電源装置、及びその電源装置を備える照明装置、並びに照明システム
【課題】負荷の出力変動を抑えつつ電力の変換効率の向上を図る。
【解決手段】本実施形態の電源装置PSは、第1の電力変換部2から第1の照明負荷LA1に電力を供給するとともに第2の電力変換部3から第2の照明負荷LA2に電力を供給し、第1の電力変換部2と第2の電力変換部3を電気的に完全に独立させ、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力(光出力)を合成している。したがって、直流電力系統DCの供給量が減少したときには第2の電力変換部3の出力を減らして第2の照明負荷LA2の負荷出力(光出力)を下げるとともに第1の電力変換部2の出力を増やして第1の照明負荷LA1の負荷出力(光出力)を上げることで負荷の出力変動(光出力の変動)を抑えることができる。しかも、従来例のように交流電源と直流電源を混合して同一の負荷に供給する場合に比較して電力の変換効率の向上を図ることができる。
【解決手段】本実施形態の電源装置PSは、第1の電力変換部2から第1の照明負荷LA1に電力を供給するとともに第2の電力変換部3から第2の照明負荷LA2に電力を供給し、第1の電力変換部2と第2の電力変換部3を電気的に完全に独立させ、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力(光出力)を合成している。したがって、直流電力系統DCの供給量が減少したときには第2の電力変換部3の出力を減らして第2の照明負荷LA2の負荷出力(光出力)を下げるとともに第1の電力変換部2の出力を増やして第1の照明負荷LA1の負荷出力(光出力)を上げることで負荷の出力変動(光出力の変動)を抑えることができる。しかも、従来例のように交流電源と直流電源を混合して同一の負荷に供給する場合に比較して電力の変換効率の向上を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及びその電源装置を備える照明装置、並びに照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源装置として、特許文献1に記載されている蛍光灯用電子安定器がある。この電源装置(電子安定器)は、商用の交流電源に接続されるAC/DCコンバータ(例えば、昇圧チョッパ回路)と、AC/DCコンバータから出力される直流電力を高周波の交流電力に変換するDC/ACコンバータ(インバータ回路)とを備え、DC/ACコンバータから出力される高周波交流電力を負荷である蛍光灯に供給している。また特許文献1記載の従来例では、太陽光発電装置から供給される直流電力をDC/DCコンバータを介して電源装置のDC/ACコンバータで高周波交流電力に変換して負荷(蛍光灯)に供給するようにしている。そして、太陽光発電装置の発電量に応じて、太陽光発電装置から直流電力供給を受ける電源装置の台数を変更することにより、全体としてDC/DCコンバータを変換効率の高い状態で運転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−51733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例においては、給電側の状況(太陽光発電装置の発電量)に応じて稼働する負荷(蛍光灯)の個数が増減するため、負荷の出力(蛍光灯で照明される空間の明るさ<照度>)が大きく変動することになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、負荷の出力変動を抑えつつ電力の変換効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源装置は、交流電源に接続されて当該交流電源から供給される交流電力を電力変換して第1の負荷に出力する第1の電力変換部と、直流電源に接続されて当該直流電源から供給される直流電力を電力変換して第2の負荷に出力する第2の電力変換部と、前記第1の負荷の負荷出力と前記第2の負荷の負荷出力の総和が所定の目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整する負荷出力調整部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この電源装置において、前記第1又は第2の負荷の負荷出力を設定する出力設定部を備え、前記負荷出力調整部は、当該出力設定部で設定される前記第1又は第2の負荷の負荷出力に応じて前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することが好ましい。
【0008】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記負荷出力の総和に対する前記第1又は第2の負荷の負荷出力の比率を設定することが好ましい。
【0009】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力に対して上限値を設定し、前記負荷出力調整部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力が前記上限値以下となるように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することが好ましい。
【0010】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記目標値が所定値以下のときは前記第1又は第2の負荷の負荷出力を最小値に設定することが好ましい。
【0011】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記第2の電力変換部への直流入力の大きさに応じて前記負荷出力を設定することが好ましい。
【0012】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力の設定情報をデータ通信によって前記負荷出力調整部に与えることが好ましい。
【0013】
この電源装置において、前記出力設定部は、データ通信の通信線路の一部を前記直流電源の電路と共用することが好ましい。
【0014】
この電源装置において、前記第1及び第2の負荷の負荷出力を検出する負荷出力検出部を備え、前記負荷出力調整部は、当該負荷出力検出部で検出される負荷出力が前記目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することが好ましい。
【0015】
この電源装置において、前記直流電源と前記第2の電力変換部との間にコモンモードフィルタが挿入されていることが好ましい。
【0016】
この電源装置において、前記交流電源の一方の電路が直流阻止用のインピーダンス素子を介して前記直流電源の負極側の電路に接続されていることが好ましい。
【0017】
本発明の照明装置は、照明負荷からなる前記第1及び第2の負荷と、本発明の電源装置とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この照明装置において、照明空間内の人の存否を検知する人検知センサを備え、当該人検知センサの検知結果に応じて前記目標値が変更されることが好ましい。
【0019】
本発明の照明システムは、本発明の複数の照明装置からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電源装置、及びその電源装置を備える照明装置、並びに照明システムは、負荷の出力変動を抑えつつ電力の変換効率の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電源装置の実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上の回路構成図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【図4】(a),(b)は本発明に係る照明装置の実施形態1を示す断面図である。
【図5】同上の概略構成図である。
【図6】本発明に係る電源装置の実施形態2を示すブロック図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【図9】本発明に係る電源装置の実施形態3を示すブロック図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明に係る照明装置の実施形態2を示す断面図及び下面図である。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】同上の動作説明図である。
【図13】本発明に係る電源装置の実施形態4を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る電源装置の実施形態5を示すブロック図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【図16】本発明に係る照明システムの実施形態を示すブロック図である。
【図17】同上の動作説明図である。
【図18】同上の動作説明図である。
【図19】同上の動作説明図である。
【図20】同上の動作説明図である。
【図21】同上の動作説明図である。
【図22】本発明に係る照明システムの実施形態を示すブロック図である。
【図23】同上の一部省略した回路構成図である。
【図24】同上の動作説明用のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、負荷を照明負荷とした実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明に係る電源装置の負荷は照明負荷に限定されるものでなく、電源装置から供給される電力に応じて負荷出力が変化するような負荷全般を用いることができる。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の電源装置PSは、蛍光ランプからなる第1の照明負荷LA1に高周波の交流電力を供給するとともに、発光ダイオードからなる第2の照明負荷LA2に直流電力を供給するものであって、図1に示すように交流電力系統(商用交流電源)ACから供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ1と、AC/DCコンバータ1から出力される直流電力を高周波の交流電力(高周波電力)に変換する第1の電力変換部2と、直流電力系統(直流電源)DCから供給される直流電力を所望の電圧レベルを有する直流電力に変換する第2の電力変換部3と、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力(ランプ電力)を調整する負荷出力調整部4と、出力設定部5とを備えている。
【0024】
図2は本実施形態の電源装置PSの具体回路構成を示している。AC/DCコンバータ1は、全波整流器10及び平滑コンデンサ11、力率改善回路(昇圧チョッパ回路)で構成されている。交流電源ACからの交流入力がノイズフィルタNFを介して全波整流器10により全波整流されるとともに、平滑コンデンサ11によって平滑される。平滑コンデンサ11の両端には昇圧チョッパ回路が接続されている。昇圧チョッパ回路はチョッパチョーク12、ダイオード13、平滑コンデンサ14、ダイオード13及び平滑コンデンサ14に並列接続されたスイッチング素子15、平滑コンデンサ14の両端電圧を検出する出力電圧検出部16、スイッチング素子15に流れる電流を検出するための検出抵抗17、出力電圧検出部16の検出値と検出抵抗17の検出値(電圧降下)とに基づいてスイッチング素子15を制御する駆動制御回路18などを具備している。駆動制御回路18は、スイッチング素子15のオン時間を調整することで直流出力電圧が一定になるようにフィードバック制御している。また、チョッパチョーク12には2次巻線19が設けられており、この2次巻線19に誘起される電圧で駆動制御回路18の動作電源が作成される。但し、このような昇圧チョッパ回路の構成及び動作については従来周知であるから、詳細な説明は省略する。
【0025】
第1の電力変換部2は、AC/DCコンバータ1の出力端に直列接続された一対のスイッチング素子20,21と、ローサイドのスイッチング素子21に並列接続されたインダクタ22及びコンデンサ23の共振回路と、共振回路と第1の照明負荷(蛍光ランプ)LA1との間に挿入された直流カット用のコンデンサ24と、2つのスイッチング素子20,21を交互にスイッチングする駆動回路25とを具備した、いわゆるハーフブリッジ型のインバータ回路からなる。駆動回路25は、スイッチング素子20,21のスイッチング周波数を調整することで蛍光ランプLA1に供給する高周波電力を制御し、蛍光ランプLA1の始動や調光を行っている。但し、このようなハーフブリッジ型のインバータ回路の回路動作については従来周知であるから詳細な説明は省略する。
【0026】
第2の電力変換部3には、図2に示すように直流電力系統DCからコモンモードフィルタCF並びに整流素子D1を介して直流電力が供給される。第2の電力変換部3はDC/DCコンバータ(降圧チョッパ回路)からなり、チョッパチョーク30、ダイオード31、平滑コンデンサ32、平滑コンデンサ32を介してチョッパチョーク30に流れる電流を入切するスイッチング素子33、チョッパチョーク30を介してスイッチング素子33に流れる電流を検出する電流検出部(検出抵抗)34、電流検出部34の検出結果に応じてスイッチング素子33をスイッチング制御する駆動制御回路35などを具備している。駆動制御回路35は、スイッチング素子33のオン時間を調整することで出力電力を一定にする制御を行っている。但し、第2の電力変換部3は降圧チョッパ回路として周知のものであるから、詳細な動作説明は省略する。
【0027】
負荷出力調整部4は、コントローラ40と、出力設定部5から送信される出力設定情報を受信してコントローラ40に伝える通信インタフェース41と、コントローラ40から出力される制御信号をフォトカプラ43を介して第1の電力変換部2の駆動回路25に伝送する伝送インタフェース42と、第2の電力変換部3の入力電圧からコントローラ40の動作電源を作成する電源回路44とを具備している。コントローラ40は、マイクロコンピュータやメモリなどで構成されており、専用のソフトウェアをマイクロコンピュータで実行することによって、後述する種々の処理を行っている。
【0028】
