説明

電磁ブレーキ

【課題】制動解除の主たる保持コイルの励磁電源容量を低減できる電磁ブレーキを提供するにある。
【解決手段】電磁コイル11a、11b又はコイル部分の一方は保持コイル30a1、30b1として継鉄12a、12bのコイル収納部12cの磁極面側に配置し、電磁コイル11a、11b又はコイル部分の他方は促進コイル30a2、30b2として継鉄のコイル収納部反磁極面側の底部に配置して、前記保持コイル30a1、30b1は制動解除動作始めから制動付加まで電流を通流するとともに、前記促進コイル30a2、30b2は制動解除動作始めの促進期間に電流を通流するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動ばねで制動片を押圧して制動付加し、電磁石で制動解除する電磁ブレーキに関し、とくに二つの電磁コイル又はコイル部分からなる電磁石のコイル配置及び励磁方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一つの電磁石を二つの電磁コイルで構成した電磁ブレーキが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、1個の電磁石を2個のコイルで構成し、それぞれの電磁コイルを個別の電源で励磁する方法(例えば、特許文献2参照)、1つの電源で二つの電磁コイルを励磁する方法(例えば、特許文献3参照)、1つの電源で二つの電磁コイルを切替えて励磁する方法(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−203628号公報
【特許文献2】特開2008−120469号公報
【特許文献3】特公昭47−26547号公報
【特許文献4】実開昭63−147937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に提案された電磁ブレーキの電磁石は、一つの電磁石に二つの電磁コイルで構成し、一つは常時用いる主コイル、他の一つは非常時に用いる補助コイルである。二つの電磁コイルの配置として、継鉄側に半径方向に並べる、又は軸方向に並べる、又は継鉄側と可動鉄片側に一つずつ設ける場合が開示されている。この特許文献1の従来方法は、常用の主コイルと非常用の補助コイルの配置であって、常時二つの電磁コイルを用いる場合ではない。さらに、制動解除動作のための二つの電磁コイルの配置と具体的な励磁方法との関係及び励磁電源容量の低減については開示されていない。
【0006】
また、特許文献2に提案されたエレベーター用巻上機のブレーキ制御装置は、一つの電磁石に二つの電磁コイルを用いて、一方の制動解除保持用の電磁コイルはコイル収納部の底側に配置するとともにコイル電流を帰還した電流制御回路で電流を通流し、他方の制動解除促進用の電磁コイルはコイル収納部の磁極面側に配置するとともに抵抗制御した回路で接点の接続、遮断で通流する方法が開示されている(特許文献2の図22乃至図26)。しかし、この特許文献2の従来方法では、通電時間の長い主体的に活用する保持コイルが磁極面から離れた位置にあり、磁束の漏洩が大きく、損失が大きくなって、大きい容量の励磁電源が必要となる問題がある。
【0007】
また、特許文献3に提案された電磁クラッチまたはブレーキは、一つの電磁石に二つの電磁コイルを用いて、一方の電磁コイルは保持コイルとしてコイル収納部の底側に配置するとともに電源で常時励磁され、他方の電磁コイルは吸引コイルとしてコイル収納部の磁極面側に配置するとともに前記電源でトランジスタにより吸引時にのみ励磁する方法が開示されている。しかし、前記特許文献2と同様な問題点があるとともに、電源電圧降下及びコイル自身の温度上昇でコイル抵抗が増大し、電流が低下することにより電磁石としての吸引保持ができなくなる問題がある。
【0008】
