電子装置の製造方法
【課題】基板となる板材の一面に突起を設けることなく、電子部品とテープ部材とを離した状態で電子部品をテープ部材で被覆し、板材の切断を行う。
【解決手段】基板形成領域110を一面に複数個有する板材100を用意し、各基板形成領域110に、電子部品として第1の部品21と第1の部品21よりも背が高い第2の部品22とを搭載した後、板材100の一面および電子部品21、22を被覆するようにテープ部材200を板材100の一面に貼り付ける。この貼り付け工程では、テープ部材200を板材100の切断部120に貼り付けるとともに、第2の部品22に貼り付けて第2の部品22に支持させることにより、第1の部品21がテープ部材200とは非接触の状態で被覆されるようにする。その後、板材100を、テープ部材200とは反対側の他面から切り込んで、個々の基板形成領域110単位に切断する。
【解決手段】基板形成領域110を一面に複数個有する板材100を用意し、各基板形成領域110に、電子部品として第1の部品21と第1の部品21よりも背が高い第2の部品22とを搭載した後、板材100の一面および電子部品21、22を被覆するようにテープ部材200を板材100の一面に貼り付ける。この貼り付け工程では、テープ部材200を板材100の切断部120に貼り付けるとともに、第2の部品22に貼り付けて第2の部品22に支持させることにより、第1の部品21がテープ部材200とは非接触の状態で被覆されるようにする。その後、板材100を、テープ部材200とは反対側の他面から切り込んで、個々の基板形成領域110単位に切断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一面に電子部品を搭載してなる電子装置の製造方法であって、一面に複数の基板形成領域を有する板材の各基板形成領域に電子部品を搭載した後、基板形成領域毎に板材を切断して基板単位に個片化する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の両板面の一面に電子部品を搭載してなる電子装置を製造する製造方法としては、基板が形成される基板形成領域を一面に複数個有し、各々の基板形成領域の外周に位置する切断部にて切断されるようになっている板材を用意し、各々の基板形成領域に電子部品を搭載した後、切断部にて板材を切断することにより、個片化された基板を形成する方法が一般的である(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
ここで、従来では、一般的な板材の切断方法としてルーター加工やダイシング加工がある。たとえば、ルーター加工は、BGA(Ball Grid Array)などのプリント基板を用いたICパッケージを分割する方法として採用される。しかし、ルーター加工では、大量の切削屑が発生するし、また、ダイシング加工では、水で切削屑を洗い流すようにしているものの、完全に異物を防ぐことはできない。
【0004】
そこで、上記特許文献1〜4などに記載されているように、従来では、電子部品が搭載されている板材の一面および当該電子部品を被覆するように、テープ部材を板材の一面に貼り付け、この状態で、切断部に沿って板材を切断するようにしている。この方法によれば、切削屑や異物が基板や電子部品に付着するのを防止できる。
【0005】
しかし、この場合、基板の一面に搭載された電子部品にもテープ部材が貼り付く形となるため、テープ部材との接着または接触が問題となるような電子部品、たとえばワイヤボンディング用のベアチップなどが搭載されている場合には、単純にはテープ部材を貼り付けることは困難である。
【0006】
一方で、従来では、特許文献5に記載されているように、シリコン基板に対し、四方向に突起を設け、その突起にテープ部材を貼り付けることで、基板上のアクチュエータ素子や電極などとテープ部材とを接触させずに保護しながら、ダイシングを行うようにした方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−235008号公報
【特許文献2】特開2002−324815号公報
【特許文献3】特許第4173778号公報
【特許文献4】特開2006−261568号公報
【特許文献5】特開2005−277365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献5の方法を適用する場合、基板に対しては必要な回路部とは別に、上記突起を設ける必要があり、コストアップとなる。さらに、基板がプリント基板のような反りの影響を受けやすいものであると、突起とテープ部材との貼り付け性が悪化し、結果、貼り付け界面に隙間が生じ、保護できなくなるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、基板となる板材の一面に突起を設けることなく、電子部品とテープ部材とを離した状態で電子部品をテープ部材で被覆し、板材の切断を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、以下のような工程を有する電子装置の製造方法が提供される。
【0011】
・基板(10)が形成される基板形成領域(110)を一面に複数個有し、各々の基板形成領域(110)の外周に位置する切断部(120)にて切断されるようになっている板材(100)を用意し、電子部品(21、22)の搭載工程では、電子部品として第1の部品(21)と当該搭載後の高さが第1の部品(21)よりも高い第2の部品(22)とを、互いに隣り合うように、各々の基板形成領域(110)について搭載すること。
【0012】
・テープ部材(200)の貼り付け工程では、テープ部材(200)を切断部(120)に貼り付けて、テープ部材(200)のうち切断部(120)に貼り付いている部位の内周に位置する各々の基板形成領域(110)および電子部品(21、22)をテープ部材(200)で被覆して封止すること。
【0013】
・それとともに、テープ部材(200)の貼り付け工程では、テープ部材(200)で被覆されている各々の基板形成領域(110)においては、さらにテープ部材(200)を第2の部品(22)に貼り付けて第2の部品(22)に支持させ、第2の部品(22)の周囲にてテープ部材(200)と板材(100)の一面とが離れた空間を形成することにより、第2の部品(22)に隣り合う第1の部品(21)を当該空間に位置させて、当該第1の部品(21)がテープ部材(200)とは非接触の状態でテープ部材(200)に被覆されるようにすること。
【0014】
・板材(100)の切断は、板材(100)におけるテープ部材(200)が貼り付いている一面とは反対側の他面側から切り込んでいくことにより行うこと。本製造方法はこれらの点を特徴としている。
【0015】
それによれば、第2の部品(22)として、第1の部品(21)よりも背が高く且つテープ部材(200)と貼り付いても問題ないものを用いることで、基板(10)となる板材(100)の一面に上記従来のような突起を設けることなく、電子部品としての第1の部品(21)とテープ部材(200)とを離した状態で第1の部品(21)をテープ部材(200)で被覆し、板材(100)の切断を行うことができる。
【0016】
また、板材(100)をテープ部材(200)側から切り込んでいくと、切断部(120)にて先にテープ部材(200)が切断され、その後、板材(100)の切断へ移行するので、板材(100)の切断完了前に、切断部(120)に貼り付いているテープ部材(200)の部分が剥がれ、そこから水分等が侵入する可能性があるが、本発明のように、板材(100)の切断を、板材(100)におけるテープ部材(200)が貼り付いている一面とは反対側の他面側から行えば、そのような問題を回避できる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の電子装置の製造方法において、第1の部品(21)はワイヤボンディングにより基板形成領域(110)に接続されるものであり、第1の部品(21)と第2の部品(22)とを、基板形成領域(110)におけるワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載することを特徴としている。
【0018】
それによれば、基板形成領域(110)におけるワイヤボンディングされる部位を、テープ部材(200)とは非接触の状態でテープ部材(200)により被覆・保護することができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電子装置の製造方法において、第2の部品(22)として、その搭載後の高さが、第1の部品(21)にワイヤボンディングを行って形成されるワイヤ(30)よりも高いものを用い、電子部品(21、22)の搭載工程では、第1の部品(21)および第2の部品(22)の搭載を行うとともに、第1の部品(21)にワイヤボンディングを行うことを特徴としている。
【0020】
それによれば、第1の部品(21)にワイヤボンディングを行った後に、テープ部材(200)の貼り付けを行ったとき、このテープ部材(200)とワイヤ(30)とを非接触とすることができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3に記載の電子装置の製造方法において、テープ部材(200)の貼り付け工程では、切断部(120)に対応する位置に突起(310)を有する治具(300)を用い、突起(310)と切断部(120)とを位置合わせしつつ、板材(100)の一面と治具(300)とをテープ部材(200)を介して対向させ、テープ部材(200)を当該テープ部材(200)の平面方向に弛まないように引っ張りながら、テープ部材(200)に対して、治具(300)における突起(310)以外の部位を非接触としつつ突起(310)を接触させた状態で、突起(310)にてテープ部材(200)を切断部(120)に押し付けることにより、テープ部材(200)を、切断部(120)および第2の部品(22)に貼り付けることを特徴としている。
【0022】
それによれば、テープ部材(200)をその平面方向に弛まないように引っ張りながら、治具(300)の突起(310)にて切断部(120)に押し付け、当該切断部(120)および第2の部品(22)に貼り付けるため、切断部(120)の内周の基板形成領域(110)のうち第2の部品(22)以外の部位にて、テープ部材(200)は弛み無く張られ、テープ部材(200)と板材(100)の一面とが離れた空間が適切に形成される。
【0023】
また、テープ部材(200)は治具(300)の突起(310)で板材(100)に押し付けられるので、テープ部材(200)の貼り付け後に板材(100)の切断を行うときには、この治具(300)を、板材(100)を支持する支持部材として用いることができる。その結果、工程の簡略化などが図れる。
【0024】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の概略平面図であり、(b)は同電子装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態に係る電子装置の製造方法に用いられる板材の一面を示す概略平面図である。
