説明

電池システム

【課題】電池セルや組電池の数が増大したとしても、通信負荷の増大を抑制することができる電池システムを提供する。
【解決手段】第2通信バス11を介して第1〜第3電池ECU2〜4をそれぞれ接続し、第1〜第3電池ECU2〜4の電池状態の情報を第1電池ECU2に全て集約する。一方、第1通信バス10を介して第1電池ECU2を制御ECU5に接続し、第1電池ECU2から制御ECU5に判定結果を出力する。このように、第1〜第3電池ECU2〜4の間で制御ECU5から独立した通信経路を形成しているので、電池セル6や組電池1の数が増えたとしても、第1〜第3電池ECU2〜4から制御ECU5への第1通信バス10のトラフィック負荷の増大が抑制され、通信負荷の増大が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池を構成する電池セルの異常の有無を判定する電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、組電池を構成する複数の電池セルをそれぞれ監視することで、各電池セルの保護機能のレベルアップが図られている。この場合、電池セルの劣化を示す劣化指標SOH(State of Health)を単セルレベルで検知することが必要である。劣化指標SOHはいわゆる内部抵抗であり、電池セルのセル電圧と電池セルに流れるセル電流とから演算されるため、全ての電池セルのセル電圧の取得が必要である。
【0003】
そこで、電池セルに対してA/Dコンバータが設けられた監視装置が、例えば特許文献1で提案されている。このA/Dコンバータによって電池セルのセル電圧が測定される。そして、測定されたセル電圧に基づいて電池セルの過放電や上記の劣化指標SOCが監視される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、電気自動車等のシステムでは、車種によって異なるが、電池セルが例えば240個搭載される。この場合、電池ECUで各電池セルの劣化指標SOHを演算し、各電池ECUで得られた劣化指標SOHを他のECUで管理することが考えられる。
【0006】
そして、上記のように電気自動車等のシステムでは用いられる電池セルの数が非常に多いので、図10に示されるように、複数の電池セル6を所定数毎にグループ化した組電池1を複数構成し、組電池1毎に電池ECU100を設ける。この場合、車両の電気エネルギーを一括管理するECUであるパワーマネジメントECU5(以下では制御ECU5という)と各電池ECU100とはCANバス等の通信バス10を介して通信可能な電池システムとして構成される。
【0007】
しかしながら、全ての電池セル6に対して制御を行うために各電池ECU100から制御ECU5に各電池セル6に関するデータをそれぞれ出力することになるので、通信バス10に出力されるデータ量が膨大となる。電池セル6の数や組電池1の数が増えた場合も同様に各電池ECU100から通信バス10に出力されるデータ量が膨大となる。このため、通信バス10のトラフィック負荷が増大してしまうという問題がある。
【0008】
なお、上記では、車両に搭載される電池システムについて説明したが、電池システムが適用される対象はもちろん車両に限られない。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、電池セルや組電池の数が増大したとしても、通信負荷の増大を抑制することができる電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セルが直列に接続されている組電池の各々の電池セルの電池状態の情報を出力する電池状態検出手段を複数備えた電池システムであって、以下の点を特徴としている。
【0011】
すなわち、複数の電池状態検出手段のうちの一つの電池状態検出手段は、他の電池状態検出手段で取得された電池状態の情報を集約し、当該集約した電池状態の情報に基づいて電池セルそれぞれが異常か否かを判定する電池異常判定手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
これによると、他の電池状態検出手段の電池状態の情報を一つの電池状態検出手段に全て集約しているので、複数の電池状態検出手段間で完結した独立の通信経路を形成することができる。このため、電池セルや組電池の数が増えたとしても、この独立した通信経路内で複数の電池状態検出手段の通信が完結するため、複数の電池状態検出手段から他の通信経路に対するトラフィック負荷の増大を必要最小限とすることができる。したがって、電池セルや組電池の数が増大したとしても、通信負荷の増大を抑制することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、複数の電池セルが直列に接続されている組電池と、その組電池の各々の電池セルの電池状態を検出し、前記電池状態の情報を出力する電池状態検出手段と、で構成される電池パックを複数備えた電池システムであって、以下の点を特徴としている。
【0014】
すなわち、複数の電池状態検出手段のうちの一つの電池状態検出手段は、当該一つの電池状態検出手段で取得された電池状態の情報および他の電池状態検出手段で取得された電池状態の情報を集約し、当該集約した電池状態の情報に基づいて電池セルそれぞれが異常か否かを判定する電池異常判定手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
