説明

電気部品用ソケット及び電気部品の検査システム

【課題】 操作部材が下降するときに、導通用接触部が電気部品を押圧しながら引っ掻く虞がない電気部品用ソケットを提供する。
【解決手段】 CCD1の端子1pと接触するコンタクトピン30が設けられたソケット本体11と、ソケット本体11に上下動自在に設けられた操作部材12と、操作部材12と一体に上下動可能に設けられ、CCD1が収容される収容部材13とを備えた電気部品用ソケット10であって、操作部材12が下降すると、収容部材13に収容されたCCD1が下降することにより、CCD1が導通用接触部30gから離間した後に、押圧部12nが被押圧部30eを押圧して揺動直線部30dがCCD1から退避することにより、導通用接触部30gがCCD1から離間する電気部品用ソケット10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気部品の端子と接触するコンタクトピンが設けられたソケット本体と、ソケット本体に上下動自在に設けられた操作部材と、電気部品が収容される収容部材とを備えた電気部品用ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気部品の端子と接触するコンタクトピンが設けられたソケット本体と、このソケット本体に上下動自在に設けられた操作部材と、電気部品が載置される収容部材とを有する電気部品用ソケットでは、電気部品と基板との電気的接続を図るために、操作部材の昇降によってコンタクトピンの導通用接触部を変位させて収容部材に収容された電気部品と接触させることが行われている。
【0003】
このような電気部品用ソケットに関する発明として特許文献1に記載されたようなものがある。特許文献1には、「電気部品の端子と接触するコンタクトピンが設けられたソケット本体と、該ソケット本体に上下動自在に設けられた操作部材と、前記電気部品が収容される収容部材とを備えた電気部品用ソケットであって、前記コンタクトピンは、前記ソケット本体に固定されるリード部と、該リード部の上端に設けられて前記ソケット本体に支持される被支持部(固定部16a)と、該被支持部から延長された弾性変形可能な弾性部(バネ部16e)と、該弾性部の先端部から延長されて、前記電気部品と前記基板とを電気的に接続させる導通用接触部(可動側接触部16d)が形成されると共に、前記操作部材に形成された押圧部により押圧可能な被押圧部(操作片16i)とが形成され、操作部材の下降により、コンタクトピンの被押圧部が押圧されて導通用接触部が電気部品から退避され、操作部材の上昇により、コンタクトピンの被押圧部が押圧力を解除されて導通用接触部が電気部品に接触する電気部品用ソケット。」の発明が記載されている。
【特許文献1】特開2002−190361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、操作部材が下降されて被押圧部(操作片16i)が押圧されて、導通用接触部が電気部品から退避されるようにするときに、導通用接触部が電気部品の端子を下方に押圧しながら引っ掻いてしまう虞があった。
【0005】
また、特許文献1に記載された発明では、例えばCCD(固体撮像素子、以下同じ)を検査する場合には、CCDを、電気部品用ソケットの上方でハンドラーによって収容部材へと移動し、電気部品用ソケットの上方から光源で光を照射することが行われているが、光源による照射を妨げないように、ハンドラーと光源の配置を定めるために、基板に取付けられる電気部品用ソケットの数が多くできず、一度に検査可能なCCDの検査数が少なくなる虞があり、又、光源とCCDとの距離が遠くなる虞もあった。
【0006】
そこで、この発明は、操作部材が下降するときに、導通用接触部が電気部品を押圧しながら引っ掻く虞がない電気部品用ソケットを提供することを課題とする。
【0007】
また、この発明の他の課題は、一度に検査可能なCCDの検査数を増加させると共に、光源とCCDとの距離を小さくすることができる電気部品の検査システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、電気部品の端子と接触するコンタクトピンが設けられると共に基板上に取付けられたソケット本体と、該ソケット本体に上下動自在に設けられた操作部材と、該操作部材と一体に上下動可能に設けられ、前記電気部品が収容される収容部材とを備えた電気部品用ソケットであって、前記コンタクトピンは、前記ソケット本体に固定されるリード部と、該リード部の上端に設けられて前記ソケット本体に支持される被支持部と、該被支持部から延長された弾性変形可能な弾性部と、該弾性部の先端部から延長されて前記弾性部より前記ソケット本体の中心寄りで下方へ延びて揺動自在な揺動直線部とを有し、該揺動直線部には、前記電気部品と前記基板とを電気的に接続させる導通用接触部が形成されると共に、前記操作部材に形成された押圧部により押圧可能な被押圧部とが形成され、前記操作部材が下降すると、前記収容部材に収容された前記電気部品が下降することにより、前記電気部品が前記導通用接触部から離間した後に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧して前記揺動直線部が前記電気部品から退避することにより、前記導通用接触部が前記電気部品から離間すると共に、前記操作部材が上昇すると、前記押圧部が前記被押圧部を押圧解除して前記揺動直線部が前記電気部品へと接近することにより、前記導通用接触部が前記電気部品に接近した後に、前記収容部材に収容された前記電気部品が上昇することにより、前記電気部品が前記導通用接触部に接触する電気部品用ソケットとしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記コンタクトピンは、前記揺動直線部の先端から略水平方向に延びて、前記収容部材に収容される前記電気部品の前記端子に上方から接触する前記導通用接触部の他に、前記揺動直線部の先端から下方向に延びて、前記収容部材の側面に横から接触して横方向への揺動が制止される横動制止接触部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記ソケット本体の下側で上下動自在な前記収容部材が、前記基板に形成されている貫通孔を介して前記基板の下に突出して設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記収容部材には上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通壁が設けられ、該貫通壁の内壁には前記電気部品を収容する段差部が形成され、前記電気部品は、光を導入する光導入面と、光から変換された電気を通す端子が設けられた端子面とを有するCCDであり、該CCDは、前記光導入面が下方に向けられて前記収容部材の前記段差部に収容されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、請求項4に記載の電気部品用ソケットと、前記収容部材の下方に配置されて前記貫通壁の前記貫通孔を通して前記電気部品に向けて照射される光源とを備えた電気部品の検査システムとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、電気部品が収容される収容部材が、操作部材と一体に上下動可能に設けられている。そのため、操作部材が下降したときに、導通用接触部が電気部品を押圧して引っ掻く前に、電気部品が収容される収容部材が操作部材と共に下降される。従って、操作部材が下降するときに、導通用接触部が電気部品を押圧しながら引っ掻くことがないようにすることができる。
【0014】
また、反対に、操作部材が上昇したときに、導通用接触部が電気部品側へと揺動した後に、電気部品が収容される収容部材が操作部材と共に上昇する。従って、導通用接触部が、確実に電気部品の端子に接触できる。
【0015】
このように、導通用接触部と電気部品とが接触するときには、導通用接触部と電気部品とが互いに接近する方向に移動され、導通用接触部と電気部品とが離間するときには、導通用接触部と電気部品とが互いに離間する方向に移動される。従って、電気部品が昇降する分、操作部材が昇降されなくても、導通用接触部と電気部品との接触又は接触解除ができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、コンタクトピンは、揺動直線部の先端から略水平方向に延びて、収容部材に収容される電気部品の端子に上方から接触する導通用接触部の他に、揺動直線部の先端から下方向に延びて、収容部材の側面に横から接触して横方向への揺動が制止される横動制止接触部を有する。従って、導通用接触部が電気部品の端子に接触する前に、横動制止接触部が収容部材の側面に当接して、導通用接触部が必要以上に電気部品における端子が設けられていない部位へと移動しないようにすることができると共に、導通用接触部が確実に電気部品の端子に接触できるようにガイドすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、ソケット本体の下側で上下動自在な収容部材が、基板に形成されている貫通孔を介して基板の下に突出して設けられている。