また、特許文献4に提案された電磁クラッチ・ブレーキは、可動鉄片であるアーマチュアの吸引用コイルと保持用コイルを備え、この二つの電磁コイルの配置が前記特許文献3と同じで、1つの電源で可動鉄片であるアーマチュアの吸引状態によって前記2つのコイルへの通電を切替えるようになっている(特許文献4の図1、図2参照)。このため前記特許文献2、3と同様な問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、一つの電磁石に二つの電磁コイル又はコイル部分を軸方向に重ねて配置し、それぞれの電磁コイル又はコイル部分を個別の電源で励磁する場合に、制動解除の主体的に活用する保持コイルの励磁電源容量を低減できる電磁ブレーキを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1では、被制動体に対向する制動片に押圧力を制動ばねで与えて制動力を付加する制動付加手段と、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で前記制動力を解除する制動解除手段とで構成され、前記電磁コイルは筒状の二つの電磁コイル又はコイル部分からなり、かつ筒状の軸方向に重なるように配置される電磁ブレーキにおいて、前記電磁コイル又はコイル部分の一方は保持コイルとして前記継鉄のコイル収納部の磁極面側に配置し、前記電磁コイル又はコイル部分の他方は促進コイルとして前記継鉄のコイル収納部反磁極面側の底部に配置して、前記保持コイルは制動解除動作始めから制動付加まで電流を通流するとともに、前記促進コイルは制動解除動作始めの促進期間に電流を通流したことを特徴とする。
【0011】
この構成により、一つの電磁石に二つの電磁コイル又はコイル部分を軸方向に重ねて配置し、それぞれの電磁コイル又はコイル部分を個別の電源で励磁する場合に、制動解除の主たる保持コイルの励磁電源容量を低減できる電磁ブレーキが得られる。
【0012】
また、請求項2では、請求項1において、前記二つの電磁コイル又はコイル部分の一方の保持コイルと他方の促進コイルとは巻方向が逆であることを特徴とする。
【0013】
この構成により、請求項1と同様の効果が得られる。
【0014】
また、請求項3では、請求項1又は2において、前記保持コイルは制動解除動作始めから制動付加まで、電流指令値に従って一定電流となるように制御されることを特徴とする。
【0015】
この構成により、請求項1と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一つの電磁石に二つの電磁コイル又はコイル部分を軸方向に重ねて配置し、それぞれの電磁コイル又はコイル部分を個別の電源で励磁する場合に、制動解除の主体的に活用する保持コイルの励磁電源容量を低減できる電磁ブレーキを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態になる例えばエレベーターの巻上機に適用した場合の電磁ブレーキの全体構成である。
【図2】二つの筒状の電磁コイルを軸方向に重ねて形成した電磁石で、図1の一対の電磁石の一方側(図1の左側)を示す側面図である。
【図3】図2の正面図でA−A視図である。
【図4】図1の電磁コイルの励磁回路である。
【図5】ブレーキの動作及び電磁コイルの励磁を示すタイミング図である。
【図6】第2の実施形態で一つの電磁コイルで巻方向が異なる二つのコイル部分の保持コイル、促進コイルからなる図2相当図である。
【図7】図6の電磁コイル30aの励磁回路で図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1において、1はエレベーター巻上機の駆動シーブで、この駆動シーブ1に巻き掛けられた主ロープ2の一方側に乗かご3が、他方側につり合おもり4がつるべ式に吊り持ちされており、駆動シーブ1が巻上モータ5で駆動されて乗かご3及びつり合おもり4が昇降運転される。6は被制動体としてのブレーキドラムで、巻上モータ5と駆動シーブ1を結合する軸5a上に設置されている。このブレーキドラム6の制動面6aには一対の制動片7が当接するようになっている。8は一対の制動腕で、前記制動片7を中間部8cに備え一端部8aを可回転的に支持されている。9は一対の制動ばねで、前記制動片7が制動面6aに押圧力を付加するように制動腕8の他端部8bに配置される。
【0020】