これによると、複数の電池状態検出手段の電池状態の情報を一つの電池状態検出手段に全て集約しているので、複数の電池状態検出手段の間で完結した独立の通信経路を形成することができる。このため、電池セルや組電池の数が増えたとしても、この独立した通信経路内で複数の電池状態検出手段の通信が完結するため、複数の電池状態検出手段から他の通信経路に対するトラフィック負荷の増大を必要最小限とすることができる。したがって、電池セルや組電池の数が増大したとしても、通信負荷の増大を抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、他の電池状態検出手段から出力される電池状態の情報とは、他の電池状態検出手段で検出される電池状態のうち、最悪状態の電池セルの情報であることを特徴とする。
【0017】
これによると、他の電池状態検出手段で検出された全ての電池状態を出力しなくて済むので、他の電池状態検出手段から出力される情報量を少なくすることができる。また、一つの電池状態検出手段に集約される情報量も低減することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、電池状態の情報とは、電池セルの内部抵抗であることを特徴としている。そして、複数の電池状態検出手段それぞれは、組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段と、組電池を構成する複数の電池セルに流れるセル電流を検出する電流検出手段と、組電池を構成する複数の電池セルに流れるセル電流とセル電圧とから複数の電池セルの内部抵抗をそれぞれ検出する内部抵抗検出手段と、内部抵抗検出手段で取得された内部抵抗の中から最も高い内部抵抗を取得する最悪SOH検出手段と、で構成されることを特徴とする。
【0019】
これにより、複数の電池状態検出手段において、電池セルの電池状態として内部抵抗を演算することができる。
【0020】
そして、請求項5に記載の発明のように、電圧検出手段は、AD変換器とマルチプレクサとを備えて構成され、組電池を構成する複数の電池セルの全てのセル電圧を特定の順番で切り替えて検出し、電流検出手段は、特定の順番に対して所定のタイミングに合わせてセル電流を検出することができる。
【0021】
この場合、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、特定の順番を、組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する周期を繰り返す順番とし、所定のタイミングを、複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する周期より小さい周期であり、且つ、組電池を構成する全ての電池セルのセル電圧を検出するタイミングとそれぞれ同期が取れるタイミングとすることができる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明のように、請求項5に記載の発明において、特定の順番を、組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する周期を繰り返し、且つ、周期毎に一番初めにセル電圧を検出する電池セルを順に切り替える順番とし、所定のタイミングを、複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する周期の一番初めの電池セルと同期が取れるタイミングとすることができる。
【0023】
さらに、請求項8に記載の発明のように、請求項5に記載の発明において、特定の順番を、組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する第1周期と、この第1周期とは別に、複数の電池セルを一つずつ順に検出する第2周期と、を繰り返す順番とし、所定のタイミングを、第2周期と同期が取れるタイミングとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池システムの全体構成図である。
【図2】図1に示される構成の具体的なブロック図である。
【図3】電圧検出部および電流検出部の具体的な構成の一例を示した図である。
【図4】第1実施形態における特定の順番および所定のタイミングを説明するための図である。
【図5】第2実施形態における特定の順番および所定のタイミングを説明するための図である。
【図6】第3実施形態における特定の順番および所定のタイミングを説明するための図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る電池システムの全体構成図である。
【図8】図7に示される構成の具体的なブロック図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る電池システムの全体構成図である。
【図10】課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。以下では、「発明が解決しようとする課題」で説明した図10に示す構成要素と同一のものには、同一符号を記してある。
