説明

非球面体測定方法および装置

【課題】非球面体の内部屈折率分布の影響を受けることなく、また、非球面体が測定光を透過しないものである場合でも、面ずれ量および面倒れ量を測定できるようにする。
【解決手段】第1干渉計1Aと第2干渉計1Bとを用いた反射波面測定により、非球面レンズ9の第1レンズ面91および第2レンズ面92の形状データを求め、各形状データをツェルニケ多項式で近似する。そのときのツェルニケ多項式の係数Z,Z,ZおよびZの値に基づき、第1測定光軸Lに対する第1レンズ面91のシフト量およびチルト量および第2測定光軸Lに対する第2レンズ面92のシフト量およびチルト量を求める。求められた各々のシフト量およびチルト量と、第1干渉計1Aおよび第2干渉計1Bの相対位置関係とに基づき、面ずれ量および面倒れ量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや光学センサ等の各種光学機器に用いられる非球面レンズや両面非球面ミラー等の非球面体における表裏2つの被検面(第1被検面および第2被検面)の相対的なずれ量(面ずれ量および面倒れ量)を測定する非球面体測定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モールド成形により非球面レンズを作製する場合、成形用の金型同士の相対的な位置ずれによって、成形された非球面レンズに面ずれ(非球面レンズを構成する2つのレンズ面それぞれの回転軸同士の相対的な位置ずれ)や面倒れ(2つのレンズ面それぞれの回転軸同士の相対的な傾きずれ)が発生することがある。このような面ずれや面倒れは、金型の機構上、完全に無くすことは困難であるが、成形された非球面レンズの収差(特に、コマ収差等の回転非対称収差)を増大させる要因となるので、減少させる方向で金型の修正を図ることが望ましく、そのために発生している面ずれ量および面倒れ量を把握しておくことは重要となる。
【0003】
従来、このような非球面レンズの面ずれ量および面倒れ量を測定する方法としては、触針方式の形状測定装置を用いて2つのレンズ面の形状をそれぞれ測定し、それらの形状情報に基づき2つのレンズ面の相対的な面ずれ量および面倒れ量を求めるものが知られているが、1回の測定に数時間以上の時間を要するという問題があった。
【0004】
近年、測定時間を大幅に短縮し得る手法として、下記特許文献1に記載のものが提案されている。この提案手法は、干渉計を用いて非球面レンズの透過波面測定を行い、得られた透過波面データに基づき透過波面のコマ収差を算出し、そのコマ収差の算出値に基づき、面ずれ量(面間シフト量)および面倒れ量(面間チルト量)を求めるものである。具体的には、透過波面データをツェルニケ多項式で近似し、その際に得られた、ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、3次のコマ収差量と連動して値が変化する係数ZまたはZ、および5次のコマ収差量と連動して値が変化する係数Z13またはZ14の各値に基づき、面ずれ量および面倒れ量を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−33343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の手法は、透過波面測定を前提とするものであるため、次のような問題がある。
【0007】
すなわち、透過波面の形状は、測定対象となる非球面レンズの面ずれや面倒れだけではなく、レンズの内部屈折率分布にも大きな影響を受けるが、透過波面の形状データに基づく上記特許文献1に記載の手法では、レンズ構成材料の屈折率分布の影響を排除しつつ、面ずれや面倒れのみを高精度に測定することが難しいという問題がある。
【0008】
また、干渉計の測定光を透過しないような非球面体、例えば、X線等の特殊な波長の光用として使われる非球面レンズや、回転非球面で形成された反射面を有する両面非球面ミラー等の非球面体における面ずれ量や面倒れ量を測定することは難しいという問題もある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、測定対象となる非球面体の内部屈折率分布の影響を受けることなく、また、非球面体が干渉計の測定光を透過しないものである場合でも、面ずれ量および面倒れ量を測定することが可能な非球面体測定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る非球面体測定方法および装置は、以下の特徴を備えている。
【0011】
すなわち、本発明に係る非球面体測定方法は、回転非球面である第1被検面と回転非球面または球面である第2被検面とを有する非球面体において、該第1被検面と該第2被検面との相対的な面ずれ量および面倒れ量を、互いの相対位置関係が特定された第1干渉計および第2干渉計を用いて測定する非球面体測定方法であって、
前記第1干渉計の第1測定光軸に沿って第1測定光を前記第1被検面に照射し、該第1測定光の該第1被検面から反射された第1反射波面と該第1干渉計の第1参照波面との光干渉により形成される第1干渉縞の画像データを得る第1干渉縞取得ステップと、
前記第2干渉計の第2測定光軸に沿って第2測定光を前記第2被検面に照射し、該第2測定光の該第2被検面から反射された第2反射波面と該第2干渉計の第2参照波面との光干渉により形成される第2干渉縞の画像データを得る第2干渉縞取得ステップと、
前記第1干渉縞の画像データを解析して前記第1被検面の形状データを求める第1被検面形状データ取得ステップと、
前記第2干渉縞の画像データを解析して前記第2被検面の形状データを求める第2被検面形状データ取得ステップと、
前記第1被検面形状データ取得ステップにおいて求められた前記第1被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第1被検面の、前記第1測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第1シフト量比例係数の値および該第1被検面の該第1測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第1チルト量比例係数の値を求める第1ツェルニケ係数値算出ステップと、
前記第2被検面形状データ取得ステップにおいて求められた前記第2被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第2被検面の、前記第2測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第2シフト量比例係数の値および該第2被検面の該第2測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第2チルト量比例係数の値を求める第2ツェルニケ係数値算出ステップと、
前記第1ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた前記第1シフト量比例係数の値および前記第1チルト量比例係数の値に基づき、前記第1測定光軸に対する前記第1被検面のシフト量およびチルト量を求める第1シフト量・チルト量算出ステップと、
前記第2ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた前記第2シフト量比例係数の値および前記第2チルト量比例係数の値に基づき、前記第2測定光軸に対する前記第2被検面のシフト量およびチルト量を求める第2シフト量・チルト量算出ステップと、
前記第1シフト量・チルト量算出ステップおいて求められた前記第1被検面のシフト量およびチルト量と、前記第2シフト量・チルト量算出ステップにおいて求められた前記第2被検面のシフト量およびチルト量と、前記第1干渉計および前記第2干渉計の相対位置関係の情報とに基づき、前記面ずれ量および前記面倒れ量を算出する面ずれ量・面倒れ量算出ステップと、を測定手順として含んでなることを特徴とする。
【0012】
本発明の非球面体測定方法において、前記ツェルニケ多項式は、極座標形式で表された4次以上のツェルニケ多項式Z(ρ,θ)(ρは極からの距離、θは始線に対する偏角)であり、
前記第1シフト量比例係数および前記第2シフト量比例係数は、下式(1)で表される項の係数Z、下式(2)で表される項の係数Z、下式(3)で表される項の係数Zおよび下式(4)で表される項の係数Zであり、前記第1チルト量比例係数および前記第2チルト量比例係数は、該係数Zおよび該係数Zである、とすることができる。
