説明

風呂用敷物

【課題】水や石鹸等が付着した状態においても滑りにくい風呂用敷物を提供する。
【解決手段】芯材2と、該芯材2の上下に配設したプラスチック発泡板4、5と、このプラスチック発泡板4、5の前記芯材2とは逆側の面の少なくも一方にプラスチック製人工い草10aで形成された畳表10を有し、締結部材3により、前記プラスチック発泡板4、5及び、前記畳表10を前記芯材2に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂用敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂用敷物、例えば風呂洗い場に敷くマットとして、塩化ビニール等で形成された長方形のマットが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来の風呂用敷物では、その表面に水や石鹸等が付着した場合に、表面が滑りやすく転倒する虞がある。
【0004】
そこで、本発明は、水や石鹸等が付着した状態においても滑りにくい風呂用敷物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、芯材と、該芯材の上下に配設したプラスチック発泡板と、このプラスチック発泡板の前記芯材とは逆側の面の少なくも一方にプラスチック製人工い草で形成された畳表を有し、
締結部材により、前記プラスチック発泡板及び、前記畳表を前記芯材に固定したことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記プラスチック発泡板の前記畳表側に凹状の溝を形成したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記芯材が耐水加工を施した木製の板材であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記プラスチック発泡板が、ポリスチレン発泡体であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、前記畳表を、プラスチック発泡板に対して、固着手段を用いて固着するとともに、該固着手段を前記人工い草の方向と直交する方向に配設したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記固着手段として、両面接着テープを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、畳表を上側となるように使用した場合、この畳表が上面に位置することで、風呂用敷物の上面の表面形状が凸凹状となり、畳表上に水や石鹸等が付着した場合においても、足等の滑りを抑制することができる。また、畳様の外観と感触を付与することができ、使用時の感触を向上することができる。
【0012】
更に、畳表が、プラスチック製人工い草で形成されているので、畳表は耐水性を有する。
【0013】
また、芯材を有することにより、締結部材により、特別な締結機械を用いることなく、他の部材を芯材に対して容易に固着することができ、風呂用敷物の製造が容易となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明によれば、更に、凹状の溝を形成したことにより、畳表を通過した水を容易に排出して、水はけを良くすることができ、畳表の表面の滑りを抑制できる。また、風呂用敷物が濡れた後に、立てかけておくことにより、容易に乾燥させることができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明によれば、固着手段を、人工い草の方向と直交する方向に配設して、畳表を、発泡プラスチック板の上面に固着したことにより、風呂用敷物の使用中に隣接する人工い草間の隙間が広がることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図1乃至図3は、本発明の実施例を示す。
風呂用敷物1の使用時において上側となる方を上側とし、風呂用敷物1の長手方向A−Bを横方向とし、短手方向C−Dを縦方向として、以下説明する。
【0017】
風呂用敷物1は、例えば、浴室内の洗い場に敷いて使用したり、浴室の前室に敷いて使用するものである。
【0018】
