説明

追従制御装置

【課題】自車両を先行車に適切に追従させる。
【解決手段】追従制御装置(100)は、通信により取得された先行車(20)に係る舵角情報に基づいて、自車両(10)を先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能な追従制御装置である。該追従制御装置は、追従制御が実施されておらず、且つ、自車両の直進走行時における(i)先行車に係る舵角情報及び(ii)自車両に係る舵角を、夫々取得する取得手段(15)と、取得された先行車に係る舵角情報と取得された自車両に係る舵角との差分を算出し、該算出された差分を自車両の舵角中点として設定する設定手段(15)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両を先行車に追従させる制御を実施可能な追従制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、車車間通信により求められる先導車の走行軌跡情報と操舵情報とを用い、自車両の移動位置と先導車の走行軌跡情報との間に生じる車幅方向偏差から求められる制御量と、先導車の操舵情報から求められる制御量と、に従って操舵制御し、先導車の走行軌跡に自車両を追従させる装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
尚、操舵位置の中立点を規定する操舵トルク基準値と、外部機器から送信されてくる特定信号を受信した操舵トルクが0とみなされる状態に検出される操舵トルク中立点信号と、に基づいて、通常の操舵状態の操舵トルク信号を補正する装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、車両の直進状態時における操舵角を暫定操舵角中立位置として設定し、該暫定操舵角中立位置の近傍に操舵角が存在する際に、暫定操舵角中立位置と操舵角との差から操舵角中立位置を引いた角度に基づいて、該操舵角中立位置を補正する装置が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−020499号公報
【特許文献2】特開平10−278816号公報
【特許文献3】特開平11−034899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、先行車及び自車両各々における舵角中点補正の精度が互いに異なる可能性がある。すると、舵角中点補正の精度が互いに異なることに起因して、自車両を先行車に適切に追従させられない可能性があるという技術的問題点がある。
【0007】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、自車両を先行車に適切に追従させることができる追従制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の追従制御装置は、上記課題を解決するために、通信により取得された先行車に係る舵角情報に基づいて、自車両を前記先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能な追従制御装置であって、前記追従制御が実施されておらず、且つ、前記自車両の直進走行時における(i)前記先行車に係る舵角情報及び(ii)前記自車両に係る舵角を、夫々取得する取得手段と、前記取得された前記先行車に係る舵角情報と前記取得された前記自車両に係る舵角との差分を算出し、前記算出された差分を前記自車両の舵角中点として設定する設定手段と、を備える。
【0009】
本発明の第1の追従制御装置によれば、当該追従制御装置は、例えば車車間通信等の通信により先行車に係る舵角情報を取得し、該取得された舵角情報に基づいて、自車両を先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能である。「舵角情報」は、典型的には、例えば舵角センサ等により測定された実際の舵角値から舵角中点の値を引いた、舵角中点補正後の舵角値を示す情報であるが、実際の舵角値であってもよい。
【0010】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる取得手段は、自車両において追従制御が実施されておらず、且つ、自車両の直進走行時における(i)先行車に係る舵角情報、及び(ii)自車両に係る舵角を、夫々取得する。ここで、取得手段は、通信により先行車に係る舵角情報を取得すると共に、例えば舵角センサ等の出力に基づいて自車両の舵角を取得(又は検出)する。
【0011】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる設定手段は、取得された先行車に係る舵角情報と、取得された自車両に係る舵角との差分を算出し、該算出された差分を自車両の舵角中点として設定する。設定手段は、(i)自車両において追従制御が実施される前に、先行車に係る舵角情報と自車両に係る舵角との差分を算出して、自車両の舵角中点を設定してもよいし、(ii)自車両において追従制御が実施されている際に、先行車に係る舵角情報と自車両に係る舵角との差分を算出して、自車両の舵角中点を設定してもよい。
【0012】
「自車両の直進走行時」は、例えば自車両のヨーレートや横加速度等をセンサにより検出し、該検出されたヨーレートや横加速度が所定閾値以下であるか否かを判定することにより、検出すればよい。
【0013】
本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、直線走行時は、先行車に係る舵角中点補正後の舵角値と、自車両に係る舵角中点補正後の舵角値と、は同じになるはずである。このため、先行車に係る舵角中点補正後の舵角値と、自車両に係る舵角中点補正後の舵角値との差分がゼロでない場合は、自車両に係る舵角中点と、先行車に係る舵角中点とが互いに異なっていると推察される。従って、先行車に係る舵角中点補正後の舵角値と、自車両に係る舵角中点補正後の舵角値との差分に基づいて、例えば該差分がゼロになるように自車両の舵角中点を補正すれば、追従制御に対する、先行車及び自車両間の舵角中点の違いに起因する影響を抑制することができる。
【0014】