【0013】
ρcosθ …(1)
ρsinθ …(2)
(3ρ−2)ρcosθ …(3)
(3ρ−2)ρsinθ …(4)
【0014】
また、本発明に係る非球面体測定装置は、回転非球面である第1被検面と回転非球面または球面である第2被検面とを有する非球面体において、該第1被検面と該第2被検面との相対的な面ずれ量および面倒れ量を測定する非球面体測定装置であって、
第1測定光軸に沿って第1測定光を前記第1被検面に照射し、該第1測定光の該第1被検面から反射された第1反射波面と第1参照波面との光干渉により形成される第1干渉縞の画像データを得る第1干渉計と、
第2測定光軸に沿って第2測定光を前記第2被検面に照射し、該第2測定光の該第2被検面から反射された第2反射波面と第2参照波面との光干渉により形成される第2干渉縞の画像データを得る、前記第1干渉計との相対位置関係が特定された第2干渉計と、
前記第1干渉縞の画像データを解析して前記第1被検面の形状データを求める第1被検面形状データ取得手段と、
前記第2干渉縞の画像データを解析して前記第2被検面の形状データを求める第2被検面形状データ取得手段と、
前記第1被検面形状データ取得手段において求められた前記第1被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第1被検面の、前記第1測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第1シフト量比例係数の値および該第1被検面の該第1測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第1チルト量比例係数の値を求める第1ツェルニケ係数値算出手段と、
前記第2被検面形状データ取得手段において求められた前記第2被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第2被検面の、前記第2測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第2シフト量比例係数の値および該第2被検面の該第2測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第2チルト量比例係数の値を求める第2ツェルニケ係数値算出手段と、
前記第1ツェルニケ係数値算出手段において求められた前記第1シフト量比例係数の値および前記第1チルト量比例係数の値に基づき、前記第1測定光軸に対する前記第1被検面のシフト量およびチルト量を求める第1シフト量・チルト量算出手段と、
前記第2ツェルニケ係数値算出手段において求められた前記第2シフト量比例係数の値および前記第2チルト量比例係数の値に基づき、前記第2測定光軸に対する前記第2被検面のシフト量およびチルト量を求める第2シフト量・チルト量算出手段と、
前記第1シフト量・チルト量算出手段において求められた前記第1被検面のシフト量およびチルト量と、前記第2シフト量・チルト量算出手段において求められた前記第2被検面のシフト量およびチルト量と、前記第1干渉計および前記第2干渉計の相対位置関係の情報とに基づき、前記面ずれ量および前記面倒れ量を算出する面ずれ量・面倒れ量算出手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0015】
本発明において、第2レンズ面が球面とされている場合には、該第2レンズ面については、第2測定光軸に対するシフト量は発生するがチルト量は発生しないことになる。したがって、上述の第2シフト量・チルト量算出ステップおよび第2シフト量・チルト量算出手段における第2被検面のチルト量の算出に際しては、該チルト量が零であるとして算出を行うこととする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る非球面体測定方法および装置は、上述の特徴を備えていることにより、以下のような作用効果を奏する。
【0017】
すなわち、本発明の非球面体測定方法および装置は、測定対象となる非球面体が有する2つの被検面(第1被検面および第2被検面)からの反射波面により形成される干渉縞に基づき2つの被検面の形状データを求め、この形状データに基づき2つの被検面の相対的な面ずれ量および面倒れ量を測定するので、透過波面測定に基づく従来技術とは異なり、非球面体の内部屈折率分布の影響を受けることなく、また、非球面体が干渉計の測定光を透過しないものである場合でも、面ずれ量および面倒れ量を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る非球面体測定装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す非球面体測定装置の光学系の概略構成図である。
【図3】図1に示す解析制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】測定対象となる非球面レンズの構成を示す断面図である。
【図5】第1測定座標系と第2測定座標系との相対位置関係を示す図である。
【図6】模擬第1干渉縞画像を示す図である。
【図7】模擬第2干渉縞画像を示す図である。
【図8】模擬第1レンズ面に対する係数Zのチルト感度を示す図である。
【図9】模擬第2レンズ面に対する係数Zのチルト感度を示す図である。
【図10】模擬第1レンズ面に対する係数Zのシフト感度を示す図である。
【図11】模擬第2レンズ面に対する係数Zのシフト感度を示す図である。
【図12】模擬第1レンズ面に対する係数Zのシフト感度を示す図である。
【図13】模擬第1レンズ面に対する係数Zのシフト感度を示す図である。
【図14】模擬第1レンズ面に対するシフト量の計算誤差を示す図である。
【図15】模擬第2レンズ面に対するシフト量の計算誤差を示す図である。
【図16】模擬第1レンズ面に対するチルト量の計算誤差を示す図である。
【図17】模擬第1レンズ面に対するチルト量の計算誤差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、上述の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明に使用する各図は概略的な説明図であり、詳細な形状や構造を示すものではなく、各部材の大きさや部材間の距離等を適宜変更して示してある。
【0020】
まず、図4に基づいて、本実施形態において測定対象となる非球面体としての非球面レンズ9の構成および測定対象となる項目について説明する。
【0021】
図4に示すように非球面レンズ9は、設計上、第1回転軸Aを中心とする回転非球面で構成された第1レンズ面91(本実施形態における第1被検面)と、第2回転軸Aを中心とする回転非球面で構成された第2レンズ面92(本実施形態における第2被検面)と、円柱面状に形成された側面93とを有してなる。
【0022】
また、第1レンズ面91と第1回転軸Aとの交点となる、第1レンズ面91の中心点Pは、設計上、該中心点Pにおける法曲率が第1レンズ面91に接する全ての接線の方向について同じとなる臍点として設定されている。同様に、第2レンズ面92と第2回転軸Aとの交点となる、第2レンズ面92の中心点Pは、設計上、該中心点Pにおける法曲率が第2レンズ面92に接する全ての接線の方向について同じとなる臍点として設定されている。
【0023】
上述の第1回転軸Aおよび第2回転軸Aは、設計上、互いに一致する(重なる)ように構成されているが、製造誤差等により、これらが互いに一致しない状態となる面ずれおよび面倒れが生じる場合がある。図では分かり易くするため、第1回転軸Aと第2回転軸Aとのずれ量を大きく表現しているが、通常は、光の波長オーダーの微小な誤差量となる。なお、本実施形態では、面ずれ量および面倒れ量を以下のように定義する。
【0024】
面ずれ量:第1回転軸Aまたは第2回転軸Aに垂直な仮想平面を設定し、この仮想平面に、第1レンズ面91の中心点である第1中心点P(第1レンズ面91と第1回転軸Aとの交点)と、第2レンズ面92の中心点である第2中心点P(第2レンズ面92と第2回転軸Aとの交点)を投影したときの、該仮想平面上での第1中心点Pおよび第2中心点Pの各投影点相互間の距離を面ずれ量とする。なお、仮想平面上に直交座標系を設定して、面ずれ量を各座標軸方向の成分に分けても良い。
