非接触給電装置
【課題】給電部と受電部の距離を離しても、電力の供給が十分に行える非接触給電装置を提供する。
【解決手段】高周波電源17と高周波電源17に接続される一次コイル15とを有し、一次コイル15に対向配置された二次コイル23に電力を供給する非接触給電装置10において、一次コイル15に磁気結合し、共振用の第1のコンデンサ18が接続された一次側共振コイル16を一次コイル15の近傍又は一体化して設けた。
【解決手段】高周波電源17と高周波電源17に接続される一次コイル15とを有し、一次コイル15に対向配置された二次コイル23に電力を供給する非接触給電装置10において、一次コイル15に磁気結合し、共振用の第1のコンデンサ18が接続された一次側共振コイル16を一次コイル15の近傍又は一体化して設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、受電用の二次コイルを搭載した電気自動車、搬送車等の負荷に非接触で電力を供給する非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電池で動く電気自動車は、定期的に電池を充電する必要があり、所定の場所に配置された充電器の近くに車両を止めて、接続コードを用いて車両の電池と充電器を接続し、電池への充電が行われていた。ところが、接続コードを用いて電池へ充電する場合、接続コードを電力供給源に接続する等、極めて手間であるので、例えば、特許文献1〜3に示すように、車両に非接触で電力を供給することが行われている。この特許文献1〜3においては、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続される二次コイルを有し、一次コイル側又は二次コイル側にL(リアクトル)とC(キャパシティ)からなる共振回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94862号公報
【特許文献2】特開2006−325350号公報
【特許文献3】WO2006/022365号公報
【特許文献4】特開昭63−73837号公報
【特許文献5】特許第4318742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のように、一次コイル側又は二次コイル側に共振回路を組み込むと、大きな負荷電流を得にくいという問題が発生した。この理由については、明確ではないが、回路に負荷が接続されているので、回路のキュー(Q)が下がると推定される。
【0005】
特許文献4の図7には、可飽和鉄心を用い、負荷を接続する二次コイルの他に、共振用のコンデンサ(キャパシター)を負荷とする共振コイルを設けた電力供給装置が提案され、このキャパシター回路と二次コイルは電気的に絶縁状態であることが記載されている。しかしながら、このように構成しても、一次コイルと二次コイルの隙間が大きくなると、受電効率が極端に落ちて実用化にはならないという問題がある。
【0006】
一方、特許文献5には、二次コイルに近接して設けられる三次コイルにコンデンサを接続した共振回路を有する非接触給電装置が提案されているが、一次コイル側には共振回路が設けられていないので、一次コイルと二次コイルの距離を離すと、二次コイルに大きな電流が発生しないという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、一次コイルと二次コイルの距離を更に離しても、電力の供給が行える非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る非接触給電装置は、高周波電源と該高周波電源に接続される一次コイルとを有し、前記一次コイルに対向配置された二次コイルに電力を供給する非接触給電装置において、前記一次コイルに磁気結合し、共振用の第1のコンデンサが接続された一次側共振コイルを前記一次コイルとは別巻きで、かつ一体化して又は分離してその近傍に又は近接して設けた。
【0009】
ここで、高周波電源は例えば、20kHz〜100kHzの高周波を発生させる電源をいい、通常、商用電源を整流して直流電源を得、更にインバータを用いて所定周波数の交流に変換している。なお、商用電源の代わりに太陽電池を使用することもできる。
【0010】
本発明に係る非接触給電装置において、前記二次コイルに並列に接続される共振用の第2のコンデンサを備えてもよい。なお、この第2のコンデンサは本発明に係る非接触給電装置において、必須の構成ではない。
【0011】
また、本発明に係る非接触給電装置において、前記一次コイルと前記一次側共振コイルとは独立して巻回され、前記一次コイル及び前記一次側共振コイルは無コアであってもよい。この場合、一次コイル、一次側共振コイル、二次コイルは、筒状コイルであってもよいし、平面渦巻き状に巻いたコイル(特許文献5参照)であってもよく、これらの組合せであってもよい。
【0012】
