく回転アーム58の偏芯位置に連係された第1連係ロッド59を設けてある。横向き支点X周りで
天秤揺動するチャンネル状の駆動部材61を設け、駆動部材61の一端に形成された入力部61Aに第1連係ロッド59の上端を連結してある。駆動部材61における横向き支点Xを挟んで反対側端の出力部61Bから上方に第2連係ロッド62を延出して、ワンウエ
イクラッチ60の入力アーム60Aに連係してある。ワンウェイクラッチ60により回転運動に変換された動力は、駆動軸55からギヤ機構を介して繰出し軸26に伝達される。
【0044】
図6及び図7に示すように、駆動部材61の入力部61Aには、駆動部材61における一対の側板部61Cを貫通する横向き連結ピン69が装着されるとともに、連結ピン69の下面にチャンネル状のブラケット70が取り付け固定され、ブラケット70の一対の側板部に亘って架設される連結ピン70Aに、第1連係ロッド59の上端ボス部59Aが外嵌装着されている。
【0045】
図4及び図5に示すように、支持枠22における肥料繰出し部21を支持する横長フレーム22cの左右端から夫々下方に向けて左右支持フレーム66A、66Bが延出されており、右支持フレーム66Bの下端部66bと、駆動部材61の入力部61Aに貫通支承してある連結ピン69とに亘って、位置決めロッド73が設けてある。
つまり、位置決めロッド73の両端に取付用ボス部73A、73Bを形成し、一方の取付用ボス部73Aを駆動部材61の入力部61Aに設けた連結ピン69に外嵌装着し、他方の取付用ボス部73Bを右支持フレーム66Bの下端部66bの取付ピン66cに外嵌装着して、位置決めロッド73で駆動部材61の第1連係ロッド59との連係位置が変動しない状態に構成してある。
【0046】
次に、揺動支点位置変更手段Aについて説明する。図4及び図6に示すように、揺動支点位置変更手段Aは、天秤揺動する駆動部材61の揺動支点を位置変更調節するものである。
ネジ溝63Aを形成した送り軸63と、送り軸63の軸線方向に沿って往復移動する往復移動部材64と、送り軸63における右支持フレーム66Bより延出された細径部63Bに着脱自在に装着される調節操作具65とで構成してある。
【0047】
送り軸63は、横長フレーム22cの左右端から夫々下方に向けて延出された左右支持フレーム66A、66Bに亘って架設され、左右支持フレーム66A、66Bの下端ボス部66a、66bに保持されたベアリング67を介して、自身の軸芯Y周りで回動自在に支持されている。
【0048】
往復移動部材64は、送り軸63に移動自在に外嵌された円筒状のホルダー部64Aとホルダー部64Aから下方に向けて延出されたチャンネル状の吊り下げ部材64Bとで構成される。吊り下げ部材64Bは、左右に一定間隔を保持した一対の下端板部64aを形成し、その下端板部64aを駆動部材61の左右両側面に跨る状態で外嵌してある。
【0049】
図4及び図7に示すように、駆動部材61の一対の側板部61Cに、夫々、その側板部61Cの長手方向に沿った長孔61aを形成し、この長孔61aを貫通して、吊り下げ部材64Bの下端板部64aに亘る連結ピン68を挿通してある。連結ピン68にはベアリング68Aが外嵌されて、このベアリング68Aが駆動部材61の内部空間を形成する天井面に摺接して、往復移動部材64の移動を円滑に行わせている。
この連結ピン68で駆動部材61の揺動支点を構成する。
【0050】
図4及び図6に示すように、送り軸63を支持する左右支持フレーム66A、66Bのうちの右支持フレーム66Bの右側面より更に右側方に向けてアングル状のガイドフレーム71を片持ち状に立設するとともに、ガイドフレーム71に送り軸63の軸芯Y方向に沿ったガイド孔71Aを形成してある。
一方、ガイド孔71Aに係合して往復移動部材64を案内するガイドロッド72を、ガイド孔71Aに係合した状態から往復移動部材64まで延出して、往復移動部材64に連結固定してある。
【0051】
以上のような構成によって、駆動部材61が連結ピン68の軸芯Xを中心として、天秤
揺動自在に吊り下げ支持されることとなる。そして、調節操作具65を回転操作すると、送り軸63が自身の軸芯Y周りで回転し、往復移動部材64を送り軸63の軸芯Yに沿って移動させる。往復移動部材64はガイドロッド72によって軸芯Xに沿った状態で移動
案内される。このことによって、駆動部材61が天秤揺動する支点位置を移動させることができる。そうすると、駆動部材61の天秤揺動に係るリンク比が変化して、駆動部材61の出力部61Bの駆動ストロークが変化する。
【0052】
つまり、往復移動部材64の位置が駆動部材61の長孔61aにおける第1連係ロッド59側の端部に位置する場合には、支点位置(軸芯X)から第1連係ロッド59との連結
位置までのリンク長L1に対する、支点位置(軸芯X)から第2連係ロッド62との連結
位置までのリンク長L2のリンク比は略1である。
その状態から、往復移動部材64の位置を第2連係ロッド62側に近接させる程、リンク長L1が長く、リンク長L2が短くなり、リンク比は徐々にゼロに近接することとなる。
【0053】
そして、往復移動部材64の位置が駆動部材61の長孔61aにおける第2連係ロッド62側の端部に位置する場合には、リンク長L1が長く、リンク長L2が略ゼロに近い長さとなるので、リンク比は略ゼロである。
これによって、駆動部材61の出力部61Bにおける駆動ストロークは略ゼロとなり、肥料が繰出されることはない。
【0054】
このように駆動部材61の支点位置を変更するに、送り軸63を利用した構成を採用しているので、送り軸63を回転操作することによってネジ溝63Aのピッチ分より細かな支点移動を可能とでき、支点位置を直接操作具でスライド移動させるものに比べて、微調整が可能であり、かつ、往復移動部材64がネジ溝63Aに咬合しているので、セルフロックが掛かっており、特別のロック機構を導入することなく、調節位置での固定が可能である。
【0055】
図3及び図5に示すように、調節操作具65は、蝶ナット63aによって着脱自在に送り軸63の細径部63Bに取付てあり、通常の植付作業時には取り外すことによって、邪魔にならないものとできる。
図示してはいないが、例えば調節操作具65自体を細径部63Bに連結したアーム部の位置で折り畳めるようにしてもよく、例えば細径部63Bを折り畳めるようにして、調節操作具65を施肥装置2に近づけて折り畳み可能に構成してもよい。
