靴中敷
【課題】 歩行時に、中底が履き物から剥がれることなく、足の踵部分を履き物の中底に固定できる靴中敷を提供する。
【解決手段】 粘着性を有する弾性体からなり、足の踵部分14と接する上面20と履き物10の中底11と接する下面21とを有するシート状の基板部2と、基板部2の踵側の後端部に一体形成され、基板部2の下面21より突き出て履き物10の踵側の周縁部を側方より覆う壁板部3とを備えている。
【解決手段】 粘着性を有する弾性体からなり、足の踵部分14と接する上面20と履き物10の中底11と接する下面21とを有するシート状の基板部2と、基板部2の踵側の後端部に一体形成され、基板部2の下面21より突き出て履き物10の踵側の周縁部を側方より覆う壁板部3とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の踵部分に接するように履き物の中底上に装着される靴中敷に関し、特に粘着性を有する弾性体からなる靴中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サンダルやミュールなどの履き物は、つま先側には甲被部が設けられており、これにより足の甲部分は前記甲被部に被覆されるので、歩行の際に履き物の中底から浮き上がるのが防止されるようになっている。これに対し、踵側には足の踵部分を覆って履き物の中底に対して固定する被覆部材が設けられていないことから、歩行の際には足の踵部分が中底から離れて浮き上がることが頻繁に起こる。
【0003】
このように、足の踵部分が履き物の中底から浮き上がると、歩行時に足が後方にずれることで歩きにくくなったり、さらには、甲被部が外れて履き物が簡単に脱げ落ちたりするなどして、歩行に支障をきたすという不具合が生じる。これは、特にミュールやサンダルなど、踵が高い履き物を使用した場合に顕著に生じる。
【0004】
そこで、歩行の際の上記した足の踵部分の浮き上がりを防止するために、粘着性を有する靴中敷を、履き物の中底上の足の踵部分があたる位置に装着することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1では、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの粘着性を有する弾性体をシート状に成型することによって靴中敷を形成している。そして、靴中敷の下面が履き物の中底上に粘着するとともに、その上面が足の踵部分に粘着することにより、足の踵部分が靴中敷を介して履き物の中底と一体化する。これにより、歩行の際には、中底が足の踵部分の動きに追随して動くので、足の踵部分が履き物の中底から浮き上がるのを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3110702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、履き物の中底は、古くなったら新しい中底と貼り替えることができるように、合成皮帯や合成樹脂性シートを履き物の底部上に貼り付けるようにしたものが一般的である。そのため、特許文献1のように、靴中敷をシート状に形成した場合には、以下のような問題が生じる。例えば、足の踵部分が靴中敷から離れないようにするために、靴中敷自体の粘着性を強くすると、中底も靴中敷に強く粘着する結果、歩行時において、靴中敷が足の踵部分に追随して動く際に中底を強く引っ張るので、履き物の底部から中底が剥がれてしまうという、不具合が生じる。
【0008】
一方、靴中敷自体の粘着性を弱くすると、足の踵部分との間の粘着力が弱くなるために、歩行時に、足の踵部分が靴中敷から簡単に離れてしまい、上記した足の踵部分の履き物からの浮き上がりを防止できないという、不具合が生じる。
【0009】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、歩行時に、足の踵部分を履き物の中底に固定でき、かつ中底が履き物から剥がれることがない靴中敷を提供することを主な目的とする。さらに、歩行時に、履き物の中底上での位置ずれを防止し、かつ、歩行後に取り外す際には、中底から容易に剥がすことができる靴中敷を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の靴中敷は、踵側の周縁部に足の踵部分を覆う被覆部材を備えていない履き物に対して足の踵部分があたる位置に装着されるものであって、粘着性を有する弾性体からなり、足の踵部分と接する上面と履き物の底部上に設けられた中底と接する下面とを有するシート状の基板部と、前記基板部の踵側後端部および/または左右側端部に一体形成され前記基板部の下面より突き出て履き物の底部側面を側方より覆う壁板部とを備えることを特徴としている。
【0011】
上記した構成の靴中敷を履き物の中底上に装着する際には、基板部をその下面が中底に接するように配置して、その粘着性によって中底上に粘着させるとともに、壁板部を履き物の底部側面に配置して、その内面(基板部の下面に連続した面)を接触させることで、その粘着力により履き物自体に粘着させるようにする。これにより、靴中敷は中底だけでなく履き物自体と一体化して、履き物との間で中底を挟持する。
【0012】
この状態から、使用者が履き物を使用することで、靴中敷に足の踵部分が載置されると、その粘着力によって基板部の上面が足の踵部分にその粘着力によって粘着する結果、靴中敷を介して足の踵部分が履き物の中底と一体化する。これにより、歩行の際に、足の踵部分が上下に動いても、中底が靴中敷により引っ張られて足の踵部分の動きに追随して動くので、足の踵部分が履き物の中底から離れて浮き上がるのを防止できる。
【0013】
このように、上記した構成の靴中敷によれば、基板部によって中底に粘着するとともに壁板部によって履き物自体にも粘着しているので、歩行の際には、中底だけでなく履き物自体も引っ張って足の踵部分の動きに追随させることができ、従来技術の靴中敷のように、足の踵部分が履き物の中底から離れて浮き上がるのを防止できるような強い粘着力を有していても、中底だけを引っ張ることがないので、中底が履き物から剥れてしまうという、不具合が生じない。
【0014】
本発明の好ましい実施態様においては、前記基板部の上面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴としている。
【0015】
この実施態様によると、基板部の上面の微細な凹凸が足の踵部分の裏面側のしわなどからなる凹凸形状に合致するよう変形して、足裏に密着する。その結果、基板部の上面が平坦面となっている場合と比べて、足裏との接触面積が大きくなり、足の踵部分が基板部とより強く粘着するようになる。そのため、歩行時に足の踵部分が靴中敷(基板部)から離れてしまうなどの不具合を防止することができる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板部の下面には、所定の大きさの複数の窪み部が形成されていることを特徴としている。
【0017】
この実施態様によると、靴中敷の基板部は、靴中敷自体の粘着性により中底上に粘着するが、基板部の下面では、各窪み部と中底との間に空間が形成されて、各窪み部は中底と非接触の状態となっている。この状態から、使用者が履き物を使用することで基板部に荷重がかかると(以下、「荷重時」という。)、基板部が弾性体からなるため、前記下面では、各窪み部が押しつぶされるようにして圧縮変形する。これにより、各窪み部の内面が中底に接触して粘着するため、基板部は、下面がそのほぼ全域で中底に粘着する結果、基板部と中底との間の粘着力が増大する。これと同時に、荷重時には、各窪み部と中底との間の前記空間が狭くなって、窪み部内に存在する空気が外部に放出されて窪み部内部が減圧状態となる結果、吸盤作用により基板部が中底に吸着される。これにより、基板部は中底と強固に固定されるので、歩行時に、足の踵部分の荷重などによって基板部が履き物内で前方に動いて、その装着位置がずれてしまうなどの不具合を防止することができる。
【0018】
また、使用者が履き物の使用を終えることで基板部に足裏の荷重がかからなくなると、各窪み部には、元の形状に戻ろうとする弾性復元力が作用する。ここで、基板部を周縁部から捲るように剥がすと、窪み部内部に空気が入り込み、窪み部内部の減圧状態が開放される結果、上記した吸盤作用による吸着力が低下するため、前記窪み部は弾性復元力により元の形状に戻るようになって、中底との接触面積が減少する。そのため、前記窪み部においては、中底との粘着力が低下するので、基板部を小さい力で中底から剥がすことができるようになる。すなわち、本実施態様では、歩行後に靴中敷の基板部を中底から剥がす際に、中底を引っ張る力が小さくなるので、中底が履き物から剥がれるという不具合を防止することができる。
【0019】
このように、上記した構成の靴中敷によると、歩行時には、基板部の粘着力により、足の踵部分を履き物の中底に固定でき、かつ、中底が履き物から剥がれるという不具合が生じないことに加え、靴中敷と履き物の中底とを強固に粘着し、靴中敷の履き物内での位置ずれを防止することが可能となる。このような効果は、特にミュールやサンダルなど、踵が高く、足の荷重がつま先側に向かってかかるため、踵部分の位置がずれやすいような履き物に使用した際に特に顕著となる。
【0020】
さらに、上記した構成の靴中敷によれば、歩行後に、中底から取り外す際に、靴中敷の基板部と中底との間の粘着力が低下して、中底から無理なく剥がすことができる。すなわち、中底が引っ張られて履き物から剥れるという不具合も生じなくなる。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板部の下面の前記窪み部以外の領域には、前記窪み部よりも微細な凹凸が形成されていることを特徴としている。
【0022】
本実施態様によると、前記基板部の下面の各窪み部以外の領域(以下、「当接部」という。)では、微細な凹凸が形成されているために、荷重時には、この微細な凹凸の凹部が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底に接着して粘着する。その結果、当接部が平坦となっている場合と同程度の、中底との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部の内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じるため、前記窪み部の吸盤作用による吸着力と相俟って、当接部が平坦となっている場合と比べて、基板部がより強固な粘着性を発揮する。