本発明に係る非接触給電装置において、該非接触給電装置は、車止めが設置されている駐車場スペースの所定位置に配置(据え置き又は埋設)されている場合もある。そして、該非接触給電装置は前記車止めと一体構造となっていてもよい。また、前記一次コイル(及び、二次コイル)の背面側には、磁気シールド材が設けられているのが好ましい。この場合の磁気シールド材としては、高周波の磁場を効率良くシールドする材料、例えば、フェライト板等が好ましい。
【0013】
そして、本発明に係る非接触給電装置において、前記一次側共振コイルは、前記一次コイルと前記二次コイルの間に配置されているのがよい。これによって、一次コイルによって発生させる磁場を効率的に二次コイルに導くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非接触給電装置においては、一次コイルに磁気結合し、共振用の第1のコンデンサが接続された一次側共振コイルを設けているので、一次側から発する磁束の量を格段に増加させることができ、距離をおいて配置された二次コイルに電力を送ることができる。
【0015】
特に、本発明の非接触給電装置を、車止めが設置されている駐車場スペースの所定位置に設置した場合には、駐車スペースに駐車している車両のバッテリにコードレスで外部から充電することができる。
【0016】
更に、この非接触給電装置を車(車両、自動車)の停止位置を決めるための車止めと一体構造とした場合には、車側の二次コイルを一次コイルに対向させる位置決めが正確かつ簡単にできる。また、非接触給電装置が車止めと一体となっているため設置工事が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る非接触給電装置の概略説明図である。
【図2】同非接触給電装置の説明図である。
【図3】(A)、(B)は同非接触給電装置を駐車スペースに取付けた場合の側面図及び平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る非接触給電装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る非接触給電装置10は、例えば駐車スペースの路面11に、車の停止位置を決めるための車止め11aと一体となって、駐車した車両(例えば、自動車、貨物車)13に設けられた受電部14に非接触で電力を供給している。以下、これらについて詳しく説明する。なお、11bは壁を、11cは確認用のミラーを示す。
【0019】
図1〜図3(A)、(B)に示すように、非接触給電装置10は空心(無コア)で平面状に螺旋巻された(渦巻平面状に巻かれた)一次コイル15と、一次コイル15に磁気結合し、空心で平面状に螺旋巻された一次側共振コイル16とを分離状態(独立して巻回、即ち近傍に設けられている)で有し、この一次コイル15には高周波電源17が接続されている。
【0020】
一次側共振コイル16には共振用の第1のコンデンサ18が接続されている。この高周波電源17は交流電源の整流回路と、整流回路からの直流を20kHz〜100kHz(この実施の形態では、20kHz〜30kHz)の高周波の交流に変換するインバータ回路とを有している。なお、この一次コイル15及び一次側共振コイル16はそれぞれ矩形の絶縁板16aからなる支持部材の上に置かれて巻回され、全体が樹脂封止されて矩形板20、21となっている。なお、一次コイル15、一次側共振コイル16及びコンデンサ18で受電部14に電力を供給する給電部を構成している。
【0021】
この実施の形態では、一次コイル15の背面側、即ち、受電部14に向いていない側には、磁気シールド材の一例であるフェライト板19が設けられている。このフェライト板19は一次コイル15によって発生した磁束が背面側に流れ、金属物を加熱して損失(渦電流損失)が生じるのを防止している。
【0022】
一次コイル15及び一次側共振コイル16を収納する矩形板20、21及びフェライト板19は、その間隔が安易に変わると、全体のインダクタンスが変わり、共振周波数が変わるので、位置決め部材の一例である複数(この実施の形態では4)のボルト23a、これらに螺合するナット24a及び各ボルト23aに挿通されるカラー(位置決め管)25a等によって正確に位置決めされている。
【0023】
この実施の形態では、一次コイル15と一次側共振コイル16の隙間bは5〜15mm、一次コイル15とフェライト板19との隙間aは5〜20mmである。なお、フェライト板19は発生する磁場によって飽和しないように(即ち、飽和磁束の例えば90%以内となるように)その厚みを決定する。
【0024】
コンデンサ18は、複数の小容量のコンデンサを並列に接続し、一次側共振コイル16に並列に接続されている。なお、高周波電源17の発信周波数と、コンデンサ18と一次側共振コイル16によって構成される一次側共振回路の共振周波数とを正確に一致させると、一次側共振コイル16及びコンデンサ18に大量の電流が流れるので、高周波電源17の発信周波数と一次側共振回路の共振周波数は5%未満で異なるのが好ましい。なお、一次コイル15と一次側共振コイル16の隙間b又は一次コイル15とフェライト板19の隙間aを変えることによっても、一次側共振回路の共振周波数を変えることができる。