調節操作具65を送り軸63における前記第1連係ロッド59とは繰出し部21を挟んで反対側に延出した細径部63Bに取付けてあるので、機器構成の集中を回避でき、かつ、運転座席16近傍に調節操作具65を設置できるので、運転座席16から降車することなく、調節操作具65の調節操作が可能である。
【0056】
〔第2実施形態〕
肥料繰出し部21への動力伝達構造の第1実施形態とは異なる構造について説明する。図12及び図14に示すように、ミッションケース14から苗植付装置4に動力を伝達するように後方へ延出されたPTO軸57から、動力を取り出す回転アーム58の回転運動を受けて、上下動すべく回転アーム58の偏芯位置に連係された第1連係ロッド59を設けてある。
【0057】
図13に示すように、第1連係ロッド59の上端近傍には、左右横向きの連係軸85が架設してあり、その連係軸85に設けた受けアーム85Aと第1連係ロッド59との上端とを連係してある。連係軸85は、施肥装置2の右端近傍まで延出してあり、連係軸85自体の右端位置に駆動アーム85Bを取り付けている。駆動アーム85Bの先端には上下向き姿勢の連動アーム86が連係されており、連動アーム86の上端を、横向き支点X周
りで天秤揺動するチャンネル状の駆動部材61の入力部61Aに連結してある。
駆動部材61の入力部61Aには、固定側から延出された位置決めアーム88の先端部が連結してあり、この位置決めアーム88で、往復移動部材64の移動に拘わらず、駆動部材61の連れ移動を規制して、駆動部材61の揺動支点調節の基準状態が変化しないように構成してある。
【0058】
駆動部材61における横向き支点Xを挟んで反対側端の出力部61Bから下方に第2連
係ロッド62を延出して、ワンウエイクラッチ60の入力アーム60Aに連係してある。ワンウェイクラッチ60により回転運動に変換された動力は、駆動軸55からギヤ機構を介して繰出し軸26に伝達される。
【0059】
次に、揺動支点位置変更手段Aについて、第1実施形態のものとは異なる構造のものについて説明する。
図13及び図14に示すように、揺動支点位置変更手段Aは、雄ネジ部80Aを形成したネジ軸80と、雄ネジ部80Aに螺合するナット部材を保持してネジ軸80の軸線方向に沿って往復移動する往復移動部材64と、ネジ軸80における細径部80Bに着脱自在に装着される調節操作具65とで構成してある。
【0060】
ネジ軸80の取付構造について説明する。ネジ軸80の軸線と平行に設置されている取付用ボックス84の内部に板状を呈する受フレーム82を設け、受フレーム82の前後端部においてフランジ部を横向きに立設して前後の支持ブラケット82A、82Bとして利用し、前後の支持ブラケット82A、82Bに設けたボス部82a、82bに亘ってベアリング83を介して、ネジ軸80を自身の軸芯Y周りで回動自在に支持してある。
【0061】
往復移動部材64は、ネジ軸80に移動自在に外嵌された円筒状のホルダー部64Aとホルダー部64Aから下方に向けて延出されたチャンネル状の吊り下げ部材64Bとで構成される。吊り下げ部材64Bは、左右に一定間隔を保持した一対の下端板部64aを形成し、その下端板部64aで駆動部材61を挟み込むように外嵌してある。
【0062】
図13及び図14に示すように、駆動部材61の側板部に長手方向に沿った長孔61aを形成し、この長孔61aを貫通して、吊り下げ部材64Bの両下端板部64aに亘る連結ピン68を挿通してある。この連結ピン68で駆動部材61の揺動支点を構成する。
【0063】
ホルダー部64の横側方には表示板87を取り付けてあり、この表示板87の上端部を取付用ボックス84の上面から上方に突設させてある。取付用ボックス84上面には、肥料等の繰り出し量を表示する指標が設けてあり、駆動部材61の支点位置調節によって移動するガイド板87でその指標を指し示すように構成してある。
【0064】
図1及び図13に示すように、調節操作具65は、ネジ軸80の軸端にネジ込み固定されているが、運転座席16の背もたれ部の高さ位置に設けてあるので、操作しやすい高さに設置されている。
この場合、図示してはいないが、調節操作具65をネジ軸80に手で取り外し可能に構成してもよく、ネジ軸80を折り畳めるようにして調節操作具65を施肥装置2に近づけて折り畳み収納可能に構成してもよい。
【0065】
以上のような構成によって、調節操作具65を回転操作すると、ネジ軸80が自身の軸芯周りで回転して、往復移動部材64をネジ軸80に沿って駆動移動させる。これによって、前記したように、駆動部材61の支点位置が変更になり、駆動部材61のリンク比が変更されて繰出し量調節が行える。
【0066】
〔他の実施の形態〕
(1)肥料の繰出し量調節を駆動部材40の出力部40Bのストロークを変更するために、送り軸63、及び、ネジ軸80を回転させることによって行っているが、送り軸63を使用せず、直接、往復移動部材64をスライド移動させる形態を採ってもよい。
(2)肥料の繰出し量調節を駆動部材40の出力部40Bのストロークを変更するために、送り軸63、及び、ネジ軸80を人為的に回転させることによって行っているが、送り軸63を駆動モータで回転駆動して、往復移動部材64をスライド移動させる形態を採ってもよい。人為的な調節操作具を必要としない。
(3)肥料の繰出し量調節を駆動部材40の出力部40Bのストロークを変更するために、送り軸63、及び、ネジ軸80を人為的に回転させることによって行っているが、送り軸63を操縦部15の搭乗ステップ下方に位置させ、第2連係ロッド62だけステップ上方に立ち上げる構成を採ってもよい。
(4)調節操作具65としては、ハンドル形式のものだけでなく、フットペダル方式のものであってもよい。
【0067】
本発明による農用資材供給装置としては、上記した乗用型田植機に搭載される施肥装置だけなく、次のような装置にも適用できる。
(イ) 種籾を直接圃面に施す直播装置であってもよい。
(ロ)液状の肥料を施す液状供給装置であってもよい。
(ハ)薬剤散布装置であってもよい。
(二)育苗装置に使用される種籾繰出し装置であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
20 繰出しケース(貯留部)
21 肥料繰出し部(供給機構)
61 駆動部材
61A 入力部
61B 出力部
64 往復移動部材(移動部材)
65 調節操作具
68 連結ピン(揺動支点)