【0023】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であり、前記凹部に作用する弾性復元力が小さくて吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、基板部と中底との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、基板部と中底の強固な粘着が維持される)。しかし、基板部を周縁部から捲るように剥すと、前記凹部と捲られて中底と接触していない部分との境界部分から、前記凹部の内部に空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される結果、前記凹部は弾性復元力により元の形状に戻ろうとして、中底との接触面積が減少する。そのため、この凹部周辺においては、当接部と中底との粘着力が低下するので、当接部が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、基板部を中底からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記窪み部の内面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴としている。
【0025】
本実施態様によると、荷重時には、各窪み部は押しつぶされて、その内面が中底と接触するが、各窪み部の内面に微細な凹凸が形成されているので、この微細な凹凸の凹部が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底に接して粘着する。その結果、各窪み部の内面が平坦となっている場合と同程度の、中底との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じるため、各窪み部の内面が平坦となっている場合と比べてより強固な粘着性を発揮する。
【0026】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であることから、前記凹部に作用する弾性復元力が小さく吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、窪み部は中底との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、窪み部と中底の強固な粘着が維持される)。しかし、基板部を周縁部から捲るように剥して窪み部内部へと空気が入り込むと、前記凹部と、捲られて中底と接触していない部分との境界部分から、前記凹部の内部にも空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される。この時、前記凹部が存在する窪み部の吸盤作用も低下し、窪み部が元の状態に戻ることから、中底との接触面積を減少させることができる。ここで、各窪み部には弾性復元力が作用しているため、前記窪み部内面の微細な凹凸の吸盤作用は、窪み部以外の領域における微細な凹凸のそれに比べるとそれほど強くなく、前記各窪み部における前記凹部の減圧状態は容易に開放される。このように、この凹部周辺においては、前記窪み部の内面と中底との粘着力が低下するので、各窪み部の内面が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、各窪み部の内面が中底から剥がれやすくなる。すなわち、このような構成によれば、各窪み部の内面が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、荷重時は各窪み部において強固な粘着性を発揮する一方、非荷重時、減圧状態を開放することで、にはその粘着性を容易に低下させることが可能であり、基板部を中底からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の靴中敷によると、基板部が足の踵部分および履き物の中底上に粘着している一方、壁板部が履き物自体に粘着しているので、歩行の際には、中底だけでなく履き物自体も引っ張って足の踵部分の動きに追随させるので、従来技術の靴中敷のように、中底だけが引っ張られることがなく、中底が履き物から剥れるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例である靴中敷の斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】靴中敷を履き物の中底に装着した例を示す側面図である。
【図4】本発明の他の実施例である靴中敷の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例である靴中敷の平面図である。
【図6】本発明の他の実施例である靴中敷の斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例である靴中敷の背面図である。
【図8】本発明の他の実施例である靴中敷の平面図である。
【図9】図7のB−B線に沿う断面図である。
【図10】荷重時の靴中敷の状態を示す要部断面図である。
【図11】靴中敷を中底から剥がしている途中の状態を示す要部断面図である。
【図12】本発明の他の実施例である靴中敷の背面図である。
【図13】図12の要部断面図である。
【図14】本発明の他の実施例である靴中敷の背面図である。
【図15】図12の要部断面図である。
【図16】窪み部の写真である。スケールバーは、5mmを示す。
【図17】微細な凹凸の写真である。スケールバーは、2mmを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である靴中敷1の外観を示している。また、図2は、本実施例の靴中敷1の断面図を、図3は、本実施例の靴中敷1を履き物10の中底11上に装着した状態を示した側面図を、それぞれ示している。
【0030】
図示例の靴中敷1は、図3に示すように、人の足裏の踵部分14に接するように、履き物10の中底11上に装着して使用することにより、歩行時に足の踵部分14が履き物10の中底11から離れて浮き上がるのを防止するためのものである。履き物10としては、ミュールやサンダルなど、足のつま先側には、足の甲部分15を被覆して上方から押さえつけて固定する甲被部13を備えているが、足の踵側には、足の踵部分14を覆って履き物10に固定する被覆部材を備えておらず開口している構造のものについて使用するのが好ましい。また、踵が高かったり、裸足で履くことが多い履き物10に対して使用すると特に顕著な効果を奏する。なお、中底11は、合成皮帯や合成樹脂性シートなどが、履き物10の足裏を支持する底部12上に接着剤により接合されているのが一般的である。
【0031】
図示例の靴中敷1は、外形が長円状をなし所定の厚みを有するシート状の基板部2の一方(踵側)の側端部に、壁板部3が一体に設けられた構成のものである。この靴中敷1は、粘着性を有する柔軟な弾性体により形成されており、専用の金型を用いた射出成形により成型される。ここで、「粘着性」とは、接着剤や粘着材などを用いなくても被貼着部(本実施例では、履き物10の中底11)に貼着できる性質をいう。本実施例において、弾性体の粘着性は特に限定されないが、KES−G5ハンディー圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて、シート状の弾性体を2cm2の円形加圧板(500gf)で圧縮した後に、この加圧板を引き上げる際にかかる力(粘着力)が、−60〜−5gf・cm/cm2とすることが好ましく、−40〜−10gf・cm/cm2とすることがより好ましい。この範囲とすることで、靴中敷1を足裏の踵部分14、中底11、および底部12にしっかりと粘着固定することができる。なお、上記した粘着性は、加えて、劣化しにくく、貼着と剥離とを繰り返しても粘着性が喪失しにくい耐久性を有していることがさらに好ましい。
【0032】
前記弾性体としては、本実施例では、適度な粘着性を有するとともに、水洗粘着復帰性(塵埃などの付着により粘着力が低下した場合に、水洗いすることで粘着性が復帰する性質)を有する熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。これにより、靴中敷1を長時間連続して使用することにより、靴中敷1が汚れてその粘着性が低下した場合においても、水洗いして汚れを落とすことで再利用が可能となる。
【0033】
上記した熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどを例示することができる。また、前記弾性体として、熱可塑性エラストマーの他にも、ゴムなどの弾力性、粘着性を有する素材を用いることも可能である。
【0034】
前記弾性体の硬度は、特に制限されないが、5〜30度の範囲から選択することが好ましい。この硬度は、SRIS0101に準じて、アスカー硬度計C型(高分子計器株式会社製)により測定される。
【0035】
前記基板部2は、足の踵部分14と接する上面20と履き物10の中底11と接する下面21とを有している。この基板部2は、履き物10の後端部に取り付けられ、歩行時において足の踵部分14を十分に支持可能な大きさに形成されている。基板部2の下面21は、本実施例では、平坦な平坦面に形成されており、基板部2は粘着性を有しているので、下面20を履き物10の中底11上にそのまま載置するだけで中底11と一体化する一方、歩行後には中底11から剥がすことで取り外し可能となっている。
【0036】
基板部2の上面20は、平坦な平坦面に形成されており、履き物10の使用時に、足の踵部分14の踏みつけによって基板部2の上面20に荷重がかかると、基板部2の上面20が足の踵部分14の形状に沿うように圧縮変形して足の踵部分14に密着する。その結果、基板部2は足の踵部分14とも粘着するので、足の踵部分14は基板部2を介して履き物10の中底11に固定されるようになっている。
【0037】
なお、基板部2の上面20には、図4および図5に示すように、足の踵部分14の裏面に当接する微細な凹凸28を形成することもできる。この微細な凹凸28の形成方法としては、例えば基板部2の上面20にあたる面がブラスト加工(極小の傷をつける加工)された金型を使用する方法や、特開平4−75602号公報などに開示されているような方法で凹凸を形成する方法などがあげられる。なかでも、本実施例のようにブラスト加工された金型を使用して形成することが簡便であり、かつ、微細な凹凸28の凹部が網目状に張り巡らされるようになり、優れた粘着力を発揮することができるため好ましい。
【0038】