【0027】
図1は、本実施形態に係る電池システムの全体構成図である。この図に示されるように、電池システムは、組電池1と第1〜第3電池ECU2〜4とパワーマネジメントECU5(以下では制御ECU5という)とを備えて構成されている。
【0028】
組電池1は、最小単位である電池セル6が直列に複数接続されて構成された電池群である。電池セル6は例えば12個が直列に接続されている。電池セル6として充電可能なリチウムイオン二次電池が用いられる。そして、組電池1はハイブリッド車等の電気自動車に搭載され、インバータやモータ等の負荷を駆動するための電源や電子機器の電源等に用いられる。
【0029】
第1〜第3電池ECU2〜4は、組電池1毎に設けられ、対応する組電池1の各々の電池セル6の電池状態を検出し、検出した電池状態の情報を出力するECUである。ここで、「電池状態」とは、後述するが、電池セル6のセル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)である。ECUは、図示しないCPU、ROM、EEPROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータがROM等に記憶されたプログラムに従って所定の機能を実行する制御回路である。
【0030】
そして、第1〜第3電池ECU2〜4は対応する組電池1と共に電池パックを構成している。つまり、1つの電池ECUと1つの組電池1とで電池パックが構成されている。なお、図1では3つの電池パックが示されているが、電池パックは3つ以上であっても良い。本実施形態では、電池パックは3つであるとする。
【0031】
制御ECU5は、第1〜第3電池ECU2〜4で取得された電池状態の情報に基づいて、車両の電気エネルギーを一括管理するECUである。
【0032】
上記構成において、図1に示されるように、制御ECU5は第1〜第3電池ECU2〜4のうちの第1電池ECU2に第1通信バス10(CAN1)を介して接続されている。一方、第1〜第3電池ECU2〜4は第2通信バス11(CAN2)を介して接続されている。第1通信バス10および第2通信バス11としては、例えばCAN通信が採用される。
【0033】
このように、複数の電池ECU2〜4が存在しているが、制御ECU5に接続される電池ECUは第1電池ECU2のみである。すなわち、第1電池ECU2は第2電池ECU3および第3電池ECU4に対するマスタとして機能し、第2電池ECU3および第3電池ECU4は第1電池ECU2のスレーブとして機能する。
【0034】
次に、第1〜第3電池ECU2〜4の具体的な構成について、図2を参照して説明する。図2は図1に示される構成の具体的なブロック図である。なお、図2では組電池1の各電池セル6を省略している。
【0035】
図2に示されるように、マスタである第1電池ECU2は、電圧検出部20、電流検出部30、平均電圧演算部40、最大電圧演算部50、最小電圧演算部60、SOH演算部70、最悪SOH演算部80、および電池異常判定部90を備えている。
【0036】
電圧検出部20は、組電池1を構成する各電池セル6のセル電圧をそれぞれ検出する測定部である。また、電流検出部30は、組電池1に流れるセル電流を検出する測定部である。これら電圧検出部20および電流検出部30の具体的な構成の一例を図3に示す。なお、図3では8個の電池セル6(V1〜V8)について示している。
【0037】
図3に示されるように、電圧検出部20は、マルチプレクサ21と、電圧ホールド部22と、AD変換器23(AD)と、を備えて構成されている。
【0038】
マルチプレクサ21は、組電池1の各電池セル6のうちのいずれかと電圧ホールド部22とを接続するスイッチ群(Sf1〜Sf8)である。このため、マルチプレクサ21は、各電池セル6の正極側に接続される複数の正極側スイッチ21aと、電池セル6の負極側に接続される複数の負極側スイッチ21bと、を備えている。
【0039】
例えば、最も高電圧側の電池セル6(V1)のセル電圧を検出する場合、正極側スイッチ21aのうちのSf1と負極側スイッチ21bのうちのSf1がオンされる。これにより、電池セル6(V1)の両端が電圧ホールド部22に接続される。マルチプレクサ21における各スイッチの切り替えは、後述する特定の順番で切り替えられる。
【0040】
電圧ホールド部22はマルチプレクサ21で選択された電池セル6のセル電圧をコンデンサCで保持する。コンデンサCの両端にはスイッチSdおよび抵抗Rが直列接続され、コンデンサCの一方の電極がスイッチSr1を介してAD変換器23に接続され、コンデンサCの他方の電極がスイッチSr2を介してAD変換器23に接続されている。なお、電圧ホールド部22はマルチプレクサ21の構成に含まれていても良い。
【0041】
電圧ホールド部22がマルチプレクサ21で選択された電池セル6のセル電圧をコンデンサCに保持する場合、スイッチSd、Sr1、Sr2はすべてオフされる。そして、AD変換器23がセル電圧を測定する場合、スイッチSr1、Sr2がオンされる。コンデンサCを放電する際にはスイッチSdがオンされる。
【0042】
AD変換器23は、測定したセル電圧を平均電圧演算部40、最大電圧演算部50、最小電圧演算部60、およびSOH演算部70にそれぞれ出力する。
【0043】