A 揺動支点位置変更手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用資材としての肥料や薬剤を圃場などの適所へ供給するための施肥装置や、農用資材としての種子を直播するための播種装置等の農用資材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種農用資材供給装置として、田植機に搭載した施肥装置がある。この施肥装置にあっては、ミッションケース(公報内番号:10)から後方に延出されたPTO軸(公報内番号:45)の後端に設けたクランク駆動アーム(公報内番号:49)と、機体側に搭載された肥料を繰出す繰出し機構(公報内番号:22)を駆動する駆動部材としての操作アーム(公報内番号:47)とを、連係ロッド(公報内番号:48)で連係する構成を採っている。
これによって、操作アームを連係ロッドで駆動揺動することによって、繰出し機構を駆動して、肥料を繰出す構成を採っていた。
そして、操作アームと連係ロッドとの連係位置を、その操作アームの長手方向に沿って変更できるように、操作アームの下面に位置決め用の凹部(公報内番号:74)が複数箇所に形成されており、連係位置の変更によって、操作アームの駆動ストロークを変更し、繰出し量を変更調節していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−267615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成によって、繰出し量の変更調節は可能になっているが、調節範囲を更に拡大しようとする場合には、操作アームの揺動支点からの長さを長くする必要がある。
しかし、操作アームの長さを長くするには、部材強度を向上させ大型化する必要があるが、操作アームとしては過剰な品質となる高価な材料を使用する必要があり、操作アームの長さを長くするにも採り得る限界がある。
一方、PTO軸に取り付けたクランク機構の駆動ストロークを可変する構造のものにするには、例えばクランク機構が機体フレームの下方に位置する等の理由により、可変調整操作がやり難い面があり、クランク機構の可変調節化も採用し難い面があった。
【0005】
本発明の目的は、駆動部材の支持形態に簡単な改良を施すことによって、駆動部材の大型化を招来せずに、繰出し量の調節範囲の拡大を図ることのできる農用資材供給装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、貯留した農用資材を貯留部から所定位置に供給する供給機構を備えた農用資材供給装置において、前記供給機構を駆動する駆動部材を設け、前記駆動部材の出力部の駆動ストロークの大小によって、前記供給機構の農用資材供給量の大小を設定すべく構成し、前記駆動部材の出力部を前記供給機構に連係し、前記駆動部材の入力部と前記出力部との間に揺動支点を設け、前記揺動支点の位置を前記駆動部材の長手方向に沿って変更して前記駆動部材を駆動揺動すべく、揺動支点位置変更手段を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
揺動支点位置変更手段で駆動部材の揺動支点位置を変更すると、駆動部材における入力部から揺動支点までの入力側リンク長さと、揺動支点から出力部までの出力側リンク長さとの比が変わる。それによって、入力部のストロークに対する出力部の駆動ストロークが変わる。
しかも、揺動支点位置を変更することによって、入力側リンク長が変わるだけでなく、出力側リンク長も変動するので、リンク比の範囲を、背景技術に記載のように揺動アームの長さ(入力側リンク長に対応)を変更するだけのものに比べて大きく採ることができ、駆動部材の出力部の駆動ストロークの調節範囲を大きくできる。
【0008】
〔効果〕
このように、駆動部材自体の大型化を回避し長さを変更せずに、駆動部材の駆動ストロークの調節範囲を大きくでき、要求される農用資材の繰出し調節を容易に行えるようになった。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置が前記出力部に極近接する位置まで移動できるように構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
駆動部材の揺動支点位置を出力部に極近接する位置に位置させることができるので、揺動支点から出力部までのリンク長さが極短くなり、出力部の駆動ストロークが略ゼロに近いものとなる。
これによって、入力部への動力伝達を断つことなく、繰出し機構を実質的に駆動しない状態を現出することが可能となり、繰出し機構の適用性を向上させることができる。
【0011】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置を移動させる移動部材とその移動部材を駆動する調節操作具とで構成し、前記調節操作具を前記移動部材との連係を断って取り外し可能に、又は、折り畳み収納可能に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
駆動部材の揺動支点位置を操作する調節操作具を取り外し、又は、折り畳み可能に構成してあるので、農用資材を繰出して作業を行っている場合には、調節操作具を取外すことによって、その調節操作具が邪魔になることが少なく、取り扱い性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】施肥装置付き乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】施肥装置付き乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】施肥装置を示す背面図である。
【図4】肥料繰出し部への動力供給構造と駆動部材の揺動支点位置変更手段を示す側面図である。
【図5】駆動部材の揺動支点位置変更手段を示す側面図である。
【図6】駆動部材と第1連係ロッドとの連係構造を示す正面図である。
【図7】駆動部材と第1連係ロッドとの連係構造を示す一部切り欠き正面図である。
【図8】上下繰出しケース、及び、それらのフランジ接合部位に設けてある、繰出し軸、繰出しロール、中間ボス部、キー部材等を示す縦断側面図である。
【図9】上下繰出しケース、及び、それらのフランジ接合部位に設けてある、繰出し軸、繰出しロール、中間ボス部、キー部材等を示す縦断正面図である。
【図10】(a)上下繰出しケースを組み合わせた状態を示す側面図、(b)下繰出しケースを分離した状態を示す側面図である。
【図11】上繰出しケースの縦断側面図と下繰出しケースを示す平面図である。