10a、10bは固定される一対の電磁石で、前記制動ばね9の押圧力を解除するように、前記制動腕8の他端部8b近辺に設けられる。この電磁石10a、10bはそれぞれ、二つのコイル部分の保持コイル11a1、促進コイル11a2からなる電磁コイル11aと継鉄12a、二つのコイル部分の保持コイル11b1、促進コイル11b2からなる電磁コイル11bと継鉄12bとからなり、この電磁石10a、10bは磁極面13a、13bを有し、磁極面13a、13bに対向して可動片14a、14bが配置される。この可動片14a、14bは軸15a、15bの一端と結合し、この軸15a、15bの他端は前記制動腕8の他端部8bに連結されて制動腕8を駆動し、制動片7まで一体的に駆動するようになっており、前記軸15a、15bは継鉄12a、12bの中央部で摺動支持される。すなわち、左側の電磁石10a、制動ばね9、制動片7系及び右側の電磁石10b、制動ばね9、制動片7系の電磁ブレーキとして独立に機能する二組で構成されている。
【0021】
16はコイル励磁電源で前記一対の電磁石10a、10bの電磁コイル11a、11bに通電し電流を制御する。17は一対の前記電磁石10a、10bの電磁コイル11a、10bに通電、遮断する電磁接触器の接点である。
【0022】
図2、図3において、前記図1での一対の電磁石10a、10bは同構造、同構成であるので左側の電磁石10aで説明する。前記電磁コイル11aは筒状であり、保持コイル11a1と促進コイル11a2とで構成される。すなわち、一方側のコイルで継鉄12aの凹部のコイル収納部12cの磁極面13a側に配置される制動解除の保持コイル11a1と、他方側のコイルで前記コイル収納部12cの磁極面13aと反対側の底部に配置される制動解除の促進コイル11a2である。この保持コイル11a1、促進コイル11a2への励磁はそれぞれ制動解除の保持電源18、制動解除の促進電源19で行い、継鉄12aに発生する磁束18a、19aの方向が同一になるように励磁される。なお、前記のように可動片14aは軸15aに支持され、この軸15aは継鉄12aの中央部の孔20に設けられる軸受21によって摺動支持される。
【0023】
図4において、前記図1の左側の電磁コイル11aの保持コイル11a1と右側の電磁コイル11bの保持コイル11b1とが並列に接続され、保持電源18で接点17aを介して励磁される。この際、保持電源18は保持コイル11a1、11b1に流す電流i1を電流検出手段22で検出し帰還して、電流指令値23で指令する一定電流出力となるように制御される。前記保持電源18は、例えばスイッチング素子で直流の可変電圧を生成し電流を調整するようになっている。同様に促進コイル11a2、11b2とが並列に接続され、促進電源19で接点17bを介して励磁される。24、25は電流制限抵抗で、電流調整のために前記保持電源18及び促進電源19の回路に必要に応じて挿入される。なお、26、27は常閉接点でエレベーターの非常停止など非常時に開となる。また、ダイオード28と抵抗29とを直列接続したものがそれぞれ保持コイル11a1、11b1及び促進コイル11a2、11b2に並列に接続され、接点26、27が開いた時に保持コイル11a1、11b1及び促進コイル11a2、11b2の還流電流を消費させる。
【0024】
次に、前記図4を参照し図5に基づいて、この実施形態の制動解除から制動付加までの動作、すなわち、T1時点からT4時点までの動作を説明する。
【0025】
T1時点で電源供給の電磁接触器の接点17a、17bが接続して、ステップ状の電流指令により保持電源18から一定電流i1が流れ、保持コイル11a1、11b1に回路の時定数に従って電流ia1、ib1の一定値が流れるとともに、促進電源19から電流i2が流れ、促進コイル11a2、11b2に回路の時定数に従って電流ia2、ib2が流れる。T2時点で接点17bが遮断して促進電源19から促進コイル11a2、11b2への電流ia2、ib2が遮断され、回路の時定数に従って電流が減少し零となり、電磁コイル11a、11bに流れる電流は保持コイル11a1、11b1の電流ia1、ib1だけとなる。そしてT3時点で保持コイル11a1、11b1の電流指令の遮断とともに接点17aが遮断して保持電源18から保持コイル11a1、11b1への電流ia1、ib1が遮断され、回路の時定数に従って電流が減少しT4時点で消滅する。