出力設定部5は、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2のランプ電力の総和の目標値を表す出力設定値Poと、ランプ電力の総和の目標値(出力設定値Po)に対する第2の照明負荷LA2のランプ電力の比率を表す比率設定値Rpdとを負荷出力調整部4に対して設定する。
【0029】
第1及び第2の照明負荷LA1,LA2のランプ電力の総和の目標値は、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和、すなわち、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2によって照明される照明空間の明るさ(照度)が所望の値となるように設定される。例えば、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2がオフィスの室内照明に用いられる場合、窓から入射する外光(太陽光)の多少に応じて、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和の目標値が調整される。なお、このような目標値の調整については、例えば、出力設定部5に設けられた操作スイッチで受け付ける操作入力に応じて行われる場合もあれば、照度センサで外光又は室内の明るさを検出して行われる場合もある。
【0030】
一方、第2の照明負荷LA2のランプ電力の比率(比率設定値Rpd)は、直流電力系統DCから供給される直流電力の多少に応じて設定される。例えば、直流電力系統DCの発電装置が太陽光発電装置である場合には日射量に応じて発電量が変動するので、日射量が多いとき(太陽光発電装置の発電量が多いとき)には比率設定値Rpdを高くし、反対に日射量が少ないとき(太陽光発電装置の発電量が少ないとき)には比率設定値Rpdを低くする。このようにすれば、太陽光発電装置で発電される直流電力を第2の照明負荷LA2で優先的に消費し、交流電力系統ACから供給される交流電力を減らすことができる。
【0031】
出力設定部5は、出力設定値Po及び比率設定値Rpdを含む出力設定情報を負荷出力調整部4に送信する。負荷出力調整部4では、通信インターフェース41で受信された出力設定情報がコントローラ40に渡されてコントローラ40のメモリに記憶される。コントローラ40は、出力設定値Poに比率設定値Rpdを乗算することで第2の照明負荷LA2のランプ電力の目標値Pd(=Po×Rpd)を算出するとともに、出力設定値Poから第2の照明負荷LA2のランプ電力の目標値Pdを減算することで第1の照明負荷LA1のランプ電力の目標値Pa(=Po-Pd=Po(1-Rpd))を算出する。そして、第1の照明負荷LA1のランプ電力の目標値Paが制御インタフェース42及びフォトカプラ43を介して第1の電力変換部2の駆動回路25に与えられ、同じく第2の照明負荷LA2のランプ電力の目標値Pdが第2の電力変換部3の駆動制御回路35に与えられる。第1の電力変換部2では、出力電力(高周波電力)を目標値Paに一致させるように駆動回路25がスイッチング素子20,21のスイッチング周波数を調整する。また第2の電力変換部3では、出力電力(直流電力)を目標値Pdに一致させるように駆動制御回路35がスイッチング素子33のオン時間を調整する。但し、コントローラ40は直流電力系統DCから第2の電力変換部3に供給される直流電力を常時監視しており、直流電力の供給量が減少すれば比率設定値Rpdを低くし、反対に直流電力の供給量が増加すれば比率設定値Rpdを高くしている。
【0032】
而して、特許文献1記載の従来例では、商用の交流電源に接続されるAC/DCコンバータと、太陽光発電装置から供給される直流電力を電力変換するDC/DCコンバータと、AC/DCコンバータ又はDC/DCコンバータから出力される直流電力を高周波の交流電力に変換するインバータ回路とを備え、商用交流電源と直流電源(太陽光発電装置)から同一の負荷(蛍光ランプ)に電力が供給されている。これに対して本実施形態の電源装置PSでは、上述のように第1の電力変換部2から第1の照明負荷LA1に電力を供給するとともに第2の電力変換部3から第2の照明負荷LA2に電力を供給し、第1の電力変換部2と第2の電力変換部3を電気的に完全に独立させ、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力(光出力)を合成している。したがって、直流電力系統DCの供給量が減少したときには第2の電力変換部3の出力を減らして第2の照明負荷LA2の負荷出力(光出力)を下げるとともに第1の電力変換部2の出力を増やして第1の照明負荷LA1の負荷出力(光出力)を上げることで負荷の出力変動(光出力の変動)を抑えることができる。しかも、従来例のように交流電源と直流電源を混合して同一の負荷に供給する場合に比較して電力の変換効率の向上を図ることができる。例えば、特許文献1記載の従来例ではDC/DCコンバータとして絶縁型の回路構成が用いられているが、本実施形態では第1の電力変換部2と第2の電力変換部3とが電気的に独立しているために非絶縁型の回路構成を採用することができ、その結果、絶縁型の回路構成と比較して電力の変換効率の向上が図れるのである。
【0033】
ここで、第1の電力変換部2及び第2の電力変換部3の出力の目標値Pa,Pdを変更する場合、変更前後の目標値の差が大きいほど負荷出力の総和(光出力)の変動が大きくなり、明るさのちらつきが生じてしまう虞がある。そこで、負荷出力調整部4のコントローラ40が第1の電力変換部2及び第2の電力変換部3の目標値Pa,Pdを従前の目標値から最新の目標値へ段階的に変更することにより、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力を漸増又は漸減させることが望ましい。なお、目標値を段階的に変更する速度については、2種類の照明負荷LA1,LA2のうちで入力電力に対する光出力の応答速度が遅い方に合わせることが好ましい。また、第1の照明負荷LA1である蛍光ランプと、第2の照明負荷LA2である発光ダイオードとは経年劣化の特性が異なっているので、負荷出力調整部4のコントローラ40でそれぞれの照明負荷LA1,LA2の累積点灯時間や交換時期などを検出し、それぞれ照明負荷LA1,LA2の劣化の程度に応じて目標値Pa,Pdを補正することが望ましい。
【0034】
ところで、AC/DCコンバータ1の力率改善回路(昇圧チョッパ回路)は、第1の電力変換部2の出力電力(目標値Pa)が低下するに従って力率の改善効果が低下するとともに、スイッチング素子15のスイッチング周波数が高くなってスイッチングロスが増加してしまう。そこで、出力設定部5において、目標値Poが所定値以下のときは第1の照明負荷LA1の負荷出力(ランプ電力)を最小値(例えば、ゼロ)に設定し、第1の照明負荷LA1の負荷出力が少ないときに第1の電力変換部2を停止することによって力率改善回路の改善効果の低下やスイッチングロスの増加を抑制することが望ましい。
【0035】
例えば、図3に示すように第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力(ランプ電力)の総和の目標値Poを横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の目標値Pdを縦軸にとったとき、目標値Poが第1のしきい値Po1以下の場合は比率設定値Rpdを1.0とし、目標値Poが第2のしきい値Po2(>Po1)以上の場合は比率設定値Rpdを0.5とし、さらに、目標値Poが増加するときは第2のしきい値Po2以上で比率設定値Rpdを1.0から0.5に切り換え、目標値Poが減少するときは第1のしきい値Po1以下で比率設定値Rpdを0.5から1.0に切り換えればよい。なお、第1及び第2のしきい値Po1,Po2については、力率改善回路の力率改善の特性やスイッチングロスの特性に応じて適宜設定すればよい。また、力率改善の特性やスイッチングロスの特性が入力電圧(交流電源電圧)に応じて変化する場合、例えば、入力電圧が低いときに第1及び第2のしきい値Po1,Po2を小さくし、反対に入力電圧が高いときに第1及び第2のしきい値Po1,Po2を大きくすればよい。
【0036】
図4は本実施形態の電源装置PSと第1及び第2の照明負荷LA1,LA2とを備えた照明装置LSを示している。この照明装置LSは、オフィスの天井に設置される天井取付型の照明器具として構成されている。電源装置PSは、帯板状の器具本体100の上面における長手方向略中央に設置されている。また、第2の照明負荷LA2を構成する複数個の発光ダイオードが器具本体100の下面において、その長手方向に沿って並設されている。器具本体100の長手方向両端には、第1の照明負荷LA1である蛍光ランプが着脱自在に装着されるランプソケット101,101が下向きに突出する形で設けられている。さらに器具本体100の長手方向に沿った両側端部からは、一対の反射板102,102が斜め下向きに突出する形で設けられている。なお、電源装置PSと第1の照明負荷LA1はランプソケット101,101を介して各一対の電線103で接続され、電源装置PSと第2の照明負荷LA2は図示しない電線で接続されている。本実施形態の照明装置LSでは、照明空間から見て第1及び第2の照明負荷LA1,LA2が重なっているので、これら2種類の照明負荷LA1,LA2から照射される光の差が目立たないという利点がある。
【0037】
ここで、図5に示すようにAC/DCコンバータ1の一方の入力端と、第2の電力変換部3の負極側の入力端とを2つのコンデンサC1,C2の直列回路を介して接続するとともに、第2の電力変換部3の負極側の入力端を接地することが好ましい。但し、電源装置PSの各部を収納する金属ケースに第2の電力変換部3の負極側の入力端を接続し、この金属ケースを接地してもよい。このように直流電力系統DCの負極側の電路を交流電力系統ACの接地線に兼用することにより、接地線を追加することなく、AC/DCコンバータ1から交流電力系統ACへのノイズ(電源ラインノイズ)の流出を抑制することができる。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態の電源装置PSの基本構成は、図6に示すように実施形態1の電源装置PSと共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0039】
本実施形態における直流電力系統DCは、太陽電池アレイPVとパワーコンディショナPCで構成されている。パワーコンディショナPCは、太陽電池アレイPVの出力電圧が過電圧となるのを防いだり、大容量のキャパシタを利用して太陽電池アレイPVの出力変動を抑制するといった機能を有している。そして、太陽電池アレイPVで発電される直流電力がパワーコンディショナPCを介して電源装置PSの第2の電力変換部3に供給される。
【0040】
負荷出力調整部4は出力設定部5を兼ねており、直流電力系統DCから第2の電力変換部3に供給される直流電力に応じて第1の照明負荷LA1の目標値Paと第2の照明負荷LA2の目標値Pdを決定し、決定した目標値Pa,Pdを第1の電力変換部2及び第2の電力変換部3にそれぞれ与えている。
【0041】
負荷出力調整部4では、図7に示すように直流電力系統DCから第2の電力変換部3への供給電圧(図7における横軸)が第1のしきい値電圧V1以下のときは比率設定値Rpdをゼロに設定して第2の電力変換部3を停止させるとともに、第1の電力変換部2の目標値Paを最大値PaMAXに設定して第1の照明負荷LA1のみを点灯させる。そして、太陽電池アレイPVの発電量が増えて直流電力系統DCの供給電圧が第1のしきい値電圧V1よりも高くなれば、負荷出力調整部4は当該供給電圧の上昇に比例して比率設定値Rpdを高く設定し、第2の照明負荷LA2の目標値Pdを徐々に増大させる。その結果、光出力の総和に対して第2の照明負荷LA2の光出力の占める割合が徐々に増えていく。但し、直流電力系統DCの供給電圧が第2のしきい値電圧V2に達すると、負荷出力調整部4は第1の電力変換部2の目標値Pa及び第2の電力変換部3の目標値Pdをそれぞれ最大値PaMAX,PdMAXに設定する。
【0042】
また、負荷出力調整部4は、図8に示すように第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poに応じて第1及び第2の電力変換部2,3の目標値Pa,Pdを設定している。目標値Poが第1の電力変換部2の最大値PaMAX未満のとき、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdをゼロに設定して第1の照明負荷LA1のみを点灯させる(図8における一点波線参照)。また、目標値Poが第1の電力変換部2の最大値PaMAX以上のとき、負荷出力調整部4は目標値Poに比例して第2の電力変換部3の目標値Pdを増加させ(図8における実線参照)、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2に光出力を分担させる。
【0043】
本実施形態の電源装置PSは、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2が屋外に設置される電飾看板のバックライトに用いられる場合に好適である。つまり、電飾看板のバックライトでは昼間の屋外でも視認性を良くするために極めて高出力の光源を必要とする。例えば、通常の液晶表示器に用いられるバックライトでは400〜500カンデラ程度の輝度があればよいが、屋外で使用される電飾看板のバックライトではその数倍の輝度が必要となり、電力消費もかなり多くなる。
【0044】
これに対して本実施形態の電源装置PSでは、太陽電池アレイPVの発電量が増えるに従って第2の電力変換部3の目標値Pdの割合(比率設定値Prd)を高くすることにより、商用の交流電力系統ACからの供給量を抑えつつ充分な明るさ(光出力)を得ることができる。
【0045】
(実施形態3)
本実施形態の電源装置PSは、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2を両方とも発光ダイオードとし、交流電力系統ACから供給される交流電力を第1の電力変換部2で直接直流電力に変換して第1の照明負荷LA1に出力している。但し、それ以外の構成については、図9に示すように実施形態1の電源装置PSとほぼ共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0046】
第1の電力変換部2は、全波整流回路、平滑コンデンサ、降圧チョッパ回路で構成されている。また第2の電力変換部3は、昇降圧チョッパ回路で構成されている。但し、降圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路については従来周知であるから詳細な構成の図示並びに説明は省略する。また本実施形態の電源装置PSは、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力を検出する光センサ6を備えている。光センサ6の検出出力が負荷出力調整部4に与えられ、検出出力から換算される第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和が目標値Poと一致するように、負荷出力調整部4が第1及び第2の電力変換部2,3の目標値Pa,Pdをフィードバック制御する。
【0047】
図10は本実施形態の電源装置PSと第1及び第2の照明負荷LA1,LA2とを備えた照明装置LSを示している。この照明装置LSは、オフィスの天井に設置される天井取付型の照明器具として構成されている。第1及び第2の照明負荷LA1,LA2を構成する複数個の発光ダイオードが、帯板状の器具本体110の下面に長手方向に沿って交互に並設されている。また、器具本体110の下側には略角錐台形状の反射板111が設けられている。さらに反射板111の長手方向に対向する側面の一方に光センサ6が取り付けられている。光センサ6は、例えば、太陽電池などで構成され、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の双方の光出力を検出する。
【0048】
本実施形態における出力設定部5は、例えば、第2の照明負荷LA2の負荷出力(第2の電力変換部3の出力電力)の上限値PdLIM(但し、0<PdLIM<1)を出力設定情報として負荷出力調整部4に送信する。ここで、上限値PdLIMの設定例を図11に示す。図11では第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poを横軸、第2の電力変換部3の目標値Pdを縦軸にとっている。なお、PoMAXは第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poの最大値、PdMAXは第2の電力変換部3の目標値Pdの最大値を表している。
【0049】
負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値Paをゼロにして第1の照明負荷LA1を消灯し、第2の電力変換部3の目標値Pdを負荷出力の総和の目標値Poにして第2の照明負荷LA2のみを点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdを最大値PdMAX(=PdLIM×PoMAX)にして第2の照明負荷LA2を最大出力で点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-PdMAXとして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0050】
また、本実施形態における出力設定部5が、第2の電力変換部3の出力電力の上限値PdLIM及び比率設定値Rpdを含む出力設定情報を負荷出力調整部4に送信しても構わない。ここで、上限値PdLIMと比率設定値Rpdの設定例を図12に示す。図12では図11と同様に、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poを横軸、第2の電力変換部3の目標値Pdを縦軸にとっている。また、PoMAXは第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poの最大値、PdMAXは第2の電力変換部3の目標値Pdの最大値を表している。
【0051】
例えば、出力設定部5で設定される設定情報が、上限値PdLIM=0.5、比率設定値Rpd=1.0である場合(図12の実線イ参照)、負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値Paをゼロにして第1の照明負荷LA1を消灯し、第2の電力変換部3の目標値Pdを負荷出力の総和の目標値Poにして第2の照明負荷LA2のみを点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdを最大値PdMAX(=PdLIM×PoMAX)にして第2の照明負荷LA2を最大出力で点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-PdMAXとして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0052】
また、出力設定部5で設定される設定情報が、上限値PdLIM=0.5、比率設定値Rpd=0.75である場合(図12の一点波線ロ参照)、負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値PaをPo×(1-Rpd)=0.25Poにして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させるとともに、第2の電力変換部3の目標値PdをPo×Rpd=0.75Poにして第2の照明負荷LA2を点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdを最大値PdMAX(=PdLIM×PoMAX)にして第2の照明負荷LA2を最大出力で点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-PdMAXとして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0053】
あるいは、出力設定部5で設定される設定情報が、上限値PdLIM=0.1、比率設定値Rpd=0.25である場合(図12の実線ハ参照)、負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値PaをPo×(1-Rpd)=0.75Poにして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させるとともに、第2の電力変換部3の目標値PdをPo×Rpd=0.25Poにして第2の照明負荷LA2を点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値PdをPd1にして第2の照明負荷LA2を点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-Pd1として第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0054】
ここで、負荷出力調整部4と第1及び第2の電力変換部2,3との間の信号伝送を無線で行うようにすれば、負荷出力調整部4を第1及び第2の電力変換部2,3から離して設置することができる。なお、信号伝送の方式としては、電波や赤外線を媒体とする信号伝送方式であってもよいし、可視光を媒体とする信号伝送方式でもよい。特に、可視光を媒体とする信号伝送方式であれば、第1及び第2の電力変換部2,3から負荷出力調整部4へ応答(制御状態など)を返信することも可能である。
【0055】
(実施形態4)
本実施形態の電源装置PSの基本構成は、図13に示すように実施形態1の電源装置PSと共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0056】
本実施形態の電源装置PS(照明装置LS)は、照明空間内の人の存否を検知する人検知センサ7を備え、人検知センサ7による人の存在検知結果に応じて、負荷出力調整部4が第1及び第2の電力変換部2,3の目標値Pa,Pdを調整する点に特徴がある。なお、本実施形態における第2の電力変換部3は、入力電流が所定値となるようにスイッチング素子33のスイッチング制御を行っている。
【0057】
人検知センサ7は集電素子を利用したパッシブ型の人感センサや、超音波又は電波を利用したアクティブ型の人感センサである。但し、この種の人感センサは従来周知であるから詳細な構成や動作についての図示並びに説明は省略する。この人検知センサ7は、検知領域内に人の存在を検知したときに人検知信号を負荷出力調整部4へ出力する。
【0058】
本実施形態における負荷出力調整部4は、第2の電力変換部3から第2の照明負荷LA2に供給される直流電力の変動を検知し、当該変動による第2の照明負荷LA2の光出力の変動を相殺するように第1の電力変換部2の目標値Paを調整することにより、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和を目標値Poに一致させる。
【0059】
また、負荷出力調整部4では、人検知センサ7から人検知信号が出力されていないとき、比率設定値Rpdを大きくして第2の電力変換部3の出力を増大させるとともに、第1の電力変換部2の出力を減少させる。このとき、第1の電力変換部2の出力を停止しても構わない。一方、人検知センサ7から人検知信号が出力されているとき、負荷出力調整部4は、比率設定値Rpdを小さくして第2の電力変換部3の出力を減少させるとともに、第1の電力変換部2の出力を増大させる。但し、人検知信号が出力されて第1及び第2の電力変換部2,3の出力を変化させる際には、第1の電力変換部2の出力の応答速度に合わせて徐々に変化させることが好ましい。
【0060】
上述のように本実施形態によれば、照明空間に人が居ないときに第2の電力変換部3の目標値Pdを高くし、照明空間に人が居るときには第2の電力変換部3の目標値Pdを低くするので、直流電力系統DCの出力が不安定な状況であっても、照明空間の明るさの変動が気付きにくくなるという利点がある。しかも、照明空間に人が居る間は交流電力系統ACから安定して供給される電力を利用するので、照明空間の明るさを確実且つ安定して得ることができる。
【0061】
(実施形態5)
本実施形態の電源装置PSの基本構成は、図14に示すように実施形態1の電源装置PSと共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0062】
本実施形態における第2の電力変換部3は、パルス状の直流電力(以下、パルス電力と呼ぶ。)を第2の照明負荷LA2に供給するものであって、交流電力系統ACのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点から所定時間Tdが経過した時点でパルス幅Twのパルス電力を出力する(図15(c)参照)。なお、第2の電力変換部3の出力は、パルス電力のパルス幅Twを増減することで調整される。
【0063】
ここで、図15(a)は交流電力系統ACの交流電源電圧を示し、同図(b)は第1の電力変換部2から出力される高周波電力(平均値)を示し、同図(c)は第2の電力変換部3から出力される直流電力を示し、同図(d)は第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和を示している。第1の電力変換部2から出力される高周波電力の平均値には交流電力系統ACの電源周波数(50Hz又は60Hz)の2倍の周波数のリップルが含まれており、このリップル周波数とパルス電力の周波数が近接していると2つの周波数差で光出力にちらつきが生じることがある。
【0064】
これに対して本実施形態における第2の電力変換部3は、上述のように交流電力系統ACの電源周波数に同期してパルス電力を供給しているので、光出力のちらつきを抑制することができる。なお、第2の電力変換部3が交流電力系統ACの電源電圧の1周期T1の期間内に複数回のパルス電力を供給してもよい。
【0065】
(実施形態6)
図16は本発明に係る照明システムのシステム構成図である。交流電力系統ACから交流電力が供給される交流給電路L1、並びに直流電力系統から直流電力が供給される直流給電路L2に複数台(図示は3台のみ)の照明装置LS1,LS2,LS3,…が接続されている。
【0066】
直流電力系統は、太陽電池アレイPV、パワーコンディショナPC、蓄電装置VT、インバータ装置IV、発電装置X1,X2などで構成されている。発電装置X1,X2は太陽光発電装置、風力発電装置、回生発電装置(エレベータの回生ブレーキを利用した発電装置など)、コージェネレーションシステムなどで構成され、太陽電池アレイPVの発電能力を補うものである。
【0067】
パワーコンディショナPCは、直流給電路L2が短絡や地絡したときに太陽電池アレイPV及び発電装置X1,X2を直流給電路L2から切り離す機能や、太陽電池アレイPVに異常が生じたときに太陽電池アレイPVを直流給電路L2から切り離すとともに発電装置X1又はX2を直流給電路L2に接続する機能などを備えている。
【0068】
蓄電装置VTは、太陽電池アレイPVや発電装置X1,X2の出力変動を抑制するためのものであって、大容量の電気二重層コンデンサなどで構成される。但し、照明装置LSi(i=1,2,3,…)に搭載される電源装置PSiの電力制御追従特性が、照明負荷が定格消費電力を消費している状態で時定数100ミリ秒以上である小規模なシステムであれば、大型のアルミ電解コンデンサなどで蓄電装置VTを構成することも可能である。
【0069】
インバータ装置IVは、直流給電路L2を介して供給される直流電力の余剰分を交流電力に変換して交流電力系統ACに逆潮流するものである。
【0070】
照明装置LSiは、実施形態1で説明した電源装置PSi並びに第1及び第2の照明負荷LA1,LA2で構成される。但し、出力設定部5は複数台の照明装置LSiで共用されており、2線式の信号線L3によって各照明装置LS1の電源装置PSiと接続されている。ここで、各電源装置PSiの通信インタフェース41に固有の識別符号(アドレス)が割り当てられており、出力設定部5は、当該アドレスを利用して個々の照明装置LSi(電源装置PSi)を識別している。
【0071】
出力設定部5は、直流給電路L2の線路間電圧などを検出することで直流電力系統DCの給電状態を監視しており、直流電力系統DCの給電状態に応じて各照明装置LSiの動作を制御するための出力設定情報を信号線L3を介して個々の照明装置LSiに送信する。
【0072】