従って、基板がソケット本体の下側に配置されないことから、基板の厚みの分、電気部品の検査に場所を取らないように済ませることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、収容部材には上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通壁が設けられ、該貫通壁の内壁には電気部品を収容する段差部が形成され、電気部品は、光を導入する光導入面と、光から変換された電気を通す端子が設けられた端子面とを有するCCDであり、CCDは、光導入面が下方に向けられて収容部材の段差部に収容される。そのため、ソケット本体の上側にハンドラーを設けて、電気部品の移動を行うことができると共に、ソケット本体の下側に光源を設けて、電気部品への光の照射を行うことができる。従って、例えば、電気部品がCCDの場合には、従来のように、電気部品用ソケットの上方にハンドラーと光源の両方が集中することを回避することができ、又、一度に検査可能な電気部品の検査数を増加させることができる。
【0019】
また、光源とCCDとの間にハンドラーが設けられないために、光源とCCDとの間の距離を小さくすることができる。従って、CCDの検査にあたり、光源の光を有効に活用することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、電気部品の検査システムは、電気部品用ソケットと、収容部材の下方に配置されて貫通壁の貫通孔を通して電気部品に向けて照射される光源とを備えた。従って、例えば、電気部品がCCDの場合には、従来のように、電気部品用ソケットの上方にハンドラーと光源の両方が集中することを回避することができる。また、CCDの検査にあたり、光源の光を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1乃至図9は、この発明の実施の形態1を示す。
【0023】
まず、構成を説明すると、電気部品用ソケット10は、図1及び図9(A),(B)で示すように、「電気部品」である「固体撮像素子」としてのCCD1(図7参照)の端子1pと接触するコンタクトピン30(図5参照)が設けられたソケット本体11と、ソケット本体11に上下動自在に設けられた操作部材12と、CCD1が収容される収容部材13とを備えている。操作部材12と収容部材13とは、図2で示すように、連結部材15で連結され、操作部材12と収容部材13とが一体となってソケット本体11に対して上下移動するようになっている。
【0024】
そして、この電気部品用ソケット10は、基板14上に取付けられ、電気部品用ソケット10に備えられた収容部材13は、基板14に形成された貫通孔14aに挿通される。
【0025】
ソケット本体11は、図2で示すように、壁部11aと、床部11bとが形成され、床部11bには、後述する操作部材12の中空筒部12dが挿通される筒部挿通孔11cが形成されている。
【0026】
また、ソケット本体11には、図5で示すように、コンタクトピン30の被支持部30aを支持するピン支持床11mが形成され、このピン支持床11mには、コンタクトピン30のリード部30bを挿嵌するリード挿嵌孔11nが形成されている。基板14にもリード挿嵌孔14nが形成されており、コンタクトピン30のリード部30bは、ソケット本体11のリード挿嵌孔11nに挿嵌された状態で、更にリード挿嵌孔14nに挿嵌される。ソケット本体11には、複数のコンタクトピン30が、板面同士を対向させて板面と垂直な方向に並べて配設され、隣接するコンタクトピン30同士の間に凸状の板材で成形された外側隔壁11p及び内側隔壁11qによって仕切られている。外側隔壁11pは、隣接するコンタクトピン30の下向き凸状部30c−2同士が互いに接触しないようにするために設けられており、内側隔壁11qは、隣接するコンタクトピン30の上向き凸状部30c−1同士が互いに接触しないようにするために設けられている。外側隔壁11p同士の間は、図4で示すように、外側スリット11rが形成され、内側隔壁11q同士の間は、図4で示すように、内側スリット11sが形成されている。
【0027】
