説明

集合プリント配線板

【課題】 動作確認の作業効率が向上する集合プリント配線板を得る。
【解決手段】 本集合プリント配線板10では、動作確認用治具のコネクタが切欠38に対応して捨て基板18の外周部に接続されることで、コネクタの複数の端子と入出力プリント配線28の接続用ランド30とが電気的に接続される。これにより、動作確認用治具は、入出力プリント配線28を介してプリント配線板12のプリント配線と電気的に接続されると共に、基板間接続用プリント配線24、26を介してプリント配線板14のプリント配線及びプリント配線板16のプリント配線と電気的に接続される。これにより、動作確認用治具とプリント配線板12、14、16との間における電気信号の入出力が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板を多数枚取りする集合プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板を製造する際には、その製造工程及び部品実装工程での生産効率を向上させるために、複数のプリント配線板を連結させた集合プリント配線板を使用し、この集合プリント配線板を各工程のラインに一括して投入することが一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような集合プリント配線板では、複数のプリント配線板の周囲には、これらを一体的に連結する捨て基板が形成されている。この捨て基板と複数のプリント配線板との境界部分には、切り込みが断続して形成されており、集合プリント配線板は、部品実装工程が終了した後に、上記切り込みに沿って個々のプリント配線板に分離される。
【0004】
ところで、上述の如く集合プリント配線板として製造される複数のプリント配線板は、一般に、個々に分離された後に単品で動作確認を実施されるか、または、分離後に治具により電気的に接続されて動作確認を実施される。このため、不良品を選別するための工数が多く、動作確認の作業効率が悪いという問題があった。
【特許文献1】特開2004−200607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、動作確認の作業効率が向上する集合プリント配線板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の集合プリント配線板は、それぞれに複数の電子部品が実装されると共に前記複数の電子部品を電気的に接続するプリント配線がそれぞれに形成された複数のプリント配線板と、前記複数のプリント配線板の周囲に形成され、前記複数のプリント配線板を一体的に連結すると共に、前記複数のプリント配線板と分離可能とされた捨て基板と、前記複数のプリント配線板及び前記捨て基板に形成され、前記複数のプリント配線板の前記各プリント配線同士を電気的に接続する基板間接続用プリント配線と、前記捨て基板に設けられ、前記複数のプリント配線板のうち少なくとも一つの前記プリント配線板の前記プリント配線に電気的に接続され、当該プリント配線板及び前記基板間接続用プリント配線を介して前記複数の他のプリント配線板との間における電気信号の入出力を可能とする入出力用接点部と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1記載の集合プリント配線板では、複数のプリント配線板及び捨て基板には、基板間接続用プリント配線が形成されており、この基板間接続用プリント配線によって複数のプリント配線板の各プリント配線同士が電気的に接続されている。また、捨て基板には入出力接点部が設けられている。この入出力接点部は、複数のプリント配線板のうち少なくとも一つのプリント配線板のプリント配線に電気的に接続されており、当該プリント配線板及び基板間接続用プリント配線を介して複数の他のプリント配線板との間における電気信号の入出力を可能としている。
【0008】
したがって、本集合プリント配線板では、上記入出力接点部を用いることで、複数のプリント配線板と捨て基板とを分離する前に容易に動作確認を実施することができるので、動作確認の作業効率が向上する。
【0009】
請求項2に係る発明の集合プリント配線板は、請求項1記載の集合プリント配線板において、前記捨て基板は、前記複数のプリント配線板のうち少なくとも一つの前記プリント配線板の前記プリント配線に電気的に接続された集合基板間接続用接点部を有し、互いに独立した複数の前記捨て基板同士が、各々に設けられた前記集合基板間接続用接点部を介して互いに電気的に接続可能とされる、ことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の集合プリント配線板では、捨て基板には、集合基板間接続用接点部が設けられており、互いに独立した複数の捨て基板同士(すなわち、複数の本集合プリント配線板同士)が、各々に設けられた集合基板間接続用接点部を介して電気的に接続可能とされている。