【図3】第1実施形態に係る電子装置の製造方法におけるテープ部材の貼り付け工程を示す概略断面図である。
【図4】第1実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図である。
【図5】第1実施形態の製造方法におけるテープ部材の貼り付け方法の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るテープ部材貼り付け後の板材100の種々の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る個片化された基板の種々の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図11】第6実施形態に係る電子装置の製造方法の他の例を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図12】(a)は本発明の第7実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図であり、(b)は(a)中のA部の拡大図である。
【図13】本発明の第8実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0027】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る電子装置1の概略平面構成を示す図であり、図1(b)は同電子装置1の概略断面構成を示す図である。本実施形態の電子装置1は、大きくは基板10の両板面のうちの一面に電子部品21、22を搭載してなるものである。
【0028】
基板10は、後述するように複数個の基板が一体に連なった多連の板材200を個々の基板10単位に切断して形成されるものである。このような基板10として、本実施形態では、プリント基板10を採用している。なお、プリント基板10としては、単層基板でもよいし、多層基板であってもよい。
【0029】
電子部品21、22は、プリント基板10の一面に搭載され、はんだや導電性接着剤などのダイボンド材、あるいはワイヤボンディングなどの一般的な接続方法を用いて、プリント基板10と電気的および機械的に接続されている。
【0030】
図示しないが、プリント基板10の一面には、電子部品21、22が搭載されるランドやワイヤボンディングなどにより電気的接続を行うためのパッドなどが必要に応じて設けられている。
【0031】
本実施形態では、この電子部品21、22として、背の高さが互いに異なる第1の部品21および第2の部品22が搭載されている。ここで、背の高さとは、プリント基板10の一面上の電子部品21、22の高さであり、当該一面から部品先端部までの距離である。背の低い方が第1の部品21であり、第1の部品21よりも背の高い方が第2の部品22である。
【0032】
第1の部品21は典型的には能動素子である。この能動素子としての第1の部品21は、その能動面がプリント基板10の一面とは反対側となるようにプリント基板10の一面に搭載された、すなわち、能動面を上面として搭載されたものである。このような能動素子としては、具体的には一般的な半導体プロセスなどにより形成された半導体チップよりなるIC素子やトランジスタ素子などが挙げられる。
【0033】
その他、第1の部品21としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により形成された加速度センサなどのセンサチップなどであってもよい。そして、これら能動素子やセンサチップなどは、典型的には、はんだや接着剤によりプリント基板10に接合され、その上面とプリント基板10の一面との間でワイヤボンディングすることにより実装される。
【0034】
また、この第1の部品21は、後述するテープ部材200(後述の図3等参照)の貼り付けが禁止されているものである。これは、もし、当該テープ部材200が第1の部品21に貼り付いた場合、当該テープ部材200の粘着剤の付着等により、第1の部品21におけるワイヤ接続部が汚染されたり、能動面あるいはセンサチップの可動部の特性低下などが引き起こされたりするなどの不具合が生じるためである。
【0035】
第2の部品22は典型的にはチップコンデンサ、チップ抵抗、コイル等の受動素子である。このような受動素子は、たとえば、はんだや導電性接着剤などによりプリント基板10の一面に接続される。そして、この第2の部品22は、第1の部品21よりも背が高く且つ後述するテープ部材200の貼り付けが許容されているものである。
【0036】
図1に示される例では、第1の部品21はICチップ、第2の部品22はチップコンデンサとされている。そして、これら第1の部品21と第2の部品22とは、互いに隣り合う位置に配置されている。ここでは、図1に示されるように、複数個の第2の電子部品22の間に複数個の第1の部品21が配置された形とされている。
【0037】
次に、本実施形態の電子装置の製造方法について、図2〜図4を参照して述べる。図2は、本製造方法に用いられる板材100の一面を示す概略平面図、図3はテープ部材200の貼り付け工程を示す概略断面図、図4は切断工程を示す概略断面図である。
【0038】
図2に示されるように、板材100は、プリント基板10が形成される基板形成領域110を一面に複数個有し、各々の基板形成領域110の外周に位置する切断部120にて切断されるようになっているものである。
【0039】
更に述べるならば、基板形成領域110は、1個のプリント基板10となる領域であり、個々の基板形成領域110は、最終的に切断される部位である切断部120によって取り囲まれた領域である。図2では、4×7個の計28個の長方形をなす基板形成領域110が、マトリクス状に配置されており、各基板形成領域110の間の部位が切断部120とされている。
【0040】
このような複数のプリント基板10が連なった状態の板材100、いわゆる多連の板材100は、一般的なプリント基板10の製造方法により形成される。そして、この板材100の一面において各々の基板形成領域110に電子部品21、22を搭載する。
【0041】
このとき、電子部品21、22の搭載工程では、上記図1にも示したように、第1の部品21と当該搭載後の高さが第1の部品21よりも高い第2の部品22とを、互いに隣り合うように、各々の基板形成領域110に搭載する。
【0042】
こうして、板材100の一面における基板形成領域110、すなわち、プリント基板10の一面となる部位に、電子部品21、22が搭載され、この状態の板材100が図2に示される。本実施形態では、ここまでの状態では、ワイヤボンディングが必要な第1の部品21については、ワイヤボンディングは行われていない。
【0043】
なお、この図2および後述の各概略断面図では、第1の部品21と第2の部品22とが接触しているところがあるが、これは、これら両部品21、22が当該図中の紙面垂直方向に離れて重なって配置されている状態を概略的に示したものである。
【0044】
次に、本製造方法においては、図3に示されるように、板材100の一面および当該一面上に搭載された電子部品21、22を被覆するように、テープ部材200を板材100の一面に貼り付ける。
【0045】
ここで、テープ部材200は、この種の製造方法に用いられる一般的なものであり、たとえばバックグラインドテープやダイシングテープなどが挙げられる。これらテープ部材200の材質は、たとえばオレフィン系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル樹脂などである。また、テープ部材200は、板材100の一面に貼り付けられるが、この貼り付け面には粘着剤が設けられている。
【0046】
そして、テープ部材200の貼り付け工程では、各基板形成領域110の周辺部にて、テープ部材200を切断部120に貼り付ける。具体的には、切断部120および当該切断部120をまたいで隣り合う基板形成領域110の周辺部に貼り付ける。
【0047】
それにより、テープ部材200のうち切断部120に貼り付いている部位の内周に位置する各々の基板形成領域110および各基板形成領域110上に搭載されている電子部品21、22をテープ部材200で被覆して封止する。
【0048】
このとき、本実施形態では、図3に示されるように、貼り付け用の治具300を用いてテープ部材200の貼り付け工程を行う。
【0049】
この治具300は、板材100の一面にテープ部材200を押し付けるための治具であって、テープ部材200を介して当該治具300と板材100の一面とを対向させた状態にて板材100の切断部120に対応する位置に突起310を有するものである。この治具300の材質は特に限定されないが、たとえばステンレスなどよりなる。
【0050】
ここでは、図3(a)に示されるように、まず、治具300の突起310に接触させた状態で、テープ部材200を治具300に搭載する。そして、図3(b)に示されるように、治具300の突起310と板材100の切断部120とを位置合わせしつつ、板材100の一面と治具300とをテープ部材200を介して対向させる。
【0051】
このとき、治具300とテープ部材200との接触については、テープ部材200における板材100への貼り付け面とは反対側の面に対して、治具300における突起310以外の部位を非接触としつつ突起310のみを接触させる。
【0052】
また、この治具300とテープ部材200との接触状態では、さらに、図3(b)中の矢印に示されるように、テープ部材200を当該テープ部材200の平面方向(図3(b)中の左右方向)に弛まないように引っ張った状態とする。ここで、上記平面方向への引っ張りは、たとえばテープ部材200の端部を治具等で引っ張ることにより、行うことができる。
【0053】
そして、この状態で、テープ部材200の貼り付け面を、板材100の一面における切断部120および第2の部品22に接触させつつ、突起310にてテープ部材200を切断部120に押し付ける。この押しつけの方向は、図3(b)中の上方から下方に向かう矢印にて示されている。
【0054】
このように押しつけを行うことにより、テープ部材200は、板材100の切断部120および第2の部品22に貼り付けられる。このとき、テープ部材200で被覆されている各々の基板形成領域110においては、テープ部材200は第2の部品22に貼り付けて第2の部品22に支持された状態となる。
【0055】
それによって、切断部120の内周の基板形成領域110のうち第2の部品22以外の部位、すなわち第2の部品22の周囲にて、テープ部材200は弛み無く張られ、テープ部材200と板材100の一面とが離れた空間が形成される。そして、第2の部品22に隣り合う第1の部品21は、当該空間に位置することになる。
【0056】
この状態を、例えるならば、第2の部品22を支持部材としてテープ部材200のテントが張られた状態となり、このテント内の空間に第1の部品21が位置した状態となる。それにより、第1の部品21は、テープ部材100とは非接触の状態でテープ部材200に被覆されたものとする。
