説明

電子機器収納ケース

【課題】振動発生時において、異音の発生を確実に防止可能な電子機器収納ケースを提供する。
【解決手段】互いに凹凸係止手段によって係止されるケース本体1とケースカバー2とから構成され、内部に基板3を収納する電子機器収納ケースにおいて、前記凹凸係止手段は、ケース本体1に突設される係止突部121と、ケースカバー2においてケース本体1の係止突部121が突設された本体壁部11と対向するカバー壁部22に穿設されて係止突部121が挿通して当該係止突部121を係止する係止孔部221とから構成され、前記係止突部121は、係止孔部221に係止された際に当該係止孔部221の内壁に圧接する嵌合突部122が側面に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車輌に搭載されたECU(Engine Control Unit)等で、互いに凹凸係止手段によって係止される2つの部材から構成される電子機器収納ケース内部に基板が収納されていた。
【0003】
上記電子機器収納ケースが備える凹凸係止手段は、一方の部材に突設される係止突部と、他方の部材において一方の部材の係止突部が突設された面と対向する面に穿設されて係止突部が挿通して当該係止突部を係止する係止孔部とから構成される。
【0004】
ここで、上記凹凸係止手段を備える電子機器収納ケースは、製造誤差等によって係止突部と係止孔部との間に隙間が生じる虞がある。そのため、係止突部と係止孔部との間に隙間がある電気機器収納ケースが、車輌のECU等に用いられた場合、車輌走行時の振動等により、係止突部と係止孔部とが互いに接触を繰り返し、異音が発生するといった問題があった。
【0005】
そこで、上記問題を解決するために、係止突部と係止孔部とを互いに係止した際に、電子機器収納ケースを構成する2つの部材を互いに引き離す方向へ弾性付勢する弾性部を一方の部材に設けたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
上記弾性部を備えた電子機器収納ケースは、係止突部と係止孔部とが互いに係止した際に、一方の部材に設けられた弾性部が他方の部材を一方の部材から引き離す方向へ押圧するものである。これにより、係止突部と係止孔部とを互いに圧接させて係止突部と係止孔部との間に隙間ができないようにし、係止突部と係止孔部とのがたつきを阻止して異音の発生を防止しようとしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−37913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記電子機器収納ケースでは、弾性部を別途設ける必要があるため、構造が複雑となってしまうといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で異音の発生を防止可能な電子機器収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、互いに凹凸係止手段によって係止される2つの部材から構成され、内部に基板を収納する電子機器収納ケースにおいて、前記凹凸係止手段は、一方の部材に突設される係止突部と、他方の部材において一方の部材の係止突部が突設された面と対向する面に穿設されて係止突部が挿通して当該係止突部を係止する係止孔部とから構成され、前記係止突部は、係止孔部に係止された際に当該係止孔部の内壁に圧接する嵌合突部が側面に形成されることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、係止突部が係止孔部に係止された際、係止突部に一体に形成された嵌合突部が、係止孔部の内壁に圧接して係止部におけるがたつきが阻止され、簡単な構造で異音の発生を防止することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記嵌合突部は、係止突部の先端側から根元側へ向かうに従って係止突部から離れる方向へ傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、係止孔部が係止突部に係止する際、係止孔部の内周面が嵌合突部の傾斜面を摺動するため、係止をスムーズに行うことができて2つの部材を容易に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明では、簡単な構造で異音の発生を防止可能な電子機器収納ケースを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における電子機器収納ケースの要部断面図を示す。
【図2】同上における電子機器収納ケースの分解斜視図を示す。
【図3】同上における電子機器収納ケースの係止部の拡大図を示す。
【図4】同上における電子機器収納ケースの断面図を示す。
【図5】同上における電子機器収納ケースの要部斜視図を示す。
【図6】同上における電子機器収納ケースの要部断面図を示す。
【図7】同上における電子機器収納ケースの上面図を示す。
【図8】同上における電子機器収納ケースの断面図を示す。
【図9】同上における電子機器収納ケースの要部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態)
本実施形態における電子機器収納ケースについて図1〜9を用いて説明を行う。
【0018】