【0025】
受電部14は非接触給電装置10から10〜50cm(距離L)離して配置され、車両13の底部に固定されている。受電部14は車止め11aに車のタイヤ13aを当てて停止した場合に、一次コイル15に対向する位置(即ち、直上位置)に配置されている。そして、受電部14には、一次コイル15に対向配置されて一次コイル15に磁気結合する二次コイル23、二次コイル23の負荷となる充電部24に並列に接続された共振用の第2のコンデンサ25とを有している。二次コイル23は一次コイル15と同様の構造となって、矩形の絶縁板に沿って巻かれ、矩形板26となって、背面側に配置された磁気シールド材の一例であるフェライト板27と複数(例えば、4)のボルト28及びナット29によって固定されている。この実施の形態では矩形板26とフェライト板27の隙間dは2〜10cmとなっている。この矩形板26より矩形のフェライト板27の面積が大きくなっている。
【0026】
二次コイル23に接続されたコンデンサ25は二次コイル23と二次側共振回路を構成し、この二次側共振回路は高周波電源17の発信周波数に一致させて、より効率的に二次コイル23に電流を流すようにしている。なお、二次側共振回路の共振周波数を高周波電源17の発信周波数と僅少の範囲(例えば、±1kHzの範囲)でずらして共振電流を制御することもできる。充電部24には電池30が接続されて、所定の電圧まで、電力を供給する構造となっている。
【0027】
この非接触給電装置10の動作を説明すると、車両13を駐車スペースの特定の位置(即ち、タイヤ13aが車止めに当たった位置)に止め、非接触給電装置10(詳細には一次コイル15)と受電部14を対向させる。高周波電源17をオンにすると、一次コイル15に高周波電流が流れ、一次側共振コイル16には共振電流が流れる。なお、共振電流の大きさは、一次側共振回路の共振周波数を調整することで変更可能である。一次コイル15からの磁束によって二次コイル23に高周波電流が誘導され、充電部24を介して電池30を自動的に充電する。
【0028】
続いて、図4に示す本発明の第2の実施の形態に係る非接触給電装置33について説明する。
この非接触給電装置33においては、隙間Lを有して配置された給電部34と受電部35を有し、給電部34には、一次コイル36及び一次側共振コイル37と、これらが巻かれている断面E型のコア38とを有している。一次コイル36には高周波電源17が、一次側共振回路37には共振用のコンデンサ18が接続されている。なお、コア38はこの実施の形態ではフェライトコアからなって、有底円筒状で正面視して中央に円柱状の磁極部39を有している。
【0029】
受電部35は、二次コイル41とこの二次コイル41が巻かれた断面E形のコア42と、二次コイル41に接続された充電部24と、電池30に接続される充電部24に並列に接続されたコンデンサ25とを有している。
コア42はこの実施の形態ではフェライトコアからなって、有底円筒状で正面視して中央に円柱状の磁極部43を有している。二次コイル41は、一次コイル36及び一次側共振コイル37と同様、円筒巻(厳密には円筒多層巻)となって、一次コイル36及び一次側共振コイル37と二次コイル41は断面円形の磁極部39、43にそれぞれ装着されている。この非接触給電装置33の基本的動作は、非接触給電装置10と同一であるので、動作説明は省略する。
【0030】
本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、形状、寸法、巻数などは変更できる。なお、自動車以外に、ロボット、移動又は固定状態の設備機械等への給電を行う場合も本発明は適用される。更に、給電部と受電部の取付け位置は縦及び横の任意であり、給電部と受電部の距離Lはその場の状況に応じて適宜変更できる。
更に、一次コイルと一次側共振コイルを一つの巻線に独立して巻いて一体化することもできる。
【0031】
なお、以上の発明において、磁気シールド板としてフェライト板を用いたが、高周波特性がよく鉄損が少ない材料であれば、他の素材を使用することもできる。
また、前記実施の形態では、高周波電源17は、コンセント45を用いた商用電源から電力の供給を受けたが、例えば、駐車スペースの上、建物の上に設けられた太陽電池等から給電を受けることもできる。
更には、この実施の形態においては、非接触給電装置10は車止め11a内に一体化して組み込んだが、その他、非接触給電装置を壁面、天井面又は柱に取付ける場合も本発明は適用される。
【符号の説明】
【0032】