【図12】別実施例に係る、肥料繰出し部への動力供給構造と駆動部材の揺動支点位置変更手段を示す背面図である。
【図13】図12における側面図である。
【図14】図13における揺動支点位置変更手段の拡大縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪11及び左右一対の後輪12を備えた走行機体1の車体フレーム10の前部側に、エンジン13及びミッションケース14を備え、走行機体1の中央部にステアリングハンドル等を装備した操縦部15と運転座席16とを設け、走行機体1を構成する車体フレーム10の後部には農用資材としての肥料を供給する供給装置の一例である施肥装置2が配置されている。
【0015】
エンジン13の左右両側、及び操縦部15と運転座席16との間、ならびに、運転座席16の左右両側には、ほぼ平坦なステップ部分を有した運転部ステップ17が設けられ、この運転部ステップ17のさらに外側でエンジン13の配設箇所と対向する左右箇所に予備苗のせ台18が配設されている。
走行機体1の後方には、リフトシリンダ19aを備えたリンク機構19を昇降操作自在に連結して、リンク機構19に苗植付装置4を装着して、施肥装置2を搭載した乗用型田植機を構成してある。
【0016】
〔施肥装置〕
施肥装置2は、肥料を貯留する透明樹脂製の繰出しケース20と、その繰出しケース20の下側に配置された4個の供給機構としての肥料繰出し部21とを備え、これらの繰出しケース20および肥料繰出し部21は、図1,3,4に示すように、走行機体1の後部で、運転座席16の後側近くにおいて車体フレーム10の上部に設けた支持枠22によって支持されている。肥料繰出し部21から繰出された肥料は、起風手段による風量で肥料搬送経路を通して苗植付装置4側に取付けた供給部としての作溝器45より圃場に供給されるように構成されている。
【0017】
支持枠22は、車体フレーム10の左右一対のメインフレーム10A上に立設された左右一対のブロワ支持板22aと、そのブロワ支持板22aの上側に立設した支柱22bと、左右の支柱22bの上端側に掛け渡された横長フレーム22cとで構成される。ブロワ支持板22aの後端側には、苗植付装置4を昇降自在に装着するためのリンク機構19の一端側が連結されている。
【0018】
図8及び図9に示すように、肥料繰出し部21は、外周に肥料入込み用の凹部23aが周方向に沿って多数形成された繰出しロール23を、繰出しケース20の肥料繰出し口20Cの下方で、かつ、漏斗部20Dの上方に回転可能に配置してある。
尚、図中の符号23bは、繰出しロール23の周面に摺接して、すり切り作用するブラシである。
【0019】
これにより、繰出しケース20から繰出しロール23の凹部23aに肥料が入り込み、繰出し軸26の間欠的な回転により肥料が漏斗部20Dに繰出される。そして、後述する起風手段の電動ブロア30からの高圧の風が、送風ダクト装置31を介して漏斗部20Dに供給され、高圧の風により肥料が肥料搬送管46を通って作溝器45に迅速に供給され、作溝器45により田面に形成された溝に肥料が送り込まれて施肥作業が行われるのである。
【0020】
図8に示すように、繰出しケース20の肥料繰出し口20Cの肥料繰出し部21の前側に形成した肥料排出口25内に切換板28が横軸芯周りに揺動操作自在に支持されており、切換板28の下側から排出ホース29が下方に延出されている。通常の苗の植付作業時には、切換板28は図8の実線で示す閉姿勢に操作されており、繰出しケース20からの肥料は漏斗部20Dに繰出される。通常の苗の植付作業を終了した場合等において、電動ブロア30及び苗植付装置4の駆動(具体的にはPTO軸57の駆動)を停止させた状態で、切換板28を開姿勢に操作すると、繰出しケース20に残った肥料が排出ホース29に入って排出される。
【0021】
〔起風手段〕
施肥装置2から繰出された肥料を風力で苗植付装置4側へ搬送するための起風手段は次のように構成されている。
図1及び図3に示すように、左右一対のブロワ支持板22aにわたって支持させ、電動モータ30Aによって駆動される電動ブロワ30と、その電動ブロワ30に外気を導入し、搬送風を流動させる送風ダクト装置31とを備えている。そして、送風ダクト装置31は、電動ブロワ30に外気を導入供給するための吸気部32と、電動ブロワ30の出口管側に接続されて、電動ブロワ30により生起された風を各漏斗部20Dに供給するためのパイプ状の送気部33とで構成されている。
【0022】
吸気部32は、図2及び図3に示すように、電動ブロワ30の車体横外向きの吸気口に基端側を接続し、先端側にエンジン13の横側部近くで、マフラー9の後方箇所に吸気口32aを位置させた状態で配設されており、エンジン13周りの熱気やマフラー9の排熱を吸引するようにしてある。
電動ブロワ30の排気口側に接続される送気部33は、下流側が左右に分岐された二股状の分岐接続管34と、この分岐接続管34の端部に接続されて車体横向きに配設された横向き送風管35とで構成され、横向き送風管35の長手方向複数箇所には、後述する苗植付装置4の各肥料供給箇所へ肥料を送出するための、多数の分岐用吐出管36が設けられている。
【0023】
〔苗植付装置〕
図1及び図4に示すように、苗植付装置4は6条植えに構成されており、3個の植付伝動ケース40、植付伝動ケース40の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース41、回転ケース41の両端に配備される一対の植付爪42、3個の接地フロート43、及び苗のせ台44等によって構成してある。
施肥装置2から苗植付装置4への肥料供給経路のうち、苗植付装置4に至っている端部は、各苗植付爪42による苗植付け箇所の横側付近に一個ずつ位置するように配置して接地フロート43に取付けた複数個の作溝器45に各別に接続されるものである。
具体的には、起風手段の多数の分岐用吐出管36に対して、苗植付装置4側の作溝器45に接続している肥料搬送管46が各別に接続されている。
【0024】
繰出しケース20の分割構造について説明する。図10に示すように、繰出しケース20を、繰出し軸26の軸線Zを基準にして、上繰出しケース20Aと下繰出しケース20Bとを分割可能に構成してある。上下繰出しケース20A、20Bを組み付ける構成は次のようになっている。
【0025】