また、電流検出部30は、組電池1を構成する電池セル6に流れるセル電流を検出する測定部である。この電流検出部30は、各電池セル6の内部抵抗(SOH)を取得する際に電池セル6に流れるセル電流を検出するように構成され、組電池1のうち最も低電圧側の電池セル6の負極側に設けられている。電流検出部30は、電圧検出部20の特定の順番に対して所定のタイミングに合わせてセル電流を検出し、このセル電流をSOH演算部70に出力する。
【0044】
図2に示される平均電圧演算部40は、電圧検出部20から組電池1を構成する電池セル6の全てのセル電圧を入力し、全てのセル電圧の平均電圧を取得する演算部である。同様に、最大電圧演算部50は全てのセル電圧の中から最大電圧を取得する演算部であり、最小電圧演算部60は全てのセル電圧の中から最小電圧を取得する演算部である。最大電圧演算部50および最小電圧演算部60は、取得したセル電圧の最大電圧や最小電圧を電池異常判定部90に出力する。これら平均電圧、最大電圧、および最小電圧は、電池状態のうちの一つの状態である。
【0045】
SOH演算部70は、電圧検出部20から組電池1を構成する電池セル6の全てのセル電圧を入力すると共に、電流検出部30からセル電流を入力し、これらセル電圧およびセル電流から内部抵抗を取得する演算部である。SOH演算部70は、取得した各電池セル6の内部抵抗を最悪SOH演算部80に出力する。電池セル6の内部抵抗は、電池状態のうちの一つの状態である。
【0046】
最悪SOH演算部80は、SOH演算部70から入力される全ての内部抵抗の中から最も高い内部抵抗(最悪SOH)を取得する演算部である。本実施形態では、最悪SOH演算部80は、取得した最も高い内部抵抗(最悪SOH)を電池異常判定部90に出力する。
【0047】
電池異常判定部90は、最大電圧演算部50から入力したセル電圧の最大電圧、最小電圧演算部60から入力したセル電圧の最小電圧、最悪SOH演算部80から入力した最も高い内部抵抗(最悪SOH)に基づいて、電池セル6の異常の有無を判定する判定部である。電池セル6の異常とは、電池セル6の過充電、過放電、劣化等である。そして、電池異常判定部90は、いずれかの電池セル6に異常が生じたことを判定すると、その判定結果(異常フラグ)を制御ECU5に出力する。
【0048】
一方、スレーブである第2電池ECU3および第3電池ECU4は、電池異常判定部90を備えていないこと以外は第1電池ECU2と同じ構成となっている。すなわち、第2電池ECU3および第3電池ECU4は異常判定を行わない監視ユニットであると言える。
【0049】
なお、図2では、スレーブとして機能する第2電池ECU3および第3電池ECU4に電池異常判定部90が備えられていないが、もちろん第2電池ECU3および第3電池ECU4に電池異常判定部90が備えられていても良い。この場合、第2電池ECU3および第3電池ECU4の電池異常判定部90を機能させなければ良い。
【0050】
そして、第2電池ECU3および第3電池ECU4に備えられた平均電圧演算部40は、取得したセル電圧の平均電圧をマスタとして機能する第1電池ECU2に備えられた平均電圧演算部40に第2通信バス11を介してそれぞれ出力する。
【0051】
同様に、第2電池ECU3および第3電池ECU4に備えられた最大電圧演算部50は、取得したセル電圧の最大電圧を第1電池ECU2に備えられた最大電圧演算部50に第2通信バス11を介してそれぞれ出力する。第2電池ECU3および第3電池ECU4に備えられた最小電圧演算部60は、取得したセル電圧の最小電圧を第1電池ECU2に備えられた最小電圧演算部60に第2通信バス11を介してそれぞれ出力する。第2電池ECU3および第3電池ECU4に備えられた最悪SOH演算部80は、取得した最も高い内部抵抗(最悪SOH)を第1電池ECU2に備えられた最悪SOH演算部80に第2通信バス11を介してそれぞれ出力する。
【0052】
ここで、第2電池ECU3および第3電池ECU4から出力される電池状態の情報とは、第2電池ECU3および第3電池ECU4で検出される電池状態のうち、少なくとも最悪状態の電池セル6の情報を含んだ情報である。ここで、「最悪状態」とは、電池セル6の劣化が進行して内部抵抗が大きくなる等、最も状態が悪いことをいう。したがって、最悪状態の電池セル6の情報とは、最も状態が悪い電池セル6のセル電圧の最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)であり、この情報が電池状態の情報に含まれる。本実施形態では、平均電圧も電池状態の情報である。
【0053】
上述のように、第1電池ECU2は自身に対応した組電池1の各電池セル6のセル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)をそれぞれ取得するが、第2電池ECU3および第3電池ECU4でそれぞれ取得されたセル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)も取得する。
【0054】
そして、第1電池ECU2の平均電圧演算部40は、第1〜第3電池ECU2〜4の平均電圧を制御ECU5に出力する。
【0055】