図示例のように、基板部2の上面20に微細な凹凸28を形成すると、この微細な凹凸28が足の踵部分14の裏面側のしわなどからなる凹凸形状に合致するよう変形して、基板部2の上面20が平坦面となっている場合と比べると、足裏との接触面積が大きくなる。また、歩行時に凹凸28の凹部が踵部分より踏み潰される(圧縮される)と、凹部内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じることから強固な粘着性を発揮する。これにより、足の踵部分14が基板部2とより強く粘着するようになるので、歩行時に足の踵部分14が靴中敷1(基板部2)から離れてしまうなどの不具合を確実に防止することができる。
【0039】
図1〜図3に戻って、基板部2の厚みは、特に制限されないが、1〜5mmの範囲から選択することが好ましく、1.5〜3mmの範囲から選択することがより好ましく、1.5〜2mmの範囲から選択することがさらに好ましい。このような範囲とすることで、歩行によって足裏に加わる衝撃を吸収しつつ、履き物10を履いた際に、異物感や違和感を覚えることがなく良好な履き心地を維持できる。
【0040】
前記壁板部3は、基板部2を履き物10の中底11上に取り付けたとき、履き物10の底部12側面を覆うものであり、基板部2の踵側の側端部に一体形成されている。この壁板部3は、履き物10の後端縁16の断面形状に沿うように、外方へ延びかつ下方へ湾曲しており、その先端部30が、履き物10の中底11の位置を超えて底部12と接する位置まで達する長さに形成されている。これにより、靴中敷1は基板部2が中底11上に、壁板部3が履き物10の底部12側面に、それぞれ粘着固定された状態となり、中底11は靴中敷1と底部12とによって強固に挟持される。
【0041】
ここで、壁板部3の厚みは、基板部2と異なっていてもよいが、同一の厚みに形成することが簡便である。本実施例においては、基板部2と壁板部3は同一の厚みで、壁板部3が基板部2の踵側の側端部に一体形成されている。
【0042】
また、壁板部3を形成する位置は、履き物10の底部12側面に粘着固定することが可能であれば特に制限されない。例えば、基板部2の左右の一方、または両方の側端部に形成されても良く、基板部2の基板部2のつま先側の側端部を除く全域に(左右の側端部から踵側の側端部に連続して)形成されても良い。特に、ミュールやサンダルなどの踵の高い履き物に使用される場合、足の荷重がつま先側に向かってかかり、基板部2が履き物10内で前方に動いて、その装着位置がずれてしまうなどの不具合が生じるため、これを防止する観点から、前記壁板部3は、少なくとも踵側の側端部に形成されていることが好ましい。
【0043】
なお、図示例では、壁板部3の先端部30は、そのデザイン効果を向上させるために、先細りの形状に形成されているが、必ずしも先細り形状とする必要はなく、その形状は問わない。
【0044】
また、壁板部3は、図示例では、湾曲させた形態になっているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、基板部2の踵側の側端部において基板部2の下面21からほぼ垂下するように下面21より突出させるように形成することや、基板部2の側端部から水平に延びるように形成することもできる。
【0045】
ここで、本実施例に使用される弾性体(基板部2および壁板部3)の硬度は、特に制限されず、前記弾性体の粘着性ならびに基板部2および壁板部3の厚みに応じて適宜調製可能であるが、5〜40度の範囲から選択することが好ましい。この範囲内であると、前記壁板部3の形態が履き物10の底部12側面の形状に正確に沿わない形態であった場合でも、容易に変形して底部12側面の形状に合わせて粘着させることができる。特に、弾性体の高度を15度未満とすれば、壁板部3を基板部2の側端部から水平に延びるように形成した場合であっても、履き物10の周縁部形状にあわせて壁板部3を折り曲げるように変形させることで、底部12側面に粘着させることができる。また、硬度を5〜40度の範囲とすることで、後述する窪み部23を設けた場合には、荷重によって圧縮変形した窪み部23が弾性復元力によって元の形状に戻り易くなる。この硬度は、SRIS0101に準じて、アスカー硬度計C型(高分子計器株式会社製)により測定される。
【0046】
上記した構成の靴中敷1を履き物10の中底11上に装着する際には、基板部2をその下面20が中底11に接するように配置して、その粘着性によって中底11上に粘着させるとともに、壁板部3を履き物10の底部12の側面に配置して、その内面(基板部2の下面21に連続した面)を接触させることで、履き物10の底部12自体に粘着させるようにする。これにより、靴中敷1は、中底11だけでなく履き物10の底部12と一体化し、底部12とによって中底11を強固に挟持する。
【0047】
この状態から、使用者が履き物10を使用することで、靴中敷1に足の踵部分14が載置されると、基板部2の上面20が足の踵部分14に粘着することで、靴中敷1を介して足の踵部分14が履き物10の中底11に対して固定される。これにより、歩行の際に、足の踵部分14が上下に動いても、これに伴い中底11が靴中敷1により引っ張られて足の踵部分14の動きに追随して動くので、足の踵部分14が履き物10の中底11から離れて浮き上がるのを防止できる。
【0048】
このとき、靴中敷1は、基板部2によって中底11に粘着するとともに壁板部3によって履き物10の底部12側面にも粘着しており、底部12との間で中底11を強固に挟持しているので、歩行の際には、中底11だけでなく履き物10の底部12も引っ張って足の踵部分14の動きに追随させる。そのため、従来技術の靴中敷1のように、足の踵部分14が履き物10の中底11から離れて浮き上がるのを防止できるような強い粘着力を有していても、歩行の際に中底11だけを引っ張ることがないので、中底11が履き物10の底部12から剥れてしまうという、不具合が生じるおそれがない。
【0049】
図6〜図8は、本発明の他の実施例である靴中敷1の外観構成を示している。また、図9は、この靴中敷1の断面図を示している。なお、この実施例の靴中敷1の基本的な構成は、図1に示した実施例の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付している。
【0050】
図6〜図9に示す靴中敷1では、基板部2の下面21は、水平かつ平坦な当接部22と、所定の大きさを有する複数の窪み部23とを有している。前記当接部22は、基板部2に足の踵部分14の荷重がかかっていない非荷重時において、履き物10の中底11と接触し、これにより、基板部2は、下面21を履き物10の中底11上に載置するだけでその粘着性により履き物10の中底11に対して着脱可能となっている。
【0051】
一方、各窪み部23は、断面形状が弓形状に形成されており、その開口周縁において前記当接部22と連続している。この各窪み部23は、非荷重時には、履き物10の中底11との間に空間Sが形成されて、その内面24が中底11とは非接触の状態となっている。このように、非荷重時においては、前記基板部2の下面21では、当接部22でのみ中底11と接触しており、例えば基板部2の下面21を平坦形状とした上記実施例と比べると、中底11と粘着する領域の面積が減少しているため、基板部2が中底11と過度に接着しないようになっている。
【0052】
図10に示すように、靴中敷1に足の踵部分14の踏みつけによって上方から荷重がかかると(以下、「荷重時」という。)、基板部2の下面21では、各窪み部23が圧縮変形して、その径が拡張する向きに押しつぶされることにより、次第にその内面24が中底11と接触するようになる。これにより、基板部2の下面21は、当接部22だけでなく各窪み部23の内面24も中底11と接触して、そのほぼ全域で中底11に粘着する結果、基板部2と中底11との間の粘着力が増大する。これと同時に、荷重時には、各窪み部23と中底11との間の空間Sが狭くなって、各窪み部23内に存在する空気が外部に放出されて各窪み部23内部は減圧状態となることから、この減圧による吸着力が基板部2に対して作用(吸盤作用)するため、基板部2は中底11に吸着される。その結果、基板部2の下面21を平坦形状とした上記実施例と比べると、基板部2が中底11と強固に粘着して、履き物10に対して固定されるので、歩行時に、足の踵部分14の荷重などによって基板部2が履き物10内で前方に動いて、その装着位置がずれてしまうなどの不具合を確実に防止することができる。このような効果は、前記壁板部3が基板部2の踵側の側端部に形成され、履き物10の底部12に粘着固定されることと相俟って、靴中敷1をミュールやサンダルなど、踵が高く、足の荷重がつま先側に向かってかかるため、踵部分14がずれやすいような履き物10に対して使用した際に特に顕著となる。
【0053】
この状態から、使用者が履き物10の使用を終えることで基板部2に足裏からの荷重がかからなくなると、各窪み部23には、元の形状に戻ろうとする弾性復元力が作用する。ここで、基板部2を周縁部25から捲るように剥がせば、図11に示すように、窪み部23と当接部22との境界部分Zから窪み部23内部に空気が入り込み、窪み部23の内部の減圧状態が開放される結果、上記した吸盤作用による吸着力が低下するため、窪み部23は弾性復元力により元の形状に容易に戻るようになる。そのため、窪み部23においては、中底11との接触面積が減少して、中底11との粘着力が低下するので、基板部2を小さい力で中底11から剥がすことができるようになる。すなわち、本実施例では、歩行後に靴中敷1の基板部2を中底11から剥がす際に、中底11を引っ張る力が小さくなるので、中底11が履き物10から剥がれるという不具合を防止することが可能となる。
【0054】
ここで、窪み部23の大きさは、特に制限されないが、荷重時に、その内面24が中底11に広く接触して粘着するとともに、荷重が取り除かれた非荷重時、減圧状態が開放されると、その弾性復元力によって中底11との間の粘着力に抗して内面24が中底11から剥離して、窪み部23が元の状態に復帰できる程度の大きさに形成されているのが望ましい。
【0055】
また、窪み部23の大きさ(面積)が非常に小さく微細なものであると、減圧状態が開放された場合でも、その粘着力が低下する面積が限られるため、中底11を引っ張る力を効果的に低下させることができない。よって、本実施例の靴中敷1では、窪み部23は、図16に示すように、目視で確認できないような微細なものではなく、適度な大きさ(面積)に形成しており、その径rを1〜5mmの範囲から選択することが好ましく、本実施例では、約2.5mmに設定している。
【0056】