操作部材12は、図1及び図8(A)で示すように、連結部材挿通凹部12aが4つ形成されており、各々の連結部材挿通凹部12aには、操作部材12と収容部材13とを連結する連結部材15が挿通される。また、この連結部材挿通凹部12aは、図2で示すように、上から順に、壁部12bと、後述する連結部材15の係止頭部15aが係止する被係止床部12cとから構成される。そして、被係止床部12cの略中央に孔が形成され、この孔と連通して中空筒部12dが下方へ延びている。この中空筒部12dは、前述した筒部挿通孔11cに挿通されて、操作部材12の昇降動作時に筒部挿通孔11cによってガイドされるようになっている。操作部材12が下方向に押圧されると、操作部材12の壁部12bがソケット本体11の壁部11a内を摺動しながら、操作部材12が下降する。
【0028】
また、操作部材12には、図5で示すように、CCD1を挿入するために上下方向に貫通孔12m−1が形成された電気部品挿入貫通壁12mが設けられ、この電気部品挿入貫通壁12mの下部には、コンタクトピン30の被押圧部30eを押圧可能で、外側から内側に向けて傾斜する押圧部12nが形成されている。
【0029】
収容部材13は、図8(B)で示すように、凹部13aが4つ形成されている。また、この凹部13aは、図2で示すように、下から順に、壁部13bと、後述する連結部材15の係止足部15bが係止する被係止天井部13cと、被係止天井部13cの略中央には孔が形成され、この孔と連通して中空筒部13dが上方へ延びている。収容部材13は、図2で示すように、ソケット本体11の下側で上下動自在に構成され、基板14に形成されている貫通孔14aを介して基板14の下に突出して設けられている。また、操作部材12の中空筒部12dは、ソケット本体11の筒部挿通孔11cに挿通され、更に収容部材13の中空筒部13dに挿通されている。
【0030】
また、収容部材13には、図5で示すように、CCD1に光を照射するために上下方向に貫通孔13m−1が形成された貫通壁13mが設けられ、この貫通壁13mの内壁の上部には、CCD1を収容する段差部13nが形成されている。段差部13nの上方には、隣接するコンタクトピン30同士を隔てる複数の隔壁部13pが形成されており、この隔壁部13pには、図4及び図5で示すように、鉛直隔壁面13qと傾斜隔壁面13rとがあり、図4で示すように、鉛直隔壁面13q同士の間に鉛直スリット13yが形成され、傾斜隔壁面13r同士の間に傾斜スリット13zが形成されている。
【0031】
連結部材15は、操作部材12と収容部材13とを連結する部材であり、図2で示すように、上部に係止頭部15aが形成されており、操作部材12の中空筒部12dに上方から挿嵌され、又、収容部材13の被係止天井部13cよりも下方から突出する下部が拡径されて係止足部15bが形成されている。そして、係止頭部15aが操作部材12の被係止床部12cに係止され、係止足部15bが収容部材13の被係止天井部13cに係止されている。
【0032】
操作部材12が下降されると、連結部材15で連結された収容部材13も収容部材13自体の有する自重により下降するようになっている。また、操作部材12に対して下方へ向けて力が作用していないときには、「バネ部」であるコイルバネ16が床部11bに対して操作部材12を上向きに付勢し、連結部材15の係止頭部15aが被係止床部12cに引っ掛けられた連結部材15が上昇し、これと共に、連結部材15の係止足部15bが被係止天井部13cに引っ掛けられた収容部材13が上昇する。このような構成により、操作部材12と収容部材13とは、上昇時も下降時も、一体となって動作するようになっている。
【0033】
コンタクトピン30は、導電性を有する板材で成形され、図3で示すように、ソケット本体11に支持される被支持部30aと、被支持部30aから下方に延びると共にソケット本体11のリード挿嵌孔11n(図5参照)に上方から挿嵌されるリード部30bと、被支持部30aから上方に湾曲して延びると共に弾性を有する「弾性部」である渦巻き部30cと、渦巻き部30cの先端から略鉛直下向きに延びて形成されると共に横方向に揺動自在な揺動直線部30dとを有する。
【0034】
また、揺動直線部30dは、略中央が被支持部30aとは反対の外側に凸状に形成されて操作部材12により押圧可能な被押圧部30eが形成され、又、先端側が2股に分離して形成され、下方向に延びて収容部材13の側面に当接して横方向への移動が制止される横動制止接触部30fと、略水平方向に延びて収容部材13上に収容されるCCD1の上面に接触してCCD1と基板14とを電気的に接続する導通用接触部30gとを有する。なお、導通用接触部30gは、先端が下方向に鋭角に形成された凸状の部位を有している。