【0026】
すなわち、T1からT3の期間が制動解除動作で、このうちT1からT2の期間が制動解除の促進期間で制動解除の動作を速めるために前記保持電源18及び促進電源19の両方を有効にする。これにより保持電源18の電流ia1、ib1及び促進電源19の電流ia2、ib2で発生する磁束が加算されるので、前記図2に示した電磁石10aに大きな電磁吸引力が発生し可動片14aを吸引して制動解除の動作を速める。このT1からT2の時間はエレベーターの走行開始時の数秒程度である。
【0027】
T2からT3の期間が制動解除の保持期間で前記保持電源18だけが有効で制動解除状態を保持する。つまり、可動片14aを吸着すると空隙が小さくなり磁気回路の磁気抵抗が小さくなるので、電流を小さくしても可動片14aの吸着維持ができる。このT2からT3の時間はエレベーターがほぼ定速走行し停止するまでである。前記制動解除の促進期間は数秒程度で、制動解除の保持期間と比較すると非常に短時間であり、制動解除の全期間からするとほとんど無視し得る場合が多い。従って、電流制御されること、通電時間の長さ、電力供給量からしても保持コイルの方が主体的に活用するコイルである。
【0028】
T3時点以降が制動付加動作で保持電源18側の保持イル11a1、11b1の電流ia1、ib1が消滅して、前記図1の制動ばね9により制動片7の押圧力が復帰して制動付加状態となる。
【0029】
保持コイル11a1、11b1を一定電流制御するのは、建物への引込み電源の電圧変動とくに電圧降下及び通電による温度上昇でコイルの抵抗値が増大して電流値が低下する。これによって制動解除が維持できなくなり、制動片7が半開状態となってブレーキドラム6と擦って回転し、制動片7が磨耗し制動性能が低下する。このためにエレベーター走行中は制動解除を確実に維持する必要がある。
【0030】
要するに、前記保持電源18は、T1からT3まで一段の広幅パルス状の電流指令により、指令した電流値となるように連続的に制御して保持コイル11a1、11b1にコイル電流ia1、ib1を流す。また、前記促進電源19は制動解除初期のT1からT2までの短時間、促進コイル11a2、11b2に電流ia2、ib2を流す。そして、前記保持電源18と促進電源19との両方で制動解除を速くするコイル電流に設定し、前記保持電源18で制動解除を保持する電流に設定している。
【0031】
また、保持コイル11a1をコイル収納部12cの磁極面側に配置するのは、漏洩磁束が少なく効率が良いからである。つまり、一定電流制御し、主体的に活用する方の保持コイル11a1を磁極面側に配置すると高効率で励磁電源容量を低減でき、効果大である。
【0032】
すなわち、一つの電磁石に二つの電磁コイル部分を軸方向に重ねて配置する場合に、本実施形態ではのコイル部分の主体的に活用される保持コイルを継鉄のコイル収納部の磁極面側に配置して、前記コイル部分の他方の促進コイルは反磁極面側であるコイル収納部の底側に配置する。この構成により、保持コイルの漏洩磁束を少なくして励磁電源容量を低減できる効果が得られる。
【0033】
なお、前記保持コイル11a1と促進コイル11a2は巻方向が逆であっても良い。その場合は後述の第2の実施形態で示すように、励磁電源18、19の励磁方向を逆にすれば良い。また、促進コイル11a2の方は電流制御無で説明したが、前記保持コイル11a1と同様に電流帰還して前記図5のT1からT2の 制動解除の促進期間に一定電流が流れるように制御しても良い。
【実施例2】
【0034】
次に、第2の実施例を図6乃至図7に基き説明する。この実施例が前記第1の実施例と異なるのは、1本の巻線で巻回し途中から巻方向を逆にして連続的に巻回し、巻方向の異なる二つのコイル部分を形成し一つの電磁コイルとした場合である。
【0035】
図6において、前記図2と同様に、前記図1の左側の電磁石10aで説明する。この電磁石10aの電磁コイル30aは円筒状であり、巻線が例えば右巻きの保持コイル30a1と、逆の左巻きで前記保持コイル30a1と軸方向に重なる促進コイル30a2との二つのコイル部分となるように、1本の巻線で連続的に巻回し、一つの電磁コイル30aとして形成される。保持コイル30a1、促進コイル30a2への励磁はそれぞれ保持電源18、促進電源19で行う。保持コイル30a1に対して、促進コイル30a2の電流方向を逆にすると、それぞれの保持コイル30a1、促進コイル30a2で発生する磁束31a1、31a2の方向は同一となり、磁束の加算となって電磁石10aの電磁吸引力が増大する。
