説明

駆動回路および電流制御回路

【課題】ペルチェ素子を加熱および冷却を切替えて使用する。
【解決手段】一端が負荷と接続され、他端が負荷を駆動する駆動用電源と接続され、少なくとも、入力端子に入力される第1の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第1のスイッチング素子と、一端が負荷および第1のスイッチング素子の一端と接続され、他端が基準電位と接続され、第2の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第2のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子がオフ状態である場合に、第1のスイッチング素子の入力端子に電圧を供給する電圧供給部と、第1の制御信号および第2の制御信号のそれぞれを、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のそれぞれに供給し、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを交互にオン・オフ動作させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路および電流制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の蓄電モジュールを直列に接続した蓄電システムが、電気自動車の電源などに利用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。蓄電システムにおいては、ペルチェ素子を用いて蓄電モジュールの温度を調整する場合がある。
[特許文献]
特許文献1 特開2008−161029号公報
特許文献2 特開2004−088878号公報
特許文献3 特開2009−232660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ペルチェ素子は、通常、加熱または冷却の一方の用途で使用される。しかし、蓄電モジュールの温度を調整する場合には、加熱および冷却を切替えながら使用する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、一端が、負荷と電気的に接続され、他端が、負荷を駆動する駆動用電源と電気的に接続され、少なくとも、入力端子に入力される第1の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第1のスイッチング素子と、一端が、負荷および第1のスイッチング素子の一端と電気的に接続され、他端が、基準電位と電気的に接続され、第2の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第2のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子がオフ状態である場合に、第1のスイッチング素子の入力端子に電圧を供給する電圧供給部と、第1の制御信号および第2の制御信号のそれぞれを、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のそれぞれに供給し、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを交互にオン・オフ動作させる制御部とを備える駆動回路が提供される。
【0005】
上記の駆動回路において、制御部は、負荷の駆動を開始する場合に、第1のスイッチング素子がオフ状態であり、第2のスイッチング素子がオン状態となるように第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を制御した後、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを交互にオン・オフ動作させてよい。
【0006】
上記の駆動回路において、電圧供給部は、一端が、第1のスイッチング素子の入力端子と電気的に接続され、他端が、第1のスイッチング素子の一端および第2のスイッチング素子の一端と電気的に接続されるキャパシタを有してよい。上記の駆動回路において、キャパシタは、第2のスイッチング素子がオン状態の場合に充電され、第2のスイッチング素子がオフ状態になった場合に、第1のスイッチング素子の入力端子に対して充電された電荷に応じた電圧を供給してよい。上記の駆動回路において、電圧供給部は、制御部およびキャパシタの一端の間に電気的に接続され、制御部からキャパシタの一端の方向に電流を流すダイオードを有してよい。
【0007】
上記の駆動回路は、一端が、第1のスイッチング素子の入力端子およびキャパシタの一端と電気的に接続され、他端が、基準電位と電気的に接続され、第3の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第3のスイッチング素子をさらに備えてよい。上記の駆動回路において、第2のスイッチング素子の閾値電圧は、第3のスイッチング素子の閾値電圧よりも大きくてよい。上記の駆動回路において、制御部は、第3の制御信号の電圧が第3のスイッチング素子の閾値電圧以上の大きさになるまで、第2のスイッチング素子がオフ状態を維持するように第2のスイッチング素子を制御してよい。
【0008】
上記の駆動回路において、制御部は、第2の制御信号の電圧が第2のスイッチング素子の閾値電圧以上の大きさになる前に、第3のスイッチング素子がオン状態となるように第3のスイッチング素子を制御してよい。上記の駆動回路において、制御部は、第3の制御信号の電圧が第3のスイッチング素子の閾値電圧以下の大きさになる前に、第2のスイッチング素子がオフ状態となるように第2のスイッチング素子を制御してよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、第1の上記駆動回路と、第2の上記駆動回路とを備え、第1の駆動回路の第1のスイッチング素子の一端、および、第1の駆動回路の第2のスイッチング素子の一端が、負荷の一端と電気的に接続され、第2の駆動回路の第1のスイッチング素子の一端、および、第2の駆動回路の第2のスイッチング素子の一端が、負荷の他端と電気的に接続され、第1の駆動回路の第1のスイッチング素子の他端、および、第2の駆動回路の第1のスイッチング素子の他端が、駆動用電源の一端と電気的に接続され、第1の駆動回路の第2のスイッチング素子の他端、および、第2の駆動回路の第2のスイッチング素子の他端が、駆動用電源の他端と電気的に接続され電流制御回路が提供される。
【0010】
上記の電流制御回路において、制御部は、第2の駆動回路の第1のスイッチング素子がオフ状態であり、第2の駆動回路の第2のスイッチング素子がオン状態である場合に、第1の駆動回路の第1のスイッチング素子および第1の駆動回路の第2のスイッチング素子を交互にオン・オフ動作させ、第1の駆動回路の第1のスイッチング素子がオフ状態であり、第1の駆動回路の第2のスイッチング素子がオン状態である場合に、第2の駆動回路の第1のスイッチング素子および第2の駆動回路の第2のスイッチング素子を交互にオン・オフ動作させてよい。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】蓄電システム100の一例を概略的に示す。
【図2】蓄電部110および電力供給部150の一例を概略的に示す。
【図3】電力供給部350の一例を概略的に示す。