【0025】
面倒れ量:第1回転軸Aと第2回転軸Aとのなす角度(両者が交わらない場合は第1回転軸Aの方向ベクトルと第2回転軸Aの方向ベクトルとのなす角度)を面倒れ量とする。なお、仮想平面上に直交座標系を設定して、面倒れ量を各座標軸方向の成分に分けても良い。
【0026】
次に、図1〜3に基づき、本発明の一実施形態に係る非球面体測定装置の構成を説明する。図1に示す非球面体測定装置は、上述の非球面レンズ9の面ずれ量および面倒れ量を測定解析するものであり、非球面レンズ9の第1レンズ面91側に配置された第1干渉計1Aと、第2レンズ面92側に配置された第2干渉計1Bと、光学定盤2上に載置された被検体アライメント部3と、第1干渉計1Aの位置調整を行う第1干渉計位置調整部4Aと、第2干渉計1Bの位置調整を行う第2干渉計位置調整部4Bと、非球面レンズ9の面ずれ量および面倒れ量の測定解析等を行う制御解析部5とを備えてなる。
【0027】
上記第1干渉計1Aは、図2に示すように、第1干渉光学系10A、第1干渉縞撮像系20Aおよび第1アライメント撮像系25Aを有してなる。第1干渉光学系10Aは、フィゾータイプの光学系配置をなすものであり、高可干渉性の光束を出力する光源部11Aと、該光源部11Aからの出力光のビーム径を拡大するビーム径拡大レンズ12Aと、該ビーム径拡大レンズ12Aからの光束を図中右方に向けて反射する光束分岐光学素子13Aと、該光束分岐光学素子13Aからの光束をコリメートするコリメータレンズ14Aと、該コリメータレンズ14Aからの平面波の一部を参照基準平面15Aaにおいて再帰反射して第1参照光となし、その余を第1測定光軸Lに沿って透過する平面基準板15Aと、該平面基準板15Aからの光束を球面波からなる第1測定光に変換し、第1レンズ面91の中心部(上述の第1中心点Pを含む領域)に照射する対物レンズ18Aとを備えてなり、第1レンズ面91からの反射光を第1参照光と合波して第1干渉光を得るように構成されている。
【0028】
なお、上記平面基準板15Aは、ピエゾ素子16Aを備えたフリンジスキャンアダプタ17Aに保持されており、フリンジスキャン計測等を実施する際に第1測定光軸L方向に微動せしめられるように構成されている。また、上記対物レンズ18Aは、第1測定光軸L上から退避可能に構成されている。
【0029】
上記第1干渉縞撮像系20Aは、非球面レンズ9(第1レンズ面91)の測定時に撮像を行うものであり、光束分岐光学素子13A,21Aを透過して図中左方に進行する第1干渉光を集光する結像レンズ22Aと、CCDやCMOS等からなる2次元イメージセンサ24Aを有してなる撮像カメラ23Aとを備えてなり、結像レンズ22Aにより2次元イメージセンサ24A上に形成された干渉縞(第1干渉縞)の画像データを取得するように構成されている。
【0030】
上記アライメント撮像系25Aは、第1干渉計1Aと第2干渉計1Bとの相対的なアライメント調整等を行う際に撮像を行うものであり、光束分岐光学素子21Aにより図中下方に反射された光束を集光する結像レンズ26Aと、CCDやCMOS等からなる2次元イメージセンサ28Aを有してなる撮像カメラ27Aとを備えてなる。
【0031】
上記第2干渉計1Bは、上記第1干渉計1Aと同様の構成を有するものであり、第2干渉光学系10B、第2干渉縞撮像系20Bおよび第2アライメント撮像系25Bを有してなる。第2干渉光学系10Bは、フィゾータイプの光学系配置をなすものであり、高可干渉性の光束を出力する光源部11Bと、該光源部11Bからの出力光のビーム径を拡大するビーム径拡大レンズ12Bと、該ビーム径拡大レンズ12Bからの光束を図中左方に向けて反射する光束分岐光学素子13Bと、該光束分岐光学素子13Bからの光束をコリメートするコリメータレンズ14Bと、該コリメータレンズ14Bからの平面波の一部を参照基準平面15Baにおいて再帰反射して第2参照光となし、その余を第2測定光軸Lに沿って透過する平面基準板15Bと、該平面基準板15Bからの光束を球面波からなる第2測定光に変換し、第2レンズ面92の中心部(上述の第2中心点Pを含む領域)に照射する対物レンズ18Bとを備えてなり、第2レンズ面92からの反射光を第2参照光と合波して第2干渉光を得るように構成されている。
【0032】
なお、上記平面基準板15Bは、ピエゾ素子16Bを備えたフリンジスキャンアダプタ17Bに保持されており、フリンジスキャン計測等を実施する際に第2測定光軸L方向に微動せしめられるように構成されている。また、上記対物レンズ18Bは、第2測定光軸L上から退避可能に構成されている。
【0033】
上記第2干渉縞撮像系20Bは、非球面レンズ9(第2レンズ面92)の測定時に撮像を行うものであり、光束分岐光学素子13B,21Bを透過して図中右方に進行する第2干渉光を集光する結像レンズ22Bと、CCDやCMOS等からなる2次元イメージセンサ24Bを有してなる撮像カメラ23Bとを備えてなり、結像レンズ22Bにより2次元イメージセンサ24B上に形成された干渉縞(第2干渉縞)の画像データを取得するように構成されている。
【0034】
上記アライメント撮像系25Bは、第1干渉計1Aと第2干渉計1Bとの相対的なアライメント調整等を行う際に撮像を行うものであり、光束分岐光学素子21Bにより図中下方に反射された光束を集光する結像レンズ26Bと、CCDやCMOS等からなる2次元イメージセンサ28Bを有してなる撮像カメラ27Bとを備えてなる。
【0035】
一方、図1に示すように、上記被検体アライメント部3は、非球面レンズ9を保持する保持ステージ31と、該保持ステージ31に保持された非球面レンズ9(第1レンズ面91、第2レンズ面92)の、第1測定光軸Lおよび第2測定光軸Lに対する傾き調整を行うレンズ傾き調整ステージ32と、第1測定光軸Lおよび第2測定光軸Lに対する非球面レンズ9の、図中左右方向および紙面に垂直な方向への位置調整を行うレンズ位置調整ステージ33とを備えてなる。
【0036】
また、上記第1干渉計位置調整部4Aは、図1に示すように、第1干渉計1Aを図中上下方向に移動可能に保持する第1Zステージ41Aと、該第1Zステージ41Aを介して第1干渉計1Aを図中左右方向および紙面に垂直な方向に移動せしめる第1XYステージ42Aと、該第1XYステージ42Aおよび該第1Zステージ41Aを介して第1干渉計1Aの傾き調整を行う第1干渉計傾き調整ステージ43Aとを備えてなる。
【0037】
同様に、上記第2干渉計位置調整部4Bは、第2干渉計1Bを図中上下方向に移動可能に保持する第2Zステージ41Bと、該第2Zステージ41Bを介して第2干渉計1Bを図中左右方向および紙面に垂直な方向に移動せしめる第2XYステージ42Bと、該第2XYステージ42Bおよび該第2Zステージ41Bを介して第2干渉計1Bの傾き調整を行う第2干渉計傾き調整ステージ43Bとを備えてなる。
【0038】
また、上記制御解析部5は、第1レンズ面91および第2レンズ面92の各中心部の形状データ(第1被検面形状データおよび第2被検面形状データ)を求めたり、上述の被検体アライメント部3、第1干渉計位置調整部4Aおよび第2干渉計位置調整部4Bの各ステージの駆動を制御したりするコンピュータ装置等から構成されており、図3に示すように、該コンピュータ装置内に搭載されるCPUやハードディスク等の記憶部および該記憶部に格納されたプログラム等により構成される第1被検面形状データ取得手段51A、第2被検面形状データ取得手段51B、第1ツェルニケ係数値算出手段52A、第2ツェルニケ係数値算出手段52B、第1シフト量・チルト量算出手段53A、第2シフト量・チルト量算出手段53B、および面ずれ量・面倒れ量算出手段54を備えてなる。
【0039】
上記第1被検面形状データ取得手段51Aは、上記第1干渉縞の画像データに基づき、第1レンズ面91の中心部の形状データである第1被検面形状データを、第1干渉計1Aにおいて設定された第1測定座標系において求めるものである。
【0040】
上記第2被検面形状データ取得手段51Bは、上記第2干渉縞の画像データに基づき、第2レンズ面92の中心部の形状データである第2被検面形状データを、第2干渉計1Bにおいて設定された第2測定座標系において求めるものである。
【0041】