また、窪み部23の深さdは、特に制限されないが、窪み部23が深すぎると、荷重時に窪み部23の内面24が中底11と接触する面積が小さくなって、十分な粘着効果が得られなくなる。そのため、窪み部23の深さdは、前記窪み部23の径rに対して、荷重時に、各窪み部23が押しつぶされてその内面24が中底11に十分接触する程度の深さに形成されているのが望ましい。また、基板部2の硬度などに応じて適宜調整され得るが、窪み部23が深すぎると、窪み部23と上面20との間の厚みが小さくなり、窪み部23の弾性復元力が十分に得られなくなる。そのため、窪み部23の深さdは、例えば、前述するように弾性体の硬度が5〜40度である場合、基板部2の厚みに対して1/2以下となるように形成されるのが望まし、1/3以下となるように形成されるのがより望ましい。窪み部23の深さdとしては、例えば、0.2〜1.5mmの範囲から選択され、本実施例では約0.5mmに設定されている。
【0057】
各窪み部23は、本実施例では断面弓形状に形成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、断面視において、頂部が平坦なバスタブ形状や半球状など、種々の形状に形成することができる。また、各窪み部23は、基板部2の下面21の長手方向もしくは幅方向に沿って複数列に、一方の側縁から他方の側縁に向かって下面21を横断するようにして延びる溝状のものであっても構わない。
【0058】
なお、基板部2の下面21の周縁部25は、履き物10の中底11と当接するように平坦面に形成して、この周縁部25には前記窪み部23を形成しないようにするのが好ましい。具体的には、周縁部25から窪み部23までの距離は窪み部23の径r以上であることが好ましく、径2r以上であることがより好ましい。これにより、下面21の周縁部25は中底11に粘着し、この周縁部25から基板部2が捲れるのを防止することができるため、荷重時の窪み部23の減圧状態を担保しやすい一方で、窪み部23周辺の弾性力を確保できることから窪み部23の減圧状態の開放および弾性回復を首尾よく行うことができる。本実施例では、下面21の外周縁から約5mm〜8mmの幅を有する領域を前記周縁部25としている。
【0059】
図12は、本発明の他の実施例である靴中敷1の構成を示している。また、図13は、この靴中敷1の断面図を示している。なお、この実施例の靴中敷1の基本的な構成は、図1に示した実施例の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付している。
【0060】
図12および図13に示す靴中敷1では、前記基板部2の下面21の各窪み部23を除く当接部22の表面に、図17に示すような、径および深さが前記窪み部23の径rおよび深さdよりも小さい微細な凹凸26が形成されている。
【0061】
この微細な凹凸26の形成方法としては、上記、上面20に微細な凹凸28を形成する場合と同様に、ブラスト加工(極小の傷をつける加工)された金型を使用する方法や、特開平4−75602号公報などに開示されているような方法で凹凸を形成する方法などがあげられる。なかでも、本実施例のようにブラスト加工された金型を使用して形成することが簡便であり、かつ、後述するように、凹凸26の凹部が網目状に張り巡らされるようになることから、優れた吸着力を発揮するとともに、基板部2を中底11から剥がしやすくなるため好ましい。
【0062】
本実施例によると、基板部下面21の当接部22の表面に微細な凹凸26が形成されているために、荷重時には、この微細な凹凸26の凹部(図示せず)が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底11に接着して粘着する結果、当接部22の表面が平坦となっている上記実施例と同程度の、中底11との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部の内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じ、前記窪み部23の吸盤作用による吸着力と相俟って、当接部22の表面が平坦となっている上記実施例と比べて、基板部2がより強固な粘着性を発揮する。
【0063】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であり、前記凹部に作用する弾性復元力が小さくて吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、基板部2と中底11との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、基板部2と中底11の強固な粘着が維持される)。しかし、微細な凹凸26は図17に示されるように、前記凹部が網目状に張り巡らされるようになっているため、基板部2を周縁部25から捲るように剥すと、前記凹部と捲られて中底11と接触していない部分との境界部分(図示せず)から、前記凹部の内部へと空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される結果、前記凹部は弾性復元力により元の形状に戻ろうとして、中底11との接触面積が減少する。そのため、この凹部周辺においては、中底11との粘着力が低下するので、当接部20が平坦で、粘着力が一様となっている上記実施例と比べると、基板部2を中底11からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【0064】
前記凹凸26の凹部の面積は、平面視で20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、40〜70%の範囲であることがとくに好ましい。この範囲内であれば、圧縮変形された凹部の減圧状態を担保しやすい一方で、凹部周辺の弾性力を確保できることから凹部の減圧状態の開放および弾性回復を首尾よく行うことができる。
【0065】
図14は、本発明の他の実施例である靴中敷1の構成を示している。また、図15は、この靴中敷1の断面図を示している。なお、この実施例の靴中敷1の基本的な構成も、図1に示した実施例の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付している。
【0066】
図14および図15に示す靴中敷1では、基板部下面21の当接部22の表面に、上記した微細な凹凸26が形成されているとともに、各窪み部23の内面24にも、径および深さが前記窪み部23の径rおよび深さdよりも小さい微細な凹凸27が形成されている(図16)。なお、微細な凹凸27の形成方法は、微細な凹凸26と同様である。
【0067】
この実施例によると、荷重時には、各窪み部23は押しつぶされて、その内面24が中底11と接触するが、各窪み部23の内面24に微細な凹凸27が形成されているので、この微細な凹凸27の凹部(図示せず)が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底11に接着して粘着する結果、各窪み部23の内面24が平坦となっている上記実施例と同程度の、中底11との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部の内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じるため、各窪み部23の内面24が平坦となっている上記実施例と比べてより強固な粘着性を発揮する。
【0068】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であることから、前記凹部に作用する弾性復元力が小さく吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、窪み部23は中底11との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、窪み部23と中底11の強固な粘着が維持される)。しかし、基板部2を周縁部25から捲るように剥して、窪み部23内部に空気が入り込むと、前記凹凸27は、前記凹部が網目状に張り巡らされるようになっているため(図示せず)、前記凹部と、捲られて中底11と接触していない部分との境界部分(図示せず)から、前記凹部の内部へと空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される。
【0069】
この時、前記凹部が存在する窪み部23の吸盤作用も低下し、窪み部23が元の状態に戻ることから、中底11との接触面積を減少させることができる。ここで、窪み部23には弾性復元力が作用しているため、窪み部23における微細な凹凸27の吸盤作用は、前記窪み部23以外の領域における微細な凹凸26のそれに比べると強くなく、窪み部23における減圧状態は容易に開放される。このように、この凹部周辺においては、窪み部23の内面24と中底11との粘着力が低下するので、窪み部23の内面24が平坦で、粘着力が一様となっている上記実施例と比べると、各窪み部23の内面24が中底11から剥がれやすくなる。すなわち、このような構成によれば、各窪み部23の内面24が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、荷重時は各窪み部23において強固な粘着性を発揮する一方、非荷重時、減圧状態が開放することで、その粘着性を容易に低下させることが可能であり、基板部2を中底11からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【0070】
なお、図6〜図15に示した実施例においても、基板部2の上面20、すなわち、足の踵部分14に接する側の面に、足の踵部分14の裏面に当接する微細な凹凸28を形成することにより、足の踵部分14と基板部上面20との接触面積を大きくして、足の踵部分14が基板部2により強く接着されるように構成できるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 靴中敷
2 基板部
3 壁板部
10 履き物
11 中底
20 上面
21 下面
22 当接部
23 窪み部
24 窪み部の内面
26,227,28 微細な凹凸
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の踵部分に接するように履き物の中底上に装着される靴中敷に関し、特に粘着性を有する弾性体からなる靴中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サンダルやミュールなどの履き物は、つま先側には甲被部が設けられており、これにより足の甲部分は前記甲被部に被覆されるので、歩行の際に履き物の中底から浮き上がるのが防止されるようになっている。これに対し、踵側には足の踵部分を覆って履き物の中底に対して固定する被覆部材が設けられていないことから、歩行の際には足の踵部分が中底から離れて浮き上がることが頻繁に起こる。
【0003】