例えば、太陽電池アレイPVの出力電圧が40ボルト以下のとき、出力設定部5は、比率設定値Rpd=0の出力設定情報を各照明装置LAiに設定することで第2の電力変換部3を停止させる。このとき、パワーコンディショナPCは太陽電池アレイPVを直流給電路L2から切り離して発電装置X1又はX2を直流給電路L2に接続する。そして、太陽電池アレイPVの出力電圧が40ボルトを越えれば、パワーコンディショナPCが太陽電池アレイPVを直流給電路L2に接続する。出力設定部5は、比率設定値Rpdをゼロよりも大きく且つ1よりも小さい値とした出力設定情報を各照明装置LAiに設定することで第2の電力変換部3を動作させる。なお、比率設定値Rpdの値は太陽電池アレイPVの出力電圧が高いほど大きい値に設定される。さらに、太陽電池アレイPVの発電量が全ての照明装置LAiで消費される電力量を上回れば、インバータ回路IVが動作して発電量の余剰分を交流電力系統ACに逆潮流して交流給電路L1の線路間電圧が120ボルト以下となるように制御する。
【0073】
例えば、図17に示すように第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力(ランプ電力)の総和の目標値Poを横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の目標値Pdを縦軸にとったとき、出力設定部5は、直流電力系統DCから供給される直流電力が相対的に多いときは比率設定値Rpdを高い値に設定し、直流電力系統DCから供給される直流電力が相対的に少ないときは比率設定値Rpdを低い値に設定する。例えば、太陽電池アレイPVの発電量が多いときは、目標値Poに対する第2の照明負荷LA2の負荷出力(光出力)の目標値Pdの割合を増やすことにより、交流電力系統ACから供給される交流電力の消費量を抑えて省エネを図ることができる。なお、比率設定値Rpdが1.0に設定された場合、第1の電力変換部2を停止させることによってシステム全体の電力変換ロスが削減できるという利点もある。
【0074】
あるいは、図18に示すように直流電力系統DCから供給される直流電力を横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の上限値PdLIMを縦軸にとったとき、出力設定部5は、直線イ又はロで示される特性に従い、上限値PdLIMを直流電力系統DCから供給される直流電力に正比例した値に設定する。但し、稼働している照明装置LAiの台数が増えるにつれて、前記特性(直線)の傾きを小さくすることが望ましい。これにより、直流電力系統DCから供給される直流電力を各照明装置LAiに均等に配分することができる。
【0075】
あるいは、図19に示すように直流電力系統DCから供給される直流電力を横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の比率設定値Rpdを縦軸にとったとき、出力設定部5は、直線ハ又はニで示される特性に従い、比率設定値Rpdを直流電力系統DCから供給される直流電力に正比例した値に設定する。但し、稼働している照明装置LAiの台数が増えるにつれて、前記特性(直線)の傾きを小さくすることが望ましい。これにより、直流電力系統DCから供給される直流電力を各照明装置LAiに均等に配分することができる。
【0076】
また、照明システム全体の第2の照明負荷LA2の負荷出力の目標値ΣPdを全ての照明装置LSiで均等に分担するのではなく、個々の照明装置LSiが分担する割合を異ならせば、システム全体における変換効率の最適ポイントで第2の電力変換部3を動作させることができる。例えば、30台の照明装置LS1〜LS30全体の負荷出力の目標値ΣPdが300ワットとしたとき、全照明装置LS1〜LS30における第2の電力変換部3(最大出力50ワット)の目標値Pdを均一に10ワットとせずに、何れか10台の照明装置LAiの目標値Pdを30ワットとし、残り20台の照明装置LAjの目標値Pdを0ワットとすればよい。このように複数台の照明装置LAiのうちの一部のみで第2の電力変換部3を動作させれば、全ての照明装置LAiで第2の電力変換部3を動作させる場合と比較して、スイッチングロスによる変換効率の低下を抑えることができる。
【0077】
ここで、上記例のように30台の照明装置LS1〜LS30のうちから10台を選択して第2の電力変換部3を動作させる場合、選択される10台を一定時間毎に交替させれば、全ての照明装置LS1〜LS30における第2の電力変換部3をほぼ均等に動作させて劣化や発熱を均一化することができる。図20は、3台の照明装置LS1〜LS3の第2の電力変換部3を1台ずつ順番に動作させる場合において、出力設定部5から各照明装置LS1〜LS3の電源装置PS1〜PS3に設定される比率設定値Rpdの時間的な変化を示している。図20に示すように、時刻t=t1までは照明装置LA1,LA2の比率設定値Rpdがゼロに設定されて第2の電力変換部3が停止し、照明装置LA3の比率設定値Rpdのみが1.0に設定されて第2の電力変換部3が100%の負荷出力で動作している。時刻t=t1〜t2は過渡期間(交替期間)であって、照明装置LA1の比率設定値Rpdがゼロから1.0まで直線的に増加するように設定されるとともに、照明装置LA3の比率設定値Rpdが1.0からゼロまで直線的に減少するように設定される。そして、続く時刻t=t2〜t3までは照明装置LA2,LA3の比率設定値Rpdがゼロに設定されて第2の電力変換部3が停止し、照明装置LA1の比率設定値Rpdのみが1.0に設定されて第2の電力変換部3が100%の負荷出力で動作している。さらに時刻t=t3〜t4では照明装置LA2の比率設定値Rpdがゼロから1.0まで直線的に増加するように設定されるとともに、照明装置LA1の比率設定値Rpdが1.0からゼロまで直線的に減少するように設定される。そして、続く時刻t=t4〜t5までは照明装置LA1,LA3の比率設定値Rpdがゼロに設定されて第2の電力変換部3が停止し、照明装置LA2の比率設定値Rpdのみが1.0に設定されて第2の電力変換部3が100%の負荷出力で動作している。なお、3台の照明装置LS1〜LS3が交替する周期T1は、数分から数十分とすることが望ましい。また、比率設定値Rpdが1.0に設定される期間とゼロに設定される期間の比率などを調整することで直流電力系統DCから供給される直流電力の電力量を増減させれば、第2の電力変換部3を電力変換効率の高い状態で動作させることができる。
【0078】
ところで、照明装置LAiによって常時一定の明るさに維持されることが必要な場合、例えば、照明装置LAiがオフィスのベース照明として使用されるような場合においては、比率設定値Rpdを相対的に低くして第1の電力変換部2の出力割合を高くすることが望ましい。一方、トイレや廊下の照明のように、人が居ないときには光出力を少なくし、人が居るときには光出力を多くするような用途の場合においては、人が居ないときには比率設定値Rpdを相対的に高くして第2の電力変換部3の出力割合を高くし、人が居るときには比率設定値Rpdを相対的に低くして第1の電力変換部2の出力割合を高くすることが望ましい。
【0079】
なお、直流給電路L2から直流電力の供給を受ける負荷として入力変動をある程度許容可能な機器(空調機器、電熱機器、蓄電池など)が設置されている場合においては、供給電力の変動が大きい発電装置(例えば、回生発電装置)から直流電力が供給されるときに、当該発電装置からの給電開始前に、前記入力変動をある程度許容可能な機器への供給電力量を増やすことが望ましい。
【0080】
また、発電装置としてコージェネレーションシステムが選択された場合、起動前及び停止前には第2の電力変換部3の出力割合を下げることが望ましい。
【0081】
ところで、交流電力系統ACが停電した場合、出力設定部5は直流電力系統DCから供給される直流電力によって非常用の照明装置LAkを動作(点灯)させる。例えば、図21に示すように時刻t=t1で交流電力系統ACが停電したとする。但し、図21における縦軸は直流電力系統DCの出力電圧を示している。パワーコンディショナPCは、太陽電池アレイPVを直流給電路L2から切り離して発電装置X1又X2を起動させる。時刻t=t1〜t2までの期間は蓄電装置VTからの放電によって各照明装置LAiの第2の電力変換部3は引き続き動作している。そして、直流給電路L2の線路間電圧が40ボルト以下まで低下すると、出力設定部5が出力設定情報を変更して各照明装置LAiの第2の電力変換部3を停止させる。さらに、直流給電路L2の線路間電圧が20ボルト以下まで低下すると、パワーコンディショナPCが先に起動させていた発電装置X1又X2を直流給電路L2に接続する(時刻t=t3)。その結果、直流給電路L2の線路間電圧が120ボルト以上に上昇する。但し、インバータ回路IVは交流電力系統ACの停電を検知しているために逆潮流は行わない。非常用の照明装置LAkでは、予め停電時の動作用プログラムが電源装置PSkのコントローラ40に搭載されており、この動作用プログラムを実行することで第2の電力変換部3が動作して非常用の照明負荷(第2の照明負荷LA2)を点灯させる。このように交流電力系統ACの停電時に直流電力系統DCから供給される直流電力を利用して非常用の照明を行うことができる。
【0082】
(実施形態7)
本実施形態の照明システムは、図22に示すように出力設定部5と照明装置LAi(電源装置PSi)の負荷出力調整部4とのデータ伝送路となる2線式の信号線L3の1線を直流給電路L2の負極側の線路と共用する点に特徴がある。
【0083】
図23は本実施形態における電源装置PSiの一部省略した回路構成図である。但し、電源装置PSiの基本構成は実施形態1の電源装置PSと共通であるから、共通の構成要素に同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0084】
本実施形態における負荷出力調整部4は、2つのコントローラ40,45を備えている。一方のコントローラ40は、通信インタフェース41からデータを受け取るとともに通信インタフェース41に送信用のデータを出力する。一方、もう一つのコントローラ45は、出力電圧検出部48で検出される第2の電力変換部3の出力電圧のデータをフォトカプラ47を介してコントローラ40に伝送したり、フォトカプラ46を介してコントローラ40から伝送される目標値Paのデータを受け取って第1の電力変換部2の駆動回路25に制御信号を与えている。
【0085】
ここで、通信インタフェース41の通信動作について、図24のタイムチャートを参照して詳細に説明する。信号線L3を介して伝送される伝送信号Vsは、図24に示すように直流給電路L2の負極側の電位を基準としてプラス電位及びマイナス電位に反転する方形波状のパルス信号であって、そのパルス幅がT1のときは「0」、そのパルス幅がT2(<T1)のときは「1」に復号される。すなわち、本実施形態では出力設定部5と通信インタフェース4との間でパルス幅変調方式の通信信号が伝送される。
【0086】
このように本実施形態では、出力設定部5と照明装置LAi(電源装置PSi)の負荷出力調整部4とのデータ伝送路となる2線式の信号線L3の1線を直流給電路L2の負極側の線路と共用しているので、省配線化が図れるという利点がある。
【符号の説明】
【0087】
PS 電源装置
1 AC/DCコンバータ
2 第1の電力変換部
3 第2の電力変換部
4 負荷出力調整部
5 出力設定部
LA1 第1の照明負荷
LA2 第2の照明負荷
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及びその電源装置を備える照明装置、並びに照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源装置として、特許文献1に記載されている蛍光灯用電子安定器がある。この電源装置(電子安定器)は、商用の交流電源に接続されるAC/DCコンバータ(例えば、昇圧チョッパ回路)と、AC/DCコンバータから出力される直流電力を高周波の交流電力に変換するDC/ACコンバータ(インバータ回路)とを備え、DC/ACコンバータから出力される高周波交流電力を負荷である蛍光灯に供給している。また特許文献1記載の従来例では、太陽光発電装置から供給される直流電力をDC/DCコンバータを介して電源装置のDC/ACコンバータで高周波交流電力に変換して負荷(蛍光灯)に供給するようにしている。そして、太陽光発電装置の発電量に応じて、太陽光発電装置から直流電力供給を受ける電源装置の台数を変更することにより、全体としてDC/DCコンバータを変換効率の高い状態で運転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−51733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例においては、給電側の状況(太陽光発電装置の発電量)に応じて稼働する負荷(蛍光灯)の個数が増減するため、負荷の出力(蛍光灯で照明される空間の明るさ<照度>)が大きく変動することになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、負荷の出力変動を抑えつつ電力の変換効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源装置は、交流電源に接続されて当該交流電源から供給される交流電力を電力変換して第1の負荷に出力する第1の電力変換部と、直流電源に接続されて当該直流電源から供給される直流電力を電力変換して第2の負荷に出力する第2の電力変換部と、前記第1の負荷の負荷出力と前記第2の負荷の負荷出力の総和が所定の目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整する負荷出力調整部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この電源装置において、前記第1又は第2の負荷の負荷出力を設定する出力設定部を備え、前記負荷出力調整部は、当該出力設定部で設定される前記第1又は第2の負荷の負荷出力に応じて前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することが好ましい。
【0008】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記負荷出力の総和に対する前記第1又は第2の負荷の負荷出力の比率を設定することが好ましい。