上記第1ツェルニケ係数値算出手段52Aは、上記第1被検面形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、上記第1レンズ面91の、上記第1測定光軸Lと垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第1シフト量比例係数の値および該第1被検面91の該第1測定光軸Lに対するチルト量に比例して値が変化する第1チルト量比例係数の値を求めるものである。
【0042】
上記第2ツェルニケ係数値算出手段52Bは、上記第2被検面形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、上記第2レンズ面92の、上記第2測定光軸Lと垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第2シフト量比例係数の値および該第2被検面92の該第2測定光軸Lに対するチルト量に比例して値が変化する第2チルト量比例係数の値を求めるものである。
【0043】
上記第1シフト量・チルト量算出手段53Aは、上記第1ツェルニケ係数値算出手段52Aにおいて求められた第1シフト量比例係数の値および第1チルト量比例係数の値に基づき、上記第1測定光軸Lに対する上記第1レンズ面91のシフト量およびチルト量を求めるものである。
【0044】
上記第2シフト量・チルト量算出手段53Aは、上記第2ツェルニケ係数値算出手段52Bにおいて求められた第2シフト量比例係数の値および第2チルト量比例係数の値に基づき、上記第2測定光軸Lに対する上記第2レンズ面92のシフト量およびチルト量を求めるものである。
【0045】
上記面ずれ量・面倒れ量算出手段54は、上記第1シフト量・チルト量算出手段53Aにおいて求められた第1シフト量比例係数の値および第1チルト量比例係数の値と、上記第2シフト量・チルト量算出手段53Bにおいて求められた第2シフト量比例係数の値および第2チルト量比例係数の値と、上記第1干渉計1Aおよび上記第2干渉計1Bの相対位置関係(上記第1測定座標系と上記第2測定座標系との相対位置関係)の情報とに基づき、面ずれ量および面倒れ量を算出するものである。
【0046】
以下、本発明の一実施形態に係る非球面体測定方法について説明する。本実施形態の非球面体測定方法は、上述の非球面体測定装置を用いて行うものである。
【0047】
(1)まず、第1干渉計1Aおよび第2干渉計1Bの相対的なアライメント調整を行う。このアライメント調整は、第1干渉計1Aの第1測定光軸Lと第2干渉計1Bの第2測定光軸Lとを互いに一致させるためのものであり、オペレータが、第1干渉計位置調整部4Aおよび第2干渉計位置調整部4Bを用いて手動操作で行う。その手順の概要は以下のとおりである。
【0048】
〈a〉第1干渉計1Aの対物レンズ18Aおよび第2干渉計1Bの対物レンズ18Bを第1測定光軸L上および第2測定光軸L上からそれぞれ退避させ、互いに平行な2つの光学平面(オプティカルフラット)を有する平行平板治具(図示略)を、第1干渉計1Aと第2干渉計1Bとの間に配置する(平行平板治具を保持ステージ31に保持せしめることも可)。なお、この配置段階で、平行平板治具の2つの光学平面が、第1測定光軸Lおよび第2測定光軸Lに対してなるべく垂直になるように粗調整を行う。
【0049】
〈b〉第1干渉計1Aから平行平板治具の一方の光学平面(第1干渉計1A側の光学平面)に平行光束を照射し、該一方の光学平面から反射された反射光により形成されるスポット像と、参照基準平面15Aaからの反射光により形成されるスポット像とを、アライメント撮像系25Aの撮像カメラ27Aにより撮像し、これら2つのスポット像が互いに重なるように、第1干渉計傾き調整ステージ43Aを用いて、第1干渉計1Aの傾きを調整する。この傾き調整により、第1干渉計1Aの第1測定光軸Lが平行平板治具の一方の光学平面に対して垂直となる。なお、このような手法に替えて、一方の光学平面から反射された反射光と参照基準平面15Aaからの反射光とにより形成される干渉縞を撮像カメラ23Aにより撮像し、この干渉縞がヌル縞状態となるように第1干渉計1Aの傾き調整を行うようにしてもよい。
【0050】
〈c〉同様に、第2干渉計1Bから平行平板治具の他方の光学平面(第2干渉計1B側の光学平面)に平行光束を照射し、該他方の光学平面から反射された反射光により形成されるスポット像と、参照基準平面15Baからの反射光により形成されるスポット像とを、アライメント撮像系25Bの撮像カメラ27Bにより撮像し、これら2つのスポット像が互いに重なるように、第2干渉計傾き調整ステージ43Bを用いて、第2干渉計1Bの傾きを調整する。この傾き調整により、第2干渉計1Bの測定光軸Lが平行平板治具の他方の光学平面に対して垂直となり、これにより第1測定光軸L上および第2測定光軸Lが互いに平行となる。なお、このような手法に替えて、他方の光学平面から反射された反射光と参照基準平面15Baからの反射光とにより形成される干渉縞を撮像カメラ23Bにより撮像し、この干渉縞がヌル縞状態となるように第2干渉計1Bの傾き調整を行うようにしてもよい。
【0051】
〈d〉上記平行平板治具に替えて、第1干渉計1Aと第2干渉計1Bとの間に、光学的に真球とみなせる真球治具(図示略)を配置する。
【0052】
〈e〉第1干渉計1Aから真球治具に平面波を照射し、該真球治具から反射された反射光と、参照基準平面15Aaからの反射光とにより形成される干渉縞(同心のリング状となる)を、第1干渉縞撮像系20Aの撮像カメラ23Aにより撮像し、この干渉縞の中心に第1測定光軸Lが位置するように、第1Zステージ41Aおよび第1XYステージ42Aを用いて、第1干渉計1Aの位置を調整する。
【0053】
〈f〉同様に、第2干渉計1Bから真球治具に平面波を照射し、該真球治具から反射された反射光と、参照基準平面15Baからの参照光とにより形成される干渉縞(同心のリング状となる)を、第2干渉縞撮像系20Bの撮像カメラ23Bにより撮像し、この干渉縞の中心に第2測定光軸Lが位置するように、第2Zステージ41Bおよび第2XYステージ42Bを用いて、第2干渉計1Bの位置を調整する。この位置調整により、第1測定光軸L上および第2測定光軸Lが互いに一致する。
【0054】
なお、このようなアライメント調整を行っても、各ステージの機械的な精度等が原因となって、第1干渉計1Aの第1測定光軸Lと第2干渉計1Bの第2測定光軸Lとを完全に一致させることができない場合がある。このような場合には、第1測定光軸Lと第2測定光軸Lとの相対的な位置や傾きのずれ量を求め、それらのデータを記憶しておく。
【0055】
(2)次に、上記真球治具を取り除き、第1干渉計1Aの対物レンズ18Aおよび第2干渉計1Bの対物レンズ18Bを第1測定光軸L上および第2測定光軸L上にそれぞれ設置するとともに、非球面レンズ9を保持ステージ31に保持せしめ、第1干渉計1Aおよび第2干渉計1Bに対する非球面レンズ9のアライメント調整を行う。このアライメント調整は、上述の第1中心点Pおよび第2中心点Pが、第1干渉計1Aの第1測定光軸Lの近傍および第2干渉計1Bの第2測定光軸Lの近傍にそれぞれ位置するようにするためのものであり、オペレータが、レンズ傾き調整ステージ32およびレンズ傾き調整ステージ33を用いて手動操作で行う。
【0056】
(3)次いで、第1干渉計1Aから、第1レンズ面91の中心部に第1測定光を照射し、該第1測定光の第1レンズ面91からの戻り光と第1参照光との光干渉により形成される第1干渉縞の画像データを撮像カメラ23Aにより得る(第1干渉縞取得ステップ)。
【0057】
(4)同様に、第2干渉計1Bから、第2レンズ面92の中心部に第2測定光を照射し、該第2測定光の第2レンズ面92からの戻り光と第2参照光との光干渉により形成される第2干渉縞の画像データを撮像カメラ23Bにより得る(第2干渉縞取得ステップ)。
【0058】
(5)次に、上記第1干渉縞の画像データを解析して(一般的な縞解析法を用いることができる)、第1レンズ面91の中心部の形状データである第1被検面形状データを、第1干渉計1Aにおいて設定された第1測定座標系において求める(第1被検面形状データ取得ステップ)。この処理は、図3に示す第1被検面形状データ取得手段51Aにおいて行われる。
【0059】
(6)同様に、上記第2干渉縞の画像データを解析して、第2レンズ面92の中心部の形状データである第2被検面形状データを、第2干渉計1Bにおいて設定された第2測定座標系において求める(第2被検面形状データ取得ステップ)。この処理は、図3に示す第2形状データ取得手段51Bにおいて行われる。