【図4】温度制御部190の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ペルチェ素子を加熱および冷却を切替えながら使用する場合、ペルチェ素子に供給する電流の向きを制御する必要がある。複数の蓄電モジュールを直列に接続した蓄電システムをペルチェ素子の電源として使用する場合、電流の向きを制御する回路として、Hブリッジを利用することが考えられる。この場合、ハイサイドのスイッチング素子を動作させることを目的として、ペルチェ素子の電源よりも電圧の高い電源を用意することが考えられる。しかし、この場合、回路が複雑になり、回路のコストも増加する。
【0014】
発明者らは、例えば、ハイサイドのスイッチング素子とローサイドのスイッチング素子とを同じ電源で動作させることで、回路のコストを大幅に低減できることを見出した。以下、蓄電システムの温度制御部に用いられる回路を例として、駆動回路および電流制御回路について説明する。
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0016】
図1は、蓄電システム100の一例を概略的に示す。蓄電システム100は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、昇降機などの輸送装置、または、PC、携帯電話などの電気機器の電源として用いられてよい。蓄電システム100は、太陽光発電、風力発電などの発電装置に電気的に接続される蓄電装置として用いられてもよい。
【0017】
本実施形態において、蓄電システム100は、マスタモジュール102と、スレーブモジュール104と、外部端子106と、外部端子107と、スイッチ素子108とを備える。蓄電システム100は、1以上のスレーブモジュール104を有してよい。蓄電システム100は、動作中に、マスタモジュール102および1以上のスレーブモジュール104のそれぞれの電圧を均等化させてもよい。
【0018】
本実施形態において、マスタモジュール102は、蓄電部110と、端子122と、端子124と、スイッチ素子130と、モジュール制御部140と、電力供給部150と、温度制御部190とを有する。モジュール制御部140は、電源入力端子126を有してよい。電力供給部150は、電力分配部152と、端子154と、端子162と、端子164と、端子172と、端子174とを含んでよい。本実施形態において、スレーブモジュールは、蓄電部110と、端子122と、端子124と、電源入力端子126と、スイッチ素子130と、モジュール制御部140と、温度制御部190とを有する。
【0019】
マスタモジュール102およびスレーブモジュール104は直列に接続される。マスタモジュール102は外部端子106と電気的に接続され、スレーブモジュール104は外部端子107と電気的に接続される。
【0020】
「電気的に接続される」とは、ある要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。ある要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、ある要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、ある要素と他の要素とが製造段階で電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電システムが外部の充電装置または負荷と電気的に接続されたときに、ある要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、ある要素と他の要素とが直列に電気的に接続されていることを示す。「端子」とは、物理的な端子だけでなく、ある要素と他の要素との接続部をも含む。
【0021】
外部端子106および外部端子107は、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104を外部と電気的に接続する。スイッチ素子108は、電力供給部150と、外部端子106または外部端子107との間を電気的に接続する。スイッチ素子108は、MOSFETなどのトランジスタであってもよく、リレーであってもよい。また、スイッチ素子108の代わりにコネクタが用いられてもよい。
【0022】
蓄電部110は、蓄電システム100の外部の充電装置(図示していない。)と電気的に接続され、電気エネルギーを蓄える。蓄電部110は、外部の負荷(図示していない。)と電気的に接続され、当該負荷に電力を供給する。蓄電部110は、端子122および端子124を介して他の蓄電部110と電気的に接続される。端子124は、蓄電部110の一端および外部端子107の間に電気的に接続される端子122は、蓄電部110の他端および外部端子106の間に電気的に接続される。
【0023】
スイッチ素子130は、蓄電部110の一端および端子124の間を電気的に接続する。スイッチ素子130は、モジュール制御部140からの制御信号φ12に基づいて、オン状態とオフ状態とを切り替える。スイッチ素子130は、制御信号φ12を受信していない場合にオフ状態であり、制御信号φ12を受信した場合にオン状態になってよい。スイッチ素子130は、MOSFETなどのトランジスタであってもよく、リレーであってもよい。
【0024】
モジュール制御部140は、スイッチ素子130のオン・オフ動作を制御する。モジュール制御部140は、スイッチ素子130のオン・オフ動作を制御する制御信号φ12を生成して、スイッチ素子130に供給してよい。モジュール制御部140は、端子122と、電源入力端子126との間の電圧を駆動電圧として動作してよい。モジュール制御部140は、パルス幅変調器などのパルス変調器であってよい。
【0025】
本実施形態において、モジュール制御部140は、電力供給部150から電力を供給される。そのため、電力供給部150から電力が供給されていない状態では、モジュール制御部140からスイッチ素子130に制御信号φ12が供給されない。これにより、蓄電システム100の組立中に、万が一、端子122および端子124が短絡された場合であっても、端子122および端子124の間には電流が流れない。その結果、蓄電システム100を安全に組み立てることができる。
【0026】
電力供給部150は、外部端子106および外部端子107が外部の充電装置と電気的に接続され、外部端子106および外部端子107に電力が供給された場合に、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104のそれぞれが有するモジュール制御部140に電力を供給する。
【0027】
電力分配部152は、外部端子106および外部端子107が外部の充電装置と電気的に接続された場合に、電力を発生させる。電力分配部152は、発生した電力を、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104のそれぞれが有するモジュール制御部140に供給する。
【0028】
本実施形態において、電力分配部152は、端子162または端子172と、スレーブモジュール104の端子122とを介して、スレーブモジュール104のモジュール制御部140の基準電圧端子と電気的に接続される。電力分配部152は、端子164または端子174を介して、スレーブモジュール104のモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続される。同様に、電力分配部152は、同様にして、マスタモジュール102とも電気的に接続される。
【0029】