本実施形態の電子機器収納ケースは、図1,2に示すように、例えば、車輌に搭載されるECU等で、内部に基板3を収納するものであって、一面が開口した略矩形箱型に形成されるケース本体1と、ケース本体1の開口に覆設するケースカバー2とから構成される。
【0019】
ケース本体1は、略矩形状のベース部11と、ベース部11の周縁よりベース部11に対して略垂直に延設されてなる本体壁部12とから構成される。以下、ベース部11の長辺から延設される本体壁部12を本体壁部12Aと称し、ベース部11の短辺から延設される本体壁部12を本体壁部12Bと称して、本体壁部12A,12Bを区別しない場合は、本体壁部12と称す。
【0020】
そして、本体壁部12Aの外面には、長手方向に沿って係止突部121が複数(本実施形態では2つ)開口側に並設されている。
【0021】
係止突部121は、図3に示すように、ケース本体1の開口側からベース部11側に向かうに従って外方向へ傾斜する傾斜面121aと、傾斜面121aの先端と本体壁部12とを結んでベース部11と略平行に形成される係止面121bとから断面略三角形状に形成されている。
【0022】
そして、係止面121bには、係止突部121の先端側から本体壁部12へ向かうに従ってベース部11側へ傾斜する傾斜面122aを備えた断面略三角形状の嵌合突部122が2つ並設されている。
【0023】
また、ケース本体1の4つの角部の内、対角となる1組の角部の近傍には、図4〜6に示すように、ベース部11の長辺に略平行な受けリブ111と、ベース部11の短辺に略平行な受けリブ112とから略十字状に形成された十字リブ110が、ベース部11より突設されている。そして、十字リブ110の交点からは、ケース本体1の開口へ向けて突部113が突設されている。
【0024】
突部113は、略円柱状に形成され、その先端部分は先端に向かうに従って径が小さくなって略円錐台状に形成されている。
【0025】
更に、ケース本体1の長手方向一端側には、ケース本体1の開口側からベース部11に向かうに従って内側方向へ傾斜する傾斜リブ12aが、一対の本体壁部12Aからそれぞれ突設されている。また、ケース本体1の長手方向他端側の本体壁部12Bからは、ケース本体1の開口側からベース部11に向かうに従って内側方向へ傾斜する傾斜リブ12aが、本体壁部12Bの略中央に突設されている。
【0026】
また、ケース本体1の長手方向一端側における一方の角部(十字リブ110が設けられていない側)、及びケース本体1の長手方向他端側における略中央には、ベース部11より開口側へ略直方体状の受けリブ13が突設されている。ここで、受けリブ13の先端と受けリブ111,112の先端とは、面一となっている。
【0027】
そして、基板3は、ケース本体1の開口からケース本体1内へ挿入され、基板3の1組の対角近傍に各々穿設された挿通孔3aを突部113が挿通して位置決めがなされ、十字リブ110、及び受けリブ13上に載置される。その際、突部113の先端が先細り形状の略円錐台型であることから、基板3の挿通孔3aに突部113を容易に挿し込むことができる。
【0028】
ここで、基板3は、突部113に挿通されてから十字リブ110上に載置されるまでに、基板3の端部が傾斜リブ12aに圧接して当該傾斜リブ12aを潰しつつ、十字リブ110側へ嵌め込まれる。従って、基板3は、ケース本体1内において、変形した傾斜リブ12aによって幅方向(基板3の厚み方向に直交する方向)への移動が規制されている。
【0029】
また、ベース部11の外面からは、本体壁部12Bよりも外側まで延設されて、ねじ留め孔15aが穿設される固定片15が形成されている。そして、ねじ留め孔15aに図示しないねじが挿通し、当該ねじが、取り付け箇所の穿設されるねじ孔に螺合することで、ケース本体1が取り付け箇所に固定される。
【0030】
ケースカバー2は、略矩形状の天板部21と、天板部21の周縁より天板部21に対して略垂直に延設されてなるカバー壁部22とから、一面が開口した矩形箱型に形成される。以下、天板部21の長辺から延設されるカバー壁部22をカバー壁部22Aと称し、天板部21の短辺から延設されるカバー壁部22をカバー壁部22Bと称して、カバー壁部22A,22Bを区別しない場合は、カバー壁部22と称す。
【0031】
また、一方のカバー壁部22B、及び一方の本体壁部12Bからは、一端側が外側方向へコネクタ挿入ブロック23,14がそれぞれ突設されている。そして、ケース本体1にケースカバー2が組み付けられた際に、コネクタ挿入ブロック14の外面に形成される係合突部14aが、コネクタ挿入ブロック23の外面に形成される係合部24の係合孔24aに係合されることで中空箱型のコネクタ挿入部26が形成される。
【0032】
コネクタ挿入部26には、その先端面に略矩形状のコネクタ挿入孔26aが穿設されて当該コネクタ挿入孔26aを介して、信号線4が接続されたコネクタ41が電子機器収納ケース内に導入される。そして、コネクタ41が基板3に設けられたコネクタ31に接続することで、図示しないセンサー等と、基板3とが電気的に接続される。
【0033】
そして、ケースカバー2は、ケース本体1に対して開口を互いに対向させた状態でケース本体1の開口に覆設される。その際、本体壁部12Aの外面と、カバー壁部22Aの内面とが互いに対向し、カバー壁部22Aには、本体壁部12Aの外面に設けられた係止突部122と対向する箇所に、係止突部122が挿通して係止突部122を係止する略矩形状の係止孔部221が形成される。
【0034】
