説明

露光装置

【課題】高い生産性を維持しつつ、設備費を軽減することができる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、互いに隣接して且つ平行に配置された一対の露光ユニット1,2と、該一対の露光ユニット1,2のそれぞれが共用する光源手段3と、を含む。露光ユニット1,2の各々は、帯状基板4をその長手方向に沿って間欠的に送るための搬送機構5,6,7,8と、帯状基板4の搬送経路に配置された露光部9にして、少なくとも一つのフォトマスク10を有する露光部9と、を備える。光源手段3は、フォトマスク10に描かれたパターンを帯状基板4の露光面に転写するために、一対の露光ユニット1,2におけるそれぞれの露光部9へと交互に光を照射可能となされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルな帯状基板を所定長さ領域ごとに露光するための露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に感光層が形成された露光面を少なくとも片面に有するフレキシブルな帯状基板を間欠的に送り、帯状基板の所定長さ領域に、フォトマスクを通して光を照射することにより、フォトマスクに描かれたパターン(例えば電気回路)を帯状基板の所定長さ領域に転写する露光装置は知られている。帯状基板が間欠的に送られるごとに、帯状基板の新たな所定長さ領域がフォトマスクに対向する位置を占め、次々に露光作業が行なわれていく。
【0003】
あらかじめ所定の長さにカットされたシート状の基板を置き換えながら露光する場合に比べ、帯状基板を利用した露光は効率的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−326550号公報
【特許文献2】特開2006−301170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の露光装置よりさらに安いコストで高い生産性が得られる露光装置が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
表面に感光層が形成された露光面を少なくとも片面に有するフレキシブルな帯状基板を所定長さ領域ごとに露光するための露光装置であって、
互いに隣接して且つ平行に配置された一対の露光ユニットと、該一対の露光ユニットのそれぞれが共用する光源手段と、を含み、
前記一対の露光ユニットの各々が、前記帯状基板をその長手方向に沿って間欠的に送るための搬送機構と、前記帯状基板の搬送経路に配置された露光部にして、前記露光面に対して近接または離反可能なように設けられた少なくとも一つのフォトマスクを有する露光部と、を備えており、
前記光源手段が、前記フォトマスクに描かれたパターンを前記帯状基板の前記露光面に転写するために、前記一対の露光ユニットにおけるそれぞれの前記露光部へと交互に光を照射可能となされている、
露光装置が提供される。
【0007】
前記光源手段は、前記一対の露光ユニットにおけるそれぞれの前記露光部へと光を照射可能な位置に移動可能とすることができる。
【0008】
前記光源手段は、複数の発光素子からなる走査型光源を含むものとしてもよい。
【0009】
前記発光素子は半導体発光素子としてもよい。
【0010】
前記光源手段は、光源と、前記一対の露光ユニットにそれぞれ設けられた一対の反射鏡と、を備えるものとし、
前記光源は、前記一対の反射鏡のそれぞれに交互に光を投射するよう照射角度を変更可能なものとすることができる。
【0011】
前記露光部における前記帯状基板の搬送経路は垂直とすることができる。
【0012】
前記フォトマスクが、垂直状態の前記帯状基板の両側に一つずつ配置されており、
これら一対のフォトマスクは、互いに対向する位置に位置合わせ用マークを有しており、
該位置合わせ用マークを読み取るための少なくとも1つのCCDカメラと、該CCDカメラによる前記位置合わせ用マークの読み取りデータに基づいて前記一対のフォトマスクのうち少なくとも一方をその面内でX、Y、θ方向に移動させて位置合わせを行うための移動機構と、をさらに備えることができる。
【0013】
前記帯状基板と前記フォトマスクとの位置合わせを行うために、前記フォトマスクに設けられた位置合わせ用マークと位置合わせ可能な位置合わせ用マークを前記帯状基板に形成することができる。