また、第1電池ECU2の電池異常判定部90は、第1電池ECU2で取得された電池状態の情報(最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH))および第2電池ECU3および第3電池ECU4で取得された電池状態の情報(最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH))を集約し、当該集約した電池状態の情報に基づいて電池セル6が異常か否かを判定する。すなわち、第1電池ECU2は、当該第1電池ECU2に対応した組電池1の各電池セル6の異常の有無の判定だけでなく、第2電池ECU3および第3電池ECU4に対応した各組電池1の各電池セル6の異常の有無も判定する。そして、電池異常判定部90は、その判定結果(異常フラグ)を制御ECU5に出力する。
【0056】
制御ECU5は、電池パックを用いて車両に搭載された電気機器(アクチュエータ)を動作させる制御部5aを備えている。制御部5aは、第1通信バス10を介して第1電池ECU2から入力した判定結果(異常フラグ)に基づいて各電池パックの使用を制御する。以上が、本実施形態に係る電池システムの構成である。
【0057】
次に、本実施形態に係る電池システムの作動について、図4を参照して説明する。図4は、第1〜第3電池ECU2〜4においてセル電圧の検出順番とセル電流の検出タイミングとを示した図である。なお、以下では組電池1を構成する電池セル6の数を12個(V1〜V12)とする。
【0058】
各電池ECU2〜4は、特定の順番で組電池1の各電池セル6のセル電圧を検出する。特定の順番とは、図4に示されるように、組電池1を構成する複数の電池セル6のセル電圧をV1からV12まで一通り順番に検出する周期を繰り返す順番である。すなわち、各電池ECU2〜4の電圧検出部20は、V1の電池セル6からV12の電池セル6まで順番にセル電圧をそれぞれ検出する。
【0059】
このように特定の順番でセル電圧を検出しているときに、各電池ECU2〜4の電流検出部30はセル電圧を検出する特定の順番に対して所定のタイミングに合わせてセル電流を検出する。ここで、所定のタイミングとは、セル電圧をV1からV12まで一通り検出する周期より小さい周期であり、且つ、組電池1を構成する全ての電池セル6のセル電圧を検出するタイミングとそれぞれ同期が取れるタイミングである。
【0060】
例えば、図4に示されるように、V1の電池セル6のセル電圧の検出に同期してセル電流を検出した場合、次はV11の電池セル6のセル電圧の検出に同期してセル電流を検出する。セル電流を検出する周期はV1〜V11であるから、「セル電圧をV1からV12まで一通り検出する周期(V1〜V12)」を一周期とするとセル電流を検出する周期(V1〜V11)はセル電圧を検出する周期よりも小さい周期である。
【0061】
したがって、V1を基準とすると、V1のセル電圧およびセル電流を検出し、V2〜V10のセル電圧を検出し、V11のセル電圧およびセル電流を検出し、V12のセル電圧を検出してセル電圧の検出の一周期が終了する。次のセル電圧の検出周期では、V1〜V9のセル電圧を検出し、V10のセル電圧およびセル電流を検出し、V11、V12のセル電圧を検出してセル電圧の検出の一周期が終了する。このように、セル電圧の検出の一周期を繰り返していくと、セル電流の検出タイミングが一電池セル6ずつずれていく。
【0062】
各電池ECU2〜4は、上記のようにして検出したセル電圧およびセル電流から、セル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)をそれぞれ取得する。そして、スレーブとして機能する第2電池ECU3および第3電池ECU4は、取得したセル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)を第2通信バス11を介して第1電池ECU2に出力する。
【0063】
このように、スレーブとして機能する第2電池ECU3および第3電池ECU4で検出された電池セル6毎の全ての電池状態を出力せずに電池状態の情報としてセル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)を出力しているので、第2電池ECU3および第3電池ECU4から出力される情報量を少なくすることができる。言い換えると、第1電池ECU2に集約される情報量を低減することができる。
【0064】
そして、第1電池ECU2にて第1〜第3電池ECU2〜4の全ての電池状態の情報を集約し、電池異常判定部90で異常と判定された電池セル6の情報のみを第1通信バス10を介して制御ECU5に出力する。これにより、電池パックが複数設けられていたとしても、各電池ECU2〜4と制御ECU5との通信はそれぞれ個別ではなく、第1電池ECU2が一括して行うため、第1通信バス10で通信の混雑が起こることはない。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、電池パックを構成する第1〜第3電池ECU2〜4を第2通信バス11でそれぞれ接続することで独立した通信経路で通信することが特徴となっている。また、第1電池ECU2をマスタとし、第2電池ECU3および第3電池ECU4をスレーブとして、第1電池ECU2に第1〜第3電池ECU2〜4の電池状態の情報を集約していることが特徴となっている。
【0066】