そこで本発明では、上述の如く、取得手段により、追従制御が実施されておらず、且つ、自車両の直進走行時における(i)先行車に係る舵角情報、及び(ii)自車両に係る舵角が、夫々取得される。そして、設定手段により、先行車に係る舵角情報と自車両に係る舵角との差分が算出され、該算出された差分が自車両の舵角中点として設定される。このため、先行車及び自車両間の舵角中点の違いに起因する影響が抑制され、自車両を先行車に適切に追従させることができる。
【0015】
本発明の第2の追従制御装置は、上記課題を解決するために、通信により取得された先行車に係る舵角情報及び位置情報に基づいて、自車両を前記先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能な追従制御装置であって、前記追従制御が実施されている際に、前記取得された位置情報に基づく前記先行車の軌跡に対する前記自車両の車幅方向の偏差である横ずれ量を算出し、前記算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きい場合には、前記自車両の舵角中点を前記算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正する補正手段を備える。
【0016】
本発明の第2の追従制御装置によれば、
当該追従制御装置は、例えば車車間通信等の通信により先行車に係る舵角情報及び位置情報を取得し、該取得された舵角情報及び位置情報に基づいて、自車両を先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能である。
【0017】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる補正手段は、追従制御が実施されている際に、取得された位置情報に基づく先行車の軌跡に対する自車両の車幅方向の偏差である横ずれ量を算出し、該算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きい場合には、自車両の舵角中点を算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正する。
【0018】
本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、舵角センサの分解能は、例えば1.5度等と比較的粗いことが多い。このため、舵角センサからの出力信号により示される値と、実際の舵角値とは互いに異なる可能性がある。すると、舵角中点補正後の舵角値を用いて追従制御が実施されたとしても、先行車の軌跡と自車両の軌跡とがずれる可能性がある。
【0019】
そこで本発明では、上述の如く、追従制御が実施されている際に、補正手段により、取得された位置情報に基づく横ずれ量が算出され、該算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きい場合には、自車両の舵角中点が、算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正される。つまり、本発明では、横ずれ量により舵角センサの分解能の影響の有無を判定し、舵角センサの分解能の影響が有る場合(即ち、算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きい場合)には、自車両の舵角中点が補正される。この結果、自車両を先行車に適切に追従させることができる。
【0020】
加えて、追従制御が実施されている際に、自車両の舵角中点が補正されるので、実用上非常に有利である。
【0021】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る自車両の走行状況の一例を示す概念図である。
【図2】第1実施形態に係る自車両の構成を示すブロック図である。
【図3】自車両及び先行車各々の舵角の時間変動の一例である。
【図4】第1実施形態に係る追従制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る追従制御処理を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係る追従制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の追従制御装置に係る実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0024】
<第1実施形態>
本発明の追従制御装置に係る第1実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0025】
本実施形態に係る自車両10は、例えば図1に示すように、先行車20の後方を走行している。先行車20は車車間通信機(図示せず)を備えており、該車車間通信機を介して、先行車20に係る、例えば車両ID(Identifier)、車速、加速度、位置、舵角等の車両情報を逐次発信している。尚、図1は、本実施形態に係る自車両の走行状況の一例を示す概念図である。
【0026】
次に、自車両10の要部構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る自車両の構成を示すブロック図である。
【0027】
図2において、自車両10は、距離センサ11、車速センサ12、舵角センサ13、位置センサ14、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)15、車車間通信機16、スロットルアクチュエータ17、及びブレーキアクチュエータ18を備えて構成されている。
【0028】
例えばレーダ等を備えてなる距離センサ11は、自車両10から先行車20までの距離を検出する。車速センサ12は、自車両10の車速を検出する。舵角センサ13は、複数の操舵輪(図示せず)各々の舵角を検出する。例えばGPS(Global Positioning System)等である位置センサ14は、自車両10の位置を検出する。ECU15は、自車両10全体を統括制御する。
【0029】
自車両10に搭載された追従制御装置100は、各種センサから出力された信号、更には、車車間通信機16を介して取得された情報、に基づいて、スロットルアクチュエータ17及びブレーキアクチュエータ18を制御することにより、自車両10及び先行車20間の距離を一定に保ちつつ、自車両10を先行車20に追従させる追従制御を実施可能に構成されたECU15を備えて構成されている。つまり、本実施形態では、自車両10の各種電子制御用のECU15の機能の一部を、追従制御装置100の一部として用いている。