【0060】
ここで、上述の第1測定座標系および第2測定座標系について説明する。図5に示すように、第1測定座標系は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を有する右手系の3次元直交座標系であり、Z軸が第1干渉計1Aの第1測定光軸Lと一致するように設定されている。一方、第2測定座標系は、互いに直交するU軸、V軸、W軸を有する右手系の3次元直交座標系であり、W軸が第2干渉計1Bの第2測定光軸Lと一致するように設定されている。また、第1測定座標系と第2測定座標系との相対的な位置関係は、第1測定光軸Lと第2測定光軸Lとが完全に一致するようにアライメント調整された場合において、Z軸とW軸とが同一直線上に互いに同じ向きに位置するように、X軸とU軸およびY軸とV軸がそれぞれ互いに平行で同じ向きとなるように設定されている。なお、第1測定光軸Lと第2測定光軸Lとが互いに一致せず、これらの間に相対的なずれが生じている場合には、これに応じて、第1測定座標系と第2測定座標系との相対的な位置関係のずれが生じる。すなわち、第1測定光軸Lと第2測定光軸Lとの相対的なずれがある場合には、これらのずれ量が上記(1)の手順において、第1干渉計1Aと第2干渉計1Bとの相対位置情報として求められ、それに基づいて、第1測定座標系と第2測定座標系との相対位置関係が特定され記憶される。
【0061】
(7)次いで、上記第1被検面形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、第1レンズ面91の、第1測定光軸Lと垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第1シフト量比例係数の値および第1レンズ面91の第1測定光軸Lに対するチルト量に比例して値が変化する第1チルト量比例係数の値を求める(第1ツェルニケ係数値算出ステップ)。この処理は、図3に示す第1ツェルニケ係数値算出手段52Aにおいて行われる。
【0062】
(8)同様に、上記第2被検面形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、第2レンズ面92の、第2測定光軸Lと垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第2シフト量比例係数の値および第2レンズ面92の第2測定光軸Lに対するチルト量に比例して値が変化する第2チルト量比例係数の値を求める(第2ツェルニケ係数値算出ステップ)。この処理は、図3に示す第2ツェルニケ係数値算出手段52Bにおいて行われる。
【0063】
なお、本実施形態では、ツェルニケ多項式として、極座標形式で表された10次のツェルニケ多項式Z(ρ,θ)(ρは極からの距離、θは始線に対する偏角)を用いる(下式(A)に、全部で35個ある項のうち4次までの9個の項を示す。Zは定数項)。
【0064】
Z(ρ,θ)=Z+Zρcosθ+Zρsinθ+Z(2ρ−1)
+Zρcos2θ+Zρsin2θ
+Z(3ρ−2)ρcosθ+Z(3ρ−2)ρsinθ
+Z(6ρ−6ρ+1) ……(A)
【0065】
また、上述の第1シフト量比例係数および第2シフト量比例係数として、上式(A)で表されるツェルニケ多項式の第2項の係数Z、第3項の係数Z、第5項の係数Zおよび第6項の係数Zを用い、上述の第1チルト量比例係数および第2チルト量比例係数として、第2項の係数Zおよび第3項の係数Zを用いる。
【0066】
すなわち、上記第1ツェルニケ係数値算出ステップでは、上記第1被検面形状データを上記ツェルニケ多項式で近似し、そのときの係数Z,Z,Z,Zの各値を第1シフト量比例係数値として求めると共に、係数Z,Zの各値を第1チルト量比例係数値としても求める。
【0067】
同様に、上記第2ツェルニケ係数値算出ステップでは、上記第2被検面形状データを上記ツェルニケ多項式で近似し、そのときの係数Z,Z,Z,Zの各値を第2シフト量比例係数値として求めると共に、係数Z,Zの各値を第2チルト量比例係数値としても求める。
【0068】
(9)次に、上記第1ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた係数Z,Z,Z,Zの各値に基づき、第1測定光軸Lに対する第1レンズ面91のシフト量およびチルト量の各値を、上記第1測定座標系において求める(第1シフト量・チルト量算出ステップ)。この処理は、図3に示す第1シフト量・チルト量算出手段53Aにおいて、下式(5)〜(8)を用いて行われる。
【0069】
=Z6(1−s,t)/a6(1−s) …(5)
=Z7(1−s,t)/a7(1−s) …(6)
=(Z1(1−s,t)−a1(1−s)・s)/a1(1−t) …(7)
=(Z2(1−s,t)−a2(1−s)・s)/a2(1−t) …(8)
【0070】
ここで、sおよびsは、第1測定光軸Lに対する第1レンズ面91のX軸方向(X方向)およびY軸方向(Y方向)の各シフト量を示しており、tおよびtは、第1測定光軸Lに対する第1レンズ面91のX軸方向およびY軸方向の各チルト量を示している。また、Z1(1−s,t),Z2(1−s,t),Z6(1−s,t)およびZ7(1−s,t)は、第1ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた係数Z,Z,ZおよびZの各値を示している。さらに、a1(1−s),a2(1−s),a1(1−t),a2(1−t),a6(1−s)およびa7(1−s)は、後述するコンピュータシミュレーションにおいて求められた各比例定数を示している。
【0071】
(10)同様に、上記第2ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた係数Z,Z,Z,Zの各値に基づき、第2測定光軸Lに対する第2レンズ面92のシフト量およびチルト量を、上記第2測定座標系において求める(第2シフト量・チルト量算出ステップ)。この処理は、図3に示す第2シフト量・チルト量算出手段53Bにおいて、下式(9)〜(12)を用いて行われる。
【0072】
=Z6(2−s,t)/a6(2−s) …(9)
=Z7(2−s,t)/a7(2−s) …(10)
=(Z1(2−s,t)−a1(2−s)・s)/a1(2−t) …(11)
=(Z2(1−s,t)−a2(2−s)・s)/a2(2−t) …(12)
【0073】
ここで、sおよびsは、第2測定光軸Lに対する第2レンズ面92のU軸方向(U方向)およびV軸方向(V方向)の各シフト量を示しており、tおよびtは、第2測定光軸Lに対する第2レンズ面92のU軸方向およびV軸方向の各チルト量を示している。また、Z1(2−s,t),Z2(2−s,t),Z6(2−s,t)およびZ7(2−s,t)は、第2ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた係数Z,Z,ZおよびZの各値を示している。さらに、a1(2−s),a2(2−s),a1(2−t),a2(2−t),a6(2−s),a7(2−s)は、後述するコンピュータシミュレーションにおいて求められた各比例定数を示している。
【0074】
(11)次に、上記第1シフト量・チルト量算出ステップおいて求められた各シフト量s,sおよび各チルト量t,tと、上記第2シフト量・チルト量算出ステップおいて求められた各シフト量s,sおよび各チルト量t,tと、上記手順(1)で求められた第1干渉計1Aおよび第2干渉計1Bの相対位置関係(第1測定座標系と第2測定座標系との相対位置関係)とに基づき、上述した面ずれ量および面倒れ量を算出する(面ずれ量・面倒れ量算出ステップ)。この処理は、図3に示す面ずれ量・面倒れ量算出手段54において、以下の手順で行われる。
【0075】
〈a〉まず、第1干渉計1Aおよび第2干渉計1Bの実際の相対位置関係の影響により第1測定座標系との相対的なずれが生じている第2測定座標系を、図5に示す適正状態、すなわち、W軸が第1測定座標系のZ軸と同一直線上に互いに同じ向きに位置し、U軸およびV軸が第1測定座標系のX軸およびY軸とそれぞれ互いに平行で同じ向きとなる状態に補正する。
【0076】
〈b〉次に、補正前の第2測定座標系において求められた各シフト量s,sおよび各チルト量t,tを、補正後の第2測定座標系における各シフト量s´,s´および各チルト量t´,t´に補正する。
【0077】