電力分配部152は、一端が、スイッチ素子108を介して外部端子107と電気的に接続される。電力分配部152の他端のうちの少なくとも1つは、外部端子106と電気的に接続されてよい。本実施形態において、電力分配部152は、電力供給部150の端子154およびスイッチ素子108を介して、外部端子107と電気的に接続される。これにより、スイッチ素子108がオフ状態である場合に、外部端子106および外部端子107に電力が供給されたとしても、電力分配部152は電力を発生させない。なお、電力分配部152は、一端が、外部端子107と電気的に接続され、他端のうちの少なくとも1つがスイッチ素子108を介して外部端子106と電気的に接続されてもよい。
【0030】
本実施形態によれば、蓄電システム100を組み立てる場合、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104を直列に接続した後、スイッチ素子108をオン状態にしてから、外部端子106および外部端子107に電力を供給しなければ、スイッチ素子130がオン状態にならない。そのため、より安全に蓄電システム100を組み立てることができる。
【0031】
温度制御部190は、マスタモジュール102またはスレーブモジュール104の蓄電部110の温度を制御する。温度制御部190は、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104のそれぞれに配されてよい。それぞれの温度制御部190は、対応する蓄電部110の温度を独立に制御してよい。それぞれの温度制御部190は、対応する蓄電部110から電力を供給されてよい。
【0032】
図2は、蓄電部110および電力供給部150の一例を概略的に示す。説明を簡単にする目的で、図2には、蓄電部110および電力供給部150とともに、マスタモジュール102の他の要素も示す。図2は、マスタモジュール102の一例として、電力供給部150が、他の要素とともに筐体280の内部に配される場合を示す。しかし、マスタモジュール102はこれに限定されない。電力供給部150と他の要素とが、それぞれ異なる筐体に配されてもよい。
【0033】
本実施形態において、蓄電部110は、蓄電セル210と、バランス補正部220とを有する。蓄電部110は、直列に接続された複数の蓄電セル210を有してよい。蓄電セル210は、二次電池またはキャパシタであってよい。二次電池としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池などが用いられてよい。蓄電セル210は、さらに、複数の二次電池またはキャパシタを含んでもよい。蓄電セル210は、複数の二次電池またはキャパシタが並列に接続された組電池であってもよい。
【0034】
バランス補正部220は、複数の蓄電セル210の電圧を均等化させる。バランス補正部220の動作原理および構成は特に限定されるものではないが、例えば、特開2004−088878号公報に記載されているように、複数の蓄電セル210のそれぞれに対応する複数の二次巻線を有するトランスと、直列に接続された複数の蓄電部110の電圧をスイッチングして、トランスの一次巻線に通電させる開閉回路を形成するスイッチング素子とを用いて、複数の蓄電セル210の電圧を均等化させてよい。スイッチング素子として、制御信号を受信していない場合にオフ状態となる素子が用いられてよい。
【0035】
この場合、トランスの二次巻線のそれぞれは、誘導された出力電力を、対応する蓄電部110に充電供給するように構成される。これにより、スイッチング素子をオン・オフ動作させてトランスの一次巻線にパルス電流を発生させることで、直列に接続された蓄電部110の電圧が複数の蓄電セル210に再分配され、蓄電部110間の電圧が均等化される。
【0036】
バランス補正部220の他の例としては、例えば、特開2009−232660号公報に記載されているように、直列に接続された2つの蓄電セル210の中間接続点に一端が接続されるインダクタと、インダクタの他端と2つの蓄電セル210の一方の直列接続端との間に介在して開閉回路を形成するスイッチング素子と、インダクタの他端と2つの蓄電セル210の他方の直列接続端との間に介在して開閉回路を形成するスイッチング素子とを用いて、複数の蓄電セル210の電圧を均等化させてよい。スイッチング素子として、制御信号を受信していない場合にオフ状態となる素子が用いられてよい。
【0037】
この場合、直列に接続された2つの蓄電セル210に対して1つのバランス補正回路が配される。例えば、蓄電部110が直列に接続された4つの蓄電セル210を備える場合、バランス補正部220は、3つのバランス補正回路を備える。2つのスイッチング素子を交互にオン・オフ動作させることで、直列に接続された2つの蓄電セル210の間の電圧が均等化される。
【0038】
バランス補正部220は、モジュール制御部140からの制御信号φ22に基づいて、上記の開閉回路を形成するスイッチング素子のオン・オフ動作を制御してよい。モジュール制御部140は、パルス幅変調器であってもよく、パルスの周期およびパルス幅を制御することで、当該スイッチング素子のオン・オフ動作を制御してよい。
【0039】
バランス補正部220が複数の蓄電セル210の電圧を均等化させる場合、多少の電力が消費される。しかし、本実施形態においては、モジュール制御部140が、バランス補正部220の動作を制御する。そのため、モジュール制御部140に電力が供給されていない状態では、バランス補正が実施されない。これにより、例えば、保管中の消費電力を低減させることができる。
【0040】
本実施形態において、電力分配部152は、トランス230と、スイッチング素子270と、電力供給制御部272とを有する。トランス230は、一次巻線232と、二次巻線242と、ダイオード244と、キャパシタ246と、二次巻線252と、ダイオード254と、キャパシタ256、二次巻線262と、ダイオード264と、キャパシタ266とを含む。
【0041】
本実施形態では、電力分配部152が、二次巻線242、二次巻線252および二次巻線262を有する場合について説明する。しかし、二次巻線の数はこれに限定されない。蓄電システム100に含まれるマスタモジュール102およびスレーブモジュール104の数に応じて、二次巻線の数も増減してもよい。
【0042】
本実施形態において、一次巻線232は、スイッチ素子108およびスイッチング素子270を介して、外部端子106および外部端子107の間に電気的に接続される。これにより、スイッチ素子108およびスイッチング素子270がオン状態である場合に、充電装置(図示していない。)から外部端子106および外部端子107の間に電力が供給されると、電力供給部150からモジュール制御部140のそれぞれに電力が供給される。
【0043】
二次巻線242は、マスタモジュール102が有するモジュール制御部140(対応するモジュール制御部140と言う場合がある。)と電気的に接続される。二次巻線242の一端は、対応するモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続される。二次巻線242の他端は、対応するモジュール制御部140の基準電圧端子と電気的に接続される。
【0044】