10:非接触給電装置、11:路面、11a:車止め、11b:壁、11c:ミラー、13:車両、13a:タイヤ、14:受電部、15:一次コイル、16:一次側共振コイル、16a:絶縁板、17:高周波電源、18:コンデンサ、19:フェライト板、20、21:矩形板、23:二次コイル、23a:ボルト、24:充電部、24a:ナット、25:コンデンサ、25a:カラー、26:矩形板、27:フェライト板、28:ボルト、29:ナット、30:電池、33:非接触給電装置、34:給電部、35:受電部、36:一次コイル、37:一次側共振コイル、38:コア、39:磁極部、41:二次コイル、42:コア、43:磁極部、45:コンセント
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、受電用の二次コイルを搭載した電気自動車、搬送車等の負荷に非接触で電力を供給する非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電池で動く電気自動車は、定期的に電池を充電する必要があり、所定の場所に配置された充電器の近くに車両を止めて、接続コードを用いて車両の電池と充電器を接続し、電池への充電が行われていた。ところが、接続コードを用いて電池へ充電する場合、接続コードを電力供給源に接続する等、極めて手間であるので、例えば、特許文献1〜3に示すように、車両に非接触で電力を供給することが行われている。この特許文献1〜3においては、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続される二次コイルを有し、一次コイル側又は二次コイル側にL(リアクトル)とC(キャパシティ)からなる共振回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94862号公報
【特許文献2】特開2006−325350号公報
【特許文献3】WO2006/022365号公報
【特許文献4】特開昭63−73837号公報
【特許文献5】特許第4318742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のように、一次コイル側又は二次コイル側に共振回路を組み込むと、大きな負荷電流を得にくいという問題が発生した。この理由については、明確ではないが、回路に負荷が接続されているので、回路のキュー(Q)が下がると推定される。
【0005】
特許文献4の図7には、可飽和鉄心を用い、負荷を接続する二次コイルの他に、共振用のコンデンサ(キャパシター)を負荷とする共振コイルを設けた電力供給装置が提案され、このキャパシター回路と二次コイルは電気的に絶縁状態であることが記載されている。しかしながら、このように構成しても、一次コイルと二次コイルの隙間が大きくなると、受電効率が極端に落ちて実用化にはならないという問題がある。
【0006】
一方、特許文献5には、二次コイルに近接して設けられる三次コイルにコンデンサを接続した共振回路を有する非接触給電装置が提案されているが、一次コイル側には共振回路が設けられていないので、一次コイルと二次コイルの距離を離すと、二次コイルに大きな電流が発生しないという問題がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、一次コイルと二次コイルの距離を更に離しても、電力の供給が行える非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る非接触給電装置は、高周波電源と該高周波電源に接続される一次コイルとを有し、前記一次コイルに対向配置された二次コイルに電力を供給する非接触給電装置において、前記一次コイルに磁気結合し、共振用の第1のコンデンサが接続された一次側共振コイルを前記一次コイルとは別巻きで、かつ一体化して又は分離してその近傍に又は近接して設けた。
【0009】
ここで、高周波電源は例えば、20kHz〜100kHzの高周波を発生させる電源をいい、通常、商用電源を整流して直流電源を得、更にインバータを用いて所定周波数の交流に変換している。なお、商用電源の代わりに太陽電池を使用することもできる。
【0010】
本発明に係る非接触給電装置において、前記二次コイルに並列に接続される共振用の第2のコンデンサを備えてもよい。なお、この第2のコンデンサは本発明に係る非接触給電装置において、必須の構成ではない。
【0011】
また、本発明に係る非接触給電装置において、前記一次コイルと前記一次側共振コイルとは独立して巻回され、前記一次コイル及び前記一次側共振コイルは無コアであってもよい。この場合、一次コイル、一次側共振コイル、二次コイルは、筒状コイルであってもよいし、平面渦巻き状に巻いたコイル(特許文献5参照)であってもよく、これらの組合せであってもよい。
【0012】
本発明に係る非接触給電装置において、該非接触給電装置は、車止めが設置されている駐車場スペースの所定位置に配置(据え置き又は埋設)されている場合もある。そして、該非接触給電装置は前記車止めと一体構造となっていてもよい。また、前記一次コイル(及び、二次コイル)の背面側には、磁気シールド材が設けられているのが好ましい。この場合の磁気シールド材としては、高周波の磁場を効率良くシールドする材料、例えば、フェライト板等が好ましい。