このように、第1〜第3電池ECU2〜4の電池状態の情報を第2通信バス11を介して第1電池ECU2に全て集約しているので、第1〜第3電池ECU2〜4の間で制御ECU5から独立した通信経路を形成することができる。このため、電池セル6や組電池1の数が増えたとしても、この独立した通信経路内で第1〜第3電池ECU2〜4の通信を完結させることができ、第1〜第3電池ECU2〜4から制御ECU5への第1通信バス10のトラフィック負荷の増大を必要最小限とすることができる。したがって、電池セル6や組電池1の数が増大したとしても、通信負荷の増大を抑制することができる。
【0067】
そして、スレーブとして機能する第2電池ECU3および第3電池ECU4を異常判定を行わない監視ユニットとしているので、低コスト化が可能である。
【0068】
また、第1通信バス10および第2通信バス11を介することで、マスタである第1電池ECU2とスレーブである第2電池ECU3および第3電池ECU4と制御ECU5との各マイコンで相互診断することも可能である。
【0069】
さらに、ローカル通信IDを車両コネクタで設定することで、第1〜第3電池ECU2〜4を共通のハードウェアとすることもできる。
【0070】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1〜第3電池ECU2〜4が特許請求の範囲の「電池状態検出手段」に対応する。各電池ECU2〜4のうち、第1電池ECU2が特許請求の範囲の「一つの電池状態検出手段」に対応し、第2電池ECU3および第3電池ECU4が特許請求の範囲の「他の電池状態検出手段」に対応する。
【0071】
また、電圧検出部20が特許請求の範囲の「電圧検出手段」に対応し、電流検出部30が特許請求の範囲の「電流検出手段」に対応する。SOH演算部70が特許請求の範囲の「内部抵抗検出手段」に対応し、最悪SOH演算部80が特許請求の範囲の「最悪SOH検出手段」に対応する。さらに、電池異常判定部90が特許請求の範囲の「電池異常判定手段」に対応する。
【0072】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、セル電圧を検出する特定の順番とセル電流を検出する所定のタイミングが第1実施形態と異なる。図5は、本実施形態における特定の順番および所定のタイミングを説明するための図である。
【0073】
本実施形態では、特定の順番とは、図5に示されるように、組電池1を構成する複数の電池セル6のセル電圧を一通り検出する周期を繰り返し、且つ、周期毎に一番初めにセル電圧を検出する電池セル6が順に切り替わる順番である。
【0074】
すなわち、各電池ECU2〜4の電圧検出部20は、V1の電池セル6からV12の電池セル6まで順番にセル電圧をそれぞれ検出すると、次の一周期ではV2からセル電圧を検出し始めてV12のセル電圧を検出した後にV1のセル電圧を検出して一周期が終了する。この次の一周期では、V3からセル電圧を検出し始めてV12のセル電圧を検出した後にV1、V2のセル電圧を検出して一周期が終了する。このように、セル電圧を検出する周期の先頭の電池セル6がV1から順番に1つずつずれる。
【0075】
一方、上記の特定の順番に対する所定のタイミングは、特定の順番における周期の一番初めの電池セル6と同期が取れるタイミングである。すなわち、V1〜V12の電池セル6のセル電圧を検出する先頭の電池セル6と同期したタイミングである。
【0076】
したがって、V1をセル電圧の先頭の電池セル6とすると、図5に示されるように、各電池ECU2〜4の電流検出部30はV1の電池セル6に同期してセル電流を検出した場合、次はV2の電池セル6のセル電圧の検出に同期してセル電流を検出する。このように、各電池ECU2〜4の電流検出部30はセル電圧を検出する周期の先頭の電池セル6と同期してセル電流を検出する。以上のように、特定の順番および所定のタイミングを設定しても良い。
【0077】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、セル電圧を検出する特定の順番とセル電流を検出する所定のタイミングが第1、第2実施形態と異なる。図6は、本実施形態における特定の順番および所定のタイミングを説明するための図である。
【0078】
本実施形態では、特定の順番とは、図6に示されるように、組電池1を構成する複数の電池セル6のセル電圧を一通り検出する第1周期(V1〜V12)と、この第1周期とは別に、複数の電池セル6を一つずつ順に検出する第2周期(V1、V2、V3、・・・)と、を繰り返す順番である。
【0079】
すなわち、各電池ECU2〜4の電圧検出部20は、V1の電池セル6のセル電圧を検出した後にV1〜V12の電池セル6のセル電圧を順に検出する。この後、V2の電池セル6のセル電圧を検出した後にV1〜V12の電池セル6のセル電圧を順に検出する。このように、セル電圧を一通り検出する前に、1つずつ異なる電池セル6のセル電圧を検出する。
【0080】
一方、上記の特定の順番に対する所定のタイミングは、第2周期と同期が取れるタイミングである。すなわち、図6に示されるように、各電池ECU2〜4の電流検出部30は各電池セル6のセル電圧を個別に検出するタイミングに同期してセル電流を検出する。以上のように、特定の順番および所定のタイミングを設定しても良い。