このように、足の踵部分が履き物の中底から浮き上がると、歩行時に足が後方にずれることで歩きにくくなったり、さらには、甲被部が外れて履き物が簡単に脱げ落ちたりするなどして、歩行に支障をきたすという不具合が生じる。これは、特にミュールやサンダルなど、踵が高い履き物を使用した場合に顕著に生じる。
【0004】
そこで、歩行の際の上記した足の踵部分の浮き上がりを防止するために、粘着性を有する靴中敷を、履き物の中底上の足の踵部分があたる位置に装着することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1では、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの粘着性を有する弾性体をシート状に成型することによって靴中敷を形成している。そして、靴中敷の下面が履き物の中底上に粘着するとともに、その上面が足の踵部分に粘着することにより、足の踵部分が靴中敷を介して履き物の中底と一体化する。これにより、歩行の際には、中底が足の踵部分の動きに追随して動くので、足の踵部分が履き物の中底から浮き上がるのを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3110702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、履き物の中底は、古くなったら新しい中底と貼り替えることができるように、合成皮帯や合成樹脂性シートを履き物の底部上に貼り付けるようにしたものが一般的である。そのため、特許文献1のように、靴中敷をシート状に形成した場合には、以下のような問題が生じる。例えば、足の踵部分が靴中敷から離れないようにするために、靴中敷自体の粘着性を強くすると、中底も靴中敷に強く粘着する結果、歩行時において、靴中敷が足の踵部分に追随して動く際に中底を強く引っ張るので、履き物の底部から中底が剥がれてしまうという、不具合が生じる。
【0008】
一方、靴中敷自体の粘着性を弱くすると、足の踵部分との間の粘着力が弱くなるために、歩行時に、足の踵部分が靴中敷から簡単に離れてしまい、上記した足の踵部分の履き物からの浮き上がりを防止できないという、不具合が生じる。
【0009】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、歩行時に、足の踵部分を履き物の中底に固定でき、かつ中底が履き物から剥がれることがない靴中敷を提供することを主な目的とする。さらに、歩行時に、履き物の中底上での位置ずれを防止し、かつ、歩行後に取り外す際には、中底から容易に剥がすことができる靴中敷を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の靴中敷は、踵側の周縁部に足の踵部分を覆う被覆部材を備えていない履き物に対して足の踵部分があたる位置に装着されるものであって、粘着性を有する弾性体からなり、足の踵部分と接する上面と履き物の底部上に設けられた中底と接する下面とを有するシート状の基板部と、前記基板部の踵側後端部および/または左右側端部に一体形成され前記基板部の下面より突き出て履き物の底部側面を側方より覆う壁板部とを備えることを特徴としている。
【0011】
上記した構成の靴中敷を履き物の中底上に装着する際には、基板部をその下面が中底に接するように配置して、その粘着性によって中底上に粘着させるとともに、壁板部を履き物の底部側面に配置して、その内面(基板部の下面に連続した面)を接触させることで、その粘着力により履き物自体に粘着させるようにする。これにより、靴中敷は中底だけでなく履き物自体と一体化して、履き物との間で中底を挟持する。
【0012】
この状態から、使用者が履き物を使用することで、靴中敷に足の踵部分が載置されると、その粘着力によって基板部の上面が足の踵部分にその粘着力によって粘着する結果、靴中敷を介して足の踵部分が履き物の中底と一体化する。これにより、歩行の際に、足の踵部分が上下に動いても、中底が靴中敷により引っ張られて足の踵部分の動きに追随して動くので、足の踵部分が履き物の中底から離れて浮き上がるのを防止できる。
【0013】
このように、上記した構成の靴中敷によれば、基板部によって中底に粘着するとともに壁板部によって履き物自体にも粘着しているので、歩行の際には、中底だけでなく履き物自体も引っ張って足の踵部分の動きに追随させることができ、従来技術の靴中敷のように、足の踵部分が履き物の中底から離れて浮き上がるのを防止できるような強い粘着力を有していても、中底だけを引っ張ることがないので、中底が履き物から剥れてしまうという、不具合が生じない。
【0014】
本発明の好ましい実施態様においては、前記基板部の上面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴としている。
【0015】
この実施態様によると、基板部の上面の微細な凹凸が足の踵部分の裏面側のしわなどからなる凹凸形状に合致するよう変形して、足裏に密着する。その結果、基板部の上面が平坦面となっている場合と比べて、足裏との接触面積が大きくなり、足の踵部分が基板部とより強く粘着するようになる。そのため、歩行時に足の踵部分が靴中敷(基板部)から離れてしまうなどの不具合を防止することができる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板部の下面には、所定の大きさの複数の窪み部が形成されていることを特徴としている。
【0017】
この実施態様によると、靴中敷の基板部は、靴中敷自体の粘着性により中底上に粘着するが、基板部の下面では、各窪み部と中底との間に空間が形成されて、各窪み部は中底と非接触の状態となっている。この状態から、使用者が履き物を使用することで基板部に荷重がかかると(以下、「荷重時」という。)、基板部が弾性体からなるため、前記下面では、各窪み部が押しつぶされるようにして圧縮変形する。これにより、各窪み部の内面が中底に接触して粘着するため、基板部は、下面がそのほぼ全域で中底に粘着する結果、基板部と中底との間の粘着力が増大する。これと同時に、荷重時には、各窪み部と中底との間の前記空間が狭くなって、窪み部内に存在する空気が外部に放出されて窪み部内部が減圧状態となる結果、吸盤作用により基板部が中底に吸着される。これにより、基板部は中底と強固に固定されるので、歩行時に、足の踵部分の荷重などによって基板部が履き物内で前方に動いて、その装着位置がずれてしまうなどの不具合を防止することができる。
【0018】
また、使用者が履き物の使用を終えることで基板部に足裏の荷重がかからなくなると、各窪み部には、元の形状に戻ろうとする弾性復元力が作用する。ここで、基板部を周縁部から捲るように剥がすと、窪み部内部に空気が入り込み、窪み部内部の減圧状態が開放される結果、上記した吸盤作用による吸着力が低下するため、前記窪み部は弾性復元力により元の形状に戻るようになって、中底との接触面積が減少する。そのため、前記窪み部においては、中底との粘着力が低下するので、基板部を小さい力で中底から剥がすことができるようになる。すなわち、本実施態様では、歩行後に靴中敷の基板部を中底から剥がす際に、中底を引っ張る力が小さくなるので、中底が履き物から剥がれるという不具合を防止することができる。
【0019】
このように、上記した構成の靴中敷によると、歩行時には、基板部の粘着力により、足の踵部分を履き物の中底に固定でき、かつ、中底が履き物から剥がれるという不具合が生じないことに加え、靴中敷と履き物の中底とを強固に粘着し、靴中敷の履き物内での位置ずれを防止することが可能となる。このような効果は、特にミュールやサンダルなど、踵が高く、足の荷重がつま先側に向かってかかるため、踵部分の位置がずれやすいような履き物に使用した際に特に顕著となる。
【0020】
さらに、上記した構成の靴中敷によれば、歩行後に、中底から取り外す際に、靴中敷の基板部と中底との間の粘着力が低下して、中底から無理なく剥がすことができる。すなわち、中底が引っ張られて履き物から剥れるという不具合も生じなくなる。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板部の下面の前記窪み部以外の領域には、前記窪み部よりも微細な凹凸が形成されていることを特徴としている。
【0022】
本実施態様によると、前記基板部の下面の各窪み部以外の領域(以下、「当接部」という。)では、微細な凹凸が形成されているために、荷重時には、この微細な凹凸の凹部が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底に接着して粘着する。その結果、当接部が平坦となっている場合と同程度の、中底との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部の内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じるため、前記窪み部の吸盤作用による吸着力と相俟って、当接部が平坦となっている場合と比べて、基板部がより強固な粘着性を発揮する。
【0023】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であり、前記凹部に作用する弾性復元力が小さくて吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、基板部と中底との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、基板部と中底の強固な粘着が維持される)。しかし、基板部を周縁部から捲るように剥すと、前記凹部と捲られて中底と接触していない部分との境界部分から、前記凹部の内部に空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される結果、前記凹部は弾性復元力により元の形状に戻ろうとして、中底との接触面積が減少する。そのため、この凹部周辺においては、当接部と中底との粘着力が低下するので、当接部が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、基板部を中底からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記窪み部の内面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴としている。
【0025】
本実施態様によると、荷重時には、各窪み部は押しつぶされて、その内面が中底と接触するが、各窪み部の内面に微細な凹凸が形成されているので、この微細な凹凸の凹部が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底に接して粘着する。その結果、各窪み部の内面が平坦となっている場合と同程度の、中底との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じるため、各窪み部の内面が平坦となっている場合と比べてより強固な粘着性を発揮する。