【0013】
そして、本発明に係る非接触給電装置において、前記一次側共振コイルは、前記一次コイルと前記二次コイルの間に配置されているのがよい。これによって、一次コイルによって発生させる磁場を効率的に二次コイルに導くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非接触給電装置においては、一次コイルに磁気結合し、共振用の第1のコンデンサが接続された一次側共振コイルを設けているので、一次側から発する磁束の量を格段に増加させることができ、距離をおいて配置された二次コイルに電力を送ることができる。
【0015】
特に、本発明の非接触給電装置を、車止めが設置されている駐車場スペースの所定位置に設置した場合には、駐車スペースに駐車している車両のバッテリにコードレスで外部から充電することができる。
【0016】
更に、この非接触給電装置を車(車両、自動車)の停止位置を決めるための車止めと一体構造とした場合には、車側の二次コイルを一次コイルに対向させる位置決めが正確かつ簡単にできる。また、非接触給電装置が車止めと一体となっているため設置工事が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る非接触給電装置の概略説明図である。
【図2】同非接触給電装置の説明図である。
【図3】(A)、(B)は同非接触給電装置を駐車スペースに取付けた場合の側面図及び平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る非接触給電装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る非接触給電装置10は、例えば駐車スペースの路面11に、車の停止位置を決めるための車止め11aと一体となって、駐車した車両(例えば、自動車、貨物車)13に設けられた受電部14に非接触で電力を供給している。以下、これらについて詳しく説明する。なお、11bは壁を、11cは確認用のミラーを示す。
【0019】
図1〜図3(A)、(B)に示すように、非接触給電装置10は空心(無コア)で平面状に螺旋巻された(渦巻平面状に巻かれた)一次コイル15と、一次コイル15に磁気結合し、空心で平面状に螺旋巻された一次側共振コイル16とを分離状態(独立して巻回、即ち近傍に設けられている)で有し、この一次コイル15には高周波電源17が接続されている。
【0020】
一次側共振コイル16には共振用の第1のコンデンサ18が接続されている。この高周波電源17は交流電源の整流回路と、整流回路からの直流を20kHz〜100kHz(この実施の形態では、20kHz〜30kHz)の高周波の交流に変換するインバータ回路とを有している。なお、この一次コイル15及び一次側共振コイル16はそれぞれ矩形の絶縁板16aからなる支持部材の上に置かれて巻回され、全体が樹脂封止されて矩形板20、21となっている。なお、一次コイル15、一次側共振コイル16及びコンデンサ18で受電部14に電力を供給する給電部を構成している。
【0021】
この実施の形態では、一次コイル15の背面側、即ち、受電部14に向いていない側には、磁気シールド材の一例であるフェライト板19が設けられている。このフェライト板19は一次コイル15によって発生した磁束が背面側に流れ、金属物を加熱して損失(渦電流損失)が生じるのを防止している。
【0022】
一次コイル15及び一次側共振コイル16を収納する矩形板20、21及びフェライト板19は、その間隔が安易に変わると、全体のインダクタンスが変わり、共振周波数が変わるので、位置決め部材の一例である複数(この実施の形態では4)のボルト23a、これらに螺合するナット24a及び各ボルト23aに挿通されるカラー(位置決め管)25a等によって正確に位置決めされている。
【0023】
この実施の形態では、一次コイル15と一次側共振コイル16の隙間bは5〜15mm、一次コイル15とフェライト板19との隙間aは5〜20mmである。なお、フェライト板19は発生する磁場によって飽和しないように(即ち、飽和磁束の例えば90%以内となるように)その厚みを決定する。
【0024】
コンデンサ18は、複数の小容量のコンデンサを並列に接続し、一次側共振コイル16に並列に接続されている。なお、高周波電源17の発信周波数と、コンデンサ18と一次側共振コイル16によって構成される一次側共振回路の共振周波数とを正確に一致させると、一次側共振コイル16及びコンデンサ18に大量の電流が流れるので、高周波電源17の発信周波数と一次側共振回路の共振周波数は5%未満で異なるのが好ましい。なお、一次コイル15と一次側共振コイル16の隙間b又は一次コイル15とフェライト板19の隙間aを変えることによっても、一次側共振回路の共振周波数を変えることができる。