〈c〉そして、第1測定座標系におけるシフト量sおよびsと補正後の第2測定座標系における各シフト量s´およびs´との各々の差(s−s´,s−s´)を、第1レンズ面91と第2レンズ面92とのX軸方向およびY軸方向の各面ずれ量として算出する。
【0078】
〈d〉同様に、第1測定座標系におけるチルト量tおよびtと補正後の第2測定座標系における各チルト量t´およびt´との各々の差(t−t´,t−t´)を、第1レンズ面91と第2レンズ面92とのX軸方向およびY軸方向の各面倒れ量として算出する。
【0079】
ここで、上述したコンピュータシミュレーションについて、具体的な数値を例示しながら説明する。
【0080】
このコンピュータシミュレーションでは、まず、第1レンズ面91および第2レンズ面92の設計データに基づき、第1レンズ面91に対応した模擬第1レンズ面および第2レンズ面92に対応した模擬第2レンズ面をコンピュータ上に設定する。本実施例では、模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面の非球面係数を下記表1に示す値のものとしている。なお、非球面式は、下式(B)で表されるものを用いている。
【0081】
【表1】

【0082】
【数1】

【0083】
次に、模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面に対し、上述の第1干渉計1Aおよび第2干渉計1Bによる光干渉計測を実施した場合に得られる、上記第1干渉縞画像に対応した模擬第1干渉縞画像(図6参照)および上記第2干渉縞画像に対応した模擬第2干渉縞画像(図7参照)を作成する。なお、作成された干渉縞の縞密度に応じて、縞解析に用いる干渉縞の領域を制限するためのマスクを適宜設定する。
【0084】
次いで、模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面に対し、1(mrad)ずつ変化するチルト量を順次与えながら、その都度、模擬第1干渉縞画像および模擬第2干渉縞画像を作成する。そして、各チルト量における模擬第1干渉縞画像および模擬第2干渉縞画像を解析して各チルト量における模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面の形状データを取得し、それらを上述したツェルニケ多項式で近似したときの、係数ZおよびZの各値を求める。
【0085】
図8は、模擬第1レンズ面に与えられたチルト量t(Xは上記第1測定座標系のX軸方向のチルト量であることを示す)と、係数Zの値Z1(1−t)(チルト量が0のときの値が0となるように補正している)との関係を示すものである。図8に示すように、Z1(1−t)とtとの間には下式(13)の比例関係が成立し、その比例定数a1(1−t)の値は0.059であると求められた。
1(1−t)=a1(1−t)・t …(13)
【0086】
また、グラフは図示していないが、模擬第1レンズ面にチルト量t(Yは上記第1測定座標系のY軸方向のチルト量であることを示す)を与えたときの、係数Zの値Z2(1−t)(チルト量が0のときの値が0となるように補正している)とチルト量tとの間にも、同様に下式(14)の比例関係が成立し、その比例定数a2(1−t)の値は、模擬第1レンズ面が回転対称面であることから上記比例定数a1(1−t)の値と同じ0.059であると求められた。
2(1−t)=a2(1−t)・t …(14)
【0087】
一方、図9は、模擬第2レンズ面に与えられたチルト量t(Uは上記第2測定座標系のU軸方向のチルト量であることを示す)と、係数Zの値Z1(2−t)(チルト量が0のときの値が0となるように補正している)との関係を示すものである。図9に示すように、Z1(2−t)とtとの間には下式(15)の比例関係が成立し、その比例定数a1(2−t)の値は0.0721であると求められた。
1(2−t)=a1(2−t)・t …(15)
【0088】
また、グラフは図示していないが、模擬第2レンズ面にチルト量t(Vは上記第2測定座標系のV軸方向のチルト量であることを示す)を与えたときの、係数Zの値Z2(2−t)(チルト量が0のときの値が0となるように補正している)とチルト量tとの間にも、同様に下式(16)の比例関係が成立し、その比例定数a2(2−t)の値は、模擬第2レンズ面が回転対称面であることから上記比例定数a1(2−t)の値と同じ0.0721であると求められた。
2(1−t)=a2(1−t)・t …(16)
【0089】
次に、模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面に対し、1(μm)ずつ変化するシフト量を順次与えながら(チルト量は0とする)、その都度、模擬第1干渉縞画像および模擬第2干渉縞画像を作成する。そして、各シフト量における模擬第1干渉縞画像および模擬第2干渉縞画像を解析して各シフト量における模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面の形状データを取得し、それらを上述したツェルニケ多項式で近似したときの、係数Z,Z,ZおよびZの各値を求める。
【0090】
図10は、模擬第1レンズ面に与えられたシフト量s(Xは上記第1測定座標系のX軸方向のシフト量であることを示す)と、係数Zの値Z1(1−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)との関係を示すものである。図10に示すように、Z1(1−s)とsとの間には下式(17)の比例関係が成立し、その比例定数a1(1−s)の値は0.1018であると求められた。
1(1−s)=a1(1−s)・s …(17)
【0091】
また、グラフは図示していないが、模擬第1レンズ面にシフト量s(Yは上記第1測定座標系のY軸方向のシフト量であることを示す)を与えたときの、係数Zの値Z2(1−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)とシフト量sとの間にも、同様に下式(18)の比例関係が成立し、その比例定数a2(1−s)の値は、模擬第1レンズ面が回転対称面であることから上記比例定数a1(1−s)と同じ0.1018であると求められた。
2(1−s)=a2(1−s)・s …(18)
【0092】
一方、図11は、模擬第2レンズ面に与えられたシフト量s(Uは上記第2測定座標系のU軸方向のシフト量であることを示す)と、係数Zの値Z1(2−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)との関係を示すものである。図11に示すように、Z1(2−s)とsとの間には下式(19)の比例関係が成立し、その比例定数a1(2−s)の値は-0.0263であると求められた。
1(2−s)=a1(2−s)・s …(19)
【0093】
また、グラフは図示していないが、模擬第2レンズ面にシフト量s(Vは上記第2測定座標系のV軸方向のシフト量であることを示す)を与えたときの、係数Zの値Z2(2−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)とシフト量sとの間にも、同様に下式(20)の比例関係が成立し、その比例定数a2(2−s)の値は、模擬第2レンズ面が回転対称面であることから上記比例定数a1(2−s)と同じ-0.0263であると求められた。
2(2−s)=a2(2−s)・s …(20)
【0094】
同様に、図12は、模擬第1レンズ面に与えられたシフト量sと、係数Zの値Z6(1−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)との関係を示すものである。図12に示すように、Z6(1−s)とsとの間には下式(21)の比例関係が成立し、その比例定数a6(1−s)の値は0.0002であると求められた。
6(1−s)=a6(1−s)・s …(21)
【0095】
また、グラフは図示していないが、模擬第1レンズ面にシフト量sを与えたときの、係数Zの値Z7(1−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)とシフト量sとの間にも、同様に下式(22)の比例関係が成立し、その比例定数a7(1−s)の値は、模擬第1レンズ面が回転対称面であることから上記比例定数a6(1−s)と同じ0.0002であると求められた。