つまり、図10及び図11に示すように、上繰出しケース20Aの下端位置に四角形のフランジ部20aを形成し、フランジ部20aにおける繰出し軸26の軸線Zを挟んで一方の長辺部の両端に板状のブラケット部20bを設けてある。ブラケット部20bは、下向きに折れ曲がる形状に形成してあり、中抜き状の係合孔20cが設けてある。中抜き状の係合孔20cを囲む状態で枠フレームが形成され、枠フレームの下端部に後記する係合片20fを係止載置する下端受けフレーム部分20dが形成してある。
【0026】
一方、図10及び図11に示すように、下繰出しケース20Bの上端位置に四角形のフランジ部20eを形成し、フランジ部20eにおける繰出し軸26の軸線Zを挟んで一方の長辺部の両端に板状の係合片20fを突設してある。係合片20fの下面には、上向きに凹入する凹入載置面20gが形成してあり、係合片20fが下端受フレーム部分20dに載置された際に、係合状態が安定するような機構が付与されている。
尚、上下繰出しケース20A、20Bの閉じ状態を維持するロック具20Eを、下繰出しケース20Bの漏斗部20Dに揺動自在に取り付けてある。ロック具20Eは、ロック係止部20hを上繰出しケース20Aのフランジ部20aに係合させて、ロック状態を維持する。
【0027】
以上のような構成によって、上下繰出しケース20A、20Bを組み付けるには、図10(b)に示すように、下繰出しケース20Bの係合片20fを上繰出しケース20Aのブラケット部20bの係合孔20c内に差し込むことによって、係合片20fをフランジ部20dに係合させることができ、図10(a)に示すように、下繰出しケース20Bを持ち上げてフランジ部20a、20eを重ね合わせることによって、下繰出しケース20Bを上繰出しケース20Aに組み付けることができる。
【0028】
従来は、上下繰出しケース20A、20Bを連結しながら、下繰出しケース20Bをメインテナンスの為に下方に開放作動させるべく、下繰出しケース20Bの揺動支点位置に連結ピンを設けていた。
このような構成を採る場合には、連結ピンとしての耐久性が得がたく、下繰出しケース20Bを上繰出しケース20Aから取り外す際には、連結ピンを取り外す必要があった。
これに対して、上記したように、ブラケット部20bと係合片20fとの係合構造を構築することによって、連結ピンのような破損しやすい部品を使用する必要がなく、下繰出しケース20Bを上繰出しケース20Aから取り外す場合にも係合片20fをブラケット部20bから抜き出すだけでよく、着脱操作も容易に行える。
【0029】
次に、左右一対装備される繰出しロール23の駆動選択構造について説明する。図4及び図6に示すように、肥料繰出し部21に、PTO軸57から動力伝達を受ける駆動軸55と平行な繰出し軸26を繰出しケース20の漏斗部20Dの下部所定位置に貫通支持して設けてある。
【0030】
繰出し軸26は、図6及び図9に示すように、駆動軸55から動力伝達を受けるギヤ機構を構成する大径の受動ギヤ部26Aと、受動ギヤ部26Aに連なる筒状保持部26Bと、長尺の軸状部26Cとで形成されている。受動ギヤ部26Aから筒状保持部26B、軸状部26Cに掛けての内部空間内には、孔部が設けてあり、孔部は、受動ギヤ部26Aに形成してある大径孔部26a、筒状保持部26Bに設けてある中径孔部26b、軸状部26Cに設けてある小径孔部26cとで構成してある。
受動ギヤ部26Aとは反対側端部に止めネジ27をネジ込み固定するネジ込み穴26dを形成してある。
この孔部に対して動力伝達用のキー部材74を挿入取付すべく構成してある。
【0031】
次に、繰出しロール23を装備し、繰出し軸26に外嵌装着される中間ボス体75について説明する。図9に示すように、中間ボス体75は左右一対の同一仕様のものであり、突合せ状態で設置される。中間ボス体75は、大径筒状部75Aと小径筒状部75Bとで構成してあり、受動ギヤ部側に位置する中間ボス体75では、繰出し軸26の筒状保持部26Bを内嵌保持する大径保持孔75aと繰出し軸26の軸状部26Cを内嵌保持する小径保持孔75bとを連続形成してある。受動ギヤ部側とは反対側端部に位置する中間ボス体75では、繰出し軸26の軸状部26Cを内嵌保持する小径保持孔75bを形成してある。
一対の中間ボス体75は、上下繰出しケース20A、20Bの左右両端に形成されるボス部20Fに支持されており、支持位置より内側にシール20Gを装着してある。
【0032】
そして、一対の中間ボス体75の突合せ端部の小径保持孔75bの内周面に、それぞれ、突合せ端部から一定長さだけ奥に入り込むキー溝75cを形成してある。また、受動ギヤ部側に位置する中間ボス体75の小径保持孔75bの内周面に、位置決め用のスプリングボール機構75dが設けてある。
【0033】
キー部材74について説明する。図9に示すように、キー部材74は、長尺の棒状部材であり、手元側に大径の円盤状の摘み部74Aと、摘み部74Aの先端側に棒状の支持部74Bと、支持部74Bの更に先端側に半円弧状の位置決め部74Cと、位置決め部74Cの先端にキー溝75cへの係合部74Dを設けてある。摘み部74Aと支持部74Bとの間には、位置決めのための表示部74a、74b、74cが軸線方向に3箇所設けてある。この表示部74a、74b、74cに対応して位置決め部74Cの下向き面に3つの係合穴74d、74e、74fが軸線方向に設けてあり、この係合穴74d、74e、74fにスプリングボール機構75dのボールを係合すべく構成してある。
【0034】
以上のような構成になる繰出しロール23の支持用孔23A内に、夫々、中間ボス体75の小径筒状部75Bを内嵌して、繰出しロール23と中間ボス体75とを、夫々、一体回転可能に組み付ける。中間ボス体75の大径筒状部75Aを、後記するように上下二つ割り構成を採る繰出しケース20のボス部20Fに挿入載置する。一対の中間ボス体75の大径保持孔75aと小径保持孔75b内にキー部材74を挿入する。キー部材74を挿入した状態で、係合部74Dが中間ボス体75のキー溝75cに係合し、位置決め部74Cがスプリングボール機構75dと係合可能な位置に位置決めされる。
【0035】
中間ボス体75に繰出し軸26を所定位置に内装した状態で、繰出し軸26における受動ギヤ側とは反対側端の中間ボス体75の大径筒状部75Aの開口部分に栓部材76を嵌着し、止めネジ27で栓部材76と繰出し軸26とを止め付け固定して、中間ボス体75に繰出し軸26を抜止固定している。
【0036】
キー部材74の操作方法を説明する。図9に示すように、繰出しケース20内に装着した状態で一対の中間ボス体75は、キー溝75cを形成した端部同士をつき合わせる状態で配置されており、そのキー溝75c部分にキー部材74の係合部74Dが係合する。