【0026】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であることから、前記凹部に作用する弾性復元力が小さく吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、窪み部は中底との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、窪み部と中底の強固な粘着が維持される)。しかし、基板部を周縁部から捲るように剥して窪み部内部へと空気が入り込むと、前記凹部と、捲られて中底と接触していない部分との境界部分から、前記凹部の内部にも空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される。この時、前記凹部が存在する窪み部の吸盤作用も低下し、窪み部が元の状態に戻ることから、中底との接触面積を減少させることができる。ここで、各窪み部には弾性復元力が作用しているため、前記窪み部内面の微細な凹凸の吸盤作用は、窪み部以外の領域における微細な凹凸のそれに比べるとそれほど強くなく、前記各窪み部における前記凹部の減圧状態は容易に開放される。このように、この凹部周辺においては、前記窪み部の内面と中底との粘着力が低下するので、各窪み部の内面が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、各窪み部の内面が中底から剥がれやすくなる。すなわち、このような構成によれば、各窪み部の内面が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、荷重時は各窪み部において強固な粘着性を発揮する一方、非荷重時、減圧状態を開放することで、にはその粘着性を容易に低下させることが可能であり、基板部を中底からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の靴中敷によると、基板部が足の踵部分および履き物の中底上に粘着している一方、壁板部が履き物自体に粘着しているので、歩行の際には、中底だけでなく履き物自体も引っ張って足の踵部分の動きに追随させるので、従来技術の靴中敷のように、中底だけが引っ張られることがなく、中底が履き物から剥れるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例である靴中敷の斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】靴中敷を履き物の中底に装着した例を示す側面図である。
【図4】本発明の他の実施例である靴中敷の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例である靴中敷の平面図である。
【図6】本発明の他の実施例である靴中敷の斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例である靴中敷の背面図である。
【図8】本発明の他の実施例である靴中敷の平面図である。
【図9】図7のB−B線に沿う断面図である。
【図10】荷重時の靴中敷の状態を示す要部断面図である。
【図11】靴中敷を中底から剥がしている途中の状態を示す要部断面図である。
【図12】本発明の他の実施例である靴中敷の背面図である。
【図13】図12の要部断面図である。
【図14】本発明の他の実施例である靴中敷の背面図である。
【図15】図12の要部断面図である。
【図16】窪み部の写真である。スケールバーは、5mmを示す。
【図17】微細な凹凸の写真である。スケールバーは、2mmを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である靴中敷1の外観を示している。また、図2は、本実施例の靴中敷1の断面図を、図3は、本実施例の靴中敷1を履き物10の中底11上に装着した状態を示した側面図を、それぞれ示している。
【0030】
図示例の靴中敷1は、図3に示すように、人の足裏の踵部分14に接するように、履き物10の中底11上に装着して使用することにより、歩行時に足の踵部分14が履き物10の中底11から離れて浮き上がるのを防止するためのものである。履き物10としては、ミュールやサンダルなど、足のつま先側には、足の甲部分15を被覆して上方から押さえつけて固定する甲被部13を備えているが、足の踵側には、足の踵部分14を覆って履き物10に固定する被覆部材を備えておらず開口している構造のものについて使用するのが好ましい。また、踵が高かったり、裸足で履くことが多い履き物10に対して使用すると特に顕著な効果を奏する。なお、中底11は、合成皮帯や合成樹脂性シートなどが、履き物10の足裏を支持する底部12上に接着剤により接合されているのが一般的である。
【0031】
図示例の靴中敷1は、外形が長円状をなし所定の厚みを有するシート状の基板部2の一方(踵側)の側端部に、壁板部3が一体に設けられた構成のものである。この靴中敷1は、粘着性を有する柔軟な弾性体により形成されており、専用の金型を用いた射出成形により成型される。ここで、「粘着性」とは、接着剤や粘着材などを用いなくても被貼着部(本実施例では、履き物10の中底11)に貼着できる性質をいう。本実施例において、弾性体の粘着性は特に限定されないが、KES−G5ハンディー圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて、シート状の弾性体を2cm2の円形加圧板(500gf)で圧縮した後に、この加圧板を引き上げる際にかかる力(粘着力)が、−60〜−5gf・cm/cm2とすることが好ましく、−40〜−10gf・cm/cm2とすることがより好ましい。この範囲とすることで、靴中敷1を足裏の踵部分14、中底11、および底部12にしっかりと粘着固定することができる。なお、上記した粘着性は、加えて、劣化しにくく、貼着と剥離とを繰り返しても粘着性が喪失しにくい耐久性を有していることがさらに好ましい。
【0032】
前記弾性体としては、本実施例では、適度な粘着性を有するとともに、水洗粘着復帰性(塵埃などの付着により粘着力が低下した場合に、水洗いすることで粘着性が復帰する性質)を有する熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。これにより、靴中敷1を長時間連続して使用することにより、靴中敷1が汚れてその粘着性が低下した場合においても、水洗いして汚れを落とすことで再利用が可能となる。
【0033】
上記した熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどを例示することができる。また、前記弾性体として、熱可塑性エラストマーの他にも、ゴムなどの弾力性、粘着性を有する素材を用いることも可能である。
【0034】
前記弾性体の硬度は、特に制限されないが、5〜30度の範囲から選択することが好ましい。この硬度は、SRIS0101に準じて、アスカー硬度計C型(高分子計器株式会社製)により測定される。
【0035】
前記基板部2は、足の踵部分14と接する上面20と履き物10の中底11と接する下面21とを有している。この基板部2は、履き物10の後端部に取り付けられ、歩行時において足の踵部分14を十分に支持可能な大きさに形成されている。基板部2の下面21は、本実施例では、平坦な平坦面に形成されており、基板部2は粘着性を有しているので、下面20を履き物10の中底11上にそのまま載置するだけで中底11と一体化する一方、歩行後には中底11から剥がすことで取り外し可能となっている。
【0036】
基板部2の上面20は、平坦な平坦面に形成されており、履き物10の使用時に、足の踵部分14の踏みつけによって基板部2の上面20に荷重がかかると、基板部2の上面20が足の踵部分14の形状に沿うように圧縮変形して足の踵部分14に密着する。その結果、基板部2は足の踵部分14とも粘着するので、足の踵部分14は基板部2を介して履き物10の中底11に固定されるようになっている。
【0037】
なお、基板部2の上面20には、図4および図5に示すように、足の踵部分14の裏面に当接する微細な凹凸28を形成することもできる。この微細な凹凸28の形成方法としては、例えば基板部2の上面20にあたる面がブラスト加工(極小の傷をつける加工)された金型を使用する方法や、特開平4−75602号公報などに開示されているような方法で凹凸を形成する方法などがあげられる。なかでも、本実施例のようにブラスト加工された金型を使用して形成することが簡便であり、かつ、微細な凹凸28の凹部が網目状に張り巡らされるようになり、優れた粘着力を発揮することができるため好ましい。
【0038】
図示例のように、基板部2の上面20に微細な凹凸28を形成すると、この微細な凹凸28が足の踵部分14の裏面側のしわなどからなる凹凸形状に合致するよう変形して、基板部2の上面20が平坦面となっている場合と比べると、足裏との接触面積が大きくなる。また、歩行時に凹凸28の凹部が踵部分より踏み潰される(圧縮される)と、凹部内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じることから強固な粘着性を発揮する。これにより、足の踵部分14が基板部2とより強く粘着するようになるので、歩行時に足の踵部分14が靴中敷1(基板部2)から離れてしまうなどの不具合を確実に防止することができる。
【0039】
図1〜図3に戻って、基板部2の厚みは、特に制限されないが、1〜5mmの範囲から選択することが好ましく、1.5〜3mmの範囲から選択することがより好ましく、1.5〜2mmの範囲から選択することがさらに好ましい。このような範囲とすることで、歩行によって足裏に加わる衝撃を吸収しつつ、履き物10を履いた際に、異物感や違和感を覚えることがなく良好な履き心地を維持できる。
【0040】
前記壁板部3は、基板部2を履き物10の中底11上に取り付けたとき、履き物10の底部12側面を覆うものであり、基板部2の踵側の側端部に一体形成されている。この壁板部3は、履き物10の後端縁16の断面形状に沿うように、外方へ延びかつ下方へ湾曲しており、その先端部30が、履き物10の中底11の位置を超えて底部12と接する位置まで達する長さに形成されている。これにより、靴中敷1は基板部2が中底11上に、壁板部3が履き物10の底部12側面に、それぞれ粘着固定された状態となり、中底11は靴中敷1と底部12とによって強固に挟持される。
【0041】