【0057】
こうして、図3に示されるように、テープ部材200を板材100の一面に貼り付け、テープ部材200により板材100の一面および電子部品21、22を封止して保護した状態が形成される。
【0058】
次に、図4に示されるように、この状態のものについて切断工程を行う。具体的には、切断部120にて板材100を、各基板形成領域110の単位に切断することにより、個片化されたプリント基板10を形成する。
【0059】
このとき、上記テープ部材200の貼り付け工程では、テープ部材200が治具300の突起310で板材100に押し付けられるが、ここでは、この状態のまま、切断工程を行う。つまり、この治具300を、板材100を支持する支持部材として用い、図4に示されるように、板材100を治具300の突起310で支持する。
【0060】
そして、板材100におけるテープ部材200が貼り付いている一面とは反対側の他面側から切り込んでいくことにより、板材100の切断を行う。この切り込みは、ブレードまたはレーザなどによるダイシングによって行えるが、図4では、ブレード400によるダイシングの例を示している。
【0061】
そして、板材100の他面から切り込みを入れ、板材100を切断していくが、切り込みが板材100の一面まで到達し、板材100の切断が完了した後には、テープ部材200は、その厚さ方向の途中まで切断するにとどめ、板材100を個片化した後も1枚の大きなテープ部材200としてつながった状態とする。
【0062】
こうして切断工程が終了した後には、個片化されたプリント基板10の他面側からプリント基板10の端部を押し上げることにより、プリント基板10の端部からテープ部材200を剥がす。この基板端部の押し上げは電子部品21、22が実装されていない未実装部分でもよいし、当該基板端部に位置する第2の部品22の部分でもよい。
【0063】
ところで、本実施形態によれば、電子部品21、22の搭載工程では、第1の部品21と当該搭載後の高さが第1の部品21よりも高い第2の部品22とを、互いに隣り合うように、各基板形成領域110に搭載し、テープ部材200の貼り付け工程では、テープ部材200を切断部120に貼り付けるとともに、第2の部品22に貼り付けて第2の部品22に支持させ、第2の部品22の周囲にて、第1の部品21がテープ部材200とは非接触の状態でテープ部材200に被覆されるようにしている。
【0064】
それによれば、第2の部品22としては当然、第1の部品21よりも背が高く且つテープ部材200と貼り付いても問題ないものを用いることになるが、プリント基板10となる板材100の一面に上記従来のような突起を設けることなく、電子部品としての第1の部品21とテープ部材200とを離した状態で第1の部品21をテープ部材200で被覆し、板材100の切断を行うことができる。
【0065】
このように、本実施形態の製造方法は、プリント基板10の一面に搭載される電子部品が、単一の種類のものでなく異種のものが混合している場合、その搭載後の高さに差が生じること、および、当該高さが高いものは受動素子などのテープ部材の貼り付けが許容されるものが多く、低いものは能動素子やセンサチップなどのテープ部材の貼り付けが禁止されているものが多いことに着目して、成されたものである。
【0066】
また、本実施形態の切断工程では、上述のように、板材100をテープ部材200とは反対側の面から切り込んでいくが、もし、板材100をテープ部材200側から切り込んでいった場合、切断部120にて先にテープ部材200が切断され、その後、板材100の切断へ移行することになる。
【0067】
そのため、この場合、板材100の切断完了前に、切断部120に貼り付いているテープ部材200の部分が剥がれ、そこから水分等が侵入する可能性がある。しかし、本実施形態のように、板材100の切断を、板材100におけるテープ部材200が貼り付いている一面とは反対側の他面側から行えば、そのような問題を回避でき、信頼性に優れた切断が実現できる。
【0068】
また、本実施形態のテープ部材200の貼り付け工程では、上記したような突起310を有する治具300を用いて、テープ部材200をその平面方向に弛まないように引っ張りながら、治具300の突起310にて切断部120に押し付け、当該切断部120および第2の部品22に貼り付けるようにしている。
【0069】
そのため、切断部120の内周の基板形成領域110のうち第2の部品22以外の部位にて、テープ部材200は弛み無く張られ、テープ部材200と板材100の一面とが離れた空間が適切に形成される。そして、当該空間に第1の部品21を位置させることで、第1の部品21とテープ部材200との接触を回避できる。
【0070】
また、上述したように、テープ部材200の貼り付け後に板材100の切断を行うときに、この治具300を、板材100を支持する支持部材として用いることができるので、切断工程において別途、支持部材を用意することが不要となり、工程の簡略化等の利点がある。
【0071】
図5は、本実施形態の製造方法におけるテープ部材200の貼り付け方法の他の例を示す概略断面図である。上記図3では、テープ部材200における貼り付け面とは反対側の面を、治具300の突起310に接触させ、この状態でテープ部材200を治具300に支持させた後、板材100との貼り付けを行った。
【0072】
それに対して、図5に示されるように、テープ部材200を先に板材100の一面上に搭載されている第2の部品22に貼り付けてもよい。この場合、図5に示されるように、たとえば軟らかいゴムなどよりなるローラ500により、テープ部材200を第2の部品22に押し付けてやればよい。その後は、上記図3と同様に、突起310を有する治具300により、テープ部材200を切断部120に押し付けて貼り付けてやればよい。
【0073】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るテープ部材200が貼り付けられた板材100の種々の例を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、電子部品21〜25を板材100の両面に搭載したことが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0074】
図6の各例に示されるように、本実施形態では、板材100の一面に電子部品21、22を搭載するだけでなく、当該一面とは反対側の他面にも、電子部品23、24、25を搭載している。
【0075】
図6(a)に示される第1の例では、板材100の他面に電子部品としてのチップコンデンサ23を搭載している。図6(b)に示される第2の例では、板材100の他面に電子部品としてのモールド部材24を搭載している。このモールド部材24は、たとえばICチップなどをモールド樹脂で封止してなるものである。
【0076】
また、図6(c)に示される第3の例では、板材100の他面に電子部品としてのフリップチップ25を搭載している。このフリップチップ25はアンダーフィルにより能動面が保護されている。
【0077】
これら各例においても、板材100の一面では、上記実施形態と同様に、第1の部品21と第2の部品22とが搭載され、これをテープ部材200で保護する。そして、上記同様に、切断工程を行うことで、個片化されたプリント基板10よりなる電子装置ができあがる。こうして、最終的にできあがった電子装置は、各例ともプリント基板10の両板面に電子部品21〜25が搭載されてなる両面搭載構造のものとなる。
【0078】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化されたプリント基板10、つまり本実施形態の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0079】
本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、1個の基板形成領域110において第2の部品22が複数個ではなく1個であることが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。なお、本実施形態は、上記第2実施形態と組み合わせて適用できることはもちろんである。
【0080】
上記第1実施形態では、上記図1等に示したように、2個以上の第2の部品22の間にテープ部材200を張ることにより、当該2個以上の部品22の間に位置する第1の部品21とテープ部材200とを非接触としていた。
【0081】
それに対して、図7に示されるように、本実施形態では、プリント基板10の中心部、すなわち基板形成領域110の中心部に高背部品である第2の部品22を1個配置し、その周辺に低背部品である第1の部品21を配置している。
【0082】
この場合、第2の部品22に貼り付いている部分を頂点とし、切断部120に向かって裾野が広がる山型に、テープ部材200が張られた形となる。そして、その内部にて第1の部品21がテープ部材200とは非接触の状態で被覆されたものとなる。
【0083】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態に係る切断により個片化されたプリント基板10、つまり本実施形態の電子装置の種々の例を示す概略平面図である。
【0084】
本実施形態は、第1の部品21がワイヤボンド実装されるものである場合に、そのワイヤボンディング方向を考慮した例を示すものである。そして、本実施形態は上記各実施形態と組み合わせて適用できるものであり、以下、本実施形態独自の部分を中心に述べることとする。
【0085】
図8に示されるように、本実施形態では、第1の部品21はワイヤボンディングにより基板形成領域110に接続される。この場合、ボンディングワイヤ30は、一般的なアルミニウムや金などよりなるものであり、ワイヤボンディングは、切断工程後に、個片化された各プリント基板10上の第1の部品21に対して行う。
【0086】
本実施形態では、電子部品21、22の搭載工程において、第1の部品21と第2の部品22とを、基板形成領域110におけるワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載する。ここで、図示しないが、基板形成領域110におけるワイヤボンディングされる部位には、たとえばワイヤボンディング用のパッドが設けられており、このパッドを挟んで、第1の部品21と第2の部品22とが隣り合って配置される。
【0087】
図8(a)の例では、矩形板状をなす第1の部品21の四方にてワイヤボンディングが行われるので、第2の部品22は第1の部品21の四方に隣り合って設けられている。また、図8(b)の例、図8(c)の例では、それぞれ矩形板状をなす第1の部品21の対向する二辺にてワイヤボンディングが行われるので、第2の部品22は第1の部品21の当該二辺に隣り合って設けられている。
【0088】