したがって、この集合基板間接続用接点部を利用して複数の本集合プリント配線板同士を電気的に接続すれば、当該複数の集合プリント配線板の動作確認をまとめて行うことが可能となり、動作確認の作業効率を一層向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明の集合プリント配線板は、請求項2記載の集合プリント配線板において、それぞれに複数の電子部品が実装されると共に前記複数の電子部品を電気的に接続するプリント配線がそれぞれに形成された複数のプリント配線板と、前記複数のプリント配線板の周囲に形成され、前記複数のプリント配線板を一体的に連結すると共に、前記複数のプリント配線板と分離可能とされた捨て基板と、前記複数のプリント配線板のうち何れか一つの前記プリント配線板と前記捨て基板との間の前記分離部分を介して両者に跨って設けられ、前記何れか一つのプリント配線板の前記プリント配線における複数の部位間を電気的に接続する治具モードプリント配線と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の集合プリント配線板では、複数のプリント配線板のうち何れか一つのプリント配線板と捨て基板との間の分離部分を介して両者に跨って設けられた治具モードプリント配線を備えており、この治具モードプリント配線によって前記何れか一つのプリント配線板のプリント配線における複数の部位間が電気的に接続されている。このため、動作確認の際に、前記何れか一つのプリント配線板のプリント配線における複数の部位間を電気的に接続する必要がある場合でも、当該接続する手間を省くことができ、動作確認の作業効率を向上させることができる。
【0013】
しかも、この治具モードプリント配線は、前述の如く、前記何れか一つのプリント配線板と捨て基板との間の分離部分を介して両者に跨って設けられている。したがって、前記何れか一つのプリント配線板と捨て基板とを分離すれば、治具モードプリント配線による電気的接続状態が解除されるので、前記何れか一つのプリント配線板を簡単に製品状態とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明した如く、本発明に係る集合プリント配線板では、動作確認の作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1には、本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板10の概略的な構成が平面図にて示されている。
【0016】
集合プリント配線板10は、大きさの異なる3つのプリント配線板12、14、16を有している。これらのプリント配線板12、14、16には、それぞれ図示しない複数の電子部品が実装されており、これら複数の電子部品は、プリント配線板12、14、16のそれぞれに形成された図示しないプリント配線によって電気的に接続されている。
【0017】
また、プリント配線板12、14、16の周囲には、これらを一体的に連結する捨て基板18が形成されている。この捨て基板18とプリント配線板12、14、16との各境界部分には、切り込み20が断続して形成されており、切り込み20の断続部分22(以下、「接続ポイント22」という)が切断されることで、プリント配線板12、14、16と捨て基板18とが分離されるようになっている。
【0018】
プリント配線板12とプリント配線板16との間には、複数の基板間接続用プリント配線24が捨て基板18に跨って形成されている。これらの基板間接続用プリント配線24は、プリント配線板12の接続ポイント22及びプリント配線板16の接続ポイント22に対応して形成されており(図2参照)、一端側がプリント配線板12のプリント配線に接続されると共に、他端側がプリント配線板16のプリント配線に接続されている。これにより、プリント配線板12のプリント配線とプリント配線板16のプリント配線とが互いに電気的に接続されている。
【0019】
また、プリント配線板14とプリント配線板16との間には、上記基板間接続用プリント配線24と同様構成の複数の基板間接続用プリント配線26が捨て基板18に跨って形成されている。これらの基板間接続用プリント配線26は、プリント配線板14の接続ポイント22及びプリント配線板16の接続ポイント22に対応して形成されており、一端側がプリント配線板14のプリント配線に接続されると共に、他端側がプリント配線板16のプリント配線に接続されている。これにより、プリント配線板14のプリント配線とプリント配線板16のプリント配線とが互いに電気的に接続されている。
【0020】
さらに、捨て基板18とプリント配線板12との間には、入出力接点部としての複数の入出力プリント配線28が、プリント配線板12の接続ポイント22に跨って形成されている。図3に示す如く、各入出力プリント配線28は、先端部が捨て基板18の外周部に配置されており、図示はしないが基端部がプリント配線板12のプリント配線に接続されている。各入出力プリント配線28の先端部には、矩形状の接続用ランド30が形成されている。これらの接続用ランド30は、動作確認用治具32に配線を介して接続されたコネクタ34の複数の端子36に対応している。また、捨て基板18の外周部には、複数の接続用ランド30の両側に、コネクタ34を案内する切欠38が形成されており、コネクタ34が切欠38に案内されて捨て基板18の外周部に接続されることで、コネクタ34の複数の端子36と、捨て基板18の複数の接続用ランド30とが電気的に接続されるようになっている。