ダイオード244は、一端が、二次巻線242の一端と電気的に接続され、他端が、対応するモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続される。ダイオード244は、二次巻線242の一端からモジュール制御部140の電源入力端子126に向かって電流を流す向きに配される。キャパシタ246は、一端がダイオード244の他端および対応するモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続され、他端が、対応するモジュール制御部140の基準電圧端子と電気的に接続される。ダイオード244およびキャパシタ246は、二次巻線242に誘導された出力電力を整流して、モジュール制御部140の電源入力端子126に電力を供給する。
【0045】
同様に、二次巻線252および二次巻線262は、それぞれ、対応するスレーブモジュール104が有するモジュール制御部140(対応するモジュール制御部140と言う場合がある。)と電気的に接続される。ダイオード254およびキャパシタ256は、二次巻線252に誘導された出力電力を整流して、対応するモジュール制御部140の電源入力端子126に電力を供給する。ダイオード264およびキャパシタ266は、二次巻線262に誘導された出力電力を整流して、対応するモジュール制御部140の電源入力端子126に電力を供給する。
【0046】
スイッチング素子270は、外部端子106および外部端子107の一方と、一次巻線232との間に介在して開閉回路を形成する。本実施形態において、スイッチング素子270の一端は、端子122を介して外部端子106と電気的に接続される。スイッチング素子270の他端は、一次巻線232の一端と電気的に接続される。
【0047】
スイッチング素子270がオン・オフ動作を繰り返すことで、トランス230の一次巻線232にパルス電流が発生する。これにより、二次巻線242、二次巻線252および二次巻線262のそれぞれに出力電流が誘導される。スイッチング素子270は、電力供給制御部272からの制御信号φ24に基づいて、オン状態およびオフ状態を切り替えてよい。
【0048】
スイッチング素子270は、特に限定されるものではないが、制御信号φ24を受信していない場合にオフ状態であり、制御信号φ24を受信した場合にオン状態になる素子であってもよい。スイッチング素子270は、MOSFETなどのトランジスタであってもよく、リレーであってもよい。
【0049】
電力供給制御部272は、スイッチング素子270のオン・オフ動作を制御する。電力供給制御部272は、パルス幅変調器などのパルス変調器であってよい。これにより、トランス230の一次巻線232にパルス電流を発生させることができる。その結果、二次巻線242、二次巻線252および二次巻線262のそれぞれに出力電流が誘導され、対応するモジュール制御部140のそれぞれに、電力が供給される。
【0050】
電力供給制御部272の電源は外部から供給されてもよい。電力供給制御部272は、誘導される出力電流を測定して、測定結果に基づいて、スイッチング素子270のオン・オフ動作を制御してよい。例えば、電力供給制御部272は、トランス230に配される二次巻線をさらに有して、当該二次巻線に誘導される出力電流を測定してよい。
【0051】
図3は、電力供給部350の一例を概略的に示す。説明を簡単にする目的で、図3には、電力供給部150とともに、マスタモジュール102のモジュール制御部140および端子122と、電源入力端子126と、外部端子106とを示す。
【0052】
電力供給部350は、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104のそれぞれに対応する二次巻線が、複数の二次巻線を含む点で、電力供給部150と相違する。本実施形態において、当該複数の二次巻線は直列に接続されており、直列に接続された二次巻線の両端は、それぞれ、対応する蓄電モジュールの蓄電部110の両端と電気的に接続される。これにより、蓄電システム100は、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104の間で電圧にバラつきがある場合に、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104の間の電圧を均等化させることができる。
【0053】
特に、本実施形態においては、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104のそれぞれが、それぞれの蓄電部110から電力を供給される温度制御部190を有する。マスタモジュール102およびスレーブモジュール104の放熱特性は、それぞれが配された位置によって異なることから、マスタモジュール102およびスレーブモジュール104の電池残量が均一でなくなり、電圧にバラつきが生じやすい。
【0054】
例えば、蓄電システム100の外部に近い側に配されたマスタモジュール102またはスレーブモジュール104は、蓄電システム100の外部から遠い側に配されたマスタモジュール102またはスレーブモジュール104と比較して、外気の影響を受けやすい。蓄電システム100の外部から遠い側に配されたマスタモジュール102またはスレーブモジュール104は、蓄電システム100の外部に近い側に配されたマスタモジュール102またはスレーブモジュール104と比較して、外部に熱を放出しにくい。電力供給部350は、このような場合に好適に用いられる。
【0055】
本実施形態において、電力供給部350は、電力分配部351と、端子154と、端子162と、端子164と、端子172と、端子174と、端子348と、端子358と、端子368とを含む。端子348は、マスタモジュール102の端子124と電気的に接続される。端子358および端子368は、それぞれ、対応するスレーブモジュール104の端子124と電気的に接続される。端子348、端子358および端子368のそれぞれは、対応する蓄電モジュールの端子124とスイッチ素子130との間の中間接続点と電気的に接続されてよい。
【0056】
電力分配部351は、トランス330と、スイッチング素子270と、電力供給制御部272とを有する。以下、電力供給部150の各構成との相違点について説明し、電力供給部150の各構成と同様の構成については説明を省略する場合がある。例えば、説明を省略した部分については、電力分配部351は電力分配部152と同様の構成を有してよく、トランス330はトランス230と同様の構成を有してよい。
【0057】
トランス330は、一次巻線232を含む。トランス330は、二次巻線242および二次巻線342と、ダイオード244およびダイオード344と、キャパシタ246およびキャパシタ346とを含む。トランス330は、二次巻線252および二次巻線352と、ダイオード254およびダイオード354と、キャパシタ256およびキャパシタ356とを含む。トランス330は、二次巻線262および二次巻線362と、ダイオード264およびダイオード364と、キャパシタ266およびキャパシタ366とを含む。
【0058】
二次巻線342は、二次巻線242と直列に接続される。二次巻線242の一端は、マスタモジュール102の端子122と電気的に接続される。二次巻線342の一端は、マスタモジュール102の端子124と電気的に接続される。二次巻線242の他端および二次巻線342の他端は、マスタモジュール102が有するモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続される。
【0059】
ダイオード344は、一端が、二次巻線342の一端と電気的に接続され、他端が、端子348と電気的に接続される。ダイオード344は、二次巻線342の一端から端子348に向かって電流を流す向きに配される。キャパシタ346は、一端がダイオード344の他端および端子348と電気的に接続され、他端が、二次巻線242の一端と電気的に接続される。