このようにすれば、板材100の一面および第1の部品21におけるそれぞれワイヤボンディングされる部位と、テープ部材200との接触を、確実に回避することができ、好ましい。当該ワイヤボンディングされる部位は、テープ部材200が貼りつくとテープ部材200の粘着剤などが付着し、ワイヤボンディング性の低下を引き起こすおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような問題が回避される。
【0089】
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化された基板10、つまり本実施形態の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0090】
本実施形態は、第1の部品21よりも背が高い第2の部品22の中でも、さらに背の高さが異なるものが存在する場合に、これら背の高さの異なる第2の部品22の配置例を示すものである。
【0091】
図9に示されるように、本実施形態では、第2の部品22の中でも背の高いもの、たとえば大型のコンデンサを基板形成領域110の中心部に配置し、第2の部品22の中でも背の低いもの、たとえば小型のコンデンサを基板形成領域110の周辺部に配置し、その間に第1の部品21を配置している。
【0092】
このように、第2の部品22の中で背の高さが異なる場合でも、第1の部品21とテープ部材200とを離した状態で第1の部品21をテープ部材200で適切に被覆することができる。
【0093】
(第6実施形態)
図10は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化された基板10、つまり本実施形態の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0094】
本実施形態は、上記第4実施形態と同様に、第1の部品21がワイヤボンディングにより基板形成領域110に接続されるものであるが、さらに、板材100を切断する前にワイヤボンディングを実施する必要がある場合に適用されるものである。
【0095】
図10に示されるように、本実施形態では、第2の部品22として、その搭載後の高さが、第1の部品21よりも高いことはもちろんであるが、第1の部品21にワイヤボンディングを行って形成されるワイヤ30よりも高いものを用いる。ここで、ワイヤ30は、一般に、板材100の一面上にループ状に凸となった形状を有するので、当該ワイヤ30の高さとは、板材100の一面からワイヤ30のループの頂部までの高さである。
【0096】
そして、電子部品21、22の搭載工程では、第1の部品21および第2の部品22の搭載を行うとともに、第1の部品21にワイヤボンディングを行う。このとき、上記第4実施形態と同様に、第1の部品21と第2の部品22とを、基板形成領域110におけるワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載する。
【0097】
その後、上記同様に、テープ部材200の貼り付け工程によって、テープ部材200を切断部120および第2の部品22に貼り付ける。これにより、本実施形態では、第1の部品21およびワイヤ30がテープ部材200とは非接触の状態でテープ部材200に被覆される。そして、この状態で切断工程を行えば、ボンディングワイヤ30に影響を与えることなく、板材100の切断が行える。
【0098】
ここで、図11は、本第6実施形態に係る製造方法の他の例の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化された基板10、つまり本例の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0099】
この図11の例は、上記第3実施形態(図7参照)と同様に、1個の基板形成領域110において第2の部品22を1個としたものであり、この場合でも、本実施形態を適用することができる。
【0100】
(第7実施形態)
図12は、本発明の第7実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図であり、(b)は(a)中の丸で囲まれたA部の拡大図である。本実施形態では、テープ部材200の貼り付け工程を、一部変形したものであり、ここでは、その変形部分を中心に述べる。
【0101】
図12に示されるように、本実施形態においても、貼り付け工程では、上記突起310を有する治具300を用いてテープ部材200の貼り付けを行う。ここで、本実施形態では、板材100の他面のうち切断部120およびその周辺部を、エッチングや切削などによって凹ませた凹部とし、治具300の突起310の先端面に、当該凹部に対応した凸部を設ける。
【0102】
これにより、テープ部材200を突起310で切断部120に押し付けて貼り付けるときに、この凹部および凸部の形状にテープ部材200が変形するため、テープ部材200と板材100との密着性が向上する。その結果、板材100の切断時にテープ部材200が剥がれにくくなり、保護機能の向上が期待できる。
【0103】
(第8実施形態)
図13は、本発明の第8実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図である。本実施形態では、テープ部材200の貼り付け工程を、一部変形したものであり、ここでは、その変形部分を中心に述べる。
【0104】
図13に示されるように、本実施形態においても、貼り付け工程では、上記突起310を有する治具300を用いてテープ部材200の貼り付けを行う。ここで、本実施形態では、治具300における突起310以外の部位に、テープ部材200を板材100の他面とは反対方向に吸引するための吸引穴320が設けられている。
【0105】
そして、テープ部材200を板材100の他面に貼り付けるときには、図示しない真空ポンプなどにより、この吸引穴320からテープ部材200を引っ張りながら当該貼り付けを行う。なお、ここでは、治具300は、その突起310以外にも、吸引穴320が設けられている面でもテープ部材200と接触して、テープ部材200の貼り付けを行うものである。
【0106】
上記第1実施形態では、上記図3に示したように、テープ部材200をその平面方向に弛まないように引っ張りながら貼り付けたが、本実施形態では、上記吸引力によりテープ部材200のたわみが取り除かれるため、テープ部材200の貼り付け時に、当該平面方向への引っ張り動作が不要となる。
【0107】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、基板10が形成される基板形成領域110を一面に複数個有し、切断部120にて個々の基板形成領域110単位に切断されるようになっている板材100を用い、電子部品21、22の搭載後、板材100の一面のみにテープ部材200を貼り付けた状態で、切断を行った。しかし、上記各実施形態においては、更に板材100の一面とは反対側の他面にも、当該他面を保護する等の目的でテープ部材200を貼り付け、この状態で切断を行ってもよい。
【0108】
また、基板10としては、電子部品21、22を搭載するとともに多連の板材100を切断して個片化することにより形成されるものであればよく、上記したプリント基板10以外にも、たとえばアルミナなどよりなるセラミック基板や、たとえばシリコン半導体などよりなる半導体基板などであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 基板としてのプリント基板
21 電子部品としての第1の部品
22 電子部品としての第2の部品
30 ワイヤ
100 板材
110 基板形成領域
120 切断部
200 テープ部材
300 治具
310 突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一面に電子部品を搭載してなる電子装置の製造方法であって、一面に複数の基板形成領域を有する板材の各基板形成領域に電子部品を搭載した後、基板形成領域毎に板材を切断して基板単位に個片化する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の両板面の一面に電子部品を搭載してなる電子装置を製造する製造方法としては、基板が形成される基板形成領域を一面に複数個有し、各々の基板形成領域の外周に位置する切断部にて切断されるようになっている板材を用意し、各々の基板形成領域に電子部品を搭載した後、切断部にて板材を切断することにより、個片化された基板を形成する方法が一般的である(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
ここで、従来では、一般的な板材の切断方法としてルーター加工やダイシング加工がある。たとえば、ルーター加工は、BGA(Ball Grid Array)などのプリント基板を用いたICパッケージを分割する方法として採用される。しかし、ルーター加工では、大量の切削屑が発生するし、また、ダイシング加工では、水で切削屑を洗い流すようにしているものの、完全に異物を防ぐことはできない。
【0004】
そこで、上記特許文献1〜4などに記載されているように、従来では、電子部品が搭載されている板材の一面および当該電子部品を被覆するように、テープ部材を板材の一面に貼り付け、この状態で、切断部に沿って板材を切断するようにしている。この方法によれば、切削屑や異物が基板や電子部品に付着するのを防止できる。
【0005】
しかし、この場合、基板の一面に搭載された電子部品にもテープ部材が貼り付く形となるため、テープ部材との接着または接触が問題となるような電子部品、たとえばワイヤボンディング用のベアチップなどが搭載されている場合には、単純にはテープ部材を貼り付けることは困難である。
【0006】
一方で、従来では、特許文献5に記載されているように、シリコン基板に対し、四方向に突起を設け、その突起にテープ部材を貼り付けることで、基板上のアクチュエータ素子や電極などとテープ部材とを接触させずに保護しながら、ダイシングを行うようにした方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−235008号公報
【特許文献2】特開2002−324815号公報
【特許文献3】特許第4173778号公報
【特許文献4】特開2006−261568号公報
【特許文献5】特開2005−277365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献5の方法を適用する場合、基板に対しては必要な回路部とは別に、上記突起を設ける必要があり、コストアップとなる。さらに、基板がプリント基板のような反りの影響を受けやすいものであると、突起とテープ部材との貼り付け性が悪化し、結果、貼り付け界面に隙間が生じ、保護できなくなるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、基板となる板材の一面に突起を設けることなく、電子部品とテープ部材とを離した状態で電子部品をテープ部材で被覆し、板材の切断を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、以下のような工程を有する電子装置の製造方法が提供される。
