説明

送風機構

【課題】 送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な送風機構において、騒音及び振動の増大を抑えながら、風量増大を図る。
【解決手段】 一定の回転方向A1に回転駆動される回転体21に対する送風羽根36の角度を中立位置から正方向に変更すると、送風羽根36により正方向に風が発生し、送風羽根36の角度を中立位置から逆方向に変更すると、送風羽根36により逆方向に風が発生するように構成する。送風羽根36の基部側部分における回転方向上手側の縁部36aを、回転体21から離れるほど支持軸芯P1側から回転方向上手側に位置するように構成する。送風羽根36の端部側部分における回転方向上手側及び下手側の縁部37c,37dが、回転体21から離れるほど回転方向下手側に位置するように、送風羽根36の端部側部分に回転方向に対する後退角B1,B2を持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な送風機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、コンバインのラジエータの冷却ファンとして、送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な送風機構が使用されることがある。この場合、通常は送風機構の送風方向を正方向に設定しておいて、ラジエータに風を供給するのであり、設定時間の経過毎に送風機構の送風方向を逆方向に設定して、ラジエータに付着したゴミ等を吹き飛ばす。
【0003】
特許文献1では、一定の回転方向に回転駆動される回転体(特許文献1の図5,6,8の41)の外周部に、複数の送風羽根(特許文献1の図5,6,8の42)を支持し、回転体の半径方向に沿った支持軸芯(特許文献1の図5,6,8のP2)周りに、送風羽根の角度を変更自在に構成している。これにより、特許文献1の図7(イ)(ロ)に示すように、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から正方向及び逆方向に変更することによって、送風方向を正方向及び逆方向に変更することができる。
特許文献1では、送風羽根(特許文献1の図4,8,9の42)が、直線的な羽根に構成されている(送風羽根の回転方向上手側及び下手側の縁部が、回転体の半径方向に沿って直線状になっている)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−37749号公報(図4,5,6,8,9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な送風機構において、風量増大の必要が生じてきている。この場合、特許文献1の送風羽根の長さを長くしたり、送風羽根の幅を大きくしたりして、送風羽根の面積を大きくすることが考えられるが、これに伴って騒音及び振動が増大するので、改善の余地がある。
本発明は送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な送風機構において、騒音及び振動の増大を抑えながら、風量増大を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、送風機構において次のように構成することにある。
一定の回転方向に回転駆動される回転体と、回転体の外周部に支持された複数の送風羽根と、回転体の半径方向に沿った支持軸芯周りに回転体に対する送風羽根の角度を変更する角度変更手段とを備えて、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から正方向に変更すると、送風羽根により正方向に風が発生し、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から逆方向に変更すると、送風羽根により逆方向に風が発生するように構成する。送風羽根の基部側部分における回転方向上手側の縁部を、回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向上手側に位置するように構成する。送風羽根の端部側部分における回転方向上手側及び下手側の縁部が、回転体から離れるほど回転方向下手側に位置するように、送風羽根の端部側部分に回転方向に対する後退角を持たせる。
【0007】
(作用)
送風羽根の長さを長くしたり、送風羽根の幅を大きくしたりして、送風羽根の面積を大きくして風量増大を図った場合、これに伴って騒音及び振動が増大することが考えられるのであるが、本発明の第1特徴によると、送風羽根の端部側部分における回転方向上手側及び下手側の縁部が、回転体から離れるほど回転方向下手側に位置するように、送風羽根の端部側部分に回転方向に対する後退角を持たせている。これにより、送風羽根に発生する圧力を後退角によって分散・平均化することができて、騒音及び振動の増大が抑えられる。
【0008】
本発明の第1特徴では、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から正方向に変更すると、送風羽根により正方向に風が発生し、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から逆方向に変更すると、送風羽根により逆方向に風が発生するように構成している。この構成において、送風羽根の後退角を大きく設定すると、送風羽根の端部側部分が隣の送風羽根の領域に入ってしまい、回転体に対する送風羽根の角度を変更しようとしても、隣接する送風羽根が干渉してしまうことがある。