【0014】
前記帯状基板に形成される前記位置合わせ用マークは、前記帯状基板の側縁にとって代わられることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の露光装置によれば、一方の露光ユニットで露光が行われた後、次の露光のために帯状基板が間欠的に送られて位置合わせが行われている間に、光源手段を他方の露光ユニットにおける露光に用いることができる。したがって、一対の露光ユニットに対して、光源手段を共用することができる。その結果、高い生産性を維持しつつ、設備費を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による露光装置の一実施形態を示す図であり、上図は平面図、下図は側面図。
【図2】本発明による露光装置の別の実施形態を示す図であり、上図は平面図、下図は側面図。
【図3】本発明による露光装置のさらに別の実施形態を示す図であり、上図は平面図、下図は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明による露光装置の一実施形態を示す。露光装置は、第1の露光ユニット1と、第2の露光ユニット2と、第1および第2の露光ユニット1,2が共用する光源手段3とを含む。第1および第2の露光ユニット1,2は、互いに隣接し且つ平行に配置されている。
【0018】
露光ユニット1,2の各々は、表面に感光層が形成された露光面を有するフレキシブルな帯状基板4が円筒状に巻かれている繰り出し用リール5と、繰り出し用リール5から繰り出された帯状基板4を巻き取るための巻き取り用リール6と、帯状基板4を繰り出し用リール5から巻き取り用リール6まで間欠的に送るための駆動装置7とを備えている。繰り出し用リール4、巻き取り用リール5および駆動装置7は、ガイドローラ8等とともに、帯状基板4をその長手方向に沿って間欠的に送るための搬送機構を構成する。
駆動装置7は駆動ローラ7aを備える。駆動ローラ7aは、繰り出し用リール5に巻かれた帯状基板4を所定長さ分ずつ間欠的に引き出す。図示実施形態では、帯状基板4の搬送経路が途中で垂直になっている。別の実施形態においては、帯状基板4の搬送経路が垂直経路を有しなくてもよい。
【0019】
露光ユニット1,2の各々は、帯状基板4の垂直経路に配置された露光部9を備えている。露光部9は、帯状基板4の露光面に対して近接または離反可能なように設けられたフォトマスク10を有する。図示実施形態の場合、露光面が帯状基板4の両面に設けられているので、露光ユニット1,2の各々に対してフォトマスク10は2つずつ設けられている。露光面が帯状基板4の片面のみに設けられている場合には、露光ユニット1,2の各々に対してフォトマスク10は1つずつ設けられることになる。
【0020】
なお、光源手段3の数に関して言えば、露光面が帯状基板4の両面に設けられている図示実施形態では、露光ユニット1,2が共用する光源手段3が2つ設けられている。露光面が帯状基板4の片面のみに設けられている場合には、露光ユニット1,2が共用する光源手段3は1つでよい。
【0021】
帯状基板4の搬送経路が垂直経路を有しない実施形態においては、露光部9を帯状基板4の水平経路に配置してもよい。しかしながら、水平状態の帯状基板4は自重により撓んで変形する傾向がある。また、ゴミも付着しやすい。したがって、帯状基板4の垂直経路に露光部9を配置することが望ましい。
【0022】
フォトマスク10には、帯状基板4の露光面上に転写すべきパターン(例えば電気回路パターン)が描かれている。光源手段3から露光部9へと光が照射されると、露光部9における帯状基板4の所定長さ領域の露光面にパターンが転写される。
【0023】
帯状基板4が搬送機構によって送られ、その所定長さ領域が露光部9に到達すると送りが停止され、位置合わせ作業が行われる。フォトマスク10は、帯状基板4の露光面に対して近接せしめられる。帯状基板4を挟んで互いに向き合う2つのフォトマスク10は、互いに対向する位置に位置合わせ用マークを有している。少なくとも1つのCCDカメラ11が、これらの位置合わせ用マークを読み取る。読み取りデータに基づき、移動機構12が、一対のフォトマスク10の少なくとも一方をその面内でX、Y、θ方向に移動させ、一対のフォトマスク10どうしの位置合わせを行う。