【0011】
・基板(10)が形成される基板形成領域(110)を一面に複数個有し、各々の基板形成領域(110)の外周に位置する切断部(120)にて切断されるようになっている板材(100)を用意し、電子部品(21、22)の搭載工程では、電子部品として第1の部品(21)と当該搭載後の高さが第1の部品(21)よりも高い第2の部品(22)とを、互いに隣り合うように、各々の基板形成領域(110)について搭載すること。
【0012】
・テープ部材(200)の貼り付け工程では、テープ部材(200)を切断部(120)に貼り付けて、テープ部材(200)のうち切断部(120)に貼り付いている部位の内周に位置する各々の基板形成領域(110)および電子部品(21、22)をテープ部材(200)で被覆して封止すること。
【0013】
・それとともに、テープ部材(200)の貼り付け工程では、テープ部材(200)で被覆されている各々の基板形成領域(110)においては、さらにテープ部材(200)を第2の部品(22)に貼り付けて第2の部品(22)に支持させ、第2の部品(22)の周囲にてテープ部材(200)と板材(100)の一面とが離れた空間を形成することにより、第2の部品(22)に隣り合う第1の部品(21)を当該空間に位置させて、当該第1の部品(21)がテープ部材(200)とは非接触の状態でテープ部材(200)に被覆されるようにすること。
【0014】
・板材(100)の切断は、板材(100)におけるテープ部材(200)が貼り付いている一面とは反対側の他面側から切り込んでいくことにより行うこと。本製造方法はこれらの点を特徴としている。
【0015】
それによれば、第2の部品(22)として、第1の部品(21)よりも背が高く且つテープ部材(200)と貼り付いても問題ないものを用いることで、基板(10)となる板材(100)の一面に上記従来のような突起を設けることなく、電子部品としての第1の部品(21)とテープ部材(200)とを離した状態で第1の部品(21)をテープ部材(200)で被覆し、板材(100)の切断を行うことができる。
【0016】
また、板材(100)をテープ部材(200)側から切り込んでいくと、切断部(120)にて先にテープ部材(200)が切断され、その後、板材(100)の切断へ移行するので、板材(100)の切断完了前に、切断部(120)に貼り付いているテープ部材(200)の部分が剥がれ、そこから水分等が侵入する可能性があるが、本発明のように、板材(100)の切断を、板材(100)におけるテープ部材(200)が貼り付いている一面とは反対側の他面側から行えば、そのような問題を回避できる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の電子装置の製造方法において、第1の部品(21)はワイヤボンディングにより基板形成領域(110)に接続されるものであり、第1の部品(21)と第2の部品(22)とを、基板形成領域(110)におけるワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載することを特徴としている。
【0018】
それによれば、基板形成領域(110)におけるワイヤボンディングされる部位を、テープ部材(200)とは非接触の状態でテープ部材(200)により被覆・保護することができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電子装置の製造方法において、第2の部品(22)として、その搭載後の高さが、第1の部品(21)にワイヤボンディングを行って形成されるワイヤ(30)よりも高いものを用い、電子部品(21、22)の搭載工程では、第1の部品(21)および第2の部品(22)の搭載を行うとともに、第1の部品(21)にワイヤボンディングを行うことを特徴としている。
【0020】
それによれば、第1の部品(21)にワイヤボンディングを行った後に、テープ部材(200)の貼り付けを行ったとき、このテープ部材(200)とワイヤ(30)とを非接触とすることができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3に記載の電子装置の製造方法において、テープ部材(200)の貼り付け工程では、切断部(120)に対応する位置に突起(310)を有する治具(300)を用い、突起(310)と切断部(120)とを位置合わせしつつ、板材(100)の一面と治具(300)とをテープ部材(200)を介して対向させ、テープ部材(200)を当該テープ部材(200)の平面方向に弛まないように引っ張りながら、テープ部材(200)に対して、治具(300)における突起(310)以外の部位を非接触としつつ突起(310)を接触させた状態で、突起(310)にてテープ部材(200)を切断部(120)に押し付けることにより、テープ部材(200)を、切断部(120)および第2の部品(22)に貼り付けることを特徴としている。
【0022】
それによれば、テープ部材(200)をその平面方向に弛まないように引っ張りながら、治具(300)の突起(310)にて切断部(120)に押し付け、当該切断部(120)および第2の部品(22)に貼り付けるため、切断部(120)の内周の基板形成領域(110)のうち第2の部品(22)以外の部位にて、テープ部材(200)は弛み無く張られ、テープ部材(200)と板材(100)の一面とが離れた空間が適切に形成される。
【0023】
また、テープ部材(200)は治具(300)の突起(310)で板材(100)に押し付けられるので、テープ部材(200)の貼り付け後に板材(100)の切断を行うときには、この治具(300)を、板材(100)を支持する支持部材として用いることができる。その結果、工程の簡略化などが図れる。
【0024】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の概略平面図であり、(b)は同電子装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態に係る電子装置の製造方法に用いられる板材の一面を示す概略平面図である。
【図3】第1実施形態に係る電子装置の製造方法におけるテープ部材の貼り付け工程を示す概略断面図である。
【図4】第1実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図である。
【図5】第1実施形態の製造方法におけるテープ部材の貼り付け方法の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るテープ部材貼り付け後の板材100の種々の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る個片化された基板の種々の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図11】第6実施形態に係る電子装置の製造方法の他の例を示す図であり、(a)は個片化された基板の概略平面図、(b)はテープ部材貼り付け後の板材を示す概略断面図である。
【図12】(a)は本発明の第7実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図であり、(b)は(a)中のA部の拡大図である。
【図13】本発明の第8実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0027】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る電子装置1の概略平面構成を示す図であり、図1(b)は同電子装置1の概略断面構成を示す図である。本実施形態の電子装置1は、大きくは基板10の両板面のうちの一面に電子部品21、22を搭載してなるものである。
【0028】
基板10は、後述するように複数個の基板が一体に連なった多連の板材200を個々の基板10単位に切断して形成されるものである。このような基板10として、本実施形態では、プリント基板10を採用している。なお、プリント基板10としては、単層基板でもよいし、多層基板であってもよい。
【0029】
電子部品21、22は、プリント基板10の一面に搭載され、はんだや導電性接着剤などのダイボンド材、あるいはワイヤボンディングなどの一般的な接続方法を用いて、プリント基板10と電気的および機械的に接続されている。
【0030】
図示しないが、プリント基板10の一面には、電子部品21、22が搭載されるランドやワイヤボンディングなどにより電気的接続を行うためのパッドなどが必要に応じて設けられている。
【0031】
本実施形態では、この電子部品21、22として、背の高さが互いに異なる第1の部品21および第2の部品22が搭載されている。ここで、背の高さとは、プリント基板10の一面上の電子部品21、22の高さであり、当該一面から部品先端部までの距離である。背の低い方が第1の部品21であり、第1の部品21よりも背の高い方が第2の部品22である。
【0032】
第1の部品21は典型的には能動素子である。この能動素子としての第1の部品21は、その能動面がプリント基板10の一面とは反対側となるようにプリント基板10の一面に搭載された、すなわち、能動面を上面として搭載されたものである。このような能動素子としては、具体的には一般的な半導体プロセスなどにより形成された半導体チップよりなるIC素子やトランジスタ素子などが挙げられる。
【0033】
その他、第1の部品21としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により形成された加速度センサなどのセンサチップなどであってもよい。そして、これら能動素子やセンサチップなどは、典型的には、はんだや接着剤によりプリント基板10に接合され、その上面とプリント基板10の一面との間でワイヤボンディングすることにより実装される。
【0034】
また、この第1の部品21は、後述するテープ部材200(後述の図3等参照)の貼り付けが禁止されているものである。これは、もし、当該テープ部材200が第1の部品21に貼り付いた場合、当該テープ部材200の粘着剤の付着等により、第1の部品21におけるワイヤ接続部が汚染されたり、能動面あるいはセンサチップの可動部の特性低下などが引き起こされたりするなどの不具合が生じるためである。
【0035】
第2の部品22は典型的にはチップコンデンサ、チップ抵抗、コイル等の受動素子である。このような受動素子は、たとえば、はんだや導電性接着剤などによりプリント基板10の一面に接続される。そして、この第2の部品22は、第1の部品21よりも背が高く且つ後述するテープ部材200の貼り付けが許容されているものである。
【0036】
図1に示される例では、第1の部品21はICチップ、第2の部品22はチップコンデンサとされている。そして、これら第1の部品21と第2の部品22とは、互いに隣り合う位置に配置されている。ここでは、図1に示されるように、複数個の第2の電子部品22の間に複数個の第1の部品21が配置された形とされている。
【0037】