【0060】
同様に、二次巻線352は、二次巻線252と直列に接続される。二次巻線252の一端は、対応するスレーブモジュール104の端子122と電気的に接続される。二次巻線352の一端は、対応するスレーブモジュール104の端子124と電気的に接続される。二次巻線252の他端および二次巻線352の他端は、対応するスレーブモジュール104が有するモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続される。
【0061】
ダイオード354は、一端が、二次巻線352の一端と電気的に接続され、他端が、端子358と電気的に接続される。ダイオード354は、二次巻線352の一端から端子358に向かって電流を流す向きに配される。キャパシタ356は、一端がダイオード354の他端および端子358と電気的に接続され、他端が、二次巻線252の一端と電気的に接続される。
【0062】
同様に、二次巻線362は、二次巻線262と直列に接続される。二次巻線262の一端は、対応するスレーブモジュール104の端子122と電気的に接続される。二次巻線362の一端は、対応するスレーブモジュール104の端子124と電気的に接続される。二次巻線262の他端および二次巻線362の他端は、対応するスレーブモジュール104が有するモジュール制御部140の電源入力端子126と電気的に接続される。
【0063】
ダイオード364は、一端が、二次巻線362の一端と電気的に接続され、他端が、端子368と電気的に接続される。ダイオード364は、二次巻線362の一端から端子368に向かって電流を流す向きに配される。キャパシタ366は、一端がダイオード364の他端および端子368と電気的に接続され、他端が、二次巻線262の一端と電気的に接続される。
【0064】
本実施形態によれば、直列に接続された2つの二次巻線のそれぞれは、スイッチング素子270のスイッチング動作により誘導された出力電力を、対応する蓄電部110に充電供給する。その結果、直列に接続された複数の蓄電部110の電圧を、複数の蓄電部110のそれぞれの間で再分配することができ、マスタモジュール102および1以上のスレーブモジュール104の間で電圧を均等化することができる。これにより、トランス330を、モジュール制御部140への電力の供給と、電圧の均等化とに利用することができる。なお、蓄電システム100は、その他の方法により、マスタモジュール102および1以上のスレーブモジュール104の間で電圧を均等化してもよい。
【0065】
図4は、温度制御部190の一例を概略的に示す。図4は、説明を簡単にする目的で、温度制御部190を、蓄電部110とともに示す。本実施形態において、温度制御部190は、ペルチェ素子40と、ペルチェ素子40に供給する電流の大きさおよび向きの少なくとも一方を調整する電流制御部400とを備える。電流制御部400は、駆動部402と、駆動部404と、駆動制御部406とを有する。
【0066】
本実施形態において、温度制御部190は、ペルチェ素子40を用いて蓄電部110の温度を制御する。しかし、温度制御部190はこれに限定されない。例えば、ペルチェ素子40の代わりに抵抗を用いて蓄電部110の温度を調整してもよい。ペルチェ素子40は、駆動部402および駆動部404の負荷の一例であってよい。駆動部402は、第2の駆動回路の一例であってよい。駆動部404は、第1の駆動回路の一例であってよい。
【0067】
なお、本実施形態において、駆動部402および駆動部404が、同一の駆動制御部406により制御される場合について説明する。しかし、駆動部402および駆動部404はこれに限定されない。駆動部402および駆動部404が、それぞれ、駆動制御部406を有してもよい。
【0068】
まず、駆動部402および駆動部404について説明する。説明を簡単にする目的で、駆動部402を例として、駆動部402および駆動部404の構成および動作について説明する。駆動部404は駆動部402と同様の構成を有してよい。駆動部404の制御信号φ44は、駆動部402の制御信号φ42に対応する。駆動部404の制御信号φ471、制御信号φ472および制御信号φ473は、それぞれ、駆動部402の制御信号φ461、制御信号φ462および制御信号φ463に対応する。
【0069】
本実施形態において、駆動部402および駆動部404は、ペルチェ素子40を駆動するHブリッジ回路を構成する。駆動部402および駆動部404のそれぞれは、スイッチング素子410と、スイッチング素子420と、スイッチング素子430と、電圧供給部440とを有する。スイッチング素子410、スイッチング素子420およびスイッチング素子430のそれぞれは、駆動制御部406から供給される制御信号が入力される入力端子412、入力端子422および入力端子432を含んでよい。電圧供給部440は、キャパシタ442と、ダイオード443と、ダイオード444と、抵抗445と、抵抗446とを含んでよい。
【0070】
スイッチング素子410は、一端が、ペルチェ素子40の一端と電気的に接続される。スイッチング素子410の他端は、ペルチェ素子40を駆動する蓄電部110の一端と電気的に接続される。スイッチング素子410の入力端子412には、制御信号φ461が入力される。スイッチング素子410は、入力端子412に入力される電圧の大きさに基づいて、オン状態およびオフ状態を切り替えてよい。スイッチング素子410は、MOSFETなどのトランジスタであってよい。スイッチング素子410は、第1のスイッチング素子の一例であってよい。
【0071】
スイッチング素子410は、少なくとも、制御信号φ463に応じてオン状態およびオフ状態を切り替えてよい。本実施形態において、スイッチング素子410は、入力端子412に入力される制御信号φ42に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える。制御信号φ42は、制御信号φ461、制御信号φ462および制御信号φ463に応じて変化する。例えば、制御信号φ461がオン信号であっても、スイッチング素子430がオン状態である場合には、制御信号φ42はオフ信号となる。
【0072】
また、スイッチング素子420がオフ時に410のソース電位が高まり、実質的に制御信号φ461がオフ信号となった場合であっても、スイッチング素子430がオフ状態であり、キャパシタ442に十分な電荷が充電されている場合には、制御信号φ42はオン信号となる。キャパシタ442の充電状態は、スイッチング素子410がオンする前に制御信号φ461と制御信号φ462によりスイッチング素子420を短期間オンすることで制御されてよい。
【0073】
スイッチング素子420は、一端が、ペルチェ素子40の一端およびスイッチング素子410の一端と電気的に接続される。スイッチング素子420の他端は、基準電位408と電気的に接続される。スイッチング素子420の他端は、蓄電部110の他端と電気的に接続される。スイッチング素子420の入力端子422には、制御信号φ462が入力される。スイッチング素子420は、入力端子422に入力される電圧の大きさに基づいて、オン状態およびオフ状態を切り替えてよい。スイッチング素子420は、入力端子422に入力される制御信号φ462に応じてオン状態およびオフ状態を切り替えてよい。スイッチング素子420は、MOSFETなどのトランジスタであってよい。スイッチング素子420は、第2のスイッチング素子の一例であってよい。
【0074】