【0025】
受電部14は非接触給電装置10から10〜50cm(距離L)離して配置され、車両13の底部に固定されている。受電部14は車止め11aに車のタイヤ13aを当てて停止した場合に、一次コイル15に対向する位置(即ち、直上位置)に配置されている。そして、受電部14には、一次コイル15に対向配置されて一次コイル15に磁気結合する二次コイル23、二次コイル23の負荷となる充電部24に並列に接続された共振用の第2のコンデンサ25とを有している。二次コイル23は一次コイル15と同様の構造となって、矩形の絶縁板に沿って巻かれ、矩形板26となって、背面側に配置された磁気シールド材の一例であるフェライト板27と複数(例えば、4)のボルト28及びナット29によって固定されている。この実施の形態では矩形板26とフェライト板27の隙間dは2〜10cmとなっている。この矩形板26より矩形のフェライト板27の面積が大きくなっている。
【0026】
二次コイル23に接続されたコンデンサ25は二次コイル23と二次側共振回路を構成し、この二次側共振回路は高周波電源17の発信周波数に一致させて、より効率的に二次コイル23に電流を流すようにしている。なお、二次側共振回路の共振周波数を高周波電源17の発信周波数と僅少の範囲(例えば、±1kHzの範囲)でずらして共振電流を制御することもできる。充電部24には電池30が接続されて、所定の電圧まで、電力を供給する構造となっている。
【0027】
この非接触給電装置10の動作を説明すると、車両13を駐車スペースの特定の位置(即ち、タイヤ13aが車止めに当たった位置)に止め、非接触給電装置10(詳細には一次コイル15)と受電部14を対向させる。高周波電源17をオンにすると、一次コイル15に高周波電流が流れ、一次側共振コイル16には共振電流が流れる。なお、共振電流の大きさは、一次側共振回路の共振周波数を調整することで変更可能である。一次コイル15からの磁束によって二次コイル23に高周波電流が誘導され、充電部24を介して電池30を自動的に充電する。
【0028】
続いて、図4に示す本発明の第2の実施の形態に係る非接触給電装置33について説明する。
この非接触給電装置33においては、隙間Lを有して配置された給電部34と受電部35を有し、給電部34には、一次コイル36及び一次側共振コイル37と、これらが巻かれている断面E型のコア38とを有している。一次コイル36には高周波電源17が、一次側共振回路37には共振用のコンデンサ18が接続されている。なお、コア38はこの実施の形態ではフェライトコアからなって、有底円筒状で正面視して中央に円柱状の磁極部39を有している。
【0029】
受電部35は、二次コイル41とこの二次コイル41が巻かれた断面E形のコア42と、二次コイル41に接続された充電部24と、電池30に接続される充電部24に並列に接続されたコンデンサ25とを有している。
コア42はこの実施の形態ではフェライトコアからなって、有底円筒状で正面視して中央に円柱状の磁極部43を有している。二次コイル41は、一次コイル36及び一次側共振コイル37と同様、円筒巻(厳密には円筒多層巻)となって、一次コイル36及び一次側共振コイル37と二次コイル41は断面円形の磁極部39、43にそれぞれ装着されている。この非接触給電装置33の基本的動作は、非接触給電装置10と同一であるので、動作説明は省略する。
【0030】
本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、形状、寸法、巻数などは変更できる。なお、自動車以外に、ロボット、移動又は固定状態の設備機械等への給電を行う場合も本発明は適用される。更に、給電部と受電部の取付け位置は縦及び横の任意であり、給電部と受電部の距離Lはその場の状況に応じて適宜変更できる。
更に、一次コイルと一次側共振コイルを一つの巻線に独立して巻いて一体化することもできる。
【0031】
なお、以上の発明において、磁気シールド板としてフェライト板を用いたが、高周波特性がよく鉄損が少ない材料であれば、他の素材を使用することもできる。
また、前記実施の形態では、高周波電源17は、コンセント45を用いた商用電源から電力の供給を受けたが、例えば、駐車スペースの上、建物の上に設けられた太陽電池等から給電を受けることもできる。
更には、この実施の形態においては、非接触給電装置10は車止め11a内に一体化して組み込んだが、その他、非接触給電装置を壁面、天井面又は柱に取付ける場合も本発明は適用される。
【符号の説明】
【0032】