【0035】
また、渦巻き部30cは、被支持部30aから斜め上方向に凸状に形成された上向き凸状部30c−1と、上向き凸状部30c−1の先端と繋がって斜め下方向に凸状に形成された下向き凸状部30c−2とを有する。
【0036】
CCD1は、図7で示すように、光を導入する光導入面1bと、光から変換された電気を通す端子1pが設けられた端子面1aとを有する。CCD1は、図5及び図6(A),(B)で示すように、光導入面1bが下方を向くように、収容部材13に形成された段差部13nに収容される。
【0037】
そして、「電気部品」であるCCD1の検査システム8は、図1及び図5で示すように、前述した電気部品用ソケット10と、収容部材13の下方に配置されて貫通壁13mを通してCCD1に向けて照射される光源2とを備えて構成される。
【0038】
次に、この発明の実施の形態に係る電気部品用ソケット10の作用及びCCD1の検査方法について述べる。
【0039】
まず、操作部材12を下降させると、図5から図6(A)までで示すように、操作部材12の電気部品挿入貫通壁12mがコンタクトピン30の揺動直線部30dに沿って下降すると共に、CCD1を収容された収容部材13が下降する。これにより、導通用接触部30fから、CCD1が下方向へと離間する方向へと移動する。
【0040】
そして、更に操作部材12を下降させると、図6(A)で示すように、操作部材12の押圧部12nが、コンタクトピン30の被押圧部30eと接触して被押圧部30eを押圧すると共に、CCD1が収容された収容部材13が更に下降する。
【0041】
これより更に操作部材12を下降させると、図6(B)で示すように、押圧部12nが、コンタクトピン30の被押圧部30eを乗り越えながら押圧し、揺動直線部30dが外側に押し込まれ、揺動直線部30dの先端に設けられた導通用接触部30gがCCD1側から退避する。また、横動制止接触部30fが、収容部材13の貫通壁13mの外側面から退避する。この状態で、図示しないハンドラーによって、図5で示すように、CCD1を移動させ、端子面1aが上を向くように収容部材13の段差部13nに収容する。
【0042】
この状態で、今度は、操作部材12を上昇させると、図6(B)から図6(A)までで示すように、操作部材12の押圧部12nがコンタクトピン30の被押圧部30eを降りながら被押圧部30eへの押圧を解除することにより、揺動直線部30dが、被押圧部30eを外側に押すことを止め、渦巻き部30cの弾性力によって元の形状に戻ろうとし、収容部材13の貫通壁13mの外側面へと接近する。これにより、導通用接触部30gが、CCD1の端子1pの上方に配置される。
【0043】
そして、更に操作部材12を上昇させると、図6(A)で示すように、押圧部12nがコンタクトピン30の被押圧部30eを完全に降りると共に、CCD1を収容した収容部材13が更に上昇して、導通用接触部30gがCCD1の端子面1aに接触した状態となる。この状態で、光源2からCCD1に対して光を照射して、CCD1を検査する。また、このとき、横動制止接触部30fが、収容部材13の貫通壁13mの外側面に接触した状態となり、導通用接触部30gが必要以上にCCD1の端子1p上を摺動しないようになっている。
【0044】
これより更に操作部材12を上昇させると、図5で示すように、操作部材12の電気部品挿入貫通壁12mがコンタクトピン30の揺動直線部30dに沿って上昇すると共に、CCD1を収容した収容部材13が上昇する。
【0045】
このような電気部品用ソケット10によれば、CCD1が収容される収容部材13が、操作部材12と一体に上下動可能に設けられている。そのため、操作部材12が下降したときに、導通用接触部30gがCCD1を押圧して引っ掻く前に、CCD1が収容される収容部材13が操作部材12と共に下降される。従って、操作部材12が下降するときに、導通用接触部30gがCCD1を押圧しながら引っ掻くことがないようにすることができる。また、操作部材12の動作をそのまま収容部材13の動作に活用することができるので、操作部材12の昇降機構とは別に、収容部材13の昇降機構を構成する必要がない。
【0046】
また、前述したのとは反対に、操作部材12が上昇したときに、導通用接触部30gがCCD1側へと揺動した後に、CCD1が収容される収容部材13が操作部材12と共に上昇する。従って、導通用接触部30gが、確実にCCD1の端子1pに接触できる。
【0047】