【0009】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力に対して上限値を設定し、前記負荷出力調整部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力が前記上限値以下となるように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することが好ましい。
【0010】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記目標値が所定値以下のときは前記第1又は第2の負荷の負荷出力を最小値に設定することが好ましい。
【0011】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記第2の電力変換部への直流入力の大きさに応じて前記負荷出力を設定することが好ましい。
【0012】
この電源装置において、前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力の設定情報をデータ通信によって前記負荷出力調整部に与えることが好ましい。
【0013】
この電源装置において、前記出力設定部は、データ通信の通信線路の一部を前記直流電源の電路と共用することが好ましい。
【0014】
この電源装置において、前記第1及び第2の負荷の負荷出力を検出する負荷出力検出部を備え、前記負荷出力調整部は、当該負荷出力検出部で検出される負荷出力が前記目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することが好ましい。
【0015】
この電源装置において、前記直流電源と前記第2の電力変換部との間にコモンモードフィルタが挿入されていることが好ましい。
【0016】
この電源装置において、前記交流電源の一方の電路が直流阻止用のインピーダンス素子を介して前記直流電源の負極側の電路に接続されていることが好ましい。
【0017】
本発明の照明装置は、照明負荷からなる前記第1及び第2の負荷と、本発明の電源装置とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この照明装置において、照明空間内の人の存否を検知する人検知センサを備え、当該人検知センサの検知結果に応じて前記目標値が変更されることが好ましい。
【0019】
本発明の照明システムは、本発明の複数の照明装置からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電源装置、及びその電源装置を備える照明装置、並びに照明システムは、負荷の出力変動を抑えつつ電力の変換効率の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電源装置の実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上の回路構成図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【図4】(a),(b)は本発明に係る照明装置の実施形態1を示す断面図である。
【図5】同上の概略構成図である。
【図6】本発明に係る電源装置の実施形態2を示すブロック図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【図9】本発明に係る電源装置の実施形態3を示すブロック図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明に係る照明装置の実施形態2を示す断面図及び下面図である。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】同上の動作説明図である。
【図13】本発明に係る電源装置の実施形態4を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る電源装置の実施形態5を示すブロック図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【図16】本発明に係る照明システムの実施形態を示すブロック図である。
【図17】同上の動作説明図である。
【図18】同上の動作説明図である。
【図19】同上の動作説明図である。
【図20】同上の動作説明図である。
【図21】同上の動作説明図である。
【図22】本発明に係る照明システムの実施形態を示すブロック図である。
【図23】同上の一部省略した回路構成図である。
【図24】同上の動作説明用のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、負荷を照明負荷とした実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明に係る電源装置の負荷は照明負荷に限定されるものでなく、電源装置から供給される電力に応じて負荷出力が変化するような負荷全般を用いることができる。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の電源装置PSは、蛍光ランプからなる第1の照明負荷LA1に高周波の交流電力を供給するとともに、発光ダイオードからなる第2の照明負荷LA2に直流電力を供給するものであって、図1に示すように交流電力系統(商用交流電源)ACから供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ1と、AC/DCコンバータ1から出力される直流電力を高周波の交流電力(高周波電力)に変換する第1の電力変換部2と、直流電力系統(直流電源)DCから供給される直流電力を所望の電圧レベルを有する直流電力に変換する第2の電力変換部3と、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力(ランプ電力)を調整する負荷出力調整部4と、出力設定部5とを備えている。
【0024】
図2は本実施形態の電源装置PSの具体回路構成を示している。AC/DCコンバータ1は、全波整流器10及び平滑コンデンサ11、力率改善回路(昇圧チョッパ回路)で構成されている。交流電源ACからの交流入力がノイズフィルタNFを介して全波整流器10により全波整流されるとともに、平滑コンデンサ11によって平滑される。平滑コンデンサ11の両端には昇圧チョッパ回路が接続されている。昇圧チョッパ回路はチョッパチョーク12、ダイオード13、平滑コンデンサ14、ダイオード13及び平滑コンデンサ14に並列接続されたスイッチング素子15、平滑コンデンサ14の両端電圧を検出する出力電圧検出部16、スイッチング素子15に流れる電流を検出するための検出抵抗17、出力電圧検出部16の検出値と検出抵抗17の検出値(電圧降下)とに基づいてスイッチング素子15を制御する駆動制御回路18などを具備している。駆動制御回路18は、スイッチング素子15のオン時間を調整することで直流出力電圧が一定になるようにフィードバック制御している。また、チョッパチョーク12には2次巻線19が設けられており、この2次巻線19に誘起される電圧で駆動制御回路18の動作電源が作成される。但し、このような昇圧チョッパ回路の構成及び動作については従来周知であるから、詳細な説明は省略する。
【0025】
第1の電力変換部2は、AC/DCコンバータ1の出力端に直列接続された一対のスイッチング素子20,21と、ローサイドのスイッチング素子21に並列接続されたインダクタ22及びコンデンサ23の共振回路と、共振回路と第1の照明負荷(蛍光ランプ)LA1との間に挿入された直流カット用のコンデンサ24と、2つのスイッチング素子20,21を交互にスイッチングする駆動回路25とを具備した、いわゆるハーフブリッジ型のインバータ回路からなる。駆動回路25は、スイッチング素子20,21のスイッチング周波数を調整することで蛍光ランプLA1に供給する高周波電力を制御し、蛍光ランプLA1の始動や調光を行っている。但し、このようなハーフブリッジ型のインバータ回路の回路動作については従来周知であるから詳細な説明は省略する。
【0026】
第2の電力変換部3には、図2に示すように直流電力系統DCからコモンモードフィルタCF並びに整流素子D1を介して直流電力が供給される。第2の電力変換部3はDC/DCコンバータ(降圧チョッパ回路)からなり、チョッパチョーク30、ダイオード31、平滑コンデンサ32、平滑コンデンサ32を介してチョッパチョーク30に流れる電流を入切するスイッチング素子33、チョッパチョーク30を介してスイッチング素子33に流れる電流を検出する電流検出部(検出抵抗)34、電流検出部34の検出結果に応じてスイッチング素子33をスイッチング制御する駆動制御回路35などを具備している。駆動制御回路35は、スイッチング素子33のオン時間を調整することで出力電力を一定にする制御を行っている。但し、第2の電力変換部3は降圧チョッパ回路として周知のものであるから、詳細な動作説明は省略する。
【0027】
負荷出力調整部4は、コントローラ40と、出力設定部5から送信される出力設定情報を受信してコントローラ40に伝える通信インタフェース41と、コントローラ40から出力される制御信号をフォトカプラ43を介して第1の電力変換部2の駆動回路25に伝送する伝送インタフェース42と、第2の電力変換部3の入力電圧からコントローラ40の動作電源を作成する電源回路44とを具備している。コントローラ40は、マイクロコンピュータやメモリなどで構成されており、専用のソフトウェアをマイクロコンピュータで実行することによって、後述する種々の処理を行っている。
【0028】
出力設定部5は、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2のランプ電力の総和の目標値を表す出力設定値Poと、ランプ電力の総和の目標値(出力設定値Po)に対する第2の照明負荷LA2のランプ電力の比率を表す比率設定値Rpdとを負荷出力調整部4に対して設定する。
【0029】
第1及び第2の照明負荷LA1,LA2のランプ電力の総和の目標値は、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和、すなわち、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2によって照明される照明空間の明るさ(照度)が所望の値となるように設定される。例えば、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2がオフィスの室内照明に用いられる場合、窓から入射する外光(太陽光)の多少に応じて、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和の目標値が調整される。なお、このような目標値の調整については、例えば、出力設定部5に設けられた操作スイッチで受け付ける操作入力に応じて行われる場合もあれば、照度センサで外光又は室内の明るさを検出して行われる場合もある。
【0030】
一方、第2の照明負荷LA2のランプ電力の比率(比率設定値Rpd)は、直流電力系統DCから供給される直流電力の多少に応じて設定される。例えば、直流電力系統DCの発電装置が太陽光発電装置である場合には日射量に応じて発電量が変動するので、日射量が多いとき(太陽光発電装置の発電量が多いとき)には比率設定値Rpdを高くし、反対に日射量が少ないとき(太陽光発電装置の発電量が少ないとき)には比率設定値Rpdを低くする。このようにすれば、太陽光発電装置で発電される直流電力を第2の照明負荷LA2で優先的に消費し、交流電力系統ACから供給される交流電力を減らすことができる。
【0031】
出力設定部5は、出力設定値Po及び比率設定値Rpdを含む出力設定情報を負荷出力調整部4に送信する。負荷出力調整部4では、通信インターフェース41で受信された出力設定情報がコントローラ40に渡されてコントローラ40のメモリに記憶される。コントローラ40は、出力設定値Poに比率設定値Rpdを乗算することで第2の照明負荷LA2のランプ電力の目標値Pd(=Po×Rpd)を算出するとともに、出力設定値Poから第2の照明負荷LA2のランプ電力の目標値Pdを減算することで第1の照明負荷LA1のランプ電力の目標値Pa(=Po-Pd=Po(1-Rpd))を算出する。そして、第1の照明負荷LA1のランプ電力の目標値Paが制御インタフェース42及びフォトカプラ43を介して第1の電力変換部2の駆動回路25に与えられ、同じく第2の照明負荷LA2のランプ電力の目標値Pdが第2の電力変換部3の駆動制御回路35に与えられる。第1の電力変換部2では、出力電力(高周波電力)を目標値Paに一致させるように駆動回路25がスイッチング素子20,21のスイッチング周波数を調整する。また第2の電力変換部3では、出力電力(直流電力)を目標値Pdに一致させるように駆動制御回路35がスイッチング素子33のオン時間を調整する。但し、コントローラ40は直流電力系統DCから第2の電力変換部3に供給される直流電力を常時監視しており、直流電力の供給量が減少すれば比率設定値Rpdを低くし、反対に直流電力の供給量が増加すれば比率設定値Rpdを高くしている。
【0032】
而して、特許文献1記載の従来例では、商用の交流電源に接続されるAC/DCコンバータと、太陽光発電装置から供給される直流電力を電力変換するDC/DCコンバータと、AC/DCコンバータ又はDC/DCコンバータから出力される直流電力を高周波の交流電力に変換するインバータ回路とを備え、商用交流電源と直流電源(太陽光発電装置)から同一の負荷(蛍光ランプ)に電力が供給されている。これに対して本実施形態の電源装置PSでは、上述のように第1の電力変換部2から第1の照明負荷LA1に電力を供給するとともに第2の電力変換部3から第2の照明負荷LA2に電力を供給し、第1の電力変換部2と第2の電力変換部3を電気的に完全に独立させ、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力(光出力)を合成している。したがって、直流電力系統DCの供給量が減少したときには第2の電力変換部3の出力を減らして第2の照明負荷LA2の負荷出力(光出力)を下げるとともに第1の電力変換部2の出力を増やして第1の照明負荷LA1の負荷出力(光出力)を上げることで負荷の出力変動(光出力の変動)を抑えることができる。しかも、従来例のように交流電源と直流電源を混合して同一の負荷に供給する場合に比較して電力の変換効率の向上を図ることができる。例えば、特許文献1記載の従来例ではDC/DCコンバータとして絶縁型の回路構成が用いられているが、本実施形態では第1の電力変換部2と第2の電力変換部3とが電気的に独立しているために非絶縁型の回路構成を採用することができ、その結果、絶縁型の回路構成と比較して電力の変換効率の向上が図れるのである。