【0021】
また、プリント配線板12を介して入出力プリント配線28と反対側において、捨て基板18とプリント配線板12との間には、集合基板間接続用接点部としての複数の接続用プリント配線40が、プリント配線板12の接続ポイント22に跨って形成されている。これらの接続用プリント配線40は、本集合プリント配線板10同士(互いに独立した捨て基板18同士)を電気的に接続するためのものであり、上記入出力プリント配線28と基本的に同様の構成とされている。
【0022】
すなわち、接続用プリント配線40の先端部は捨て基板18の外周部に配置されており、基端部がプリント配線板12のプリント配線に接続されている。また、各接続用プリント配線40の先端部には、矩形状の接続用ランド42が形成されている。これらの接続用ランド40は、図4に示す如き、基板間接続用のケーブル44の両端に設けられたコネクタ46の複数の端子48に対応している。また、捨て基板18の外周部には、複数の接続用ランド42の両側に、コネクタ46を案内する切欠50が形成されており、コネクタ46が切欠50に案内されて捨て基板18の外周部に接続されることで、コネクタ46の複数の端子48と、捨て基板18の複数の接続用ランド42とが電気的に接続されるようになっている。
【0023】
一方、図1及び図5(A)に示す如く、捨て基板18とプリント配線板16との間には、プリント配線板16の一つの接続ポイント22に対応する位置に治具モードプリント配線52が跨って形成されている。治具モードプリント配線52は、コ字形に形成されており、プリント配線板16のプリント配線における複数の部位(本実施の形態では2箇所)を電気的に接続している。
【0024】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0025】
上記構成の集合プリント配線板10では、動作確認用治具32のコネクタ34が切欠38に対応して捨て基板18の外周部に接続されることで、コネクタ34の複数の端子36と入出力プリント配線28の接続用ランド30とが電気的に接続される。これにより、動作確認用治具32は、入出力プリント配線28を介してプリント配線板12のプリント配線と電気的に接続されると共に、基板間接続用プリント配線24、26を介してプリント配線板14のプリント配線及びプリント配線板16のプリント配線と電気的に接続される。これにより、動作確認用治具32とプリント配線板12、14、16との間における電気信号の入出力が可能となる。
【0026】
したがって、本集合プリント配線板10では、複数のプリント配線板12、14、16と捨て基板18とを分離する前に容易に動作確認を実施することができるので、不良品を分割する工数を低減でき、動作確認の作業効率を向上させることができる。
【0027】
また、動作確認用治具32には、従来のように互いに分離された複数のプリント配線板同士を電気的に接続するための接続ピンを設ける必要がないので、治具の製造コストを低減できる。
【0028】
さらに、本集合プリント配線板10では、捨て基板18には、集合基板間接続用接点部としての接続用プリント配線40が設けられており、ケーブル44によって2つの本集合プリント配線板10同士を電気的に接続することができる。すなわち、ケーブル44の一方のコネクタ46を切欠50に対応して一方のプリント配線板10の捨て基板18の外周部に接続すると共に、ケーブル44の他方のコネクタ46を切欠50に対応して他方のプリント配線板10の捨て基板18の外周部に接続すれば、2つのプリント配線板10がケーブル44を介して電気的に接続される(図4参照)。したがって、2つの集合プリント配線板10の動作確認をまとめて行うことが可能となり、動作確認の作業効率を一層向上させることができる。
【0029】
またさらに、本集合プリント配線板10では、治具モードプリント配線52によってプリント配線板16のプリント配線における2部位間が電気的に接続されている。このため、動作確認の際に、プリント配線板16のプリント配線における前記2部位間を電気的に接続する必要がある場合でも、当該接続する手間を省くことができ、動作確認の作業効率をより一層向上させることができる。
【0030】
しかも、この治具モードプリント配線52は、プリント配線板16と捨て基板18との間の分離部分(接続ポイント22)を介して両者に跨って設けられている。したがって、図5(B)に示す如く、プリント配線板16と捨て基板18とを分離すれば、治具モードプリント配線52による前記電気的接続状態が解除されるので、プリント配線板16を簡単に製品状態とすることができる。
【0031】
以上説明した如く、本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板10では、動作確認の作業効率が向上する。
【0032】