次に、本実施形態の電子装置の製造方法について、図2〜図4を参照して述べる。図2は、本製造方法に用いられる板材100の一面を示す概略平面図、図3はテープ部材200の貼り付け工程を示す概略断面図、図4は切断工程を示す概略断面図である。
【0038】
図2に示されるように、板材100は、プリント基板10が形成される基板形成領域110を一面に複数個有し、各々の基板形成領域110の外周に位置する切断部120にて切断されるようになっているものである。
【0039】
更に述べるならば、基板形成領域110は、1個のプリント基板10となる領域であり、個々の基板形成領域110は、最終的に切断される部位である切断部120によって取り囲まれた領域である。図2では、4×7個の計28個の長方形をなす基板形成領域110が、マトリクス状に配置されており、各基板形成領域110の間の部位が切断部120とされている。
【0040】
このような複数のプリント基板10が連なった状態の板材100、いわゆる多連の板材100は、一般的なプリント基板10の製造方法により形成される。そして、この板材100の一面において各々の基板形成領域110に電子部品21、22を搭載する。
【0041】
このとき、電子部品21、22の搭載工程では、上記図1にも示したように、第1の部品21と当該搭載後の高さが第1の部品21よりも高い第2の部品22とを、互いに隣り合うように、各々の基板形成領域110に搭載する。
【0042】
こうして、板材100の一面における基板形成領域110、すなわち、プリント基板10の一面となる部位に、電子部品21、22が搭載され、この状態の板材100が図2に示される。本実施形態では、ここまでの状態では、ワイヤボンディングが必要な第1の部品21については、ワイヤボンディングは行われていない。
【0043】
なお、この図2および後述の各概略断面図では、第1の部品21と第2の部品22とが接触しているところがあるが、これは、これら両部品21、22が当該図中の紙面垂直方向に離れて重なって配置されている状態を概略的に示したものである。
【0044】
次に、本製造方法においては、図3に示されるように、板材100の一面および当該一面上に搭載された電子部品21、22を被覆するように、テープ部材200を板材100の一面に貼り付ける。
【0045】
ここで、テープ部材200は、この種の製造方法に用いられる一般的なものであり、たとえばバックグラインドテープやダイシングテープなどが挙げられる。これらテープ部材200の材質は、たとえばオレフィン系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル樹脂などである。また、テープ部材200は、板材100の一面に貼り付けられるが、この貼り付け面には粘着剤が設けられている。
【0046】
そして、テープ部材200の貼り付け工程では、各基板形成領域110の周辺部にて、テープ部材200を切断部120に貼り付ける。具体的には、切断部120および当該切断部120をまたいで隣り合う基板形成領域110の周辺部に貼り付ける。
【0047】
それにより、テープ部材200のうち切断部120に貼り付いている部位の内周に位置する各々の基板形成領域110および各基板形成領域110上に搭載されている電子部品21、22をテープ部材200で被覆して封止する。
【0048】
このとき、本実施形態では、図3に示されるように、貼り付け用の治具300を用いてテープ部材200の貼り付け工程を行う。
【0049】
この治具300は、板材100の一面にテープ部材200を押し付けるための治具であって、テープ部材200を介して当該治具300と板材100の一面とを対向させた状態にて板材100の切断部120に対応する位置に突起310を有するものである。この治具300の材質は特に限定されないが、たとえばステンレスなどよりなる。
【0050】
ここでは、図3(a)に示されるように、まず、治具300の突起310に接触させた状態で、テープ部材200を治具300に搭載する。そして、図3(b)に示されるように、治具300の突起310と板材100の切断部120とを位置合わせしつつ、板材100の一面と治具300とをテープ部材200を介して対向させる。
【0051】
このとき、治具300とテープ部材200との接触については、テープ部材200における板材100への貼り付け面とは反対側の面に対して、治具300における突起310以外の部位を非接触としつつ突起310のみを接触させる。
【0052】
また、この治具300とテープ部材200との接触状態では、さらに、図3(b)中の矢印に示されるように、テープ部材200を当該テープ部材200の平面方向(図3(b)中の左右方向)に弛まないように引っ張った状態とする。ここで、上記平面方向への引っ張りは、たとえばテープ部材200の端部を治具等で引っ張ることにより、行うことができる。
【0053】
そして、この状態で、テープ部材200の貼り付け面を、板材100の一面における切断部120および第2の部品22に接触させつつ、突起310にてテープ部材200を切断部120に押し付ける。この押しつけの方向は、図3(b)中の上方から下方に向かう矢印にて示されている。
【0054】
このように押しつけを行うことにより、テープ部材200は、板材100の切断部120および第2の部品22に貼り付けられる。このとき、テープ部材200で被覆されている各々の基板形成領域110においては、テープ部材200は第2の部品22に貼り付けて第2の部品22に支持された状態となる。
【0055】
それによって、切断部120の内周の基板形成領域110のうち第2の部品22以外の部位、すなわち第2の部品22の周囲にて、テープ部材200は弛み無く張られ、テープ部材200と板材100の一面とが離れた空間が形成される。そして、第2の部品22に隣り合う第1の部品21は、当該空間に位置することになる。
【0056】
この状態を、例えるならば、第2の部品22を支持部材としてテープ部材200のテントが張られた状態となり、このテント内の空間に第1の部品21が位置した状態となる。それにより、第1の部品21は、テープ部材100とは非接触の状態でテープ部材200に被覆されたものとする。
【0057】
こうして、図3に示されるように、テープ部材200を板材100の一面に貼り付け、テープ部材200により板材100の一面および電子部品21、22を封止して保護した状態が形成される。
【0058】
次に、図4に示されるように、この状態のものについて切断工程を行う。具体的には、切断部120にて板材100を、各基板形成領域110の単位に切断することにより、個片化されたプリント基板10を形成する。
【0059】
このとき、上記テープ部材200の貼り付け工程では、テープ部材200が治具300の突起310で板材100に押し付けられるが、ここでは、この状態のまま、切断工程を行う。つまり、この治具300を、板材100を支持する支持部材として用い、図4に示されるように、板材100を治具300の突起310で支持する。
【0060】
そして、板材100におけるテープ部材200が貼り付いている一面とは反対側の他面側から切り込んでいくことにより、板材100の切断を行う。この切り込みは、ブレードまたはレーザなどによるダイシングによって行えるが、図4では、ブレード400によるダイシングの例を示している。
【0061】
そして、板材100の他面から切り込みを入れ、板材100を切断していくが、切り込みが板材100の一面まで到達し、板材100の切断が完了した後には、テープ部材200は、その厚さ方向の途中まで切断するにとどめ、板材100を個片化した後も1枚の大きなテープ部材200としてつながった状態とする。
【0062】
こうして切断工程が終了した後には、個片化されたプリント基板10の他面側からプリント基板10の端部を押し上げることにより、プリント基板10の端部からテープ部材200を剥がす。この基板端部の押し上げは電子部品21、22が実装されていない未実装部分でもよいし、当該基板端部に位置する第2の部品22の部分でもよい。
【0063】
ところで、本実施形態によれば、電子部品21、22の搭載工程では、第1の部品21と当該搭載後の高さが第1の部品21よりも高い第2の部品22とを、互いに隣り合うように、各基板形成領域110に搭載し、テープ部材200の貼り付け工程では、テープ部材200を切断部120に貼り付けるとともに、第2の部品22に貼り付けて第2の部品22に支持させ、第2の部品22の周囲にて、第1の部品21がテープ部材200とは非接触の状態でテープ部材200に被覆されるようにしている。
【0064】
それによれば、第2の部品22としては当然、第1の部品21よりも背が高く且つテープ部材200と貼り付いても問題ないものを用いることになるが、プリント基板10となる板材100の一面に上記従来のような突起を設けることなく、電子部品としての第1の部品21とテープ部材200とを離した状態で第1の部品21をテープ部材200で被覆し、板材100の切断を行うことができる。
【0065】
このように、本実施形態の製造方法は、プリント基板10の一面に搭載される電子部品が、単一の種類のものでなく異種のものが混合している場合、その搭載後の高さに差が生じること、および、当該高さが高いものは受動素子などのテープ部材の貼り付けが許容されるものが多く、低いものは能動素子やセンサチップなどのテープ部材の貼り付けが禁止されているものが多いことに着目して、成されたものである。
【0066】
また、本実施形態の切断工程では、上述のように、板材100をテープ部材200とは反対側の面から切り込んでいくが、もし、板材100をテープ部材200側から切り込んでいった場合、切断部120にて先にテープ部材200が切断され、その後、板材100の切断へ移行することになる。
【0067】
そのため、この場合、板材100の切断完了前に、切断部120に貼り付いているテープ部材200の部分が剥がれ、そこから水分等が侵入する可能性がある。しかし、本実施形態のように、板材100の切断を、板材100におけるテープ部材200が貼り付いている一面とは反対側の他面側から行えば、そのような問題を回避でき、信頼性に優れた切断が実現できる。
【0068】
また、本実施形態のテープ部材200の貼り付け工程では、上記したような突起310を有する治具300を用いて、テープ部材200をその平面方向に弛まないように引っ張りながら、治具300の突起310にて切断部120に押し付け、当該切断部120および第2の部品22に貼り付けるようにしている。
【0069】
そのため、切断部120の内周の基板形成領域110のうち第2の部品22以外の部位にて、テープ部材200は弛み無く張られ、テープ部材200と板材100の一面とが離れた空間が適切に形成される。そして、当該空間に第1の部品21を位置させることで、第1の部品21とテープ部材200との接触を回避できる。
【0070】
また、上述したように、テープ部材200の貼り付け後に板材100の切断を行うときに、この治具300を、板材100を支持する支持部材として用いることができるので、切断工程において別途、支持部材を用意することが不要となり、工程の簡略化等の利点がある。
【0071】