7(1−s)=a7(1−s)・s …(22)
【0096】
一方、図13は、模擬第2レンズ面に与えられたシフト量sと、係数Zの値Z6(2−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)との関係を示すものである。図13に示すように、Z6(2−s)とsとの間には下式(23)の比例関係が成立し、その比例定数a6(2−s)の値は-0.0014であると求められた。
6(2−s)=a6(2−s)・s …(23)
【0097】
また、グラフは図示していないが、模擬第2レンズ面にシフト量sを与えたときの、係数Zの値Z7(2−s)(シフト量が0のときの値が0となるように補正している)とシフト量sとの間にも、同様に下式(24)の比例関係が成立し、その比例定数a7(2−s)の値は、模擬第2レンズ面が回転対称面であることから上記比例定数a6(2−s)と同じ-0.0014であると求められた。
7(2−s)=a7(2−s)・s …(24)
【0098】
さらに、模擬第1レンズ面にチルト量tおよびシフト量sが同時に与えられたときの係数Zの値Z1(1−s,t)と、上述のZ1(1−s),Z1(1−t)との間には、下式(25)の関係が成立し、模擬第1レンズ面にチルト量tおよびシフト量sが同時に与えられたときの係数Zの値Z2(1−s,t)と、上述のZ2(1−s),Z2(1−t)との間には、下式(26)の関係が成立することが確認された。
1(1−s,t)=Z1(1−s)+Z1(1−t) …(25)
2(1−s,t)=Z2(1−s)+Z2(1−t) …(26)
【0099】
同様に、模擬第2レンズ面にチルト量tおよびシフト量sが同時に与えられたときの係数Zの値Z1(2−s,t)と、上述のZ1(2−s),Z1(2−t)との間には、下式(27)の関係が成立し、模擬第2レンズ面にチルト量tおよびシフト量sが同時に与えられたときの係数Zの値Z2(2−s,t)と、上述のZ2(2−s),Z2(2−t)との間には、下式(28)の関係が成立することが確認された。
1(2−s,t)=Z1(2−s)+Z1(2−t) …(27)
2(2−s,t)=Z2(2−s)+Z2(2−t) …(28)
【0100】
また、係数Z,Zは、模擬第1レンズ面および模擬第2レンズ面のチルトに対しては値が変化せず、シフトに対してのみ値が変化することが確かめられた。さらに、このコンピュータシミュレーションにより得られた各式より、上述した式(5)〜(12)が導き出される。
【0101】
以下、本発明を適用した場合の測定誤差(計算誤差)について、コンピュータシミュレーションを行った結果について説明する。
【0102】
図14は、模擬第1レンズ面に対し、X方向およびY方向に各々所定のシフト量を与えながら、本発明を適用して各々のシフト量を測定した場合の結果を示している。横軸に入力Pとしてのシフト量を、縦軸に出力Qとして本発明の測定方法により算出されたシフト量をとっている。また、X方向およびY方向の結果を同時に示すため、X方向の結果はグラフの正の領域に、Y方向の結果はグラフの負の領域にそれぞれ示している。グラフ内に記している数式は、入力Pと出力Qとの関係を1次式で近似したものである。測定誤差が無ければ、Q=Pとなるところ、略0.8%の微小な誤差が確認されただけであり、本発明による測定が高精度であることが確かめられた。
【0103】
図15は、模擬第2レンズ面に対し、U方向およびV方向に各々所定のシフト量を与えながら、本発明を適用して各々のシフト量を測定した場合の結果を示している。横軸に入力Pとしてのシフト量を、縦軸に出力Qとして本発明の測定方法により算出されたシフト量をとっている。また、U方向およびV方向の結果を同時に示すため、U方向の結果はグラフの正の領域に、V方向の結果はグラフの負の領域にそれぞれ示している。グラフ内に記している数式は、入力Pと出力Qとの関係を1次式で近似したものである。測定誤差が無ければ、Q=Pとなるところ、0.1%以下の微小な誤差が確認されただけであり、本発明による測定が高精度であることが確かめられた。
【0104】
図16は、模擬第1レンズ面に対し、X方向およびY方向に各々所定のチルト量を与えながら、本発明を適用して各々のチルト量を測定した場合の結果を示している。横軸に入力Kとしてのチルト量を、縦軸に出力Jとして本発明の測定方法により算出されたチルト量をとっている。また、X方向およびY方向の結果を同時に示すため、X方向の結果はグラフの正の領域に、Y方向の結果はグラフの負の領域にそれぞれ示している。グラフ内に記している数式は、入力Kと出力Jとの関係を1次式で近似したものである。測定誤差が無ければ、J=Kとなるところ、略0.4%の微小な誤差が確認されただけであり、本発明による測定が高精度であることが確かめられた。
【0105】
図17は、模擬第2レンズ面に対し、U方向およびV方向に各々所定のチルト量を与えながら、本発明を適用して各々のチルト量を測定した場合の結果を示している。横軸に入力Kとしてのチルト量を、縦軸に出力Jとして本発明の測定方法により算出されたチルト量をとっている。また、U方向およびV方向の結果を同時に示すため、U方向の結果はグラフの正の領域に、V方向の結果はグラフの負の領域にそれぞれ示している。グラフ内に記している数式は、入力Kと出力Jとの関係を1次式で近似したものである。測定誤差が無ければ、J=Kとなるところ、0.1%以下の微小な誤差が確認されただけであり、本発明による測定が高精度であることが確かめられた。
【0106】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々に態様を変更することが可能である。
【0107】
例えば、上述の実施形態では、第1レンズ面91および第2レンズ面92が共に回転非球面とされているが、第2レンズ面92が球面とされている場合でも本発明を適用することが可能である。第2レンズ面92が球面とされている場合には、第2レンズ面92については、第2測定光軸Lに対するシフト量は発生するがチルト量は発生しない。そこで、上述した測定手順におけるチルト量の算出では、該チルト量が零であるとして算出を行えばよい。なお、第1レンズ面91と第2レンズ面92との関係は相対的なものであり、第1レンズ面91を第2被検面とし、第2レンズ面92を第1被検面としてもよい。この場合、第2レンズ面92が回転非球面で第1レンズ面91が球面とされている場合でも、同様に本発明を適用することが可能である。
【0108】
また、上述の実施形態では、図2に示すように、第1干渉計1Aから第1レンズ面91に照射される第1測定光と、第2干渉計1Bから第2レンズ面92に照射される第2測定光が球面波とされているが、対物レンズ18A,18Bを外して、平行光束(平面波)を第1測定光および第1測定光として用いるようにしてもよい。
【0109】
また、ミロー型やマイケルソン型の対物光学系を備えた顕微干渉計を、第1干渉計および第2干渉計として用いることも可能である。この態様は、測定対象となる非球面レンズが小さい場合に有効となる。
【0110】
さらに、上述の実施形態では、測定対象としての非球面体が非球面レンズとされているが、本発明は、回転非球面で構成された第1のミラー面と回転非球面または球面で構成された第2のミラー面を有する非球面ミラーを測定対象とすることもできる。この場合、各ミラー面の反射率が高くなることが予想されるので、それに応じて、参照基準平面15Aa,15Baの反射・透過率を調整することが望ましい。例えば、各ミラー面の反射率が100%である場合には、参照基準平面15Aa,15Baを反射率50%(透過率50%)程度に設定すればよい。
【0111】
なお、本発明は、2つの干渉計を用いて測定を行うものであるが、本発明の技術思想を利用すれば、干渉計に替えて他の測定装置(例えば、接触式あるいは非接触式のプローブを用いた形状測定装置や、モアレ縞形状測定装置)を用いた測定方法や装置を想起することも容易である。
【符号の説明】
【0112】
1A 第1干渉計
1B 第2干渉計
2 光学定盤
3 被検体アライメント部
4A 第1干渉計位置調整部
4B 第2干渉計位置調整部
5 制御解析部
9 非球面レンズ(非球面体)
10A 第1干渉光学系
10B 第2干渉光学系
11A,11B 光源部
12A,12B ビーム径拡大レンズ
13A,21A,13B,21B 光束分岐光学素子
14A,14B コリメータレンズ
15A,15B 平面基準板
15Aa,15Ba 参照基準平面