10:非接触給電装置、11:路面、11a:車止め、11b:壁、11c:ミラー、13:車両、13a:タイヤ、14:受電部、15:一次コイル、16:一次側共振コイル、16a:絶縁板、17:高周波電源、18:コンデンサ、19:フェライト板、20、21:矩形板、23:二次コイル、23a:ボルト、24:充電部、24a:ナット、25:コンデンサ、25a:カラー、26:矩形板、27:フェライト板、28:ボルト、29:ナット、30:電池、33:非接触給電装置、34:給電部、35:受電部、36:一次コイル、37:一次側共振コイル、38:コア、39:磁極部、41:二次コイル、42:コア、43:磁極部、45:コンセント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源と該高周波電源に接続される一次コイルとを有し、前記一次コイルに対向配置された二次コイルに電力を供給する非接触給電装置において、
前記一次コイルに磁気結合し、共振用の第1のコンデンサが接続された一次側共振コイルを前記一次コイルの近傍又は一体化して設けたことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1記載の非接触給電装置において、該非接触給電装置は、車止めが設置されている駐車場スペースの所定位置に配置されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項2記載の非接触給電装置において、該非接触給電装置は前記車止めと一体構造となっていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の非接触給電装置において、前記高周波電源は、商用電源から電力を供給されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1記載の非接触給電装置において、前記高周波電源は、太陽電池から電力を供給されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1記載の非接触給電装置において、前記一次コイルと前記一次側共振コイルとは独立して巻回されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項1】
高周波電源と該高周波電源に接続される一次コイルとを有し、前記一次コイルに対向配置された二次コイルに電力を供給する非接触給電装置において、
前記一次コイルに磁気結合し、共振用の第1のコンデンサが接続された一次側共振コイルを前記一次コイルの近傍又は一体化して設けたことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1記載の非接触給電装置において、該非接触給電装置は、車止めが設置されている駐車場スペースの所定位置に配置されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項2記載の非接触給電装置において、該非接触給電装置は前記車止めと一体構造となっていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の非接触給電装置において、前記高周波電源は、商用電源から電力を供給されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1記載の非接触給電装置において、前記高周波電源は、太陽電池から電力を供給されていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1記載の非接触給電装置において、前記一次コイルと前記一次側共振コイルとは独立して巻回されていることを特徴とする非接触給電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−167009(P2011−167009A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29071(P2010−29071)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年10月15日 社団法人 電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報(IEICE Technical Report) Vol.109 No.241」に発表
【出願人】(591221916)有限会社日本テクモ (13)
【出願人】(596014221)株式会社ヘッズ (7)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年10月15日 社団法人 電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報(IEICE Technical Report) Vol.109 No.241」に発表
【出願人】(591221916)有限会社日本テクモ (13)
【出願人】(596014221)株式会社ヘッズ (7)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】
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