このように、導通用接触部30gとCCD1とが接触するときには、導通用接触部30gとCCD1とが互いに接近する方向に移動され、導通用接触部30gとCCD1とが離間するときには、導通用接触部30gとCCD1とが互いに離間する方向に移動される。従って、CCD1が昇降する分、操作部材12が昇降されなくても、導通用接触部30gとCCD1との接触又は接触解除ができる。
【0048】
また、コンタクトピン30は、揺動直線部30dの先端から略水平方向に延びて、収容部材13に収容されるCCD1の端子1pに上方から接触する導通用接触部30gの他に、揺動直線部30dの先端から下方向に延びて、収容部材13の側面に横から接触して横方向への揺動が制止される横動制止接触部30fを有する。従って、導通用接触部30gがCCD1の端子1pに接触する前に、横動制止接触部30fが収容部材13の側面に当接して、導通用接触部30gが必要以上にCCD1における端子1pが設けられていない部位へと移動しないようにすることができると共に、導通用接触部30gが確実にCCD1の端子1pに接触できるようにガイドすることができる。
【0049】
さらに、ソケット本体11の下側で上下動自在な収容部材13が、基板14に形成されている貫通孔14aを介して基板14の下に突出して設けられている。従って、基板14がソケット本体11の下側に配置されないことから、基板14の厚みの分、CCD1の検査に場所を取らないで済ませることができる。
【0050】
また、収容部材13には上下方向に貫通する貫通孔13m−1が形成された貫通壁13mが設けられ、貫通壁13mの内壁にはCCD1を収容する段差部13nが形成され、CCD1は、光を導入する光導入面1bと、光から変換された電気を通す端子1pが設けられた端子面1aとを有するCCD1であり、CCD1は、光導入面1bが下方に向けられて収容部材13の段差部13nに収容される。そのため、ソケット本体11の上側にハンドラーを設けて、CCD1の移動を行うことができると共に、ソケット本体11の下側に光源2を設けて、CCD1への光の照射を行うことができる。従って、例えば、CCD1の場合には、従来のように、電気部品用ソケット10の上方にハンドラーと光源2の両方が集中することを回避することができ、又、一度に検査可能なCCD1の検査数を増加させることができる。
【0051】
また、光源2とCCD1との間にハンドラーが設けられないために、光源2とCCD1との間の距離を小さくすることができる。従って、CCD1の検査にあたり、光源2の光を有効に活用することができる。
【0052】
さらに、CCD1の検査システムは、電気部品用ソケット10と、収容部材13の下方に配置されて貫通壁13mの貫通孔13m−1を通してCCD1に向けて照射される光源2とを備えた。従って、例えば、CCD1の場合には、従来のように、電気部品用ソケット10の上方にハンドラーと光源2の両方が集中することを回避することができる。また、CCD1の検査にあたり、光源2の光を有効に活用することができる。
【0053】
また、揺動直線部30dには、被押圧部30eと導通用接触部30gとが同方向に突出するように設けられている。そのため、操作部材12の押圧部12nによる被押圧部30eへ押圧又は押圧解除の動作が、直接的に導通用接触部30gの動作となるようにすることができる。
【0054】
なお、この発明の実施の形態における電気部品用ソケット10は、CCD1の試験に用いられるものであったが、上記実施の形態に限定されない。すなわち、電気部品用ソケット10は、CCD1以外の電気部品、例えば、ICパッケージ等の試験に用いられることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電気部品用ソケットの斜視図である。
【図2】同実施の形態に係る図1のA−A線に沿う電気部品用ソケットの断面図である。
【図3】同実施の形態に係るコンタクトピンの正面図である。
【図4】同実施の形態に係る図1のB−B線に沿う電気部品用ソケットの断面斜視図である。
【図5】同実施の形態に係る図1のB−B線に沿う電気部品用ソケットの断面図である。
【図6】同実施の形態に係る図1のB−B線に沿う電気部品用ソケットを示し、(A)は、操作部材の押圧部がコンタクトピンの被押圧部を押圧する瞬間を示す断面図であり、(B)は、操作部材の押圧部がコンタクトピンの被押圧部を押圧してコンタクトピンを横方向に移動させたときを示す断面図である。
【図7】同実施の形態に係るCCDを示し、(A)は、CCDの裏面図、(B)は、(A)の矢印Eの方から見た図であり、(C)は、(A)の矢印Fの方から見た図である。