【0024】
帯状基板4とフォトマスク10との位置合わせを行うには、帯状基板4に形成された位置合わせ用マークも用いられる。帯状基板4に形成される位置合わせマークは、フォトマスク10の位置合わせマークと位置合わせ可能なものとされる。
【0025】
帯状基板4に形成される位置合わせ用マークは、帯状基板4の側縁で代用してもよい。
【0026】
図1の実施形態において、第1および第2の露光ユニットに共用される光源手段3は、ランプである光源3aと、平面鏡3bと、反射鏡3cとを備えている。光源3aから発せられた光は、平面鏡3bによって反射鏡3cへと伝達される。凹状面を有する反射鏡3cは、伝達された光を平行光にして露光部9へと照射する。
【0027】
図1において実線で示された光源手段3は、第1の露光ユニット1の露光部9へと光を照射できる位置にある。光源手段3は、帯状基板4の搬送方向を横切るようにして延びる一対の直動ガイドレール13上に乗っている。光源手段3は、直動ガイドレール13上をスライドして、第2の露光ユニット2の露光部9へと光を照射できる位置(二点鎖線で示す)へと移動することができる。
【0028】
第1の露光ユニット1において帯状基板4の所定長さ領域の露光が終了すると、光源手段3は直動ガイドレール13上をスライドして、第1の露光ユニット1の露光部9へと光が照射できる位置から第2の露光ユニット2の露光部9へと光を照射できる位置へと移動し、第2の露光ユニット2の露光部9を照射する。この間、第1の露光ユニット1では、フォトマスク10が帯状基板4の露光面から離反し、帯状基板4の間欠的搬送が行われる。帯状基板4の次の所定長さ領域が露光部9に位置付けられると、フォトマスク10が帯状基板4の露光面に近接せしめられ、位置合わせ作業が行われる。第2の露光ユニット2の露光部9への照射を終えた光源手段3は、再び第1の露光ユニット1の露光部9へと光を照射できる位置へとスライド移動し、位置合わせが終了したフォトマスク10を介して照射を行う。
【0029】
このようにして光源手段3は、第1および第2の露光ユニット1,2におけるそれぞれの露光部9へと交互に光を照射するようになされている。従来であれば光源手段3が休止していた位置合わせ作業時間を利用して、隣接する別の露光ユニットへと光源手段3を移動させてそこで露光作業を行わせることができるので、2つの露光ユニットに対して光源手段は1つで済む。
【0030】
図2の実施形態においては、光源手段3は、複数の発光素子14からなる走査型光源3dを含んでいる。本実施形態における走査型光源3dは、半導体発光素子を利用している。
【0031】
このような半導体発光素子を利用した走査型光源を用いた場合、光源自体を小さくすることができ、且つ、反射鏡のような光学機器を省略することができるので、帯状基板4の搬送方向における露光装置全体の寸法をコンパクトにすることができる。
【0032】
図2の実施形態では、第1の露光ユニット1において位置合わせ作業が行われているときは、走査型光源3dは第2の露光ユニット2側へと移動しながら、第2の露光ユニット2の露光部9に対して走査露光を行う。第2の露光ユニット2における露光が終了して、第2の露光ユニット2において帯状基板4の間欠的搬送と位置合わせ作業とが行われる間、走査型光源3dは第1の露光ユニット1側へと移動しながら、第1の露光ユニット1の露光部9に対して走査露光を行う。
【0033】
図3の実施形態においては、光源手段3が、ランプである光源3aと、一対の平面鏡3bと、一対の反射鏡3cとを備えている。光源3aは、回動可能な平面ミラー(図示せず)を介して光の照射方向をある角度範囲で変更可能とされている。光源3aは、ある照射角度の設定では、第1の露光ユニット1側の平面鏡3bを介して反射鏡3cに光を投射し、第1の露光ユニット1の露光部9を照射する。第1の露光ユニット1における露光が終了し、第1の露光ユニット1において帯状基板4の間欠的搬送と位置合わせ作業とが行われる間、光源3aは、別の照射角度の設定とされ、第2の露光ユニット2側の平面鏡3bを介して反射鏡3cに光を投射し、第2の露光ユニット2の露光部9を照射する。
【0034】
図1ないし図3のいずれの実施形態においても、一対の露光ユニットに対して光源手段を交互に使用する形で共用することができる。したがって、高い生産性を維持しつつ、設備コストを低減させることができる。
【0035】