本発明の第1特徴によると、送風羽根の基部側部分から後退角を持たせるのではなく(送風羽根の全てに後退角を持たせるのではなく)、送風羽根の端部側部分に後退角を持たせている。この場合、送風羽根の端部側部分だけではあまり長いものにならないので、送風羽根の端部側部分の後退角を大きなものに設定しても、送風羽根の端部側部分が隣の送風羽根の領域に入るようなことがなく、隣接する送風羽根が干渉してしまうようなことがない。
【0009】
本発明の第1特徴では、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から正方向に変更すると、送風羽根により正方向に風が発生し、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から逆方向に変更すると、送風羽根により逆方向に風が発生するように構成している。この構成において、特に送風羽根の幅を大きくしたりして、送風羽根の面積を大きくして風量増大を図った場合、送風羽根の基部側部分が隣の送風羽根の領域に入ってしまい、回転体に対する送風羽根の角度を変更しようとしても、隣接する送風羽根が干渉してしまうことがある。
本発明の第1特徴によると、送風羽根の基部側部分における回転方向上手側の縁部を、回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向上手側に位置するように構成しており、送風羽根の基部側部分における回転方向上手側の縁部が、隣の送風羽根の領域に入るようなことがなく、隣接する送風羽根が干渉してしまうようなことがない。隣の送風羽根の基部側部分における回転方向下手側の縁部が、この送風羽根の領域に入ってしまっても、隣接する送風羽根が干渉してしまうようなことがない。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な送風機構において、送風羽根の面積を大きくして風量増大を図っても、これに伴う騒音及び振動の増大を抑えることができるようになって、風量の確保及び静粛性の向上を図ることができた。
本発明の第1特徴によると、送風羽根の端部側部分に後退角を持たせても、特に送風羽根の幅を大きくしたりして送風羽根の面積を大きくしても、隣接する送風羽根が干渉せずに、回転体に対する送風羽根の角度を支障なく変更することができるようになって、送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な機能が確保されている。
【0011】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の送風機構において次のように構成することにある。
送風羽根の基部側部分における回転方向下手側の縁部を、回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向下手側に位置するように構成する。
【0012】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から正方向に変更すると、送風羽根により正方向に風が発生し、回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から逆方向に変更すると、送風羽根により逆方向に風が発生するように構成している。この構成において、特に送風羽根の幅を大きくしたりして、送風羽根の面積を大きくして風量増大を図った場合、送風羽根の基部側部分が隣の送風羽根の領域に入ってしまい、回転体に対する送風羽根の角度を変更しようとしても、隣接する送風羽根が干渉してしまうことがある。
【0013】
本発明の第2特徴によると、送風羽根の基部側部分における回転方向上手側の縁部を、回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向上手側に位置するように構成するのに加えて、送風羽根の基部側部分における回転方向下手側の縁部を、回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向下手側に位置するように構成している。これにより、隣接する送風羽根が干渉してしまう状態を充分に避けることができるようになる。
【0014】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、隣接する送風羽根が干渉してしまう状態を充分に避けることができるようになって、送風方向を正方向及び逆方向に変更自在な機能がさらに充分に確保されるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[1]
図1及び図2に示すように、クローラ型式の走行装置1で支持された機体の前部に、刈取部2が昇降自在に備えられ、機体に運転部3が備えられており、機体の後部左側に脱穀装置4が備えられ、機体の後部右側にグレンタンク5が備えられて、自脱型式のコンバインが構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、運転部3の後部下部にエンジン6が備えられ、エンジン6を覆うボンネット7が備えられており、ボンネット7の上部に運転座席8が支持されている。ボンネット7の右横壁部の略全面に防塵網9が張られ、ボンネット7の右横壁部とエンジン6との間にラジエータ10及び冷却ファン11(送風機構に相当)が備えられており、冷却ファン11によって空気が防塵網9及びボンネット7の内部を通って、ラジエータ10に供給される。