【0033】
ここで、第1の電力変換部2及び第2の電力変換部3の出力の目標値Pa,Pdを変更する場合、変更前後の目標値の差が大きいほど負荷出力の総和(光出力)の変動が大きくなり、明るさのちらつきが生じてしまう虞がある。そこで、負荷出力調整部4のコントローラ40が第1の電力変換部2及び第2の電力変換部3の目標値Pa,Pdを従前の目標値から最新の目標値へ段階的に変更することにより、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力を漸増又は漸減させることが望ましい。なお、目標値を段階的に変更する速度については、2種類の照明負荷LA1,LA2のうちで入力電力に対する光出力の応答速度が遅い方に合わせることが好ましい。また、第1の照明負荷LA1である蛍光ランプと、第2の照明負荷LA2である発光ダイオードとは経年劣化の特性が異なっているので、負荷出力調整部4のコントローラ40でそれぞれの照明負荷LA1,LA2の累積点灯時間や交換時期などを検出し、それぞれ照明負荷LA1,LA2の劣化の程度に応じて目標値Pa,Pdを補正することが望ましい。
【0034】
ところで、AC/DCコンバータ1の力率改善回路(昇圧チョッパ回路)は、第1の電力変換部2の出力電力(目標値Pa)が低下するに従って力率の改善効果が低下するとともに、スイッチング素子15のスイッチング周波数が高くなってスイッチングロスが増加してしまう。そこで、出力設定部5において、目標値Poが所定値以下のときは第1の照明負荷LA1の負荷出力(ランプ電力)を最小値(例えば、ゼロ)に設定し、第1の照明負荷LA1の負荷出力が少ないときに第1の電力変換部2を停止することによって力率改善回路の改善効果の低下やスイッチングロスの増加を抑制することが望ましい。
【0035】
例えば、図3に示すように第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力(ランプ電力)の総和の目標値Poを横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の目標値Pdを縦軸にとったとき、目標値Poが第1のしきい値Po1以下の場合は比率設定値Rpdを1.0とし、目標値Poが第2のしきい値Po2(>Po1)以上の場合は比率設定値Rpdを0.5とし、さらに、目標値Poが増加するときは第2のしきい値Po2以上で比率設定値Rpdを1.0から0.5に切り換え、目標値Poが減少するときは第1のしきい値Po1以下で比率設定値Rpdを0.5から1.0に切り換えればよい。なお、第1及び第2のしきい値Po1,Po2については、力率改善回路の力率改善の特性やスイッチングロスの特性に応じて適宜設定すればよい。また、力率改善の特性やスイッチングロスの特性が入力電圧(交流電源電圧)に応じて変化する場合、例えば、入力電圧が低いときに第1及び第2のしきい値Po1,Po2を小さくし、反対に入力電圧が高いときに第1及び第2のしきい値Po1,Po2を大きくすればよい。
【0036】
図4は本実施形態の電源装置PSと第1及び第2の照明負荷LA1,LA2とを備えた照明装置LSを示している。この照明装置LSは、オフィスの天井に設置される天井取付型の照明器具として構成されている。電源装置PSは、帯板状の器具本体100の上面における長手方向略中央に設置されている。また、第2の照明負荷LA2を構成する複数個の発光ダイオードが器具本体100の下面において、その長手方向に沿って並設されている。器具本体100の長手方向両端には、第1の照明負荷LA1である蛍光ランプが着脱自在に装着されるランプソケット101,101が下向きに突出する形で設けられている。さらに器具本体100の長手方向に沿った両側端部からは、一対の反射板102,102が斜め下向きに突出する形で設けられている。なお、電源装置PSと第1の照明負荷LA1はランプソケット101,101を介して各一対の電線103で接続され、電源装置PSと第2の照明負荷LA2は図示しない電線で接続されている。本実施形態の照明装置LSでは、照明空間から見て第1及び第2の照明負荷LA1,LA2が重なっているので、これら2種類の照明負荷LA1,LA2から照射される光の差が目立たないという利点がある。
【0037】
ここで、図5に示すようにAC/DCコンバータ1の一方の入力端と、第2の電力変換部3の負極側の入力端とを2つのコンデンサC1,C2の直列回路を介して接続するとともに、第2の電力変換部3の負極側の入力端を接地することが好ましい。但し、電源装置PSの各部を収納する金属ケースに第2の電力変換部3の負極側の入力端を接続し、この金属ケースを接地してもよい。このように直流電力系統DCの負極側の電路を交流電力系統ACの接地線に兼用することにより、接地線を追加することなく、AC/DCコンバータ1から交流電力系統ACへのノイズ(電源ラインノイズ)の流出を抑制することができる。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態の電源装置PSの基本構成は、図6に示すように実施形態1の電源装置PSと共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0039】
本実施形態における直流電力系統DCは、太陽電池アレイPVとパワーコンディショナPCで構成されている。パワーコンディショナPCは、太陽電池アレイPVの出力電圧が過電圧となるのを防いだり、大容量のキャパシタを利用して太陽電池アレイPVの出力変動を抑制するといった機能を有している。そして、太陽電池アレイPVで発電される直流電力がパワーコンディショナPCを介して電源装置PSの第2の電力変換部3に供給される。
【0040】
負荷出力調整部4は出力設定部5を兼ねており、直流電力系統DCから第2の電力変換部3に供給される直流電力に応じて第1の照明負荷LA1の目標値Paと第2の照明負荷LA2の目標値Pdを決定し、決定した目標値Pa,Pdを第1の電力変換部2及び第2の電力変換部3にそれぞれ与えている。
【0041】
負荷出力調整部4では、図7に示すように直流電力系統DCから第2の電力変換部3への供給電圧(図7における横軸)が第1のしきい値電圧V1以下のときは比率設定値Rpdをゼロに設定して第2の電力変換部3を停止させるとともに、第1の電力変換部2の目標値Paを最大値PaMAXに設定して第1の照明負荷LA1のみを点灯させる。そして、太陽電池アレイPVの発電量が増えて直流電力系統DCの供給電圧が第1のしきい値電圧V1よりも高くなれば、負荷出力調整部4は当該供給電圧の上昇に比例して比率設定値Rpdを高く設定し、第2の照明負荷LA2の目標値Pdを徐々に増大させる。その結果、光出力の総和に対して第2の照明負荷LA2の光出力の占める割合が徐々に増えていく。但し、直流電力系統DCの供給電圧が第2のしきい値電圧V2に達すると、負荷出力調整部4は第1の電力変換部2の目標値Pa及び第2の電力変換部3の目標値Pdをそれぞれ最大値PaMAX,PdMAXに設定する。
【0042】
また、負荷出力調整部4は、図8に示すように第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poに応じて第1及び第2の電力変換部2,3の目標値Pa,Pdを設定している。目標値Poが第1の電力変換部2の最大値PaMAX未満のとき、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdをゼロに設定して第1の照明負荷LA1のみを点灯させる(図8における一点波線参照)。また、目標値Poが第1の電力変換部2の最大値PaMAX以上のとき、負荷出力調整部4は目標値Poに比例して第2の電力変換部3の目標値Pdを増加させ(図8における実線参照)、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2に光出力を分担させる。
【0043】
本実施形態の電源装置PSは、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2が屋外に設置される電飾看板のバックライトに用いられる場合に好適である。つまり、電飾看板のバックライトでは昼間の屋外でも視認性を良くするために極めて高出力の光源を必要とする。例えば、通常の液晶表示器に用いられるバックライトでは400〜500カンデラ程度の輝度があればよいが、屋外で使用される電飾看板のバックライトではその数倍の輝度が必要となり、電力消費もかなり多くなる。
【0044】
これに対して本実施形態の電源装置PSでは、太陽電池アレイPVの発電量が増えるに従って第2の電力変換部3の目標値Pdの割合(比率設定値Prd)を高くすることにより、商用の交流電力系統ACからの供給量を抑えつつ充分な明るさ(光出力)を得ることができる。
【0045】
(実施形態3)
本実施形態の電源装置PSは、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2を両方とも発光ダイオードとし、交流電力系統ACから供給される交流電力を第1の電力変換部2で直接直流電力に変換して第1の照明負荷LA1に出力している。但し、それ以外の構成については、図9に示すように実施形態1の電源装置PSとほぼ共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0046】
第1の電力変換部2は、全波整流回路、平滑コンデンサ、降圧チョッパ回路で構成されている。また第2の電力変換部3は、昇降圧チョッパ回路で構成されている。但し、降圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路については従来周知であるから詳細な構成の図示並びに説明は省略する。また本実施形態の電源装置PSは、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力を検出する光センサ6を備えている。光センサ6の検出出力が負荷出力調整部4に与えられ、検出出力から換算される第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和が目標値Poと一致するように、負荷出力調整部4が第1及び第2の電力変換部2,3の目標値Pa,Pdをフィードバック制御する。
【0047】
図10は本実施形態の電源装置PSと第1及び第2の照明負荷LA1,LA2とを備えた照明装置LSを示している。この照明装置LSは、オフィスの天井に設置される天井取付型の照明器具として構成されている。第1及び第2の照明負荷LA1,LA2を構成する複数個の発光ダイオードが、帯板状の器具本体110の下面に長手方向に沿って交互に並設されている。また、器具本体110の下側には略角錐台形状の反射板111が設けられている。さらに反射板111の長手方向に対向する側面の一方に光センサ6が取り付けられている。光センサ6は、例えば、太陽電池などで構成され、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の双方の光出力を検出する。
【0048】
本実施形態における出力設定部5は、例えば、第2の照明負荷LA2の負荷出力(第2の電力変換部3の出力電力)の上限値PdLIM(但し、0<PdLIM<1)を出力設定情報として負荷出力調整部4に送信する。ここで、上限値PdLIMの設定例を図11に示す。図11では第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poを横軸、第2の電力変換部3の目標値Pdを縦軸にとっている。なお、PoMAXは第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poの最大値、PdMAXは第2の電力変換部3の目標値Pdの最大値を表している。
【0049】
負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値Paをゼロにして第1の照明負荷LA1を消灯し、第2の電力変換部3の目標値Pdを負荷出力の総和の目標値Poにして第2の照明負荷LA2のみを点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdを最大値PdMAX(=PdLIM×PoMAX)にして第2の照明負荷LA2を最大出力で点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-PdMAXとして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0050】
また、本実施形態における出力設定部5が、第2の電力変換部3の出力電力の上限値PdLIM及び比率設定値Rpdを含む出力設定情報を負荷出力調整部4に送信しても構わない。ここで、上限値PdLIMと比率設定値Rpdの設定例を図12に示す。図12では図11と同様に、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poを横軸、第2の電力変換部3の目標値Pdを縦軸にとっている。また、PoMAXは第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の負荷出力の総和の目標値Poの最大値、PdMAXは第2の電力変換部3の目標値Pdの最大値を表している。
【0051】
例えば、出力設定部5で設定される設定情報が、上限値PdLIM=0.5、比率設定値Rpd=1.0である場合(図12の実線イ参照)、負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値Paをゼロにして第1の照明負荷LA1を消灯し、第2の電力変換部3の目標値Pdを負荷出力の総和の目標値Poにして第2の照明負荷LA2のみを点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdを最大値PdMAX(=PdLIM×PoMAX)にして第2の照明負荷LA2を最大出力で点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-PdMAXとして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0052】