図1乃至図3は、風呂用敷物1を示すもので、該風呂用敷物1は、長方形の芯材2を有し、その上面形状は風呂用敷物1の上面形状と略同形に形成されている。芯材2は、本実施例においては、縦600mm×横900mm×厚み4mmに形成されている。芯材2としては、後述する締結部材3を芯材2に締結できる部材、形状であればよく、本実施例においては、芯材2として耐水加工を施した木製の板材を使用した。木製の板材に耐水加工を施す方法として、例えば、板材の上面、下面、及び小口を樹脂加工する方法が挙げられる。
【0019】
芯材2の上面と下面には、発泡プラスチック板4、5、好ましくは、発泡ポリスチレン(EPS、いわゆる発泡スチロール)板が接着剤により固着されている。発泡プラスチック板4、5の上面形状は、芯材2の上面形状と略同形に形成されている。芯材2の上側に配設される発泡プラスチック板4は、芯材2の下側に配設される発泡プラスチック板5よりも柔らかく形成されている。本実施例においては、上側の発泡プラスチック板4として、発泡倍率が45倍の発泡ポリスチレン板を使用し、下側の発泡プラスチック板5として発泡倍率が12倍の発泡ポリスチレン板を使用した。
【0020】
発泡プラスチック板4の上面4a側には、複数の凹状の溝7が長手方向と直交する方向全長に亘って形成され、その溝7の両端は開口されている。該溝7の幅は、1cm以下、好ましくは、5mm〜6mmに設定し、溝7の深さは、任意に設定するが、本実施例においては約5mmに設定されている。溝7、7間の間隔は任意であるが、本実施例においては約20cmに設定されている。
【0021】
なお、凹状の溝7を、縦方向全長に亘って形成することが望ましいが、横方向全長に亘って形成してもよいし、縦、横両方全長に亘って形成してもよい。
【0022】
上側の発泡プラスチック板4の上面には、プラスチック製人工い草10aで形成された畳表10が、発泡プラスチック板4の上面全体に亘って、かつ、人工い草の方向が風呂用敷物1の横方向A−Bとなるように配設されている。該畳表10は、発泡プラスチック板4の上面に固着されている。畳表10の発泡プラスチック板4への固着方法は、固着手段11を用いて行う。該固着手段11を、図1、2に示すように、発泡プラスチック板4と畳表10間で、かつ、風呂用敷物1の縦方向C−D全体(人工い草の方向A−Bと直交する方向C−D全体)に複数本配設した。固着手段11として、任意の方法を用いることができ、例えば、両面接着テープ、接着剤を用いることができ、本実施例においては、約5cm幅の耐水性の両面接着テープを用いた。
なお、図1に示す実施例においては、固着手段11の本数を3本としたが、任意の本数に設定でき、固着手段11と11の間隔も任意に設定する。また、固着手段11を、発泡プラスチック板4全面に亘って配設し、畳表10の全面を発泡プラスチック板4へ固着してもよい。
【0023】
また、発泡プラスチック板4、5及び芯材2の横方向の側部にも、畳表10が配設されている。プラスチック製人工い草10aとして、プラスチックからなる非吸水性のものを用い、たとえば、表面に実質的に細孔を有しないものや、中空糸形状で両端部を熱融着などにより封止し、吸水しにくい構造としたものを用いることができるが、好ましくは、実質的に内部までプラスチックにより中実に形成されて本質的に非吸水性を付与された人工い草を用いる。
【0024】
風呂用敷物1の長手方向の両縁部には、図1に示すように、畳縁14が、縦方向全体に亘って配設されている。畳縁14として、合繊繊維からなる布帛を用いると良い。
【0025】
前記畳縁14の取り付け方法について説明する。
先ず、畳縁14を裏返した状態で、図3に示すように、畳縁14の一方の側部を畳表10の長手方向の両縁部にあわせ、かつ、畳縁14の他方を畳表10の内側方向に向かうようにして、畳縁14の前記一方を畳表10に固着する。本実施例においては、両面テープを用いて固着した。
【0026】
次に、押さえ板16を畳縁14の前記一方の上面に配設し、この押さえ板16の上部から、締結部材3により畳縁14の一部と押さえ板16を芯材2に対して固着する。本実施例においては、押さえ板16として塩化ビニール製の板を使用した。締結部材3としては、例えば、釘や螺子釘や螺子が挙げられる。
【0027】
次に、畳縁14を折り返して、発泡プラスチック板4、5及び芯材2の側部を覆い、畳縁14の他方の側部を下側の発泡プラスチック板5の下面に対して両面テープなどにより固着する。この他方の端部も、前記のように発泡プラスチック板5の下面に固着させた後に、その他方の端部の下面に押さえ板16を当て、その下側から締結部材3を用いて、畳縁14の端部と押さえ板16を芯材2に対して固着する。
【0028】
発泡プラスチック板4の下面には、前記ポリエチレン製の布18が、畳縁14の下面及び下側の発泡プラスチック5の下面全体に亘って配設され、該ポリエチレン製の布18は、発泡プラスチック板5の下面に接着剤により固着されている。