【0017】
[2]
次に、冷却ファン11の回転体21の付近について説明する。
図2,3,4に示すように、ボンネット7の内部においてエンジン6が左右向きに配置されており、エンジン6のラジエータ10側の部分の上部に、ラジエータ10用のウォーターポンプ12及びオルタネータ13が備えられ、エンジン6のラジエータ10側の部分の下部に出力軸6aが備えられて、出力軸6aに出力プーリー6bが固定されている。ウォーターポンプ12の入力軸12aにフランジ部14が固定され、入力プーリー12bがボルト15によりフランジ部14に固定されている。
【0018】
図2,3,4に示すように、オルタネータ13の入力軸13aに入力プーリー13bが固定され、エンジン6の出力プーリー6b、ウォーターポンプ12の入力プーリー12b及びオルタネータ13の入力プーリー13bに亘って伝動ベルト16が巻回されている。これにより、エンジン6の出力軸6aの動力によって、ウォーターポンプ12の入力軸12a及びオルタネータ13の入力軸13aが回転方向A1に回転駆動される。
【0019】
図4及び図6に示すように、円筒状の回転基部17がボルト15により入力プーリー12bと一緒にフランジ部14に固定され、回転カム体18がボルト19により回転基部17に固定されている。回転カム体18に複数本のガイドピン20が固定されており、円盤状の回転体21の複数のボス部21aに、ガイドピン20がスライド自在に挿入されている。図9(イ)に示すように、後述する回転カム体18のカム部18a及びガイドピン20にグリスが塗布されて、回転体21のボス部21aにグリスが漏れ出るのを防止するシール部材22が取り付けられており、シール部材22を固定するリング状の固定板23が備えられ、固定板23がボルト24により回転体21のボス部21aに固定されている。これにより、ウォーターポンプ12の入力軸12aと一緒に、回転基部17、回転カム体18、回転体21及び後述する送風羽根36が回転方向A1(一定の回転方向に相当)に回転駆動される。
【0020】
図4及び図6に示すように、回転カムタイ18に固定された支持軸38に受け部材25がボルト26により固定されて、回転体21と受け部材25との間にバネ27が取り付けられて、バネ27により回転体21がガイドピン20に沿って図4の紙面左方にスライドするように付勢されている。図4及び図5に示すように、エンジン6のラジエータ10側の部分の上部にブラケット30が固定され、ブラケット30から延出された2本のアーム30aに支持ピン31が両持ち状に支持されている。二股状の操作フォーク32のボス部32aが支持ピン31周りに揺動自在に支持され、リング状の操作部材28がベアリング29を介して回転体21に取り付けられており、操作フォーク32の端部が操作部材28に接続されている。
【0021】
図4及び図5に示すように、操作フォーク32のボス部32aの中央部に操作アーム32bが固定されており、ウォーターポンプ12の入力軸12aを中心とする放射線の一つに操作フォーク32のアーム32bが位置している(図5参照)。図2及び図3に示すように、エンジン6の後側部に減速機構付きの電動モータ33が固定され、電動モータ33によって揺動駆動される扇型ギヤ34が備えられており、操作フォーク32のアーム32bと扇型ギヤ34とに亘ってワイヤ35が接続されている。
【0022】
これによって電動モータ33によりワイヤ35が引き操作されると、操作フォーク32が支持ピン31周りに図4の紙面右方に操作され、操作フォーク32及び操作部材28を介して、回転体21が図4の紙面右方にバネ27の付勢力に抗してスライド操作される。電動モータ33によりワイヤ35が戻し操作されると、バネ27の付勢力により回転体21が図4の紙面左方にスライド操作される。
【0023】
[3]
次に、冷却ファン11の送風羽根36について説明する。
図4及び図6に示すように、回転体21の外周部に複数のボス部21bが備えられて、ボス部21bに支持軸37が支持され、支持軸37が回転体21の半径方向に沿った支持軸芯P1周りに回転自在(角度変更自在)に支持されている。回転体21の内部において支持軸37に操作アーム37aが固定され、回転カム体18のカム部18aに支持軸37の操作アーム37aが係合しており、支持軸37に送風羽根36が固定されている。
【0024】
図4及び図7に示すように、回転カム体18のカム部18aに支持軸37の操作アーム37aが係合した状態で(係合位置が移動しない状態で)、前項[2]に記載のように、回転体21(支持軸37)が図4及び図7の紙面左右方向にスライド操作されると、支持軸37と回転カム体18のカム部18aとの相対的な位置変化により、支持軸37が支持軸芯P1周りに回転して、支持軸芯P1周りに回転体21に対する送風羽根36の角度が変更される。
【0025】
図6に示すように、送風羽根36は、ガラス繊維入りのポリプロピレンにより一体的に形成されて、充分な強度を備えるように構成されている。送風羽根36が7枚である場合に、回転体21の円周(360°)のうち、一つの送付羽根36が占める範囲B1は、360°を7等分した約51°の範囲となるのであり、範囲B1に対して、支持軸芯P1の位置が範囲B1の中央から少し回転方向下手側(図6の紙面反時計方向側)に位置している。
【0026】