また、出力設定部5で設定される設定情報が、上限値PdLIM=0.5、比率設定値Rpd=0.75である場合(図12の一点波線ロ参照)、負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値PaをPo×(1-Rpd)=0.25Poにして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させるとともに、第2の電力変換部3の目標値PdをPo×Rpd=0.75Poにして第2の照明負荷LA2を点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値Pdを最大値PdMAX(=PdLIM×PoMAX)にして第2の照明負荷LA2を最大出力で点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-PdMAXとして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0053】
あるいは、出力設定部5で設定される設定情報が、上限値PdLIM=0.1、比率設定値Rpd=0.25である場合(図12の実線ハ参照)、負荷出力調整部4では、目標値Poがゼロから上限値PdLIM×最大値PoMAX未満のとき(0<Po<PdLIM×PoMAX)、第1の電力変換部2の目標値PaをPo×(1-Rpd)=0.75Poにして第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させるとともに、第2の電力変換部3の目標値PdをPo×Rpd=0.25Poにして第2の照明負荷LA2を点灯(発光)させる。一方、目標値Poが上限値PdLIM×最大値PoMAX以上のとき(Po≧PdLIM×PoMAX)、負荷出力調整部4は第2の電力変換部3の目標値PdをPd1にして第2の照明負荷LA2を点灯(発光)させるとともに、第1の電力変換部2の目標値PaをPo-Pd1として第1の照明負荷LA1を点灯(発光)させる。
【0054】
ここで、負荷出力調整部4と第1及び第2の電力変換部2,3との間の信号伝送を無線で行うようにすれば、負荷出力調整部4を第1及び第2の電力変換部2,3から離して設置することができる。なお、信号伝送の方式としては、電波や赤外線を媒体とする信号伝送方式であってもよいし、可視光を媒体とする信号伝送方式でもよい。特に、可視光を媒体とする信号伝送方式であれば、第1及び第2の電力変換部2,3から負荷出力調整部4へ応答(制御状態など)を返信することも可能である。
【0055】
(実施形態4)
本実施形態の電源装置PSの基本構成は、図13に示すように実施形態1の電源装置PSと共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0056】
本実施形態の電源装置PS(照明装置LS)は、照明空間内の人の存否を検知する人検知センサ7を備え、人検知センサ7による人の存在検知結果に応じて、負荷出力調整部4が第1及び第2の電力変換部2,3の目標値Pa,Pdを調整する点に特徴がある。なお、本実施形態における第2の電力変換部3は、入力電流が所定値となるようにスイッチング素子33のスイッチング制御を行っている。
【0057】
人検知センサ7は集電素子を利用したパッシブ型の人感センサや、超音波又は電波を利用したアクティブ型の人感センサである。但し、この種の人感センサは従来周知であるから詳細な構成や動作についての図示並びに説明は省略する。この人検知センサ7は、検知領域内に人の存在を検知したときに人検知信号を負荷出力調整部4へ出力する。
【0058】
本実施形態における負荷出力調整部4は、第2の電力変換部3から第2の照明負荷LA2に供給される直流電力の変動を検知し、当該変動による第2の照明負荷LA2の光出力の変動を相殺するように第1の電力変換部2の目標値Paを調整することにより、第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和を目標値Poに一致させる。
【0059】
また、負荷出力調整部4では、人検知センサ7から人検知信号が出力されていないとき、比率設定値Rpdを大きくして第2の電力変換部3の出力を増大させるとともに、第1の電力変換部2の出力を減少させる。このとき、第1の電力変換部2の出力を停止しても構わない。一方、人検知センサ7から人検知信号が出力されているとき、負荷出力調整部4は、比率設定値Rpdを小さくして第2の電力変換部3の出力を減少させるとともに、第1の電力変換部2の出力を増大させる。但し、人検知信号が出力されて第1及び第2の電力変換部2,3の出力を変化させる際には、第1の電力変換部2の出力の応答速度に合わせて徐々に変化させることが好ましい。
【0060】
上述のように本実施形態によれば、照明空間に人が居ないときに第2の電力変換部3の目標値Pdを高くし、照明空間に人が居るときには第2の電力変換部3の目標値Pdを低くするので、直流電力系統DCの出力が不安定な状況であっても、照明空間の明るさの変動が気付きにくくなるという利点がある。しかも、照明空間に人が居る間は交流電力系統ACから安定して供給される電力を利用するので、照明空間の明るさを確実且つ安定して得ることができる。
【0061】
(実施形態5)
本実施形態の電源装置PSの基本構成は、図14に示すように実施形態1の電源装置PSと共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0062】
本実施形態における第2の電力変換部3は、パルス状の直流電力(以下、パルス電力と呼ぶ。)を第2の照明負荷LA2に供給するものであって、交流電力系統ACのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点から所定時間Tdが経過した時点でパルス幅Twのパルス電力を出力する(図15(c)参照)。なお、第2の電力変換部3の出力は、パルス電力のパルス幅Twを増減することで調整される。
【0063】
ここで、図15(a)は交流電力系統ACの交流電源電圧を示し、同図(b)は第1の電力変換部2から出力される高周波電力(平均値)を示し、同図(c)は第2の電力変換部3から出力される直流電力を示し、同図(d)は第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力の総和を示している。第1の電力変換部2から出力される高周波電力の平均値には交流電力系統ACの電源周波数(50Hz又は60Hz)の2倍の周波数のリップルが含まれており、このリップル周波数とパルス電力の周波数が近接していると2つの周波数差で光出力にちらつきが生じることがある。
【0064】
これに対して本実施形態における第2の電力変換部3は、上述のように交流電力系統ACの電源周波数に同期してパルス電力を供給しているので、光出力のちらつきを抑制することができる。なお、第2の電力変換部3が交流電力系統ACの電源電圧の1周期T1の期間内に複数回のパルス電力を供給してもよい。
【0065】
(実施形態6)
図16は本発明に係る照明システムのシステム構成図である。交流電力系統ACから交流電力が供給される交流給電路L1、並びに直流電力系統から直流電力が供給される直流給電路L2に複数台(図示は3台のみ)の照明装置LS1,LS2,LS3,…が接続されている。
【0066】
直流電力系統は、太陽電池アレイPV、パワーコンディショナPC、蓄電装置VT、インバータ装置IV、発電装置X1,X2などで構成されている。発電装置X1,X2は太陽光発電装置、風力発電装置、回生発電装置(エレベータの回生ブレーキを利用した発電装置など)、コージェネレーションシステムなどで構成され、太陽電池アレイPVの発電能力を補うものである。
【0067】
パワーコンディショナPCは、直流給電路L2が短絡や地絡したときに太陽電池アレイPV及び発電装置X1,X2を直流給電路L2から切り離す機能や、太陽電池アレイPVに異常が生じたときに太陽電池アレイPVを直流給電路L2から切り離すとともに発電装置X1又はX2を直流給電路L2に接続する機能などを備えている。
【0068】
蓄電装置VTは、太陽電池アレイPVや発電装置X1,X2の出力変動を抑制するためのものであって、大容量の電気二重層コンデンサなどで構成される。但し、照明装置LSi(i=1,2,3,…)に搭載される電源装置PSiの電力制御追従特性が、照明負荷が定格消費電力を消費している状態で時定数100ミリ秒以上である小規模なシステムであれば、大型のアルミ電解コンデンサなどで蓄電装置VTを構成することも可能である。
【0069】
インバータ装置IVは、直流給電路L2を介して供給される直流電力の余剰分を交流電力に変換して交流電力系統ACに逆潮流するものである。
【0070】
照明装置LSiは、実施形態1で説明した電源装置PSi並びに第1及び第2の照明負荷LA1,LA2で構成される。但し、出力設定部5は複数台の照明装置LSiで共用されており、2線式の信号線L3によって各照明装置LS1の電源装置PSiと接続されている。ここで、各電源装置PSiの通信インタフェース41に固有の識別符号(アドレス)が割り当てられており、出力設定部5は、当該アドレスを利用して個々の照明装置LSi(電源装置PSi)を識別している。
【0071】
出力設定部5は、直流給電路L2の線路間電圧などを検出することで直流電力系統DCの給電状態を監視しており、直流電力系統DCの給電状態に応じて各照明装置LSiの動作を制御するための出力設定情報を信号線L3を介して個々の照明装置LSiに送信する。
【0072】
例えば、太陽電池アレイPVの出力電圧が40ボルト以下のとき、出力設定部5は、比率設定値Rpd=0の出力設定情報を各照明装置LAiに設定することで第2の電力変換部3を停止させる。このとき、パワーコンディショナPCは太陽電池アレイPVを直流給電路L2から切り離して発電装置X1又はX2を直流給電路L2に接続する。そして、太陽電池アレイPVの出力電圧が40ボルトを越えれば、パワーコンディショナPCが太陽電池アレイPVを直流給電路L2に接続する。出力設定部5は、比率設定値Rpdをゼロよりも大きく且つ1よりも小さい値とした出力設定情報を各照明装置LAiに設定することで第2の電力変換部3を動作させる。なお、比率設定値Rpdの値は太陽電池アレイPVの出力電圧が高いほど大きい値に設定される。さらに、太陽電池アレイPVの発電量が全ての照明装置LAiで消費される電力量を上回れば、インバータ回路IVが動作して発電量の余剰分を交流電力系統ACに逆潮流して交流給電路L1の線路間電圧が120ボルト以下となるように制御する。
【0073】
例えば、図17に示すように第1及び第2の照明負荷LA1,LA2の光出力(ランプ電力)の総和の目標値Poを横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の目標値Pdを縦軸にとったとき、出力設定部5は、直流電力系統DCから供給される直流電力が相対的に多いときは比率設定値Rpdを高い値に設定し、直流電力系統DCから供給される直流電力が相対的に少ないときは比率設定値Rpdを低い値に設定する。例えば、太陽電池アレイPVの発電量が多いときは、目標値Poに対する第2の照明負荷LA2の負荷出力(光出力)の目標値Pdの割合を増やすことにより、交流電力系統ACから供給される交流電力の消費量を抑えて省エネを図ることができる。なお、比率設定値Rpdが1.0に設定された場合、第1の電力変換部2を停止させることによってシステム全体の電力変換ロスが削減できるという利点もある。
【0074】
あるいは、図18に示すように直流電力系統DCから供給される直流電力を横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の上限値PdLIMを縦軸にとったとき、出力設定部5は、直線イ又はロで示される特性に従い、上限値PdLIMを直流電力系統DCから供給される直流電力に正比例した値に設定する。但し、稼働している照明装置LAiの台数が増えるにつれて、前記特性(直線)の傾きを小さくすることが望ましい。これにより、直流電力系統DCから供給される直流電力を各照明装置LAiに均等に配分することができる。
【0075】
あるいは、図19に示すように直流電力系統DCから供給される直流電力を横軸、第2の照明負荷LA2の光出力(ランプ電力)の比率設定値Rpdを縦軸にとったとき、出力設定部5は、直線ハ又はニで示される特性に従い、比率設定値Rpdを直流電力系統DCから供給される直流電力に正比例した値に設定する。但し、稼働している照明装置LAiの台数が増えるにつれて、前記特性(直線)の傾きを小さくすることが望ましい。これにより、直流電力系統DCから供給される直流電力を各照明装置LAiに均等に配分することができる。
【0076】
また、照明システム全体の第2の照明負荷LA2の負荷出力の目標値ΣPdを全ての照明装置LSiで均等に分担するのではなく、個々の照明装置LSiが分担する割合を異ならせば、システム全体における変換効率の最適ポイントで第2の電力変換部3を動作させることができる。例えば、30台の照明装置LS1〜LS30全体の負荷出力の目標値ΣPdが300ワットとしたとき、全照明装置LS1〜LS30における第2の電力変換部3(最大出力50ワット)の目標値Pdを均一に10ワットとせずに、何れか10台の照明装置LAiの目標値Pdを30ワットとし、残り20台の照明装置LAjの目標値Pdを0ワットとすればよい。このように複数台の照明装置LAiのうちの一部のみで第2の電力変換部3を動作させれば、全ての照明装置LAiで第2の電力変換部3を動作させる場合と比較して、スイッチングロスによる変換効率の低下を抑えることができる。
【0077】
ここで、上記例のように30台の照明装置LS1〜LS30のうちから10台を選択して第2の電力変換部3を動作させる場合、選択される10台を一定時間毎に交替させれば、全ての照明装置LS1〜LS30における第2の電力変換部3をほぼ均等に動作させて劣化や発熱を均一化することができる。図20は、3台の照明装置LS1〜LS3の第2の電力変換部3を1台ずつ順番に動作させる場合において、出力設定部5から各照明装置LS1〜LS3の電源装置PS1〜PS3に設定される比率設定値Rpdの時間的な変化を示している。図20に示すように、時刻t=t1までは照明装置LA1,LA2の比率設定値Rpdがゼロに設定されて第2の電力変換部3が停止し、照明装置LA3の比率設定値Rpdのみが1.0に設定されて第2の電力変換部3が100%の負荷出力で動作している。時刻t=t1〜t2は過渡期間(交替期間)であって、照明装置LA1の比率設定値Rpdがゼロから1.0まで直線的に増加するように設定されるとともに、照明装置LA3の比率設定値Rpdが1.0からゼロまで直線的に減少するように設定される。そして、続く時刻t=t2〜t3までは照明装置LA2,LA3の比率設定値Rpdがゼロに設定されて第2の電力変換部3が停止し、照明装置LA1の比率設定値Rpdのみが1.0に設定されて第2の電力変換部3が100%の負荷出力で動作している。さらに時刻t=t3〜t4では照明装置LA2の比率設定値Rpdがゼロから1.0まで直線的に増加するように設定されるとともに、照明装置LA1の比率設定値Rpdが1.0からゼロまで直線的に減少するように設定される。そして、続く時刻t=t4〜t5までは照明装置LA1,LA3の比率設定値Rpdがゼロに設定されて第2の電力変換部3が停止し、照明装置LA2の比率設定値Rpdのみが1.0に設定されて第2の電力変換部3が100%の負荷出力で動作している。なお、3台の照明装置LS1〜LS3が交替する周期T1は、数分から数十分とすることが望ましい。また、比率設定値Rpdが1.0に設定される期間とゼロに設定される期間の比率などを調整することで直流電力系統DCから供給される直流電力の電力量を増減させれば、第2の電力変換部3を電力変換効率の高い状態で動作させることができる。