そこで、摘み部74Aから最も遠い位置に設けられている表示部74cを受動ギヤ部26Aの端部に対応する位置に合わせて、係合部74Dを受動ギヤ側の中間ボス体75のキー溝75cのみに係合させた場合には、受動ギヤ部26Aを介して繰出し軸26に伝達された動力は、キー部材74、受動ギヤ側の中間ボス体75を介して受動ギヤ側に位置する繰出しロール23のみに伝達される。この場合に、係合穴74fにスプリングボール機構75dのボールが係合して、キー部材74の位置決めが維持されている。
【0037】
キー部材74の摘み部74Aを持って一段押し込み、図9に示すように、中間に位置する表示部74bを受動ギヤ部26Aの端部に対応する位置に合わせて、係合部74Dを両中間ボス体75のキー溝75cに係合させた場合には、受動ギヤ部26Aを介して繰出し軸26に伝達された動力は、キー部材74、両中間ボス体75を介して両繰出しロール23に伝達される。この場合に、係合穴74eにスプリングボール機構75dのボールが係合して、キー部材74の位置決めが維持されている。
【0038】
キー部材74の摘み部74Aを持って更に一段押し込み、摘み部74Aに最も近い位置に設けられている表示部74aを受動ギヤ部26Aの端部に対応する位置に合わせて、係合部74Dを受動ギヤ部26Aとは反対側に位置する中間ボス体75のキー溝75cのみに係合させた場合には、受動ギヤ部26Aを介して繰出し軸26に伝達された動力は、キー部材74、受動ギヤ部26Aとは反対側に位置する中間ボス体75を介して、受動ギヤ部26Aとは反対側に位置する繰出しロール23に伝達される。この場合に、係合穴74dにスプリングボール機構75dのボールが係合して、キー部材74の位置決めが維持されている。
【0039】
以上のように、キー部材74を中間ボス体75に対して出し入れすることによって、繰出しロール23の一方のみを駆動して肥料を施す圃面を限定して繰出す状態と、繰出しロール23の両方を駆動して肥料を施す圃面を広範に広げて繰出す状態とに切換えることのできる、切換機構を構成することができた。
【0040】
従来は、繰出し量の調節を行うのに、肥料入り込み用の凹部23aを個々に覆うリボン状のシャッターを設け、肥料入り込み用の凹部23aの一部又は前部を閉口して肥料の投入を阻止して圃面への肥料の供給を調節する構成を採っていた。そして、閉塞状態でシャッターを繰出しケース20から引き出すことによって、肥料入り込み用の凹部23aを開口して肥料を投入して圃面に繰出すように、繰出し切換機構を構成していた。
【0041】
シャッターを使用した構成のために、次のような課題が提示されていた。つまり、繰出しロール23は駆動状態を維持されているために、シャッターを閉じ操作した場合であっても、肥料の繰出しが直ぐには停止できない虞がある。
また、肥料で満たされている中でシャッターを抜き差しする必要があるので、シャッターの抜き差し操作が容易でなく、円滑な操作性が確保できなかった。
【0042】
これに対して、キー部材74を使用して繰出し量の調節を行うようになっているので、キー部材74の切換えを行うと、直ぐに、繰出しが停止する。また、キー部材74は繰出し軸26の軸内に装着してあるので、貯留肥料の荷重を受けることなく、出退操作が行え、操作が容易に行える。
シャッターを必要としないので、部品点数の削減ができる。
【0043】
肥料繰出し部21への動力伝達構造は次のようになっている。図3〜図5に示すように、ミッションケース14から苗植付装置4に動力を伝達するように後方へ延出されたPTO軸57から、動力を取り出す回転アーム58の回転運動を受けて、上下動すべく回転アーム58の偏芯位置に連係された第1連係ロッド59を設けてある。横向き支点X周りで
天秤揺動するチャンネル状の駆動部材61を設け、駆動部材61の一端に形成された入力部61Aに第1連係ロッド59の上端を連結してある。駆動部材61における横向き支点Xを挟んで反対側端の出力部61Bから上方に第2連係ロッド62を延出して、ワンウエ
イクラッチ60の入力アーム60Aに連係してある。ワンウェイクラッチ60により回転運動に変換された動力は、駆動軸55からギヤ機構を介して繰出し軸26に伝達される。
【0044】
図6及び図7に示すように、駆動部材61の入力部61Aには、駆動部材61における一対の側板部61Cを貫通する横向き連結ピン69が装着されるとともに、連結ピン69の下面にチャンネル状のブラケット70が取り付け固定され、ブラケット70の一対の側板部に亘って架設される連結ピン70Aに、第1連係ロッド59の上端ボス部59Aが外嵌装着されている。
【0045】
図4及び図5に示すように、支持枠22における肥料繰出し部21を支持する横長フレーム22cの左右端から夫々下方に向けて左右支持フレーム66A、66Bが延出されており、右支持フレーム66Bの下端部66bと、駆動部材61の入力部61Aに貫通支承してある連結ピン69とに亘って、位置決めロッド73が設けてある。
つまり、位置決めロッド73の両端に取付用ボス部73A、73Bを形成し、一方の取付用ボス部73Aを駆動部材61の入力部61Aに設けた連結ピン69に外嵌装着し、他方の取付用ボス部73Bを右支持フレーム66Bの下端部66bの取付ピン66cに外嵌装着して、位置決めロッド73で駆動部材61の第1連係ロッド59との連係位置が変動しない状態に構成してある。
【0046】
次に、揺動支点位置変更手段Aについて説明する。図4及び図6に示すように、揺動支点位置変更手段Aは、天秤揺動する駆動部材61の揺動支点を位置変更調節するものである。
ネジ溝63Aを形成した送り軸63と、送り軸63の軸線方向に沿って往復移動する往復移動部材64と、送り軸63における右支持フレーム66Bより延出された細径部63Bに着脱自在に装着される調節操作具65とで構成してある。
【0047】
送り軸63は、横長フレーム22cの左右端から夫々下方に向けて延出された左右支持フレーム66A、66Bに亘って架設され、左右支持フレーム66A、66Bの下端ボス部66a、66bに保持されたベアリング67を介して、自身の軸芯Y周りで回動自在に支持されている。
【0048】
往復移動部材64は、送り軸63に移動自在に外嵌された円筒状のホルダー部64Aとホルダー部64Aから下方に向けて延出されたチャンネル状の吊り下げ部材64Bとで構成される。吊り下げ部材64Bは、左右に一定間隔を保持した一対の下端板部64aを形成し、その下端板部64aを駆動部材61の左右両側面に跨る状態で外嵌してある。