ここで、壁板部3の厚みは、基板部2と異なっていてもよいが、同一の厚みに形成することが簡便である。本実施例においては、基板部2と壁板部3は同一の厚みで、壁板部3が基板部2の踵側の側端部に一体形成されている。
【0042】
また、壁板部3を形成する位置は、履き物10の底部12側面に粘着固定することが可能であれば特に制限されない。例えば、基板部2の左右の一方、または両方の側端部に形成されても良く、基板部2の基板部2のつま先側の側端部を除く全域に(左右の側端部から踵側の側端部に連続して)形成されても良い。特に、ミュールやサンダルなどの踵の高い履き物に使用される場合、足の荷重がつま先側に向かってかかり、基板部2が履き物10内で前方に動いて、その装着位置がずれてしまうなどの不具合が生じるため、これを防止する観点から、前記壁板部3は、少なくとも踵側の側端部に形成されていることが好ましい。
【0043】
なお、図示例では、壁板部3の先端部30は、そのデザイン効果を向上させるために、先細りの形状に形成されているが、必ずしも先細り形状とする必要はなく、その形状は問わない。
【0044】
また、壁板部3は、図示例では、湾曲させた形態になっているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、基板部2の踵側の側端部において基板部2の下面21からほぼ垂下するように下面21より突出させるように形成することや、基板部2の側端部から水平に延びるように形成することもできる。
【0045】
ここで、本実施例に使用される弾性体(基板部2および壁板部3)の硬度は、特に制限されず、前記弾性体の粘着性ならびに基板部2および壁板部3の厚みに応じて適宜調製可能であるが、5〜40度の範囲から選択することが好ましい。この範囲内であると、前記壁板部3の形態が履き物10の底部12側面の形状に正確に沿わない形態であった場合でも、容易に変形して底部12側面の形状に合わせて粘着させることができる。特に、弾性体の高度を15度未満とすれば、壁板部3を基板部2の側端部から水平に延びるように形成した場合であっても、履き物10の周縁部形状にあわせて壁板部3を折り曲げるように変形させることで、底部12側面に粘着させることができる。また、硬度を5〜40度の範囲とすることで、後述する窪み部23を設けた場合には、荷重によって圧縮変形した窪み部23が弾性復元力によって元の形状に戻り易くなる。この硬度は、SRIS0101に準じて、アスカー硬度計C型(高分子計器株式会社製)により測定される。
【0046】
上記した構成の靴中敷1を履き物10の中底11上に装着する際には、基板部2をその下面20が中底11に接するように配置して、その粘着性によって中底11上に粘着させるとともに、壁板部3を履き物10の底部12の側面に配置して、その内面(基板部2の下面21に連続した面)を接触させることで、履き物10の底部12自体に粘着させるようにする。これにより、靴中敷1は、中底11だけでなく履き物10の底部12と一体化し、底部12とによって中底11を強固に挟持する。
【0047】
この状態から、使用者が履き物10を使用することで、靴中敷1に足の踵部分14が載置されると、基板部2の上面20が足の踵部分14に粘着することで、靴中敷1を介して足の踵部分14が履き物10の中底11に対して固定される。これにより、歩行の際に、足の踵部分14が上下に動いても、これに伴い中底11が靴中敷1により引っ張られて足の踵部分14の動きに追随して動くので、足の踵部分14が履き物10の中底11から離れて浮き上がるのを防止できる。
【0048】
このとき、靴中敷1は、基板部2によって中底11に粘着するとともに壁板部3によって履き物10の底部12側面にも粘着しており、底部12との間で中底11を強固に挟持しているので、歩行の際には、中底11だけでなく履き物10の底部12も引っ張って足の踵部分14の動きに追随させる。そのため、従来技術の靴中敷1のように、足の踵部分14が履き物10の中底11から離れて浮き上がるのを防止できるような強い粘着力を有していても、歩行の際に中底11だけを引っ張ることがないので、中底11が履き物10の底部12から剥れてしまうという、不具合が生じるおそれがない。
【0049】
図6〜図8は、本発明の他の実施例である靴中敷1の外観構成を示している。また、図9は、この靴中敷1の断面図を示している。なお、この実施例の靴中敷1の基本的な構成は、図1に示した実施例の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付している。
【0050】
図6〜図9に示す靴中敷1では、基板部2の下面21は、水平かつ平坦な当接部22と、所定の大きさを有する複数の窪み部23とを有している。前記当接部22は、基板部2に足の踵部分14の荷重がかかっていない非荷重時において、履き物10の中底11と接触し、これにより、基板部2は、下面21を履き物10の中底11上に載置するだけでその粘着性により履き物10の中底11に対して着脱可能となっている。
【0051】
一方、各窪み部23は、断面形状が弓形状に形成されており、その開口周縁において前記当接部22と連続している。この各窪み部23は、非荷重時には、履き物10の中底11との間に空間Sが形成されて、その内面24が中底11とは非接触の状態となっている。このように、非荷重時においては、前記基板部2の下面21では、当接部22でのみ中底11と接触しており、例えば基板部2の下面21を平坦形状とした上記実施例と比べると、中底11と粘着する領域の面積が減少しているため、基板部2が中底11と過度に接着しないようになっている。
【0052】
図10に示すように、靴中敷1に足の踵部分14の踏みつけによって上方から荷重がかかると(以下、「荷重時」という。)、基板部2の下面21では、各窪み部23が圧縮変形して、その径が拡張する向きに押しつぶされることにより、次第にその内面24が中底11と接触するようになる。これにより、基板部2の下面21は、当接部22だけでなく各窪み部23の内面24も中底11と接触して、そのほぼ全域で中底11に粘着する結果、基板部2と中底11との間の粘着力が増大する。これと同時に、荷重時には、各窪み部23と中底11との間の空間Sが狭くなって、各窪み部23内に存在する空気が外部に放出されて各窪み部23内部は減圧状態となることから、この減圧による吸着力が基板部2に対して作用(吸盤作用)するため、基板部2は中底11に吸着される。その結果、基板部2の下面21を平坦形状とした上記実施例と比べると、基板部2が中底11と強固に粘着して、履き物10に対して固定されるので、歩行時に、足の踵部分14の荷重などによって基板部2が履き物10内で前方に動いて、その装着位置がずれてしまうなどの不具合を確実に防止することができる。このような効果は、前記壁板部3が基板部2の踵側の側端部に形成され、履き物10の底部12に粘着固定されることと相俟って、靴中敷1をミュールやサンダルなど、踵が高く、足の荷重がつま先側に向かってかかるため、踵部分14がずれやすいような履き物10に対して使用した際に特に顕著となる。
【0053】
この状態から、使用者が履き物10の使用を終えることで基板部2に足裏からの荷重がかからなくなると、各窪み部23には、元の形状に戻ろうとする弾性復元力が作用する。ここで、基板部2を周縁部25から捲るように剥がせば、図11に示すように、窪み部23と当接部22との境界部分Zから窪み部23内部に空気が入り込み、窪み部23の内部の減圧状態が開放される結果、上記した吸盤作用による吸着力が低下するため、窪み部23は弾性復元力により元の形状に容易に戻るようになる。そのため、窪み部23においては、中底11との接触面積が減少して、中底11との粘着力が低下するので、基板部2を小さい力で中底11から剥がすことができるようになる。すなわち、本実施例では、歩行後に靴中敷1の基板部2を中底11から剥がす際に、中底11を引っ張る力が小さくなるので、中底11が履き物10から剥がれるという不具合を防止することが可能となる。
【0054】
ここで、窪み部23の大きさは、特に制限されないが、荷重時に、その内面24が中底11に広く接触して粘着するとともに、荷重が取り除かれた非荷重時、減圧状態が開放されると、その弾性復元力によって中底11との間の粘着力に抗して内面24が中底11から剥離して、窪み部23が元の状態に復帰できる程度の大きさに形成されているのが望ましい。
【0055】
また、窪み部23の大きさ(面積)が非常に小さく微細なものであると、減圧状態が開放された場合でも、その粘着力が低下する面積が限られるため、中底11を引っ張る力を効果的に低下させることができない。よって、本実施例の靴中敷1では、窪み部23は、図16に示すように、目視で確認できないような微細なものではなく、適度な大きさ(面積)に形成しており、その径rを1〜5mmの範囲から選択することが好ましく、本実施例では、約2.5mmに設定している。
【0056】
また、窪み部23の深さdは、特に制限されないが、窪み部23が深すぎると、荷重時に窪み部23の内面24が中底11と接触する面積が小さくなって、十分な粘着効果が得られなくなる。そのため、窪み部23の深さdは、前記窪み部23の径rに対して、荷重時に、各窪み部23が押しつぶされてその内面24が中底11に十分接触する程度の深さに形成されているのが望ましい。また、基板部2の硬度などに応じて適宜調整され得るが、窪み部23が深すぎると、窪み部23と上面20との間の厚みが小さくなり、窪み部23の弾性復元力が十分に得られなくなる。そのため、窪み部23の深さdは、例えば、前述するように弾性体の硬度が5〜40度である場合、基板部2の厚みに対して1/2以下となるように形成されるのが望まし、1/3以下となるように形成されるのがより望ましい。窪み部23の深さdとしては、例えば、0.2〜1.5mmの範囲から選択され、本実施例では約0.5mmに設定されている。
【0057】
各窪み部23は、本実施例では断面弓形状に形成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、断面視において、頂部が平坦なバスタブ形状や半球状など、種々の形状に形成することができる。また、各窪み部23は、基板部2の下面21の長手方向もしくは幅方向に沿って複数列に、一方の側縁から他方の側縁に向かって下面21を横断するようにして延びる溝状のものであっても構わない。
【0058】
なお、基板部2の下面21の周縁部25は、履き物10の中底11と当接するように平坦面に形成して、この周縁部25には前記窪み部23を形成しないようにするのが好ましい。具体的には、周縁部25から窪み部23までの距離は窪み部23の径r以上であることが好ましく、径2r以上であることがより好ましい。これにより、下面21の周縁部25は中底11に粘着し、この周縁部25から基板部2が捲れるのを防止することができるため、荷重時の窪み部23の減圧状態を担保しやすい一方で、窪み部23周辺の弾性力を確保できることから窪み部23の減圧状態の開放および弾性回復を首尾よく行うことができる。本実施例では、下面21の外周縁から約5mm〜8mmの幅を有する領域を前記周縁部25としている。