なお、図1および図3の実施形態において、光源手段3の構成いかんによっては、平面鏡を省略することもできる。
【0036】
さらに、図1および図3の実施形態においてランプ以外の光源を使用することも可能であり、図2の実施形態において半導体発光素子以外の光源を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 第1の露光ユニット、2 第2の露光ユニット、3 光源手段、3a 光源(ランプ)、 3b 平面鏡、3c 反射鏡、3d 光源(走査型光源)、4 帯状基板、5 繰り出し用リール(搬送機構)、6 巻き取り用リール(搬送機構)、7 駆動装置(搬送機構)、7a 駆動ローラ(搬送機構)、8 ガイドローラ(搬送機構)、9 露光部、10 フォトマスク、11 CCDカメラ、12 移動機構、13 直動ガイドレール、14 発光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された露光面を少なくとも片面に有するフレキシブルな帯状基板を所定長さ領域ごとに露光するための露光装置であって、
互いに隣接して且つ平行に配置された一対の露光ユニットと、該一対の露光ユニットのそれぞれが共用する光源手段と、を含み、
前記一対の露光ユニットの各々が、前記帯状基板をその長手方向に沿って間欠的に送るための搬送機構と、前記帯状基板の搬送経路に配置された露光部にして、前記露光面に対して近接または離反可能なように設けられた少なくとも一つのフォトマスクを有する露光部と、を備えており、
前記光源手段が、前記フォトマスクに描かれたパターンを前記帯状基板の前記露光面に転写するために、前記一対の露光ユニットにおけるそれぞれの前記露光部へと交互に光を照射可能となされている、
露光装置。
【請求項2】
前記光源手段が、前記一対の露光ユニットにおけるそれぞれの前記露光部へと光を照射可能な位置に移動可能となされている、
請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記光源手段が、複数の発光素子からなる走査型光源を含む、請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記発光素子が半導体発光素子である、請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記光源手段が、光源と、前記一対の露光ユニットにそれぞれ設けられた一対の反射鏡と、を備えており、
前記光源が、前記一対の反射鏡のそれぞれに交互に光を投射するよう照射角度を変更可能とされている、
請求項1に記載の露光装置。
【請求項6】
前記露光部における前記帯状基板の搬送経路が垂直である、請求項1ないし5のいずれかに記載の露光装置。
【請求項7】
前記フォトマスクが、垂直状態の前記帯状基板の両側に一つずつ配置されており、
これら一対のフォトマスクは、互いに対向する位置に位置合わせ用マークを有しており、
該位置合わせ用マークを読み取るための少なくとも1つのCCDカメラと、該CCDカメラによる前記位置合わせ用マークの読み取りデータに基づいて前記一対のフォトマスクのうち少なくとも一方をその面内でX、Y、θ方向に移動させて位置合わせを行うための移動機構と、をさらに備える、
請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記帯状基板と前記フォトマスクとの位置合わせを行うために、前記フォトマスクに設けられた位置合わせ用マークと位置合わせ可能な位置合わせ用マークが前記帯状基板に形成されている、請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記帯状基板に形成される前記位置合わせ用マークが、前記帯状基板の側縁にとって代わられている、請求項8に記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−266763(P2010−266763A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119103(P2009−119103)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000106162)サンエー技研株式会社 (19)
【Fターム(参考)】