【0049】
図4及び図7に示すように、駆動部材61の一対の側板部61Cに、夫々、その側板部61Cの長手方向に沿った長孔61aを形成し、この長孔61aを貫通して、吊り下げ部材64Bの下端板部64aに亘る連結ピン68を挿通してある。連結ピン68にはベアリング68Aが外嵌されて、このベアリング68Aが駆動部材61の内部空間を形成する天井面に摺接して、往復移動部材64の移動を円滑に行わせている。
この連結ピン68で駆動部材61の揺動支点を構成する。
【0050】
図4及び図6に示すように、送り軸63を支持する左右支持フレーム66A、66Bのうちの右支持フレーム66Bの右側面より更に右側方に向けてアングル状のガイドフレーム71を片持ち状に立設するとともに、ガイドフレーム71に送り軸63の軸芯Y方向に沿ったガイド孔71Aを形成してある。
一方、ガイド孔71Aに係合して往復移動部材64を案内するガイドロッド72を、ガイド孔71Aに係合した状態から往復移動部材64まで延出して、往復移動部材64に連結固定してある。
【0051】
以上のような構成によって、駆動部材61が連結ピン68の軸芯Xを中心として、天秤
揺動自在に吊り下げ支持されることとなる。そして、調節操作具65を回転操作すると、送り軸63が自身の軸芯Y周りで回転し、往復移動部材64を送り軸63の軸芯Yに沿って移動させる。往復移動部材64はガイドロッド72によって軸芯Xに沿った状態で移動
案内される。このことによって、駆動部材61が天秤揺動する支点位置を移動させることができる。そうすると、駆動部材61の天秤揺動に係るリンク比が変化して、駆動部材61の出力部61Bの駆動ストロークが変化する。
【0052】
つまり、往復移動部材64の位置が駆動部材61の長孔61aにおける第1連係ロッド59側の端部に位置する場合には、支点位置(軸芯X)から第1連係ロッド59との連結
位置までのリンク長L1に対する、支点位置(軸芯X)から第2連係ロッド62との連結
位置までのリンク長L2のリンク比は略1である。
その状態から、往復移動部材64の位置を第2連係ロッド62側に近接させる程、リンク長L1が長く、リンク長L2が短くなり、リンク比は徐々にゼロに近接することとなる。
【0053】
そして、往復移動部材64の位置が駆動部材61の長孔61aにおける第2連係ロッド62側の端部に位置する場合には、リンク長L1が長く、リンク長L2が略ゼロに近い長さとなるので、リンク比は略ゼロである。
これによって、駆動部材61の出力部61Bにおける駆動ストロークは略ゼロとなり、肥料が繰出されることはない。
【0054】
このように駆動部材61の支点位置を変更するに、送り軸63を利用した構成を採用しているので、送り軸63を回転操作することによってネジ溝63Aのピッチ分より細かな支点移動を可能とでき、支点位置を直接操作具でスライド移動させるものに比べて、微調整が可能であり、かつ、往復移動部材64がネジ溝63Aに咬合しているので、セルフロックが掛かっており、特別のロック機構を導入することなく、調節位置での固定が可能である。
【0055】
図3及び図5に示すように、調節操作具65は、蝶ナット63aによって着脱自在に送り軸63の細径部63Bに取付てあり、通常の植付作業時には取り外すことによって、邪魔にならないものとできる。
図示してはいないが、例えば調節操作具65自体を細径部63Bに連結したアーム部の位置で折り畳めるようにしてもよく、例えば細径部63Bを折り畳めるようにして、調節操作具65を施肥装置2に近づけて折り畳み可能に構成してもよい。
調節操作具65を送り軸63における前記第1連係ロッド59とは繰出し部21を挟んで反対側に延出した細径部63Bに取付けてあるので、機器構成の集中を回避でき、かつ、運転座席16近傍に調節操作具65を設置できるので、運転座席16から降車することなく、調節操作具65の調節操作が可能である。
【0056】
〔第2実施形態〕
肥料繰出し部21への動力伝達構造の第1実施形態とは異なる構造について説明する。図12及び図14に示すように、ミッションケース14から苗植付装置4に動力を伝達するように後方へ延出されたPTO軸57から、動力を取り出す回転アーム58の回転運動を受けて、上下動すべく回転アーム58の偏芯位置に連係された第1連係ロッド59を設けてある。
【0057】
図13に示すように、第1連係ロッド59の上端近傍には、左右横向きの連係軸85が架設してあり、その連係軸85に設けた受けアーム85Aと第1連係ロッド59との上端とを連係してある。連係軸85は、施肥装置2の右端近傍まで延出してあり、連係軸85自体の右端位置に駆動アーム85Bを取り付けている。駆動アーム85Bの先端には上下向き姿勢の連動アーム86が連係されており、連動アーム86の上端を、横向き支点X周
りで天秤揺動するチャンネル状の駆動部材61の入力部61Aに連結してある。
駆動部材61の入力部61Aには、固定側から延出された位置決めアーム88の先端部が連結してあり、この位置決めアーム88で、往復移動部材64の移動に拘わらず、駆動部材61の連れ移動を規制して、駆動部材61の揺動支点調節の基準状態が変化しないように構成してある。
【0058】
駆動部材61における横向き支点Xを挟んで反対側端の出力部61Bから下方に第2連
係ロッド62を延出して、ワンウエイクラッチ60の入力アーム60Aに連係してある。ワンウェイクラッチ60により回転運動に変換された動力は、駆動軸55からギヤ機構を介して繰出し軸26に伝達される。
【0059】
次に、揺動支点位置変更手段Aについて、第1実施形態のものとは異なる構造のものについて説明する。
図13及び図14に示すように、揺動支点位置変更手段Aは、雄ネジ部80Aを形成したネジ軸80と、雄ネジ部80Aに螺合するナット部材を保持してネジ軸80の軸線方向に沿って往復移動する往復移動部材64と、ネジ軸80における細径部80Bに着脱自在に装着される調節操作具65とで構成してある。
【0060】
ネジ軸80の取付構造について説明する。ネジ軸80の軸線と平行に設置されている取付用ボックス84の内部に板状を呈する受フレーム82を設け、受フレーム82の前後端部においてフランジ部を横向きに立設して前後の支持ブラケット82A、82Bとして利用し、前後の支持ブラケット82A、82Bに設けたボス部82a、82bに亘ってベアリング83を介して、ネジ軸80を自身の軸芯Y周りで回動自在に支持してある。
【0061】