16A,16B ピエゾ素子
17A,17B フリンジスキャンアダプタ
18A,18B 対物レンズ
20A 第1干渉縞撮像系
20B 第2干渉縞撮像系
22A,26A,22B,26B 結像レンズ
23A,27A,23B,27B 撮像カメラ
24A,24B,28A,28B 2次元イメージセンサ
25A,25B アライメント撮像系
31 保持ステージ
32 レンズ傾き調整ステージ
33 レンズ位置調整ステージ
41A 第1Zステージ
41B 第2Zステージ
42A 第1XYステージ
42B 第2XYステージ
43A 第1干渉計傾き調整ステージ
43B 第2干渉計傾き調整ステージ
51A 第1形状データ取得手段
51B 第2形状データ取得手段
53 面ずれ・面倒れ解析手段
91 第1レンズ面
92 第2レンズ面
93 側面
第1測定光軸
第2測定光軸
第1中心点
第2中心点
第1回転軸
第2回転軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転非球面である第1被検面と回転非球面または球面である第2被検面とを有する非球面体において、該第1被検面と該第2被検面との相対的な面ずれ量および面倒れ量を、互いの相対位置関係が特定された第1干渉計および第2干渉計を用いて測定する非球面体測定方法であって、
前記第1干渉計の第1測定光軸に沿って第1測定光を前記第1被検面に照射し、該第1測定光の該第1被検面から反射された第1反射波面と該第1干渉計の第1参照波面との光干渉により形成される第1干渉縞の画像データを得る第1干渉縞取得ステップと、
前記第2干渉計の第2測定光軸に沿って第2測定光を前記第2被検面に照射し、該第2測定光の該第2被検面から反射された第2反射波面と該第2干渉計の第2参照波面との光干渉により形成される第2干渉縞の画像データを得る第2干渉縞取得ステップと、
前記第1干渉縞の画像データを解析して前記第1被検面の形状データを求める第1被検面形状データ取得ステップと、
前記第2干渉縞の画像データを解析して前記第2被検面の形状データを求める第2被検面形状データ取得ステップと、
前記第1被検面形状データ取得ステップにおいて求められた前記第1被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第1被検面の、前記第1測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第1シフト量比例係数の値および該第1被検面の該第1測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第1チルト量比例係数の値を求める第1ツェルニケ係数値算出ステップと、
前記第2被検面形状データ取得ステップにおいて求められた前記第2被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第2被検面の、前記第2測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第2シフト量比例係数の値および該第2被検面の該第2測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第2チルト量比例係数の値を求める第2ツェルニケ係数値算出ステップと、
前記第1ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた前記第1シフト量比例係数の値および前記第1チルト量比例係数の値に基づき、前記第1測定光軸に対する前記第1被検面のシフト量およびチルト量を求める第1シフト量・チルト量算出ステップと、
前記第2ツェルニケ係数値算出ステップにおいて求められた前記第2シフト量比例係数の値および前記第2チルト量比例係数の値に基づき、前記第2測定光軸に対する前記第2被検面のシフト量およびチルト量を求める第2シフト量・チルト量算出ステップと、
前記第1シフト量・チルト量算出ステップおいて求められた前記第1被検面のシフト量およびチルト量と、前記第2シフト量・チルト量算出ステップにおいて求められた前記第2被検面のシフト量およびチルト量と、前記第1干渉計および前記第2干渉計の相対位置関係の情報とに基づき、前記面ずれ量および前記面倒れ量を算出する面ずれ量・面倒れ量算出ステップと、を測定手順として含んでなることを特徴とする非球面体測定方法。
【請求項2】
前記ツェルニケ多項式は、極座標形式で表された4次以上のツェルニケ多項式Z(ρ,θ)(ρは極からの距離、θは始線に対する偏角)であり、
前記第1シフト量比例係数および前記第2シフト量比例係数は、下式(1)で表される項の係数Z、下式(2)で表される項の係数Z、下式(3)で表される項の係数Zおよび下式(4)で表される項の係数Zであり、前記第1チルト量比例係数および前記第2チルト量比例係数は、該係数Zおよび該係数Zであることを特徴とする請求項1記載の非球面体測定方法。
ρcosθ …(1)
ρsinθ …(2)
(3ρ−2)ρcosθ …(3)
(3ρ−2)ρsinθ …(4)
【請求項3】
回転非球面である第1被検面と回転非球面または球面である第2被検面とを有する非球面体において、該第1被検面と該第2被検面との相対的な面ずれ量および面倒れ量を測定する非球面体測定装置であって、
第1測定光軸に沿って第1測定光を前記第1被検面に照射し、該第1測定光の該第1被検面から反射された第1反射波面と第1参照波面との光干渉により形成される第1干渉縞の画像データを得る第1干渉計と、
第2測定光軸に沿って第2測定光を前記第2被検面に照射し、該第2測定光の該第2被検面から反射された第2反射波面と第2参照波面との光干渉により形成される第2干渉縞の画像データを得る、前記第1干渉計との相対位置関係が特定された第2干渉計と、
前記第1干渉縞の画像データを解析して前記第1被検面の形状データを求める第1被検面形状データ取得手段と、
前記第2干渉縞の画像データを解析して前記第2被検面の形状データを求める第2被検面形状データ取得手段と、
前記第1被検面形状データ取得手段において求められた前記第1被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第1被検面の、前記第1測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第1シフト量比例係数の値および該第1被検面の該第1測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第1チルト量比例係数の値を求める第1ツェルニケ係数値算出手段と、
前記第2被検面形状データ取得手段において求められた前記第2被検面の形状データをツェルニケ多項式で近似し、該ツェルニケ多項式の各項の係数のうち、前記第2被検面の、前記第2測定光軸と垂直な方向のシフト量に比例して値が変化する第2シフト量比例係数の値および該第2被検面の該第2測定光軸に対するチルト量に比例して値が変化する第2チルト量比例係数の値を求める第2ツェルニケ係数値算出手段と、
前記第1ツェルニケ係数値算出手段において求められた前記第1シフト量比例係数の値および前記第1チルト量比例係数の値に基づき、前記第1測定光軸に対する前記第1被検面のシフト量およびチルト量を求める第1シフト量・チルト量算出手段と、
前記第2ツェルニケ係数値算出手段において求められた前記第2シフト量比例係数の値および前記第2チルト量比例係数の値に基づき、前記第2測定光軸に対する前記第2被検面のシフト量およびチルト量を求める第2シフト量・チルト量算出手段と、
前記第1シフト量・チルト量算出手段において求められた前記第1被検面のシフト量およびチルト量と、前記第2シフト量・チルト量算出手段において求められた前記第2被検面のシフト量およびチルト量と、前記第1干渉計および前記第2干渉計の相対位置関係の情報とに基づき、前記面ずれ量および前記面倒れ量を算出する面ずれ量・面倒れ量算出手段と、を備えてなることを特徴とする非球面体測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−122857(P2011−122857A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278889(P2009−278889)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】