図5は、本実施形態の製造方法におけるテープ部材200の貼り付け方法の他の例を示す概略断面図である。上記図3では、テープ部材200における貼り付け面とは反対側の面を、治具300の突起310に接触させ、この状態でテープ部材200を治具300に支持させた後、板材100との貼り付けを行った。
【0072】
それに対して、図5に示されるように、テープ部材200を先に板材100の一面上に搭載されている第2の部品22に貼り付けてもよい。この場合、図5に示されるように、たとえば軟らかいゴムなどよりなるローラ500により、テープ部材200を第2の部品22に押し付けてやればよい。その後は、上記図3と同様に、突起310を有する治具300により、テープ部材200を切断部120に押し付けて貼り付けてやればよい。
【0073】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るテープ部材200が貼り付けられた板材100の種々の例を示す概略断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、電子部品21〜25を板材100の両面に搭載したことが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0074】
図6の各例に示されるように、本実施形態では、板材100の一面に電子部品21、22を搭載するだけでなく、当該一面とは反対側の他面にも、電子部品23、24、25を搭載している。
【0075】
図6(a)に示される第1の例では、板材100の他面に電子部品としてのチップコンデンサ23を搭載している。図6(b)に示される第2の例では、板材100の他面に電子部品としてのモールド部材24を搭載している。このモールド部材24は、たとえばICチップなどをモールド樹脂で封止してなるものである。
【0076】
また、図6(c)に示される第3の例では、板材100の他面に電子部品としてのフリップチップ25を搭載している。このフリップチップ25はアンダーフィルにより能動面が保護されている。
【0077】
これら各例においても、板材100の一面では、上記実施形態と同様に、第1の部品21と第2の部品22とが搭載され、これをテープ部材200で保護する。そして、上記同様に、切断工程を行うことで、個片化されたプリント基板10よりなる電子装置ができあがる。こうして、最終的にできあがった電子装置は、各例ともプリント基板10の両板面に電子部品21〜25が搭載されてなる両面搭載構造のものとなる。
【0078】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化されたプリント基板10、つまり本実施形態の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0079】
本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、1個の基板形成領域110において第2の部品22が複数個ではなく1個であることが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。なお、本実施形態は、上記第2実施形態と組み合わせて適用できることはもちろんである。
【0080】
上記第1実施形態では、上記図1等に示したように、2個以上の第2の部品22の間にテープ部材200を張ることにより、当該2個以上の部品22の間に位置する第1の部品21とテープ部材200とを非接触としていた。
【0081】
それに対して、図7に示されるように、本実施形態では、プリント基板10の中心部、すなわち基板形成領域110の中心部に高背部品である第2の部品22を1個配置し、その周辺に低背部品である第1の部品21を配置している。
【0082】
この場合、第2の部品22に貼り付いている部分を頂点とし、切断部120に向かって裾野が広がる山型に、テープ部材200が張られた形となる。そして、その内部にて第1の部品21がテープ部材200とは非接触の状態で被覆されたものとなる。
【0083】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態に係る切断により個片化されたプリント基板10、つまり本実施形態の電子装置の種々の例を示す概略平面図である。
【0084】
本実施形態は、第1の部品21がワイヤボンド実装されるものである場合に、そのワイヤボンディング方向を考慮した例を示すものである。そして、本実施形態は上記各実施形態と組み合わせて適用できるものであり、以下、本実施形態独自の部分を中心に述べることとする。
【0085】
図8に示されるように、本実施形態では、第1の部品21はワイヤボンディングにより基板形成領域110に接続される。この場合、ボンディングワイヤ30は、一般的なアルミニウムや金などよりなるものであり、ワイヤボンディングは、切断工程後に、個片化された各プリント基板10上の第1の部品21に対して行う。
【0086】
本実施形態では、電子部品21、22の搭載工程において、第1の部品21と第2の部品22とを、基板形成領域110におけるワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載する。ここで、図示しないが、基板形成領域110におけるワイヤボンディングされる部位には、たとえばワイヤボンディング用のパッドが設けられており、このパッドを挟んで、第1の部品21と第2の部品22とが隣り合って配置される。
【0087】
図8(a)の例では、矩形板状をなす第1の部品21の四方にてワイヤボンディングが行われるので、第2の部品22は第1の部品21の四方に隣り合って設けられている。また、図8(b)の例、図8(c)の例では、それぞれ矩形板状をなす第1の部品21の対向する二辺にてワイヤボンディングが行われるので、第2の部品22は第1の部品21の当該二辺に隣り合って設けられている。
【0088】
このようにすれば、板材100の一面および第1の部品21におけるそれぞれワイヤボンディングされる部位と、テープ部材200との接触を、確実に回避することができ、好ましい。当該ワイヤボンディングされる部位は、テープ部材200が貼りつくとテープ部材200の粘着剤などが付着し、ワイヤボンディング性の低下を引き起こすおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような問題が回避される。
【0089】
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化された基板10、つまり本実施形態の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0090】
本実施形態は、第1の部品21よりも背が高い第2の部品22の中でも、さらに背の高さが異なるものが存在する場合に、これら背の高さの異なる第2の部品22の配置例を示すものである。
【0091】
図9に示されるように、本実施形態では、第2の部品22の中でも背の高いもの、たとえば大型のコンデンサを基板形成領域110の中心部に配置し、第2の部品22の中でも背の低いもの、たとえば小型のコンデンサを基板形成領域110の周辺部に配置し、その間に第1の部品21を配置している。
【0092】
このように、第2の部品22の中で背の高さが異なる場合でも、第1の部品21とテープ部材200とを離した状態で第1の部品21をテープ部材200で適切に被覆することができる。
【0093】
(第6実施形態)
図10は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の製造方法の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化された基板10、つまり本実施形態の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0094】
本実施形態は、上記第4実施形態と同様に、第1の部品21がワイヤボンディングにより基板形成領域110に接続されるものであるが、さらに、板材100を切断する前にワイヤボンディングを実施する必要がある場合に適用されるものである。
【0095】
図10に示されるように、本実施形態では、第2の部品22として、その搭載後の高さが、第1の部品21よりも高いことはもちろんであるが、第1の部品21にワイヤボンディングを行って形成されるワイヤ30よりも高いものを用いる。ここで、ワイヤ30は、一般に、板材100の一面上にループ状に凸となった形状を有するので、当該ワイヤ30の高さとは、板材100の一面からワイヤ30のループの頂部までの高さである。
【0096】
そして、電子部品21、22の搭載工程では、第1の部品21および第2の部品22の搭載を行うとともに、第1の部品21にワイヤボンディングを行う。このとき、上記第4実施形態と同様に、第1の部品21と第2の部品22とを、基板形成領域110におけるワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載する。
【0097】
その後、上記同様に、テープ部材200の貼り付け工程によって、テープ部材200を切断部120および第2の部品22に貼り付ける。これにより、本実施形態では、第1の部品21およびワイヤ30がテープ部材200とは非接触の状態でテープ部材200に被覆される。そして、この状態で切断工程を行えば、ボンディングワイヤ30に影響を与えることなく、板材100の切断が行える。
【0098】
ここで、図11は、本第6実施形態に係る製造方法の他の例の要部を示す図であり、(a)は切断により個片化された基板10、つまり本例の電子装置の概略平面図、(b)はテープ部材200が貼り付けられた板材100を示す概略断面図である。
【0099】
この図11の例は、上記第3実施形態(図7参照)と同様に、1個の基板形成領域110において第2の部品22を1個としたものであり、この場合でも、本実施形態を適用することができる。
【0100】
(第7実施形態)
図12は、本発明の第7実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図であり、(b)は(a)中の丸で囲まれたA部の拡大図である。本実施形態では、テープ部材200の貼り付け工程を、一部変形したものであり、ここでは、その変形部分を中心に述べる。
【0101】
図12に示されるように、本実施形態においても、貼り付け工程では、上記突起310を有する治具300を用いてテープ部材200の貼り付けを行う。ここで、本実施形態では、板材100の他面のうち切断部120およびその周辺部を、エッチングや切削などによって凹ませた凹部とし、治具300の突起310の先端面に、当該凹部に対応した凸部を設ける。
【0102】
これにより、テープ部材200を突起310で切断部120に押し付けて貼り付けるときに、この凹部および凸部の形状にテープ部材200が変形するため、テープ部材200と板材100との密着性が向上する。その結果、板材100の切断時にテープ部材200が剥がれにくくなり、保護機能の向上が期待できる。
【0103】
(第8実施形態)