図6に示すように、送風羽根36の基部側部分における回転方向上手側の縁部36aが回転体21から離れるほど支持軸芯P1側から回転方向上手側(図6の紙面時計方向側)に位置するように、支持軸芯P1に対して傾斜するように構成されている(送風羽根36の基部側部分における回転方向上手側の縁部36aが切り欠かれた状態)。送風羽根36の基部側部分における回転方向下手側の縁部36bが、回転体21から離れるほど支持軸芯P1側から回転方向下手側(図6の紙面反時計方向側)に位置するように、支持軸芯P1に対して傾斜するように構成されている(送風羽根36の基部側部分における回転方向下手側の縁部36bが切り欠かれた状態)。
【0027】
この場合、支持軸芯P1の位置が範囲B1の中央から少し回転方向下手側(図6の紙面反時計方向側)に位置していることにより、送風羽根36の基部側部分における回転方向下手側の縁部36bよりも、送風羽根36の基部側部分における回転方向上手側の縁部36aが長いものになっている。送風羽根36の基部側部分における回転方向上手側及び下手側の縁部36a,36bを、範囲B1の回転方向上手側及び下手側の端部にまで延出することにより、送風羽根36の長さ(外径)を抑えながら送風羽根36の面積を大きなものとしている。
【0028】
図6に示すように、送風羽根36の端部側部分における回転方向上手側及び下手側の縁部36c,36dが、回転体21から離れるほど回転方向下手側(図6の紙面反時計方向側)に位置するように、送風羽根36の端部側部分に回転方向A1に対する後退角B1,B2が持たされている。この場合、後退角B1,B2を同じ値に設定したり、後退角B1よりも後退角B2が大きくなるように設定したりする。
【0029】
[4]
次に、送風方向を正方向D1及び逆方向D2に変更する状態について説明する。
図4,6,8(イ)に示す状態は電動モータ33によりワイヤ35が戻し操作されて、バネ27の付勢力により回転体21が図4の紙面左方にスライド操作された状態であり、支持軸芯P1周りに、回転体21に対する送風羽根36の角度が中立位置N1から正方向の角度C1に変更された状態である(以上、角度変更手段に相当)。この場合、図9(イ)に示すように、回転体21のボス部21aが回転カム体18に接当することにより、回転体21の位置が決められる。
【0030】
図4,6,8(イ)に示す状態において、回転体21及び送風羽根36が回転方向A1に回転駆動されると、送風羽根36により正方向D1に風が発生するのであり、風が防塵網9及びボンネット7の内部を通ってラジエータ10に供給される。
この場合に、図4に示すように、回転体21のボス部21bの外周部の外径と、ウォーターポンプ12の入力プーリー12bの外径とが、略同じものになるように設定されている。これにより、送風羽根36により正方向D1に発生する風に対して、ウォーターポンプ12の入力プーリー12bが邪魔にならないようにしながら、回転体21のボス部21bの半径方向の長さが確保されて、回転体21のボス部21bの強度及び送風羽根36の支持強度が高められている。
【0031】
次に図4,6,8(イ)に示す状態が所定時間に亘って維持されると(例えば3分程度)、図7及び図8(ロ)に示すように、自動的に電動モータ33によりワイヤ35が引き操作されて、操作フォーク32が支持ピン31周りに図7の紙面右方に操作され、操作フォーク32及び操作部材28を介して、回転体21が図7の紙面右方にバネ27の付勢力に抗してスライド操作される。これにより、支持軸芯P1周りに、回転体21に対する送風羽根36の角度が中立位置N1から逆方向の角度C2に変更される(以上、角度変更手段に相当)。この場合、図9(ロ)に示すように、回転体21のボス部21aが回転カム体18から大きく離れるのであり、図8(イ)(ロ)に示すように、正方向の角度C1の絶対値と逆方向の角度C2の絶対値とは略同じものである。
【0032】
図7及び図8(ロ)に示す状態において、回転体21及び送風羽根36が回転方向A1に回転駆動されると、送風羽根36により逆方向D2に風が発生するのであり、風がラジエータ10に逆方向から供給されて、ラジエータ10に付着したゴミ等が図8(ロ)の紙面右方に吹き飛ばされる。この後、短い所定時間(例えば10秒程度)が経過すると、図7及び図8(ロ)に示す状態から、図4,6,8(イ)に示す状態に自動的に復帰する。この場合、図7及び図8(ロ)に示す状態において、回転体21が図8(ロ)の紙面右方にバネ27の付勢力に抗してスライド操作さると、回転体21及び回転羽根36がラジエータ10に接近することになるので、ラジエータ10に付着したゴミ等がさらに良く図8(ロ)の紙面右方に吹き飛ばされる。
【0033】
図4及び図7に示すように、回転体21において、支持軸38が通過するボス部21cが、図4及び図7の紙面左右方向に長いものに設定され(回転体21のボス部21aがボス部21cの端部に対して図4及び図7の紙面右方に離れるように設定され)、ベアリング29が取り付けられるフランジ部21dが、少し厚みのあるものに設定されていることによって、回転体21の内部の図4及び図7の紙面左右方向の幅が大きなものに設定されている。
【0034】
これにより、回転体21の移動ストローク(回転体21のボス部21aが回転カム体18に接当する位置(図9(イ)参照)と、回転体21のボス部21aが回転カム体18から離れる位置(図9(ロ)参照)とに亘る範囲)が大きなものとなって、図8(イ)(ロ)に示す中立位置N1から正及び逆方向の角度C1,C2を大きなものとなっている。これに伴ってワイヤ35の引き及び戻し操作のストロークも長くなって、ワイヤ35の微調整が行い易くなる。
【0035】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]の図9(イ)(ロ)において、短いボルト24に代えて図10(イ)(ロ)に示すように、長いボルト24を使用してもよい(ボルト24の先端が回転体21の内方に少し突出する程度)。