【0059】
図12は、本発明の他の実施例である靴中敷1の構成を示している。また、図13は、この靴中敷1の断面図を示している。なお、この実施例の靴中敷1の基本的な構成は、図1に示した実施例の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付している。
【0060】
図12および図13に示す靴中敷1では、前記基板部2の下面21の各窪み部23を除く当接部22の表面に、図17に示すような、径および深さが前記窪み部23の径rおよび深さdよりも小さい微細な凹凸26が形成されている。
【0061】
この微細な凹凸26の形成方法としては、上記、上面20に微細な凹凸28を形成する場合と同様に、ブラスト加工(極小の傷をつける加工)された金型を使用する方法や、特開平4−75602号公報などに開示されているような方法で凹凸を形成する方法などがあげられる。なかでも、本実施例のようにブラスト加工された金型を使用して形成することが簡便であり、かつ、後述するように、凹凸26の凹部が網目状に張り巡らされるようになることから、優れた吸着力を発揮するとともに、基板部2を中底11から剥がしやすくなるため好ましい。
【0062】
本実施例によると、基板部下面21の当接部22の表面に微細な凹凸26が形成されているために、荷重時には、この微細な凹凸26の凹部(図示せず)が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底11に接着して粘着する結果、当接部22の表面が平坦となっている上記実施例と同程度の、中底11との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部の内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じ、前記窪み部23の吸盤作用による吸着力と相俟って、当接部22の表面が平坦となっている上記実施例と比べて、基板部2がより強固な粘着性を発揮する。
【0063】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であり、前記凹部に作用する弾性復元力が小さくて吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、基板部2と中底11との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、基板部2と中底11の強固な粘着が維持される)。しかし、微細な凹凸26は図17に示されるように、前記凹部が網目状に張り巡らされるようになっているため、基板部2を周縁部25から捲るように剥すと、前記凹部と捲られて中底11と接触していない部分との境界部分(図示せず)から、前記凹部の内部へと空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される結果、前記凹部は弾性復元力により元の形状に戻ろうとして、中底11との接触面積が減少する。そのため、この凹部周辺においては、中底11との粘着力が低下するので、当接部20が平坦で、粘着力が一様となっている上記実施例と比べると、基板部2を中底11からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【0064】
前記凹凸26の凹部の面積は、平面視で20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、40〜70%の範囲であることがとくに好ましい。この範囲内であれば、圧縮変形された凹部の減圧状態を担保しやすい一方で、凹部周辺の弾性力を確保できることから凹部の減圧状態の開放および弾性回復を首尾よく行うことができる。
【0065】
図14は、本発明の他の実施例である靴中敷1の構成を示している。また、図15は、この靴中敷1の断面図を示している。なお、この実施例の靴中敷1の基本的な構成も、図1に示した実施例の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付している。
【0066】
図14および図15に示す靴中敷1では、基板部下面21の当接部22の表面に、上記した微細な凹凸26が形成されているとともに、各窪み部23の内面24にも、径および深さが前記窪み部23の径rおよび深さdよりも小さい微細な凹凸27が形成されている(図16)。なお、微細な凹凸27の形成方法は、微細な凹凸26と同様である。
【0067】
この実施例によると、荷重時には、各窪み部23は押しつぶされて、その内面24が中底11と接触するが、各窪み部23の内面24に微細な凹凸27が形成されているので、この微細な凹凸27の凹部(図示せず)が押しつぶされるように圧縮変形して、前記凹部の内面が中底11に接着して粘着する結果、各窪み部23の内面24が平坦となっている上記実施例と同程度の、中底11との接触面積を担保できる。さらに、前記凹部の内部が減圧状態となることで、吸盤作用による吸着力が前記凹部に生じるため、各窪み部23の内面24が平坦となっている上記実施例と比べてより強固な粘着性を発揮する。
【0068】
一方、非荷重時には、押しつぶされた前記凹部が微細であることから、前記凹部に作用する弾性復元力が小さく吸盤作用が発揮されつづけるために、元の形状に戻り難く、窪み部23は中底11との接触面積が大きくなったまま維持される(すなわち、窪み部23と中底11の強固な粘着が維持される)。しかし、基板部2を周縁部25から捲るように剥して、窪み部23内部に空気が入り込むと、前記凹凸27は、前記凹部が網目状に張り巡らされるようになっているため(図示せず)、前記凹部と、捲られて中底11と接触していない部分との境界部分(図示せず)から、前記凹部の内部へと空気が入り込み、前記凹部の減圧状態が開放される。
【0069】
この時、前記凹部が存在する窪み部23の吸盤作用も低下し、窪み部23が元の状態に戻ることから、中底11との接触面積を減少させることができる。ここで、窪み部23には弾性復元力が作用しているため、窪み部23における微細な凹凸27の吸盤作用は、前記窪み部23以外の領域における微細な凹凸26のそれに比べると強くなく、窪み部23における減圧状態は容易に開放される。このように、この凹部周辺においては、窪み部23の内面24と中底11との粘着力が低下するので、窪み部23の内面24が平坦で、粘着力が一様となっている上記実施例と比べると、各窪み部23の内面24が中底11から剥がれやすくなる。すなわち、このような構成によれば、各窪み部23の内面24が平坦で、粘着力が一様となっている場合と比べると、荷重時は各窪み部23において強固な粘着性を発揮する一方、非荷重時、減圧状態が開放することで、その粘着性を容易に低下させることが可能であり、基板部2を中底11からより小さい力で剥がすことが可能となる。
【0070】
なお、図6〜図15に示した実施例においても、基板部2の上面20、すなわち、足の踵部分14に接する側の面に、足の踵部分14の裏面に当接する微細な凹凸28を形成することにより、足の踵部分14と基板部上面20との接触面積を大きくして、足の踵部分14が基板部2により強く接着されるように構成できるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 靴中敷
2 基板部
3 壁板部
10 履き物
11 中底
20 上面
21 下面
22 当接部
23 窪み部
24 窪み部の内面
26,227,28 微細な凹凸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踵側の周縁部に足の踵部分を覆う被覆部材を備えていない履き物に対して足の踵部分があたる位置に装着される靴中敷であって、
粘着性を有する弾性体からなり、足の踵部分と接する上面と履き物の底部上に設けられた中底と接する下面とを有するシート状の基板部と、前記基板部の踵側後端部および/または左右側端部に一体形成され前記基板部の下面より突き出て履き物の底部側面を覆う壁板部とを備えることを特徴とする靴中敷。
【請求項2】
前記基板部の上面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴中敷。
【請求項3】
前記基板部の下面には、所定の大きさの複数の窪み部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の靴中敷。
【請求項4】
前記基板部の下面の前記窪み部以外の領域には、前記窪み部よりも微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の靴中敷。
【請求項5】
前記窪み部の内面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の靴中敷。
【請求項1】
踵側の周縁部に足の踵部分を覆う被覆部材を備えていない履き物に対して足の踵部分があたる位置に装着される靴中敷であって、
粘着性を有する弾性体からなり、足の踵部分と接する上面と履き物の底部上に設けられた中底と接する下面とを有するシート状の基板部と、前記基板部の踵側後端部および/または左右側端部に一体形成され前記基板部の下面より突き出て履き物の底部側面を覆う壁板部とを備えることを特徴とする靴中敷。
【請求項2】
前記基板部の上面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴中敷。
【請求項3】
前記基板部の下面には、所定の大きさの複数の窪み部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の靴中敷。
【請求項4】
前記基板部の下面の前記窪み部以外の領域には、前記窪み部よりも微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の靴中敷。
【請求項5】
前記窪み部の内面には、複数の微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の靴中敷。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−279448(P2010−279448A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133562(P2009−133562)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]