スイッチング素子420の閾値電圧は、スイッチング素子430の閾値電圧よりも大きくてよい。これにより、例えば、制御信号φ462およびφ463が、同一の制御用電源により生成され、ほぼ同時に供給された場合であっても、スイッチング素子430の方が、スイッチング素子420よりも先に、スイッチング動作を実施することができる。
【0075】
スイッチング素子430は、一端が、スイッチング素子410の入力端子412およびキャパシタ442の一端と電気的に接続される。スイッチング素子430の他端は、基準電位408と電気的に接続される。スイッチング素子430の入力端子432には、制御信号φ463が入力される。スイッチング素子430は、入力端子432に入力される電圧の大きさに基づいて、オン状態およびオフ状態を切り替えてよい。スイッチング素子430は、入力端子432に入力される制御信号φ463に応じてオン状態およびオフ状態を切り替えてよい。スイッチング素子430は、MOSFETなどのトランジスタであってよい。スイッチング素子430は、第3のスイッチング素子の一例であってよい。
【0076】
スイッチング素子430がオン状態の場合、スイッチング素子410の入力端子412が、抵抗446を介して基準電位408と電気的に接続される。これにより、スイッチング素子410はオフ状態になる。一方、スイッチング素子430がオフ状態の場合、スイッチング素子410の入力端子412には、駆動制御部406および電圧供給部440から供給される電圧が引加される。入力端子412に引加された電圧がスイッチング素子410の閾値電圧よりも大きくなると、スイッチング素子410がオン状態になる。
【0077】
電圧供給部440は、スイッチング素子410の入力端子412に電圧を供給する。電圧供給部440は、スイッチング素子420がオフ状態である場合に、入力端子412に電圧を供給してよい。本実施形態においては、制御信号φ461が供給されている状態で、スイッチング素子420およびスイッチング素子430がオン状態からオフ状態に切り替えられ、電圧供給部440から入力端子412に電圧が供給される。
【0078】
キャパシタ442は、一端が、スイッチング素子410の入力端子412と電気的に接続される。キャパシタ442の他端は、スイッチング素子410の一端およびスイッチング素子420の一端と電気的に接続される。
【0079】
キャパシタ442は、スイッチング素子420がオン状態の場合に充電される。スイッチング素子420がオン状態の場合、キャパシタ442の他端が基準電位408と電気的に接続される。これにより、キャパシタ442には、制御信号φ461の電圧と基準電位408との差に相当する電荷が充電される。なお、スイッチング素子420がオン状態の場合には、スイッチング素子410がオフ状態となるよう制御される。これにより、蓄電部110の一端および他端が短絡されるのを防止することができる。
【0080】
キャパシタ442は、スイッチング素子420がオフ状態である場合に、スイッチング素子410の入力端子412に、充電された電荷に応じた電圧を供給するよう制御される。本実施形態においては、制御信号φ461が供給されている状態で、スイッチング素子430がオン状態の場合に、短期間、スイッチング素子420がオン状態とされた後、スイッチング素子420、スイッチング素子430の順にオフ状態に切り替えられる。これにより、スイッチング素子410の入力端子412には、キャパシタ442から供給される電圧が引加される。
【0081】
ダイオード443は、駆動制御部406およびキャパシタ442の一端の間に電気的に接続される。ダイオード443は、駆動制御部406の制御用電源450とキャパシタ442の一端との間に電気的に接続されてもよい。ダイオード443は、駆動制御部406からキャパシタ442の一端に電流を流す向きに配される。これにより、スイッチング素子430がオフ状態になった場合に、キャパシタ442に充電された電荷に応じた電圧が、入力端子412に印加される。
【0082】
例えば、スイッチング素子410がFETである場合、スイッチング素子410がオン状態になると、スイッチング素子410のソースの電圧が上昇する。そのため、ゲートとソースとの間の電圧差が小さくなり、スイッチング素子410の動作が不安定になる。しかし、本実施形態によれば、駆動制御部406とキャパシタ442との間にダイオード443が配されており、スイッチング素子410をオン状態にする場合には、スイッチング素子420およびスイッチング素子430がオフ状態となるように制御される。
【0083】
これにより、スイッチング素子410がオン状態となり、キャパシタ442の他端の電圧が上昇した場合であっても、キャパシタ442に充電された電荷に応じた電圧が、入力端子412に供給される。その結果、スイッチング素子410のオン状態を安定化させることができる。
【0084】
本実施形態において、ダイオード444は、キャパシタ442の一端および入力端子412の中間接続点と、スイッチング素子410の一端との間に電気的に接続される。ダイオード444は、スイッチング素子410の一端から、キャパシタ442の一端および入力端子412の中間接続点に電流を流す向きに配される。
【0085】
本実施形態において、抵抗445は、キャパシタ442の一端と、ダイオード444および入力端子412の中間接続点との間に電気的に接続される。また、抵抗446は、抵抗445と、ダイオード444および入力端子412の中間接続点との間に電気的に接続される。抵抗445および抵抗446は、キャパシタ442の一端と、ダイオード444および入力端子412の中間接続点との間で、直列に接続されてよい。抵抗445および抵抗446の中間接続点は、スイッチング素子430の一端と電気的に接続されてよい。
【0086】
次に、駆動制御部406の構成について説明する。本実施形態において、駆動制御部406は、入力信号φ46に基づいて駆動部402および駆動部404の動作を制御することで、ペルチェ素子40の加熱または冷却を制御する。入力信号φ46は、蓄電部110近傍に配された温度計の指示値と、目的とする温度との差を示す信号であってよい。
【0087】
駆動制御部406は、制御信号φ461、制御信号φ462および制御信号φ463を生成して、駆動部402に供給する。これにより、駆動制御部406は、駆動部402の動作を制御する。駆動制御部406は、制御信号φ471、制御信号φ472および制御信号φ473を生成して、駆動部404に供給する。これにより、駆動制御部406は、駆動部404の動作を制御する。
【0088】
本実施形態において、制御信号φ461および制御信号φ471として、直流電圧が供給される。制御信号φ462および制御信号φ472は、それぞれ、対応するスイッチング素子420のオン・オフ動作を制御する。制御信号φ463および制御信号φ473は、それぞれ、対応するスイッチング素子430を通して、対応するスイッチング素子410のオン・オフ動作を制御する。
【0089】
駆動制御部406は、パルス幅変調器などのパルス変調器であってよい。駆動制御部406は、制御信号の生成に用いる制御用電源450を含んでよい。制御用電源450は、蓄電部110から電力を供給されてもよい。駆動制御部406は、制御部の一例であってよい。
【0090】
次に、駆動制御部406の動作について説明する。第1に、本実施形態の駆動制御部406は、駆動部402および駆動部404を制御して、ペルチェ素子40を流れる電流の向きを制御する。
【0091】
例えば、駆動部402のスイッチング素子420および駆動部404のスイッチング素子410をオン状態として、駆動部402のスイッチング素子410および駆動部404のスイッチング素子420をオフ状態とすることで、ペルチェ素子40の一端から他端の方向(図中、上から下の方向)に電流が流れる。