このように構成すると、バネ27の付勢力により回転体21が図10(イ)の紙面左方にスライド操作された場合、ボルト24が回転カム体18に接当することになり、回転体21の移動ストロークが少し抑えられて、図8(イ)に示す中立位置N1から正方向の角度C1を少し小さなものすることができ、送風羽根36により正方向D1に発生する風の風量を少し抑えることができる。
【0036】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]のように、回転体21をスライド操作して、支持軸芯P1周りに回転体21に対する送風羽根36の角度が変更されるように構成するのではく、ウォーターポンプ12の入力軸12aに回転体21を固定し、ウォーターポンプ12の入力軸12aに対して回転カム体18を図4の紙面左右方向にスライド操作することによって、支持軸芯P1周りに回転体21に対する送風羽根36の角度を変更するように構成してもよい。
本発明は、コンバインばかりではなく、農用トラクタや乗用型芝刈機、建設機械や乗用型田植機等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】エンジン、ラジエータ及び冷却ファンの付近の縦断背面図
【図3】エンジン及び冷却ファンの付近の側面図
【図4】回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から正方向の角度に変更された状態において、回転体の付近の縦断背面図
【図5】回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から正方向の角度に変更された状態において、回転体の付近の縦断側面図
【図6】回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から正方向の角度に変更された状態において、回転体の付近の側面図
【図7】回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から逆方向の角度に変更された状態において、回転体の付近の縦断背面図
【図8】回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から正方向の角度に変更された状態(イ)、及び回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から逆方向の角度に変更された状態(ロ)を示す回転体及びラジエータの付近の背面図
【図9】回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から正方向の角度に変更された状態(イ)、及び回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から逆方向の角度に変更された状態(ロ)を示す回転体のボス部及びガイドピンの付近の縦断背面図
【図10】発明の実施の第1別形態において、回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から正方向の角度に変更された状態(イ)、及び回転体に対する送風羽根の角度が中立位置から逆方向の角度に変更された状態(ロ)を示す回転体のボス部及びガイドピンの付近の縦断背面図
【符号の説明】
【0038】
21 回転体
36 送風羽根
36a 送風羽根の基部側部分における回転方向上手側の縁部
36b 送風羽根の基部側部分における回転方向下手側の縁部
36c 送風羽根の端部側部分における回転方向上手側の縁部
36d 送風羽根の端部側部分における回転方向下手側の縁部
A1 回転方向
B1,B2 後退角
N1 中立位置
P1 支持軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の回転方向に回転駆動される回転体と、前記回転体の外周部に支持された複数の送風羽根と、前記回転体の半径方向に沿った支持軸芯周りに回転体に対する送風羽根の角度を変更する角度変更手段とを備えて、
前記回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から正方向に変更すると、送風羽根により正方向に風が発生し、前記回転体に対する送風羽根の角度を中立位置から逆方向に変更すると、送風羽根により逆方向に風が発生するように構成すると共に、
前記送風羽根の基部側部分における回転方向上手側の縁部を、前記回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向上手側に位置するように構成し、
前記送風羽根の端部側部分における回転方向上手側及び下手側の縁部が、前記回転体から離れるほど回転方向下手側に位置するように、前記送風羽根の端部側部分に回転方向に対する後退角を持たせてある送風機構。
【請求項2】
前記送風羽根の基部側部分における回転方向下手側の縁部を、前記回転体から離れるほど支持軸芯側から回転方向下手側に位置するように構成してある請求項1に記載の送風機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−45442(P2008−45442A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219909(P2006−219909)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】