【0081】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、スレーブとして機能する第2電池ECU3および第3電池ECU4はECUであるが、各電池セル6のセル電圧を検出できれば良いため、ECUよりも構成が簡略化された監視ユニットとして構成することもできる。
【0082】
図7は、本実施形態に係る電池システムの全体構成図である。この図に示されるように、電池システムは、組電池1と、第1〜第3監視ユニット7〜9と、電池ECU2と、制御ECU5と、を備えて構成されている。このうち、電池ECU2は上記各実施形態で示された第1電池ECU2と同じ機能および構成を備えたECUである。制御ECU5についても同様である。
【0083】
そして、図1に示されるように、制御ECU5は電池ECU2に第1通信バス10(CAN1)を介して接続されている。一方、電池ECU2と第1〜第3監視ユニット7〜9とは第2通信バス11(CAN2)を介して接続されている。第1通信バス10および第2通信バス11としては、例えばCAN通信が採用される。
【0084】
このように、制御ECU5に接続されるものは電池ECU2のみである。すなわち、電池ECU2は第1〜第3監視ユニット7〜9に対するマスタとして機能し、第1〜第3監視ユニット7〜9は電池ECU2のスレーブとして機能する。
【0085】
第1〜第3監視ユニット7〜9は、組電池1毎に設けられ、対応する組電池1の各々の電池セル6のセル電圧およびセル電流を検出する機能を備えたものである。そして、第1〜第3監視ユニット7〜9は対応する組電池1と共に電池パックを構成している。
【0086】
図8は、図7に示される構成の具体的なブロック図である。なお、図8では組電池1の各電池セル6を省略している。
【0087】
図8に示されるように、第1〜第3監視ユニット7〜9は、電圧検出部20と、電流検出部30と、SOH演算部70と、を備えている。これら電圧検出部20、電流検出部30、およびSOH演算部70は、上記各実施形態で示されたものと同じである。
【0088】
本実施形態では、電圧検出部20は、測定したセル電圧を第2通信バス11を介して電池ECU2の平均電圧演算部40、最大電圧演算部50、および最小電圧演算部60にそれぞれ出力する。
【0089】
電流検出部30は、上述の電圧検出部20の特定の順番に対して所定のタイミングに合わせてセル電流を検出し、このセル電流をSOH演算部70に出力する。また、SOH演算部70は、取得した各電池セル6の内部抵抗を第2通信バス11を介して電池ECU2の最悪SOH演算部80に出力する。
【0090】
そして、電池ECU2は、第1〜第3監視ユニット7〜9からセル電圧およびセル電流を集約し、セル電圧の平均電圧、最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH)をそれぞれ取得する。また、電池ECU2の電池異常判定部90は、取得した電池状態の情報(最大電圧、最小電圧、および最も高い内部抵抗(最悪SOH))を集約し、当該集約した電池状態の情報に基づいて電池セル6が異常か否かを判定する。
【0091】
このように、電池ECU2は通信I/Fとして機能するマスタであるので、図8に示されるように本実施形態に係る電池ECU2は電圧検出部20および電流検出部30を備えていない。
【0092】
以上説明したように、電池ECU2および第1〜第3監視ユニット7〜9を第2通信バス11で接続することで制御ECU5から独立した通信経路を形成し、第1〜第3監視ユニット7〜9で検出されたセル電圧およびセル電流を電池ECU2で集約することもできる。
【0093】
そして、電池ECU2を通信I/Fのみとしているので、電池ECU2を車両間で共通化することができる。
【0094】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1〜第3監視ユニット7〜9が特許請求の範囲の「他の電池状態検出手段」に対応する。
【0095】
(第5実施形態)
本実施形態では、第4実施形態と異なる部分について説明する。図9は、本実施形態に係る電池システムの全体構成図である。この図に示されるように、電池ECU2は第1通信バス10を介さずに、第3通信バス12を介して接続されている。すなわち、この第3通信バス12により電池ECU2は第1通信バス10を介さずに制御ECU5と直接通信可能となっている。つまり、第3通信バス12は電池ECU2と制御ECU5とを接続する専用の通信バスである。
【0096】
したがって、電池セル6や組電池1の数が増大したとし電池ECU2から制御ECU5への第1通信バス10のトラフィック負荷を無くすことができる。
【0097】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された電池システムの構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の特徴を含んだ他の構成とすることもできる。例えば、電池システムは、組電池1を含まない構成としても良い。つまり、電池システムは電池ECU2〜4や監視ユニット7〜9のみで構成されていても良い。
【0098】
また、第4実施形態では、第1〜第3監視ユニット7〜9にSOH演算部70がそれぞれ設けられていたが、第1〜第3監視ユニット7〜9にSOH演算部70を設けずに電池ECU2のSOH演算部70で内部抵抗(SOH)を演算しても良い。これにより、第1〜第3監視ユニット7〜9の構成をさらに簡略化できる。