【0092】
一方、駆動部402のスイッチング素子410および駆動部404のスイッチング素子420をオン状態として、駆動部402のスイッチング素子420および駆動部404のスイッチング素子410をオフ状態とすることで、ペルチェ素子40の他端から一端の方向(図中、下から上の方向)に電流が流れる。
【0093】
第2に、本実施形態の駆動制御部406は、スイッチング素子410とスイッチング素子420とを交互にオン・オフ動作させる。例えば、駆動制御部406は、制御信号φ461を常に供給しながら、制御信号φ462および制御信号φ463を断続的に供給する。これにより、制御信号φ462が供給されている間、スイッチング素子420がオン状態となり、制御信号φ463が供給されている間、スイッチング素子410がオフ状態となる。
【0094】
このとき、キャパシタ442の充電および放電が交互に繰り返される。オン・オフ動作の間隔を適切に選択することで、キャパシタ442に蓄えられている電荷量が、スイッチング素子410を安定してオン動作させるのに必要な電荷量よりも大きな状態を維持することができる。
【0095】
駆動制御部406は、駆動部402のスイッチング素子410がオフ状態であり、駆動部402のスイッチング素子420がオン状態である場合に、駆動部404のスイッチング素子410および駆動部404のスイッチング素子420を交互にオン・オフ動作させてよい。これにより、ペルチェ素子40の一端から他端の方向(図中、上から下の方向)に流れるパルス電流を発生させることができる。駆動制御部406は、パルス電流の幅および周期を制御することにより、ペルチェ素子40の加熱量または冷却量を制御することができる。
【0096】
同様に、駆動制御部406は、駆動部404のスイッチング素子410がオフ状態であり、駆動部404のスイッチング素子420がオン状態である場合に、駆動部402のスイッチング素子410および駆動部402のスイッチング素子420を交互にオン・オフ動作させてよい。これにより、ペルチェ素子40の他端から一端の方向(図中、下から上の方向)に流れるパルス電流を発生させることができる。
【0097】
駆動制御部406は、ペルチェ素子40の駆動を開始する場合、まず、スイッチング素子410がオフ状態であり、スイッチング素子420がオン状態となるように、スイッチング素子410およびスイッチング素子420を制御する。その後、スイッチング素子410とスイッチング素子420とを交互にオン・オフ動作させる。これにより、ペルチェ素子40の駆動を開始する場合に、まず、キャパシタ442に電荷が充電される。その結果、ペルチェ素子40の駆動を安定的に開始することができる。
【0098】
なお、本実施形態において、駆動制御部406が、制御信号φ461、制御信号φ462および制御信号φ463を用いて、スイッチング素子410およびスイッチング素子420を交互にオン・オフ動作させる場合について説明した。当該方法により、スイッチング素子410を安定的に動作させることができる。しかし、駆動制御部406によるスイッチング素子410およびスイッチング素子420の制御方法はこれに限定されない。キャパシタ442の特性と、スイッチング素子410の特性と、制御信号φ461および制御信号φ462のパルス幅および周期とを適切に選択することで、制御信号φ461および制御信号φ462を用いて、スイッチング素子410およびスイッチング素子420を交互にオン・オフ動作させてもよい。
【0099】
第3に、本実施形態の駆動制御部406は、スイッチング素子410およびスイッチング素子420の両方が同時にオン状態とならないように、スイッチング素子410とスイッチング素子420とを制御する。これにより、蓄電部110の一端と他端とが短絡することを防止する。駆動制御部406は、制御信号φ461、制御信号φ462および制御信号φ463の発停のタイミングを制御することで、より確実に短絡を防止してよい。
【0100】
例えば、スイッチング素子430は、制御信号φ463が供給された瞬間にオン状態になるのではなく、入力端子432に引加される電圧が閾値電圧より大きくなるまでスイッチング素子430はオフ状態が維持される。そのため、制御信号φ462と制御信号φ463とを同時に供給すると、スイッチング素子420およびスイッチング素子430の特性によっては、スイッチング素子410がオフ状態になる前にスイッチング素子420がオン状態になる場合がある。
【0101】
そこで、駆動制御部406は、スイッチング素子420をオン動作させる場合に、制御信号φ463の電圧がスイッチング素子430の閾値電圧以上の大きさになるまで、スイッチング素子420がオフ状態を維持するようにスイッチング素子420を制御してよい。または、スイッチング素子420をオン動作させる場合に、制御信号φ462の電圧がスイッチング素子420の閾値電圧以上の大きさになる前に、スイッチング素子430がオン状態となるようにスイッチング素子430を制御してよい。
【0102】
例えば、駆動制御部406は、制御信号φ462を供給してからスイッチング素子420がオン状態になるまでの時間と、制御信号φ463を供給してからスイッチング素子430がオン状態になるまでの時間とを考慮して、制御信号φ463を供給した後、予め定められた時間が経過した後、制御信号φ462を供給する。これにより、スイッチング素子410およびスイッチング素子420の両方がオン状態となることを防止できる。
【0103】
また、スイッチング素子420およびスイッチング素子430をオフ動作させる場合、または、ペルチェ素子40の駆動を停止する場合に、制御信号φ462および制御信号φ463が同時に停止すると、スイッチング素子420およびスイッチング素子430の特性によっては、スイッチング素子430が、スイッチング素子420よりも先にオフ状態になる場合がある。このとき、キャパシタ442の充電状態によっては、スイッチング素子410およびスイッチング素子420の両方がオン状態となる場合がある。
【0104】
そこで、駆動制御部406は、制御信号φ463の電圧がスイッチング素子430の閾値電圧以下の大きさになる前に、スイッチング素子420がオフ状態となるようにスイッチング素子420を制御してもよい。これにより、スイッチング素子420およびスイッチング素子430をオフ状態にして、スイッチング素子410をオン状態にするときに、スイッチング素子430よりも先にスイッチング素子420をオフ状態にすることができる。その結果、スイッチング素子410およびスイッチング素子420の両方がオン状態となることを防止できる。
【0105】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0106】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0107】