【0030】
ここで、舵角センサ13からの出力信号により示される値には、舵角及び舵角中点が含まれている。ECU15が舵角センサ13により検出された舵角情報を用いる際には、舵角から舵角中点を引いた値(即ち、舵角中点補正後の値)が用いられる。
【0031】
ところで、舵角センサの分解能(Least Significant Bit:LSB)は、例えば1.5度と比較的粗いことが多い。このため、例えば、舵角センサの分解能の粗さや舵角センサのガタ等に起因して、舵角中点補正後の値が、車両によって異なることが多い。すると、自車両10及び先行車20が直進走行していたとしても、舵角中点補正後の値が相互に異なる可能性がある(図3の20秒から40秒までの期間におけるグラフ参照)。この結果、自車両10において舵角中点補正後の値を用いて追従制御が実施されたとしても、先行車20の軌跡と自車両10の軌跡とがずれる可能性がある。尚、図3は、自車両10及び先行車20各々の舵角の時間変動の一例である。
【0032】
本実施形態では特に、追従制御装置100の一部としてのECU15が、車車間通信機16を介して、追従制御が実施されておらず、且つ、自車両10(及び先行車20)の直進走行時における先行車20に係る舵角情報を取得する。ECU15は、更に、舵角センサ13を介して、追従制御が実施されておらず、且つ、自車両10(及び先行車20)の直進走行時における自車両10の舵角を取得する。尚、先行車20に係る舵角情報と、自車両10に係る舵角は、同時期に取得されればよく、必ずしも同時に取得されなくてよい。
【0033】
ECU15は、更に、取得された先行車20に係る舵角情報と、取得された自車両10に係る舵角と、の差分を算出し、該算出された差分を自車両10の舵角中点として設定する。
【0034】
この結果、先行車20及び自車両10間の舵角中点の違いに起因する影響が抑制され、自車両10を先行車20に適切に追従させることができる。尚、本実施形態に係る「ECU15」は、本発明に係る「取得手段」及び「設定手段」の一例である。
【0035】
次に、以上のように構成された追従制御装置100における追従制御処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
図4において、追従制御装置100の一部としてのECU15は、先ず、車車間通信機16を介して取得された先行車20に係る、例えば舵角情報、及び舵角センサ13の出力信号に基づく自車両10に係る舵角等に基づいて、自車両10及び先行車20が直進走行をしているか否かを判定する(ステップS101)。
【0037】
自車両10及び先行車20の少なくとも一方が直進走行していないと判定された場合(ステップS101:No)、ECU15は再びステップS101の処理を実施する。他方、自車両10及び先行車20が直進走行をしていると判定された場合(ステップS101:Yes)、ECU15は、先行車20に係る舵角(即ち、舵角中点補正後の舵角値)と自車両10に係る舵角(即ち、舵角中点補正後の舵角値)との差分値を算出する(ステップS102)。
【0038】
続いて、ECU15は、算出された差分値を、自車両10に係る舵角中点とする(ステップS103)。その後、追従制御装置100は、自車両10を先行車20に追従させる追従制御を実施する(ステップS104)。該追従制御の実施中、ECU15は、車車間通信機16を介して取得された先行車20に係る舵角情報と、自車両10に係る舵角中点との差分値を、自車両10に係る指示舵角とする(ステップS105)。
【0039】
尚、本実施形態では、追従制御の実施前(即ち、ステップS104の処理の前)に、先行車20に係る舵角情報と自車両10に係る舵角との差分が算出され舵角中点が設定されているが、追従制御が実施されている際に、舵角中点が設定されてもよい。具体的には例えば、ECU15は、追従制御が実施されておらず、且つ、自車両10の直進走行時に、予め、先行車20に係る舵角情報及び自車両10に係る舵角を取得し、該取得された先行車20に係る舵角情報及び取得された自車両10に係る舵角を、メモリ等に格納する。その後、追従制御が実施されている際に、ECU15は、格納された先行車20に係る舵角情報及び自車両10に係る舵角に基づいて、先行車20に係る舵角情報と自車両10に係る舵角との差分を算出し、該算出された差分を自車両10に係る舵角中点としてもよい。
【0040】
<第2実施形態>
本発明の追従制御装置に係る第2実施形態を、図5を参照して説明する。第2実施形態では、追従制御処理が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
本実施形態では特に、追従制御装置100の一部としてのECU15追従制御が実施されている際に、車車間通信機16を介して取得された先行車20に係る位置情報に基づく先行車20の軌跡に対する自車両10の車幅方向の偏差である横ずれ量を算出し、該算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きい場合には、自車両10の舵角中点を算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正する。この結果、自車両10を先行車20に適切に追従させることができる。尚、本実施形態に係る「ECU15」は、本発明に係る「補正手段」の一例である。
【0042】
次に、以上のように構成された追従制御装置100における追従制御処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
図5において、追従制御装置100は、先ず、自車両10を先行車20に追従させる追従制御を実施する(ステップS201)。追従制御装置100の一部としてのECU15は、車車間通信機16を介して取得された先行車20に係る位置情報に基づく先行車20の軌跡に対する自車両10の横ずれ量を算出する(ステップS202)。
【0044】
続いて、ECU15は、今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量以上であるか否かを判定する(ステップS203)。今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量未満であると判定された場合(ステップS203:No)、ECU15は、今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量以上である回数を示すカウンタをリセットする(ステップS207)。