【0099】
一方、第1〜第3監視ユニット7〜9に電池異常判定部90を除いた各部、すなわち、電圧検出部20、電流検出部30、平均電圧演算部40、最大電圧演算部50、最小電圧演算部60、SOH演算部70、および最悪SOH演算部80を備えさせても良い。
【0100】
上記各実施形態では、電池システムをハイブリッド車等の電気自動車に適用することについて説明したが、これは電池システムの適用の一例であり、車両に限らず組電池1を利用して装置を作動させる場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 組電池
2〜4 電池ECU(電池状態検出手段)
6 電池セル
7〜9 監視ユニット(電池状態検出手段)
20 電圧検出部(電圧検出手段)
21 マルチプレクサ
23 AD変換器
30 電流検出部(電流検出手段)
70 SOH演算部(内部抵抗検出手段)
80 最悪SOH演算部(最悪SOH検出手段)
90 電池異常判定部(電池異常判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列に接続されている組電池の各々の電池セルの電池状態の情報を出力する電池状態検出手段を複数備えた電池システムであって、
前記複数の電池状態検出手段のうちの一つの電池状態検出手段は、他の電池状態検出手段で取得された電池状態の情報を集約し、当該集約した電池状態の情報に基づいて前記電池セルそれぞれが異常か否かを判定する電池異常判定手段を備えていることを特徴とする電池システム。
【請求項2】
複数の電池セルが直列に接続されている組電池と、その組電池の各々の電池セルの電池状態を検出し、前記電池状態の情報を出力する電池状態検出手段と、で構成される電池パックを複数備えた電池システムであって、
前記複数の電池状態検出手段のうちの一つの電池状態検出手段は、当該一つの電池状態検出手段で取得された電池状態の情報および他の電池状態検出手段で取得された電池状態の情報を集約し、当該集約した電池状態の情報に基づいて前記電池セルそれぞれが異常か否かを判定する電池異常判定手段を備えていることを特徴とする電池システム。
【請求項3】
前記他の電池状態検出手段から出力される電池状態の情報とは、前記他の電池状態検出手段で検出される電池状態のうち、最悪状態の電池セルの情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の電池システム。
【請求項4】
前記電池状態の情報とは、前記電池セルの内部抵抗であり、
前記複数の電池状態検出手段それぞれは、
前記組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段と、
前記組電池を構成する複数の電池セルに流れるセル電流を検出する電流検出手段と、
前記組電池を構成する複数の電池セルに流れるセル電流とセル電圧とから前記複数の電池セルの内部抵抗をそれぞれ検出する内部抵抗検出手段と、
前記内部抵抗検出手段で取得された内部抵抗の中から最も高い内部抵抗を取得する最悪SOH検出手段と、で構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池システム。
【請求項5】
前記電圧検出手段は、AD変換器とマルチプレクサとを備えて構成され、前記組電池を構成する複数の電池セルの全てのセル電圧を特定の順番で切り替えて検出し、
前記電流検出手段は、前記特定の順番に対して所定のタイミングに合わせてセル電流を検出することを特徴とする請求項4に記載の電池システム。
【請求項6】
前記特定の順番は、前記組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する周期を繰り返す順番であり、
前記所定のタイミングは、前記一通り検出する周期より小さい周期であり、且つ、前記組電池を構成する全ての電池セルのセル電圧を検出するタイミングとそれぞれ同期が取れるタイミングであることを特徴とする請求項5に記載の電池システム。
【請求項7】
前記特定の順番は、前記組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する周期を繰り返し、且つ、周期毎に一番初めにセル電圧を検出する電池セルを順に切り替える順番であり、
前記所定のタイミングは、前記一通り検出する周期の一番初めの電池セルと同期が取れるタイミングであることを特徴とする請求項5に記載の電池システム。
【請求項8】
前記特定の順番は、前記組電池を構成する複数の電池セルのセル電圧を一通り検出する第1周期と、この第1周期とは別に、前記複数の電池セルを一つずつ順に検出する第2周期と、を繰り返す順番であり、
前記所定のタイミングは、前記第2周期と同期が取れるタイミングであることを特徴とする請求項5に記載の電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−83123(P2012−83123A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227286(P2010−227286)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】