【図8】同実施の形態に係る電気部品用ソケットを示し、(A)は、電気部品用ソケットの平面図であり、(B)は、電気部品用ソケットの裏面図である。
【図9】同実施の形態に係る電気部品用ソケットを示し、(A)は、図8(A)の矢印C方向から見た電気部品用ソケットの側面図であり、(B)は、図8(A)の矢印D方向から見た電気部品用ソケットの側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 CCD(電気部品)
1a 端子面
1b 光導入面
1p 端子
2 光源
10 電気部品用ソケット
11 ソケット本体
12 操作部材
13 収容部材
14 基板
15 連結部材
16 コイルバネ
30 コンタクトピン
30a 被支持部
30b リード部
30c 渦巻き部(バネ部)
30d 揺動直線部
30e 被押圧部
30f 横動制止接触部
30g 導通用接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品の端子と接触するコンタクトピンが設けられると共に基板上に取付けられたソケット本体と、該ソケット本体に上下動自在に設けられた操作部材と、該操作部材と一体に上下動可能に設けられ、前記電気部品が収容される収容部材とを備えた電気部品用ソケットであって、
前記コンタクトピンは、前記ソケット本体に固定されるリード部と、該リード部の上端に設けられて前記ソケット本体に支持される被支持部と、該被支持部から延長された弾性変形可能な弾性部と、該弾性部の先端部から延長されて前記弾性部より前記ソケット本体の中心寄りで下方へ延びて揺動自在な揺動直線部とを有し、該揺動直線部には、前記電気部品と前記基板とを電気的に接続させる導通用接触部が形成されると共に、前記操作部材に形成された押圧部により押圧可能な被押圧部とが形成され、
前記操作部材が下降すると、前記収容部材に収容された前記電気部品が下降することにより、前記電気部品が前記導通用接触部から離間した後に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧して前記揺動直線部が前記電気部品から退避することにより、前記導通用接触部が前記電気部品から離間すると共に、
前記操作部材が上昇すると、前記押圧部が前記被押圧部を押圧解除して前記揺動直線部が前記電気部品へと接近することにより、前記導通用接触部が前記電気部品に接近した後に、前記収容部材に収容された前記電気部品が上昇することにより、前記電気部品が前記導通用接触部に接触することを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項2】
前記コンタクトピンは、前記揺動直線部の先端から略水平方向に延びて、前記収容部材に収容される前記電気部品の前記端子に上方から接触する前記導通用接触部の他に、前記揺動直線部の先端から下方向に延びて、前記収容部材の側面に横から接触して横方向への揺動が制止される横動制止接触部を有することを特徴とする請求項1に記載の電気部品用ソケット。
【請求項3】
前記ソケット本体の下側で上下動自在な前記収容部材が、前記基板に形成されている貫通孔を介して前記基板の下に突出して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気部品用ソケット。
【請求項4】
前記収容部材には上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通壁が設けられ、該貫通壁の内壁には前記電気部品を収容する段差部が形成され、前記電気部品は、光を導入する光導入面と、光から変換された電気を通す端子が設けられた端子面とを有するCCDであり、該CCDは、前記光導入面が下方に向けられて前記収容部材の前記段差部に収容されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の電気部品用ソケット。
【請求項5】
請求項4に記載の電気部品用ソケットと、前記収容部材の下方に配置されて前記貫通壁の前記貫通孔を通して前記電気部品に向けて照射される光源とを備えたことを特徴とする電気部品の検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−135211(P2008−135211A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318461(P2006−318461)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】