【0045】
他方、今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量以上であると判定された場合(ステップS203:Yes)、ECU15は、カウンタの値を1だけ増加する(ステップS204)。続いて、ECU15は、カウンタの値が所定値より大きいか否かを判定する(ステップS205)。カウンタの値が所定値以下であると判定された場合(ステップS205:No)、リターンされる。
【0046】
他方、カウンタの値が所定値より大きいと判定された場合(ステップS205:Yes)、ECU15は、自車両10の舵角中点を、算出された横ずれ量が小さくなる方向に、1LSBだけ(例えば、1LSBが1.5度である場合には、1.5度だけ)増加又は減少させて、新たな舵角中点を求める(ステップS206)。ステップS206の処理と相前後して、ECU15は、カウンタをリセットする(ステップS207)。
【0047】
<第3実施形態>
本発明の追従制御装置に係る第3実施形態を、図6を参照して説明する。第3実施形態では、追従制御処理が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
図6において、追従制御装置100の一部としてのECU15は、上述したステップS104の処理の後、車車間通信機16を介して取得された先行車20に係る位置情報に基づく先行車20の軌跡に対する自車両10の横ずれ量を算出する(ステップS301)。
【0049】
続いて、ECU15は、今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量以上であるか否かを判定する(ステップS302)。今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量未満であると判定された場合(ステップS302:No)、ECU15は、今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量以上である回数を示すカウンタをリセットする(ステップS306)。
【0050】
他方、今回算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量以上であると判定された場合(ステップS302:Yes)、ECU15は、カウンタの値を1だけ増加する(ステップS303)。続いて、ECU15は、カウンタの値が所定値より大きいか否かを判定する(ステップS304)。カウンタの値が所定値以下であると判定された場合(ステップS304:No)、リターンされる。
【0051】
他方、カウンタの値が所定値より大きいと判定された場合(ステップS304:Yes)、ECU15は、自車両10の舵角中点を、算出された横ずれ量が小さくなる方向に、1LSBだけ増加又は減少させて、新たな舵角中点を求める(ステップS305)。ステップS305の処理と相前後して、ECU15は、カウンタをリセットする(ステップS306)。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う追従制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
10…自車両、11…距離センサ、12…車速センサ、13…舵角センサ、14…位置センサ、15…ECU、16…車車間通信機、17…スロットルアクチュエータ、18…ブレーキアクチュエータ、20…先行車、100…追従制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信により取得された先行車に係る舵角情報に基づいて、自車両を前記先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能な追従制御装置であって、
前記追従制御が実施されておらず、且つ、前記自車両の直進走行時における(i)前記先行車に係る舵角情報及び(ii)前記自車両に係る舵角を、夫々取得する取得手段と、
前記取得された前記先行車に係る舵角情報と前記取得された前記自車両に係る舵角との差分を算出し、前記算出された差分を前記自車両の舵角中点として設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする追従制御装置。
【請求項2】
通信により取得された先行車に係る舵角情報及び位置情報に基づいて、自車両を前記先行車に追従させる制御である追従制御を実施可能な追従制御装置であって、
前記追従制御が実施されている際に、前記取得された位置情報に基づく前記先行車の軌跡に対する前記自車両の車幅方向の偏差である横ずれ量を算出し、前記算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きい場合には、前記自車両の舵角中点を前記算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正する補正手段を備える
ことを特徴とする追従制御装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きくなった回数を計数し、前記計数された回数が所定値より大きくなったことを条件に、前記自車両の舵角中点を前記算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正することを特徴とする請求項2に記載の追従制御装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記算出された横ずれ量が、前回算出された横ずれ量よりも大きくなった時点から所定時間経過後に、前記自車両の舵角中点を前記算出された横ずれ量が小さくなる方向に補正することを特徴とする請求項2に記載の追従制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107571(P2013−107571A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255825(P2011−255825)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】