【0029】
なお、前記ポリエチレン製の布18の代わりに、プラスチック製人工い草で形成された畳表10を用いても良い。
【0030】
前記のように、芯材2、発泡プラスチック板4、5、畳表10、畳縁14、ポリエチレン製の布18を配設した後に、上下方向からプレス加工が施されている。これにより、各部材相互間の接着を強固にしている。
【0031】
前記プレス加工を施した後に、前記布18の下面には脚20が締結部材3により、芯材2に対して固設されている。脚20として、例えば、ゴム等の弾性材料からなる部材を用いる。この脚20は、適宜間隔で複数個設けられている。なお、該脚20は、設けなくとも良い。
【0032】
本発明の風呂用敷物1は、前記のような構造を有するために次のような作用、効果を奏する。
【0033】
前記のように、畳表10を上面に配設したことにより、風呂用敷物1の上面形状が凸凹状となり、畳表10上に水や石鹸等が付着した場合においても、足等の滑りを抑制することができる。また、畳様の外観、感触を付与することができる。
【0034】
また、芯材2を有することにより、釘や螺子等の締結部材3で、他の構成部材を芯材2に対して、容易に固設することができ、特別な締結装置を用いることなく、風呂用敷物1の製造が容易になる。
【0035】
発泡プラスチック板4の上面4a側に複数の凹状の溝7を形成したことにより、畳表10を通過した水を容易に排出することができ、水はけが良くなり、畳表10の表面における足等の滑りを抑制できる。また、風呂用敷物1を使用後に立てかけておくことにより、風呂用敷物1を容易に乾燥させることができる。
【0036】
また、芯材2の上面と下面に発泡プラスチック板4、5を配設したことにより、芯材2が木製の板材の場合でも、芯材2が反ることを防止できる。
【0037】
また、固着手段11を、人工い草の方向と直交する方向に配設して、畳表10、すなわち、人工い草10aを、発泡プラスチック板4の上面に固着したことにより、風呂用敷物1の使用中に隣接する人工い草10a間の隙間が広がることを防止することができる。
【0038】
また、脚20を設けた場合、使用時における風呂用敷物1と床等との間の水はけが向上し、使用時における風呂用敷物1の移動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例における風呂用敷物の上面図。
【図2】本発明の実施例における風呂用敷物の部分拡大縦断面概略図。
【図3】本発明の実施例における畳縁の畳表への取付け方法を説明する図。
【符号の説明】
【0040】
1 風呂用敷物
2 芯材
3 締結部材
4、5 プラスチック発泡板
7 凹状の溝
10 畳表
10a 人工い草
11 固着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、該芯材の上下に配設したプラスチック発泡板と、このプラスチック発泡板の前記芯材とは逆側の面の少なくも一方にプラスチック製人工い草で形成された畳表を有し、
締結部材により、前記プラスチック発泡板及び、前記畳表を前記芯材に固定したことを特徴とする風呂用敷物。
【請求項2】
前記プラスチック発泡板の前記畳表側に凹状の溝を形成したことを特徴とする請求項1記載の風呂用敷物。
【請求項3】
前記芯材が耐水加工を施した木製の板材であることを特徴とする請求項1又は2記載の風呂用敷物。
【請求項4】
前記プラスチック発泡板が、ポリスチレン発泡体であることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の風呂用敷物。
【請求項5】
前記畳表を、プラスチック発泡板に対して、固着手段を用いて固着するとともに、該固着手段を前記人工い草の方向と直交する方向に配設したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の風呂用敷物。
【請求項6】
前記固着手段として、両面接着テープを用いたことを特徴とする請求項5記載の風呂用敷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−156920(P2008−156920A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347450(P2006−347450)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(506428746)稲垣商事株式会社 (3)
【Fターム(参考)】