【0078】
ところで、照明装置LAiによって常時一定の明るさに維持されることが必要な場合、例えば、照明装置LAiがオフィスのベース照明として使用されるような場合においては、比率設定値Rpdを相対的に低くして第1の電力変換部2の出力割合を高くすることが望ましい。一方、トイレや廊下の照明のように、人が居ないときには光出力を少なくし、人が居るときには光出力を多くするような用途の場合においては、人が居ないときには比率設定値Rpdを相対的に高くして第2の電力変換部3の出力割合を高くし、人が居るときには比率設定値Rpdを相対的に低くして第1の電力変換部2の出力割合を高くすることが望ましい。
【0079】
なお、直流給電路L2から直流電力の供給を受ける負荷として入力変動をある程度許容可能な機器(空調機器、電熱機器、蓄電池など)が設置されている場合においては、供給電力の変動が大きい発電装置(例えば、回生発電装置)から直流電力が供給されるときに、当該発電装置からの給電開始前に、前記入力変動をある程度許容可能な機器への供給電力量を増やすことが望ましい。
【0080】
また、発電装置としてコージェネレーションシステムが選択された場合、起動前及び停止前には第2の電力変換部3の出力割合を下げることが望ましい。
【0081】
ところで、交流電力系統ACが停電した場合、出力設定部5は直流電力系統DCから供給される直流電力によって非常用の照明装置LAkを動作(点灯)させる。例えば、図21に示すように時刻t=t1で交流電力系統ACが停電したとする。但し、図21における縦軸は直流電力系統DCの出力電圧を示している。パワーコンディショナPCは、太陽電池アレイPVを直流給電路L2から切り離して発電装置X1又X2を起動させる。時刻t=t1〜t2までの期間は蓄電装置VTからの放電によって各照明装置LAiの第2の電力変換部3は引き続き動作している。そして、直流給電路L2の線路間電圧が40ボルト以下まで低下すると、出力設定部5が出力設定情報を変更して各照明装置LAiの第2の電力変換部3を停止させる。さらに、直流給電路L2の線路間電圧が20ボルト以下まで低下すると、パワーコンディショナPCが先に起動させていた発電装置X1又X2を直流給電路L2に接続する(時刻t=t3)。その結果、直流給電路L2の線路間電圧が120ボルト以上に上昇する。但し、インバータ回路IVは交流電力系統ACの停電を検知しているために逆潮流は行わない。非常用の照明装置LAkでは、予め停電時の動作用プログラムが電源装置PSkのコントローラ40に搭載されており、この動作用プログラムを実行することで第2の電力変換部3が動作して非常用の照明負荷(第2の照明負荷LA2)を点灯させる。このように交流電力系統ACの停電時に直流電力系統DCから供給される直流電力を利用して非常用の照明を行うことができる。
【0082】
(実施形態7)
本実施形態の照明システムは、図22に示すように出力設定部5と照明装置LAi(電源装置PSi)の負荷出力調整部4とのデータ伝送路となる2線式の信号線L3の1線を直流給電路L2の負極側の線路と共用する点に特徴がある。
【0083】
図23は本実施形態における電源装置PSiの一部省略した回路構成図である。但し、電源装置PSiの基本構成は実施形態1の電源装置PSと共通であるから、共通の構成要素に同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0084】
本実施形態における負荷出力調整部4は、2つのコントローラ40,45を備えている。一方のコントローラ40は、通信インタフェース41からデータを受け取るとともに通信インタフェース41に送信用のデータを出力する。一方、もう一つのコントローラ45は、出力電圧検出部48で検出される第2の電力変換部3の出力電圧のデータをフォトカプラ47を介してコントローラ40に伝送したり、フォトカプラ46を介してコントローラ40から伝送される目標値Paのデータを受け取って第1の電力変換部2の駆動回路25に制御信号を与えている。
【0085】
ここで、通信インタフェース41の通信動作について、図24のタイムチャートを参照して詳細に説明する。信号線L3を介して伝送される伝送信号Vsは、図24に示すように直流給電路L2の負極側の電位を基準としてプラス電位及びマイナス電位に反転する方形波状のパルス信号であって、そのパルス幅がT1のときは「0」、そのパルス幅がT2(<T1)のときは「1」に復号される。すなわち、本実施形態では出力設定部5と通信インタフェース4との間でパルス幅変調方式の通信信号が伝送される。
【0086】
このように本実施形態では、出力設定部5と照明装置LAi(電源装置PSi)の負荷出力調整部4とのデータ伝送路となる2線式の信号線L3の1線を直流給電路L2の負極側の線路と共用しているので、省配線化が図れるという利点がある。
【符号の説明】
【0087】
PS 電源装置
1 AC/DCコンバータ
2 第1の電力変換部
3 第2の電力変換部
4 負荷出力調整部
5 出力設定部
LA1 第1の照明負荷
LA2 第2の照明負荷
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続されて当該交流電源から供給される交流電力を電力変換して第1の負荷に出力する第1の電力変換部と、直流電源に接続されて当該直流電源から供給される直流電力を電力変換して第2の負荷に出力する第2の電力変換部と、前記第1の負荷の負荷出力と前記第2の負荷の負荷出力の総和が所定の目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整する負荷出力調整部とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1又は第2の負荷の負荷出力を設定する出力設定部を備え、前記負荷出力調整部は、当該出力設定部で設定される前記第1又は第2の負荷の負荷出力に応じて前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記出力設定部は、前記負荷出力の総和に対する前記第1又は第2の負荷の負荷出力の比率を設定することを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力に対して上限値を設定し、前記負荷出力調整部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力が前記上限値以下となるように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することを特徴とする請求項2又は3記載の電源装置。
【請求項5】
前記出力設定部は、前記目標値が所定値以下のときは前記第1又は第2の負荷の負荷出力を最小値に設定することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記出力設定部は、前記第2の電力変換部への直流入力の大きさに応じて前記負荷出力を設定することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力の設定情報をデータ通信によって前記負荷出力調整部に与えることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記出力設定部は、データ通信の通信線路の一部を前記直流電源の電路と共用することを特徴とする請求項7記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の負荷の負荷出力を検出する負荷出力検出部を備え、前記負荷出力調整部は、当該負荷出力検出部で検出される負荷出力が前記目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項10】
前記直流電源と前記第2の電力変換部との間にコモンモードフィルタが挿入されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項11】
前記交流電源の一方の電路が直流阻止用のインピーダンス素子を介して前記直流電源の負極側の電路に接続されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項12】
照明負荷からなる前記第1及び第2の負荷と、請求項1〜11の何れかの電源装置とを備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項13】
照明空間内の人の存否を検知する人検知センサを備え、当該人検知センサの検知結果に応じて前記目標値が変更されることを特徴とする請求項12記載の照明装置。
【請求項14】
請求項12又は13の複数の照明装置からなることを特徴とする照明システム。
【請求項1】
交流電源に接続されて当該交流電源から供給される交流電力を電力変換して第1の負荷に出力する第1の電力変換部と、直流電源に接続されて当該直流電源から供給される直流電力を電力変換して第2の負荷に出力する第2の電力変換部と、前記第1の負荷の負荷出力と前記第2の負荷の負荷出力の総和が所定の目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整する負荷出力調整部とを備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1又は第2の負荷の負荷出力を設定する出力設定部を備え、前記負荷出力調整部は、当該出力設定部で設定される前記第1又は第2の負荷の負荷出力に応じて前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記出力設定部は、前記負荷出力の総和に対する前記第1又は第2の負荷の負荷出力の比率を設定することを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力に対して上限値を設定し、前記負荷出力調整部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力が前記上限値以下となるように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することを特徴とする請求項2又は3記載の電源装置。
【請求項5】
前記出力設定部は、前記目標値が所定値以下のときは前記第1又は第2の負荷の負荷出力を最小値に設定することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記出力設定部は、前記第2の電力変換部への直流入力の大きさに応じて前記負荷出力を設定することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記出力設定部は、前記第1又は第2の負荷の負荷出力の設定情報をデータ通信によって前記負荷出力調整部に与えることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記出力設定部は、データ通信の通信線路の一部を前記直流電源の電路と共用することを特徴とする請求項7記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の負荷の負荷出力を検出する負荷出力検出部を備え、前記負荷出力調整部は、当該負荷出力検出部で検出される負荷出力が前記目標値に一致するように前記第1及び第2の電力変換部の出力を調整することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項10】
前記直流電源と前記第2の電力変換部との間にコモンモードフィルタが挿入されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項11】
前記交流電源の一方の電路が直流阻止用のインピーダンス素子を介して前記直流電源の負極側の電路に接続されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項12】
照明負荷からなる前記第1及び第2の負荷と、請求項1〜11の何れかの電源装置とを備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項13】
照明空間内の人の存否を検知する人検知センサを備え、当該人検知センサの検知結果に応じて前記目標値が変更されることを特徴とする請求項12記載の照明装置。
【請求項14】
請求項12又は13の複数の照明装置からなることを特徴とする照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
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【図19】
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【図21】
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【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−8876(P2012−8876A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145357(P2010−145357)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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