図13は、本発明の第8実施形態に係る電子装置の製造方法における切断工程を示す概略断面図である。本実施形態では、テープ部材200の貼り付け工程を、一部変形したものであり、ここでは、その変形部分を中心に述べる。
【0104】
図13に示されるように、本実施形態においても、貼り付け工程では、上記突起310を有する治具300を用いてテープ部材200の貼り付けを行う。ここで、本実施形態では、治具300における突起310以外の部位に、テープ部材200を板材100の他面とは反対方向に吸引するための吸引穴320が設けられている。
【0105】
そして、テープ部材200を板材100の他面に貼り付けるときには、図示しない真空ポンプなどにより、この吸引穴320からテープ部材200を引っ張りながら当該貼り付けを行う。なお、ここでは、治具300は、その突起310以外にも、吸引穴320が設けられている面でもテープ部材200と接触して、テープ部材200の貼り付けを行うものである。
【0106】
上記第1実施形態では、上記図3に示したように、テープ部材200をその平面方向に弛まないように引っ張りながら貼り付けたが、本実施形態では、上記吸引力によりテープ部材200のたわみが取り除かれるため、テープ部材200の貼り付け時に、当該平面方向への引っ張り動作が不要となる。
【0107】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、基板10が形成される基板形成領域110を一面に複数個有し、切断部120にて個々の基板形成領域110単位に切断されるようになっている板材100を用い、電子部品21、22の搭載後、板材100の一面のみにテープ部材200を貼り付けた状態で、切断を行った。しかし、上記各実施形態においては、更に板材100の一面とは反対側の他面にも、当該他面を保護する等の目的でテープ部材200を貼り付け、この状態で切断を行ってもよい。
【0108】
また、基板10としては、電子部品21、22を搭載するとともに多連の板材100を切断して個片化することにより形成されるものであればよく、上記したプリント基板10以外にも、たとえばアルミナなどよりなるセラミック基板や、たとえばシリコン半導体などよりなる半導体基板などであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 基板としてのプリント基板
21 電子部品としての第1の部品
22 電子部品としての第2の部品
30 ワイヤ
100 板材
110 基板形成領域
120 切断部
200 テープ部材
300 治具
310 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(10)の両板面の一面に電子部品(21、22)を搭載してなる電子装置を製造する製造方法であって、
前記基板(10)が形成される基板形成領域(110)を一面に複数個有し、各々の前記基板形成領域(110)の外周に位置する切断部(120)にて切断されるようになっている板材(100)を用意し、
各々の前記基板形成領域(110)に電子部品(21、22)を搭載した後、前記板材(100)の一面および前記電子部品(21、22)を被覆するようにテープ部材(200)を前記板材(100)の一面に貼り付けた状態で、前記切断部(120)にて前記板材(100)を切断することにより、個片化された前記基板(10)を形成する電子装置の製造方法において、
前記電子部品(21、22)の搭載工程では、前記電子部品として第1の部品(21)と当該搭載後の高さが前記第1の部品(21)よりも高い第2の部品(22)とを、互いに隣り合うように、各々の前記基板形成領域(110)について搭載し、
前記テープ部材(200)の貼り付け工程では、前記テープ部材(200)を前記切断部(120)に貼り付けて、前記テープ部材(200)のうち前記切断部(120)に貼り付いている部位の内周に位置する各々の前記基板形成領域(110)および前記電子部品(21、22)を前記テープ部材(200)で被覆して封止するとともに、
前記テープ部材(200)で被覆されている各々の前記基板形成領域(110)においては、さらに前記テープ部材(200)を前記第2の部品(22)に貼り付けて前記第2の部品(22)に支持させ、前記第2の部品(22)の周囲にて前記テープ部材(200)と前記板材(100)の一面とが離れた空間を形成することにより、前記第2の部品(22)に隣り合う前記第1の部品(21)を当該空間に位置させて、当該第1の部品(21)が前記テープ部材(200)とは非接触の状態で前記テープ部材(200)に被覆されるようにし、
前記板材(100)の切断は、前記板材(100)における前記テープ部材(200)が貼り付いている一面とは反対側の他面側から切り込んでいくことにより行うことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の部品(21)はワイヤボンディングにより前記基板形成領域(110)に接続されるものであり、
前記第1の部品(21)と前記第2の部品(22)とを、前記基板形成領域(110)における前記ワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載することを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の部品(22)として、前記搭載後の高さが、前記第1の部品(21)に前記ワイヤボンディングを行って形成されるワイヤ(30)よりも高いものを用い、
前記電子部品(21、22)の搭載工程では、前記第1の部品(21)および前記第2の部品(22)の搭載を行うとともに、前記第1の部品(21)に前記ワイヤボンディングを行うことを特徴とする請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記テープ部材(200)の貼り付け工程では、前記切断部(120)に対応する位置に突起(310)を有する治具(300)を用い、
前記突起(310)と前記切断部(120)とを位置合わせしつつ、前記板材(100)の一面と前記治具(300)とを前記テープ部材(200)を介して対向させ、
前記テープ部材(200)を当該テープ部材(200)の平面方向に弛まないように引っ張りながら、前記テープ部材(200)に対して、前記治具(300)における前記突起(310)以外の部位を非接触としつつ前記突起(310)を接触させた状態で、前記突起(310)にて前記テープ部材(200)を前記切断部(120)に押し付けることにより、前記テープ部材(200)を、前記切断部(120)および前記第2の部品(22)に貼り付けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法。
【請求項1】
基板(10)の両板面の一面に電子部品(21、22)を搭載してなる電子装置を製造する製造方法であって、
前記基板(10)が形成される基板形成領域(110)を一面に複数個有し、各々の前記基板形成領域(110)の外周に位置する切断部(120)にて切断されるようになっている板材(100)を用意し、
各々の前記基板形成領域(110)に電子部品(21、22)を搭載した後、前記板材(100)の一面および前記電子部品(21、22)を被覆するようにテープ部材(200)を前記板材(100)の一面に貼り付けた状態で、前記切断部(120)にて前記板材(100)を切断することにより、個片化された前記基板(10)を形成する電子装置の製造方法において、
前記電子部品(21、22)の搭載工程では、前記電子部品として第1の部品(21)と当該搭載後の高さが前記第1の部品(21)よりも高い第2の部品(22)とを、互いに隣り合うように、各々の前記基板形成領域(110)について搭載し、
前記テープ部材(200)の貼り付け工程では、前記テープ部材(200)を前記切断部(120)に貼り付けて、前記テープ部材(200)のうち前記切断部(120)に貼り付いている部位の内周に位置する各々の前記基板形成領域(110)および前記電子部品(21、22)を前記テープ部材(200)で被覆して封止するとともに、
前記テープ部材(200)で被覆されている各々の前記基板形成領域(110)においては、さらに前記テープ部材(200)を前記第2の部品(22)に貼り付けて前記第2の部品(22)に支持させ、前記第2の部品(22)の周囲にて前記テープ部材(200)と前記板材(100)の一面とが離れた空間を形成することにより、前記第2の部品(22)に隣り合う前記第1の部品(21)を当該空間に位置させて、当該第1の部品(21)が前記テープ部材(200)とは非接触の状態で前記テープ部材(200)に被覆されるようにし、
前記板材(100)の切断は、前記板材(100)における前記テープ部材(200)が貼り付いている一面とは反対側の他面側から切り込んでいくことにより行うことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の部品(21)はワイヤボンディングにより前記基板形成領域(110)に接続されるものであり、
前記第1の部品(21)と前記第2の部品(22)とを、前記基板形成領域(110)における前記ワイヤボンディングされる部位を挟んで隣り合うように搭載することを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の部品(22)として、前記搭載後の高さが、前記第1の部品(21)に前記ワイヤボンディングを行って形成されるワイヤ(30)よりも高いものを用い、
前記電子部品(21、22)の搭載工程では、前記第1の部品(21)および前記第2の部品(22)の搭載を行うとともに、前記第1の部品(21)に前記ワイヤボンディングを行うことを特徴とする請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記テープ部材(200)の貼り付け工程では、前記切断部(120)に対応する位置に突起(310)を有する治具(300)を用い、
前記突起(310)と前記切断部(120)とを位置合わせしつつ、前記板材(100)の一面と前記治具(300)とを前記テープ部材(200)を介して対向させ、
前記テープ部材(200)を当該テープ部材(200)の平面方向に弛まないように引っ張りながら、前記テープ部材(200)に対して、前記治具(300)における前記突起(310)以外の部位を非接触としつつ前記突起(310)を接触させた状態で、前記突起(310)にて前記テープ部材(200)を前記切断部(120)に押し付けることにより、前記テープ部材(200)を、前記切断部(120)および前記第2の部品(22)に貼り付けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−9257(P2011−9257A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148341(P2009−148341)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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