ここで、ケース本体1とケースカバー2とを互いに固定する際には、まず、ケース本体1の開口とケースカバー2の開口とを対向させて互いに近づけていく。すると、係止突部121の傾斜面121aに、カバー壁部22Aの先端が当接し、更に、ケース本体1とケースカバー2とを近づけていくことで、カバー壁部22Aは、その内面が傾斜面121aに押圧されて傾斜面121aに沿って外側方向へ撓んでいく。続いて、係止突部121が、カバー壁部22Aの係止孔部221に嵌まり込んで、係止突部121と係止孔部221とが互いに係止されてケース本体1にケースカバー2が取り付けられる。
【0035】
また、係止突部121に係止孔部221が係止する際、係止孔部221に係止突部121が嵌合して係止孔部221の内面が嵌合突部122の傾斜面122a上を摺動し、当該嵌合突部122を圧接して潰す。ここで、嵌合突部122が、係止突部121の先端側から本体壁部12に向かうに従ってベース部11側へ傾斜する断面略三角形状に形成されていることから、スムーズに係止される。
【0036】
従って、本実施形態の電子機器収納ケースは、係止突部121に一体に形成された嵌合突部122が係止孔部221に潰され、潰された嵌合突部122によって係止突部121と係止孔部221との隙間が埋められる。すなわち、係止突部121や係止孔部221に製造誤差があったとしても、係止突部121と係止孔部221との隙間が嵌合突部122によって埋められるため、振動発生時に係止部ががたつくことを阻止でき、異音の発生を簡単な構造で防止することができる。
【0037】
また、天板部21からは、図6、7に示すように、天板部21から開口側に向かうに従って断面積が小さくなる略台形板状の押さえリブ25が形成されており、その先端が基板3の一面(図6における上面)に当接する。そして、基板3の他面に当接する、受けリブ13の先端、及びケース本体1の長手方向一端側に設けられた受けリブ111の先端に、押さえリブ25の先端が基板3を介して対向する。すなわち、基板3は、厚み方向において、押さえリブ25と受けリブ13と受けリブ111とによって挟み込まれて厚み方向のがたつきが規制されている。
【0038】
更に、天板部21には、図8,9に示すように、略U字状の切り欠き21aが複数形成され、各切り欠き21aに囲まれた箇所には厚み方向に弾性を有する板ばね部21bが形成される。そして、板ばね部21bの先端には、ケースカバー2の開口へ向けて略円柱状の押さえ部21cが取り付けられ、その先端が基板3の一面に当接する。ここで、押さえ部21cは、板ばね部21bが下方(押さえ部21cを基板3側へ付勢する方向)に弾性を有するため、基板3の一面を押圧する。そのため、押さえ部21cによって、基板3の厚み方向へのがたつきがより一層規制される。
【0039】
従って、基板3は、電子機器収納ケース内において、傾斜リブ12aによって幅方向(厚み方向に直交する方向)のがたつきが規制され、更に、受けリブ13及び十字リブ110及び押さえリブ25及び押さえ部21cによって厚み方向のがたつきも規制されている。すなわち、振動が発生した場合であっても、基板3のがたつきを阻止できて異音の発生を防止することができる。
【0040】
つまり、本実施形態の電子機器収納ケースは、係止突部121と係止孔部221との係止部におけるがたつき音と、電子機器収納ケース内の基板3のがたつき音との両方を防止できるものとなっている。
【0041】
なお、本実施形態では、嵌合突部122が樹脂から形成されているが、弾性材から形成されていてもよい。その場合、係止突部121と係止孔部221とが係合した状態から係止状態を解除すると、嵌合突部122が変形した状態から変形前の状態へ弾性変形する。そのため、ケース本体1にケースカバー2を再装着した場合であっても、係止突部121と係止孔部221とが、がたつくことが無いため異音の発生を防止することができる。
【0042】
また、本実施形態では、ケース本体1に係止突部121が形成され、ケースカバー2に係止孔部221が形成されているが、係止孔部221をケース本体1に形成し、係止突部121をケースカバー2に形成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ケース本体
2 ケースカバー
3 基板
121 係止突部
122 嵌合突部
221 係止孔部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに凹凸係止手段によって係止される2つの部材から構成され、内部に基板を収納する電子機器収納ケースにおいて、
前記凹凸係止手段は、一方の部材に突設される係止突部と、他方の部材において一方の部材の係止突部が突設された面と対向する面に穿設されて係止突部が挿通して当該係止突部を係止する係止孔部とから構成され、
前記係止突部は、係止孔部に係止された際に当該係止孔部の内壁に圧接する嵌合突部が側面に形成されることを特徴とする電子機器収納ケース。
【請求項2】
前記嵌合突部は、係止突部の先端側から根元側へ向かうに従って係止突部から離れる方向へ傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器収納ケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−9747(P2012−9747A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146252(P2010−146252)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】