また、本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板10では、入出力プリント配線28の先端部(接続用ランド30)、及び、接続用プリント配線40の先端部(接続用ランド42)が、捨て基板18の外周部に形成された構成である。したがって、接続用ランド30及び接続用ランド42を大きく形成することができるので、動作確認用治具32のコネクタ34の複数の端子36や、ケーブル44のコネクタ46の複数の端子48との良好な接続状態を確保することができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、ケーブル44によって2つの集合プリント配線板10を接続する場合について説明したが、これに限らず、接続用プリント配線42を捨て基板18に複数形成したり、ケーブル44のコネクタ46の構成を変更したりすれば、3つ以上の集合プリント配線板10をケーブル44によって電気的に接続することもできる。
【0034】
また、上記実施の形態では、入出力プリント配線28及び接続用プリント配線40は、プリント配線板12に対応して設けられ、各基端部がプリント配線板12のプリント配線に接続された構成としたが、これに限らず、入出力プリント配線28及び接続用プリント配線40がプリント配線板14やプリント配線板16に対応して設けられ、各基端部がプリント配線板14のプリント配線又はプリント配線板16のプリント配線に接続された構成としてもよい。
【0035】
さらに、上記実施の形態では、入出力プリント配線28と接続用プリント配線40とが独立して設けられた構成としたが、プリント配線板12、14、16の各プリント配線の回路を好適に設定すれば、入出力プリント配線28と接続用プリント配線40とを共用する(一つにする)ことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板の基板間接続用プリント配線の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板の入出力用接点部の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板の集合基板間接続用接点部の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る集合プリント配線板の治具モードプリント配線の構成を示し、(A)は、プリント配線板と捨て基板との分離前の状態を示す平面図であり、(B)は、プリント配線板と捨て基板との分離後の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 集合プリント配線板
12、14、16 プリント配線板
18 捨て基板
24、26 基板間接続用プリント配線
28 入出力プリント配線(入出力接点部)
40 接続用プリント配線(集合基板間接続用接点部)
52 治具モードプリント配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに複数の電子部品が実装されると共に前記複数の電子部品を電気的に接続するプリント配線がそれぞれに形成された複数のプリント配線板と、
前記複数のプリント配線板の周囲に形成され、前記複数のプリント配線板を一体的に連結すると共に、前記複数のプリント配線板と分離可能とされた捨て基板と、
前記複数のプリント配線板及び前記捨て基板に形成され、前記複数のプリント配線板の前記各プリント配線同士を電気的に接続する基板間接続用プリント配線と、
前記捨て基板に設けられ、前記複数のプリント配線板のうち少なくとも一つの前記プリント配線板の前記プリント配線に電気的に接続され、当該プリント配線板及び前記基板間接続用プリント配線を介して前記複数の他のプリント配線板との間における電気信号の入出力を可能とする入出力用接点部と、
を備えた集合プリント配線板。
【請求項2】
前記捨て基板は、前記複数のプリント配線板のうち少なくとも一つの前記プリント配線板の前記プリント配線に電気的に接続された集合基板間接続用接点部を有し、
互いに独立した複数の前記捨て基板同士が、各々に設けられた前記集合基板間接続用接点部を介して互いに電気的に接続可能とされる、
ことを特徴とする請求項1記載の集合プリント配線板。
【請求項3】
それぞれに複数の電子部品が実装されると共に前記複数の電子部品を電気的に接続するプリント配線がそれぞれに形成された複数のプリント配線板と、
前記複数のプリント配線板の周囲に形成され、前記複数のプリント配線板を一体的に連結すると共に、前記複数のプリント配線板と分離可能とされた捨て基板と、
前記複数のプリント配線板のうち何れか一つの前記プリント配線板と前記捨て基板との間の前記分離部分を介して両者に跨って設けられ、前記何れか一つのプリント配線板の前記プリント配線における複数の部位間を電気的に接続する治具モードプリント配線と、
を備えた集合プリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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