往復移動部材64は、ネジ軸80に移動自在に外嵌された円筒状のホルダー部64Aとホルダー部64Aから下方に向けて延出されたチャンネル状の吊り下げ部材64Bとで構成される。吊り下げ部材64Bは、左右に一定間隔を保持した一対の下端板部64aを形成し、その下端板部64aで駆動部材61を挟み込むように外嵌してある。
【0062】
図13及び図14に示すように、駆動部材61の側板部に長手方向に沿った長孔61aを形成し、この長孔61aを貫通して、吊り下げ部材64Bの両下端板部64aに亘る連結ピン68を挿通してある。この連結ピン68で駆動部材61の揺動支点を構成する。
【0063】
ホルダー部64の横側方には表示板87を取り付けてあり、この表示板87の上端部を取付用ボックス84の上面から上方に突設させてある。取付用ボックス84上面には、肥料等の繰り出し量を表示する指標が設けてあり、駆動部材61の支点位置調節によって移動するガイド板87でその指標を指し示すように構成してある。
【0064】
図1及び図13に示すように、調節操作具65は、ネジ軸80の軸端にネジ込み固定されているが、運転座席16の背もたれ部の高さ位置に設けてあるので、操作しやすい高さに設置されている。
この場合、図示してはいないが、調節操作具65をネジ軸80に手で取り外し可能に構成してもよく、ネジ軸80を折り畳めるようにして調節操作具65を施肥装置2に近づけて折り畳み収納可能に構成してもよい。
【0065】
以上のような構成によって、調節操作具65を回転操作すると、ネジ軸80が自身の軸芯周りで回転して、往復移動部材64をネジ軸80に沿って駆動移動させる。これによって、前記したように、駆動部材61の支点位置が変更になり、駆動部材61のリンク比が変更されて繰出し量調節が行える。
【0066】
〔他の実施の形態〕
(1)肥料の繰出し量調節を駆動部材40の出力部40Bのストロークを変更するために、送り軸63、及び、ネジ軸80を回転させることによって行っているが、送り軸63を使用せず、直接、往復移動部材64をスライド移動させる形態を採ってもよい。
(2)肥料の繰出し量調節を駆動部材40の出力部40Bのストロークを変更するために、送り軸63、及び、ネジ軸80を人為的に回転させることによって行っているが、送り軸63を駆動モータで回転駆動して、往復移動部材64をスライド移動させる形態を採ってもよい。人為的な調節操作具を必要としない。
(3)肥料の繰出し量調節を駆動部材40の出力部40Bのストロークを変更するために、送り軸63、及び、ネジ軸80を人為的に回転させることによって行っているが、送り軸63を操縦部15の搭乗ステップ下方に位置させ、第2連係ロッド62だけステップ上方に立ち上げる構成を採ってもよい。
(4)調節操作具65としては、ハンドル形式のものだけでなく、フットペダル方式のものであってもよい。
【0067】
本発明による農用資材供給装置としては、上記した乗用型田植機に搭載される施肥装置だけなく、次のような装置にも適用できる。
(イ) 種籾を直接圃面に施す直播装置であってもよい。
(ロ)液状の肥料を施す液状供給装置であってもよい。
(ハ)薬剤散布装置であってもよい。
(二)育苗装置に使用される種籾繰出し装置であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
20 繰出しケース(貯留部)
21 肥料繰出し部(供給機構)
61 駆動部材
61A 入力部
61B 出力部
64 往復移動部材(移動部材)
65 調節操作具
68 連結ピン(揺動支点)
A 揺動支点位置変更手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留した農用資材を貯留部から所定位置に供給する供給機構を備えた農用資材供給装置であって、
前記供給機構を駆動する駆動部材を設け、前記駆動部材の出力部の駆動ストロークの大小によって、前記供給機構の農用資材供給量の大小を設定すべく構成し、前記駆動部材の出力部を前記供給機構に連係し、前記駆動部材の入力部と前記出力部との間に揺動支点を設け、前記揺動支点の位置を前記駆動部材の長手方向に沿って変更して前記駆動部材を駆動揺動すべく、揺動支点位置変更手段を設けてある農用資材供給装置。
【請求項2】
前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置が前記出力部に極近接する位置まで移動できるように構成してある請求項1記載の農用資材供給装置。
【請求項3】
前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置を移動させる移動部材とその移動部材を駆動する調節操作具とで構成し、前記調節操作具を前記移動部材との連係を断って取り外し可能に、又は、折り畳み収納可能に構成してある請求項1又は2記載の農用資材供給装置。
【請求項1】
貯留した農用資材を貯留部から所定位置に供給する供給機構を備えた農用資材供給装置であって、
前記供給機構を駆動する駆動部材を設け、前記駆動部材の出力部の駆動ストロークの大小によって、前記供給機構の農用資材供給量の大小を設定すべく構成し、前記駆動部材の出力部を前記供給機構に連係し、前記駆動部材の入力部と前記出力部との間に揺動支点を設け、前記揺動支点の位置を前記駆動部材の長手方向に沿って変更して前記駆動部材を駆動揺動すべく、揺動支点位置変更手段を設けてある農用資材供給装置。
【請求項2】
前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置が前記出力部に極近接する位置まで移動できるように構成してある請求項1記載の農用資材供給装置。
【請求項3】
前記揺動支点位置変更手段を、前記揺動支点の位置を移動させる移動部材とその移動部材を駆動する調節操作具とで構成し、前記調節操作具を前記移動部材との連係を断って取り外し可能に、又は、折り畳み収納可能に構成してある請求項1又は2記載の農用資材供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−166821(P2010−166821A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9821(P2009−9821)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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