【0036】
図7において、前記図4と同様に、電磁コイル30aの保持コイル30a1と電磁コイル30bの保持コイル30b1とが並列に接続され保持電源18で接点17aを介して励磁される。この際、保持電源18は保持コイル30a1、30b1に流す電流i1を電流検出手段22で検出し帰還して、電流指令値23の一定電流出力となるように制御される。同様に促進コイル30a2、30b2とが並列に接続され促進電源19で接点17bを介して励磁される。電磁コイル30a、30bの巻方向が逆になる中間点32a、32bが保持電源18及び促進電源19の同一極性となるように接続される。そして、電流i1が保持コイル30a1、30b1にそれぞれ電流ia1、ib1が流れ、電流i2が促進コイル30a2、30b2にそれぞれ電流ia2、ib2が流れる。この結果、電磁コイル30aには電流ia1とia2による磁束が発生し、電磁コイル30bには電流ib1とib2による磁束が発生することになる。
【0037】
なお、保持コイル30a1、30b1及び促進コイル30a2、30b2の励磁の時間的経過は、前記図5と同様であり、それぞれ保持コイル11a1、11b1及び促進コイル11a2、11b2に相当する。また、第1の実施形態と同様に、促進電源19を電流制御しても良い。
【0038】
この実施形態による効果は前記の第1の実施形態と同様であるとともに、第1の実施形態のように、二つの個別コイルを用いることなく、1本のコイルで巻回して一つの電磁コイルを成形できるので電磁コイルの部品数を少なくできる効果が得られる。
【符号の説明】
【0039】
7 制動片
9 制動ばね
10a、10b 電磁石
11a、11b 電磁コイル
11a1、11b1 保持コイル
11a2、11b2 促進コイル
12a、12b 継鉄
12c コイル収納部
13a、13b 磁極面
23 電流指令値
30a、30b 電磁コイル
30a1、30b1 保持コイル
30a2、30b2 促進コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制動体に対向する制動片に押圧力を制動ばねで与えて制動力を付加する制動付加手段と、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で前記制動力を解除する制動解除手段とで構成され、前記電磁コイルは筒状の二つの電磁コイル又はコイル部分からなり、かつ筒状の軸方向に重なるように配置される電磁ブレーキにおいて、
前記電磁コイル又はコイル部分の一方は保持コイルとして前記継鉄のコイル収納部の磁極面側に配置し、前記電磁コイル又はコイル部分の他方は促進コイルとして前記継鉄のコイル収納部反磁極面側の底部に配置して、前記保持コイルは制動解除動作始めから制動付加まで電流を通流するとともに、前記促進コイルは制動解除動作始めの促進期間に電流を通流したことを特徴とする電磁ブレーキ。
【請求項2】
前記二つの電磁コイル又はコイル部分の一方の保持コイルと他方の促進コイルとは巻方向が逆であることを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項3】
前記保持コイルは制動解除動作始めから制動付加まで、電流指令値に従って一定電流となるように制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電磁ブレーキ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−216615(P2010−216615A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66352(P2009−66352)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】