100 蓄電システム、102 マスタモジュール、104 スレーブモジュール、106 外部端子、107 外部端子、108 スイッチ素子、110 蓄電部、122 端子、124 端子、126 電源入力端子、130 スイッチ素子、140 モジュール制御部、150 電力供給部、152 電力分配部、154 端子、162 端子、164 端子、172 端子、174 端子、190 温度制御部、210 蓄電セル、220 バランス補正部、230 トランス、232 一次巻線、242 二次巻線、244 ダイオード、246 キャパシタ、252 二次巻線、254 ダイオード、256 キャパシタ、262 二次巻線、264 ダイオード、266 キャパシタ、270 スイッチング素子、272 電力供給制御部、280 筐体、330 トランス、342 二次巻線、344 ダイオード、346 キャパシタ、348 端子、350 電力供給部、351 電力分配部、352 二次巻線、354 ダイオード、356 キャパシタ、358 端子、362 二次巻線、364 ダイオード、366 キャパシタ、368 端子、40 ペルチェ素子、400 電流制御部、402 駆動部、404 駆動部、406 駆動制御部、408 基準電位、410 スイッチング素子、412 入力端子、420 スイッチング素子、422 入力端子、430 スイッチング素子、432 入力端子、440 電圧供給部、442 キャパシタ、443 ダイオード、444 ダイオード、445 抵抗、446 抵抗、450 制御用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が、負荷と電気的に接続され、他端が、前記負荷を駆動する駆動用電源と電気的に接続され、少なくとも、入力端子に入力される第1の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第1のスイッチング素子と、
一端が、前記負荷および前記第1のスイッチング素子の一端と電気的に接続され、他端が、基準電位と電気的に接続され、第2の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子がオフ状態である場合に、前記第1のスイッチング素子の前記入力端子に電圧を供給する電圧供給部と、
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号のそれぞれを、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子のそれぞれに供給し、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを交互にオン・オフ動作させる制御部と、
を備える、
駆動回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記負荷の駆動を開始する場合に、前記第1のスイッチング素子がオフ状態であり、前記第2のスイッチング素子がオン状態となるように前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子を制御した後、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを交互にオン・オフ動作させる、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記電圧供給部は、
一端が、前記第1のスイッチング素子の前記入力端子と電気的に接続され、他端が、前記第1のスイッチング素子の一端および前記第2のスイッチング素子の一端と電気的に接続されるキャパシタを有し、
前記キャパシタは、
前記第2のスイッチング素子がオン状態の場合に充電され、
前記第2のスイッチング素子がオフ状態になった場合に、前記第1のスイッチング素子の前記入力端子に対して充電された電荷に応じた電圧を供給する、
請求項1または請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記電圧供給部は、前記制御部および前記キャパシタの一端の間に電気的に接続され、前記制御部から前記キャパシタの一端の方向に電流を流すダイオードを有する、
請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
一端が、前記第1のスイッチング素子の前記入力端子および前記キャパシタの一端と電気的に接続され、他端が、前記基準電位と電気的に接続され、第3の制御信号に応じてオン状態およびオフ状態を切り替える第3のスイッチング素子をさらに備える、
請求項3または請求項4に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第2のスイッチング素子の閾値電圧は、前記第3のスイッチング素子の閾値電圧よりも大きい、
請求項5に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記第3の制御信号の電圧が前記第3のスイッチング素子の閾値電圧以上の大きさになるまで、前記第2のスイッチング素子がオフ状態を維持するように前記第2のスイッチング素子を制御する、
請求項5または請求項6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2の制御信号の電圧が前記第2のスイッチング素子の閾値電圧以上の大きさになる前に、前記第3のスイッチング素子がオン状態となるように前記第3のスイッチング素子を制御する、
請求項5から請求項7までの何れか一項に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記制御部は、前記第3の制御信号の電圧が前記第3のスイッチング素子の閾値電圧以下の大きさになる前に、前記第2のスイッチング素子がオフ状態となるように前記第2のスイッチング素子を制御する、
請求項5から請求項8までの何れか一項に記載の駆動回路。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか一項に記載された駆動回路である第1の駆動回路と、
請求項1から請求項9までの何れか一項に記載された駆動回路である第2の駆動回路と、
を備え、
前記第1の駆動回路の前記第1のスイッチング素子の一端、および、前記第1の駆動回路の前記第2のスイッチング素子の一端が、前記負荷の一端と電気的に接続され、
前記第2の駆動回路の前記第1のスイッチング素子の一端、および、前記第2の駆動回路の前記第2のスイッチング素子の一端が、前記負荷の他端と電気的に接続され、
前記第1の駆動回路の前記第1のスイッチング素子の他端、および、前記第2の駆動回路の前記第1のスイッチング素子の他端が、前記駆動用電源の一端と電気的に接続され、
前記第1の駆動回路の前記第2のスイッチング素子の他端、および、前記第2の駆動回路の前記第2のスイッチング素子の他端が、前記駆動用電源の他端と電気的に接続される、
電流制御回路。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2の駆動回路の前記第1のスイッチング素子がオフ状態であり、前記第2の駆動回路の前記第2のスイッチング素子がオン状態である場合に、前記第1の駆動回路の前記第1のスイッチング素子および前記第1の駆動回路の前記第2のスイッチング素子を交互にオン・オフ動作させ、
前記第1の駆動回路の前記第1のスイッチング素子がオフ状態であり、前記第1の駆動回路の前記第2のスイッチング素子がオン状態である場合に、前記第2の駆動回路の前記第1のスイッチング素子および前記第2の駆動回路の前記第2のスイッチング素子を交互にオン・オフ動作させる、
請求項10に記載の電流制御回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−51601(P2013−51601A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189343(P2011−189343)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(510078160)EVTD株式会社 (15)
【Fターム(参考)】